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2005年1〜12月に読んだ本


 児童文学  絵本  ヤングアダルト  SF
 ファンタジー  ミステリー  その他の小説  小説以外
児童文学
◆『ほんとうの空色』バラージュ作、岩波少年文庫  bk1『ほんとうの空色』書評あり <児童文学>
 《12/30読了》ハンガリーの作家・映画理論家バラージュ・ベーラ(1884-1949)の作品。第一次大戦後の共産政権下で活躍するが、保守派政権になってウィーンに亡命。この時期に書かれたため、初版はドイツ語。それの翻訳は1971年講談社より出版。戦後出たハンガリー語版により改訳したのが1980年の講談社青い鳥文庫。最後の、大きくなってスボンの空色から彼女の瞳に空色を見いだす場面は覚えていたが…ちゃんと読んでいなかったらしい。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『ソフィーは子犬もすき』ディック・キング=スミス作、評論社  <児童文学>
 《12/21読了》ソフィーのおとうさんは猫は嫌いだが、犬は昔から飼いたかったらしい。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『名犬ラッシー』エリック・ナイト作、講談社青い鳥文庫  <児童文学>
 《12/21読了》今まで、全訳を読んだことはなかったようだ。純血種の力、正しい訓練がラッシーを生き延びさせたというのは、知らなかった。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『クリスマスの幽霊』ロバート・ウェストール作、徳間書店  <児童文学>
 《12/15読了》同じ作者の『クリスマスの猫』とは違います。作者ウェストールの自伝的性格の強い作品。いかにも工業の町、という工場の職場長の父に、お弁当を届ける主人公は、7歳くらいか。こわい門番はいるが、工場内は「父の王国」だったから恐くなかった。ただ、サンタクロースかと思ったら創業者の幽霊だった…工場に死人が出る前触れだという。同じように、自伝的作品を書くウルフ・スタルクの話は、どちらかというと大人向けだが、ウェストールの作品は、いつも子どもの目線が生きている。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『おわりから始まる物語』リチャード・キッド作、ポプラ社  <児童文学>
 《12/14読了》紅茶をティーバッグで入れていたら、この話は始まらない。鯉の盗難事件に巻き込まれた少年ジミーとビリーの冒険。ちょっと懐かしい時代の雰囲気。『エーミールと探偵たち』に似ているかな。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ファンタージエン 秘密の図書館』ラルフ・イーザウ作、ソフトバンククリエイティブ  <児童文学>
 《12/14読了》エンデの『はてしない物語』の中の「それはまた別の物語」という部分をいろいろな作家が書き継いでいこうというシリーズの一部。既に数作あるらしいが、訳されているのはこれだけ。主人公はバスチアンと違って、大学中退のさえない男カール・コレアンダー。時代も特定されていて、ナチス・ドイツが戦争に突入する直前。そこそこ面白いが、「作りすぎ」という意見も。児図研東京支部 05.12text。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ぼくらのケータイ3days』さとうまきこ作、ポプラ社   <児童文学>
 《12/12読了》六年生の省吾と雄介。二人の関係は最近、親分子分になりかけていた。最近声変わりもして体が大きくなった雄介が拾った携帯に恐喝電話がかかってきたりして、省吾の頭脳が必要となる。持ち主を捜しだして、その中学生の悩みまで解決するハメに。主人公二人の関係性の変化はうまく書けているが、事件の解決は、少しご都合的か。児図研東京支部 06.1text。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『レベル4 子どもたちの街』アンドレアス・シュリューター作、岩崎書店   <児童文学>
 《12/9読了》SFというかファンタジーというか。「子どもたちの街」というゲームソフトをベンが途中まで進んだとき、突然街から大人がいなくなった。ベンとフランク、ジェニファーとミリアムの4人を中心に、学校を基地にして子どもだけで街を切り盛りしようとする。ただコーリャたち不良集団は店に放火し、支配権を得ようと水道局を占拠して街の水を止めてしまう。そうこうするうち、ベンは自分たちがゲームの世界にいることに気づく。ベンのゲームの知識、みんなで協力して知恵を出し合うことでポイントが高くなる、満15歳になると消えてしまうなどうまくゲームと物語がかみあっている。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『フェルメールの暗号』ブルー・バリエット作、ソニー・マガジンズ  <児童文学>
 《12/8読了》主人公はまもなく12歳になる二人。ペントミノと暗号好きのコールダーと、美術が好きなペトラ。フェルメールの絵「手紙を書く女」を盗んだ犯人が出した「晩年の数作は新作でないことを専門家が認めるまで返さない。」という新聞広告。なぜか「手紙を書く女」はペトラの夢に登場。コールダーが祖母からもらった箱にはフェルメールの別の絵が描かれていた。12の数字の謎や暗号が、絵の盗難の謎解きと結びついていない。ちょっと無理矢理の感じ。エドガー賞受賞作だが、犯人が拍子抜け。犯人が手紙を出した3人と関係があるとよかったのに。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『釜本邦茂のサッカーの達人』釜本邦茂著、ポプラ社  <児童文学>
 《12/2読了》いかに得点するか、いかにゴールのわくのなかへボールをけるかが、ぼくの勝負なんです。ほかのチームメイトが得点しても、自分が得点しなかったら、たとえ試合に勝っても、自分の役割は果たせなかったことになります。けれど、自分が得点していれば、たとえ試合に負けても、自分自身では、なっとくできるゲームだったと、と言えるんです。だいじなのは、自分の役割でなにをするかということ。(pp.62-63)。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ソフィーと黒ネコ』ディック・キング=スミス作、評論社  <児童文学>
 《11/26読了》お父さんが猫嫌いとは…。こっそり黒猫にエサをやっていたが。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ライオンボーイ カリブの決闘』ジズー・コーダー作、PHP研究所  『ライオンボーイ 3』 <児童文学>
 《11/25読了》せっかく両親と再会したのに、ライオンの所に残してきたライオン使いが復活して、チャーリーを誘拐。結局悪の製薬会社そのものを倒さないと安心して暮らせるようにならないことに気づく。そして、両親が「そんなことができるわけがない」と思っていることも…。天野喜孝のイラストで派手な感じだが、ま、なんとかうまく納めた印象。みんなを殺さずにハッピーエンドにしようと苦心したんだな、と思う。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『まいごの小犬タップス』ミラ・ローベ作、学習研究社   <児童文学>
 《11/24読了》フレーディと妹のヘーディが公園で子犬を見つける。二人は飼いたいが、まず元の飼い主がいないか探さなければならない…。ちゃんと親の言うことを聞いて、子犬を返すところが、しつけの話と読めなくもない。原作が1962年なのでちょっと素朴。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『赤ちゃんをほしがったお人形』作、書店   <児童文学>
 《11/15読了》マトリョーシカ人形の誕生の謂われは、こうだったのか…。とても腕のいいロシアの人形作りが、あるとき作った人形があまりにもよくできたので、手元に置いて毎日声をかけていたら…ある朝、「私は幸せじゃない。赤ちゃんがほしいの」というではないか! さあたいへん。作った赤ちゃん人形まで同じことを言い出して、どこまでいったらけりがつくのか?!
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ソフィーとカタツムリ』ディック・キング=スミス作、評論社  <児童文学>
 《11/12読了》やっとこの元気なソフィーの話を読み始めた。ふたごのお兄ちゃんたちは「わからんちん」だが、4才のソフィーは、かたく、「女牧場マン」になると決めている。どうしてこういう決意を固めたのかな? 大おばさんのアルおばさんがいい味。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ひみつのかいだん』ジル・バ−クレム作、書店   <児童文学>
 《11/9了》「のばら村のものがたり」の5。野ネズミの一族のシリーズ。有名な話らしいので呼んでみたが、途中のためかイマイチ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『三つの願い』<フェアリー・レルム 3> エミリー・ロッダ作、童心社   <児童文学>
 《11/9読了》ジェシカが今回王国を訪ねたのは、ブルームーン館に近づいてきた山火事のため。願いごとをかなえてくれるという「ウィッシュ・ストーン」を探しに王国の力が及ばない人魚の支配する海へ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『おともださにナリマ小』たかどのほうこ作、フレーベル館  <児童文学>
 《11/8読了》たかどのほうこはうまい。たぬきの学校との文通はおかしい。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『フルメタル・ビューティー』花形みつる作、講談社  bk1書評あり <児童文学>
 《10/3読了》書評に載っていたから読んでみたが、なるほど「これから」って所で終わってしまう。主人公の中野けやきは中二にして181cmある大女。バスケ部に入っているので筋肉もしっかり付いているのが悩み。好きで目立っている訳じゃないのに、からかわれては傷ついている。けやきの一人称の語り口がうっとうしい。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『ぼくがウィリアムと名づけたわけ』リンダ・ケンプトン作、文研出版  bk1「図書館の学校」書評あり <児童文学>
 《9/30読了》現代の少年ジャックが、夢にも出てきた古い(350年前)の揺りかごの丸い飾りを回すと、ペストの時代のイームへ。マザー・グースの「バラの花輪」の唄は、ペストのことを歌ったものだという言い伝えもあって、その関係で読んだ。児童書のタイム・ファンタジー
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『バドの扉がひらくとき』クリストファー・ポール・カーティス作、徳間書店  bk1「図書館の学校」書評あり <児童文学>
 《9/26読了》六歳で母に死に別れたバドは、母が大切にしていたチラシに出ていたジャズ・バイオリニストが父だと信じて、「子どもの家」から預けられた里親の家を家出する…。標題は、時が来れば次の扉が開く、といったバドの母の言葉から。ニューベリー賞受賞作。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『消えたメロディー』ライリス・ノーマン作、篠崎書林   <児童文学>
 《9/22読了》SFのようなファンタジーのような…。ミュージカル歌手の母、監督の父、作曲の才能のある弟。不思議なチェス盤を見た日から、呪いがかかったように、一家の音楽への情熱が薄れていく。家族を救えるのは、音楽の才能のない彼女だけ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ブルーベリー・ソースの季節』ポリー・ホーヴァート作、早川 「bk1」書評あり   <児童文学>
 《9/13読了》ラチェットは13歳。背中に目立つアザがあるせいで、友達を作らないような生活を母親に強いられている。夏休みに、大おばのティリーとペンペンの家に行くことになった。二人は双子で、時々食事を忘れるほどのおばあさんだが、何より自由に生きている。熊が出る森の中に住んでいるのに、車はポンコツ、電話は着信専用。毎年大量に実るブルーベリー・ソースの瓶詰めで収入を得ている。ある日、ここを孤児院と間違えた若い女が姪を預けようとやってくる。こうして14歳のハーパーが加わり、変な疑似家族が化学反応をゆっくり起こしていく。日本人がつけた挿絵が合っていない。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ココの森と夜のおはなし』ときありえ作、パロル舎   <児童文学>
 《9/13読了》4話収録。どれもたいして面白くない。2つ目の昔話という「黄色い箱」が少し風刺が効いているか。大人向き。児童図書館研究会東京支部2005.10月text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) 
◆『川べのちいさなモグラ紳士』フィリパ・ピアス作、岩波書店   <児童文学>
 《9/3読了》題名からは、「たのしい川辺」と関係あるのかと思ったが、全く無関係。なんとモグラは魔法をかけられて400年も生きている! 名誉革命のウィリアム3世の落馬の原因のモグラ塚を作ったせいで、ジャコバイトが「証拠保全」を図ったのだ。やれやれ…。ベット(エリザベス)は、祖母が掃除婦をしているフランクリンさんに頼まれて川辺でモグラに本(ダーウィンのミミズの研究)を読んでやる。なかなか手が込んだ設定。まあイギリス史がわからなくても楽しめると思うが、わりと地味な話。児童図書館研究会東京支部2005.9月text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ココの森のおはなし』ときありえ作、パロル舎   <児童文学>
 《9/10読了》4話収録。どれもたいして面白くない。疲れた大人向け? 
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) 
◆『オットーと空飛ぶふたご』シャルロット・ハプティー作、小峰書店   <児童文学>
 《9/7読了》樹木市は、「カーミディー」と呼ばれる不思議な生物や能力を持つ人間と「ノーマル」な人と両方が住む町だった。昔、魔法の力を持つ人々が外界との山境に魔法をかけた門を作ってこの街を隠したが、その経緯は忘れられているという設定。オットーの家は普通の家族のはずだったが、ある日、双子の妹たちが飛び始めた。おりしも、カーミディー(マジコ)弾圧政策が強まってきていた…。表紙の絵からは、もっとはつらつと冒険するのかと思ったが、オットーが思ったより幼い感じ。差別と弾圧と抵抗の話だが、魔法がからんでユーモラスな要素もあり暗くなっていない。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『最後の宝』ジャネット・アンダーソン作、早川書房  「bk1」正反対の書評2件あり <児童文学>
 《9/5読了》スミス家には3つの宝があった。一族が経済的に困った時のために初代が隠したものだ。1つ目はシャンデリアに隠したダイヤモンド。2つ目は石炭などが採れる土地の証書。13歳のエルズワースは、自分の居場所を求めて宝探しを始め、一族を巻きこんでいくことにより、初代の思いを伝えることにもなる。エルズワースの一生懸命さに好感。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『キャプテンはつらいぜ』後藤竜二作、講談社   <児童文学>
 《9/4読了》小五の長谷川勇(ゆう)は、町内会の少年野球チーム「ブラック・キャット」の新キャプテンになってしまった。不真面目な六年生がやめたのは歓迎でも、五年生のエースまで受験でやめるという。ただでさえ弱いチームなのに、メンバーが8人では…。勇は、幼なじみだが不良とつきあっている秀治(ひでじ)に声をかける。ノートに「キャプテンの心得」を書き付けたり、ほほえましいが、下町の人間関係とか地域の子ども集団とか今の状況でリアルなのか疑問。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『嵐の中のシリウス』ジョーン・ハイアット・ハーロウ作、文研出版   <児童文学>
 《9/1読了》こちらはカナダのニューファウンドランド島。20世紀初め、犬は牧羊犬以外飼ってはいけないという法律が村の有力者を中心に決まってしまった。マギーはニューファウンドランド犬のシリウスを隠す。最後にはもちろん、有力者の家族を助けるため、嵐の港のすぐ外で遭難しそうになっている船までロープを渡すために、シリウスを隠し場所から連れてくる羽目に。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『こんにちはアグネス先生 アラスカの小さな学校で』カーク・パトリック・ヒル作、あかね書房   <児童文学>
 《9/1読了》アラスカ版「24の瞳」というところか。どの先生も魚の臭いに耐えられず、長くて一年、たいてい一学期でやめてしまう1948年のアメリカ・アラスカ州アサバスカ族の村。古い教科書をしまわせ、新しいクレヨンや鉛筆を用意し、一人一人に合った教材を自ら作り上げる…。学ぶ楽しさと必要性を子どもたちに教えれば、学ぶ姿勢は身に付くものだという教育の原点に自然と気づかされる。わかっているのに、読ませる。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『アナベル・ドールと世界一いじのわるいお人形』   <児童文学>
 《8/30読了》今度はアナベルとティファニーはケイトのナップザックに隠れたため、学校に行ってしまう。帰りのとき違う子のザックに入ってしまったため、週末をよその家で過ごす羽目に。そこにいたのは、他の人形をいじめるのが趣味(?!)の「世界一意地悪」なプリンセス人形。「永久お人形状態」を信じていないので、人間に動いていることを知られたって平気! と思っている、人形界全体にとっての厄介者だった! 児童図書館研究会東京支部2005.9月text。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『フェリックスと異界の伝説 2 世にも危険なパズル』   <児童文学>
 《8/29読了》なんとフェリックスの両親がイギリスの自宅でスネークウィードの魔法で石にされてしまう。それも、触れたものをさらに石化する恐ろしい魔法だった。ブラズルの羽でノートの呪文が再び読めるようになったので、イギリスの国内の分水界から異界へ。ところがブラズルは石化解除の呪文を知らず、今度はスフィンクスの謎を解いて質問することに。標題はここから。三部作の第2作。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ハーメルンの笛吹きを追え!』ビル・リチャードソン作、白水社   <児童文学>
 《8/28読了》朝日新聞のヤングアダルト「ブックサーフィン」で紹介されていて読んでみた。こんな展開になるとは思わなかった。ペネロピーの耳が聞こえなくなって連れ去られなかったのは想定内。だが、笛吹きを追跡するために必要なディープドリーミングという才能とか、笛吹きは魔法使いで、殺さず封印するとか。夢の世界での道中「仲間」が楽しい。特にドラゴンのクェンティン。縄跳び好きのドラゴンなんて考えたこともなかった!
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『シャバヌ ハベリの窓辺にて』スザンネ・ステープルズ作、ポプラ社   <児童文学>
 《8/17読了》12歳で40歳も年上のラヒームと結婚し、第四夫人として娘を産み、六年。ずっと他の妻たちのいやがらせを受けつつ、娘と自分の自立した将来を確保しようと考えている。この環境ですごい精神力。ラヒームがついに弟に殺されたとき、ラヒームの妹のハベリに隠れることができたが、今後の波乱を予感させる終わり方。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ひげねずみくんへ』アン・ホワイトヘッド・ナグダ作、福音館書店   <児童文学>
 《8/16読了》小学4年生のジェニーのクラスは、下級生のクラスあてに、「ねずみになったつもりで」手紙を書いた。ジェニーは「ひげねずみ」になったつもりで一生懸命書いたのに、返事が来ない。相手はサウジアラビアから来たばかりの女の子だった。こういうとき、事前に担任同士で打ち合わせないのかな?! 児童図書館研究会2005.9テキスト。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『オオカミ族の少年 (クロニクル千古の闇1)』ミシェル・ペイヴァー作、評論社 「bk1」書評あり   <児童文学>
 《8/12読了》オオカミ族の12歳の少年トラクは、父と二人で氏族と離れて暮らしていた。父を殺したクマは、父の不倶戴天の敵が悪霊をクマに閉じこめて、父を襲わせたものだった。瀕死の父はトラクに、「天地万物の精霊の山」に向かうことを誓わせる。精霊の助けを借りなくては倒せないほど、もはや悪霊は強くなっていた。一人旅に出た直後に、親をなくしたオオカミの子に会い、導かれる。ワタリガラス族の伝説から、「三つのナフアク」を精霊にささげなければならないと知る。魔法はほとんど出てこないが、「大地の子エイラ」の少年版ファンタジーという感じ。児童図書館研究会2005.10月テキスト
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『花の妖精 <フェアリー・レルム 2>』エミリー・ロッダ作、童心社  <児童文学>
 《8/9読了》シリーズ2作目は、魔法の回復したフェアリー・レルムで女王の留守中、金庫番のグリフィンたちが魔力が余って金庫以外の所も守り始めるトラブルが。料理番は食料庫に近づけなくなり、自分の家にも入れない妖精も。ジェシカは何とかグリフィンたちを説得するように頼まれる。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『アナベル・ドールの冒険』アン・M.マーティン&ローラ・ゴドウィン作、偕成社 「bk1」書評あり   <児童文学>
 《8/4読了》イギリスで百年以上前に作られたドール一家とアメリカの工場製のファンクラフト一家との人形同士の交流。陶器のアナベルは思慮深い性格、プラスチックのティファニーは大胆な性格と素材によって性格も違うが二人は親友に。人形が動けるが、人間に見られる危険を犯すと、24時間「お人形状態」になってしまい、それは不名誉なこととか、実際に見られてしまった場合には「永久お人形状態」になってしまうという設定がユニーク。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『フェアリーレルム 1 金のブレスレット』エミリー・ロッダ作、童心社   <児童文学>
 《8/3読了》あの「デルトラ」シリーズやローワン・シリーズのロッダが女の子向けに書いた新シリーズ。ジェシカのおばあちゃんの家の裏庭には、妖精の国への入口があった。なぜなら…。児童図書館研究会2005.9テキスト
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『てんぐのそばや』伊藤充子作、偕成社 「bk1」   <児童文学>
 《7/5読了》結構ひとりよがりのてんぐが突然山から町へ下りてきてそば屋を始める。両隣のクリーニング屋のおじさんと薬屋のおばさんが協力してくれて店は軌道に乗る。面白いけどちょっとご都合主義的か。デビュー作。児童図書館研究会東京支部 05.7月テキスト。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『闇の城、風の魔法』メアリアン・カーリー作、徳間書店   <児童文学>
 《6/16読了》現代オーストラリアの高校を舞台に、魔法の力があるケイトと、代々呪いがかかっている転校生ジャロードの視点で交互に語られる形式。ジャロードにも強力な魔力があるが、自覚がないだけでなく、全く魔法を信じていない。一方、ケイトは級友から害のない変人としてつまはじきされている。しかし、ジャロードの家族に次々と起こる「事故」に、ついに二人で呪いを解くため、中世のイギリスへ。ここから俄然面白くなる。児童図書館研究会東京支部 05.6月テキスト。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『セプティマス・ヒープ 第1の書 七番目の子』アンジ−・セイジ作、竹書房   <児童文学>
 《5/31読了》三部作の第一作。女王が治める世界で、塔が最高実力者魔法使いの住まい。平俗魔法使いのサイラス・ヒープの住まいは城壁の中。7番目の息子は生まれた日に死んだとされ連れ去られる。そして同じ日に拾った女児は暗殺された女王の忘れ形見らしい。こういう題名で、死んだことになっている本人は必ず生きている。それが少年兵士なのか悪の魔法使いの弟子なのか。最高実力者なのに印の首飾りを取られると弱くなったり、前任者が幽霊になっても加勢してくれたりとなかなか工夫されている。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『だれかののぞむもの』岡田淳作、理論社 「bk1」書評あり   <児童文学>
 《5/28読了》こそあどの森シリーズ7冊目。いつもこの世界の経済はどうなっているのかと思っていた。スキッパーはバーバさんの収入があるとして、ふたごは、いったいどうやって食べているのか(裕福な親の信託金とか?!)。森の外に町や都会があるらしいことが今回はっきりした。まあ郵便も届くことだし。児童図書館研究会東京支部6月テキスト。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『メープルヒルの奇跡』ヴァージニア・ソレンセン作、ほるぷ出版   <児童文学>
 《5/29読了》第二次大戦からの帰還兵だった父親が家族に刺さったトゲのような状態で始まる。主人公は、10歳のマーリー。二つ上の兄に対抗心がある。1957年ニューベリー賞受賞作。メープルシロップ作りがそんなにも苦しく、なおかつ素晴らしいとは。日本人のイラストが合っていない。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『フェリックスと異界の伝説 1 羽根に宿る力』エリザベス・ケイ作、あすなろ書房 bk1書評あり   <児童文学>
 《5/26読了》テストしていない薬が即劇薬だというのは大袈裟だが、ユニコーン(ブリトルホーン)や不死鳥があっさり死ぬのがちょっとあっけなくて…。普通、「ネシャン・サーガ」みたいに病気の少年が異世界に行くと、病気が治っていたりするけど、ここでは違う。その代わり、魔法が病気に効いたりする。児童図書館研究会東京支部7月テキスト。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『バッテリー Y』あさのあつこ作、教育画劇  bk1書評あり <児童文学>
 《5/23読了》作者が書こうと思っていたところまで、ようやく6巻かかってたどり着いたらしい。私も最低ここまでは読みたかった。まあ、6年かかって物語は1年分だから、納得しない人が多いというのもわかる。ここから後、巧と豪の中2、中3、高校生活も読みたいが…。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『星の歌を聞きながら』ティム・ボウラー作、早川書房 bk1書評あり   <児童文学>
 《5/16読了》14歳のルークはピアノの才能を亡き父から受け継いでいる。しかしその父の死から受けた心の痛手を埋めようと不良グループに関わってしまう。母のボーイフレンド、村はずれの屋敷の変わり者の老女と孫娘との関わりも行き詰まるようにルークを追いつめる。それだけの才能があれば迷わなくてもいいのにと凡人は思う。児童図書館研究会東京支部5月text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『秘密の島』ぺ ソウン作、汐文社   <児童文学>
 《5/5読了》つまらなかった。こんなのが韓国で喜ばれているとは思えない。13歳の秀才少年ヘラムという主人公が魅力的じゃない。父親がカンボジアの遺跡で行方不明になり、その謎解きと遺伝子工学がからむ「SFファンタジー」という売込みだが、巻頭の「人物紹介」を読むと全ての謎が既に書いてある。セリフが不自然。学校の先生が書いたみたいに教訓くさい。まだ不自然でも『裁判とふしぎな猫』の方がマシだった。児童図書館研究会東京支部5月text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5)
◆『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(下) J.K.ローリング作、静山社 bk1書評あり   <児童文学>
 《5/3読了》終わり方は今までで一番マシではないか。最後の魔法省地下の神秘部での戦いからやっと面白くなり、学校に戻ってからのダンブルドアの告白で、ようやくハリーは文句ばかり言っている段階を過ぎたか。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『エドガー & エレン [1] 世にも奇妙な動物たち』チャールズ・オグデン作、理論社 <児童文学>
 《5/1読了》エドガーとエレンという10歳くらいの双子が次々に性悪ないたずらをしかける。両親は長期旅行中という設定。町の人がいつもこの双子にだまされている割に鈍い。双子の生活が非現実的で、根性が曲がっているところが面白いはずなのに共感を呼ばない。児童図書館研究会東京支部5月text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『蒼路の旅人』上橋菜穂子作、偕成社 「bk1」書評あり   <児童文学>
 《4/29読了》児童資料係へ異動してよかったと思うのは新着で読めること。新ヨゴ皇国の皇太子チャグムが主人公の方を「旅人」シリーズとするらしい。タルシュ帝国のふところに飛び込むチャグム。バルサもシュガもいない。ナユグの世界もチラッとしか出てこないが、この終わり方では、「早く次を!」と言うしかない。児童図書館研究会東京支部6月text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(上) J.K.ローリング作、静山社 bk1書評あり <児童文学>
 《4/27読了》いくら思春期とはいえ、ハリーはこんなに癇癪持ちだったか? 作者が「巻を追うごとに状況は悪くなっていく」と書いていたが、第5部に至り、読み進むのが楽しいばかりではなくなってきた。まぁ翻訳が出る前から「第5部は駄作」との風評も聞こえてはいたが。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『ヒットラーのむすめ』ジャッキー・フレンチ作、鈴木出版 bk1書評あり   <児童文学>
 《4/18読了》支部例会の会場で読了。ヒットラーにもし娘がいたら…というアンナの「お話」が最後のところで、リアリティを帯びる。現代の子どもに第二次大戦のナチスを身近に考えさせる作品としてこの語りの手法は上手い。児童図書館研究会東京支部4月Text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ウルメル 氷の中からあらわれる』マックス・クルーゼ作、ひくまの出版  <児童文学>
 《4/18読了》ちょっとドタバタすぎる。巻末では、ドイツの人気シリーズで、1969年から出版され、古典的名作として愛され人形劇としてテレビ・映画にもなったとのこと。ウルメルは幻の恐竜らしい。氷河に卵が凍結されていた。でもただのやんちゃ坊主そのもの。児童図書館研究会東京支部4月Text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『氷の伝説 龍のすむ家 2』クリス・ダレーシー作、竹書房  <児童文学>
 《4/15読了》大学生デービットが下宿している家には、陶製(だけど生きている)の龍がたくさんいる。デービットを密かにシロクマに見張らせる地理学の教授と、ある日突然現われてデービットの部屋にいすわった「伯母さん」とどちらがより怪しいか。前作より龍たちが生き生きと活躍。奇抜な服の女子大生と新たな冒険を予感させて未完の感じ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『シャバヌ 砂漠の風の娘』スザンヌ・ステープルズ作、ポプラ社   <児童文学>
 《4/11読了》女の子は父親の決めた相手と結婚するしかないのか。13歳でもう親の決めた相手がいる。姉さんの方は、男の子をたくさん産んで主婦するのが楽しみらしいが、シャバヌは自由に生きたい。少し前までの日本の状況と似ている。著者はパキスタンに住んだこともあるアメリカ人。児童図書館研究会東京支部4月Text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『裁判とふしぎなねこ』手島悠介作、学研   <児童文学>
 《4/7読了》小六の主人公・斗夢(とむ)は自転車で当て逃げしてしまう。恐くて謝れなかっただけでなく嘘までついてしまう。授業の模擬裁判では、裁判長の役に立候補したのに自分の罪の意識にうちひしがれる。なんか道徳の話のよう。斗夢の空想の猫も登場するがストーリー全体がぎこちない。実際に「模擬裁判」をやった小学校の模擬裁判シナリオのみ同じで後は創作。児童図書館研究会東京支部4月Text。例会当日でも、時事的な話題なので課題図書になりそうだが、ノンフィクションで書いた方が余程よかったのでは、という意見で一致。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『イルカの家』ローズマリ・サトクリフ作、評論社  bk1書評あり <児童文学>
 《3/21読了》主人公のタムシンは8歳の少女。舞台はヘンリー8世がアン・ブリンをお后にした時代のロンドン。両親を幼い頃に亡くし今度は祖母を亡くし、鎧師のギディアン伯父さんに引き取られるが、居場所がない。サトクリフがローマン・ブリテン三部作(1954-1959)を書く前の作品で、みずみずしい感じ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ガンプ 魔法の島への扉』エヴァ・イボットソン作、偕成社   <児童文学>
 《3/18読了》ガンプというのは、特別の扉、今ではキングスクロス駅の13番線ホームの下にある別世界への入口。ハリー・ポッターより原作は古い(1994)と「訳者あとがき」にあり。ガンプを通った先には、妖精もハグも人魚もトロルも人間も一緒に住んでいる「島」がある。そこの王子が赤ん坊の時、10年に一度10日間だけ開くガンプから漂うフィッシュアンドチップスの匂いにホームシックになった(!!)乳母たちにつれられて地上に出たとき誘拐されてしまう。10年後に王子を連れに来た救出者たちがベンとレイモンドを取違えたのは…。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ギラの伝説』たからしげる作、小峰書店  <児童文学>
 《3/2読了》新作RPGの世界に入ってしまうという設定ながら、東逸子のイラストのせいか正統的ファンタジーの雰囲気。漫画的イラストでも似合いそうなわりと軽いノリ。小学6年生の麻矢が、ゲームの世界「カイの国」では少年ヤーに取り憑く精霊となるあたりは荻原規子の『これは王国のかぎ』を彷彿とさせる。こちらは元の自分の記憶はないが。児童図書館研究会東京支部3月Text。支部例会当日ではもっと評価が低かった。額縁が不要、人物が類型的等々。私は娯楽系読み物として完成度が高いと思って評価したが、東逸子のイラストで得してるかも。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『時空ハンターYUKI』あさのあつこ作、ジャイブ 
 《2/24読了》あさのあつこも多作である。ライフワークなのかと思っていた『バッテリー』も第6作で完結。テレパシー少女・蘭が主人公の『ねらわれた街』シリーズはSFというより学園もの。『No.6』の方が近未来SFとして本格的。これも一種のSFだが、学園ものに近そう。双子の弟には、本当に能力はないのか。児童図書館研究会東京支部3月Text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『つくも神』伊藤遊作、ポプラ社 bk1書評あり 
 《2/16読了》伊藤遊作品にしてはちょっと…。大切に使われた「もの」が年経ると「つくも神」という命を持った存在に「成る」という考えが現実化。マンション改築のせちがらさとかみ合っていない。児童図書館研究会東京支部3月Text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『シルバーウィング 銀翼のコウモリ(1)』ケネス・オッペル作、小学館 アマゾン書評あり bk1書評あり  
 《2/5読了》コウモリは、大昔の動物と鳥の戦いで中立を保っただけなのにどちらからも制裁され、夜だけしか飛べない掟に縛られている…。銀翼コウモリでチビのシェード、彩翼コウモリで人間にバンドを付けられたマリーナ、肉食の(何とコウモリを食べる!)ジャングルコウモリのゴスのトリオは次の巻でも活躍しそう。児童図書館研究会東京支部2月Text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ふしぎの国のレイチェル』エミリー・ロッダ作、あすなろ書房 bk1書評あり 
 《2/4読了》面白い。「晴れブタ」の世界をリアルに描き出して見せたロッダはたいしたもの。児童図書館研究会東京支部2月Text。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『スカイラー通り19番地』E.L.カニグズバーグ作、岩波 bk1書評あり  
 《1/29読了》前作『ティーパーティー…』と同じエピファニーという町が舞台でちょっと懐かしいような。12歳の夏のことを回想している形。自分で選んだキャンプに参加しながら、集団行動を「できればしたくない」というマーガレットと、役に立たないからこそ「塔」造りに打ち込む大叔父さんたちはいいコンビ。とかく生きにくい個性を抱える彼女を応援する大叔父さんたち大人がいい。さすがカニグズバーグ。児童図書館研究会東京支部2月Text。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ライオン・ボーイ 2 奇跡の翼』ジズー・コーダー作、PHP アマゾン書評あり 
 《1/24読了》ようやく一段落。ライオンはアフリカに帰り、チャーリーは両親と再会。「アレルゲニー」が、遺伝子操作でアレルゲンとなった猫であることも判明。イギリスでは秋に発行の所、日本で7月に刊行。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ルビーの谷』シャロン・クリーチ作、早川書房 bk1「図書館の学校」書評あり 
 《1/20読了》13歳のふたごフロリダとダラス。二人の名前は、捨てられた時入っていた箱に敷かれていた観光パンフレットから。孤児院の院長夫妻は問題児と呼ぶが、二人から見れば、問題大人の方が多い。アメリカじゃそんなに、孤児をひきとっては「返品する」人が多いのだろうか。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ジャッコ・グリーンの伝説』ジェラルディン・マコーリアン作、偕成社 アマゾン書評あり 
 《1/16読了》第一次大戦後のスコットランドが舞台。12歳のフェイリムは、突然姿を現わした家守り精霊に<ジャッコ・グリーン>と呼ばれ、<ワーム>を退治に行く運命にあると言われる…。<ワーム>のイメージは、ジョーンズの『花の魔法、白のドラゴン』の白い竜と似ている。「僕は違う」と言い続ける主人公の進歩のなさにがっかり。<馬>であるオビー・オースは愉快。地つきの怪物が不気味。日本人が描いた挿絵が合っていない。児童図書館研究会東京支部1月Text。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『星空から来た犬』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作、早川書房 bk1「図書館の学校」書評あり 
 《1/3読了》SF。子犬(になった)のシリウスとキャスリーンの状況描写が長い。成犬になってゾイを探し始めるところまでもっと短くても…。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆

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絵本
◆『わにのはいた』マーガリット・ドリアン作、大日本図書  <絵本>
 《12/8読了》なんと動物園のワニが歯痛になって、「自分で歯医者に行くように」言われて出かける。歯医者さんがこわくて、知り合った男の子のうちに泊まったら夜中に歯が…。ワニは子どもの分身だが、この動物園には獣医さんっていないのかね。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ぐにゃぐにゃ世界の冒険』瀬山士郎文、タイガー立石絵、福音館書店   <絵本>
 《9/25読了》トポロジーの絵本。もしコーヒーカップがぐにゃぐにゃなら、ドーナツと同じ形というのから始まり、猫のスーが三穴の物体になってしまうところまで。なかなか易しく説明するのは難しい。著者は群馬大学教養部教授。専攻トポロジー。自宅で山猫文庫を開いている。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  

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ヤングアダルト
◆『ハチミツドロップス』草野たき作、講談社   <ヤングアダルト>
 《10/20読了》新聞書評にもあったように、「ハチミツドロップ」のように甘い、ダラダラしたソフトボール部を舞台にした話。主人公のカズは中三。去年くじで負けたためキャプテンでもある。今年、妹のチカちゃんたち、本気でやる気の一年生に部がのっとられ、「ハチミツドロップス」は解散。庇護膜がなくなったため、各自の「荒れ」が表面化。新聞書評にあったほど、きっぱりと自分に向き合って友達との関係を築き直すというほどには読めなかったが、自分の感情を素直に表わすことも今の中学生にとっては難しいことなのかと思った。児図研東京支部 05.11text。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ファイサル王子の指輪』ビャーネ・ロイター作、WAVE出版  <ヤングアダルト>
 《8/9読了》デンマークの作家がカリブ海の島の生まれの13歳の少年トム・コリンズを主人公に書いた冒険小説。全然ファイサル王子は出てこない。でも、原題も「Prins Faisals Ring」というんだからしょうがない。児童図書館研究会2005.8月テキスト。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『わたしは生きていける』メグ・ローゾフ作、理論社  「bk1」書評あり  <ヤングアダルト>
 《7/4読了》近未来小説だった。父の再婚相手と合わず、イギリスにいる伯母と従兄弟たちと暮らすことになったデイジー。伯母の留守中に突然テロリストたちに空港など封鎖され占領下の生活に。読心ができるらしい従兄弟たち、ひとつ下の従兄弟との恋、疎開、逃避行…とあり得ないこともありそうなこともさりげなく並べて描かれる。せっかく従兄弟たちの間に居場所を見つけたデイジーなのに、アメリカの父に「救出」されて再び隔離されてしまう。6年後の結びは、なんと『夜明けのメイジー』(6/7読了)と似ている。児童図書館研究会東京支部 05.7月テキスト
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『カチューシャ』野中ともそ作、理論社   <ヤングアダルト>
 《5/8読了》高校一年のかじおが主人公。何事もスローモーで皆から浮きつつ傍観者的な立場で生きている。父子家庭で父は料理研究家。転校生のカチューシャは、祖父がロシア人。男勝りのくせに人格を使い分け人気者に。突っ張りの香山と三人のからみがほのぼのと面白い。かじおの父の豆サラダが旨そう。児童図書館研究会東京支部5月text
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『NR ノーリターン』川島誠作、角川書店  
 《2/3読了》変な話。18歳の「俺」は病院で目覚めると事故の前の記憶が一切ない。陸上の選手だったらしい(コーチが見舞いに来たから)。風俗店でバイトしてたらしい(店長が来たから)。新興宗教(?)の教団から手紙が来る。両親は事故死したが、生みの母は生きている。次々と変なことが起こってどんどん読ませる。児童図書館研究会東京支部2月Text。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) 


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SF
◆『復讐への航路』エリザベス・ムーン作、ハヤカワ文庫SF  <SF>
 《12/27読了》シリーズ第二作というか続編。いよいよ後半の旅程にさしかかったところで、本社・家族を失う。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『栄光への飛翔』エリザベス・ムーン作、ハヤカワ文庫SF  <SF>
 《12/2読了》主人公は、カイラーラ・ヴァッタ。宙軍士官学校を優秀な成績だったのにスキャンダルに巻き込まれて退学。実家の商船の新任船長に。預かった船はボロだが、予定通り廃線にはしたくない。何とかお金を稼げたら…。行った先で商売を始めるのは血筋。宙賊も出てくる、痛快なヒロイン・ストーリー。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『竜とイルカたち』アン・マキャフリイ作、ハヤカワ文庫SF bk1書評あり <SF>
 《10/31読了》人間がパーンに定住するとき一緒に、遺伝子改造して言葉を話すイルカもパーンの海につれてきていた。アイヴァス発見で大わらわの時の裏話の形を取る。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『フラクタルの女神』アン・ハリス作、創元SF文庫   <SF>
 《10/2読了》どうして最近のSFは、荒廃した下層社会みたいな場面が多いのか。一種のマッド・サイエンティストの科学者が個性のある生体ロボットを作ろうと、主人公の少女に目をつける。それもスナッフ・ポルノの生中継番組を見てという設定。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  

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ファンタジー
◆『ヤーンの朝』 <グイン・サーガ伝103> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA   <ファンタジー>
 《10/17読了》やっとグインとマリウスが再会。ネットのカスタマー・レビューでは、専らイシュトヴァーンがまともに立ち直りつつあるのを喜ぶ声が。「ドールに追われる男」イェライシャは、まさかスカールを治すためだけに登場したのではないか…。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『火の山』 <グイン・サーガ伝102> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA  「bk1」書評あり <ファンタジー>
 《9/21読了》もう、アリは出てこないと思ったのに、イシュトヴァーンの妄念の中にいつまでも残っている。あんなに疑心暗鬼だったイシュトが吹っ切れたらしいというのは、アマゾンのカスタマー・レビューにもあった通り。「進行速度を早く」というレビューも目立ったが…。それにしてもスカールの部下をあんなに殺してからグラチウスに雨を降らせなくてもいいのに。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ストラヴァガンザ 2 星の都』メアリ・ホフマン作、小学館  <ファンタジー>
 《9/20読了》3部作の第2部。今度は、13歳の少女ジョージアがレモーラにストラヴァカントする。護符は、翼のある馬の小像。今回は十二宮にちなんだ星競馬が舞台。果してジョージアの使命は、キミチーの末っ子を21世紀イギリスに連れて行き、足の治療を受けさせることなのか。ロンドンでは、母の再婚相手の息子ラッセルが執拗に彼女をいじめている。スパイ・エンリーコ、「移された」ルシアン、若いドゥチェッサ・アリアンナなどおなじみの人物と、いよいよ登場したキミチーの親玉・ニコロ公爵、盲目の音楽家ほか。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『翼を広げたプリンセス』タニス・リー作、産業編集センター  <ファンタジー>
 《8/14読了》そして、最後のどんでん返しは、<ハウス&ガーデン>にかつての女中仲間を救いに戻ってみれば、革命が起きて、貴族は追放され、使用人のみの世界になっていたことではなく、ウルフ・タワーに行くように言われ、そこでイロネルから「ウスタレスは生きている。」と聞かされたこと。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『二人のクライディス』タニス・リー作、産業編集センター   <ファンタジー>
 《8/11読了》北の地で、レイヴン・タワーは復活していた。そこを支配するプリンセス、トワイライト・スターは、何と実はクライディの実の母ではなかった。<ハウス&ガーデン>を脱出する条件として、娘を置いていくように言われ、事前に奴隷の赤ん坊と入れ替えたのが彼女という。本物のクライディッサ・スターは、今は自らウインター・レイヴンと名のっている。アルグルは、ハルタをだましたウルフ・タワーの見せた偽の日記にはだまされず、変装してクライディを追いかけてきていた。いくらイロネルに会ったといっても、伝言だけでは本人らしくない。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『風神秘抄』荻原規子作、徳間書店 「bk1」書評あり   <ファンタジー>
 《8/1読了》16歳の草十郎は「笛吹き」だったが、源氏の一員として、平清盛の屋敷・六波羅に攻め入り、敗退。敗走途中で三郎頼朝を救いに戻って、一行とはぐれる。助けてもらった盗賊一味と行った京で、運命の舞い手と出会う。その糸世を自分の笛で異界(現代のようだが…)へとばしてしまう。そこから、彼の彷徨が始まった。カラスの鳥彦王は、あの鳥彦の末裔かな。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ライズ 星の継ぎ人たち』タニス・リー作、産業編集センター 「bk1」   <ファンタジー>
 《7/26読了》4部作の第2部。「ウルフ・タワー」の「掟」を壊し、アルグルたち、ハルタに助け出されたクライディ。やっとアルグルと結婚するというその朝、誘拐され、「ライズ」という部屋が移動する塔に幽閉。ウスタレスというウルフ・タワーの王女が、植物の変種や、人間そっくりのロボットや、この塔そのものを作ったらしい。本人は息子だけを残し、どこかへ。クライディは体当たり行動家の割に誘拐されることが多い感じ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ウルフ・タワーの掟』タニス・リー作、産業編集センター 「bk1」   <ファンタジー>
 《7/22読了》4部作の第1部。16歳の主人公クライディは、儀式で縛られた「ハウス&ガーデン」という都市国家の女中(一種の奴隷)として登場。物語は彼女の日記の形を取る。侵入してきた他国の王子ネミアンを逃がす際に、女長老から母親が追放された王女だったと聞かされる。旅芸人ハルタの一族とともにネミアンの故国「ウルフ・タワー」に着くと、そこも生まれ故郷と同じく貴族が「掟」で馬鹿げた支配を行っている国だった。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ナーダ王女の憂鬱』 <魔法の国ザンス16> ピアズ・アンソニイ作、ハヤカワ文庫FT 「bk1」書評あり   <ファンタジー>
 《7/13読了》ザンスの世界がRPGになった。魔王X(A/N)thと魔王E(A/R)thの争いの決着のため、マンダニアの少年と少女のプレーヤーが「魔法を信じれば体ごとザンスでプレーでき、早く賞(=魔法の力)にたどり着いた方が勝ち」という設定。ザンスの住人をコンパニオンに選べるが、一人だけ「不実な」コンパニオンに選ばれたナーダはどうしたか。二人のプレーヤーが魔法への態度が対照的で面白い。本当にこういう名前のゲームがあるとのこと。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『北の豹、南の鷹』 <グイン・サーガ伝101> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA   <ファンタジー>
 《6/21読了》ようやく、記憶喪失の秘密を打ち明ける。やっぱりグラチウスは信用できない。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『豹頭王の試練』 <グイン・サーガ伝100> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA bk1書評あり <ファンタジー>
 《5/22読了》相変わらずグインはイシュトヴァーンにとらえられている。元クム正規軍の兵士やグラチウスやイェライシャが失った記憶の知識をもたらしてくれるが、危うくイシュトの追求に記憶喪失がバレそうに。イシュトはイェライシャにも引導を渡され、気の毒だ。「紅の傭兵」の頃がよかったなあ。で、マリウスの歌で決心がついたのはいいけどいきなり「黒太子」スカールって…。しかも初対面だっけ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『時の彼方の王冠』 <デイルマーク王国史 4> ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作、創元推理文庫 アマゾン書評あり   <ファンタジー>
 《5/12読了》現代が出てくるとは意外。200年前だったとは…。最後の方、ハーンの宮殿での知恵比べが楽しい。一体、現代の娘メイウェンをどうするのだろうと思っていたら、戻ってからも一波乱。流石。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『影のオンブリア』パトリシア・A. マキリップ作、ハヤカワ文庫FT  <ファンタジー>
 《4/2読了》『妖女サイベルの呼び声』「イルスの竪琴」三部作のマキリップの久々の邦訳。オンブリア大公亡き後の妾妃リディア、父親不明で絵ばかり描いている甥デュコン、幼い新大公カイエル、百年以上生きているらしい女摂政<黒真珠>…。地下の御殿に住む、これまた何世紀も生きているらしい魔女、その養い子マグ。主人公が複数というか物語の焦点が曖昧。イメージは面白い。萩尾望都が漫画化したらいいかも。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『ルードの恩讐』<グイン・サーガ99> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA  <ファンタジー>
 《3/1読了》グインの記憶喪失は相変わらずで、イシュトヴァーンの人間不信は病的に。最後にイシュトの思い込み通りになるなんて双方にとって不幸なのに。グールがただの動物だなんて拍子抜け。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『呪文の織り手』<デイルマーク王国史 3> ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作、創元推理文庫 アマゾン書評あり 
 《1/18読了》このシリーズはいつも主人公が逃げている。長兄ガル、長姉ロビン、次兄ハーン、主人公のタナクィ、末弟ダックの五人兄妹は対戦国の人々に外見が似ていたため、父の戦死後、村から追い出される。舞台は有史前のデイルマーク。<不死なる者>は、神とは違うらしい。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『バーティミアス サマルカンドの秘宝』ジョナサン・ストラウド作、理論社 bk1「図書館の学校」書評あり 
 《1/11読了》なるほど、「ファンタジーのハードボイルド」という書評があるわけだ…。人間の主人公が魔法使いの弟子で12歳のナサニエル。秀才でまだ許可されていない中級の妖霊(ジン)を召還するくせに、その引き起こした騒動にビビっちゃう。もう一方の主人公がこのジンのバーティミアス。こいつが痛快!
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆

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ミステリー
◆『クッキング・ママの鎮魂歌』ダイアン・デヴィッドソン作、集英社文庫 bk1書評あり  <ミステリー>
 《12/21読了》ついに、あの元夫が殺される。もちろん、発見者のゴルディが疑われるし、頼りになるはずのトムは、逮捕した犯人が裁判で有罪にならずに釈放されて落ち込んでいる。山火事は「フェアリー・レルム」にも出てきたが、確か何年か前、実際にあったことのようだ。今回、初めてレシピが作中ではなく、巻末にまとめて掲載されている。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ダージリンは死を招く』<お茶と探偵 1> ローラ・チャイルズ作、ランダムハウス講談社文庫   <ミステリー>
 《12/6読了》アメリカのティー・ショップを舞台にした、信シリーズ。広告代理店に勤めていたセオドシアが転職して開いたお店は、なかなかの繁盛。ところが、客の一人がお茶に入れられた毒で死んで…。ところどころに蘊蓄コラムがあるのは、「クッキング・ママ」などの料理ミステリーと同じ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『不確定死体』エイミー・ガットマン作、講談社文庫  <ミステリー>
 《11/27読了》主人公は、大手弁護士事務所に就職した若手女性弁護士。師とも仰ぐ経営パートナー弁護士が急死しているのを発見。殺人者の独白部分があるので、当初自殺のように扱われているのがハラハラする。主人公が眼鏡をしょっちゅう拭いているのがポイントとは…。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『古書収集十番勝負』紀田順一郎作、創元推理文庫  『古書収集十番勝負』 <ミステリー>
 《11/14読了》古本屋の跡継ぎをめぐって、長女の婿と次女の婿に、十冊の本を「適正な値段で集めた」方に決めるという筋立てで、古書をめぐる人間模様を描く。長女の婿は、本には詳しいが商売に必要な愛想がない。次女の婿は元営業マンでその方面は達者だが、本を愛していない。どちらも人間的な魅力に乏しく、親身になれない。最後に謎解きの探偵のような役回りになる古書店主を主人公にすればよかったのに。でも、競り(オークション)の勉強には、なりました。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
 《11/10読了》メトロポリタン美術館所蔵の古代エジプトの石棺から、元研修生の女性の死体が発見された。死因はヒ素だったが、美術館では様々な用途に「毒薬」を使っているので全く犯人を絞れない。つい一昔前まで、グリーンランドから連れ帰ったイヌイットの死体を展示物にしていたという博物館業界の裏側がリアル。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『恋するA・I探偵』ドナ・アンドリューズ作、ハヤカワ・ミステリ文庫  <ミステリー>
 《10/25読了》面白かった。ドナ・アンドリューズの新シリーズ。自意識を持つようになったコンピューターが主人公。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ヴェネツィア刑事はランチに帰宅する』ダナ・レオン作、講談社文庫  <ミステリー>
 《10/21読了》いつもながら、ランチはおいしそうだが、カロリーは高そうだ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『新聞をくばる猫』リタ・メイ・ブラウン & スニーキー・パイ・ブラウン作、ハヤカワ・ミステリ文庫  <ミステリー>
 《10/14読了》どこでミセス・マーフィーは新聞を配ったかなあ…。私立高校の女生徒を映像学科資金捻出のためのポルノ映画に使っていた校長の殺害事件。初めは、新聞に偽の死亡公告が出ただけだった。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ピーナッツバター殺人事件』コリン・ホルト・ソーヤー作、創元推理文庫 <ミステリー>
 《9/28読了》「ピーナッツバター」は殺人の小道具ではなく、汚い罵り言葉を女性は使うべきではなかった時代に育ったキャレドニアの代用語だった。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『チョコ猫で町は大騒ぎ』ジョアンナ・カール作、ヴィレッジブックス  <ミステリー>
 《8/10読了》バツイチとなって、伯母さんのチョコレートショップ「テンハイス・ショコラーデ」の会計係として身を寄せたノッポのリー・マッキニーが主人公のシリーズ第1弾。チョコレートを配達した先の女性敏腕弁護士が、チョコに仕込まれた青酸カリで死亡したため、伯母さんの名誉のために推理をめぐらす。猫は、弁護士の飼い猫ヨンカーズ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『バルーン・タウンの手毬唄』松尾由美作、創元推理文庫   <ミステリー>
 《7/26読了》妊婦探偵が主人公と言っても、もう二人も産んだんだから、どうするのかと思っていたら、「当時のエピソードを掘り起こす」という体裁の短編集ときた。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ファッジ・カップケーキは怒っている』ジョアン・フルーク作、ヴィレッジブックス   <ミステリー>
 《7/16読了》なんと今回は保安官が殺された。次期保安官選挙に妹の夫が立候補していたことから、容疑者扱い。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ヴェネツィア殺人事件』ダナ・レオン作、講談社文庫   <ミステリー>
 《6/29読了》イタリアもヴェネツィアの中年の警視が主人公。イタリアを舞台にしたミステリーはあまりないので。作者はアメリカ人だが、ヴェネツィア在住。筋を通して調べるより、コネを生かしたり、賄賂を使ったりが当たり前の世界で、なるべく全うに仕事をしようとしているグイド・ブルネッティ第一作。どこへでも警察車ならぬボートで行く所がヴェネツィアらしい。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『女弁護士ニナ・ライリー 殺害容疑』ペリー・オショーネシー作、小学館文庫   <ミステリー>
 《6/17読了》ニナ・ライリー・シリーズ第5作(邦訳4作目)。息子のボブは子供から少年へと親離れし始める。探偵のBFポールとは別れ、戻ってきた検事捕コリアーと再婚する。今度弁護するのは、弟を殺した容疑の男。スキー場を経営する地元の有力一族だ。しかし、弁護する相手の言い分を信じられない場合、弁護士はどうするのか。被告の異常さがあぶり出されてくる所が恐い。訳者後書きで、シリーズ当初は平凡な出来だったが、ニナの私生活の描写に徹底して良くなったとある。なるほど。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『夜明けのメイジー』ジャクリーン・ウィンスピア作、ハヤカワ・ミステリ文庫   <ミステリー>
 《6/7読了》第一次大戦後、女性探偵として独立したメイジー・ダブスの第1作。第1部は、妻の浮気を疑う男からの調査。第2部はメイジーの過去。野菜売りの娘だったメイジーは勉強ができたが、暮らしが苦しく、お屋敷のメイドとして奉公に。そこの女主人が婦人参政権などに関心が高く、勉強を続けさせてもらい、大学へも進学したが、世界大戦が始まり、従軍看護婦として戦線へ。「ヒルクレストの娘たち」の第3部「グウェンの旅立ち」同じような設定だった。戦争で心を病んだ元兵士たちが全体の鍵。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ウィスキー・サワーは殺しの香り』J. A. コンラス作、文春文庫   <ミステリー>
 《5/27読了》倒叙型ミステリー。犯人の方からと女性警部補ジャック・ダニエルズからと双方の視点が交互に綴られる。J.パタースンの『キス・ザ・ガールズ』やV.マクダーミドの『殺しの儀式』の連続殺人犯人のような社会病質者。主人公がバツイチでタフな女、双子のトゥイードルディーとトゥイードルダムみたいなFBIに悩まされる所なんかどこかで見たような記憶。ランチデートの相手の会計士が人質になったにも関わらずユーモアをなくさないのが嬉しい。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『しっかりものの老女の死』ジェイニー・ボライソー作、創元推理文庫   <ミステリー>
 《5/25読了》コーンウォール・ミステリー第2弾。画家で写真家のローズは、夫を亡くした悲しみから立ち直りつつある。ただし、再び油絵を描き始め、新たな芸術家たちと付き合い始めることは、現在つきあっている刑事と一線をひくことにもなった。ようやく本領発揮か。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『猫は銀幕にデビューする』リリアン・J.ブラウン作、ハヤカワミステリ文庫   <ミステリー>
 《5/20読了》厳密に言うと「猫は銀幕にデビュー」しない。原題の「Brought down the House」は満場をうならせる、大喝采を受けるという意味だから、そう訳した方がよかった。82歳のセルマ・サッカレーが痛快。でもこういう新登場人物は殺されるか犯人と連載ものでは決まっている。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『このペン貸します』ローラ・レバイン作、集英社文庫   <ミステリー>
 《4/20読了》フリーライターの主人公ジェイン・オースティン(綴りは違う)が代筆したデートの手紙で依頼人が逮捕された。何とデート相手を誘いに行ったら殺されていたというのだが。仕事に精出すべきとわかっていても、ついつい探偵のまねごとがやめられない。甘い物が大好きで、太めの体型を気にしつつ食べるのをやめられない。多くのアメリカ人が太っているのもうなづける。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『女弁護士ニナ・ライリー 財産分与』ペリー・オショーネシー作、小学館文庫  <ミステリー>
 《4/10読了》ニナ・ライリー・シリーズ第4作。離婚経験者同士の夫婦が、興した事業で成功したものの、夫が浮気。いざ別れる段になってみると、家も社長も全て夫一人の名義になっている上、正式に「結婚」していないことが明るみに…。扶桑社と小学館の間にもう一話あるはずだが未訳。今回は、政治家経験者の陪審長がだんだん反対陣営を崩していく審議過程が書かれる。こんなことでアメリカの裁判が誘導されているのを知っていて日本に陪審制を導入するのかな。またしても法廷外で活劇が。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ラスト・プレイス』ローラ・リップマン作、ハヤカワ・ミステリ文庫  <ミステリー>
 《3/29読了》いきなり、主人公のテス(31歳、私立探偵)をストーカーしている男の独白から始まり、不穏な感じ。シリーズ最初の当時のボーイフレンド引き逃げ事件と、DV被害者調査はどう絡むのか。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『春を待つハンナ 三毛猫ウィンキー&ジェーン 2』エヴァン・マーシャル作、ソニー・マガジンズ   <ミステリー>
 《3/10読了》前回の作品では三毛猫ウィンキーの出番が少なかったという意見が多かったらしく、今回は、ウィンキーに発作を起こさせるクリームを使って犯人探し?! 刑事のスタンリーとデートを始めたジェーンの未来は明るいか。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ハゲタカは舞い降りた』ドナ・アンドリューズ作、ハヤカワ・ミステリ文庫  <ミステリー>
 《3/1読了》メグは今回、自分の鍛冶仕事は休んで弟ロブのコンピューター・ゲーム会社の臨時電話交換手として社内の怪しい動きに目を光らせる。なぜか「オフィス・ハゲタカ」のジョージの世話も。オフィス内を自動で回るメールカートなるものがあるとは知らなかったが興味深い。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『殺意を呼ぶフィルム』(下) ペリー・オショーネシー作、扶桑社ミステリー 
 《2/22読了》今回も最後の裁判の攻防で決着が着くのではなく、途中の反対尋問で真犯人が不安に駆られ、ニナの息子ボブを誘拐。でも、検察側の証人である読唇術の専門家ウィリーから反対尋問で有利な証言を引き出したり、こういうところがアメリカ人は好きなんだろうな…。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『殺意を呼ぶフィルム』(上) ペリー・オショーネシー作、扶桑社ミステリー 
 《2/19読了》ニナ・ライリー・シリーズ第2作。いよいよ主人公ニナの息子ボブの実の父親が…。行方不明の娘たちは本当に連続殺人なのか。気を持たせて下巻へ。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『烈風』ディック・フランシス作、ハヤカワミステリ文庫  <ミステリー>
 《2/15読了》ディック・フランシスの中では駄作の方か。ハリケーンの目の中を飛行機で飛ぶ話と核燃料を仲介取引している競馬関係者の話。主人公の気象予報士の祖母のキャラクターと、介護に来る看護婦との付き合いがちょっと面白いか。発表された長編は今のところ次の2000年原作が最後ということでは、さすがのフランシスも衰えたというところか。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『ガラスのかけらたち』ジェイン・アン・クレンツ作、二見文庫 アマゾン書評あり  
 《2/1読了》やっぱり「今の」クレンツ作品は面白い。ガラス専門の博物館長ユージニアとセキュリティ会社の探偵サイラスのコンビ。大富豪が遺贈したガラス・コレクションの館へ同行する目的は、大富豪の愛人だった友人の失踪解明と、昔盗まれた伝説のガラスの杯探し。互いに本当の目的を隠して不信感を抱くのになぜか恋愛関係に落ちる。人物の背景もきちんと書き込まれているし、会話がうまい。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『証拠排除』(下) ペリー・オショーネシー作、扶桑社ミステリー  
 《1/26読了》ラストが強引。裁判で真犯人がわかるには、あまりにも残りページが少ないと思っていたら、傍聴席から証人の妻が夫を銃殺とは…。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『証拠排除』(上) ペリー・オショーネシー作、扶桑社ミステリー アマゾン書評あり 
 《1/24読了》弁護士ニナ・ライリー・シリーズ1。『財産分与』(小学館文庫)を買ったら後書きにシリーズ4作目、第1、2作は扶桑社とあって、あわてて古本屋で購入。作者はメアリーとパメラ姉妹のペンネーム。アメリカの上訴専門(って何かな)の弁護士だったニナは、事務所の部門縮小で失業。息子を連れて弟の住む田舎で開業したが、経験のない刑事訴訟を引き受ける羽目に。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『ミッシング・ベイビー殺人事件』エイプリル・ヘンリー作、講談社文庫 
 《1/2読了》オレゴン州自動車局カスタムプレート課を退職したクレア・モントローズ第2弾。でも本文にはヴァニティプレート風略語が。綴りが同じで異音異義語(ヘテロニム)も登場、作者が言葉遊び好きと見た。前作で出会ったニューヨークの恋人との長距離恋愛は難しそう。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★

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その他の小説
◆『キルルード子爵の不埒な求婚』ステラ・キャメロン作、MIRA文庫   <その他の小説>
 《9/14読了》シリーズ第一作がやっと訳された。キルルード子爵は、この「メイフェア・スクエア7番地」の隣の住人で、2作目以降には登場しないが、第2作のエトランジェ伯爵の友人。「メイフェア・スクエア7番地」は元は大きなお屋敷だが、家主のレディー・ヘスターは下宿人を住ませている。今回の主人公は、アンティークを扱うモア兄妹。特に、妹のフィンチ・モア(29歳)が活躍。時代設定は1820年。女性が付き添いなしで出歩いたり、自分の考えで行動したりしないものとされていた時代に、自立した生き方をしようとしている。なぜか巻末にレディー・ヘスターの祖先、狂言回しの幽霊スピヴィのデザインしたドレスのスケッチが出ている。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『アネイリンの歌 ケルトの戦の物語』ローズマリー・サトクリフ作、小峰書店 「bk1」書評あり   <その他の小説>
 《7/20読了》ローマの名残を残すブリトン人が異教徒のサクソン人に挑んで敗れた叙事詩を物語化。従者のプロスパーの視点から描く。いつものように主人公は、人生の王道からはずれている。次男で、父親にはほとんど気にかけられていない。16歳で氏族の族長の王子の従者となり、戦いにも赴く。最後の決戦では生き残ったただ一人の戦士の従者となった。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『牧羊犬シェップと困ったボス』マージョリー・クォートン作、創元推理文庫   <その他の小説>
 《7/19読了》ボーダー・コリーという犬は、アイルランドではもっともありふれた牧羊犬らしいが、普通のコリーとはだいぶ違う。シェップの一人称で語られるところによると、牧羊犬の才能も、訓練よりも持って生まれたものによる部分がずいぶん大きいようだ。『牧羊犬シェップ、がんばる』(東京創元社、1996)の改題・文庫化。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『マーシーの夏』ドロシー・ギルマン作、集英社文庫   <その他の小説>
 《5/17読了》高校を卒業したマーシーは、秋になったらタイピストとして就職する以外将来の展望がない。母の営む下宿ラガマフィン・アレーに住む売れない画家キム、陶器作家サッシャ、モデルのフォリーなどと夏の間だけ大人向けの人形劇場を開くことに…。ギルマンは、特に事件など起きない話を描くのがすごく上手い。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『魔空の森ヘックスウッド』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作、小学館 bk1書評あり   <?SF>
 《4/23読了》『バウンダーズ』(PHP)や『星空から来た犬』(早川)と同じくSFだった。もっとファンタジーかと思ったが、かなり本格的SF。レイナー一族という5人が宇宙を経済的に支配している。彼らが搾取のため、地球を原始的なまま無知状態にしているという設定。ヤマハ製のロボットとか、「レイナー・ヘックスウッド・ジャパン」とか、日本がチラチラしているのは何でかな。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『不安な関係』ジェイン・A. クレンツ作、MIRA文庫  bk1書評あり <その他の小説>
 《1/14読了》邦訳が悪いのかもしれないが、二見文庫のクレンツ作品より面白くない。ヒロインのアビーは混乱してばかりだし、どこがそんなに魅力的か伝わってこないし。トールの方は、ずっと「君は僕のものになるんだ」と言っているし、人を所有物扱いする上に「愛している」とも言わないし。初期の作品だからか。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆

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小説以外
◆『サッカーの詩学と政治学』有元健、小笠原博毅[共]編、人文書院  <その他>
 《12/21読了》難しい…。スコットランドの強豪セルティックの「アタッキング・スタイル」は、かつてはショート・パスをすばやくつないでいくものだったらしい。第一次大戦前(!)の大陸ツアーで絶賛され、模倣され、やがてマジック・マジャールとしてイングランドを脅かす形で現われた、という歴史のアヤは面白い。
 読書会では、田中東子氏の論文は、「女性ファン/女性ライター」の「主流的な活動」にあえて目をつぶっているか、自分の主張に合う部分のみ強調しているのは、実際にスタジアムにあまり行っていないのでは、という意見も。田中氏は注記で、「NHKスポーツの女性キャスター」が男性アナウンサーに「サッカーは11人でするスポーツなのを知っているか」と言われた時のことを「忘れられない」と憤っているが、これは「男/主流 対 女/非主流」の図式ではなく、AキャスターとNアナの関係と見るべきだ、という意見にも頷ける面がある。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆  
◆『氷上のアーティストたち 日本フィギュアスケート』八木沼純子著、日本経済新聞社   <その他>
 《12/14読了》カルガリー・オリンピック代表だった著者が現役選手たちに取材。各選手のトリノへの思いはよく引き出せていると思う。どうやって日本経済新聞社からこの本の企画がきたのかな。日本スケート連盟の側への取材もしてほしかった。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『I ♡ (アイ ラブ) 英国フットボール』島田佳代子著、東邦出版  <その他>
 《12/13読了》Jリーグが始まる前に、イングランドのプレミアリーグの虜になって、とうとう単身移住してしまった著者。個人スポンサー制度は、確かに日本のクラブも取り入れたらいいのに。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『マザーグースを遊ぶ 子どもの素顔と家族の光景』井田俊隆著、本の友社  <その他>
 《11/28読了》せっかく使えそうな題名のわりに、あまり詳しい遊び方の実例が紹介されているわけでもなく、巻頭に何枚もある写真が著者の撮影かわからず、文中のイラストにも出典が明示されていない。かろうじて巻末の楽譜の出典のみ「まえがき」ある。pp.164-6の英文・邦訳のライム集、解説書、テープなどの紹介はしっかりしているが、イラストはこの中から採ったものではない。本の帯には「遊ぶ子どもの表情や家族の情景をリアルに描写。」「『直輸入』情報を満載。…ひょうきんな挿し絵」などとキャッチコピーがいろいろ書いてあるが、誇大広告気味。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『読む力は生きる力』脇明子著、岩波書店  <その他>
 《11/9読了》子どもが健全に育っていくには、自尊心が必要である。ささやかでも身の回りのできごとを楽しみ、自尊心を育てれば、勝ち負けに汲々としたり他人を見下したりする必要がなくなる。本を読む力は、文字を読んだり文法がわかったりだけでは身に付かない。幼児教育に携わろうという女子大生が読めないというのはちょっとショック。
 「読むという精神活動に含まれていて、映像メディアで置きかえのきかないことは…まず書き言葉レベルの言葉を使う力であり、次に想像力であり、第三に全体を見渡して論理的に考える力」(p.140)「書き言葉レベルの言葉」とは、物事を誤解のないよう正確に伝えたり、文章だけで難しいことを説明したりできる、日常会話の口語と異なる力である。「ものを考える道具」でもある。想像力は、見えないものを思い描く能力で、コミュニケーションをとる際の重要な力である。先行き予測にも役立つ。困難なときに安らぎの場所ともなる。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『子どもの図書館』石井桃子著、岩波新書  <その他>
 《10/31読了》図書館数は増えたのに、昭和50年とちっとも変わっていない現実…。「ちびくろさんぼ」は、幼年文学として昔話のように、しっかりした構造を持っていて、創作としては過不足なくすばらしい、との指摘。さすがに、岩波の絵本ではなく、原作の絵のものを紹介しているのが見識が高い。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『子どもを本好きにする50の方法 +おすすめ本300冊』 さくまゆみこ著、柏書房 bk1書評あり <その他>
 《10/7読了》本当に、50項目の簡単なおすすめが書いてある。「ある編集者は、本当に子どもに読ませたい本は、「貴重品」として鍵のかかる戸棚にしまい、見えるところに鍵をしまい忘れて外出する。」とか…。巻末のテーマ別おすすめ本が、レファレンスやブックリストに使える。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『夢見ヶ崎動物公園騒動記』出竹生久著、清流出版   <その他>
 《9/30読了》川崎市にも、動物園があった。しかも無料の…。旭山動物園から帰ってきて、しばらくして新聞の地方面にこの本のこ記事が出た。これはもう買うしかないでしょう。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『マザー・グースとイギリス近代』鶴見良次著、岩波書店  <その他>
 《9/30読了》大衆文芸史または社会史の本。でも、マザー・グースが主人公の唄は、パントマイムの劇と関わりがある、ハバード伯母さんの犬は、フランス革命と同時期のイギリスでの「道徳革命」と関わりがある、王立劇場の観劇料値上げ反対ソングは「ポリーやかんを火にかけて」の替え歌だった、とか時代から唄の背景や成立事情が解かれていてなかなか興味深い。ただ、学術論文そのままの難解な言い回しが多い。岩波の編集者がもっと一般向けに読みやすくすべきだった。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『技術力 サッカー 世界のスタープレーヤー』西部謙司著、出版芸術社   <その他>
 《9/15読了》ロナウジーニョは笑顔でバルサファンの心をつかんだ。シュートがはずれても笑っている。FKの時は真剣な顔だが、笑った方が入るのではないか。あの「日本サッカーの恩人」デットマール・クラマーのセリフ「ストライカーは殺し屋のように冷静でなければならない」。デルピエロは「ケーキでいえば生クリームみたいな存在。決してスポンジにはなれない」。日本はネドベド型MFの量産体制にある。リケルメ使用上の唯一の注意は「自由にさせる」こと…。中村俊輔は「試合を決めることができる」。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『サッカーがやってきた! ザスパ草津という実験』辻谷秋人著、日本放送出版協会 (生活人新書) 「bk1」書評あり   <その他>
 《8/17読了》サッカー文献を読む会9月Text。ザスパ草津がとにかく3年でJリーグ入りをめざし、前橋に拠点を移しながらも実現。達成できなければ、「もう二度とサッカー界で仕事ができないと思った。」という植木監督の談話が強烈。初期の立ち上げに元アントラーズの奧野が果たした役割が絶大だったこと、その奧野が退団した理由についてもっと突っ込んだ取材をしてほしかった。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『童話作家はいかが』斉藤洋著、講談社  「bk1」書評あり   <その他>
 《7/15読了》『日刊ゲンダイ』が講談社の系列の出版とは知らなかった。「講談社児童文学新人賞」募集の広告が載った『日刊ゲンダイ』を買わなければ…、一等30万円が魅力に映ったのは大学非常勤講師だったからで、翌年専任講師になった後だったら「作家・斉藤洋」は誕生しなかったかもしれない。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『旭山動物園物語』古舘謙二著、樹立社   <その他>
 《7/12読了》写真中心の本。「キングペンギンの散歩」がペンギンの習性を生かしダイエットも兼ねている、とか鷹匠の資格を取った飼育員とオオタカの写真、「14枚のスケッチ」が全てカラーで出ている。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『やわらかな遺伝子』マット・リドレー著、紀伊国屋書店 「bk1」書評あり   <その他>
 《7/11読了》双子の研究で、生まれてすぐ別々に養子になった二人がいかに似た人生を歩んでいるか。親の育て方では性格は変えられない。戦争末期に飢えた妊婦から生まれた低体重児は、豊かな時代に育っても体が飢餓に適応しているので太ると早死にする。コンラート・ローレンツがナチズムにはまっていたとか新発見も。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『子どもに語るグリムの昔話 2』佐々梨代子・野村[ひろし]訳、こぐま社   <その他>
 《6/14読了》「みつけどり」「みそさざいとくま」は初めて読んだ。夫に「かえるの王さま」を読んであげた。夫は「雪白とばら紅」を読んでくれた。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『サンタクロースの部屋』松岡享子著 こぐま社   <その他>
 《6/14読了》第1章は、著者がアメリカや日本の児童図書館で経験した短いエピソードが一つずつ語られ、読みやすい。「ちびくろさんぼ」についての見解は、日本では、これが良識かと思うが、時代によって作品評価は変わらざるを得ない。第2章、第3章は講演をおこしたもの。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『昔話の残酷性』野村[ひろし]著 東京子ども図書館   <その他>
 《6/10読了》昔話というものは、語られていく内に必要な部分だけが残っている。心理描写はなく、登場人物が笑えば幸せだし、泣けば不幸なのだ。同様に概ね醜い者は腹黒いし、美しい者は心正しい。起こったことが順序通り語られ、同じことが繰り返し出てくるので、子供にも理解しやすい。残酷に思える場面も、悪者が罰を受けたり死んだりして、きちんと決着することで聞いている子供の心の安定が得られる。また、主人公が苦しんだりしても、苦難を乗り越えれば最後には報われるので、苦しいときを乗り越えるための免疫にもなる。…何となくそうかなと思っていたことが理路整然と腑に落ちる。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『旭山動物園の奇跡』週刊SPA!編集部編、扶桑社   <その他>
 《6/3読了》「奇跡」が起こるまでの時代に焦点。苦しい時代の工夫が飼育係自身によるワンポイントガイドとか「もぐもぐタイム」を生み、エキノコックス騒動にもかなり詳しく触れている。「14枚のスケッチ」が生まれる状況も、実現すると思えないからこそ純粋な理想が語れた。絵本作家のあべ弘士も「元旭山動物園飼育係」だった。今でも園内にたくさん絵があるとか。早く行って見たい。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『星屑たち それからのアトランタ組物語』川端康生著、双葉社   <その他>
 《6/2読了》著者の結論では、アジア予選で負け続けた「それまでの日本」を終わらせたアトランタ組は、「それからの日本」のフロントランナーではなく「それまで」のアンカーだった。ちょうどプロリーグが始まり、加藤久のようなベテラン選手でさえもバブルが感じ取れなかった。ましてや五輪世代は…。前園に始まり、広長、秋葉、白井、伊東、服部、遠藤、城、松原…。日本サッカー協会が五輪代表チームを守れなかったように、所属チームも若い年代の選手を守れなかった。フランスワールドカップに出たのは、中田と城と川口だけ。服部はずっとベンチ。日韓大会では中田と控えGKになった川口。所属チームでレギュラーを取ったのは、DFの松田、田中、鈴木とMFの服部、伊東。広長はサッカーに専念できない時があり、白井はサッカーをやめて料理人修行もした。城のスペイン移籍も前園のブラジル挑戦も不調、秋葉はJ2の新潟でレギュラーを取ったが、J1二年目に戦力外。城はJ2のFCに定着してしまった。この本が出た後、2005.5/20とうとう前園引退の記事が出た。4月にはセルビアのクラブで練習参加したが契約できなかったという。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『旭山動物園のつくり方』原子禅著、柏艪舎 bk1書評あり   <その他>
 《5/24読了》この本を読んで、この夏は旭川に行こうと思っている。ペンギンの散歩が夏は見られないらしいのがくやしい。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『Game of people アジアカップ & ユーロ2004超観戦記』西部謙司作、双葉社   <その他>
 《4/26読了》ユーロ2004でギリシャが開催国のポルトガルを破って初優勝して、喜んでいるのはギリシャ人だけというのは、アジアカップで日本が開催国・中国を破って連覇したのと似ていると言われると…。中国にも日本ファンのギャルがいたとか、ポルトガル人は大会前、誰一人「優勝する」と言わなかったとか、ヨルダン戦のPK戦でアレックスが見せた「鳥肌が立つほど見事な往生際の悪さ」(これ誉め言葉)とか、イングランド人は彼らがいる所を「英国に変えてしまう」等の表現も言い得ている。
「あとがき」に、「試合終了のホイッスルは、次の試合開始の合図である。サッカーではよく使われるフレーズだ。今日より明日、今年より来年、サッカーは進歩していくものだと思っていた。…(中略)…ところが、そのうちに別の意味にもとらえるようになった。時間は一直線に伸びていくだけでなく、際限なく同じことを繰り返すものでもある。…春にタネを蒔き、秋に収穫する。…(中略)…サッカーに接する年月が長くなるほど、この世界はこっちの時間軸に支配されているのではないかと感じている。」というのは考えさせられる。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『遺伝子が解く! 男の指のひみつ』竹内久美子著、文春文庫 bk1書評あり   <その他>
 《3/16読了》『週刊文春』に2000年10月〜2001年10月に連載したものの単行本『「私が、答えます」動物行動学でギモン解決!』を文庫化にあたって改題したもの。竹内久美子がミッシェル・ポルナレフのファンとは知らなかった。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『アジア最終予選』大住良之著、双葉社 bk1書評あり  <その他>
 《3/8読了》なかなか読ませる。「ドーハの悲劇」と命名された1993年は、最終戦でイラクと引き分けた試合が全てのように言われるが、本当は違う。「この五試合の性質を理解して戦い抜く力が、日本にまだ足りなかった」(p.190)。「ジョホールバルの歓喜」とも言われる1997年は、メディアが1試合ごとに一喜一憂、「自力2位」が消滅だの復活だのかまびすしかった。これも正しくない。ホームのUAE戦を引き分け、選手に物を投げたりした輩に、「こんなところで騒ぎを起こし、自分が絶望していることを示すのは、歯を食いしばって耐えることを知らない弱さと、サッカーというものを理解していない愚かさの証拠だった。たとえ日本の運命が最終節に韓国のプレーに委ねられることになったとしても、別に恥じることなどない。リーグ戦で重要なのは、最終的に勝ち点で上回ることだ。「自力」でないことなど、当たり前なのだ。」(p.294)
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『山本昌邦指南録』山本昌邦著、講談社  
 《2/10読了》8章「磐田坂の上の雲」。五輪チームを「壊してもらう」ために対戦したら、「理解しすぎて」35分ハーフだけで6-0…。11章「野生の森で見た光景」。那須と闘莉王の所がケッサク。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  
◆『「Jリーグ」のマネジメント』広瀬一郎著、東洋経済新報社  アマゾン書評あり 
 《1/13読了》「失われた10年」と言われるバブル経済崩壊後の1990年代だが、Jリーグにとっては「失われなかった10年」だった。開幕前年1992年5月のユニフォーム発表記者会見は2時間のイベントに仕立てられ、翌日「ほぼ全紙一面」に報道された…というのは全く覚えていない。その頃、サッカーなんか見ていませんでした。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★