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2006年1月〜12月に読んだ本


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児童文学 >
◆『ウォーリアーズ 1 ファイヤポー、野生にかえる』エリン・ハンター作、小峰書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ウォーリアーズ 1  《12/25読了》猫の「ウォーターシップダウン」という感じ。でも、本国では、もう18冊も出ているんだそう。巻頭に、猫の目で見た絵地図と、人間世界での地図が二枚あって興味深い。飼い猫だったラスティーは、野生の血が騒いで、野良猫のサンダー族に加わる。戦士見習いとしてもらった名前がファイヤポー。エリン・ハンターは、イギリス在住のケイト・キャリーとチェリス・ボールド2人のペンネーム。児童文学にしては少々血なまぐさい。権力争いや裏切り、戦闘場面など本当に子ども向きかは少し疑問。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『時間のない国で』上・下 ケイト・トンプソン作、東京創元社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:時間のない国で 上  《12/18読了》「時間のない国」とは、アイルランド神話の「ティル・ナ・ノグ」=常春の国のことだった…。私たちの世界では、時間がどんどんなくなって、人々は非常にせわしく毎日を送っていた。というのも実は、ティル・ナ・ノグへ時間がもれているからだった!
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『星のマント』エミリー・ロッダ作、童心社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:フェアリー・レルム 7  《12/14読了》「フェアリー・レルム」7作目。今度はいたずら妖精が女王様の星のマントを破いちゃった。マントを直してもらいに星の妖精たちの所へ行くと意外な事実が。星のマントがないとウィッシュ・ナイトそのものがなくなってしまい、星の妖精たち自身も消滅してしまうというのだ。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『吹きぬけの青い空』志津谷元子作、学習研究社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:吹きぬけの青い空  《12/11読了》老朽化で建て替えられるマンションに残っている数家族の交流を小五の主人公の視点から描く。うーん、小川未明文学賞大賞作品とかいうんだけど、残っていく本じゃない。児童図書館研究会東京支部06.12Text
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 9/23赤旗11面、10/2産経10面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『家なき娘』上・下 エクトール・マロ作、偕成社文庫  bk1家なき娘 上書評あり <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:家なき娘 上  《12/10読了》『ペリーヌ物語』とも言われる作品。ペリーヌは11,2歳。フランス人の父とインド人の母の間に生まれた。インド人はキリスト教に改宗するとカーストを失い最下層になってしまうとは知らなかった。飢え死にしかけてたどり着き、オーレリーと名のって工場で雇ってもらう。ジュートで資産を築いたヴュルフラン・パンダヴォワーヌ氏が祖父らしい。下宿屋を出て、狩猟小屋を見つけて手作り生活をする所が面白い。マロってお涙ちょうだいだけじゃない、今でも読みごたえがあります。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『孤島のドラゴン』レベッカ・ラップ作、評論社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:孤島のドラゴン  《12/4読了》イギリスの3人姉弟が、大伯母さんの所有する島で三つ又のドラゴンに出会う。黄金の翼竜ファフニエルってどこかで聞いたような名前。龍の語る話中話が楽しい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 10/29朝日26面、2007.1/8産経10面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ニコルの塔』小森香折作、BL出版  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ニコルの塔  《12/3読了》『さくら、ひかる』『うしろの正面』の作者の作品なのだが、イマイチ。そこはかとなく読者の関心をニコルの塔の別世界の謎で引っ張るのだが、現実世界の日本との接点が強引。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『天と地の守り人 第一部 ロタ王国編』上橋菜穂子作、偕成社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:天と地の守り人 第1部  《12/3読了》やっぱりチャグムは泳ぎ着いていた。今度はバルサがチャグムを追いかける。再びチャグムとバルサの道中が始まりそうで目が離せない。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『十一月の扉』高楼方子作、新潮文庫 「bk1」十一月の扉文庫版書評あり <児童文学>
 《11/26読了》加筆訂正というので、リブリオと比べてみたが、どこがそうなのかわからなかった。むしろ、リブリオの時は挿絵が、爽子の話中話「ドードー森の物語」にぴったりだったのだが、今回収録されていないので残念。斉藤惇夫の「後書き」にもリブリオの表紙の絵について触れられているし。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『月の笛』武鹿悦子作、小峰書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:月の笛  《11/22読了》10歳の児島潮うしおは母子家庭の転校生。夜、母と言い合いして家を飛び出した潮は山頂で笛吹きの幽霊と出くわす。千年前に盗まれた名笛「月の笛」を取り返してほしいという。幽霊と死んだ息子を会わせたい一心で引き受けてしまう。山頂の土産物店の火災と店主の老人の死、千年前の世界で突然、飛天が出てきたり、最後、突然母が元の町へ帰る決心をしたり、全体にプロットの整合性が足りない。東逸子のイラストでトクしている。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 11/6産経10面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5)
◆『くまのテディ・ロビンソン』ジョーン・G・ロビンソン作、福音館書店  <児童文学>
 《11/22読了》幼年文学の古典だが、今ごろ読んだ。テディ・ロビンソンは、デボラのお気に入りのぬいぐるみ。ぬいぐるみにできないことはしないのだが、庭でお泊まりしたり、坂道を乳母車で暴走していけに飛び込んだり。手頃な長さの短編が5〜6編入っている構成も、「易しい文学」としての満足感が得られると思う。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ネコのミヌース』アニー・M.G.シュミット作、徳間書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ネコのミヌース  《11/21読了》1950年代にオランダで爆発的な人気を呼んだ幼年もの『イェップとヤネケ』の作者の作品。1995年になくなったときTVが「オランダの本当の女王」と題した特集番組を組んだそうだ。研究所のゴミを食べたミヌースはある日人間の女性に変身してしまった。まだ猫語は話せるので、猫の情報網で、気が弱い駆け出しの新聞記者・ティベの下宿に転がり込む。ミヌースの猫ぶりと、気後れして人間の取材ができないティベの二人三脚。猫たちが知恵を合わせて善人面の工場主の素顔をあばく場面が爽快!
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『エーミールと大どろぼう』アストリッド・リンドグレーン作、講談社  <児童文学>
 《11/19読了》スープ鉢をかぶってぬけなくなった事件、パーティーの日、妹を旗竿に吊り上げて木工小屋に閉じこめられたが、いつの間にか食料小屋のソーセージを食べちゃった事件、町のお祭りに1人で老馬に乗って行き、ひげ女のテントで大泥棒「すずめ」と遭遇、持っていた木銃で追い出した事件…。これで五歳かそこらだから、たいへんだ。子どもの本来持つパワーが生き生きと書かれている。今時の子どもはこんなふうに遊べるのだろうか。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『ロマン・カルブリス物語』エクトール・マロ作、偕成社文庫  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ロマン・カルブリス物語  《11/11読了》『家なき子』『家なき娘』のマロの作品。初の全訳。フランスの漁村に生まれたロマンは、息子を船乗りにしたくない母のため、父の死後、変人のビオレルさんから教育を受ける。その後、執達吏のシモン叔父に引き取られるが、食事は少ないし叔父の仕事ぶりがあまりにも人非人ぶりなのに嫌気が募り、港で船乗りになろうと脱走。旅の絵描きに会うが、絵描きは捕まり、服を失い、サーカスで働くことに…。最後に幸せな人生を築きあげる主人公の回想の形。次々に大変な目にあうが、何とか切り抜けていくロマンのたくましさにハラハラしていればいいのか。児童図書館研究会東京支部06.11Text
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『大きなたまご』オリバ−・バタ−ワ−ス作、学習研究社  <児童文学>
 《11/11読了》12歳のネイト・トウィッチェルが飼っているニワトリがばかでかい卵を産む。3週間でかえらず、6週間たって孵ったのは、トリケラトプスだった。ネイトはアンクル・ビーズレーと名づけ、避暑に来ていた古生物学者のチーマー先生と協力して、育てていく。冬が近づいてきたので、ワシントンの博物館へ。朝の散歩でトラックをひっくり返してからは動物園へ。議会でエサ代が予算を圧迫すると問題になり、ネイトはTVで訴える。とってもアメリカ的な話。もう絶版なのが惜しまれる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『両親をしつけよう!』ピート・ジョンソン作、文研出版  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:両親をしつけよう!  《10/25読了》最初、両親がルーイの帰宅後も部屋に入ってきて宿題の監視をしたり、勝手に鞄を調べたりし始めた時は、どうなるかと思った。アメリカの12歳って、このくらい大人びているのかもしれないというリアリティがある。日記に語る一人称で軽い語り口なのが、深刻に陥らずサラっと読める。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 9/24朝日、10/23産経  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『かかしと召し使い』フィリップ・プルマン作、理論社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:かかしと召し使い  《10/23読了》雷の直撃で意識を持つようになったかかし。パンドルフォじいさんの手になるかかしは、スプリング谷の所有権を譲り渡す遺言状を胸に秘めていた。孤児のジャックは、かかしに雇われて冒険へ。かかし版ドンキホーテ。ワタリガラスのばあさんがなかなかいい味。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 10/30産経10面、12/16読売夕刊9面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『ふたりきりの戦争』ヘルマン・シュルツ作、徳間書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ふたりきりの戦争  《10/17読了》ドイツ人の14歳の少女エンヒェンは、兄が出征、父は連行され、母は帰ってこない。田舎の農家に送られる。第二次世界大戦末期、ドイツの敗戦が噂される頃、外国人労働者が連行されると聞き、ロシア人の少年セルゲイと冬のドイツを逃避行。ドイツの普通の人々の「勇気」が描かれる。児童図書館研究会東京支部11月TEXT。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 10/23産経14面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『川のほとりで』坂本のこ作、小峰書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:川のほとりで  《10/16読了》中三の小野瀬樹(いつき)は、川辺に秘密の庭を持っている。ラベンダーのお香をたきつくす頃には父を許せるかと思っていたがだめ。母は婚約者を捨てて父と結婚したが、父からもう愛されていないのに恨むことも別れることもできずに4年前自殺した。ある日そこに置いたベンチに少女が眠っていた。樹(いつき)の保護者・タイラさん海さんの高岡夫妻がいい。児童図書館研究会東京支部11月TEXT。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『うしろの正面』小森香折作、岩崎書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:うしろの正面  《10/15読了》一気に読んでしまった。主人公は12歳の水野暁彦。父の田舎では、12歳で成人の祝い「生まれ変わりの儀」を行う。王ヶ崎(おがさき)家は、行者の家系なので後ろの正面の人の名を当てることになっている。迎えの人・百目と歩いていく途中で「かごめかごめ」を遊んでいる変な男たちに会う。「生まれ変わりの儀」で従姉妹の璃紅(りく)は儀式でムカデに取りつかれた 児童図書館研究会東京支部11月TEXT。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『日本児童文学名作集 上』桑原三郎、千葉俊二編、岩波文庫社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:日本児童文学名作集 上  《10/14読了》巌谷小波の「こがね丸」と「三角と四角」を読むために購入。「こがね丸」初版に基づき総ルビで収録。やっぱり鼠の阿駒(おこま)さんに猫の烏円(うばたま)が「懸想」したり、虎の金眸大王が妾の女鹿・照射(ともし)の膝枕で高いびきだったりしなくちゃね。まあ、今では子どものための物語じゃないけど。イラストもなかなか。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『ドラゴン・キーパー 最後の宮廷龍』キャロル・ウィルキンソン作、金の星社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ドラゴンキーパー  《10/12読了》オーストラリアの作家が漢時代の中国を舞台に書いたFT。主人公の少女は、龍の「声」が聞こえる。皇帝の離宮で閉じこめられていた最後の一頭と逃走。字も読めず奴隷だった少女は、首の札を龍に読んでもらい、ピンという自分の名前を知る。龍の名前はロン・ダンザ(大胆な龍)。夏の終わりまでに玉を海に持っていかなければならないという龍に、道中「気」の使い方も習う。しかし 誰も作者に東洋の龍は翼がないものだとか、蛇体で飛べるのだと教えなかったらしい。表紙の絵も「ドラゴン」体型。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 11/11赤旗11面、11/27産経10面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『夢の森のユニコーン』<フェアリー・レルム 6> エミリー・ロッダ作、童心社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:フェアリー・レルム 6  《10/5読了》またまた邪悪な従姉妹ベラがフェアリー・レルムへの侵略を企て、今度は人間界で人質を取り、ジェシーに王国への扉を開けるように迫る。ジェシーは養育係だった妖精から、ベラがユニコーンに弱いことを聞き出し、援助を求めに行くが…。ユニコーンがフェアリー・レルムの住民にもおそれられるほどの生き物なのがイマイチピンとこない。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『和風建築の大研究 風土にあった生活』PHP研究所編、PHP研究所  <児童NF>
オンライン書店ビーケーワン:和風建築の大研究  《9/28読了》思ったより高学年向けか。字がやたら多いところ、難しい言葉がそのまま使ってあるところ。法隆寺や伊勢神宮の調べ学習には使えるかもしれないが、「風土にあった生活」という副題にしては庶民の家について少なすぎる。「和風建築」という言い方は変。「日本建築」ではないか。「うだつがあがらない」など建築にまつわる慣用句の項はいいと思う。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5)
◆『ハンス・ブリンカー 銀のスケート』M. M. ドッジ作、岩波少年文庫  <児童文学>
 《9/27読了》ハンスとグレーテルのきょうだいの家は、お父さんが運河の事故で働けなくなってからたいへん貧しい暮らしでした。二人はスケートが得意でしたが、ちゃんとしたスケート靴を買うことはできません。今年はスケート大会が開かれ、賞品は銀のスケート靴です。事故の直前、お父さんが預かった時計は誰のものでどういう事情なのか。お父さんが隠した千ギルダーのお金はどこにあるのか。いろいろな謎が読者をひっぱり、飽きさせない。長い原作をハンスとグレーテル兄妹に焦点をあてて訳した石井桃子の訳がいい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『タイの少女カティ』ジェーン・ベヤジバ作、講談社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:タイの少女カティ  《9/23読了》なぜかカティは祖父母と住んでいて、両親の存在は描写されない。各章の副見出しで「だれもおかあさんのことを話さない」など思わせぶりに匂わせる。お母さんの選択は9歳のカティにとって残酷ではなかったか。いくら自分が娘を傷つけないためとは言え。危うく娘から母親の記憶を奪うところだった。児童図書館研究会東京支部06.10Text。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 8/1東京  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『魔女の宅急便 その2 キキと新しい魔法』作、書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:魔女の宅急便 その2  《9/21読了》なかなか続編を読めずにいたが、ようやくその2を読めた。相変わらず連作短編風。手紙を頼まれて読んじゃったあげく川にとばしちゃうなんて、運び屋として最低限の規律がない。みんな善意でメルヘン過ぎる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『海賊ジョリーの冒険 (2) 海上都市エレニウム』カイ・マイヤー作、あすなろ書房  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:海賊ジョリーの冒険 2  《9/18読了》誰でも、自分が世界を救う鍵だなどという重荷は背負いたくない。ジョリーも一度は逃げ出すが、「大渦潮」との対決にムンクとともに立ち向かうことに。それにしても「暗黒の海」とか「大渦潮」が意識ある存在として出てくるあたりが普通じゃない。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『生霊わたり』<クロニクル千古の闇 2> ミシェル・ペイヴァー作、評論社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:クロニクル千古の闇 2  《9/17読了》トラクは、身を寄せているワタリガラス族に悪霊による病が流行ったので、薬を求めてアザラシ族の魔術師を訪ねる。そこで明かされた衝撃的な事実は、はやり病いがトラクをおびき寄せるための罠で、薬などないということ、トラクが「生霊わたり」という才能の持ち主であること、アザラシ族の魔術師が悪霊の熊を作ってトラクの父を殺したこと…。ようやく、トラクの才能の一部が明らかに。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 6/4産経13面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『海賊の息子』ジェラルディン・マコックラン作、偕成社書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:海賊の息子  《9/13読了》『不思議を売る男』のマコーリアンの標記変更。牧師の息子ネイサンは父の死で行く当てもなくなり、海賊の息子タモに連れられてイギリスの寄宿学校からマダガスカルへ。ネイサンがグジグジしていてつまらん。妹の方を主人公にすればよかったのに。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 10/16産経10面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『光の街 出逢劇団の人びと』浅田宗一郎作、岩崎書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:光の街  《9/9読了》小五の若宮光のクラスに転校生が来た。大衆演劇「出逢劇団」の末っ子・吉水よし美だ。既に舞台に出ていて、光は招待される。通天閣も「新世界」も大衆演劇も目新しい。作者は大阪の「新世界」という街を描きたかったと言うが、だったら何も光の母の死は不要では。マンガ家のイラストが不正確。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2/27産経15面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5)
◆『海賊ジョリーの冒険 (1) 死霊の売人』カイ・マイヤー作、あすなろ書房  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:海賊ジョリーの冒険 1  《9/8読了》「鏡の迷宮」三部作の作者。「ジョリーは生まれつき、水の上を歩くことができた。」これだけで、違う世界へ行くことができる。カリブ海の島で暮らし、「貝の魔法」を操る少年ムンクも実は「ミズスマシ」だった。カリブの海賊に育てられた少女が主人公で、死霊が労働力として出てきたり、なかなかユニークな設定。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 1/23産経11面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『震度7 新潟県中越地震を忘れない』松岡達英文・絵、ポプラ社  <児童NF>
オンライン書店ビーケーワン:震度7  《9/6読了》著者は新潟県川上町のアトリエで仕事中に中越地震に遭う。家族は全員無事だったが、息子の持病のため車で避難することに後ろめたさを覚える。途中通行止めの道は母子が土砂崩れで生き埋めになった現場。地震の1時間前に著者も通っていた…。表紙の竜胆にとまるチョウのイラストは、著者に「災害で困っているのは人間だけ」と気づかせた自然の営み。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2005.5/16読売夕刊17面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『怪人二十面相』江戸川乱歩作、ポプラ社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:少年探偵 1  《9/2読了》最初の事件は、明智探偵が留守で、いきなり小林少年が活躍するんですね。「二十面相」っていうのは、そもそも変装の達人だからそう名のっているんだけど、二話目でいきなり明智探偵に化けたり大胆。からくり屋敷とか最初から好きだったんだなあ。現実離れしているからこそ生き残ったのか。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『それいけズッコケ三人組』那須正幹作、ポプラ社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:それいけズッコケ三人組  《9/1読了》この名作の第一巻を読んでいなかった。けっこう自分たちを客観的に見て命名している。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ベラスケスの十字の謎』エリアセル・カンシーノ作、徳間書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ベラスケスの十字の謎  《8/31読了》背が伸びないたちのニコラスは、スペイン宮廷へ連れて行かれた。画家ベラスケスが王家の肖像を描くのに、なぜ鏡の中に王ご夫妻を描いたのか…。ベラスケスは後世「侍女たち」として知られる名画の構想を、悪魔から得たのか?! 絵の制作年より後で得た騎士団の紋章がなぜ画中の画家本人の胸に描かれているのか? 『ジョコンダ婦人の肖像』が弟子の目からダヴィンチを描いたのと同じ手法で読ませる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 8/26読売夕刊7面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『木の上の家 イタリアからのおくりもの』ビアンカ・ピッツォルノ作、汐文社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:木の上の家  《8/21読了》イタリアの児童文学。大きなカシの木の上に家を作って暮らしはじめた、アグライアとビアンカ。作者が姪と作った空想譚を作品にしたもの。いろんなフルーツの木を接ぎ木したり、ペットの猫は口をきかないのに、コウノトリは言葉を話したり。児童図書館研究会東京支部06.8Text
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『わたしのカラス研究』柴田佳秀著、さ・え・ら書房  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:わたしのカラス研究  《8/17読了》テレビプロデューサーとして番組でカラスを取り上げて以来、カラスの研究に打ち込む著者。カラスが襲うのは本当に年配者ばかりなのか?! 渋谷駅のハチ公像のすぐ後ろの木にカラスが営巣している。小型カメラを仕掛けて撮影すると、カラスと目が合うといけないらしい。自動車教習所で、車道にクルミを置いて車に割らせるカラスもいる。石けんを盗むカラスもいる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ペリー・Dの日記』L. J. アドリントン作、ポプラ社  <SF>
オンライン書店ビーケーワン:ペリー・Dの日記  《8/14読了》こわい作品だった。作者は、「アンネの日記」からヒントを得たという。地球から移民した人間が、戦争のない社会をめざしていたはずなのに、「ペリー・Dの日記」を読んでいる少年トニは、戦後の都市解体作業員。移民たちには3種類の遺伝子型があり、優劣はないはずだったのに、データベースのための調査から、左手への消えないスタンプ、「区別」から「差別」までほんの一歩。上流階級のお嬢だったペリー・Dの家族は、父だけが残り、母と兄、ペリーと妹は移住させられる。「再分配」が始まり、労働力として召還、強制移送。ユダヤ人は生き残ったが、トニの世界では、ペリーたちの遺伝子型は存在すらしていない。児童図書館研究会東京支部06.7Text。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『虎の弟子』ローレンス・イェップ作、あすなろ書房  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:虎の弟子  《8/10読了》なかなか面白かった。現代アメリカが舞台。代々魔法使いの長に守られてきた不死鳥の卵。150年前、中国からアメリカ・サンフランシスコへと持ちこまれて、ここ何十年かはおばあちゃんが守ってきた。主人公のはらが定まらない所が現代ファンタジー。佐竹美保のイラストで得している。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 9/18産経10面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ぼくと原始人ステッグ』クライブ・キング作、福音館書店文庫  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ぼくと原始人ステッグ  《7/25読了》8歳のバーニーは、おばあちゃんの家の近くにある、チョークを切り出した大きな穴に住んでいる穴居人(?)と友達になります。英語は通じませんが、一緒に煙突を作ったり、泥棒を追い払ったり、薪にする木を切り倒したりします。児童図書館研究会東京支部06.7Text。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『黒馬物語』アンナ・シュウェル作、岩波少年文庫  <児童文学>
 《7/21読了》児童文学の古典。どうして馬の話がこんなに読ませるのだろう。ある馬が自分の人生(?)を回想する形で書かれているのだが、いかに馬の気持ちを理解している人間が貴重なものか、馬を酷使せざるを得ない状況に多くの御者が追いつめられているか。アゲヅナなんてちっとも知らなかったが、絶対に反対だ、という気持ちになった。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『幽霊派遣会社』エヴァ・イボットソン作、偕成社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:幽霊派遣会社  《7/15読了》戦争の空襲で、一瞬にして幽霊になってしまったウィルキンソン一家。住む家のない幽霊たちをあっせんしようと、ミス・プリングル、ミセス・マナリングは幽霊派遣会社をたちあげた。オリヴァーは、孤児院にいたが、金持ちの親戚の遺産を相続、ヘルトン館へ行くが、親切なふりをしている意地悪な伯父夫婦は、館に凶悪な幽霊を呼び寄せようとたくらむ。家族の幽霊とか、幽霊のあっせんとか、「幽霊物語」というジャンルのあるイギリスらしいユーモア・ファンタジー。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『盗神伝 X 新しき王 後篇 栄光』メーガン・ウェイレン・ターナー作、あかね書房  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:盗神伝 5  《7/12読了》あやうく暗殺されるところだった襲撃から、自力で逃れたものの、近衛兵の信頼も貴族の対立も解決しない。それを逆に利用して、大貴族の一族を追いつめた。ようやく、ジェンが「王」という立場を受け入れたのかな。イマイチすかっとしない。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『天山の巫女ソニン』菅野雪虫作、講談社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:天山の巫女ソニン 1  《7/11読了》ちょっと中国系のファンタジー。赤子や幼児のときから天山の巫女候補はスカウトされる。でも、ソニンは14歳になっても「夢見」の才能をコントロールできないので、山を下された。ひょんなことから口のきけない末の王子の侍女となるが、毒殺未遂の疑いをかけられる。講談社児童文学新人賞受賞作。とても新人の作品とは思えない。しかも三部作の第一作。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 7/24産経12面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『盗神伝 W 新しき王 前篇 孤立』メーガン・ウェイレン・ターナー作、あかね書房  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:盗神伝 4  《7/10読了》エディスの「盗人」から一転、アトリアの女王の夫となったジェン(エウジェニデス)。ちっとも王らしい振る舞いをしないので、付き人や近衛兵から見くびられて、日々ささいな嫌がらせに耐えている。これは作戦なのか。としたら、何のための? 語り手がジェンから近衛兵のコストスになっているので、もどかしい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『クロリスの庭』茂市久美子作、ポプラ社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:クロリスの庭  《7/7読了》ちょっと安房直子の作品に似たオムニバス短編集。「つるばら村」シリーズと味わいが似ていると思ったら同じ作者だった。西風の神様ゼピュロスがクロリスに与えたという庭から毎朝花が届く花屋「クロリスの庭」。主人公は花屋の店員のおにいさん西野風一。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『キッカーズ! 2 ニコの大ピンチ』フラウケ・ナールガング作、小学館  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:キッカーズ! 2  《7/7読了》チームのキャプテンで司令塔のニコがおかしい。モーリッツのチーム・ブルーイエローSCは少年サッカーの地区予選中なのに。何と、成績不振を理由に、ニコのお父さんがサッカーを禁止したのだった! このピンチを打開する秘策はないものか? サッカーが嫌いだけどクラス一の優等生レベッカには名案があるらしいが…。息子のいい所を認めてやらない親はどこにでもいる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『天狗童子―本朝奇談(にほんふしぎばなし)』佐藤さとる作、あかね書房  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:天狗童子  《7/6読了》佐藤さとる久々の長編。と思ったら、雑誌連載開始は、30年以上も前。あかね書房の編集者から退職前の最後の仕事として、この作品の単行本化を依頼され、第三章以降書き下ろして完成。山番の老人・与平の所にカラス天狗の九郎丸が笛の弟子入り。ところが、彼は鎌倉武将の落としだねだった。関東を預かる大天狗の館が神奈川の大山にあるとは知らなかった。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 6/5産経14面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『メルヘンムーン』ヴォルフガンク・ホールバイン作、評論社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:メルヘンムーン  《6/27読了》4歳の妹レベッカは、虫垂炎の手術の麻酔から醒めない。キムはテミストクレスという老人(魔法使い)からレベッカがメルヘンムーンという国の陰の帝国で囚われており、住民には行かれない地域のため助けを求められる。冒頭キムが読んでいたSFに出てくる宇宙戦闘機に乗って行くと陰の魔法使いボラースの領域で捕らえられてしまう。現実世界では「14歳以下」のキムがメルヘンムーンでは立派な騎士のようだ。一人称が「ぼく」から「わたし」に変えてあるが翻訳は難しい。ドイツ語圏では今一番売れているFT作家とか。三部作の第一作。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『アホウドリに夢中』長谷川博著、新日本出版社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:アホウドリに夢中  《6/15読了》一度は「絶滅」を宣言されたアホウドリの保護対策を一人で続けた鳥類学者のノンフィクション。鳥島の繁殖地が土石流で浸食される危険が高いため、国や都を動かし、ススキやチガヤを植え、防壁工事をし、一方で島の反対側にデコイと音声で誘導し新繁殖地形成を試みた。新コロニーは成立し、1000羽を越え第1段階はクリア。現在は、活火山である鳥島からかつて繁殖していた聟島列島への第三の繁殖地作りに取り組む。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『二人の王子とドラゴン』タンヤ・キンケル作、サンマーク出版  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:二人の王子とドラゴン  《6/2読了》『ファンタージエン 愚者の王』の作者の作品。トニオ王子とクラウディオ王子はロラロン王国の世継ぎ。どちらがより王にふさわしいか証明するために、ドラゴン退治に出かける。アリアント国、カモア国で争いに巻き込まれたりしながら協力してついに魔術のドラゴンの住むクロサワ連山へ。二人の王子が書き込まれていなくて主人公に共感できない。全体に書き割りのよう。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『空色のへびのひみつ 』ジェニー・ニモ作、徳間書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:空色のへびのひみつ  《5/24読了》今度は、美術の先生の弟オリーが学校で行方不明らしい。チャーリーの大おばさんたちの所に来た新入生ベルもなんだか怪しい。見かけよりもずっと年取っているような感じで、目の色がくるくる変わる。学園長が呼び出した「空色の蛇」が締め付けた者は、死なないが透明になってしまう。オリーはその実験台にされていた…。<チャーリー・ボーンの冒険 3>
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『イサナと不知火のきみ』たつみや章作、講談社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:イサナと不知火のきみ  《5/22読了》新しいシリーズ。海の一族わたつみの民の娘・イサナは、強い霊力の持ち主。長の娘なのに姫君らしくなく、いつか女船長として海に出たいという夢を持つ。ある日、船にするための大木の声を聞き、その松の木の所まで行ってみると、木には龍が宿っていた…。不知火のきみとは、わたつみの一族が崇める龍神のこと。松の木の龍は幼い男児の姿になるが、口調が現代っ子。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『キッカーズ! 1 モーリッツの大活躍』フラウケ・ナールガング作、小学館  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:キッカーズ! 1  《5/20読了》前に読んだ、やはりドイツを舞台にした『サッカーキッズ物語』よりだいぶ面白い。両親の離婚でハンブルグの近くの町からママの生まれた町へひっこしてきたモーリッツ。パパがコーチの少年サッカー・チームでは、年少チームからプレーしてきてエースだったのに、もう続けられない。両親が仲直りしてくれれば前のチームに戻れる。ここの地元のブルーイエローSCに入ったら、戻れない。でも、サッカーのない生活なんて考えられない…。ドイツでは、少年サッカーでも、シーズン中にチームを変われないとは!!
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『町かどのジム』エリノア・ファージョン作、岩波 bk1『町かどのジム』書評あり  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:町かどのジム  《5/20読了》いつも町かどにいる老船乗りジムがデリーに語って聞かせるオムニバス短編集。ホラ話系が多いが、けっこう楽しめる。頭どころか全身をなでてもらいたがるウミヘビや、濃霧の上の島や、ジムを「お嫁さん」扱いしたペンギンが傑作。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ジュリエッタ荘の幽霊』ベアトリーチェ・ソリナス・ドンギ作、小峰書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ジュリエッタ荘の幽霊  《5/19読了》イタリアの田舎で疎開生活を送るリゼッタの回想の形。イタリアにはまだファシストがいるが、ドイツでは別の政権ができて、リゼッタの父はドイツの捕虜になっている。リゼッタが夏の間、勉強に行くことになったジュリエッタ荘には、前に住んでいた家族の亡くなった娘の幽霊が出るという噂があった。実は、その家にかくまわれていたユダヤ人の少女レジーナだった。今の日本の子どもたちにこの本がリアリティがあるかといえば全然無いと思う。イタリアの子ども向けにこのような本が1992年に出たということがわかるが…。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『ウィルキンズの歯と呪いの魔法』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作、早川書房  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ウィルキンズの歯と呪いの魔法  《5/14読了》ジョーンズが初めて書いた児童向け作品。ジェスとフランクの姉弟は夏休み、おこづかいをとめられたので、「仕返し代行」有限会社を作り、小銭を稼ごうとした。ところが、魔女に片足を悪くされたという女の子や、いじめっ子から喧嘩相手の歯を取ってこいとか変な依頼ばかり。おまけに魔女は本物らしい…。『九年目の魔法』に少し似ているか。児童図書館研究会東京支部06.6Text
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 4/3産経14面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『ひとりぼっちのスーパーヒーロー』マーティン・リーヴィット作、鈴木出版  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ひとりぼっちのスーパーヒーロー  《5/9読了》ヘックは絵の才能がある中学一年生。家賃滞納で突然家を失った上に、ママが現実逃避して行方不明…。家もお金も無くて、虫歯も痛いのに、ママを探すのにやれることって、随分ある。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『さくら、ひかる。』小森香折作、BL出版  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:さくら、ひかる。  《5/8読了》心があらわれるような感覚を久しぶりに味わった。「桜巫女」の家系に生まれた中学二年の希世。でも伝統は途絶え、東西南北の桜の方陣は既に破られ、今、残った南北の桜にも開発の魔の手が伸びる。夢で「さくらまつり」の歌をうたうように桜の精に頼まれるが、桜の魂が初恋の安藤君だとわかると、希世はとてもできないと思う。現実の開発と常世の里の荒廃が、人の心のありようと関わっている構図はよくあるが、初恋とからめてあるのが爽やか。東京新聞の書評を信じて読んで良かった。児童図書館研究会東京支部06.7Text
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 4/4東京10面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『黒猫が海賊船に乗るまでの話』古市卓也作、理論社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:黒猫が海賊船に乗るまでの話  《5/7読了》読みにくかった。おじいさんがミドリさんに人形芝居を始めるまでをもう少し短くできないかな。入れ子の中に入れ子になっていて、本当の話が動いてない感じ。水夫見習いの泣き虫シルバー少年、泣く子もだまる海賊パイク、魔法使いにも仕立屋にもお后にもなる役者の人形が活躍する人形劇は面白いが、黒猫のトマが、心臓が悪いらしいおじいさんと、昔のことで喧嘩している娘のミドリさんと暮らしている現実世界の話が魅力的じゃない。子どもには勧めにくい。大人向けかな。表紙の絵がいいのにだまされた。児童図書館研究会東京支部06.5Text
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 3/20産経11面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5)
◆『水妖の森』廣島玲子作、岩崎書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:水妖の森  《5/4読了》上橋菜穂子の守人シリーズに近い印象。精霊にあたるのがこれから大人に変態するという水妖ナナイで、守り人チャグム王子にあたるのが、レンバーター(レンバルの卵を狩る者)一族の少年タキ。女用心棒のバルサにあたるのが、敵役だが黒い影ウラーの手下の一族の女シーマ。ウラーが突然変異で知能と長寿を得た化け物魚という点が弱い。2005年第四回ジュニア冒険小説大賞受賞作品。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『フェリックスと異界の伝説 3 禁断の呪文』エリザベス・ケイ作、あすなろ書房  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:フェリックスと異界の伝説 3  《4/27読了》三部作の完結編。だから、異界へ行かれなくなるかも、と思っていたらそうなった。一応、救いの手は残されている。異界の無意味な呪文が別の世界でパワーワードに変わる「ジンクス箱」のアイディアも面白い。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『トトの勇気』アンナ・ガヴァルダ作、鈴木出版  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:トトの勇気  《4/21読了》(たぶん)注意欠陥多動症とかいう集中できない子どもであるトトの一人称で綴られる。「学校がきらい」というが、学校も両親も彼の「障害(?)」を理解しているとは言えない。レオンおじいちゃんだけは理解してくれていたのだが、13歳になって2度目の退学になったとき、「きらいな学校に長くいようとしているなんて、あきらめているのか」「不幸になるのは幸福になるより簡単なんだ。簡単な道を選ぶ人間はきらいだ」と言われてしまう…。物を作ることが好きなトトが唯一、行きたいと思えた技術高等学校の校長先生に手紙を書くとおじいちゃんと約束する。「僕には35kg分の希望があります。」原題はここから。邦訳の標題は、おじいちゃんの病気が悪化したとき、何もできない代わりに苦手の体育でがんばった分の力と勇気を送ろうとするところから。児童図書館研究会東京支部06.5Text
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 3/6産経11面、3/25赤旗11面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『フェアリーレルム 5 魔法のかぎ』エミリー・ロッダ作、童心社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:フェアリー・レルム 5  《4/15読了》今度はジェシーの誕生パーティーの日、ピクシーの魔法の鍵で小さくなったところで風に飛ばされてしまう。隣家のいじわるなイレーナがあまりにも典型的な感じだが…。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『真夜中のまほう』フィリス・アークル作、BL出版  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:真夜中のまほう  《4/13読了》真夜中の十二時の鐘が鳴っている間なら、看板の動物たちも自由になれる。明け方までにもどればよいとは知らなかった。というわけで、マガモは何百年ぶりかで初めて飛んだり泳いだり楽しむ。そのうち看板仲間が増えて…。宿屋に隠されている宝の処理がちょっと「あれ?」だが、素直に楽しめる作品。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2/24朝日24面、3/27産経17面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『かはたれ 散在ガ池の河童猫』朽木祥作、福音館書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:かはたれ  《4/11読了》ちょっと子どもに薦められない。冒頭の、河童の八寸がいかに一人になったかの部分が長いし、人間の方の主人公である少女・麻の孤独のストーリーも複雑で、ふたつ分の話がある感じ。少女マンガっぽいイラストも話の堅さと合っていない。大人向け。児童図書館研究会東京支部06.4Text。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5)
◆『時をこえる七色の玉』ジェニー・ニモ作、徳間書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:時をこえる七色の玉  《4/3読了》<チャーリー・ボーンの冒険 2>。昔、赤の王が作った「時わたり」という時間をこえる魔法のガラス玉が発端。チャーリーの大叔父さんの伯父にあたるヘンリーが90年後のブルーア学園に。何でブルーア校長父子はあんなに冷酷なのだろう。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『チャーリー・ボーンは真夜中に』ジェニー・ニモ作、徳間書店  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:チャーリー・ボーンは真夜中に  《3/28読了》結構面白い。チャーリーは、ある日突然写真から声が聞こえるようになり、<恵まれしもの>であることがわかる。<恵まれしもの>とは、様々な才能を持ったいにしえの「赤の王」の子孫だが、邪悪な人間も多い。同居している父方の祖母はチャーリー母子につらくあたるが、才能が判明したのでブルーア学園に転入させる。チャーリーの死んだと思われていた父が「死んでいない」と言う同級生。昔さらわれた女の子をチャーリーが救い出すことになっていると言う3匹の猫を連れた男。児童図書館研究会東京支部06.4月テキスト。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 3/13産経13面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『空飛ぶベッドと魔法のほうき』メアリー・ノートン作、岩波少年文庫 bk1『空とぶベッドと魔法のほうき』書評あり <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:空とぶベッドと魔法のほうき  《3/25読了》ずっと読もうと思っていた本。魔法がかかったベッド・ノブを回すと、空間または時間旅行できる。思ったより少ししか魔法を使わない。エメリウスを助けた「内的物質起動術」は見事。プライスさんが17世紀に行っちゃうとは思い切った結末。第二次大戦が終わった年にこんな話が出たというのだから、イギリス人には恐れ入る。『魔法のベッド南の島へ』と『魔法のベッド過去の国へ』の合本。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『おっとっ島(とう)のせいちゃん、げんきですか』岩佐めぐみ作、偕成社  <児童文学>
 《3/19読了》オットセイのせいちゃんが主人公かと思うと、さにあらず。せいちゃんの手紙を運ぶ、見習い配達員のザラシーくんの独り立ちのお話なのだ。しかも、「はじめに」に、あなたを応援する人が「大丈夫」とはげましてくれる…などと書いてあり、感心しない。児童図書館研究会東京支部3月テキスト。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5)
◆『The Mainzai』あさのあつこ作、岩崎書店 bk1『The Mainzai』書評あり <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:The manzai  《3/19読了》中学二年の瀬田歩は、母の故郷に引っ越してきた。秋本というスポーツ万能の奴からなぜか漫才のコンビを組もうと熱烈に迫られる。文化祭でやる劇「ロミオとジュリエット」も漫才でやるという。校長と教頭の嫌らしさがよく書けている。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『No.6 #4』あさのあつこ作、講談社 <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:No.6 #4  《3/14読了》No.6のエリート高官があまりにも軟弱だ。市長とその傍らのマッド・サイエンティストが極悪人だが、こんな単純化でいいのか。思わせぶりの伏線だらけ。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ラモーナ、明日へ 』ビヴァリー・クリアリー作、学習研究社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ラモーナ、明日へ  《3/14読了》ラモーナは9歳。四年生で始まったスペリングが苦手。日本の漢字テストのようなものか。親友のデイジーと二人で変な手紙を使った新聞広告を出している会計事務所に手紙を書いたのは傑作。ラモーナが赤ちゃんの妹ロバータをあやすのに歌った「3匹の子猫」はマザー・グース。児童図書館研究会東京支部4月テキスト。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 3/13産経13面、5/13赤旗11面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『その歌声は天にあふれる』ジャミラ・ガヴィン作、徳間  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:その歌声は天にあふれる  《3/7読了》怪しげな行商人の少し足りない息子ミーシャクと地主の息子で音楽の才能あふれるアレキサンダー。子どもの命が軽視されていた18世紀のイギリスが舞台。声変わりした途端、聖歌隊学校をやめさせられたアレキサンダーは、父の意向に背いて、家を出てまで音楽家の道を進む。それほどの才能とは何だろうか。児童図書館研究会東京支部3月テキスト。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2/6産経13面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ソフィーのねがい』ディック・キング=スミス作、評論社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ソフィーのねがい  《3/4読了》予想通り、アルおばさんは牧場持ちで、18歳になってもソフィーが「女牧場マン」になりたければ相続できるようにしてあった。スコットランド(ハイランド=高地)へ行くには、ずっと「上り」だと言い張るソフィーがおかしい。アルおばさんが100歳まで生きないで82歳でなくなったのは悲しい。アルおばさんにはモデルがいて、ディック・キング=スミスの大叔母さんで94歳まで生きたそうだ。ソフィーの「一度決めたらやりぬく」性格の原語は「ditermined」。なかなか訳語が決まらなかったと訳者あとがきにあった。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2005.8/22産経13面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ぬまばあさんのうた』岡田淳作、理論社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ぬまばあさんのうた  《3/3読了》最初は、石の思いを聞こうとするスキッパー、夕日が反射した物を探しに行こうとするふたご、釣りに行こうと考えるボットさん…とバラバラのエピソードから、最後に収斂していく。遊び唄「ぬまばあさん」は、実在した?! 人間が地名を付けると土の精や水の精が生まれる、とか水の精の生まれ変わりなどのアイディアは面白い。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 1/27朝日35面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『黒ねこの王子カーボネル』バーバラ・スレイ作、岩波少年文庫  <児童文学>
 《3/1読了》ロージーは10歳の女の子。引退しようとする魔女から安くホウキと黒猫を買ったら、猫は猫族の王子で、魔女から「音無の呪文」で飼い主の奴隷になる運命に縛られているという…。この束縛を解いてやりたいと、必要な物を集める過程が楽しい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『顔をなくした少年』ルイス・サッカー作、新風舎  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:顔をなくした少年  《2/25読了》最初の2/3くらい、デーヴィッドがどんどん「顔をなくし」ていく部分が読んでいてつらい。初めのベイフィールドおばあさんにいたずらする場面は、『星の歌を聞きながら』に恐ろしく似ている。最終的には、デーヴィッドが追いつめられて開き直るところから、ぐんぐん面白くなるのだが。最後の2139年の場面は、要るのかな?
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 1/9産経11面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『時空ハンターYUKI 2』あさのあつこ作、ジャイブ  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:時空ハンターYUKI 2  《2/23読了》第二巻は、江戸時代のおゆきの話。どうして現代にやって来たのか、最後の最後でやっとつながる。これでふたりのユキの紹介が終わり、次から本格的にストーリーが動くらしい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『妖精のりんご<フェアリー・レルム 4>』エミリー・ロッダ作、童心社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:フェアリー・レルム 4  《2/17読了》元・妖精の女王だったジェシカおばあちゃんの胸騒ぎで、ジェシーは四たびフェアリー・レルムへ。ノームたちが妖精のりんごの木を管理していたのだが…。新しい話を聞かせるまで話さないモコグマというのがおかしい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ハリスおばさん、パリへ行く』ポール・ギャリコ作、ブッキング bk1『ハリスおばさんパリへ行く』書評あり <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ハリスおばさんパリへ行く  《2/12読了》原題の「ハリスおばさんに花を」は、読み終わると実によくわかる。ロンドンのそうじのおばさんがパリに出かけてディオールのドレスを買う、という「蛮勇」が心温まる物語になるのだから、ギャリコは人間性というものの本質をつかんでいる。講談社少年少女文庫、1973年刊の復刊。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『ソフィーのさくせん』ディック・キング=スミス作、評論社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ソフィーのさくせん  《2/11読了》ついにソフィーは「婚約」する!(こんなに打算的でいいの?) 乗馬スクール代が1時間8ポンドと聞いてソフィーは、アル大おばさんに高すぎるし1時間じゃ覚えられないからと断ろうとしたり、年末の学芸会で、「ハメルンの笛吹男」を説得力をもって演じたり。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『世界で一番の贈りもの 』マイケル・モーパーゴ作、評論社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:世界で一番の贈りもの  《2/10読了》古道具屋で買ったロールトップデスクの秘密の引き出しから見つけた手紙。第一次世界大戦の戦線からジム・マクファーソンが妻のコニーに宛てたもの。1914年12/26。そのクリスマスの朝、塹壕の向こうからドイツ兵の呼びかけがきっかけで、奇跡のような一日が始まった。ビールとソーセージを持ち寄り、文学の話をし、サッカーの試合をした。「戦争を終わらせる」正しい方法が本当にサッカーだといいのに。わかっていても結末に涙が出た。コニーは101歳で生きていたが、「ジムからの最後の手紙」と冒頭にあるのだから。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 12/14朝日23面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『ラモーナ、八歳になる』ベバリイ・クリアリー作、学習研究社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ラモーナ、八歳になる  《2/9読了》お弁当のゆで卵が生だったため、新しい三年生の担任の先生に「見せたがり屋のやっかいな子」と言われてしまう。タン肉を嫌がったため、ビーザスと二人で夕食を作るはめに。チキンのソテーとコーンブレッド、サラダとデザートという組み合わせは平均的な夕食なのか。その上、ラモーナは教室で吐いてしまう。お父さんは美術教師になる学校に通いつつ冷凍倉庫でパートタイム勤務。最後のホッパーバーガーでのしめくくり方はうまい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ラモーナとおかあさん』ベバリイ・クリアリー作、学習研究社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ラモーナとおかあさん  《2/8読了》「むずかしい年頃」になったビーザスがついにお母さんに反抗! ラモーナはフルタイム勤務で疲れているお母さんにクリスマス降誕劇の羊の衣裳を頼むが帽子しかできない。親は完璧であってほしいと望むが、「誰だって完璧じゃないが、そうなろうと努力している」と言われる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『デンデラノ』ひろのみずえ作、ジャイブ  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:デンデラノ  《2/8読了》主人公の中一の成田卓は、人生を正面からがんばるのは、とうにやめている。ところが、「鳴故信仰」の神の寄り代としてさらわれ、死なない体にされ、老人たちの生き甲斐となるように期待される。こうでもしないと現代の若者に人生に向き合わせられないか。児童図書館研究会東京支部06.2text。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 12/8東京夕刊7面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『ラモーナとおとうさん』ベバリイ・クリアリー作、学習研究社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ラモーナとおとうさん  《2/7読了》ラモーナのお父さんがリストラで失業、お母さんがフルタイムで働き、ビーザスは「むずかしい年頃」に。家の中のピリピリした空気にラモーナは幸せになれない。給料日のごちそうが、ホッパーバーガーのチーズハンバーガーというのは驚く。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『王への手紙』上・下 トンケ・ドラフト作、岩波少年文庫  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:王への手紙 上  《2/5読了》騎士になるための最後の夜をすごしている16歳のティウリは助けを求める声を聞いた。ダホナウト国からウナーヴェン王への手紙を死にゆく騎士エトヴィネムから預かり、秘密の使者となる。2004年、オランダの過去50年に「金の石筆賞」を得た作品の中からさらに第一位の「石筆賞の中の石筆賞」に選ばれただけある作品。作者が挿絵も描いている。ティウリとピアックのまっすぐな心持ちが清々しい。ああ、若者はこうあってほしい! と素直に思える。児図研東京支部 06.2text。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2005.12/23朝日35面、2006.2/27読売夕刊20面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★★
◆『エヴァ先生のふしぎな授業』シェシュティン・ガヴァンデル作、新評論  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:エヴァ先生のふしぎな授業  《2/2読了》教室付属準備室「グルップルム」は、エヴァ先生が五年A組のの担任になってから、ヨーロッパ旅行の出入り口に。案内人の男の子は、先生の息子!? 時空間を越えるヨーロッパへ行く理由は? 児図研東京支部 06.2text。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『お月さまをかじったねずみたち』安孫子ミチ作、新風舎  <児童文学>
 《1/19読了》三篇の短編集。標題作は詩のような形式。ねずみたちは嫌われ者だった。せっかく来たサーカスの出し物をみんなけなす。最後の月をビスケットに変える奇術は気に入り、みんな月に行ったきり帰ってこなかった、という風刺的な話。他の2編はリリコという足の短い胴長の犬が、足を素敵に見せるため靴を買いに行く「おしゃれな犬」。狼を動物たちが機転で追い払う「おおかみからきたねんがじょう」。どれも大して面白くない。児図研東京支部 06.2text。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) 
◆『ソフィーは乗馬がとくい』ディック・キング=スミス作、評論社  <児童文学>
オンライン書店ビーケーワン:ソフィーは乗馬がとくい  《1/12読了》走るのは得意じゃないのに、馬にはちゃんと姿勢良く乗れる。ソフィーの「決めたら最後までやりぬく」気質は誰の遺伝なんだろう?
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2005.5/16産経11面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆  

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絵本
◆『バスラの図書館員 イラクで本当にあった話』ジャネット・ウィンター作、晶文社  <絵本>
オンライン書店ビーケーワン:バスラの図書館員  《11/5読了》「本は黄金よりもずっと、アリアさんにとって価値あるものです。」バスラの町に戦火が及んだとき、役人も兵士も図書館を見捨て逃げた。「本をまもるために、図書館にのこったのは、アリアさんだけでした。」3万冊の本を運び出しだ9日後、図書館は燃え落ちる。「そのときがくるまで、図書館の本はまもられています。バスラの図書館員の手で。」全ての図書館員にこの絵本を読んでほしい。カラフルでシンプルなイラストがいい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 5/29産経10面、6/10赤旗11面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『あかちゃんが教室にきたよ』星川ひろ子作、岩崎書店  <絵本>
オンライン書店ビーケーワン:あかちゃんが教室にきたよ  《9/2読了》学校の教室に赤ちゃんが本当に来て生徒たちと交流する一年を写真とシンプルな文で綴る。子どもたちの写真も生き生きしているし、レイアウトも読みやすい。赤ちゃんも最後は随分大きくなる。赤ちゃんが来たのはこのクラスだけなのかな? 生徒たちは4-5年生くらいか。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『まじめなフレッドおじさん』ティム・イーガン作、ソニー・マガジンズ  <絵本>
オンライン書店ビーケーワン:まじめなフレッドおじさん  《9/2読了》笑わない(=まじめな)フレッドおじさん。農場の動物たちもまじめな顔。大人は、動物たちの奮闘にフフッと笑うが、この絵本の形に合う年齢の子にはちょっと難しい…。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2005.10/8赤旗11面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『からすたろう』やしまたろう作、偕成社 bk1『からすたろう』赤木かん子の書評あり <絵本>
オンライン書店ビーケーワン:からすたろう  《6/8読了》日本の特高から亡命した作者がアメリカで描いた作品。舞台は戦前の日本の田舎の村。五年生まで小学校になじめなかった男の子を、新しい若い教師が心の壁を破る。最後の学芸会で、チビと呼ばれていた少年は、様々なからすの鳴き声を鳴き真似で鳴き分けてみせた。卒業後みなが彼を「からすたろう」と呼ぶようになった。てっきり「からすたろう」と呼ばれていじめられていたのかと思っていたが、一種の尊称だった。一人の教師がどれだけの幸せを子どもに与えるか。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★

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ヤングアダルト
◆『図書館戦隊ビブリオンU』小松由加子作、集英社コバルト文庫  <ヤングアダルト>
 《12/6読了》二学期の始業式で司書教諭・照山紅葉の赴任挨拶中にネオ・バグフォードのビブリオクリプト号襲撃。教師と全校生徒の戦い。図書館から出たら消えてしまう貸出帯出禁止のビブリオン・パワーって一体…。後書きによると、帯に図問研ヤングアダルトサービス研究会の推薦文があったらしい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『ギフト 西のはての年代記』ル=グウィン作、河出書房新社  <ヤングアダルト>
オンライン書店ビーケーワン:ギフト  《9/5読了》主人公のオレックは、13際になってもカスプロ家のギフトの力が発現しない。一方で、一族のギフト「もどし」が破壊する力なのを嫌悪してもいた。結局意志でギフトを操れない「荒ぶるギフト」の持ち主として、盲目の生活を送ることに…。スコットランドの氏族を思わせる社会。表紙の絵は、左手で指し示すはずだが、右手が上がっている。裏焼きではないか?
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 7/8読売夕刊9面、8/16日経夕刊5面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『都会(まち)のトム&ソーヤ 2 乱!RUN!ラン!』はやみねかおる作、講談社  <ヤングアダルト>
オンライン書店ビーケーワン:都会(まち)のトム&ソーヤ 2  《8/19読了》何だか深夜のデパートを鬼ごっこしているような印象。栗井栄太の正体がわかってしまって、以後どうするのかな。創也が内人のサバイバル行動力を高く買っているのが妙におかしい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『レディー・ガンナーの大追跡』上・下 茅田砂胡作、角川スニーカー文庫  <ヤングアダルト>
 《7/15読了》キャサリンが学校で描いた、変身した<<蜥蜴>>のベラフォードの絵が、人種差別主義者の目に止まって密かに捕らえようという作戦が進む…。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『レディー・ガンナーの冒険』茅田砂胡作、角川スニーカー文庫  <ヤングアダルト>
 《7/9読了》14歳のお嬢様・キャサリン・ウィンスロウが変わり者のインシード(人間と異種人類の混血)の護衛を雇って荒野を横断する…。これが肝のすわったお嬢様で、いざとなると抜群の銃の腕前を発揮。タイトルは、ここから来ているらしいが、一言も「レディー・ガンナー」の語は出てこない。爽快なエンターテインメント。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『オペレーション・ソル』小池潤作、理論社  <ヤングアダルト>
 《6/24読了》近未来SF。中一の時夫が主人公かと思えば道案内役。堀教授が設計した飛行船「太陽号」は、スーパーヘリウムで浮かび、地磁気反転推進装置で進む。音波で核弾頭を分解し、軍隊に戦意喪失させるという秘密の作戦「オペレーション・ソル」を実行していた。最初の時夫が学校でいじめを受けるあたりは不要ではないか。真ん中の軍人たちの妄想も多すぎる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5)
◆『都会(まち)のトム&ソーヤ 1』はやみねかおる作、講談社 bk1『都会(まち)のトム&ソーヤ 1』「図書館の学校」書評あり  <ヤングアダルト>
オンライン書店ビーケーワン:都会(まち)のトム&ソーヤ 1  《6/4読了》すごく読みやすい。東京の中学生・内人は、クラスの優等生・創也の秘密につきあって、謎のゲームクリエーター探しに協力。創也は優秀なハッカーだが、内人はサバイバーの能力がある。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『ジョナさん』片川優子作、講談社  <ヤングアダルト>
オンライン書店ビーケーワン:ジョナさん  《4/25読了》現役高校生作家の作品。冒頭は、梨木香歩なみの読みやすさ。大きな出来事が起こるわけでもない高校二年生の日常を淡々と描いて読ませる。大学受験を控えた時期の、どうしていいかわからないのに焦りだけつのる日々、教師の無神経な「指導」など鮮やか。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2005.11/14産経11面、2005.12/5読売夕刊16面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『今度はマのつく最終兵器!』喬林知作、角川ビーンズ文庫  <ヤングアダルト>
 《1/25読了》前回は公衆トイレから、今回は銭湯から、魔界へ。有利の無意識下のパワーが水の力らしいのと関係あるか?! 。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『今日からマのつく自由業!』喬林知作、角川ビーンズ文庫  <ヤングアダルト>
 《1/24読了》ギャグのファンタジーってのもあるんですねー。普通の高校一年生・渋谷有利が、突然別世界の次期「魔王」として召還される。前魔王のフェロモン女王ことツェリ様の長男がグウェンダル、次男が有利のお迎えに来た剣豪のコンラート、三男がヴォルフラムなど、ドイツ系の命名。長男の恋人?がアニシナというのは、フィギュア・スケート・ネタで笑えた。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『錬金術』マーガレット・マーヒー作、岩波書店  <ヤングアダルト>
オンライン書店ビーケーワン:錬金術  《1/11読了》なんと、タイトルの「錬金術」は、図書館の分類番号として登場した(デューイ十進分類540.1だって!)。優等生の17歳のローランドが主人公で、面白いのかな、と心配していたら、さすがはマーヒー。児図研東京支部 06.1text
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 1/16読売夕刊12面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『オリーブの海』ケヴィン・ヘンクス作、白水社  <ヤングアダルト>
オンライン書店ビーケーワン:オリーブの海  《1/5読了》オリーブというのは、自己で亡くなったクラスメイトの名前。たいして親しくなかったのに、彼女の日記に「マーサ・ボイルと友達になりたい」とあったために、考えるようになる。夏休み、家族でいつも大好きなおばあちゃんの家に行く。12歳のマーサは、突然、隣家の兄妹の長男が素敵に見えることに気づくが…。「死」「愛」「裏切り」について考え始めたマーサが初々しい。児図研東京支部05.12→06.1text。2003年度ニューベリー賞オナー賞(次点)受賞作品。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2005.10/30朝日15面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆

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SF
◆『星界の紋章 3 異郷への帰還』森岡浩之作、ハヤカワ文庫JA  <SF>
 《2/28読了》驚いた…。アーヴってのは、結局、日本人の子孫(!!)らしい。地球の「弓状の島国」から移住した教条的な民族主義者の一派が、漢語を含む外来語などを排除して古語から現代科学を表す用語を作り直したりして言語を再構成した。その後、宇宙探査のため、遺伝子改造してアーヴの元となる人類を生み出した。彼らには文字が与えられなかったので、急速に言語が変化したそうな。母音脱落、単語短縮化、子音の遷移、鼻音の非鼻音化、格助詞との融合…。それにしても「アマテラス」がどうやって「アヴリアル」になるんだ?!
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『星界の紋章 2 ささやかな戦い』森岡浩之作、ハヤカワ文庫JA  <SF>
 《2/27読了》主人公のジント17歳は、アーヴの帝国にあっさり征服された「地上世界(ナヘーヌ)」惑星マーティンの、たまたま人民代表だった父の息子、というだけで7歳にして帝国貴族教育のため故郷を離れ、今また上級学校へと専門教育の仕上げに向かう船で、まだ若いアーヴ女性の見習い士官と出会う。これが帝国皇族8王家の王女とは知る由もなく。まあ、この掛合漫才みたいな二人と、反物質融合推進などの未来科学がほどよく混ざったあたりが人気の秘密か。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『星界の紋章 1 帝国の王女』森岡浩之作、ハヤカワ文庫JA  <SF>
 《2/24読了》かなりのハードSF。時空間を越える宇宙平面航法について詳しく書かれても…。(?_?)専門用語もルビありすぎ。トールキンのエルフ語じゃないんだから。確かに、「アーヴ」という新人類はSFらしく価値基準が異なる点が興味深い。身体的にも、15-6歳まで普通に成長し、その後は20年くらいかけて普通の人類の10年分くらい加齢し、その後外見は不老とか、髪が青いとか、家系ごとに耳が尖っているなどの特徴がある、とか遺伝子改造で生きた妖精の種族を創り出した感じ。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★

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ファンタジー
◆『ザ・ロープメイカー 伝説を継ぐ者』ピーター・ディッキンソン作、ポプラ社  <ファンタジー>
オンライン書店ビーケーワン:ザ・ロープメイカー  《12/25読了》久々に重厚な良質のファンタジーを読んだ、という実感。北の騎馬民族と南の帝国の狭間にある「谷」の人々が、魔法で侵略を阻んでいたが、二十世代たつと効力が消える。北の山を守る男系の家族と南の森を守る女系の家族。主人公ティルヤは森を守る家族の長女だが、ヒマラヤスギの声が聞こえない。二十世代もたつと魔法など誰も信じなくなっている、という設定、魔法というものの世界の中での存在のあり方など独特。ディキンソンの前のマーリンの話は面白くなかったが、これは絶品。最後はちょっと泣ける。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 7/30朝日24面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『獣の奏者 2 王獣編』上橋菜穂子作、講談社  <ファンタジー>
オンライン書店ビーケーワン:獣の奏者 2  《12/12読了》「王獣規範」はなぜ、飼育者に王獣がなつかないようにしむけているのか。なぜ、飼育されると飛べなくなったり、繁殖不能になるのか。皇帝が女なのもびっくり。王国の秘密を伝えていくことの難しさ。建国の理由を解きほぐしていく言い伝え。いかにもこうやって国は滅びていくのだと納得させられてしまう。2冊の本を並べると、飛ぶ王獣のシルエットが浮かび上がる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『獣の奏者 1 闘蛇編』上橋菜穂子作、講談社  <ファンタジー>
オンライン書店ビーケーワン:獣の奏者 1  《12/8読了》闘蛇(とうだ)という戦闘用の特別な水蛇を、特殊な水を与えて飼育するのが役目の「闘蛇衆」の一族。母を救おうとしたエリンを救うために、「大罪」を犯して死んだ母。傷心のエリンは、蜂飼いに拾われ、やがて野生の王獣に出会う。後に、王獣の医術師養成の学校へ行くと、そこでも特別な水と硬直笛で、王獣を調教しているのだった。エサを食べない幼い王獣リランを救いたい一心で、竪琴で馴らしてしまったエリン。守り人シリーズと異なる新たな世界。やはり骨太に展開する。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『レディ・ガンナーと宝石泥棒』茅田砂胡作、角川スニーカー文庫  <ファンタジー>
 《11/23読了》今回キャサリンは隣国ロームのミュリエルから、国王即位十周年式典に招かれた。ところがミュリエルの友人の家の使用人として、例の護衛4人組が…。実は、国王から皇太后へのプレゼントの宝冠が、宝石商である友人の父の手になるもので、その護衛らしい。最後の追跡劇で、「鰐の人」ミュリエルの本領発揮の所がおかしい。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『豹頭王の挑戦』<グイン・サーガ伝109> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA  <ファンタジー>
 《11/8読了》本人に化ける、というのはグッド・アイディア。この興業道中にするなら、この二〜三巻悩んできた変装の問題はもっと短くて済んだのでは。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『パロへの長い道』<グイン・サーガ伝108> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA  <ファンタジー>
 《11/8読了》コングラス城という、時の流れが普通と違う場所へ。この内容だと本来なら外伝か。思わせぶりな外宇宙から飛来した長命種族のコングラス伯爵は、以前の作品へのオマージュとか。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『失われし一族』上・下 マーセデス・ラッキー作、創元推理文庫  <ファンタジー>
 《9/21読了》<ヴァルデマールの風 第2部>。ヴァルデマールの王女で「使者」でもあるエルスペスは、魔法の師匠を求めて<鷹の兄弟>ク=シェイイナ族の下へ。病んだ要石に対処するため、ク=トレヴァ族の<達人>の魔術師・炎の歌が来る。美貌と魔力は関係あるらしい。長く魔法を使っているほど髪が白くなる。魔法の技が具体的に描かれていて興味深い。彼らを狙う悪い魔法使い・隼殺しの過去も明らかに。何と鷲獅子(グリフォン)たちが古い失われていた誓いの一族だというのだ。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『流れゆく雲』<グイン・サーガ伝107> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA  <ファンタジー>
 《8/26読了》意識が変わったイシュトヴァーンに喜ぶカメロン、回復してきたレムスに再会して心強くなる女王リンダ…。そんな簡単にレムスを受け入れていいの?! と言っても仕方ないんだろうなあ。今回の予言で、だいたい先は読めた。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『ボルボロスの追跡』<グイン・サーガ伝105> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA  <ファンタジー>
 《6/6読了》とうとう、イシュトヴァーンの落としだね・スーティの存在がゴーラの密偵に知られてしまった。風の騎士がアストリアスだったのも、取引してしまったのも、まあ意外ではあったが、記憶を失なったグインが、こうもスーティを愛しく思うのが結構意外。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『バビロンまでは何マイル』下 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作、東京創元社  <ファンタジー>
オンライン書店ビーケーワン:バビロンまでは何マイル 下  《5/29読了》「バビロン」の儀式は、ニックの母親に「分割」されたマリーを生き返らせる最後の手段。童謡の中に「知識」をひそませるという設定で、マザー・グースの唄は呪いの唄の一番にあたる。『花の魔法、白のドラゴン』の前日譚だが、児童文学ではない。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『バビロンまでは何マイル』上 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作、東京創元社  <ファンタジー>
オンライン書店ビーケーワン:バビロンまでは何マイル 上  《5/26読了》『花の魔法、白のドラゴン』の前日譚。地球のマジド・ルパート・ヴェナブルズとニックの年上の従姉妹マリーの視点から交互に報告される。ルパートは地球のマジドの欠員補充のため、候補の一人マリーに会いに行く。一方、管轄世界のコリフォニック帝国では、皇帝が暗殺され、将軍に後継者探しの助力を求められる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『夜明けをつげる森の調べ』下 <シャーリアの魔女 3> ダイアナ・マーセラス作、ハヤカワ文庫FT  <ファンタジー>
 《5/3読了》ここで終わるか?! 急に超自然的存在の<四大>が、とらえられたブライアリーを救出したりしていいのか。期待させた「星の井戸」に4人の魔女が集まったら、何が起きるのか読ませてくれー。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ファンタージエン 愚者の王』ターニャ・キンケル作、ソフトバンククリエイティブ  <ファンタジー>
オンライン書店ビーケーワン:ファンタージエン  《4/22読了》エンデの『はてしない物語』の趣旨を汲むシリーズ第2弾。じゅうたん織り女の娘で、世界を冒険したいレスが主人公。主人公がファンタージエン世界の住人なので、病んでいる世界を救うことはできない。虚無をとどめるため、古い織物に過去の救世主「愚者の王」の手がかりを見つけて旅だつが、途中で出会った男は記憶を喪失していた。結末はバスチアンの登場とつながる。そこそこ面白いが、鮮烈な印象とか細部の遊びとか足りない感じ。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『夜明けをつげる森の調べ』上 <シャーリアの魔女 3> ダイアナ・マーセラス作、ハヤカワ文庫FT  <ファンタジー>
 《4/19読了》やっと主人公の海の魔女・ブライアリーが、森の魔女・アシュドゥラと出会ったのに、たいして事態は進展しない。ブライアリーの故郷・ヤーヴァンネットの領主メルファラン伯爵と奥方は愛し合っているのに、行き違ってばかり。ろくでなしの息子のせいで前伯爵毒殺犯の疑いを受けているサドン子爵は、実は善人だった?! 伯爵の嗣子誕生祝賀に間に合わず、会う前に意気阻喪してしまう。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『ふりむかない男』<グイン・サーガ外伝> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA  <ファンタジー>
 《4/1読了》「カラム水」という嗜好飲料にもいろいろ種類があり、「秘伝」もあるらしい。よくこれだけの素材で一冊の本になるなあ…。カラムの実ってどんなイメージかな。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『風の騎士』<グイン・サーガ伝105> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA  <ファンタジー>
 《2/7読了》"打倒イシュトヴァーン"の仮面の「風の騎士」は何とアストリアスだった。マリウスとローラ(フロリー)を助けた謎の白騎士はリギアだった。そう来るか、という展開。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『湖畔のマリニア』<グイン・サーガ伝104> 栗本薫作、ハヤカワ文庫JA  <ファンタジー>
 《1/17読了》マリウスとグインの道中は、昔の外伝みたい。湖のほとりのミロク教徒の村に現われた、反ゴーラ勢力「光団」がキナ臭い。こんな所にイシュトヴァーンの落とし胤とは。フロリーってミロク教徒だっけか?
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  
◆『鳥姫伝』バリー・ヒューバート作、ハヤカワ文庫FT bk1『鳥姫伝』書評あり   <ファンタジー>
オンライン書店ビーケーワン:鳥姫伝  《1/14読了》ファンタジーというよりも、気宇壮大なホラ話という感じ。真珠と翡翠が好きな、皇帝の納税監督官の妻の正体が…。頭脳の李高師と体力の十牛かと思ったら、十牛は確かに頭の回転はよくないが、神業的な剣技は修めているんですねー。
 評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★  

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ミステリー
◆『グリーン・ティーは裏切らない』ローラ・チャイルズ作、ランダムハウス講談社文庫  <ミステリー>
 《12/14読了》「お茶と探偵」第2弾。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『汚れた翼』上・下 ジャン・バーク作、講談社文庫  <ミステリー>
 《12/2読了》新聞記者アイリーン・ケリーの夫・フランク・ハリマンを主人公にしたシリーズ8作目にして番外編。ハリマンがラス・ピエルナス署に来る前に、優秀な刑事が起こしたとされる、殺人事件の生き残りの少年殺害と失踪事件。ハリマンは、真犯人は今でも署内にいる誰かではないかと思い始める。証拠保管システムが鍵。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『グルメ探偵、特別料理を盗む』ピーター・キング作、ハヤカワミステリ文庫  <ミステリー>
 《11/22読了》グルメ探偵とは本来、入手困難な食材の代替物の提案や別の産地を見つけたり、料理の隠し味に使われるスパイスを探り出したりするのが本業の主人公。フランス料理店のオーナー・シェフに、ライバル店の特別料理の材料と調理法の特定を依頼される。イギリスが舞台の美食ミステリーなんて、どうなのかと思ったけど、なかなか。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『白い眠り』レイア・ルース・ロビンソン作、新潮文庫  <ミステリー>
 《10/25読了》『研修医エヴリンと夏の殺人鬼』(創元推理文庫)の前編。この本では、「イヴリン」・サトクリフ、救急室の常勤外科医で「レジデント(研修医)」という訳語ではない。恋人のフィルはイギリスのベスとイフヴリンをまだ掛け持ちしている。事件は、イヴの指導医シェリーが自殺したとされる死。全身性エリテマトーデスとアスピリン、妊娠中絶が絡んでいて、たいそう医学的ミステリーになっている。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『死んでもいきたいアルプス旅行』マディ・ハンター作、扶桑社ミステリー  <ミステリー>
 《10/18読了》エミリー・アンドルー・シリーズ第一作。ドタバタ・トラベル・ミステリー。おばあちゃんの付き添いでゴールデン・スイス・トライアングルツアーに参加したけど、ありとあらゆる災難が。希望の部屋じゃないし、時計は壊れるし、スーツケースはなくなるし。でも死んだ添乗員の代わりを素人ができるとはびっくり。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『鏡のラビリンス』ジェイン・アン・クレンツ作、二見文庫  <ミステリー>
 《9/6読了》主人公のレオノーラ・ハットンは図書館司書。ミラーハウスと呼ばれるユーバンクス大学の同窓会館の図書室に赴任してきたのは、大学の基金を詐欺で横領した妹の死を調べるため。同じ大学の数学の教授が事故死したのを殺人だと信じている夫とその兄と協力することになる。クレンツにしては手が込んでいる割に地味かな。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
●『魔術師の夜』下 キャロル・オコンネル作、創元推理文庫 <ミステリー>
 《8/13読了》マラカイの妻がドイツ軍から追われていた当時、マジックの舞台上で彼女に矢を打ち込み「殺した」のは、軍服を着たマラカイ自身だった。チャールズとの共同事務所から退去したマロリーは今後どうするのか。果して反社会的人格として突き進むのか「人間」になるのか?!
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『魔術師の夜』上 キャロル・オコンネル作、創元推理文庫  <ミステリー>
 《8/1読了》人を操作するのがマロリーの特技なのに、奇術師・マラカイは強力な対抗馬となった。死んだ妻を絶えず演出しているのはなぜ? チャールズの亡き従兄弟マックスの遺した「失われたイリュージョン」とは?
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『闇を見つめて』ジル・チャーチル作、創元推理文庫  <ミステリー>
 《7/20読了》<グレイス&フェイバー>シリーズ第3作。第一次大戦の兵士に支給するボーナスを1945年まで支払わないとしたフーヴァー大統領。折からの金融大恐慌でそれに不服の老兵士たちがワシントンに「ボーナス行進」して異義を唱えたなんて、全然知らなかった。さて、リリーとロバートの兄妹は、ついに村の人たちに自分たちは金持ちじゃないことを打ち明ける。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
●『シュガークッキーが凍えている』ジョアン・フルーク作、ヴィレッジブックス  <ミステリー>
 《7/13読了》レイク・エデンの町の人たちのレシピ集刊行記念クリスマス・パーティーで死人発生。そういうわけで今回、途中のレシピはお料理中心。巻末にも100ページ近く『レイク・エデンのとっておきの料理集』を収録。ハンナと二人のBF、ノーマンとマイクの仲は進展せず。今回、吹雪で足止めされた会場で、マイクはすっかり警官してるし、最後のアンドリアの赤ちゃんの場面で亡き前妻をまだ忘れられないことがわかる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『逃れの町』フェイ・ケラーマン作、創元推理文庫  <ミステリー>
 《7/5読了》ダイヤモンド・ディーラーの一家行方不明事件。新しい町にマージと異動したデッカーは、両親の死体を見つけ、息子たちの行方を追ってついにイスラエルへ。イスラエルの主要産業がダイヤモンドというのは知らなかった。今でもユダヤ人は皆イスラエルをサンクチュアリと思っているのか(原書は1994年刊)。リナの友人ハニーが属するハシード派はより厳格だが、ハニーの夫がなってしまった「ナジル人」というのはマトモじゃない。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『猫は七面鳥とおしゃべりする』リリアン・J. ブラウン作、ハヤカワ・ミステリ文庫  <ミステリー>
 《6/20読了》クィラランの恋人(?)ポリーが図書館長をいよいよ退職し、新築される書店の経営に乗り出すのが秒読みに。クィララン自身は、ここ何作かの中で取材し続けてきた『ちょっとした小話』をいよいよ出版。本のボリュームが今までよりぐっと薄くなり、作者の高齢化がしのばれる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『女子大生会計士の事件簿 DX.1 ベンチャーの王子様』山田真哉作、角川文庫  <ミステリー>
 《6/15/読了》著者が角川文庫から文芸書として文庫化したいと言われたとき「無理だ」と思ったのは「ビジネス小説」として本書を書いたから。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『文学刑事サーズデイ・ネクスト 1 ジェイン・エアを探せ!』ジャスパー・フォード作、ヴィレッジブックス bk1単行本の書評あり  <ミステリー>
 《6/13読了》変な話だが面白かった。主人公のサーズデイ・ネクストは、女性で、36歳の文学刑事。初めは一話完結のオムニバスかと思ったが、特異体質の悪人ヘイディーズが出てきてから、面白くなる。『ジェイン・エア』の結末がロチェスターとの結婚ではないイングランド世界。ウエールズは独立国家で、クリミア戦争は終わっていなくて、コンピューターはないが、クローン・ドードーが流行のペット。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『幽霊探偵からのメッセージ』アリス・キンバリー作、ランダムハウス講談社文庫  <ミステリー>
 《5/30読了》大都会の書店で働いていたペネロピーは、夫が投身自殺する現場を目撃。息子と故郷に帰って伯母が閉店するという書店をミステリ専門店「バイ・ザ・ブック」として再生しようとする。ところがその店には、昔そこで死んだ探偵の幽霊が住んでいた…。幽霊探偵はペネロピーに話しかけるし、よりによってその探偵を主人公のモデルにしたハードボイルド作品のベストセラー作家が講演の途中で変死。容疑をかけられ、やむなく幽霊の助言を受け入れる所がおかしい。シリーズ第一作。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
●『研修医エヴリンと夏の殺人鬼』レイア・ルース・ロビンソン作、創元推理文庫 bk1書評あり <ミステリー>
 《5/17読了》アメリカってどうしてこう極端なんだろう。中絶は殺人だと反対するのはわかるけど、中絶をする婦人科医を殺すのは殺人じゃないのか。外科や内科と別に、救急科(ER)があって、そこに勤務する医師、看護師、パラメディックたちの仕事ぶりがわかる。何と1992年に新潮文庫から翻訳された『白い眠り』の続編だとか。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『女弁護士ニナ・ライリー 敵対証人』ペリー・オショーネシー作、小学館文庫  <ミステリー>
 《4/12読了》今回は16歳のニッキという少女が伯父を殺した疑いで起訴されるのを防ごうとする。ニナは、偏執狂の前の依頼人に夫を殺されてから五ヶ月。今だに男の影におびえている。相棒の探偵ポールは、ワシントンで仕事をしているうちに、探偵事務所を任せていた男に乗っ取られそう。ニッキはニナに心を開かないし、ポールはニナを忘れられないため関わりを持つまいとする。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
●『安楽椅子探偵アーチー』松尾由美作、創元推理文庫 bk1書評あり bk1単行本の書評もあり  <ミステリー>
 《3/24読了》探偵が安楽椅子だから「安楽椅子探偵」。安楽椅子はアームチェアだから「アーチー」。しかも椅子の所有者は、小学五年生の及川衛(まもる)。何でまた小学生が安楽椅子なんか買ったのか、どうして安楽椅子が意識を持って口をきくようになったのか。まあ、子どもが主人公なので、死体や血生臭い事件は起きず、日常の中の謎解きで楽しめる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『春を待つ谷間で』S. J. ローザン作、創元推理文庫  <ミステリー>
 《3/20読了》華僑のリディア・チンとアイルランド系のビル・スミスのコンビ探偵の交互に語り手が変わるシリーズ第6弾。今回は、スミスの郊外の山荘が舞台。スミスが主人公になると、すぐハードボイルドになってしまう。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『やっとかめ探偵団と鬼の栖(すみか)』清水義範作、光文社文庫 bk1単行本(実業之日本社)の書評あり  <ミステリー>
 《2/22読了》標題作と「やっとかめ探偵団と唐人お吉」の二編収録。標題作は、我が子虐待の話。「お吉」はヤクザとの過去がある女の話。「やっとかめ探偵団」の婆ちゃんたちは、相変わらず元気だけど、話の中の犯罪は、だんだん深刻化している感じ。まあ、筋と関係ない、愛知県内観光案内にもずいぶん力が入っている。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『骨の島』アーロン・エルキンズ作、ハヤカワ・ミステリ文庫  <ミステリー>
オンライン書店ビーケーワン:骨の島  《1/29読了》今度の舞台は、イタリア。友人のフィルが実はイタリア旧貴族の大富豪の一族だった。そこの御曹司の誘拐と、先代パトローネの白骨死体=殺人事件は関係があるのか。ギデオンは、自転車ツアーのジュリーと別行動で暇を持て余し、つい鑑定に。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★

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その他の小説
◆『さよなら、星のむこうへ』シルヴィア・ウォー作、ランダムハウス講談社文庫 <その他の小説>
 《12/28読了》貴種流離譚の一種か。宇宙人の一族が、将来宇宙飛行能力を持ちそうな星の人類の情報を得るために、人間の親子をよそおって暮らしている。でも、息子トーマスの方は、地球の暮らししか覚えていない。「地球が故郷」の意識しかないのに、突然の帰還命令。心の準備ができないまま、帰る日が近づく。ある日、父親が交通事故で行方不明に。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『七番目のユニコーン』ケリー・ジョーンズ作、文春文庫  <その他の小説>
 《12/21読了》パリの国立中世美術館に実在する6枚のタペストリー「一角獣と貴婦人」シリーズには、行方不明の7枚目があるのだろうか。学芸員のアレックスは閉鎖間近のブランディーヌ修道院へ中世の書物やタペストリーを探しに来た。院長の死、修道院の改築、所蔵品のオークション、学生時代の友人ジェイク。プロローグで、15世紀の修道院で出産しようとしているアデールが出てくる理由は徐々に明らかになる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『図書館戦争』有川浩作、メディアワークス  <その他の小説>
 《11/3読了》近未来小説。メディア良化法による超法規的過激な検閲=図書狩りに対抗するため、「図書館の自由に関する宣言」を法律化し、図書館は全国ブロック単位で、防衛隊を持っている。普通の図書館員と、防衛任務の両方をこなす特殊防衛隊に抜擢された新人の笠原郁一等図書士が主人公。ただし、完全な体育会系で直情径行。なかなか体育会系の主人公に共感できないが、図書館用語で遊んだ一風変わった青春エンターテインメントとしては面白い。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『甘く危険な島』ジェイン・A.クレンツ作、MIRA文庫  <その他の小説>
 《10/31読了》やっぱりMIRA文庫の方のクレンツ作品は、昔のものの訳し直しなのでそれほど面白くない。姉の亡き夫の形見の仮面と引替えに、甥のために情報を得るため、エイミーは姉の代わりにリゾートのセントクレア島にやって来た。巻頭に「読者の皆様へ」として、クレンツ本人が昔の「男女間の葛藤を描いたクラシックなロマンス」作品だと言っている。それにしてもアメリカの男は、本当に「ビスケットに昔ながらのチキン・ポットパイ」なんかで陥落するのだろうか?
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5)
●『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』ジェイムズ・ティプトリー・Jr.作、ハヤカワ文庫SF bk1書評あり <その他の小説>
 《5/19読了》カリブ海に面したユカタン半島のキンタナ・ローを舞台にした短編3つを収録。主人公は年老いた物書きで、立ち寄る人々から不思議な物語を聞き出す形。若い頃水上スキーでコスメル島から本土への横断を試みて行方不明になった友人が古代マヤ族の石像になっている話など。ファンタジーというには、少し質の異なる作品群。現在(1990年代)でも、マヤ族はメキシコ政府と断続的に戦っているそうだ!
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『カーニバルの少女』ドロシー・ギルマン作、集英社文庫  <その他の小説>
 《3/26読了》カプリは15歳で、(母と共同だが)カーニバルのオーナーになった。ひと時代前のアメリカで、大衆芸能のうち、サーカスは芸術で、ボードビリアンがその次、カーニーは最下層と序列があるとは全く知らなかった。こういう非日常の世界なのに、人間がよく書けていて、カプリと一緒に一喜一憂できる。「カーニバルには、どこか薄暗いところがなきゃだめ」なんだそうだ。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『ミス・ジュリア 真夏の出来事』アン・B. ロス作、集英社文庫  <その他の小説>
 《3/23読了》68歳の未亡人が主人公。夫に従って品行方正に暮らしてきたのに、隠し子が現われた。教会って、建設資金確保のためには、人を法的無能者に認定させることもいとわない、悪どい組織としてよく描かれるけど、実際にガメツイんだろうなあ。シリーズ第一作。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『プレイボーイをやっつけろ! 』ジェニファー・クルージー作、二見文庫  <その他の小説>
 《3/10読了》へんぴな田舎町にホームビデオ映画を撮りに来た姉妹。依頼主の女優の故郷だが、成り行きでポルノまがいの作品になりそう。姉の方は、弟妹を母親代わりに育て、未だに妹の面倒を見続けている。プレイボーイにだまされた過去があるのに、ハンサムな町長に言い寄られて…。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『デジレー王女の甘美な憂愁』ステラ・キャメロン作、MIRA文庫  <その他の小説>
 《2/20読了》メイフェア・スクエア・シリーズ最終巻。レディー・ヘスターがなんか急に元気になった感じ。自分も再婚する相手を見つけたからかな。画家のアダムは、結局裕福な家の出身だとわかるし。まあみんな幸せになってメデタシ、メデタシ。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★

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小説以外
◆『心に緑の種をまく』渡辺茂男作、新潮社  <その他>
オンライン書店ビーケーワン:心に緑の種をまく  《10/31読了》渡辺茂男が今は亡き奥様と二人で、マックロスキーの『すばらしいとき』に描かれた場所に行った回想まで読んだら、涙が出てきた。<後日記>2006年11月18日渡辺茂男永眠。11/22各紙夕刊に訃報。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『世界の作家32人によるワールドカップ教室』マット・ウェイランド、ショーン・ウィルシー編、白水社  <その他>
オンライン書店ビーケーワン:世界の作家32人によるワールドカップ教室  《8/25読了》全部は読み切れなかった。A組、B組、C組、F組は読んだが、作家によってはその国のサッカーに殆ど触れない人もいて、つまんないのも。イングランドのニック・ホーンビィはさすがに面白かった。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『たのしく読める日本児童文学 戦前編 戦後編』鳥越信編著、ミネルヴァ書房  <その他>
オンライン書店ビーケーワン:たのしく読める日本児童文学 戦前編  《8/31読了》『戦前編』はまあ、教養でしょうか。それにしても、『怪人二十面相』が戦前の作品で、綿々と生き抜いていることがすごい。『戦後編』は、1970年代になっても戦争を扱った作品がいつまでもあるのが驚き。「読書を楽しむ」「本に親しむ」というより、作品から何かを得てほしい、という日本児童文学界の想いがヒシヒシ…。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『虫屋のみる夢』田川研著、偕成社  <その他>
 《8/18読了》児童文学の書評に出ていたが、子どもの本ではない。本職は英語の教師らしいが、実はそれは単なる生活手段らしい。虫の中でも日本に棲むチョウとガすべてを愛している「ケンさん」は著者らしい。幼虫にまで惚れ込んでいる種類には、何の描写かと思うほどの美辞麗句が連なる。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 2/27産経15面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『1974フットボールオデッセイ』西部謙司作、双葉社  <その他>
 《7/25読了》1974年ワールドカップ・西ドイツ大会の決勝オランダ対西ドイツに至るまでを、クライフ、フォクツ、ベッケンバウアーなどを中心に描く。クライフをマークした西ドイツのベルティ・フォクツって、こーんな性格だったのか…と、後書きを読むまで完全にノンフィクションだと思ってました。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『図書館への道 ビルマ難民キャンプでの1095日』渡辺有理子著、鈴木出版  <その他>
オンライン書店ビーケーワン:図書館への道  《7/23読了》2000年9月から3年間、タイとビルマの国境地帯の難民キャンプで、シャンティ国際ボランティア会(SVA)の図書館設置活動に関わった記録。ビルマ族の軍事政権下から逃れてきた、少数民族カレン族の人々は教育熱心。最初のメコンカ難民キャンプには一万三千人暮らす。小学校10、中学校3、高校2はあったが、図書館はなかった。図書館の設計から始めた。バリアフリーにしたくても、気候から高床式に。キャンプのリーダーから、図書館委員会を立ち上げてもらう。SVAの事務局にもカレン系タイ人の図書館事業スタッフが採用され、資料の準備や通訳。特に児童書はカレン語の本が少ないので、手作り翻訳を切り貼り。現地図書館員の養成。皆、読み聞かせは恥ずかしがるのに、語りは得意というのが面白い。図書館員としての初心に還る本。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『絵本は赤ちゃんから』佐々木宏子著、新曜社  <その他>
 《7/7読了》取り上げられている赤ちゃん絵本を書き出してみたら、福音館書店のオンパレードだった。『ありのあちち』『がたんごとんがたんごとん』『おててがでたよ』『たんたんぼうや』『あなたのいえわたしのいえ』『いやだいやだ』『だるまちゃんとてんぐちゃん』…。その他としては、『もこもこもこ』文研出版、『ちへいせんのみえるところ』ビリケン出版、『しろくまちゃんのほっとけーき』こぐま社、『はらぺこあおむし』偕成社、『いないいないばあ』童心社、『はじめてのおるすばん』岩崎、『まりーちゃんとひつじ』岩波など。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『虹を掴む』川淵三郎著、講談社  <その他>
オンライン書店ビーケーワン:虹を掴む  《7/2読了》「プロ野球や大相撲やプロゴルフがプロスポーツの先輩として幅を利かすこの日本で、サッカー人気を盛り上げることが可能なのか。『できるはずだ』…なぜ、サッカーは世界で人気があるのか。それは人間である以上はサッカーを好きにならずにいられないからである。」広島は「広島パープル」、ガンバは「大阪ジョーズ」になるところだった。「卑しくもサッカーのプロ選手ならば、それも代表選手ならば、監督から『好きにやってみろ』と言われたら、泣いて喜ぶのが筋だ。」ワールドカップ出場を決めた時のジェフ千葉の淀川社長の祝福が「『…ここで二つ負けて帰ってきたら、もう川淵さんのことだから、絶対に(イヒ゛チャ・)オシムを代表にくれと言うに違いないと思ってましたもん』古川の後輩のこの答えには本当に笑った。つい私も気が緩んで、『おまえ、ようわかっとるじゃないか』二人で大笑いになった。」…Jリーグ初代チェアマンの語録・秘話炸裂!
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『ストーリーテリングと図書館』竹内 「[さとる]編訳、日本図書館協会  <その他>
 《6/12読了》「奴隷時代における明敏なストーリーテラーたちは、こうした方法によって、一応知的に優位にあるとされていた白人の雇い主たちの単純さを利用したのである。この白人たは、黒人の民話などはただ『子どものように単純な』者たちの無害な作品であって、文字も読めない聴き手たちをおもしろがらせ、主人の子どもたちを楽しませるだけのもの、という誤った確信に自ら取りつかれていた。一方語り手たちは、白人への抵抗を表現するのに、個人の経験や希望や失敗などの単純で架空の物語という、それとは見分けがたい形で表現する技術に長けていたのである。」(p.118)
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『サッカーという名の神様』近藤篤著、NHK出版  <その他>
 《5/16読了》カメラマンのエッセイ。スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、英語が話せる。アラビア語も勉強していた。「ブラジルはなぜ強いか」現役サッカーおやじの人数×真剣度=その国の代表の強さ。サンパウロ州のタクシー協会の大会だけで80ものチームが参加。Jリーグが成功しないと思った著者の「ぼくの見誤ったいくつかのこと」は、「サッカーという名の神様がもたらす陶酔と狂気の世界を知った人間は、もう二度と元の世界に戻れない」(p.103)ということ。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★☆
◆『えほんのせかい こどものせかい』松岡享子著、東京子ども図書館  <その他>
 《5/12読了》機械による朗読と生の読み聞かせの最大の違いは、「読み手の、物語の理解、解釈、味わい方、物語に対する傾倒の度合い、好みといったものが表われること」「読み聞かせを受ける子どもは、物語といっしょに、読み手のもつ、文学をあじわいたのしむ能力をも、合わせて吸収すること」だそうだ。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆
◆『生涯最高の失敗』田中耕一著、朝日新聞社 bk1『生涯最高の失敗』書評あり <その他>
オンライン書店ビーケーワン:生涯最高の失敗  《4/6読了》あの2002年ノーベル化学賞の田中さんの本。講演依頼を全て受けていたら、それだけで人生が終わってしまうくらい来るらしい。受賞対象の、高分子のタンパク質を量る「質量分析」の一段階であるイオン化を研究した「ソフトレーザー脱離イオン化法」。巻末の、朝日新聞科学班記者の「ストックホルム同行記」も面白い。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『負けずじゃけん。』田坂和昭、川端康生著、ニ(えい)書房  <その他>
オンライン書店ビーケーワン:負けずじゃけん。  《3/30読了》既に、「いまは帽子をかぶっていられるけど、大人になったらどうすればいいんだろう?」と幼稚園くらいのときに考えていた。好きなことを納得するまでやらせてやろうという親の後押しもあり、小学三年生で初めて対外試合に出場、オフサイドも知らなかったのに、いきなり三点とって自信を得る。それからは負けず嫌いの性格もあって、目標をたててはクリアするということの繰り返しでとうとうプロになり、日本代表としてイングランド遠征(1995.6)も。今は、最年少S級ライセンス保持者としてエスパルスのコーチ。いい選手だった。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『主将戦記宮本恒靖』佐藤俊著、小学館  <その他>
オンライン書店ビーケーワン:主将戦記宮本恒靖  《3/9読了》鼻骨骨折は折れた時より鼻骨矯正の方が余程痛い。「宮本は、全方位型の稀有なキャプテンだった。」(p.167)「キャプテンとして自己犠牲を払い、チームのために交渉、調整、気遣いまでこなしていた…だが、彼にここまでさせていいのかという問題もある。」(p.174)。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)]  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★
◆『オシムの言葉』木村元彦作、集英社インターナショナル  <その他>
オンライン書店ビーケーワン:オシムの言葉  《1/30読了》ジェフ千葉・市原を率いて3年。元ユーゴスラビア代表監督の名将、オシム監督の故郷はサラエボ。3民族融和の理想の地だった。現役時代は名ドリブラーだったのは意外。
新聞書評[太字は記名書評(それ以外は短文紹介)] 1/16毎日夕刊4面、2/1日経夕刊5面  評価 (黒星3つで満点。白星は0.5) ★★☆

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