ゆりかごは口の中 子育てをする魚たち 桜井淳史 文・写真 ポプラ社
南アメリカ・アマゾン川原産のエンゼルフィッシュは、オスとメスが協力して卵や稚魚の世話をします。新鮮な水を卵に
送ったり、水草から落ちた稚魚を葉っぱに戻したり。でもアフリカ・ナイル川原産のドワーフエジプシャンマウスブルーダーという魚は、
産んだ卵をすぐメスが口に入れて、かえった後も独り立ちできるまで口の中で育てます。作者は子育て中のメスにエサを与えてみたら、
どうするだろう? と実験もしてみます。
作者は写真家で、産卵や子育ての写真を撮るために自分で魚を育てていましたが、いろいろな疑問がわいてきて、
何種類ものマウスブルーダーの仲間が棲む、アフリカのタンガニーカ湖へ出かけます。そしてタンガニーカ湖の湖底の岩場などを観察し、
入口がせまい岩穴に産卵するのは、口の中と同じくらい安全らしいことを発見。しかも早くかえった子魚が弟妹たちの卵の世話をするのです。
卵を産みっぱなしのマンボウは3億個も産みますが、エンゼルフィッシュは1回に500〜1500個、口の中で子育てする
ブリシャルディやモーリーは、20個以下や10個以下です。ものすごく安全な子育て法ですが、なんとこれに托卵するナマズがいる
というのです! 世の中、上には上がいるということでしょうか。(※この本は、絵本ではなく、読み物です。)
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