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子どもの科学の本 |
2008年は、世界でもおそらく初めての、子ども向け月刊科学雑誌として『かがくのとも』 (福音館書店) が創刊されて40年目にあたります。
それにちなみ、私の好きな魅力あふれる科学の本を紹介します。 New! 新しい本を何冊か加えました。(2015.11) |
(※なお、図書の画像または書名リンクは、楽天ブックスおよびAmazon.co.jpのアフィリエイト・リンクです。) 2008.7/9, 11/10、一部のリンクを付け替えました。2015.10 |
ロングセラーの翻訳絵本 | |||||
書名 | 著者 | 出版社 | 出版年 | ||
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New! せいめいのれきし 改訂版 |
バージニア・リー・バートン文・絵 いしいももこ訳 まなべまこと監修 |
岩波書店 | 初版1964、改訂版2015 | ||
私がはじめて読んだ科学絵本。地球の誕生から、昨日まで。壮大な歴史を一冊で味わえます。
舞台に はみ出た、恐竜のくわえた草から したたる水とか、司会者と握手する馬の先祖とか好きでした。
2015年に改訂版が出ました! 1962年に刊行された原書もアメリカで2009年に改訂版が出て、 それを元に国立科学博物館の真鍋真博士に、2015年の知見に合わせて監修してもらい、訳文は東京子ども図書館の協力で改訂したとのことです。 大きな変更は、惑星から冥王星が消えたこと、月の起源に隕石衝突説を加えたこと、地質年代の呼び名や 期間が変わったこと、ペルム紀と名前を変えた旧・二畳紀のところで大量絶滅の記述を付けたこと、恐竜と鳥類を別の種類としていたのを 飛ぶ恐竜の一部が鳥に進化したと明記したこと、ジュラ紀の恐竜「ブロントサウルス」が「アパトサウルス」になったこと、 前期白亜紀の化石から首長竜のプレシオサウルのイラストが消えたこと、そして、「白亜紀のさいごの日に、直径やく10キロメートルの 小天体が、地球にぶつかりました。この大衝突のあと、地球はさむくなり、恐竜たちは死にたえてしまいました。」と、恐竜絶滅の原因を はっきり書いていることです。他にもとても細かく見直されています。 | |||||
じめんのうえとじめんのした | アーマ E. ウェバー ぶん・え 藤枝澪子 やく |
福音館書店 | 1968 | ||
ページの上半分に地上、下半分に地下が描かれ、植物が「地面の上」にも「地面の下」にも伸びていることがよくわかります。
動物は、「地面の上」か「地面の下」のどちらかにしか住めません。なんだか植物がうらやましかったりして。
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くうきはどこにも (昭和43年) (福音館の科学シリーズ〈18〉) | フランクリン・M・ブランリー ぶん ロバート・ガルスター え 林淳一 やく |
福音館書店 | 1968 | ||
丸めた紙を入れたコップを逆さまにまっすぐ水の中に沈めても、紙はぬれません。なぜなら、コップの中に「空気」があるから!
見えない空気の存在を、シンプルなイラストと順を追った説明で、納得させてくれます。
2009年にジョン・オブライエンのイラストによる新版『くうきはどこに?』が翻訳されましたが、描き込みが多くて、 科学絵本としてはわかりにくくなったように思います。(2015.10追記) | |||||
星座を見つけよう | H. A. レイ 文・絵 草下英明 訳 |
福音館書店 | 1969 | ||
『ひとまねこざる』シリーズのH. A. レイの科学絵本。星座の見つけ方だけでなく、独自の星と星の結び方も紹介。
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しずくのぼうけん | マリア・テルリコフスカ さく ボフダン・ブテンコ え うちだりさこ やく |
福音館書店 | 1969 | ||
水のしずくが主人公となって、雨や水蒸気や氷となる、水の様々な形を物語仕立てで紹介します。作者と画家の名前の発音が
むずかしくて、ついつい一生懸命おぼえたものです。
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藪内正幸(やぶうち・まさゆき)さんの本
藪内さんは、1940年大阪市生まれ。子どもの頃から動物好きで、天王寺動物園に通いつめ、高校時代にはワシ・タカ図鑑を自作。
動物学者の今泉吉典氏の推薦で、福音館書店の“世界で最も詳しい”動物図鑑のためにスカウトされますが、残念ながら企画が中止に。
既に描かれていた精密なイラストは、『世界哺乳類図説 単孔目・有袋目』『世界哺乳類図説 食虫目・皮翼目』
(今泉吉典、小原秀雄共著、新思潮社、1966)、『鯨類・鰭脚類』(西脇昌治著、東京大学出版会、1965)として出版されました。
『広辞苑』の挿画も描いています。それほどの画力がありながら、幼児向けの動物絵本からは、動物たちに対する藪内さんの愛情が
にじみ出ています。2000年に逝去されました。
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書名 | 著者 | 出版社 | 出版年 | ||
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くちばし |
ビアンキ さく 田中かな子 やく 薮内正幸 え |
福音館書店 | 1965 | ||
鳥を描かせたら、たぶん右に出るものはない藪内さんのデビュー作。しっぽにおとらず、くちばしも、はたらきによって、ずいぶんといろいろな形があるんです。
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しっぽのはたらき (かがくのとも創刊号) ※画像は単行本 |
川田健 ぶん 藪内正幸 え |
福音館書店 | 1969年4月 | ||
記念すべき『かがくのとも』創刊号。動物たちのしっぽだけで読者の興味をひきつけます。しっぽって、なんていろいろな種類があるんでしょう! 『かがくのとも』は、1981年、第1回吉村証子記念「日本科学読物賞」を受賞しました。
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やまのとり 1 (1) (日本の野鳥 3) | 薮内正幸 ぶん・え | 福音館書店 | 1976 | ||
藪内さんが最も愛したワシ・タカ類の図鑑絵本。見開きに大きく、1種類の鳥を描き、写真ではよく写らないような部分まで描き込んであります。獲物に飛びかかる場面など、実に迫力あり。「日本の野鳥」シリーズ全6巻は、『野鳥の図鑑』(福音館書店、1991)として合本小型化して刊行されています。
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どうぶつのおかあさん | 小森厚 ぶん 薮内正幸 え |
福音館書店 | 1981 | ||
「ねこのおかあさんは、こどもをくわえてはこびます」「ライオンのおかあさんも、こどもをくわえてはこびます」って…本当に頭ごとくわえるの? でも子どもの方は、安心しきった顔。一列に並んだいのししのウリボウやハリネズミの子どももかわいい。
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なにのこどもかな | 薮内正幸 著 | 福音館書店 | 1987 | ||
まず動物の子どもだけ描いて「なにのこどもかな?」ページをめくると親子で登場。むずかしかったのは、「ばいそん」。小さい子どもでも楽しめます。
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日本の恐竜 | 長谷川善和 文 薮内正幸 絵 |
福音館書店 | 1988 | ||
鳥や動物が得意な薮内正幸さんが恐竜も描いていた! 日本国内で見つかったほんのひとかけらの化石から、種類がわかったものを再現。第9回(1989)吉村証子記念「日本科学読物賞」受賞作。
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もう おきるかな? | まつのまさこ ぶん やぶうちまさゆき え |
福音館書店 | 1998 | ||
まず眠っている動物の親子を描いて、「もう おきるかな?」ページをめくると「あー起きた!」と、猫がのびをしたり、あくびしたり。『なにのこどもかな』より、もっと小さい子でも楽しめます。
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New! みんなおおあくび |
薮内正幸 さく | 福音館書店 | 2003 | ||
上記の本のあとに読めば、続きみたいに楽しめます。猫やウサギ、ライオンのあくび…。初版は1989年の再刊です。
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★ 藪内正幸さんの原画がたっぷり楽しめる
「藪内正幸美術館」が小淵沢にあります。
2015年7月18日(土) 〜 11月30日(月)「ガンバの冒険三部作」
展を開催中です。10月10日に公開予定の映画
「GAMBA ガンバとなかまたち」公開記念。
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写真の本 | |||||
書名 | 著者 | 出版社 | 出版年 | ||
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月をみよう (科学のアルバム1) ※画像は新装版 |
藤井旭 著 | あかね書房 | 1970 | ||
1970年から刊行され始めた『科学のアルバム』(あかね書房)は、カラー写真をメインに編集されたシリーズものの先駆けで、全100冊で完結しました。1983年、あかね書房「科学のアルバム」編集部は、第3回吉村証子記念「日本科学読物賞」を受賞しています。この本のように、写真を撮った人が文章も書いていることが多いのも特徴です。 (2005年に、73冊が新装版として再刊されています。)
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ふしぎないろみず (1981年) | 大竹三郎 著 岩波映画製作所 写真 |
岩波書店 | 1981 | ||
むらさきキャベツの汁を使った、簡単な色水の実験を紹介。シンプルな写真が美しい本です。ぜひ、再刊してほしい一冊です。第2回(1982)吉村証子記念「日本科学読物賞」受賞作。
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はるにれ | 姉崎一馬 写真 | 福音館書店 | 1981 | ||
はるにれの木の一年をおった写真絵本の古典。美しい自然の風景が、都会に住む人のザラザラした気持ちを洗い清めてくれるようです。「定点観測」という撮影方法を知った本でもありました。
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こいぬがうまれるよ | ジョアンナ・コール 文 ジェローム・ウェクスラー 写真 つぼいいくみ 訳 |
福音館書店 | 1982 | ||
本当に生まれる瞬間の写真が出ています。生まれたばかりの子犬が体重計に乗っている場面と、最後の方で体重計に乗っている場面をくらべてみてください。モノクロの写真ですが、子犬のいのちの愛おしさが伝わってきます。
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ひとしずくの水 | ウォルター・ウィック 著 林田康一 訳 |
あすなろ書房 | 1998 | ||
同じ水の本でも、『しずくのぼうけん』とはまったく異なる、写真にしかできない瞬間を切り取った画像で、水について語ります。探し物写真絵本『ミッケ!』シリーズ(小学館)で人気の作者。
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みんなのかお | とだきょうこ 文 さとうあきら 写真 |
福音館書店 | 1994 | ||
同じ種類の動物でも、いろいろな顔があるんだ! ということが、よーくわかります。
北海道から沖縄まで81もの動物園で撮影した、ゴリラ、ラクダ、ゾウ、アザラシなど12種類の動物の顔を21頭ずつ並べてあります。
戸田さんは、藪内正幸さんの奥さんでもありました。戸田さんも2006年に亡くなっています。
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New! からだがかゆい |
岩合日出子 文 岩合光昭 写真 |
福音館書店 | 2008 | ||
表紙をみただけで、いかにもかゆそうですね。動物たちが、かゆいところをかくときの、なんとも不自然な姿勢がユーモラスに
写し撮られています。
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New! ねむいんだもん |
ゆうきえつこ 文 福田幸広 写真 |
そうえん社 | 2014 | ||
牧場で横たわる幸せそうな寝顔の子馬、草原で横たわるパンダ、シュロの葉陰で四肢を投げ出した子ウサギ、
おかあさんのおっぱいを吸いながらウトウトしている子猿、ウリボウの正面の寝顔…薮内さんの『みんなおおあくび』と組み合わせても楽しいでしょう。
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