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日本人イラストレーターの描くマザー・グース
 −Microcosmos of Mother Goose−



目次
1 武井武雄
2 堀内誠一
3 金子(山内)ふじ江
4 スズキコージ
5 東逸子
6 ひらいたかこ
7 和田誠
8 宮崎照代
9 津田直美
10 安野光雅
11 佐々木マキ
12 クロイワカズ
13 山藤章二
14 小林与志


各イラストレーターの作品名のうち、「」が付いているものが展示してある絵本です。


現在でも、購入できる図書には、Amazon.co.jpへのリンクを張りました。お買い物にお役立てください。表紙画像は、 出版社の許諾を得たものです。(2004.8/12, 9/7)
一部、楽天アフィリエイトおよびAmazonアフィリエイトの表紙画像、書名リンクを追加しました。(2010.5、2013.1)





1 武井武雄(1894−1983)
長野県岡谷生まれ。東京美術学校洋画科卒。「童画」の名称の創始者。自作絵本に『赤ノッポ青ノッポ』(鈴木仁成堂、1934)、『ぬけだしたジョーカー』(フレーベル館、1979)他。挿絵に『九月姫とウグイス』(サマセット・モーム作、岩波、1954)他。  

 *『ハンプティダンプティの本−イギリス・アメリカのわらべうた−』
 アン・ヘリング編訳、集英社、1980(こどものための世界名作童話 18)
  非常に和風な訳詩に、昔懐かしい独特の画風が合っている。p.74の「おわり」の絵には、アン・ヘリングと武井本人も描かれている。
  『奇想天外でおもしろい ハンプティダンプティの本−英語圏のわらべうた−』
 アン・ヘリング編訳、透土社、1999(上記の本の新装・増補版)
#表紙画像は、楽天アフィリエイトより。(2010.5/21)


  2 堀内誠一(1932−1987)
東京生まれ。伊勢丹宣伝課入社と同時に現代絵画研究所に通う。自作絵本に処女作『くろうまブランキー』(伊東三郎再話、福音館、1967)。挿絵に『たろうのばけつ』(村山桂子作、福音館、1960)、『ぐるんぱのようちえん』(西内ミナミ作、福音館、1966)、『人形の家』(ゴッデン作、岩波、1967)。装丁の仕事に「ミス・ビアンカ」(シャープ作、岩波)シリーズなど。

 『マザー・グースのうた』 谷川俊太郎訳、草思社、1975-76

  マザー・グース・ブームを引き起こしたシリーズ。コルデコット風あり、ブリッグズ風ありの堀内誠一の世界。唄の解釈という面からはオーソドックスな絵解き。


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  3 金子(山内)ふじ江(1946−)
栃木生まれ。東京芸術大学油絵科卒。挿絵に 『そよかぜ姫の冒険』(宮野素美子作、講談社、1992)、 『村は大きなパイつくり』(クレスウェル作、 岩波、1994)他。
##最近の挿絵では、『かはたれ』(朽木祥作、福音館書店、2005)、『黒ねこのおきゃくさま』(ルース・エインズワース作、福音館書店、1999) がある。(2013.1/6追記)
 #表紙画像は、Amazonアフィリエイトより。(2013.1/6)

 *『イギリスのわらべうた (詩の絵本)木島始訳、さ・え・ら書房、1969
  この絵本は彼女の処女作。マザー・グース絵本としては、最初期の出版物のひとつ。木島とのコンビでは、『マザー・グース その世界』(10〜13参照)にも登場。


  4 スズキコージ(1948−)
静岡県浜松生まれ。堀内誠一と出会い、絵本の世界に入る。自作絵本に 『エンソくんきしゃにのる』(福音館、『こどものとも』1986.7月号)、 『やまのディスコ』(架空社、1990)他。 挿絵に『やさい町どんどん』(神沢利子作、福音館、1994)  、 『神々の島マムダ』(江副信子作、福音館、1995)他。

 『まざあ・ぐうす』北原白秋訳、角川文庫、1976 

  日本で最初にまとまったマザー・グースの紹介をした白秋の訳に、現代の武井武雄とも言うべきスズキコージの組み合わせ。 文庫本出版後に、ハードカバーも出版された。
 #表紙画像は、楽天アフィリエイトより。(2010.5/21)


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  5 東逸子(1953−)
佐賀生まれ。東京芸術大学ビジュアルデザイン科卒。銅版画家。挿絵に 『サンタクロースっているんでしょうか?』 (偕成社、1977) (#表紙画像は、楽天アフィリエイトより。2013.1/6) 、『花と木のうた』(川崎洋編、岩崎、1997)他。 絵本に『Qはせかいいち』(舟崎克彦作、偕成社、1982)。
##最近の挿絵では、 『月神の統べる森で』 (たつみや章作、講談社、1998) に始まる古代ファンタジー・シリーズがある。(2004.8/12追記)

*『マザーグース・ファンタジー (1977年) (すばるの絵本)矢川澄子訳、すばる書房新社、1976
  初出は『月刊絵本』の別冊。マザー・グースの登場人物が妖精風の少年少女に変身。ハンプティ・ダンプティの解釈など、 余人に見られない発想。  #表紙画像と書名リンクは、アマゾンアフィリエイトより。(2013.1/6)


  6 ひらいたかこ(1954−)
東京生まれ。武蔵野美術大学(油絵専攻)卒。自作絵本に 『ある朝、ジジ・ジャン・ボウはおったまげた!?』(絵本館、1981)他。挿絵に「ちびっこ吸血鬼」(ボーデンブルク作、くもん)シリーズなど。 JBBY会員。
  『マザーグース・ショーケース』 ひらいたかこ訳、東京創元社、1987
  『マザーグースころんだ』 磯田和一と共著、東京創元社、1990(イラスト紀行)

『ディア マザーグース』 ひらいたかこ訳、架空社、1990

  カレンダーのイラストを中心にまとめた画集。毒気のない絵柄で、「ヘイ、ディドルディドル」の唄も百鬼夜行風に処理してあるが、 楽しげ。


##この後、3冊目となるマザー・グース絵本 『魔女の隠れ家』 (東京創元社、2000)を出版。(2004.8/12追記)
  この項の表紙画像は、アマゾンアフィリエイトに差し替えました。(2013.1/6)



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  7 和田誠(1936−)
大阪生まれ。多摩美術大学図案科卒。自作絵本に『ことばのこばこ』(すばる書房、1981。##アマゾン・リンクは1995年瑞雲舎からの再刊。2004.8/11追記)、『かいぞくのうた』(あかね、1996)他。挿絵に『ぼくは王さま』(寺村輝夫作、理論社、1061)、『けんはへっちゃら』(谷川俊太郎作、あかね、1965)、『そらをとんだたたまごやき』(落合恵子作、クレヨンハウス、1993)他。##2000年、東京(20点)と京都(15点)の「マザーグース軸装展」にて描き下ろしの絵を軸にしたものを発表。(2004.9/8追記)

 『マザー・グース』 谷川俊太郎訳、講談社文庫、1981
  文庫本出版後に、同じイラストに着色したハードカバーも出版された。


#表紙画像は楽天アフィリエイトより。(2010.5/23)

  『オフ・オフ・マザー・グース』和田誠訳、筑摩書房、1989
  『またまたマザー・グース』和田誠訳、筑摩書房、1995
  上記2冊は、昔の木版画に和田が描き加えたり、コラージュしたりしたもの。

#表紙画像はAmazonアフィリエイトより。(2013.1/6)
##この後、上記2冊を「つきまぜた」合本版の文庫本『オフ・オフ・マザー・グース』(ちくま文庫、2000)をを出版。(2012.10/19追記)


  8 宮崎照代(19 −)
京都生まれ。武蔵野美術短期大学卒。

 *『マザーグース英国飛行』宮崎照代訳、白泉社、1995
  イラスト初出は『MOE』90.7, 92.10, 93.7, 93.10〜94.9, 95.6月号。これに英国旅行ガイド風のエッセイを書き加えたもの。

 #表紙画像は、Amazonアフィリエイトより。(2012.10/19)


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  9 津田直美(1960−)
自作絵本に『セーターになりたかった毛糸玉』 (ジーシープレス、1986。 ##書名のアマゾン・リンクは、2002年ブロンズ新社からの増補・復刊。2004.8/11追記)、 『正しいひまわりの育て方』(ジーシープレス、1988)、 『犬の生活』(カワイ出版、1992) シリーズなど。

 *『ピアノの絵本 マザーグース』木下牧子編曲、カワイ出版、1991(CD付き)
  巻末訳詩は谷川俊太郎。ほのぼのとした絵柄で、きらびやかな編曲の楽譜を彩る。
 #表紙画像は、Amazonアフィリエイトより。(2013.1/9)


  10 安野光雅(1926−)
島根県津和野生まれ。教員を経て、1960年からフリー。自作絵本に処女作 『ふしぎなえ』 、 (福音館、1968)、グリナウェイ賞の 『ABCの本』 (福音館、1974)、 『旅の絵本』(福音館、1977)シリーズ (##書名リンクはアマゾン、表紙画像は楽天アフィリエイトより。 2013.1追記) 他多数。

 *『マザー・グース その世界』平野敬一編、すばる書房、1976(訳・谷川俊太郎)

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  11 佐々木マキ(1946−)
兵庫県神戸生まれ。京都市立美術大学日本画科中退。自作絵本に処女作『やっぱりおおかみ』 (福音館、1977)、 『ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします』 (福音館、1989。##アマゾン書名・表紙画像リンク は、2000年絵本館からの再刊。2004.8/11追記)他。挿絵に 『おとうさんがいっぱい』(三田村信行作、理論社、1975)他。

 *『マザー・グース その世界』平野敬一編、すばる書房、1976(訳・矢川澄子)



  12 クロイワカズ(1931−)
早稲田大学英文科卒。

 *『マザー・グース その世界』平野敬一編、すばる書房、1976(訳・新倉俊一)

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  13 山藤章二(1937−)
東京生まれ。武蔵野美術大学デザイン科卒。挿絵に 『消えた五人の小学生』(国土社、1969)、『小説の書き方 −一子の創作ノート』(吉田とし作、あかね、1971 #書名リンクは、楽天アフィリエイトより。2013.1)。

 *『マザー・グース その世界』平野敬一編、すばる書房、1976(訳・谷川俊太郎)
  初出は『オール読物』1976.4月号。有名な人物戯評にマザー・グースを使ったもの。松下幸之助と早起きの唄、江夏豊とひねくれ男の唄 など取り合わせが絶妙。


  14 小林与志(1925−)
東京生まれ。太平洋美術学校(洋画)で学ぶ。1960年頃から主に児童書の挿絵で活躍。『絵にかくとへんな家』(さとうまきこ作、あかね) や『ぼくがぼくであること』(山中恒作、 実業之日本社)の挿絵など。

 『MOTHER GOOSE』 講談社インターナショナル、1984, 88, 95

#表紙画像は楽天アフィリエイトより。(2010.5/23)


<参考文献>
『児童文学者人名事典−日本人編−』(上)(下)中西敏夫編、出版文化研究会、1999
各絵本掲載の画家紹介、他。


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マザー・グースとは?


 大ざっぱに言うと、「英語圏の伝承わらべうた」のこと。イギリスでは、Nursery Rhymes(子供部屋の押韻詩)と呼ぶのがふつうのようですが、日本では、大正期に北原 白秋が『まざあぐうす』のタイトルで紹介したことや、ブームを起こした谷川俊太郎訳 も『マザー・グースのうた』だったので、「英語圏の伝承わらべうた」そのもののこと を「マザー・グース」と呼ぶのがすっかり定着してしまいました。

 押韻詩(Rhyme)というだけあって脚韻を踏むためだけの無意味な言葉が、かえって 意外なおもしろさを生んでいる唄もあり、脚韻のリズムで子どもたちは言葉を覚えます。  マザー・グースは日本語の「わらべうた」より範囲が広く、子守歌や遊び唄、ABC の歌から、積み重ね唄や物語唄、おまじない、ことわざの一部まで含みます。日本でも 有名な歌に「ロンドン橋」や「きらきら星」、「メリーさんの羊」があります。「きら きら星」は作詞者がわかっていますが、これは例外でたいていは100年以上、口伝え で伝承されてきた唄で、一説には800以上あるということです。

 マザー・グースが日本のわらべうたと大きく違うもうひとつの点は、子どもだけでな く、大人まで共有している文化だということです。会話や文中に比喩として引用したり、新聞の見出しによく使ったりします。ミステリーのタイトルには、たいへんよく使われ ています。「英語をより深く理解するため必要な3つの文献」(「聖書」「シェイクス ピア」「マザー・グース」)のひとつにあげられているのも、こんな訳からでしょう。

 昨年は、このマザー・グースの世界を、生まれ故郷である英米の絵本作家・イラスト レーターが描いた絵本を展示しました。今年ここに展示している絵本は、日本の絵本作 家・イラストレーターが描いた作品を私のささやかなコレクションの中から持ってきた ものです。英米の画家も顔負けの絵解き、英米の画家にはできない解釈などをお楽しみ ください。


(「職員文化会展『日本人イラストレーターの描くマザー・グース』展示リスト」 (2000.2/22) より)

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