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いろいろなマザー・グース絵本


目次

<変わったイラストレイション>
A 縫い取り  B 刺繍  C 切り絵

<キャラクター>
D ピーター・ラビット  E.くまのプーさん  F.ディズニー

<その他>


マザー・グースとは?
 大ざっぱに言うと、「英語圏の伝承わらべうた」のこと。イギリスでは、Nursery Rhymes(子供部屋の押韻詩)と呼ぶようですが、日本では、大正期に北原白秋が『まざあぐうす』のタイトルで紹介したこともあり、「英語圏の伝承わらべうた」そのもののことを「マザー・グース」と呼ぶのが定着してしまいました。

 マザー・グースは日本語の「わらべうた」より範囲が広く、子守歌や遊び唄、ABCの歌から、唱えるだけのおまじない、積み重ね唄や物語唄、一種のことわざも含まれます。日本でも有名な歌に「ロンドン橋」や「きらきら星」「メリーさんの羊」があります。「きらきら星」は作詞者がわかっていますが、これは例外で、たいていは100年以上、口伝えで伝承されてきた唄で、一説には800以上あるということです。

 マザー・グースが、日本のわらべうたと大きく違うもうひとつの点は、子どもだけでなく、大人まで共有している文化だということです。会話や文中に比喩として引用したり、新聞の見出しによく使ったりします。「英語をより深く理解するために必要な3つの文献」(「聖書」「シェイクスピア」「マザー・グース」)の1つであるのも、こんな訳からだと思われます。

現在でも、購入できる図書には、Amazon.co.jpへのリンクを張りました。お買い物にお役立てください。表紙画像のうち 翻訳本は、オンライン書店「bk1」へのリンクです。(2004.8/12, 2005.6/11)
「bk1」が「honto」と合併したため、画像リンクが切れたものは変更しました。また、アマゾンのリンクも追加・更新しています。 (2013.1)








< 変わったイラストレイションの絵本 >


A 縫い取り (hand-sawn illustration)

1.Mother Goose Remembers, Clare Beaton, (c)2000, Barefoot Books,(イギリス)
  46編収録。ISBN1-84148-072-X

 イラスト全てと、唄のタイトルが全部、縫い取りでできている絵本です。フェルト生地が多く使われていますが、花の絵は刺繍だったり、人物や動物の目はビーズだったりします。ハンプティ・ダンプティはなぜか眼鏡をかけています。クレア・ビートンは、BBCで8年間、子ども向け番組で画家として働き、現在はフリーの絵本作家として活躍中。



B 刺繍

2.『ししゅうでつづるマザーグース』ベリンダ・ドウンズ刺繍、鷲津名都江訳、評論社、1997。48編収録。ISBN4-566-00378-7
  (原書:A Stitch in Rhymes,by Belinda Downes,(c)1996(イギリス))

オンライン書店ビーケーワン:ししゅうでつづるマザーグース  ベリンダ・ドウンズは、ハンプトン・コート(ヘンリー8世の宮殿で現在は博物館)で働いていたことのある刺繍画家…と原書のカバー見返しにあります。絵柄としては、素朴な感じですが、一針一針、すべて手で縫ったものとして見ると、溜め息が出ます。
 訳者の鷲津名都江さんは、小鳩くるみの芸名で有名ですが、1986年にイギリスのロンドン大学大学院に留学してマザー・グースを研究。帰国後、修士論文の翻訳である『わらべうたとナーサリー・ライム』(晩聲社、1992)や『マザー・グースをたずねて』(筑摩書房、1996)等を出版。現在、目白大学短期大学部教授として教えています。



3.MOTHER GOOSE Charted Designs, by Kathleen Thorne-Thomsen,(c)1976,1986, Dover Publications,Inc.(アメリカ)ISBN0-486-25483-6。30編収録。

 クロス・ステッチ刺繍のサンプラーです。取り上げられている唄は30編ですが、図は32あります。巻頭の「Mother Goose Sampler」という 元唄がないものと、「Old Mother Goose」という同じ唄に2つ図案があるためです。



C 切り絵

4.『あたしのまざあ・ぐうす』福田純子絵、北原白秋訳、講談社出版サービスセンター、1999。18編収録。ISBN4-87601-474-4

 訳があるものは18編ですが、挿絵だけの唄がもう1編、標題紙裏と後書きの前の2ページに分けて描かれています。奥付の著者紹介(?)に よると、福田純子さんは、グラフィックデザイナーで、第14回ユーモアと風刺国際ビエンナーレ・ブルガリア・ガブロボ'99に入選しています。 絵柄は、ちょっと不気味な感じ。大人向けの絵本です。

#表紙画像は、冨山房インターナショナルから2011年に再刊されたもの。アマゾンより。(2013.1/9)


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< キャラクターのマザー・グース絵本 >


D ピーター・ラビット

5.Play-a-Song Peter Rabbit & Friends CLASSIC NURSERY SONGS,(c)1998,Frederick Warne & Co.(イギリス)ISBN0-7232-4470-7。10編収録。

 ICオルゴール付き。「私の小さな、実のなる木(I had a little nut-tree)」という唄の挿絵は、『りすのナトキンのおはなし』から、 「ねんねん、赤ちゃん(Rock-a-bye Baby)」には『ベンジャミンバニーのおはなし』から、「3匹の子猫(Three Little Kittens)」には 『こねこのトムのおはなし』から、「こんなふうに洗濯する(This is the way we wash our clothes)」には『ティギーおばさんのおはなし』 から、「市場へ市場へブタ買いに(To Market,to market to buy a fat pig)」には、なぜか出かけるブタの絵が『こぶたのピグリン・ ブランドのおはなし』から、採られています。


E.くまのプーさん

6.The Nursery Rhymes of Winnie the Pooh, (c)1998,by Disney Enterprises,Inc.(アメリカ)ISBN0-7868-3178-2。55編収録。

 アーネスト・シェパードの原画ではありませんが、ディズニーのプーさんのキャラクターづくしのマザー・グース絵本。いわゆる伝承 童謡集に入っていない、遊び唄もかなり含まれています(pp.34-37「幸せなら手をたたこう」等)。プーやコプタやイーヨーやカンガや トラーが、遊び方を示したイラストもたくさん描かれています。



F.ディズニー

7.Walt Disney's Mother Goose, (c)2000, by Disney Enterprises,Inc.(アメリカ)ISBN0-7868-5318-2。42編収録。

 正にディズニー・ワールド大集合! という感じの絵本。ダンボにバンビ、ミッキー・マウスにドナルド・ダック、白雪姫と7人の小人、 ピノキオにシンデレラ等が、次々と役柄を変えて、いろいろな唄に登場します。

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< その他 >


8.The National Trust Book of Nursery Rhymes, (c)1994, illustrated by Ian Penney, National Trust Ltd.(イギリス) ISBN0-7078-0205-9。14編収録。

 この絵本のイラストは全て、ナショナル・トラストが管理する建物が描き込まれています。ボー・ピープが羊を捜すのは、ピーター・ ラビットの作者ビアトリクス・ポターの家、ハンプティ・ダンプティが座っているのは、ハドリアン・ウォールという具合。



, (c)1998, text by Marianna Mayer,illustrated by Carol Shwartz, Morrow & Co.Inc.(イギリス)ISBN0-688-15242-2。 14編収録。

 ごく若い人向けの料理本、と銘打って、食べ物の出てくる唄と、その素材を使った簡単なレシピを添えた絵本。登場人物(?)は全て、 リスやネズミ、ウサギやクマに描かれています。「ピーターはカボチャ食い」の唄に「パンプキン・マフィン」のレシピはわかるけど、 「ハンプティ・ダンプティ」の唄に「卵サンドイッチ」は、ちょっとかわいそうかな。


10.A Treasury of Mother Gooose (Novelty Memory Box), (c)1999, Produced for A Golden Book, Published by Rocket Books,Inc., Copyright Printlink Publishers, Inc.(アメリカ) ISBN0-307-30380-2。23編収録。

 副題に、「Music CD,Gift Book and Soft Toy」とあるように、メインはボックス・セットの蓋にはめ込まれたCD。ミニ絵本は 歌詞カード程度のちゃちな物。一応、挿絵は、Tammie Speer Lyonと記されています。そしておまけはハンプティ・ダンプティの、これまた ちゃちな縫いぐるみ。

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おまけ
ロンドンの赤い二階建てバスの台紙にディスプレイされた、マザー・グース柄のハンカチ・セット。7枚入り。ただし、柄は4種類。
「ハンプティ・ダンプティ」2枚、「ヘイ、ディドルディドル、猫にヴァイオリン」2枚、「ディンドン、鐘が鳴る、子猫が井戸に」2枚、 「ジャックとジルは水汲みに」1枚。

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 いかがでしたか? おととしから数えて3回目のマザー・グース絵本の展示になります。1999年は、「マザー・グースの小宇宙」と題して、本家・英米の著名な絵本作家12人のマザー・グース絵本を展示しました。2000年は、「日本人イラストレーターの描くマザー・グース」として、14人の作品をご紹介しました。

 絵本はかさばるので、あまり買わないようにしているのですが、だんだん増えてしまいました。それというのも毎年のように、様々なマザー・グース絵本が作られているからです! 今回の1番に記したMother Goose Remembers(縫い取りのイラスト)など買わずにいられなかった素晴らしい作品です。詩と絵本の紹介雑誌『Moe』2001年3月号p.108にもこの絵本が「フェルトのマザー・グース」として紹介されています。



(「職員文化会展『いろいろなマザー・グース』展示リスト」 (2001.2) より)

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