HOME | MG | Book | Soccer | Propile |
マザー・グースのお料理本
&
ひとつの唄を一冊の絵本にしたもの
目 次 1 マザー・グースのお料理本 1−1 『マザー・グースの料理絵本』 1−2 『マザーグースのクッキング・ブック』 1−3 『マザーグースのお菓子絵本』 1−4 The Mother Goose COOKBOOK 2 ひとつの唄を一冊の絵本にしたもの 2−1 『ロンドン橋がおちまする!』 2−2 『ヘクター・プロテクターとうみのうえをふねでいったら』 2−3 『ハバードおばさんといぬ』 2−4 『マザー・グースのうた のんきなかりゅうど』 2−5 『おお いさましいヨークのしょうぐん』 2−6 Three Little Kittens 2−7 Old Mother Hubbard
2004.2
現在でも、購入できる図書には、オンライン書店「bk1」へのリンクを張りました。洋書の一部には、Amazon.co.jpへのリンクも張ってあります。お買い物にお役立てください。表紙画像は、「bk1ブリーダー」として使用できるものを掲載しています。(2004.10/12)
1 マザー・グースのお料理本
1−1 『マザー・グースの料理絵本』フランシス・シェリダン・グラール著 唄・谷川俊太郎訳 ドナルド・ヘンドリックス画 主婦の友社 1978
フランス系の作者名ですが、原著のコピーライトを見ると、アメリカのロサンゼルスの発行(1970)。見開きの左ページに原著のイラストと谷川俊太郎訳のマザー・グース、右ページに38種のお料理のレシピという構成。巻末にすべての唄の原詩を収録。38編のうち、20編は草思社の訳(「Rowley Powley」という唄は草思社版では「Georgie Porgie」)ということで、残りはこの本のための新訳であるという点がミソ。
料理と唄は、かなりこじつけ気味で「羊飼いのボー・ピープちゃんの羊肉料理」「24羽の黒つぐみのパイ」は牛レバーの薄切り24枚で代用、「ハンプティ・ダンプティ風卵料理」は、固ゆで卵のみじん切りをホワイトソースとカイエンヌ・ペッパーで和えタルト型につめるだけ。また、イラストは良家の子女風で、本格的に料理を作るための本というより、お洒落な一冊としてアメリカでも出版されたのかな、と思います。
1−2 『マザーグースのクッキング・ブック』入江麻木(料理)、岸田理生(訳詩とエッセイ)、ケイト・グリーナウェイ絵、新書館、1978 (For Ladies 104)
同じ新書館から出た『マザーグースの絵本1〜3』の岸田理生の訳と、歌詞に出てくる食べ物のレシピで構成。グリーナウェイの絵も前記3冊のものを使用。所々のエッセイは書き下ろし。24羽の黒つぐみの代わりにチキンを使った「クリームチキンパイ」「デイビー坊やのダンプリング」「アーサー王のバッグ・プディング」、「ジャック・オーナーのクリスマス・パイ」「ハンナ・バントリーの骨つきマトンのチョップ」などなど。
1−3 『マザーグースのお菓子絵本』宮川敏子 立風書房 1987
巻頭32ページはカラー口絵。30種のお菓子の写真とマザー・グースの唄(訳と原詩)、ケイト・グリーナウェイのイラストが見開きに配されている。ただし、唄とイラストは全然合っていない。最初の「メアリの仔羊」のイラストは、ウィリー坊やだし、五つ目の「巻き毛のおじょうさん」のイラストは、ジャック・スプラットとその女房だし、元唄と合っているのは15編のうち6編のみ。唄とお菓子の組み合わせも、ちょっとこじつけが多い。「メアリの仔羊」には、羊型に切ったスポンジケーキに白いバタークリームを塗ったもの、ハンプティ・ダンプティ(答えが「卵」の謎々唄)のお菓子は、卵たっぷりのカスタード・プリン、とか。お菓子の出てくる「ハートのクイーンがタルトをやいた」「ちびすけジャック・ホーナーは…クリスマス・パイを食べていた」「パンチとジュディ パイをとりっこ」などの唄は、ハート型のタルトやクリスマス・パイ、とりっこしたいアップル・パイなどが取り合わせられ、不自然ではないのだが。
真ん中がレシピ。この部分で15編の唄が新たに掲載されている。唄とイラストが合っているのは4編のみ。そもそもグリーナウェイのマザー・グース絵本に出ていない唄が多いのだが。初めて見たのは「白鳥」という短い4行の唄(p.12)。訳をつけた谷林真理子という人が巻末の方で三ページほどマザー・グースの唄について解説している。
1−4 The Mother Goose COOKBOOK, (c)1998, text by Marianna Mayer, illustrated by Carol Shwartz, Morrow & Co. Inc.(イギリス)14編収録。
ごく若い人向けの料理本、と銘打って、食べ物の出てくる唄と、その素材を使った簡単なレシピを添えた絵本。登場人物(?)は全て、リスやネズミ、ウサギやクマに描かれています。「ピーターはカボチャ食い」の唄に「パンプキン・マフィン」のレシピはわかるけど、「ハンプティ・ダンプティ」の唄に「卵サンドイッチ」は、ちょっとかわいそうかな。
2 ひとつの唄を一冊の絵本にしたもの
2−1 『ロンドン橋がおちまする!』ピーター・スピア絵 渡辺茂男訳 冨山房 1978
(原書London bridge is falling down! ,1967)
有名な「ロンドン橋」の唄。この歌は、様々な形があるが、架け直しの材料は「木に粘土」「鉄、はがね」「砂利と石」「金と銀」と変わり、最後は見張りに番犬まで登場する。巻頭の「ほいきたどっこいしょ」で始まる部分は、別のマザー・グースの唄。巻末に楽譜と「ロンドン橋の歴史」という解説があり、古い橋のアリゾナ州への移築もわかる。
#表紙画像は、2008年、ブッキングより復刊したもの。(2010.5/21)
2−2 『ヘクター・プロテクターとうみのうえをふねでいったら』モーリス・センダック作 じんぐうてるおやく 冨山房 1978
(原書Hector Protector and As I went over the water, (c)1965 )
「Hector Protector」と「As I went over the water」は2つともマザー・グースの唄。それを26pと21pの物語にしたもの。センダック(1928〜, アメリカ)が言葉にない部分を絵で大幅に付け足したり、元唄の字面の内容に、別の意味を与えたりして独創的な話にしている。前半の唄では、歌詞では、お后も王様も「ごきげんななめ」なため、ヘクターは帰されるのだが、絵では、お城へ行きたくないヘクターが不興をかうよう仕組んで目論見通り「おいかえされ」ると読み取れる。後半の唄に登場する怪物(海獣? 全然歌詞には登場しないイラストのみのキャラクター)は、代表作『かいじゅうたちのいるところ』(原書1963)を感じさせるが、愛嬌があって可愛い。
2−3 『ハバードおばさんといぬ』アーノルド・ローベル絵 岸田衿子訳 文化出版局 1980
(原書The comic adventires of old Mother Hubbard and her dog, 1968)
ハバードおばさんは、犬のために様々な物を買いに行くが、帰ってくると犬はいつも変な事をしている。というのも詩の上で韻を踏むため、内容の方が変でもそのままナンセンスを楽しむのである。パン(bread)を買ったので死んで(dead)いるし、フルーツを買うからフルートを吹くというわけ。邦訳は特に韻を踏んでおらず、意味だけをとっているのがちょっと残念。アーノルド・ローベルの絵本シリーズの一冊としての翻訳出版なのでしかたないかもしれないが、別刷りの付録にある原詩をぜひ確認して笑ってほしい。
ハバードおばさんといぬ(ミセスこどもの本)
アーノルド・ローベル絵・岸田衿子訳
2−4 『マザー・グースのうた のんきなかりゅうど』スーザン・ジェファーズさく 清水真砂子やく アリス館 1988
(原書 a MOTHER GOOSE rhyme THREE JOVIAL HUNTSMEN, (c)1973)
1974年にコルデコット賞銀賞を、1975年には世界絵本原画展金のりんご賞受賞作品。作者は、ニューヨークの片田舎に住む若い画家と巻末に紹介されている。3人ののんきなかりゅうどがカラーで描いてあり、彼らが見逃す動物たちは白黒でかくし絵風に描かれており、彼らが見間違う「ほかけぶね」や「おつきさま」などはだまし絵風に描かれている。彼らがつれている猟犬もかなりの間抜けぶりで、これじゃ獲物がなくても当然だ、と笑って納得できてしまう佳作。
2−5 『おお いさましいヨークのしょうぐん』モーリーン・ロッフィー絵 バーナード・ロッジ文 セーラー出版 1997
(原書The grand old duke of York, (c)1975)
マザー・グースの元の唄はp.4まで。後は作者の付け足した部分で、これがイギリスの子どもたちに受けたらしい。イラストは妻が担当し、コラージュの手法を用いている。
おおいさましいヨークのしょうぐん
バーナード・ロッジ文・モーリーン・ロッフィー絵・たかはしけいすけ訳
2−6 Three Little Kittens , illustrated by Paul Galdone, (c)1986
「3匹の子猫が手袋なくして泣き出した」と始まる唄。猫が手袋をしていたらネズミが捕れないと思うのだが、猫の母さんは「見つけるまでおやつはあげません!」と厳しい。『しょうがパンぼうや』(ほるぷ)『ハバードばあさんといぬ』(佑学社)の画家。
2−7 Old Mother Hubbard , drawings by David A. Johnson, (c)1998
2−3と同じハバードおばさんの唄だが、こちらの最後は「お辞儀」で終わらず、犬が(本当に)死んだ時には墓碑を建てたというところまである。画家の母親に捧げられているので、実話かもしれない。同じ唄でも絵柄によってだいぶ印象が異なる。
(「職員文化会展『マザー・グースのお料理本&ひとつの唄を一冊の絵本にしたもの』展示リスト」 (2004.2) より)
この部屋についてのご感想、リンクのご連絡などは こちらへお寄せください。