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あなたが図書館員だったとして、マザーグースについて質問されたとき、図書館でマザーグースについて調べるには、 まず何の本を見るべきなのか。イラストを探す場合は、どうすればいいのか。遊び方や音源には、どんなものがあるのか。
まず、押さえておく基本的な本と、もう少し深く調べる場合の二本立てで、想定問答の形で紹介します。主として 公共図書館で調べる想定なので、現在品切れの本もあります。「基本文献」とした本は、県立図書館クラスであれば、そろえていてほしい文献です。 中小図書館でも手がかりをつかめるよう、絵本などを使って調べる場合もなるべく入れるようにしました。 なお、資料番号が赤い色の文献は、質問者には提供しない、調査過程の資料です。
※基本文献はタイトルを青字で記載します。絵本はレンガ色で記しました。表紙画像リンクは、Amazonアフィリエイト、楽天アフィリエイトです。(2021.11)
Q2 有名な唄がコンパクトにまとまっているマザーグースの童謡集で入手しやすい本を教えてほしい。翻訳童謡集の場合は、原詩が付いているものがよい。
これもなかなか調べるのが難しい質問です。「有名な唄」の定義とか、「コンパクト」とは何篇程度を指すのか、などあいまいです。質問者とやりとりできる場合は、 どんな場面で童謡集を使うのか確認してみると役に立つかもしれません。 「コンパクト」な収録数としては、上記Q1で使った資料1-2や1-3が800余篇収録なので、100篇未満を目安としてみます。 「入手しやすい」という条件は、現在、定価で購入できる(プレミア価格でない)か、または多くの公共図書館で借りられる本とします。 マザーグース童謡集の網羅的なリストは存在しないので、童謡集をある程度まとめて紹介している本を探します。 こういうときに【まず調べる】のは、日本語の解説書などの巻末参考文献です。1970年代に日本でマザーグース・ブームを起こした【資料2-1】は基本文献のひとつで、 巻末に参考文献がありますが、出版年が古いので参考文献はさらに古いものです。 今回は比較的新しい解説書で参考文献がある【資料2-2】や【資料2-3】を見ます。【資料2-2】巻末pp.224-234「付表2 第2次マザーグース・ブーム以降の主なマザーグース関連出版物一覧(1970〜2000)」は、 網羅的なリストに近い優れものです。出版年順に「タイトル」「出版社」「種類」が列記されているので、「種類」欄に「訳詩選集」または「選集」とあるものを最後から見ていくと、 【資料2-4】【資料2-5】が見つかります。【資料2-3】の方も巻末「参考文献」内の「翻訳書など(数多くあるので、主なもの)」から、多くの図書館にある本を調べると、 【資料2-6】があります。また、【資料2-9】は収録数が357篇とやや多いのですが、【資料1-1】と【資料1-2】の編者オーピー夫妻が集めたコンパクトな選集で、 入手しやすいパフィン・ブックの1冊として刊行されているペーパーバックです。 さらに調べる場合は、【資料2-1】と【資料2-3】の参考文献から、洋書の絵本を見てみます。両方に出ていて現在、購入できるものとしては、 【資料2-7】【資料2-8】があります。【資料2-7】はアメリカのロングセラー絵本で50篇収録。【資料2-8】はイギリスのロングセラー絵本で86篇収録。 その他、【資料2-10】のレディバードブックスは小型のハードカバーで、収録された唄を入れ替えながら何回も版を重ねてきたイギリスのロングセラーです。 | |
【資料2-1】マザー・グースの唄 イギリスの伝承童謡
平野敬一著、中公新書275、1972、ISBN978-4-12-100275-4 マザーグースについての全般的概説書。「マザー・グースの唄とは―わが国への紹介と命名の由来」 「イギリスにおける童謡の集成―画期的な三つの業績」「代表的な伝承童謡―その背景と問題点」などの内容で、読みやすくまとめられている。 この本が出る2年前の1970年、【資料2-8】の翻訳が原書とセットで中央公論社から発売され、そこへこの新書が出てブームの火つけとなった。巻末の「参考文献」は、 「I 英米の文献(現在(*)手に入るものに限る) A 研究書」「(同) B 選集」「(同) C 現在市販の絵本」 「II 日本における文献 A 翻訳および選集」「研究および紹介」に分けられている。 *この本が刊行された1972年当時 |
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【資料2-2】マザーグースと日本人
鷲津名都江著、吉川弘文館、2001、ISBN4-642-05529-0 日本へのマザーグース伝来史、大正時代の第一次マザーグース・ブーム、日本のマンガと歌に現れたマザーグース、現在のマザーグース研究の概要を簡潔に紹介した本。 巻末の付表3点(「竹久夢二マザー・グース訳登場作品一覧」(付表1)、図書・絵本などをほぼ網羅した「第二次ブーム以降の主な関連出版物」年表 (付表2)、「コミックスのマザー・グース出典一覧」(付表3))は、 マザーグース学会公式ホームページ内「マザーグース・ライブラリー>『マザーグースと日本人』付録資料」 で公開されている。 |
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【資料2-3】マザーグース・コレクション100
藤野紀男、夏目康子共著、ミネルヴァ書房、2004、ISBN4-623-03920-X 二人の編者が選んだ100篇を「第1章 不思議な唄・残酷な唄」「第2章 ナンセンスな唄」「第3章 子守唄・遊戯唄」「第4章 早口言葉唄・積み上げ唄・なぞなぞ唄」「第5章 男の子・女の子の唄」「第6章 奇妙な人物の唄・おばあさんの唄」「第7章 王・王妃の唄」「第8章 動物・鳥の唄」「第9章 お菓子・食べ物の唄」「第10章 暗記唄」「第11章 物語唄」「第12章 いろいろな唄」の12章に分けて、 邦訳、語注、解説、イラストの紹介をしている解説書。 巻末の参考文献が充実している。 「Primary Sources(一次文献)」には、80点以上の英語の選集や絵本と、日本語の解説書や解説付き学習書12点が掲載されている。 |
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【資料2-4】よりぬきマザーグース
谷川俊太郎訳、岩波少年文庫、2000、ISBN4-00-114068-3、680円(本体価格) 50篇収録。巻頭の「マザーグースについて」で、編者の鷲津名津江が「広く知られているものを五〇篇、厳選」したと書いている。 巻末に原詩と編者による各唄の簡単な解説もあり。 |
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【資料2-5】マザー・グース・ベスト 1〜3
谷川俊太郎訳、草思社、2000 3巻合計で106篇収録。【資料2-1】とともにマザーグース・ブームの起点となった『マザー・グースのうた』5巻本(草思社)から 「有名なものばかり約100篇を選りすぐった」ベスト版。残念ながら品切れなので図書館で借りてください。イラストは5巻本と同じ堀内誠一。巻末に原詩あり。 |
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【資料2-6】オフ・オフ・マザー・グース
和田誠訳、講談社、1989、ISBN4-480-80285-1 68篇収録。残念ながら品切れなので図書館でリクエストしてください。同じタイトルのちくま文庫版(2006)は、続編『またまたマザー・グース』と合体し、 120篇収録しているが、こちらも品切れ中。日本語で、英語と同じ所を押韻させている、こだわりの訳詩集。訳者本人によるイラスト入り。 訳者は【資料1-4】のイラストも描いているが、自身のこの翻訳書では古い木版画風のもので全く違う趣向。 原詩は訳詩のそばに掲載。 ※表紙画像は、上(左)が単行本、下(右)がちくま文庫。 |
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【資料2-7】Richard Scarry's Best Mother Goose Ever,
ill. by Richard Scarry、Western Publishing Company、初版1964、ISBN978-0307155788 50篇収録。1970年代の日本のマザーグース・ブームは、この絵本の谷川俊太郎訳が中央公論社から1970年に発売された後、【資料2-1】が火つけとなった。谷川俊太郎は、 その後1975〜1976年にかけて【資料2-5】の元となった5巻本(草思社)を訳し、爆発的ブームを起こした。スカーリーはアメリカの現代絵本作家で、 「スキャリーおじさんの〜」とタイトルに付く、一連の幼児向け教育的絵本で知られている。歌い出し索引はない。 ※表紙画像とISBNは、Random House Books for Young Readers; Illustrated版、1999のもの |
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【資料2-8】Mother Goose,
ill. by Brian Wildsmith, Oxford University Press, 初版1964、ISBN978-0-19-279611-0 86篇収録。ワイルドスミスは、「色彩の魔術師」と言われた、イギリスの代表的絵本作家。現在、この絵本は改題され、 Brian Wildsmith's Favourite Nursery Rhymes, Oxford University Press, 2009 (ISBN 978-0192727664) として販売されている。 Amazon書店の内容紹介では、ワイルドスミス自身が「over eighty best-loved rhymes」を選んだとある。巻末に歌い出し索引あり。 『石坂浩二のマザーグース』(初版:エム・エ・エム、1992。再刊:講談社、2003。いずれも品切れ)として翻訳出版もされた。 ※表紙画像上(左)とISBNは1987年再刊のペーパーバック版。画像下(右)は改題後のもの |
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【資料2-9】The Puffin Book of Nursery Rhymes,
gathered by Iona and Peter Opie, Penguin Books, 1963, ISBN978-0-14-030200-4 357篇収録。本文のイラストはポーリン・ベインズで、「ナルニア国シリーズ」(C.S.ルイス作、岩波)のイラストを描いた画家。巻末に36篇について、「notes」がある。 さらにpp.205〜208にはキーワード索引「Index of Principal Subjects of the Rhymes」、pp.209〜219には歌い出し索引「Index of First Lines」も収録。 |
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【資料2-10】Hickory dickory dock and other nursery rhymes,
ill. by Jan Smith, Ladybird Books, 1994、ISBN978-1844223169 Humpty Dumpty and other nursery rhymesおよびIncy Wincy Spider and other nursery rhymesとともに、3冊セット「マザーグースコレクション84」として、日本のいずみ書房からCD付きで発売されたこともある、 イギリスのロングセラー小型絵本。各巻28篇、計84篇収録。 現在、この絵本は改題され、Hey Diddle Diddle and other nursery rhymesとなっている。 ※表紙画像とISBNは2004年再刊のリニューアル版 |
Q4 マザーグースを歌いたいので、楽譜かCDの付いている本を知りたい。
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Q5 北原白秋などが大正時代から翻訳しているが、各唄の本邦初訳を調べたいときは? 簡単な翻訳史も知りたい。
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Q6 マザーグースは伝承童謡なのに、作者がいる唄もあるとのことだが本当か。どの唄がそうなのか書いてある本があれば読みたい。
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Q7 マザーグースを取り入れた作品のリストはないか。アガサ・クリスティーのミステリが有名だが、他の人の作品も知りたい。
また、小説以外のリストもあるとよい。
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