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2010フィギュアスケート・バックナンバー


12/24〜26 全日本選手権 (長野)
12/9〜12 ジュニア・グランプリ・ファイナル (北京)
12/9〜12 グランプリ・ファイナル ペア・アイスダンス (北京)
12/9〜12 グランプリ・ファイナル (北京)
11/26〜28 全日本ジュニア選手権 (笠松)
11/26〜28 フランス杯 ペア・アイスダンス (GPシリーズ第6戦・パリ)
11/26〜28 フランス杯 (GPシリーズ第6戦・パリ)
11/19〜21 ロシア杯 ペア・アイスダンス (GPシリーズ第5戦・モスクワ)
11/19〜21 ロシア杯 (GPシリーズ第5戦・モスクワ)
11/12〜14 スケート・アメリカ ペア・アイスダンス (GPシリーズ第4戦・ポートランド)
11/12〜14 スケート・アメリカ (GPシリーズ第4戦・ポートランド)
11/5〜7 中国杯 ペア・アイスダンス (GPシリーズ第3戦・北京)
11/5〜7 中国杯 (GPシリーズ第3戦・北京)
10/29〜31 スケート・カナダ ペア・アイスダンス (GPシリーズ第2戦・キングストン)
10/29〜31 スケート・カナダ (GPシリーズ第2戦・キングストン)
10/22〜24 NHK杯 (GPシリーズ第1戦・名古屋)
3/22〜28 世界フィギュアスケート選手権 (トリノ・イタリア)
3/8〜14 世界ジュニア・フィギュアスケート選手権 (ハーグ・オランダ)
2/24,26 バンクーバーオリンピック・女子 (バンクーバー・カナダ)
2/20,22,23 バンクーバーオリンピック・アイスダンス (バンクーバー・カナダ)
2/17,19 バンクーバーオリンピック・男子 (バンクーバー・カナダ)
2/15〜16 バンクーバーオリンピック・ペア (バンクーバー・カナダ)
1/27〜30 四大陸選手権 (チョンジュ・韓国)
1/18〜24 ヨーロッパ選手権 (タリン・エストニア)
1/15〜23 全米選手権 (スポーケン・ワシントン州)

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フィギュアスケート (2011.2/9,10,11,12)

GPファイナル ペア・アイスダンス (2010.12/8〜12 北京)

 <ペア>SP前半3組は全て初出場で、カナダ、中国、ロシアから。スイ・ハン組(中。中国大会2位、アメリカ大会3位)は、昨季のジュニア王者。ジュニアを一年で駆け抜け、シニア一年目でファイナル進出。アメリカン・カントリーの曲で、最後まで速い滑りで見事なスロージャンプ、リフトとデススパイラルでレベル4をとり、一番滑走ながら技術点34.54、演技構成点26.95、合計61.49でSP4位。イリシェチキナ・マイスラーゼ組(露。カナダ優勝、中国4位)は、一昨年のジュニア王者。「フィガロ」の曲で、スピンはレベル4。ツイストリフトは、中国のようで加点もついたがレベルは2。合計60.06でSP5位。ムアタワーズ・モスコヴィッチ組(加。カナダとアメリカで2位)は、組み替えて二年目でファイナル進出。最後のスピンに入る前、男性が転倒したが、スピンはちゃんとレベル3をとった。合計58.73でSP6位。後半3組は、ロシア、中国、ドイツから。ファイナル初出場のバザロワ・ラリョノフ組(露。NHK杯とフランスで2位)は、きれいなツイストリフトでほぼ全ジャッジから加点2。合計63.86でSP3位。一昨年のファイナル優勝、バンクーバー銀のバン・トン組(中。NHK杯と中国で優勝)は、すごく気持ちの入った、集中した滑りで、ツイストリフトとスロージャンプで加点2〜3。演技構成点もつなぎの要素以外は8点台。技術点35.64、演技構成点32.99、合計68.63でSP2位。バンクーバー銅のサブチェンコ・ソルコピー組(独。アメリカとフランスで優勝)は、ロシア民謡で滑り、ツイストリフトはレベル1だったがステップスピンなどでレベル4、技術点全体で基礎点に9点近い加点、演技構成点は全ての要素で8点台。技術点40.63、演技構成点33.77、合計74.4でダントツでSP1位。
 フリーでは、ムアタワーズ・モスコヴィッチ組は、ソロジャンプで女性が転倒、技術点四番目の59.21、合計110.84でフリー6位。イリシェチキナ・マイスラーゼ組は、最初のスロージャンプで女性が手をついたが、他は加点をもらい、合計117.38でフリー4位。スイ・ハン組はこの組にしては細かいミスが多く、4回転スロージャンプは、おりたがヒザをついてしまい、転倒扱い。少し急いで滑っている印象で、技術点二番目の63.28、演技構成点五番目の55.27、合計117.55でフリー3位。バザロワ・ラリョノフ組は、ファイナル初のメダルの期待が重圧となったのか、冒頭のジャンプで女性が転倒、連続ジャンプでは女性は第二ジャンプが跳べず、男性は転倒。演技構成点後半は立ち直ったが、技術点五番目の57.4、演技構成点三番目の57.54、合計112.94でフリー5位に転落。バン・トン組は、どうも調子がよくない。冒頭の連続ダブルアクセルでは男性が第二ジャンプ1回転。ソロジャンプでは女性が2回転。スピンもひとつ無得点になり、技術点最下位の55.2、演技構成点二番目の66.1、合計121.3のフリー2位。サブチェンコ・ソルコピー組は、余裕の「ピンクパンサー」。冒頭のスロージャンプは、半分のジャッジから加点3。ツイストはやはりレベル1だが、デススパイラル、リフトはレベル4。技術点、演技構成点とも最高の67.48、68.84、合計136.32と別世界の得点で、ファイナル王者に返り咲き。ペア大国ロシア、初出場でのメダルならず。スイ・ハン組は初出場で表彰台。地の利が運を引き寄せたか。

 <アイスダンス>6組中前半3組はファイナル初出場。ショートダンスの一番滑走は、ハンガリーのホフマン・ザボジン組
(中国4位、ロシア2位)。とても緊張しているようで、ていねいに滑ったが勢いはなかった。しかしツイズルやリフトでレベル4、他もレベル3にまとめ、技術点30.21、合計55.98でSD3位から。ウィーバー・ポジェ組(加。NHK杯2位、アメリカ4位)も滑り出しは滑らかでリラックスできているようだったが、だんだんスピードが落ち、ツイズルで女性が2回転したところで足をついてしまいレベル2。合計55.51でSD5位。ボブロワ・ソロビエフ組(露。中国2位、ロシア優勝)は、冒頭のツイズルで男性が大きくよろけてレベル2。テレ朝チャンネルの解説、木戸さんが「この北京の会場の氷は、柔らかく、スケートの刃が深くくいこみ、滑りにくいのかもしれない」という。合計54.33でSD6位。昨年のファイナルは6位だったクローン・ポワリエ組(加。カナダ優勝、アメリカ2位)は、冒頭の女性を逆さづりにする回転リフトはレベル4で加点も1〜2ついたが、他はレベル2と3で、技術点最下位の26.86、合計54.84のSD5位から。昨年のファイナルで3位のペシャラ・ブルザ組(仏。中国とフランスで優勝)は、いきなりレベル4のツイズルで加点も半数以上から2。技術点33.29、演技構成点32.37、合計65.66と、3位とは10点近い差のSD2位。昨年のファイナルで優勝したデイヴィス・ホワイト組(米。NHK杯とアメリカで優勝)は、ストレートステップ以外はレベル4。回転リフトは加点3のジャッジも二人。演技構成点では全ての要素で8〜9点台。木戸さんは「昨年までは速かったが丁寧さが弱かった」という。技術点34.42、演技構成点34.22、合計68.64でSD1位。3位から6位は1.7点差内に4組がひしめき接戦となった。
 フリーでは、ボブロワ・ソロビエフ組がまたしても冒頭のツイズルで男性がよろけた。減点-1〜-3。他はだいたいレベル3と4にまとめて技術点40.84、演技構成点42.14、合計82.42でフリー4位と少し挽回。赤と青の衣装のクローン・ポワリエ組は、木戸さんが「二人ともツイズルの軸がしっかりとれていて上手」。技術点42.78、演技構成点42.18、合計84.92でフリー3位とやや挽回。ウィーバー・ポジェ組はなかなか上手く滑れたと思うが、点が伸びず、フリー5位。ハンガリーのホフマン・ザボジン組は、冒頭のスピンとツイズルはレベル4と出だしはよかったが、最後のストレートステップで男性が二度ほどよろめき、技術点37.13、演技構成点38.96、合計76.09でフリー最下位に。ペシャラ・ブルザ組は、二つのステップ以外はレベル4をそろえ、全体で加点が6.5。演技構成点も全ての要素で8点台と高いレベルを示して、技術点46.5、演技構成点49.94、合計96.44で3位と11点以上の差。しかし、デイヴィス・ホワイト組は、ステップひとつ以外は全てレベル4、加点も各要素2〜3で全体として8.65。演技構成点も全て8点台後半で、音楽表現は9点にのせた。技術点50.15、52.79、合計102.94で2位と6.5点の差をつけてフリー1位、ファイナル連覇した。だが、木戸さんは「デイヴィス・ホワイト組の速さという長所は弱点でもある。丁寧にやると速さが失われるから」と言う。


フィギュアスケート (2011.2/2,3,5,7)

フランス杯 ペア・アイスダンス (2010.11/25〜28 パリ) GPシリーズ第6戦

 <ペア>7組参加。前半3組は、まだジュニアと掛け持ちの組ばかり。女性の年齢が15〜17歳。ペアの競技人口が少ないので、ISUが各国にジュニアの参加を呼びかけているのかもしれない。後半最初のバザロワ・ラリョノフ組(露。17歳と24歳)は、若いながらも、ペア伝統国ロシアの名に恥じぬ内容。高い3回転ツイスト、ぴったり合った速いスピン(レベル4に加点1〜2)、ノーミスで技術点一番の36.47、演技構成点二羽目の27.71、合計64.18でSP2位。組み替えて3年目のハウシュ・ウエンデ組(独)は、女性が重そうだったが、ストレートステップ、リフト、スピンでレベル4、合計54.02で3位。組んで5年目のブロデュール・マタタール組(加)は、3回転ジャンプで女性が回転不足で転倒、続くスロージャンプでも転倒。急遽参加したNHK杯より調子はよさそうだったが、合計45.47の不本意な得点でSP4位。サブチェンコ・ソルコビー組は、貫禄の演技。ソロジャンプで女性が手をついたがあとは加点1〜2がつく出来で、SP1位。
 フリーは、ブロデュール・マタタール組が前半組とは違うスピードのある滑り。スロージャンプで転倒したが、デススパイラルとスピン、リフトなどレベル4で全体によい演技でメダルをねらったがフリー4位。ハウシュ・ウエンデ組は「ペルシャの王子」という曲で、ほぼノーミスの演技。リフトのひとつで下ろすときバランスを欠いたものがあったが、合計103.4と初めて100点台に乗せ、フリー3位。バザロワ・ラリョノフ組は、中国並みに高さのあるツイストリフトが得意。珍しくスロージャンプで転倒したが、リフトは三つとも上がり方、下ろし方に工夫がありレベル4で加点もつき、技術点61.84、演技構成点57.99、合計118.82でフリー2位。これでファイナル確定。サブチェンコ・ソルコビー組は、「ビンクパンサー」の曲で、冒頭のスロージャンプは、豪快な高さで見事に決め、連続3回転ジャンプの第二ジャンプで女性が着氷が不安定だったがもちこたえ、ツイストリフトだけ減点評価だったが、スピンなど速いのにぴったり合い、技術点65.41、演技構成点65.82、合計131.23の差を広げてのフリー1位、総合優勝。もちろんファイナルも決定。

 <アイスダンス>8組参加。当初、バンクーバー金メダルのヴァーチュー・モイヤー組(加)がエントリーしていたが不参加。三番滑走のリアザノワ・トカチェンコ組(露。19歳と24歳)は、男性の上着の裾が長い衣装。ミッドラインステップとパターンダンスでレベル3、ツイズルとリフトでレベル4をとり、技術点32.09、演技構成点28.72、合計60.81でSD2位。今季からシニア参戦のラルフ・ヒル組(加)は「シンデレラ」の曲で滑り、合計50.5で6位から。テレ朝チャンネルの解説、木戸さんは「シニア・デビューの組は覚えてもらわなければならないので派手な衣装を着ている」と言う。地元フランスのキャロン・ジョーンズ組は、ツイズルやリフトでレベル4、「エッジが浅い」と言われたミッドラインステップはレベル1だったが合計53.36で4位。コウ(フアン)・キントウ・テイ(ゼン)・ジン組(中)は「ずいぶんうまくなった」と言われたが、ミッドラインステップとパターンダンス前半がレベル2で基礎点が伸びず、合計49.55で7位から。アメリカの若手チョーク・ズーライン組(18,22)は、コーチがヴァーチュー・モイヤー組と同じシュピルバンドさん。ピアフの「パタン・パダン」の曲に乗せたパターンダンスは前後半ともレベル4。リフトもレベル4、ツイズルとステップはレベル3とまとめ、合計58.09でSD3位。2位以内でファイナル進出。5位以内ならファイナル進出というペシャラ・ブルザ組(仏)は、余裕の演技でSD1位。ミッドラインステップだけレベル2だったが、残りの要素は全てレベル4、ノーミスで加点も全ジャッジから1〜2。基礎点に4点以上上積みし、技術点33.24、演技構成点32.24、合計65.48。
 フリーでは、黄(フアン)・鄭(ゼン)組が「雨に歌えば」の曲で少し巻き返してフリー5位。木戸さんは「初めてテーマのある曲で滑り、表現も上手くなった」と言う。世界で10番台の選手も、少し品が悪いくらいの衣装でインパクトを与えることも必要とのこと。女性のピンクの羽衣のようなドレス、男性の普段着のようなベストは印象不足か。ラルフ・ヒル組は「サマータイム」の曲。ツイズルも含めて終始スピードが落ちず深いエッジで滑りきり、フリー6位。キャロン・ジョーンズ組は、赤い衣装に斜めに黒のビーズでライン。「黒く塗れ」の曲を表わしたものだが、木戸さんによれば「体のラインが出るのでとてもよい姿勢でないとかえって悪く見える」と言う。男性がツイズルの直前に転倒し、フリー4位。チョーク・ズーライン組も途中で女性が男性に引っ張られた形で転倒。「キャバレー」の曲で、衣装もメイクもよく表現していたが、技術点41.26、演技構成点40.13、合計80.39でフリー3位。ファイナルは逃す。リアザノワ・トカチェンコ組、スペイン風のダンスでミスなく滑り、技術点41.44、演技構成点44.54、合計85.98でフリー2位。足首が硬いので動きが固く見える。ペシャラ・ブルザ組は、チャップリンの「街の灯」の曲で、女性が目の見えないパントマイムから入り、全ての要素をレベル3〜4でまとめ、なおかつスピード、表現力とも申し分なく、技術点46.09、演技構成点50.25、合計96.34でフリー1位にもあまり喜ばず、堂々の優勝。


フィギュアスケート (2011.1/23,24,27,28)

ロシア杯 ペア・アイスダンス (2010.11/18〜21 モスクワ) GP第5戦

 <ペア>8組参加。内ロシアが3組。びっくりしたのは、二番手だったムホルトワ・トランコフ組は引退したとのこと。SP一番滑走は、ゲルボルト・エンベルト組(露。21歳と21歳)。ここが2010年春に組んだばかりとは思えない演技。ゲルボルトはシングルの選手で欧州選手権で6位になった。ツイストリフトだけは抱えてしまったが、あとはていねいにまとめ、技術点三番目の29.62、演技構成点五番目の24.0、合計53.62でSP3位。解説の若松さんが現役時代カナダでジュニアの頃から知っているローレンス・スウィガー組(加。20歳と23歳)は、組んで6年。ソロジャンプで二人とも転倒したが、その他はノーミスで技術点四番目の28.73、演技構成点四番目の24.94、合計51.67でSP5位。9年目のエボラ・レドウィク組(米。26歳と30歳)は「ゾロ」の曲で滑り、演技構成点三番目の25.2でSP4位。今季もジュニアとかけもちながら、シニアでも勝ちに行くという高橋・トラン組は、7番目に登場。冒頭の3回転サルコウで高橋が少し回転不足で着氷がくらついたが踏ん張り、70%から減点-1〜-2だったが、他はすばらしいできでレベル4に加点も1〜2。高橋は終わった途端、ガッツポーズ。演技構成点も殆どの要素で6点台後半が出て、技術点二番目の29.7、演技構成点も二番目の26.2、合計55.9でSP2位。シーズン前に肩の手術をした川口と、足の付け根を二回も傷めたスミルノフの組は、9月末から練習を始めたばかりで滑れるのが嬉しいとか。練習では全然決まらなかったという3回転ループスロージャンプは、きれいに決まり、加点も2。技術点、演技構成点とも最高の32.49と29.42、合計61.91で堂々の1位。

 フリーでは、後半最初のエボラ・レドウィク組は基本の滑りのスピードが速い。ソロジャンプで女性が回転不足で転倒。ダブルアクセルからの三連続ジャンプは第一ジャンプが70%評価。しかし他は、三つとも後半に決めたリフトを含めて加点のつくできで、技術点一番の57.62、演技構成点四番目の53.65、合計110.27のフリー2位、総合3位。初の表彰台を狙ったSP3位のゲルボルト・エンベルト組は、冒頭の連続ジャンプで女性がステップアウトして第二ジャンプが入らず。全体にかたくなったのかミスが多く、技術点四番目、演技構成点構成点三番目でエボラ・レドウィク組を超えられずフリー4位、メダル争いから脱落。高橋・トラン組は、冒頭の3回転サルコウで高橋が転倒。後半のダブルアクセルからの連続ジャンプも高橋がステップアウトして第二ジャンプが入らず。しかしスロージャンプは二つとも決め、ツイストリフトは2回転だがレベル4、加点が1〜3ついた。スピンやリフトに加え、デススパイラルもレベル4の組は殆どいない。技術点三番目の55.31、演技構成点二番目の55.26、合計109.57の自己ベスト更新でフリー3位、総合2位。川口・スミルノフ組は、ドビュッシーの「月光」の曲で滑ったが、やはり別格。スロージャンプは二つともきれいに決まり、ソロスピンは驚くほどぴったり合い、連続ダブルアクセルも決まった。ツイストリフトとデススパイラルがレベル1、三つ目のリフトが無得点になったが、演技構成点は、パフォーマンス、振り付け、音楽表現の要素で全員が8点台の高い評価。技術点二番目の56.03、演技構成点ダントツの64.76、合計120.79で優勝。怪我のため、出場するGPシリーズはこれひとつだがバンクーバー4位の貫禄を見せた。

 <アイスダンス>8組のうち3組がロシア。最初のポール・イスラム組(加。19,20)は、なぜかタンゴの「ラ・クンパルシータ」の曲で、パターンダンスのワルツを踊る。ステップで女性が転倒、リフトの時間オーバーもありSD8位から。イリニク・カツラポフ組(露。16,19)は、ツイズルはレベル4で加点も2〜3とったが、リフトにうまく入れず、減点-1〜-3。SD6位。失敗の後はできるだけ早く再開するのが肝心らしいが、ふた組とも、次の要素が始まるまで待ってしまった。ゴルシュコワ・ブチコフ組(露。21,23)も前に見たときよりうまくなっている。合計51.97の今季最高でSD4位。ボブロワ・ソロビエフ組(露。20,21)は、2000年に組んで10年目。スピードにのったままツイズル、リフトは加点を1〜2もらい、技術点最高の31.22、演技構成点二番目の29.58でSD1位。ハンガリーのホフマン・ザボジン組も前に見たときより「一体感が増した。」やはりお互いに違う相手とスタイルを作った後に組み替えると、なじむまでに二〜三年かかるという。パターンダンスをコンパルソリーのように丁寧に滑り、技術点二番目の29.21、演技構成点三番目の28.03、合計57.24の今季最高でSD3位。ハベル兄妹は丁寧にやったが、勢いがなかった。SD5位。解説の木戸さんには、「昔のカナダの二番手三番手がこういう無難な感じのダンスだった」と言われてしまう。トリはファイエラ・スカリ組(伊)。やはりツイズルはぎこちないが、パターンダンスは、他の若手たちはリズムが後追い気味なのに、速いまま楽々と滑ったのはさすが。木戸さんによれば、「昨季コーチを変えて、基本の滑りから改造中」とのこと。技術点は四番目の26.93、演技構成点最高の30.72、合計60.8は自己ベスト更新でSD2位。

 フリーでなんと3組も欠場。ポール・イスラム組、ハベル兄妹、ファイエラ・スカリ組。いずれも男性の怪我。イリニク・カツラポフ組は、「ドン・キホーテ」の曲で、ていねいなのに速くて快心のでき。バレエのチュチュのような女性の衣装も素敵。リフト、ツイズル、スピンは全てレベル4で加点。技術点二番目の45.19、演技構成点三番目の40.49、合計85.65の自己ベスト更新でフリー2位、総合3位。ゴルシュコワ・ブチコフ組は、スケートはよく滑るし、姿勢もいい。ただし足首が硬いので全体の動きが固く見える、と木戸さん。技術点、演技構成点とも四番目の合計75.5でフリー4位。ホフマン・ザボジン組は、冒頭のスピン、ツイズル、リフトは三つともレベル4で加点。技術点三番目の42.36、演技構成点二番目の42.49、合計85.65と自己ベストを大幅に更新してフリー3位、総合2位。ボブロワ・ソロビエフ組は、ツイズルはほんの少しずれたが滑らかに速く回っていてレベル4。リフトも四つともレベル4で加点。演技構成点では音楽表現の要素で8点台を出し、技術点、演技構成点ととも一番の46.9と46.6、合計93.53でフリーも1位、初優勝でファイナル進出も決定。


フィギュアスケート (2011.1/19,20,21,22)

スケート・アメリカ ペア・アイスダンス (2010.11/11〜14 ポートランド) GP第4戦

 <ペア>8組参加。うち地元アメリカが3組。以前全米王者だったマクラフリン・ブルベイカー組は解散したとのこと。最初のザン・トス組(米。17歳と22歳)は、昨季の全米ジュニア王者。ドビュッシーの曲で滑り、6位から。ムアタワーズ・モスコヴィッチ組(加。18歳と26歳)は、「その男ゾルバ」の曲で切れ味のいい、速い滑りで、スロージャンプは加点3をつけた人もいて、技術点最高の35.33、演技構成点26.31、合計61.64でSP2位。中国の超新星、スイ・ハン組(15,18)は、相変わらずずっと速いステップを踏みながらのツイストリフトにスロージャンプなど、今回は転倒もなく滑りきったが、リフトでスムーズにあがらなかった。解説の若松さんは「中国大会よりスピードがない」と言う。技術点32.02、演技構成点25.51、合計57.53の4位。今やアメリカのトップペアとなったデニー・バレット組(17歳と26歳)は、バンクーバー13位、世界選手権7位の実績で自信がついたよう。技術点32.46、演技構成点26.03、合計58.49でSP3位。最後は、サブチェンコ・ソルコビー組(独)。まだ新しいプログラムを確認するように丁寧に演技。ソロジャンプで女性が2回転だった。それでも技術点二番目の32.84、演技構成点最高の31.15、合計63.99で貫禄の1位スタート。
 フリーでは、カステッリ・シュナパー組(米。20歳と23歳)は男性が193cmの長身。SPでは男性の足下が不安定な場面もあったが、フリーは「アバター」の曲でスロートリプルアクセルにも挑戦、両手はついたが回っていた。フリー5位。SP5位のストルボワ・クリモフ組(露。18歳と20歳)は、三連続ジャンプを決めた。リフトは三つともレベル4だったがスロージャンプで転倒し、フリー6位。スイ・ハン組はスロー4回転サルコウに挑戦、両足着氷だが基礎点8点から-1.57。後半のスロージャンプはSP同様、度肝を抜くほどの高さで余裕の着氷、全ジャッジが加点2以上。チャップリンらしくはなかったが技術点は二番目の61.74、演技構成点は四番目の50.8、合計112.54でフリー3位、総合も3位。ファイナル進出なるか。デニー・バレット組は、ソロジャンプで回転が70%評価、一つ目のスロールッツジャンプはよかったが、二つ目のスローループで転倒。連続ダブルアクセルでは男性が第一ジャンプが1回転。技術点55.17、演技構成点53.76、合計107.93でフリー4位に後退、総合も4位で初のメダルを逃した。ムアタワーズ・モスコヴィッチ組は、ソロジャンプで二人ともステップアウト。しかし後は、しゃがんだ姿勢から立ち上がる独特のリフトを含めてほぼノーミスで、技術点三番目の58.58、演技構成点二番目の55.26、合計113.84でフリー2位、総合2位。これでファイナルは確実に。サブチェンコ・ソルコビー組は「ピンクパンサー」の曲で、軽快に滑りきった。冒頭のスロージャンプを軽やかに美しく決め、加点が2〜3。次の連続3回転の第二ジャンプで男性がステップアウトしたが、ミスはそれだけで、他は加点が2つくのはザラで、演技構成点は全ての要素が8点台。技術点最高の66.12、演技構成点は驚異的な67.59、合計133.71で優勝。

 <アイスダンス>9組参加。前半グループでは、クームズ・バックランド(英)は身長差がリフトでは有利だが「ステップでは男性がもっとひざを曲げないといけない」と、テレ朝チャンネルの解説の木戸さんに言われていた。日本のリード姉弟は後半グループの最初。またしても男性がツイズルで失敗。回り始めた途端、大きくバランスを崩して足をついてしまい、反対回りは無事にやったがレベル1。減点も-1〜-2。技術点23.43、演技構成点21.97、合計44.4で8位。シニアデビューのシブタニ兄妹は、高速ツイズルがぴったり合っていてすごい。レベル4で加点も2が多い。しかしパターンダンスが固くてリズムに遅れがち。技術点は三番目の30.08、演技構成点五番目の26.38、合計56.46の4位。ウィーバー・ポジェ組(加)は正統派のワルツを見せ、滑らかにクイックステップにつないだ。技術点最高の32.42、演技構成点三番目の27.06、合計59.48で3位。クローン・ポワリエ組(加)は、逆さづり回転リフトから入り、加点2。全体に速いが固いと、木戸さんからは「足首をもっと使うとレベルが上がる」と言われる。技術点二番目の30.392、演技構成点29.49、合計60.41で2位。カナダのふた組は、演技構成点の差が出た。デイヴィス・ホワイト組(米)は、速いだけでなく、滑らかに要素をつないだが、ツイズルの後半で男性が二回転した後よろけて片手をついた。技術点四番目の30.0、演技構成点最高の33.62、合計63.62でSD1位。
 フリーでは、リード姉弟は前回ミスしたツイズルを含め、ほぼミスなく滑り、フリー7位、総合7位でひとつ順位を上げた。シブタニ兄妹は、スピン、高速ツイズル、リフト三つでレベル4をとり加点も1〜2、技術点最高の46.79、演技構成点三番目の41.56、合計88.35の今季最高でフリー3位、逆転で総合3位。ウィーバー・ポジェ組は、リフトの時間オーバーがあり、技術点42.58、演技構成点41.28、合計82.86でフリー4位に後退。クローン・ポワリエ組はビートルズの曲で快調に滑っていたが、最後の方の要素でないところで男性が転倒。解説の木戸さんは「この組の弱点は体が硬いこと」と言う。赤と青の衣装も直線的なデザインで弱点をカバーしているとのこと。技術点二番目の45.25、演技構成点も二番目の44.42、合計88.67でフリー2位、総合2位。デイヴィス・ホワイト組は、なんと最後の要素でないところでジャッジ席正面でふたりとも転倒。木戸さんは「エッジの上に体重が乗っていれば防げた」と言う。リフトの時間オーバーもあり、全体からの減点が3。それでも技術点三番目の45.16、演技構成点最高の50.9、合計93.06で優勝。ファイナル進出。


フィギュアスケート (2011.1/15,16)

中国杯 ペア・アイスダンス (2010.11/4-7 北京) GP第3戦

 <ペア>8組参加。地元の中国からは3組。張・張組は怪我のため不参加で、代わりにスケート・カナダにも出た北京を拠点とするドン・ウー組が出場。SPでは、前半組の三番目にロシアのイリシェチキナ・マイスラーデ組(露。19歳と21歳)が出てきた。最後が時間オーバーで減点1あったが、SP4位。次のヤンカウスカス・コーフリン組(米。20歳と24歳)は、2007年から組んでいる。技術点二番目の31.2、演技構成点も二番目の26.66、合計57.86で自己ベストを更新してSP3位。後半の4組に中国が3組。最初のドン・ウー組(21,23)は、中国にしてはつたない出来で、技術点最下位の21.74、合計46.05でSP7位。続けてノービスから二年で駆け上がってきたスイ・ハン組(15,18)は滑りのスピードも速く、ツイストリフト、スロージャンプ、みな高く、技術点最高の35.57、演技構成点四番目の26.01、合計59.58でSP2位。これで、要素でないところで二人とも転倒して全体から2点が減点されているのだから驚き。トリはパン・トン組(30,31)。冒頭のソロジャンプでミスがあったが、ショパンの「ノクターン」の曲で優雅に滑り、技術点四番目の31.13、演技構成点最高の30.49、合計60.62でSP1位。
 フリーでは、ドン・ウー組は、冒頭のジャンプが女性の転倒でコンビにならず、最後はリフトがあがらず無得点に。地元開催で固くなっていた。フリーも7位。後半最初のイリシェチキナ・マイスラーデ組は、冒頭のソロジャンプが70%。連続ジャンプも乱れ減点2の評価。技術点53.26、演技構成点52.98、合計106.24でフリー4位。表彰台には手が届かず。ヤンカウスカス・コーフリン組は、二つ目のスロージャンプで転倒しただけで、技術点三番目の55.7、演技構成点は二番目の54.16、合計108.86でフリー3位。スイ・ハン組は、さすがに緊張した表情で、珍しく冒頭の連続ダブルアクセルで女性が転倒。しかし次のスロージャンプでは両足着氷ながら4回転サルコウを成功。減点1〜2はあったが基礎点が8もある大技。しかしソロジャンプで今度は男性が転倒。それでも後は加点評価で、技術点最高の61.04、演技構成点四番目の52.85、合計111.89を出して堂々のフリー2位。最後のパン・トン組は、明らかに好調ではなかったが、冒頭の連続ダブルアクセルで女性が転倒したのと最後のデススパイラルで二週目の最後で足をついてしまった以外は、集中力と表現力を見せ、技術点三番目の55.04、演技構成点ダントツの62.84、合計116.88でフリーも1位、連続優勝でGPファイナル一番乗りを決めた。

 <アイスダンス>10組参加。内中国から3組。前半では、四番目のホフマン・ザボジン組(ハンガリー。25歳と25歳)がそこまでの3組と滑りが違い、速さ、エッジの使い方、技術など抜けていた。パターンダンスはゴールデンワルツだが、少し固かった。演技構成点もほぼ6点台後半にそろえ、合計52.69でSD4位から。前半最後の若いラルフ・ヒル組(加。18歳と19歳)は、シニアデビュー。ジュニアのときは男性の方がずっとうまかったが、大きなミスなくたいへん滑らかな滑りで6位。後半最初のボブロワ・ソロビエフ組(露。20歳と21歳)は、冒頭のツイズルが少しずれた。あとはさすがロシアというできで技術点二番目の27.93、演技構成点三番目の28.92、合計55.85でSD3位だが不満そうだった。フアン・ゼン組(中。23歳と23歳)は、バンクーバー19位、四大陸選手権4位、国内2位だが参加した3組中、一番うまいと思う。ツイズルはずれたが、よく滑らかに進んでいた。演技構成点の要素はほぼ6点台なのに合計49.7は、加点が少ないせいか。SD5位。ハベル兄妹(米。19歳と21歳)は、アダムスファミリーの曲。男性の足が疲れてきたら、ステップで転倒。SD8位。ファイエラ・スカリ組(伊)は、まだSDは滑り込みが足りない感じ。パターンダンスの最中で女性のドレスのすそが男性のブレードにひっかかるアクシデント。しかし落ち着いてはずしてすぐに演技に戻ったのはさすが。技術点26.28、演技構成点二番目の30.93、合計57.21で2位。最後のペシャラ・ブルザ組(仏。27歳と30歳)は、2009年からロシアに拠点を移しズーリン・コーチの教えを受ける。前は特に男性が荒削りな印象だったが年々うまくなり、演技構成点のうち振り付けは8点台。技術点、演技構成点とも30点台はここだけで、32.71、31.41、合計64.12で堂々SD1位。
 フリーでは、ハベル兄妹は多少巻き返してフリー5位、総合6位。ラルフ・ヒル組は「サマータイム」の曲でフリー7位。解説の木戸さんが「後半でエッジが浅くなる」との指摘。フアン・ゼン組は「雨に歌えば」の曲で、特に男性が軽やかに滑り、フリー6位。ホフマン・ザボジン組は「ジプシーの魔女」の曲で、ホフマンの表情に迫力があり、相変わらずザボジンのツイズルが遅れ気味で技術点六番目の37.28ながら、演技構成点は四番目の40.85、合計78.13でフリー4位。ボブロワ・ソロビエフ組は、ここもツイズルがずれているが、リフト、ステップ、スピン全てレベル3〜4で、技術点44.71、演技構成点44.83、合計89.54の高得点でフリー2位、総合2位。ファイエラ・スカリ組は、しゃがんだリフトでまた女性のドリスを男性が踏んで、二人とも転倒。技術点37.86、7演技構成点44.83、合計82.31はフリー3位、総合3位。ペシャラ・ブルザ組は、チャップリンの「町の灯」の曲で、まだ細かいミスはあるものの、技術点46.92、演技構成点48.55、合計95.47でフリーも1位、優勝。2位とは14点以上差をつけた。


フィギュアスケート (2011.1/13,14,)

スケート・カナダ ペア・アイスダンス (2010.10/28-31 キングストン)

 <ペア>8組参加。前半4組中3組が地元カナダ。一番滑走のテュハメル・ラドフォード組(加)は、昨年まで女性はブンタンと組んでバンクーバー五輪にも出たが、男性が引退したので昨年組み替えたばかり。SP4位。ローレンス・スウィガー組(加。20歳と23歳)は、二年前の世界ジュニア4位。SP3位。イリシェチキナ・マイスラーデ組(露。18歳と21歳)は、二年前の世界ジュニア王者。「フィガロの結婚」の曲でSP1位。カステッリ・シナピュア組(米。20歳と23歳)は、二年前の世界ジュニア3位。ピンク・フロイドの曲で現代的な振り付けでSP2位。ケンプ・キング組(英。22歳と26歳)は、バンクーバー16位。しかしスピードもなく、全ての要素で減点評価がつき、最下位から。
 前半組最後のムア=タワーズ・モスコヴィッチ組(加。18歳と26歳)は、「レ・ミゼラブル」の曲で、フリー1位。確かこの組だと思うが男性がしゃがんだ姿勢で女性をリフトしそのまま立ち上がった。解説の若松さんも「初めて見た形」と言っていた。ソロジャンプで女性が転倒したが、あとは快心の出来で、技術点62.59はダントツ、演技構成点55.65、合計117.24、総合2位に浮上。テュハメル・ラドフォード組は組んで1年たたないわりに合っていて、女性がソロジャンプを両方ともとび損なった以外はまあまあで、フリー4位。ローレンス・スウィガー組もジャンプが鬼門。女性が転倒と回転不足。スピンとリフトはレベル4でフリー3位、総合3位。SP2位のカステッリ・シュナパー組は、「アバター」の曲でスロートリプルアクセルに挑戦したが転倒。ソロジャンプもステップアウトなどで減点。フリー5位。SP1位のイリシェチキナ・マイスラーデ組の冒頭が圧巻。3回転フリップのソロジャンプを決めると、すぐに3回転ツイストリフト。続けて3回転トーループと2回転のシークエンス。3回転ルッツスロージャンプで片手をついたがあとは殆どミスなし。最後の方でコリオスパイラルの最中、男性があげていた足がを落としてしまい、無得点になったが、技術点56.79、演技構成点53.89、合計110.68でフリー2位、総合1位。

 <アイスダンス>9組参加。解説の木戸さんのおかげで今季のパターンダンスはゴールデンワルツと判明。クリエイティブ・パートは、フォックストロット、クイックステップ、ワルツ、タンゴから選ぶ。地元カナダの若手ポール・イスラム組(19,20)は、昨季世界ジュニア2位。クリエイティブ・パートはタンゴ。パターンダンスの前半部分で女性がスリップして減点。6位から。後半最初のキャロン・ジョーンズ組(仏)は、昨年組んだばかり。やっぱり男性の方が上手い。フリー3位。クローン・ポワリエ組(20,19)は、バンクーバー14位、世界選手権7位。いきなり女性がヒザで逆さにぶら下がる回転リフトから入った。パターンダンスの後半部分でレベル4もとり、全体で加点が4.5ついて、技術点最高の34.0、演技構成点28.95、合計62.95でSD2位。最終滑走はカー姉弟(32,30)。バンクーバー8位、世界選手権5位の実力者。しかし、解説の木戸さんによれば基本の滑りをもっと鍛えた方がいいらしい。回転するとき体を振り回して回るのではなく、エッジに乗せた体重移動で回るのが理想らしい。確かにそうできればツイズルが安定するだろう。技術点二番目の31.95、演技構成点最高の31.04、合計62.96で僅差の1位。
 フリーは、前半組最後のポール・イスラム組、それまでの3組に比べて氷を削る音がほとんどしなかった。スピードも最後まで速く、技術点最高の45.99、演技構成点41.72、合計87.61でフリーだけだと2位、総合4位。惜しかった。チョーク・ズーライン組(米)は、変わった衣装で、フリー4位だが総合3位。クローン・ポワリエ組は鮮やかな赤と青の衣装で、ビートルズの「エリナー・リグビー」の曲で、技術点二番目の45.73、演技構成点も二番目の45.73、合計91.47でフリー1位、初優勝。カー姉弟は、さすがの雰囲気作りだったが、最後の方のリフトで、女性が男性の腿の上に立つことができずに減点。技術点は6番目の39.36だったが演技構成点は最高の47.48、合計86.84のフリー2位で総合2位。GPシリーズ初優勝のチャンスだったが、残念なことに自滅で逃した。


フィギュアスケート (2010.12/28,2011.1/7,9,11)

ジュニアグランプリファイナル (2010.12/9〜12 北京)

 <男子シングル>8人出場。転倒する選手が多く、なんだかがっかり。後半組の地元中国の14歳、ハン・ヤンがよかった。まだトリプルアクセルは跳べないが、SP2位、フリー3位で総合2位。優勝はSP、フリーとも1位の19歳、ドーンブッシュ(米)。3位は、SP7位と出遅れたがフリー2位と挽回したカナダの17歳、ロゴジン。

 <女子シングル>8人出場。日本からは庄司が参加。前半組は、地元中国の13歳、李とアメリカ人三人。アメリカからは中国系らしい二人とインド系のような選手。一番滑走の李がダブルアクセルが70%だったが、SP5位。後半組は、庄司とロシア人三人。去年の村上の時と同じようだ。シェルペン(露。15歳)は、昨年SP1位だったが、今年はルッツからの連続3回転を決めてもSP3位。庄司もサルコウからの連続3回転を決めたが単独のループで70%、SP4位から。ツクタミシェワ(露。14歳)はイスラム調の曲でSP2位。ソトニコワ(露。14歳)は、シュトラウスのワルツで、ルッツからの連続3回転はeマークだったがスピンは三つともレベル4で加点もつき、技術点、演技構成点とも一番でSP1位。ロシア女子は次々に若手が出てきてすごい。
 フリーは、前半の組のガオ(米)が連続3回転などでフリー3位。庄司が後半グループ最初。冒頭のルッツは70%でeマーク。フリップもループも70%。スピンは二つレベル4で加点もついたが、技術点47.26、演技構成点50.0、合計97.26と100点台に乗らず、フリー5位、総合4位。総合3位の李と総合点は同じだったが、フリーが低くて4位。シェルベンは、最初のダブルアクセルからの連続ジャンプは決めたが、ルッツで転倒。フリップがeマークで、二つ目のルッツは70%の上、第二ジャンプが1回転に。フリー6位に沈んだ。ツクタミシェワは冒頭の連続ジャンプで転倒したが三連続ジャンプ、連続ダブルアクセル、演技構成点全ての要素が6.5以上で、技術点56.06、演技構成点52.05、合計107.11のフリー2位、総合2位。ソトニコワも、後半に転倒したが、ダブルアクセルからの連続ジャンプは全員が加点2、スピン三つともレベル4で加点1〜2。技術点59.73、演技構成点53.81、合計112.54で優勝。

   <ペア>高橋・トラン組が初優勝。昨季のジュニア王者のスイ・ハン組は、シニアに出場。8組中3組がカナダ。2組がロシア。地元中国、日本、アメリカからひと組ずつ。ふたを開けてみれば、高橋・トラン組とロシアのストルボワ・クリモフ組の一騎打ちの感じだった。演技構成点の全ての要素でほぼ6点台をそろえているのが、このふた組だけ。高橋たちは、冒頭のダブルアクセルで女性が転倒したが、ダブルツイスト、スピン、リフト、デススパイラルでレベル4の上、加点。技術点29.91、演技構成点25.03、合計53.94でSP1位。最終滑走のストルボワ・クリモフ組もダブルアクセルで転倒したが、ステップやスピンでも減点があり、技術点26.2、演技構成点24.43、合計49.63でSP2位。
 フリーでも、高橋たちは、冒頭のダブルアクセルで女性が転倒したが、他の組を圧倒するスピードと技量があった。二つ目のスロージャンプで減点があったが、技術点二番目の51.17、演技構成点55.41、合計105.58で2位と差を広げて初優勝。ストルボワ・クリモフ組は、連続ジャンプの第二ジャンプでの転倒が痛かった。技術点三番目の49.06、演技構成点52.85、合計100.91で、100点台を出したのはこのふた組だけ。高橋たちは、今季シニアで滑ってきて、すごく成長したと思う。

 <アイスダンス>8組中6組がロシア。ウクライナがひと組とアメリカがひと組。他の種目とは様相が違う。ショートダンスのパターンダンス部分は、ワルツらしい。テレ朝チャンネルのペアとダンスは何の解説もないので、わかりにくい。三番滑走のシニツィナ・ツィガンシン組(露。15際と18歳)がSDトップ。技術点が30点台に乗ったのはここだけ。後は、順当に後半4組が2位から5位に入った。SD2位のモンコ・ハリアビン組(18,20)は、昨季のロシア・ジュニア王者。4位のプスカシュ・ゲレーロ組(18,19)は、昨季のロシア・ジュニア3位で世界ジュニア6位。男性はシドニー生まれでアメリカが拠点。5位のリヒトマン・コプリー組(米。17際と21歳)は2年前全米ジュニア9位。
 フリーダンスは、前半最後のシニシナ・モロシュキン組(露。15歳と17歳)はショパンのワルツでフリー4位。後半最初のプスカシュ・ゲレーロ組がリフトの時間超過でフリー5位。ステファノバ・ブキン組(露。15歳と17歳)は「ピンク・パンサー」の曲でフリー3位、総合3位。モンコ・ハリアビン組は、ステップ以外のツイズル、リフト、スピンでレベル4、演技構成点全ての要素で7点台をとり、フリー1位、優勝。SD1位のシニツィナ・ツィガンシン組は「サムソンとデリラ」の曲で、フリー2位、総合2位。全体にあまりワクワクするカップルはいなくてドンクリの背比べの印象。


フィギュアスケート (2010.12/30,31,2011.1/)

全日本フィギュア選手権 (2010.12/24-26 長野) 世界選手権選考会

 <男子シングル>SPは、32人参加。全日本ジュニアから参戦の日野(15)は、ルッツからの連続3回転は決めたがソロジャンプが2回転に。SP19位。全日本ジュニア優勝の中村(19。立大)はトリプルアクセルで転倒。しかし引きずらずにSP9位。21番目に羽生(16)。美しいトリプルアクセルから入り、ルッツからの連続3回転と決まり、アクセルは加点2〜3。3回転フリップはeマークだがスピン二つでレベル4、加点も1〜2。技術点42.24というすごい得点、演技構成点36.7、合計78.94でその時点でダントツのトップのSP2位。今季で引退という中庭(29)は、冒頭の連続ジャンプで4回転の予定だったが、軸が曲がり3回転2回転に。トリプルアクセルも転倒し、SP10位から。高橋は、最初の連続3回転がつまって減点2。トリプルアクセルも下りた後エッジがひっかかり減点評価。相変わらずフライングスピンはレイバックになっていずレベル1。単独のルッツもeマークで技術点33.88、演技構成点は最高の40.9、合計74.78でSP4位。26番目の小塚は、すばらしいルッツからの連続3回転、トリプルアクセル、3回転フリップと決まり、スピン、ステップ全てレベル4。ほぼ全てに2以上の加点がつき、技術点は驚異的な47.06、演技構成点も二番目の40.85、合計87.91と別世界。村上大介(19。青森短大)は、ルッツからの連続3回転は入ったが、トリプルアクセルでステップアウト。スピンは三つともレベル4で技術点36.84、演技構成点32.55、合計69.39と7位から。町田は、技術点39.6、演技構成点34.15、合計73.75でSP5位。無良は、冒頭の連続3回転はフリップがeマークながら決め、高いトリプルアクセルで全員から加点2。ジャンプに加え表現力を磨いて技術点38.88、演技構成点33.45、合計72.33で6位。織田は冒頭の4回転は回っていたが転倒。後半のジャンプを連続3回転に切り替え。しかしステップの途中で思わ ぬ転倒。技術点40.78、演技構成点38.7、合計77.48の3位。やはり今季限りの南里(25)は、ジャンプが全てオーバーターン。11位から。このままだと羽生が世界選手権へ?!

 フリーは、南里がトリプルアクセルからの連続3回転は決めたが、二つ目のトリプルアクセルでステップアウト、ループが1回転になったが全体としてはまとめてフリー12位。村上は冒頭の4回転サルコウが70%で転倒。フリー8位。中庭も、冒頭4回転に挑戦、両足だったがこらえた。二つ目のルッツがステップアウトしたが、後は「龍馬伝」の曲ではつらつと滑りきり、有終の美を飾ってフリー7位。中村は、SPで失敗したトリプルアクセルを決め、スピンは三つともレベル4、持ち味の表現力でフリー9位。最終組は高橋から。冒頭の4回転フリップは回転不足で両足。しかし他のジャンプはルッツのeマークとサルコウが2回転になったくらいでまとめ、サーキュラーステップはレベル4で加点が殆ど3。全体で加点が9点以上あった。GPファイナルで怪我した影響はあるのかもしれないが、気力で滑りきった。技術点三番目の76.91、演技構成点最高の85.1、合計162.01でフリー2位、総合3位。無良は、冒頭の4回転が2回転に。トリプルアクセル、フリップ、ルッツからの連続ジャンプと順調だったが、後半、1回転ループと2回転サルコウがあり、技術点65.58、演技構成点69.4、合計134.12でフリー5位、総合5位。町田は、トリプルアクセルからの連続ジャンプは決めたが、ルッツなど不調で減点2〜3。スピンは三つともレベル4だったが技術点63.46、演技構成点66.9、合計130.36でフリー6位、総合6位。小塚は、冒頭の4回転で転倒。トリプルアクセルとルッツからの連続ジャンプは決めたが、後半の三連続ジャンプの最後が1回転に。さらにサルコウでも転倒という珍しい失敗。それでもスピンは三つともレベル4で、技術点最高の84.92、演技構成点二番目の81.1、合計164.02でフリー1位、初優勝した。二回も転倒したのに点が出たことで、試合後のインタビューでは「点が出過ぎではないか」と言っていた。羽生は、冒頭の4回転はやめて3回転に。トリプルアクセルでは回ったのに、し ゃがむような転倒。ルッツからの連続ジャンプが二回あるが問題なし。トリプルアクセルからの三連続も決めたが、最後のサルコウが回転不足でステップアウト、技術点70.02、演技構成点72.1、合計141.12でフリー4位、総合4位。苦手の最終滑走の織田は、冒頭の4回転で転倒。トリプルアクセルからの連続3回転、ルッツからの連続3回転など決めたが、二つ目のトリプルアクセルで転倒。技術点二番目の82.00、演技構成点も二番目の80.0、合計160.0でフリー3位、総合2位。小塚は父子二代優勝だそうだ。
 世界選手権(三月、東京)には、小塚、織田、高橋、四大陸(二月、台北)には小塚、高橋、羽生、冬季アジア大会(1/30〜、カザフスタン)へは町田、無良、世界ジュニアには、中村、田中、木原。冬季ユニバーシアード(1/27-2/6、トルコ)には、織田と村上が行くことに。

 <女子シングル>SPは32人参加。武田(22。早大)は、連続3回転の予定が3回転2回転に。転倒もあり、SP20位。このところ足が万全ということがないようだ。ジュニアGPファイナルに出た庄司(14)は、サルコウからの連続3回転、ループ、ダブルアクセルと見事に決め、スピン、ステップもレベル3以上で加点もつき、技術点三番目の33.26、演技構成点24.96、合計58.22で堂々SP4位。三年前14歳で、全日本ジュニア2位、世界ジュニアでも5位になった西野(17)は、冒頭のルッツからの連続ジャンプ、ソロのループ、ダブルアクセルと決め、スピンも二つがレベル4で加点も1〜2。技術点五番目の31.74、演技構成点25.28、合計57.02でSP6位につけた。石川(20。明大)は、冒頭の連続3回転、ダブルアクセルはよかったが、フリップで転倒。表現力はあるので惜しかった。SP10位から。村上(16)は、連続3回転とソロのフリップは決めたが、アクセルが1回転に。それでも技術点四番目の32.22、演技構成点も四番目の29.28、合計61.5でSP3位。今井は、冒頭の連続3回転がステップアウト、フリップとアクセルで転倒。スピードはあったが焦って滑っている感じ。SP17位と出遅れ。安藤(24)は、ルッツからの連続ジャンプを手堅く3回転2回転にとどめ、GPファイナルから曲を変えたSPでの出遅れをなくす作戦があたり、ノーミスで加点を6.5もらって技術点、演技構成点とも二番目の33.4と31.36、合計64.76でSP2位から。それでも試合後は「3回転3回転をコーチから止められた。」と悔しそうだった。鈴木明子(26)は、最初の連続ジャンプは決めたが、ソロのルッツが回転不足でステップアウト、スピンは三つともレベル4、最後のステップも加点が2〜3ついたが、全体的にキレがなく、技術点27.1と伸びず、演技構成点は三番目の29.76、合計56.86のSP7位。真央(20)は、直前の6分間練習でトリプルアクセルを二回決めた。佐藤コーチとの打ち合わせでは、SPでは入れない予定だったが、急遽やりたいと訴え、これが吉と出た。着氷直後に足を付いたので減点はあったが認定はされた。連続ループの3回転2回転は第一ジャンプが70%だったが、ソロのフリップは加点。ジャンプを三つとも下りると笑顔が出て、滑りにキレが戻った。スピンは三つともレベル4で1〜3の加点。技術点最高の34.7、演技構成点も最高の31.52、合計66.22でSP1位。村主(29)は、冒頭のルッツからの連続ジャンプはeマークながらちゃんと決め、フリップもアクセルもきれいに入った。得意のスピンは三つともレベル4だったが、少し速さがなかったものの、ノーミスで技術点29.3、演技構成点27.88、合計57.18でSP5位から。

 フリーは23人。第3組に、ともに15歳の全日本ジュニア3位の大庭と全日本ジュニア2位の友滝が出てきて、ジャンプで身が軽いところを見せた。友滝は緊張で無表情、転倒もあり、フリー15位。大庭は、ダブルアクセル3回転ループという連続ジャンプが武器。ジャンプはほぼ成功したが、ステップの最後の方で転倒、フリー8位。鈴木明子は、連続ジャンプでステップアウト、後半のフリップも回転不足の上、ステップアウトして、得点を稼げず、技術点四番目の58.46、演技構成点三番目の60.64、合計119.1でフリー4位、総合4位。最終組は、まず村上。冒頭の連続3回転はほんの少し第一ジャンプが危うかったが、成功、加点もついた。ルッツのeマークと、三連続の第一ジャンプが70%になっただけで、ほぼノーミス。快心の笑顔。技術点二番目の65.7、演技構成点も四番目の60.32、合計126.02でフリーも3位、総合3位。真央は、冒頭のトリプルアクセルを決め(70%)、晴れやかな顔でフリップからの連続ジャンプ、3回転ルッツ(eマーク)と下りると、スピンは三つともレベル4で加点1〜2、後半のサルコウは2回転になったが、技術点三番目の62.19、演技構成点二番目の65.28、合計127.47のフリー2位、総合2位。庄司は、冒頭のルッツが2回転になってしまい、eマークも。フリップも70%で、ステップアウト。合計107.6でフリー5位、総合5位。村主は、冒頭の連続ジャンプはちょっと間が止まった感じで、eマークもあり減点評価。後半のトーループでの転倒が痛かった。フリップも2回転になり、技術点44.56、演技構成点五番目の54.16の合計97.72でフリー9位、総合7位。安藤は、冒頭の連続ジャンプこそ3回転2回転だったが、ジャンプ全て成功、要素のほぼ全てに加点2の快心の出来で、演技終了後、足を踏みならしてガッツポーズ。ここまで力強く美しい演技ができるのはすごい。フジテレビ解説の八木沼も荒川も絶賛。技術点は驚異的な71.5、演技構成点一番の66.08、合計137.58でダント ツフリー1位、逆転優勝。最終滑走の西野は、冒頭のルッツからの連続ジャンプは決めたが、フリップで転倒。しかし得意のスパイラルでは全ジャッジから加点。スピンも一つレベル4で復活を印象づけた。フリー7位、総合6位。
 世界選手権(三月、東京)には、安藤、浅田、村上。四大陸(二月、台北)には、浅田、安藤、鈴木。冬季アジア大会(1/30〜2/6、カザフスタン)へは、村上、今井。冬季ユニバーシアード(1/27-2/6、トルコ)には、石川、國分。世界ジュニアには、庄司、西野、大庭。

 <ペア>高橋・トラン組のみ出場。
 <アイスダンス>リード姉弟と大学生の組の二組出場。リード姉弟は、フリーを変更。一週間前にできたばかりのプログラム。コーチもモロゾフからチャイトに変更。それでも今季最高点を出した。



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フィギュアスケート (2010.3/26,4/2,12/13,17,18,23,28)

世界選手権 (2010.3/22〜28 トリノ・イタリア)

 <男子シングル>は、高橋がSP首位、小塚が4位。2位がチャン(カナダ)で、3位がジュベール(仏)。織田はなんと、ジャンプが全て回転不足で28位、フリーに進めなかった。小塚は、ノーミスでよかった。技術点46.60、演技構成点37.60はどちらも4番目。オリンピックと違って、音楽も最後までちゃんと鳴ってポーズを決めた。すぐ次に出てきた織田は、最初のトリプルアクセルがダブルになったのが響いたのか、あとの二つもパンクして2回転に。要素がまるまる三つなくなってしまい、技術点が16.90では、いくら演技構成点33.35で減点なしでもだめだった。高橋は気持ちの盛り上げ方が大変だったというが、音楽にのって、楽しそうに踊れたのが、観客の心をつかんだ。
 今回で100回目の世界選手権だが、オリンピック開催年なので、金メダルのライサチェク(米)、銀メダルのプルシェンコ(露)、4位のランビエール(スイス)、5位のウィア(米)が欠場。ボロドゥリン(露)は、SP最初のジャンプでスケート靴のブレードが割れ、棄権。二人しか出ていないロシアの来年の出場枠はひとつに減る可能性も。チャン(カナダ)とジュベール(仏)とアボット(米)は、オリンピックの失敗を挽回。それぞれ2位、3位、6位につけた。5位はチェコの19歳のブレジナ。

 フリーでは、第3組にデニス・テン(カザフスタン)が出てきたが、キレのある滑りができず、トリプルアクセルはきめたものの転倒もあり15位。一人になったロシアのボロノフは、プルシェンコの代わりに急遽出場。がんばったが、転倒もして14位。地元イタリアのコンテスティは、体調がよくないながら踏ん張り、3連続ジャンプの三つ目で体勢を崩して転倒、それでも技術点・演技構成点とも70点台を出してここまでの1位に(フリー11位)。ウィアの代わりに出場のリッポン(米)は深いエッジの滑りでジャンプもよく決まり、初出場ながらフリー5位。今季で引退というヴァンデルペレン(ベルギー)は、オリンピック後に4回転の感覚が戻ったとのことで、なんと冒頭に4回転3回転3回転を決めた。トリプルアクセルも入り、ステップなどはエッジが浅くスピードもなかったが、まずまず有終の美を飾った(フリー9位)。最終組一番の全米王者アボットは、冒頭の4回転で転倒、ステップの後のダブルアクセルでも転倒。他はよかったが、フリー6位、総合5位。小塚も最初の4回転で転倒、次のトリプルアクセルはパンクして1回転に。後半の二つ目のトリプルアクセルもダブルになり、技術点が59.83しか出ずフリー12位、総合10位。ジュベールは冒頭に4回転2回転、続けてもうひとつ4回転を成功させたが、苦手のルッツで転倒、3位。しかし、「オリンピックの雪辱ではなく再出発のため自分はまだ強いと確認」できる内容。チャンもジャンプが不安定で、3回転3回転はすばらしかったが、着氷がぐらついたものもあり、フリップでは転倒。それでもステップは「すばらしいとしか言えない」とJスポーツ解説の樋口さんの言うとおりで、演技構成点は全て8点台で82.40に乗せ、2位をキープ。初出場のブレジナは、のびのび滑れてジャンプは流れるようでフリー3位、総合4位に。最終滑走の高橋は、最初に新技4回転フリップに挑戦したが、回転不足で両足着氷。しかし、それ以外は表現力が増してプログラムを自分のものにした感じで、技術点81.90、演技構成点86.50の高得点で、フリーだけで2位のチャンと9点近い差がつき、堂々の首位を守って初優勝。表彰式では、チャンが2位の台と3位の台を間違えたが、ジュベールが出てきた後で交換した。高橋はオリンピックの時は涙ぐんでいたが、晴れ晴れとした顔。ジュベールも去年の3位は悔しそうだったが、今年は笑顔だった。

 <女子シングル>は、53人出場。SPで長洲(米)が首位。真央はトリプルアクセルが回転不足で2位。キム(韓国)は7位。3位がレピスト(フィンランド)、4位がコストナー(伊)、5位がマカロワ(露)、6位がフラット(米)。安藤は転倒して11位、鈴木はどうしたのか20位。
 28番目のマイアー(瑞)は、最初のルッツでいきなり転倒。どこか傷めたようで、その後のサルコウも1回転に。技術点23.1しかとれずSP26位。ファヌフ(加)は、ロシェットが出ていないので、来年の枠が肩に掛かる。連続ジャンプが間で止まった感じになり、SP8位から。ヘッケン(独)は今年シニア入りした18歳。冒頭で連続3回転を決め、スピンも三つともレベル4、若さという勢いでSP13位。V. ヘルゲソン(スウェ)は、ジャンプに不安定さがあったが大きなミスはなく、今季最高点でSP9位。42番目のマカロワは、やはり冒頭で連続3回転を決め、スピン三つとスパイラルもレベル4、深いエッジの滑りで技術点36.9、演技構成点25.16、合計62.06でSP5位。コストナー(伊)は、冒頭の連続ジャンプはきれいに決めたのに、次のループはばらけて2回転に。スピン二つとスパイラル、ステップはレベル4で2〜3の加点、技術点33.2、演技構成点29.0、合計62.2でSP4位。45番目の真央は、冒頭のトリプルアクセルからの連続ジャンプはきちんと跳べたように見えたが回転不足。スビン三つとスパイラルはレベル4、技術点37.12、演技構成点最高の30.96、合計68.08でSP2位。コルピ(フィン)は、最初のジャンプで転倒。連続が入らず、アクセルは片手つき、SP16位と出遅れ。安藤は、スピードがないと思ったら冒頭の連続3回転の第一ジャンプで転倒。単独フリップも減点。スピン二つとスパイラルはレベル4で技術点28.7、演技構成点28.08、合計55.78でSP11位。Jスポーツ解説の杉田さんは、「今季の安藤は、表現の方に意識が強くてジャンプに集中できていない。」という。レピスト(フィン)は、冒頭の連続3回転を決め、ダブルアクセルは失敗したがスピンやステップで加点、技術点34.98、演技構成点29.32、合計64.3でSP3位。長洲(米)は、冒頭で連続3回転を決めたが、踏切違反と第二ジャンプが回転不足。しかしスピン、スパイラル全てレベル4で技術点最高の40.2、演技構成点三番目の30.2、合計ただひとり70.4の大台でSP1位。キム(韓)は、演技の仮面をかぶりきれず、最初の連続3回転は決めたが、フリップは回転不足、ここで着氷をこらえたときに足首を痛めたのか、スピンにうまく入れず無得点、スパイラルはブレードをつかめずレベル1。技術点30.02、演技構成点は二番目の30.28、合計60.3でSPまさかの7位。52番目の鈴木は、冒頭のフリップで転倒、表情が硬い。連続ジャンプもアクセルも減点2。スパイラルはレベル1で技術点23.32、演技構成点26.04、合計48.36でSP20位。フラット(米)は、連続ジャンプに高さがなく、3回転2回転、ルッツも踏切違反、それでもスピン二つでレベル4、技術点33.8、演技構成点27.08でSP6位から。杉田さんは「去年よりスピードがない」と言う。セベスチャン(ハンガリー)は、冒頭で大きなジャンプを決め、後はそつなくSP10位。最終滑走のレオノワ(露)は最初のジャンプで転倒、勢いが取り戻せず、SP14位。

 フリーには24人が進む。第一組のSP21位ラフエンテ(西)は、今季最高を出してフリー18位。鈴木は、冒頭で三連続ジャンプを決めると波に乗り、途中フリップが1回転になったが、スピン一つとスパイラルでレベル4、最後のステップはレベル3だが加点が2〜3ついた。技術点58.96、演技構成点52.72、合計111.68でフリー7位、総合11位で挽回。第二組のレオノワ(露)とコルピは、ジャンプが壊滅状態で、レオノワは転倒もありフリー14位と20位。第三組のゲデバニシビリ(グルジア)も転倒、SPからのジャンプの不調を立て直せずフリー21位と沈んだ。安藤は、ジャンプは全て成功、三連続の第三ジャンプのみ回転不足、スピン二つとスパイラルでレベル4、技術点三番目の63.64、演技構成点が伸びず五番目の58.4、合計122.04でフリー3位、総合4位と貫禄を見せた。キムも冒頭の連続3回転、次のフリップはきれいに入った。スピン、スパイラルもレベル4をとったが、後半最初のサルコウで転倒、最後のアクセルは動作だけで無得点。それでも技術点二番目の66.45、演技構成点最高の65.04、合計130.49は今季最高より20点低いがフリー1位、総合2位。ファヌフはノーミスで、解説の杉田さんも「こんなにいい彼女は見たことがない」という出来で技術点四番目の61.48、演技構成点56.56、合計118.04のフリー4位、総合5位。これが現役最後というセベスチャンは「楽しみたい」と語ったそうだが、ルッツが2回転、フリップは1回転、最後の連続ジャンプも2回転2回転になり、有終の美は飾れず。フリー15位。最終組のコストナーは、冒頭いきなり連続3回転フリップ・トーループを決めたが、次のループでステップアウト、しかし、三つのスピン、スパイラルはすばらしく、レベル4で加点も2以上。しかし技術点54.24と伸びず、演技構成点は三番目の60.24、合計115.11でフリー5位、総合6位。地元の観客はブーイング。真央は、渾身の力で冒頭の単独トリプルアクセル、次のトリプルアクセルからの連続ジャンプを下りたが、二つ目は回転不足をとられた。この女子種目のテクニカル・コントローラーは厳しいので有名な人だそうだ。しかしスピン三つとスパイラルはレベル4、技術点最高の67.02、演技構成点二番目の62.48、合計129.5で、フリー2位だが総合で1位、二度目の世界女王に。フラットは、連続ジャンプのフリップが回転不足、二つ目のルッツが1回転になり、フリー9位、総合9位。レピストは冒頭に美しい連続3回転、単独ルッツと決め加点も稼ぐ。次の連続ジャンプのループと二つ目のループが2回転になったが、後はミスなく技術点54.24、演技構成点四番目の60.08、合計114.32のフリー6位で総合3位。SP1位の長洲は自滅。最初のルッツでステップアウト、次の連続ジャンプやスピンで立ち直ったかに見えたが、二つ目のルッツで両手つき、さらにダブルアクセルで転倒。技術点49.04、演技構成点57.04、合計105.08でフリー11位、総合7位と惨敗。最終のマカロワも冒頭の連続3回転は鮮やかに決めたが、後半のサルコウで転倒し、フリー8位、総合8位。表彰台で真央は「君が代」を口ずさんでいた。

 <ペア>バンクーバー五輪の金メダリスト以外は参加して25組エントリー。しかしフリーには16組しか進めない。地元イタリアのベルトン・ホタレク組は、ISU大会初出場にも関わらず、いい演技でSP11位から。若いバザロワ・ラリョノフ組(露。20歳と22歳)も速い滑りで、高い3回転ツイストリフトなどで7位から。ジェイムズ・ボヌール組(仏)は、随分滑りが速くなり、減点になったが3回転ツイストリフトにも挑戦、10位から。デニー・バレット組(米)は、五輪では男性の怪我でベストの演技ができなかったそうだが、スピンは二つともレベル4、全ての要素に加点がつき、SP6位。ラングロワ・ヘイ組(加)は、スロージャンプで転倒、SP12位と大きく出遅れ。サブチェンコ・ソルコビー組(独)は、冒頭のソロジャンプがまるで合っていたがソルコビーは2回転。しかし技術点69.52、演技構成点33.4、合計69.52でSP3位。ケンプ・キング組(英)は、萎縮してスロージャンプで転倒、SP16位。ジャン・ジャン組(中)は、男性が背中に「深刻な痛みを抱えている」とは思えぬ演技で、技術点三番目の38.88、演技構成点30.32、合計69.2でSP5位。欧州王者の川口・スミルノフ組(露)は、ツイストリフトで少し抱えたり、スピンが微妙に合わないなどあったが、リフト、スピンなどでレベル4を四つとり、加点もあり技術点二番目の39.68、演技構成点も二番目の33.44、合計73.12でSP2位。ムホルトワ・トランコフ組(露)は、ノーミスで全ての要素に加点が付いたがステップなどレベル2が二つあり技術点、演技構成点とも四番目の37.32、31.76、合計69.48で僅差の4位。パン・トン組(中)は、高く速い3回転ツイストリフト、スロージャンプなど全ての要素に加点され、技術点、演技構成点とも一番の41.28、34.0、合計75.28でSP首位。最後のデュベ・デイヴィソン組(加)は、なんと最初のソロジャンプで女性が転倒、SP8位と出遅れ。

 ラングロワ・ヘイ組は、ジャンプ要素が全て不安定で、連続ジャンプも入らずフリー10位。デュベ・デイヴィソン組は、連続ダブルアクセルは決めたが、単独のサルコウが2回転。リフトは三つともレベル4だったが、最後のスピンで男性が途中でフリーレッグをついてしまう珍しいミスで無得点。フリー6位。デニー・バレット組は、単独ジャンプで女性が転倒。リフトやスパイラルでレベル4をとったがフリー8位。バザロワ・ラリョノフ組は、連続ジャンプの予定のダブルアクセルで女性が転倒。フリー7位。ジャン・ジャン組は、連続ジャンプ、単独サルコウと決め、ツイストリフトもSPよりよかった。スロージャンプは飛距離が出なかったが二つとも加点2〜3。技術点最高の66.82を出したが演技構成点59.76でフリーも5位。最終グループ一番滑走は、川口・スミルノフ組。冒頭のスロージャンプで4回転サルコウに挑戦、転倒したが回転はしていた。基礎点8からGOE減点3。スピン、スパイラルとレベル4、連続ダブルアクセルと順調だったが、二つ目のスローループジャンプも転倒、これは誤算。リフトは三つともレベル4だったが、技術点三番目の65.39、演技構成点三番目の67.28、減点2で合計130.67のフリー3位、総合も3位。ムホルトワ・トランコフ組は、連続ジャンプの第二ジャンプで女性が1回転に。その後のスロージャンプで男性が投げた後、両手をついた。ジャンプそのものは成功したがGOE減点1〜2。合計からの減点1はこの両手つきを転倒とみなしたものか。技術点62.75、演技構成点66.16、減点1で合計127.91、フリーも4位。サブチェンコ・ソルコビー組は、連続3回転ジャンプで女性が第一ジャンプ2回転。しかしその後はツイストリフトとデススパイラル以外全ての要素でレベル4、音楽の世界観も表現して、演技構成点の半分近くが9点台。技術点二番目の65.86、演技構成点も二番目の69.36、合計135.22でフリー2位、総合2位。パン・トン組は「見果てぬ夢」の曲。冒頭の連続ダブルアクセルは成功したが、単独ジャンプで女性のみが2回転でGOE減点1〜2。リフトとスピンで一つずつレベル2があったが演技構成点で半分以上9点台。技術点三番目の65.55、演技構成点最高の70.56、合計136.11でフリーも1位、二度目の金メダル。

 <アイスダンス>今季で最後のコンパルソリー・ダンスはゴールデン・ワルツ。27組参加。11番滑走の日本のリード姉弟は、いきなり第一ステップでキャシーが転倒、組んでいたクリスも転倒。その後よく立ち直ったが、CD23位から。イスラエルのザレツキー兄妹は、「ずいぶんうまくなった」とJスポーツ解説の藤森さん。CD8位。カー姉弟(英)は、とてもワルツっぽかった。技術点18.56、演技構成点19.02、合計37.56で6位。金メダリストのヴァーチュー・モイヤー組(加)は、すごく速くてワルツらしくなかったが、エッジは深くてそろっているし、二人の距離も近く保っているし、踊る姿に風格が出てきた。まだ20歳と22歳だが。技術点最高の22.22、演技構成点21.91、合計44.13でCD1位。ペシャラ・ブルザ組(仏)は、華やかな衣装で滑り、技術点18.8、演技構成点18.95、合計37.75で4位。カッペリーニ・ラノッテ組(伊)は、地元の大歓声の中、滑ったがやっぱりまだエッジが浅く、7位から。ホフロワ・ノビツキー組(露)は、男性が右ヒザを怪我しているというわりには、よく滑り、技術点18.68、演技構成点19.02、合計37.7の5位。銀メダリストのデイヴィス・ホワイト組(米)は、さすがに速い滑りで、技術点22.2、演技構成点21.25と、カナダより少しずつ低くて合計43.25で2位。最後のファイエラ・スカリ組(伊)は、貫禄の余裕があり、ワルツも十分に表現。技術点20.5、演技構成点20.35、合計40.85で堂々3位から。

 オリジナル・ダンスは民族舞踊。4番滑走でCD22位のグルジアのリード・ジャパリドゼ組が出てきた。女性のアリソンはリード姉弟の15歳の妹。技術点は24.9、演技構成点18.45のODも22位でフリーには進めず。リード姉弟は第二グループのトップで「さくらさくら」の曲にのせて二人とも扇を使って滑った。小道具を落とすと減点1なので、藤森さんは「ころんでも決して離さないように」と助言したという。ツイズルでほんの少しクリスが傾いたが、扇さばきもあでやかに踊りきり、技術点28.4、演技構成点22.01、合計50.41でOD14位、総合で16位、無事フリーに進んだ。キャロン・ジョーンズ組(仏)は、アイルランドの踊り。イギリス出身の男性が上手でこれから楽しみ。合計50.52でOD13位。ハンガリーのホフマン・ザボジン組もノーミスでOD11位。ボブロワ・ソロビエフ組(露)は、二人とも水兵の衣装で若さあふれる踊り。試合ごとに上手くなる年頃。OD8位。ナバーロ・ボメントレ組(米)はブラジルの踊り。男性は安定しているが女性が少しエッジが浅く、OD15位。カー姉弟は、去年のスコットランドの踊りにしてきた。ツイズルをミラーにしたが、ずれてしまい、技術点28.6、演技構成点29.63、合計58.23のOD5位。クローン・ポーリエ組(加)はフラメンコ。ここも見るたびに上手くなっている。技術点29.2、演技構成点26.56でOD7位。デイヴィス・ホワイト組はインドの踊り。オリンピックの時より余裕が感じられた。技術点34.1、演技構成点35.19、合計69.29でこの時点で2位のカー姉弟より10点以上離れたダントツの1位。ファイエラ・スカリ組はすごくいい感じだったが、男性がツイズルの後半で足をついてしまい、レベル1。技術点27.9、演技構成点31.26、合計59.16でOD3位に踏みとどまった。ペシャラ・ブルザ組はアメリカン・フォーク。ここもツイズルでミスをして技術点はカー姉弟と同じ28.6、演技構成点29.95、合計58.55で僅差の4位。ヴァーチュー・モイヤー組もフラメンコ。ヴァーチューはすごくきつめにお化粧していた。技術点、演技構成点とも最高の34.3、35.97、合計70.27でOD1位。若手のサミュエルソン・ベイツ組(米)もアメリカ民謡を小気味よく踊り、OD10位。ホフロワ・ノビツキー組は、派手な濃いピンクの衣装でロシア民謡で滑ったが、今ひとつキレがなくOD9位。カッペリーニ・ラノッテ組は「帰れソレントへ」などのイタリア民謡で滑ったが、ツイズルでミスが出て技術点24.8、演技構成点26.6、合計51.4でOD12位。最後のザレツキー兄妹(イスラエル)はユダヤの踊り。ほぼミスなく滑り、合計56.13で、OD6位。

 フリーは20組。ホフロワ・ノビツキー組が男性のヒザの怪我の悪化で棄権。一番滑走でリード姉弟。「天使と悪魔」の曲で、ツイズルも無事にのりきり、全ての要素で加点1。レベルもステップは二つとも3だが、リフトとスピンは全て4。演技構成点も6点台になった。技術点43.5、演技構成点36.24、合計79.74でフリー13位、総合15位。全米3位で五輪に出たサミュエルソン・ベイツ組は、二人の滑りがぴったり合っていてツイズルも両回りとも速い。技術点42.4、演技構成点40.97、合計83.37でフリー10位。キャロン・ジョーンズ組は「アダージオ」の曲を紫色の衣装で雰囲気たっぷりに滑り、フリー12位。ホフマン・ザボジン組は、現代風の曲でスピードに乗って滑りきり、フリー9位。全米4位で五輪を逃したナバーロ・ボメントレ組は最後の世界選手権とのこと。しかし「ずっと同じような曲で進歩していない」と藤森さんは厳しい。フリー15位。ボブロワ・ソロビエフ組も「アダージオ」の曲。全ての要素がレベル4で加点も1〜2。技術点47.6、演技構成点42.16、合計89.76でその時点で1位、フリー8位。カッペリーニ・ラノッテ組は、ツイズルの後半で近づきすぎて女性が転倒。演技終了後女性は泣いていた。技術点39.9、演技構成点41.17、合計79.07でフリー14位。クローン・ポーリエ組は滑らかな速い滑りがますます冴えて、全ての要素に加点が1〜2。技術点47.9、演技構成点43.32、合計91.22でその時点で1位、フリー7位。ザレツキー兄妹は「シンドラーのリスト」の曲。ノーミスの滑りで技術点46.3、演技構成点45.04、合計91.34でフリー6位。最終組一番滑走は、ペシャラ・ブルザ組。ISUで非常に評価が高かったという昨季のピエロの踊りで、衣装の早変わりもあり、技術点48.7、演技構成点49.39、合計98.09のフリー3位。総合194.85で4位。デイヴィス・ホワイト組は、「オペラ座の怪人」メドレーを恐ろしく速いスピードでミスなく滑りきった。藤森さんは「アスリート性の高い、若い時しか滑れないダンス」と言う。振り付けと音楽表現で二人ずつ10点満点が出て、技術点53.7、演技構成点56.79、合計110.49という別世界の得点でフリー1位、しかし総合223.03で2位。初の表彰台。ヴァーチュー・モイヤー組は、マーラーの「五番」の曲。ツイズルの前半で男性がほんの少し変だったが、後は高度な技を美しく演じ、パフォーマンスと音楽表現で四人ずつ10点満点、振り付けでも三人が10点満点。技術点53.1、演技構成点最高の57.93、合計110.03でフリー2位、総合224.43の1位で初の世界王者に。ファイエラ・スカリ組は、ツイズルのミスもなく、女性が男性を支えるリフトも自然で、全体にいい演技で、終了後男性がガッツポーズ。会場も大拍手。技術点三番目の48.7、演技構成点四番目の49.39、合計98.09で自己ベストには届かず会場はブーイング、しかし順位が3位と出ると大歓呼。二人とも立ち上がって応えていた。総合も197.85の3位で初の表彰台へ。最終滑走はカー姉弟。大きなミスはなかったが、細かいズレなどがあり、またミラーのツイズルはレベル1で、技術点45.7、演技構成点47.62、合計93.32でフリーも5位。総合189.11で5位。藤森さんは、「この組が上手な、組んでステップする場面があるフリーのプログラムだともっとよかった」と言っていた。



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フィギュアスケート (2010.12/12,13)

グランプリファイナル (2010.12/9〜12 北京)

 初めて男女とも3人ずつ出場。ともにメダル、優勝をねらったが果たせなかった。

 <男子シングル>高橋、織田、小塚が参加。一番滑走の初出場アマディオ(仏)は、前見たときは絶好調だったが、動きが固く、トリプルアクセルが1回転になり、最下位から。織田は、とても美しい4回転3回転の連続ジャンプを決め、技術点48.06、演技構成点38.53、合計86.59でSP1位。ヴェルネル(チェコ)もトリプルアクセルが1回転になり、演技構成点の差で5位。チャン(加)は、4回転こそ不安定で単独になったが、その他のジャンプ、スピン、ステップと殆どレベル4で、加点もあり、技術点43.77、演技構成点41.82、合計85.59で2位。高橋は、冒頭の連続3回転はきれいに決まったが、スピン、ステップは全てレベル3、特に昨季の倍も運動量があるという得意のステップの途中で止まってしまったりして、技術点40.57、演技構成点は最高の42.0、合計82.57で3位から。最終滑走の小塚は、最初の連続3回転の質が悪く、減点。スピンもいつもより回転速度が遅く、二つはレベル4だったが、残りの一つとステップはレベル3,加点もあまりつかなかった。技術点が伸びず39.43、演技構成点38.47、合計77.9と出遅れた。

 アマディオは、SP出失敗したトリプルアクセルを単独、連続ジャンプと決め、次のルッツが2回転になった以外は立ち直り、合計140.26で5位。ヴェルネルは冒頭に跳ぶ予定だった4回転が3回転になったが無難にまとめフリー4位。小塚は最初の4回転が70%、その他のジャンプも回転は足りていたが着氷が不安定なものが多く、それでもスピンは三つともレベル4で技術点二番目の82.25、演技構成点77.64、合計159.89でフリー2位、総合3位に浮上。高橋は、冒頭の4回転フリップが完全な回転不足で両足、またスピンが二つもレベル1、連続3回転も回転不足、二つ目のトリプルアクセルとeマークのルッツで転倒二回とさんざんな出来で、技術点最低の58.2、演技構成点は二番目の81.0、合計137.2でフリー最下位、総合4位に踏みとどまった。試合後のインタビューで高橋は「4回転はトーループもフリップも調子悪かったので、フリップの方を大きな試合でやっておきたかった」と語った。チャンは4回転、トリプルアクセルからの連続ジャンプ、後半に集めた三連続、連続3回転、レベル4のスピン二つなどノーミスで技術点最高の86.94、演技構成点はなんと87.22をたたきだし、合計174.16でフリー1位、逆転優勝。織田は、冒頭の4回転転倒は残念だったが、スピードが足りなかった。トリプルアクセルからの連続3回転、フリップ・トウの連続3回転、後半に二つ目のトリプルアクセル、三連続成功と順調だったのに、最後のダブルアクセルで二回目の転倒、万事休した。技術点、演技構成点とも三番目の79.58と78.64、合計156.22、フリー3位で総合2位。

 <女子シングル>安藤、鈴木、村上が参加。一番滑走の初出場フラット(米)は、最初の連続ジャンプの間で一瞬止まってしまった。次の単独フリップは回転不足で、技術点19.88、演技構成点25.31で最下位。鈴木は「今できることはやれた」と語ったが、単独のルッツでeマーク、スピンは三つともレベル4なのにステップはレベル1、技術点30.06、演技構成点28.43、合計58.26で4位。村上は、冒頭の連続3回転を決め、その他もミスなく、スピンは二つがレベル4で、技術点二番目の33.4、演技構成点28.43、合計61.47でSP3位の上々の滑り出し。コストナー(伊)は、久々にSP冒頭に連続3回転を決め、技術点31.53、演技構成点は最高の30.6、合計62.13で2位。シズニー(米)は、前半にジャンプ要素を固めて全て成功、スピンは二つレベル3、最後のレイバックからビールマンになるスピンは珍しくレベル3だったが、技術点最高の33.62、演技構成点30.14、合計63.76で1位から。安藤は、SPをスローな曲にに変更し、新しいプログラム。冒頭の連続3回転は、第二ジャンプのループが回転不足で減点2。次の単独フリップも回転不足で転倒。技術点22.67、演技構成点は三番目の28.78、合計50.45で5位と出遅れ。

 フラットは、ルッツで転倒、後半のジャンプ三つで2回転、スピンもステップもレベル1〜2と立ち直れず最下位のまま。安藤は、冒頭のルッツ・ループは3回転2回転にしたが今季課題だった後半最初のアクセル・トウが2回転3回転と決まり、三連続も成功。スピンが三つともレベル2だったのは今後の課題だが、演技が終わったとき珍しくガッツポーズ。技術点最高の64.64、演技構成点三番目の58.06、合計122.7でフリー1位、それでも総合5位。SPでの1位と13点以上の差を7点差まで縮めたが…。鈴木は、ダブルアクセルからの連続ジャンプが70%、後半最初のフリップからの連続ジャンプはeマーク、次のフリップは2回転になった上eマーク、スピンは二つレベル4。BS朝日解説の荒川が「SPでステップがレベル1でびっくりした」と言っていたがフリーではレベル3をとった。技術点三番目の28.18、演技構成点57.28、合計115.46でフリー5位。村上は、冒頭の連続3回転を確実に決め、加点もついた。スピンは二つがレベル4、前半で連続ジャンプの予定のフリップが1回転になったが、後半で連続ジャンプに成功、三連続も決めて、技術点二番目の59.98、演技構成点57.14、合計117.12のフリー2位、総合3位で初のファイナル表彰台。コストナーとシズニーは、ジャンプをそつなくこなし、演技構成点で高得点。コストナーは、技術点五番目の55.56、演技構成点二番目の60.91、合計116.47のフリー4位ながら総合2位。シズニーは、技術点四番目の55.68、演技構成点最高の61.31、合計116.99のフリー3位で優勝。


フィギュアスケート (2010.11/26,12/1,2,3,6)

フランス杯 (2010.11/26〜28 パリ) GP第6戦

 <男子シングル>10人出場。日本からは小塚のみ。二人目に出てきたフランス国内5位のベセリエ(21歳)が4回転3回転を決めて、技術点トップの40.59を出し、SP4位。ソン(中)は、前よりもジャンプの調子が戻ってきたが、SP8位から。後半組のアマディオ(仏。20歳)は、3回転3回転から入り、ジャンプはどれも美しい流れがあり、技術点39.52、演技構成点36.1、合計75.62でSP2位につけた。レイノルズ(加)は、やはり前回同様SP二回の4回転を狙ってきたが、連続ジャンプの4回転サルコウは決めたものの70%、トリプルアクセルの後の単独4回転トーループは70%で転倒、スピン二つがレベル2で、得点が伸びず7位から。ムロズ(米)は冒頭に4回転を決めたが、他のジャンプ同様なんとかこらえた感じ。それでもスピンは三つともレベル4で得点を稼ぎ、技術点で二番目の40.53を出し、SP3位。小塚は、余裕の3回転ルッツ3回転トーループから入り、次のトリプルアクセルは着氷で少し前のめりになった以外は、三つのスピンはレベル4、ステップもレベル3、全てに加点がつき、技術点は三番目の40.35、演技構成点37.29、合計77.64でSP1位発進。最終滑走のジュベール(仏)は、得意のはずの4回転がなんとか下りた状態で、第二ジャンプは1回転になり、中国杯のヴォロノフと同じく、解説の田村が「連続ジャンプは3回転2回転以上なのでこれではいけない」と言ったとおり要素とならずマイナス3。トリプルアクセルも危なっかしく、スピンとステップはレベル3と4をとったが、技術点がなんと下から三番目の30.84、演技構成点36.11、合計66.95はSP5位。

 フリーでは、ジュベールは棄権。小塚がそのままぶっちぎりで優勝、ファイナル進出も決める。ソンは高いトリプルアクセルや三連続ジャンプを決めたが、1回転のループやルッツもあり、フリー5位。レイノルズは、SPと同じく4回転サルコウは決めたものの、4回転トーループは70%で転倒。1回転のアクセルやスピンは三つともレベル3で、大技を入れた割に得点が伸びずフリー4位。ベセリエは冒頭の4回転がいきなり1回転に。次のルッツも1回転。徐々に立ち直ったがフリー7位と後退。ムロズは4回転、トリプルアクセルからの連続3回転など決めて、3位キープ。アマディオは、美しいトリプルアクセルから入り、次のトリプルアクセルからの連続ジャンプ以外は、深いエッジでほぼ完璧に滑り、技術点77.26、演技構成点76.5、合計153.76の自己ベスト更新したがフリー2位。最後の小塚は落ち着いて自分の演技を滑り、冒頭の4回転は両足というかタッチしたが、後は全ての要素に加点がつき、スピンは三つともレベル4で、後半にルッツからの連続3回転も決め、技術点89.63、演技構成点80.8という驚異的な得点が出て、合計170.43、総計 248.07は、2位に18点以上の差をつけ、堂々のファイナル進出。

 <女子シングル>浅田真央、村主、今井が出場。SPは今井が3位、村主が5位、真央は7位。フランスからは3人出場したが、15歳のマロコ、16歳のメイテとも転倒し、12位と11位。1番滑走でGPは2年ぶりというディディエ(22歳)が10位。村主は5番滑走で、前回失敗した冒頭の3回転ルッツからの連続ジャンプは成功。ただeマークがついた。ところが次の単独ジャンプが2回転になってしまい、要素が抜けた。スピンはさすがに三つともレベル4にしてきたが、技術点25.4、演技構成点25.36、合計で50.76でSP5位。今井は、初戦で試せなかった連続3回転に成功。スピンは三つともレベル4で、技術点トップの33.12、演技構成点25.26、合計58.38でそこまでの1位に。長洲(米)は最初の連続ジャンプのルッツにeマークがついたが、ステップはレベル3、スピンは三つともレベル4をとったのに得点が伸びず、技術点31.09、演技構成点27.63、合計58.72でSP2位。シズニー(米)は最初のルッツで両手をついたが転ばなかった。フリップにもeマークがついたが、プログラム後半はよくなり、スピンは三つともレベル4の上、加点が2〜3。技術点28.08、演技構成点27.42、合計55.5でSP4位。ファヌフ(加)は、美しいダブルアクセルから入ったが、次のルッツで転倒。そのせいかスピン一つとステッブがレベル3、最後のスピンはレベル1で、技術点23.96、演技構成点25.36、合計50.51でSP6位。最後の真央は、冒頭のトリプルアクセルが両足で70%、連続ジャンプは得意のループでよかったが、単独ジャンプのフリップはまたも70%で転倒。直後のスピンはレベル1、もう一つのスピンとステップはレベル3で、技術点24.66、演技構成点27.44、合計50.1で、SP7位。BS朝日解説の荒川によれば、練習では跳べるのに本番ではだめらしい。インタビューでも泣きそうな顔で、どう答えたらいいか本当にわからないようだった。

 フリーでは、真央が5位(総合5位)、村主8位(総合8位)、今井は9位(総合6位)。前半グループ二人目のメイテは、いきなり三連続ジャンプを決め、次の3回転ルッツは転んだが、その他のジャンプは全て成功、スピンでも二つがレベル4で、技術点最高の56.74を出してフリー7位(総合9位)。スペインのラフエンテ(18歳)もノーミスの演技でフリー6位(総合7位)。前半最後は真央。トリプルアクセルは二つとも1回転に。ルッツは両足でeマーク、フリップも二つ目が1回転。苦手だったサルコウと得意のループは決め、スピンとステップもレベル4と3にまとめ、技術点は41.7だが演技構成点は三番目の56.22でフリー5位。後半最初はファヌフ。ルッツで転倒、1回転アクセルもあったが、三連続を含む連続ジャンプは三つとも決め、技術点54.01、演技構成点51.59でフリー3位(総合4位)。村主は、冒頭の3回転ルッツからの連続ジャンプはeマークだが成功、SPで失敗したフリップも成功。しかしサルコウが回転不足で両足、次のスピンも回転不足でレベル1、二つ目のルッツは2回転、二つ目のフリップで転倒などスタミナ不足からくる集中不足のようだ。技術点38.33、演技構成点50.09でフリー8位だが、村主らしさは少し戻ってきた。シズニーは、最初に連続ジャンプを二つ決め、スピンは相変わらず三つともレベル4。後半トーループで転倒したが、技術点48.9、演技構成点は二番目の56.4でフリー4位、総合3位でファイナル進出。今井は、「守りに入って」自滅気味。最初のダブルアクセルは何とか下りたが、ルッツ、サルコウなどでステップアウトや回転不足などミスが多く、技術点38.34、演技構成点48.75でフリー9位。長洲もまだスタミナ不足なのか、三連続ジャンプの最初のルッツでぐらつきeマーク、スピンでは姿勢の変化の際、足を落としそうになり回転不足、しかし他はまとめて技術点三番目の53.98、演技構成点4番目の55.09でフリー1位、総合2位で初のGP表彰台。最後のコルピは、冒頭で連続3回転を決めたが、ルッツで転倒。1回転フリップもあったが、ループ、サルコウは決め、後半に三連続も入り、レベル4のスピンでしめくくり、技術点は四番目の53.98、演技構成点は最高の56.63でフリー2位ながら優勝、しかしファイナル進出は逃した。


フィギュアスケート (2010.11/19,27,29)

ロシア杯 (2010.11/19〜21 モスクワ) GP第5戦

 <女子シングル>10人出場。中国杯と同じく安藤と鈴木が出場。中国杯とは打って変わってレベルが高い。SPでは、いきなり1番滑走のビリュコワ(露。16歳)がノーミスで技術点30.7、演技構成点24.29で4位。コーチがボルチコワだった。次のザワツキー(米。16歳)もスケート・カナダで披露した3回転3回転を決め、技術点は最高の32.03、演技構成点24.81でSP2位。前半最後のマルケイ(伊)も今季最高を更新して6位。後半最初のワグナー(米)はNHK杯では見逃した。最初の連続ジャンプはミスしたが、美しい滑りで技術点30.23、演技構成点25.94で3位から。昨年のロシア国内選手権で優勝したマカロワ(露。17歳)は、スケート・カナダで衝撃の2位デビューしたが、最初の連続のはずの3回転トーループでステップアウト。次の3回転ループに2回転つけたのは立派だったが、得点はのびず技術点26.54、演技構成点26.39の8位と出遅れ。レオノワ(露)は、ダブルアクセル以外のジャンプが全部だめで、最初のルッツは転倒、次の連続ジャンプは1回転2回転になって要素を満たせず減点3。スピンはレベル4をとったものの技術点は最低の21.98、演技構成点25.63でSP9位に沈む。練習中にぶつかって背中を肉離れした安藤は、中国杯でレベル2だった足替えコンビスピンではきっちりレベル4とったが、最後のレイバックスピンはレベル1のまま。連続ジャンプは、直前の練習では3回転3回転跳べていたが、3回転2回転に押さえ、単独の3回転フリップは70%評価。技術点27.03、演技構成点は2番目の26.97で5位から。最後の鈴木は、3回転ルッツがeマークだった以外はミスなく、スピンはレベル4もとったが、技術点は4番目の30.13、演技構成点は最高の27.3、合計で57.43でSP1位。

 フリーは、またも安藤が逆転優勝。レオノワは、二回転倒したがフリーは7位。マカロワも一回転倒し、フリー6位。SP4位のビリュコワも一回転倒し、フリー5位。SP2位のザワツキーに至っては、三回も転倒、フリー8位。後半最初の安藤は、冒頭の連続ジャンプで今度こそ3回転3回転をねらったが、「すっぽぬけて」第二ジャンプは2回転に。しかし、スピンは今度こそレベル4二つとレベル3。五つ連続ジャンプの最初こそ、またダブルアクセルの後2回転になったが、ルッツ、サルコウ、トーループ、三連続と決めて1.1倍の得点を稼ぐ。技術点は驚異的な62.65、演技構成点2番目の57.82、合計120.47でフリー1位。ワグナーのダブルアクセル3回転トーループは、軒並み加点2がつき、スピンで三つともレベル4、最後のフリップで転倒したが、フリー3位で総合3位。最後の鈴木は、ダブルアクセル3回転トーループ、3回転ループからの連続ジャンプなど丁寧に滑っていたが、後半最初のルッツが1回転になり、次の三連続の第三ジャンプも一回転に。終盤のステップでは、加点2〜3をもらったが、技術点3番目の55.08、演技構成点はトップの60.23、合計115.31でフリー2位、総合優勝を逃して2位。
 これで、村上に続き、安藤と鈴木もファイナル進出決定。あと1枠は、フランス杯に出るシズニー、長洲のアメリカ勢とコルピとの争いだろう。安藤は、翌日、SPの曲目を変更すると発表。腰に力が入らないのでステップを見直すとのこと。

 <男子シングル>12人出場。羽生と町田の若手二人が参加。SP1位はチャン(加)。2位はアボット(米)、3位はヴェルネル(チェコ)。4番滑走の町田は、最下位の12位。最初のトリプルアクセルで転倒、連続ジャンプは回転不足、スピンも軸が不安定。技術点が最低の26.76、演技構成点30.61の合計56.37。11位のコワルスキーとは約3.7の差。5番滑走の羽生は、トリプルアクセル、連続3回転と決め、単独のフリップはeマークだが、スピンはレベル4と3で、技術点は4番目の37.86、演技構成点32.38、合計70.24でSP6位から。得点はNHK杯より1点高い自己ベスト更新。フェルナンデス(西)は、スケート・カナダの勢いがなく、連続3回転は跳んだがジャンプが全体的に不安定。スピン、ステップはレベル3でそろえたが、SP8位は不本意だろう。ガチンスキー(露)は、いきなり4回転2回転の連続ジャンプを決めた。技術点38.95、演技構成点33.46、合計38.95でSP4位。コンテスティ(伊)は、最初の連続ジャンプが2回転3回転になったくらいで大きなミスはなかったが、技術点が伸びず31.12、演技構成点34.57でSP9位と出遅れ。ヴェルネルは「雨に歌えば」の曲で、4回転を回避し、美しい連続3回転、トリプルアクセルと余裕のあるジャンプ。スピンも二つレベル4をとり、技術点36.95、演技構成点37.15、合計74.1でSP3位から。アボットは、連続3回転、トリプルアクセルで加点をもらい、二つのスピンでレベル4、技術点39.07、演技構成点38.54、合計77.61でSP2位。しかし、チャンが冒頭で4回転3回転を華麗に決めるとかなわない。不調のトリプルアクセルは転倒扱いだが、その他の要素をレベル4と3にまとめ、技術点、演技構成点ともダントツの42.54、4042、合計81.96でSP1位から。

 フリーでは、ヴェルネルが逆転優勝。2位はチャン。羽生はフリー6位の総合7位。町田は、冒頭の4回転は失敗したが、トリプルアクセルからの連続3回転、レベル4のスピンなど健闘、パンクしたループと1回転アクセルもあったが、フリー9位でひとつ挽回して総合11位。コンテスティは、最初の三つの単独ジャンプで加点、後半にはトリプルアクセルからの三連続も入り、フリー3位、総合4位と挽回。フェルナンデスはやはりジャンプのキレがなく、最初の4回転が転倒扱い、1回転のルッツとフリップ、2回転のループなど、せっかくの表現力も生きず、技術点下から2番目の52.68、演技構成点65.92、フリー10位、総合9位。後半最初の羽生は、最初の4回転の予定が3回転トーループになって予定が狂い、せっかく後半にトリプルアクセルからの3回転トーループを決めたが、次の連続ジャンプが前半に跳んだ3回転ルッツ2回転トーループと重なり無得点。ステップに入る前に転倒もあり、技術点67.2、演技構成点66.22、合計132.42で総合202点台に載せたが、フリー6位の総合7位。ガチンスキーは冒頭の4回転が2回転に。三連続も第三ジャンプが1回転、後半のルッツは2回転で、技術点61.43、演技構成点は4番目の69.1、合計130.53のフリー7位。ヴェルネルは、やはり4回転を跳ばないと安定している。後半にトリプルアクセルからの連続ジャンプ、三連続など決め、ステップでは加点を稼ぎ、技術点は最高の78.09、演技構成点も2番目の78.12、合計156.21、総合230点台の高得点で優勝。アボットは、冒頭の4回転、後半のルッツと二回も転倒し、自滅。佐藤由香コーチがいないとだめなのか。技術点64.26、演技構成点77.34、合計139.6でフリー4位、総合3位。最後のチャンはなんと三回転倒。最初の4回転、中程の単独のトリプルアクセルはともかく、二回目のルッツで転倒の上、連続ジャンプの跳びすぎで無得点もあり、技術点は5番目の66.95、演技構成点は1番の81.3、合計14.25でフリー2位、総合も2位と後退。

 <ペア>高橋・トラン組が出場。SPは、川口・スミルノフ組に続く2位から。フリーでは、川口・スミルノフ組がダントツの優勝。川口は、五輪後、肩の手術もして、練習は九月再開という。スミルノフが結婚して「大人になった」のが大きい、という談話も。高橋・トラン組もそのまま2位確保。今年は既にジュニアGPファイナル出場権も得ているが、NHK杯3位なので、このままだと両方のファイナルの出場権を取ってしまうかも。



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フィギュアスケート (2010.11/13,14,22,23,26)

スケート・アメリカ (2010.11/12〜14 ポートランド) GP第4戦

 男子は高橋、織田、村上大介が参加、女子は村上佳菜子のみ、アイスダンスのリード姉弟も参加。
 <男子シングル>12人出場。SPは織田が1位で、高橋が2位。高橋はトリプルアクセルが不調で動揺したらしい。3位はリッポン(米)。1番滑走で村上が登場。最初の連続ジャンプでルッツがeマークだったが3回転3回転を決め、トリプルアクセル、レベル3と4のスピンなど技術点36.26、演技構成点30.75、合計67.01でSP5位と健闘。次のマーバヌーザディー(米)は、柔らかい滑りで、3回転3回転、レベル4と3のスピンなど技術点は2番目の37.05、演技構成点30.56、合計67.61とわずかに村上を上回りSP4位。ヴァンデルペレン(ベルギー。28歳)は、トリプルアクセルと連続3回転はよかったが、単独ジャンプが2回転になり、要素を落として8位から。前半組最後に、羽生と世界ジュニア王座を争ったソン(中)が出てきたが、最初の連続ジャンプを失敗、要素がひとつなくなって、大きいトリプルアクセルは決めたが、9位から。後半最初のテン(カザフ)は、まだジャンプが不調でトリプルアクセルで転倒、6位から。ようやくリッポンが、トリプルアクセルは変だったが、スピンは三つともレベル4で技術点36.83、演技構成点37.11、合計73.94でその時点で1位となり、SP3位。高橋は、最初の連続3回転ジャンプはよかったが、次のトリプルアクセルの着氷でつまづいたようになり70%、単独の3回転ルッツはステップアウトして、相変わらずレイバックスピンはレベル1で、技術点が伸びず5番目の35.69、演技構成点は最高の42.43、合計78.12でSP2位。最終滑走の織田は、見るからに緊張した顔で出てきたが、単独ジャンプのルッツがeマークになったくらいで、後はレベル4と3のスピンとジャンプ、ステップとも加点がつき、技術点は最高の39.60、演技構成点は2番目の39.68、合計79.28でSP1位。

 フリーでは高橋が逆転優勝した。織田はやっぱり2位。またしてもジャンプの跳びすぎらしい。3位はSP4位のマーバヌーザディー(米)が逆転。村上は5位のまま。
 SP8位のヴァンデルペレンは、なんと冒頭に4回転を決めてきた。スピードは全くないが、トリプルアクセルや連続3回転など得点を稼ぎ、フリー5位、総合6位に浮上。SP7位のシュルタイス(瑞)は、4回転も跳んだが、1回転アクセルやレベル1と2のスピンなど、らしくないクラシックの曲も不利だったか、フリー9位。後半最初のテンは、冒頭トリプルアクセルで二回転倒、次の連続ジャンプで両手つき、フリップはeマークの上、転倒、最後はダブルアクセルでも転倒とさんざんでフリー11位。シーズン後半に向けなんとか立て直してほしい。SP5位の村上は、最初の連続3回転はルッツにeマークがついたが、次のトリプルアクセルからの連続ジャンプも決め、スピン、ステップでレベル3をとり、技術点は3番目の68.83、演技構成点68.16でフリー4位と躍進。マーバヌーザディーも会心の出来で、ジャンプ、スピンなど全ての要素に加点。三連続ジャンプの最初が1回転になっただけで、技術点は最高の73.62、演技構成点69.94、合計143.56のフリー3位で総合も3位。初のメダル獲得。逆にSP3位のリッポンは固い表情でいきなり1回転アクセルを跳んでしまい、三連続ジャンプは跳んだが転倒もあり、演技構成点は3番目の72.24だったがフリー7位、総合4位と後退。高橋もジャンプの質が悪く、ステップは二つとも加点2〜3はさすがだが、二つ目のトリプルアクセルで転倒、ルッツは二つともeマーク。技術点は5番目の64.95、演技構成点はダントツの85.0、合計148.95でフリー1位だが、この出来では本人も優勝は逃したと思っただろう。しかし、最終滑走の織田が、表情は硬かったが、冒頭の4回転転倒以外は着々とジャンプを決め、ステップはつたなかったが順調に見えた。ところが三連続ジャンプの前に、二つ目のトリプルアクセルと二回の連続3回転ジャンプがあったので、ここが無得点になり、技術点は4番目の68.17、演技構成点2番目の79.64、合計146.81でフリー2位、総合0.98差でまたも高橋に逆転優勝された。

 <女子シングル>SPは村上が2位から。1位はコストナー。スウェーデンのヘルゲソン姉妹がそろって登場したが明暗。姉のヴィクトリア(22)は単独ジャンプで転倒、最下位から。5歳も年下の妹のヨシは滑りに勢いもありノーミスで、2番目の技術点で3位から。村上はNHK杯より固い感じで、最初の3回転3回転は決めたが、単独のフリップは70%、アクセルは1回転になった。しかしスピン三つともレベル4で技術点は3番目の27.55、演技構成点27.2の2位。ジャン(米)、フラット(米)はNHK杯より体を絞ってきたが、あまり点が伸びず、5位と4位から。ジャンはスピンは三つともレベル4をとったが、ジャンプは不調で滑りに速さがない。フラットは最初の連続ジャンプで第一ジャンプが2回転になった上、第二ジャンプは回転不足。最後のコストナーはフラメンコの曲で、ジャンプは無難にこなし、レベル4のステップで加点を稼ぎ、技術点はダントツの30.48、演技構成点も1番の29.8、合計ただ一人60.28の大台に乗せ1位から。

 なんとフリーで村上が逆転優勝(!)。早くもファイナル進出決定。村上は、浅田真央がシニアデビューの年、GP二戦目で優勝し、ファイナルでもその勢いのまま優勝したことを意識しているらしい。1番滑走のヘルゲソン姉は、ジャンプも決まり、スピンは三つともレベル4でフリー3位、総合5位と挽回。ジャンは、ジャンプは回転不足、ロングエッジ、1回転と立ち直れず、得点源はスピンのみでフリー10位。フラットは、最初の連続ジャンプ二つは70%評価だったが、後は立ち直り、ステップなどで加点を稼ぎ、技術点は1番の57.85、演技構成点は3番目の53.99、合計111.84でフリー1位、総合2位と面目を保った。村上は、NHK杯よりうまく入れたようで、最初の3回転3回転成功、次のルッツはeマークだが、スピンは二つがレベル4。1回転フリップもあったが、三連続ジャンプも第二、第三が70%ながら入った。技術点も演技構成点も2番目の54.75と55.43、合計110.18のフリー2位、総合で1位となった。最終滑走のコストナーは、出だしはよかったが、二つ目のアクセルが1回転になり、次のスピンはレベル1。3回転ループで転倒し、次のループは2回転に。三連続ジャンプは第二、第三が1回転に満たず、技術点は下から3番目の34.28、演技構成点は最高の58.45、合計94.59はフリーなんと6位、総合でかろうじて3位。


フィギュアスケート (2010.11/6,16,17,19)

中国杯 (2010.11/5〜7 北京) GP第3戦

 男子は小塚と町田、女子は安藤と鈴木明子が参加。
 <女子シングル>SPは11人出場。10番目に鈴木が前回覇者として登場。「ジェラシー」の曲で滑り、単独ジャンプでバランスをくずしたが、連続ジャンプとダブルアクセルは流れの中でたいへん美しく、技術点30.46、演技構成点27.51、合計57.97を出して2位から。最終滑走の安藤は、冒頭の3回転ルッツ3回転ループは決まったかに見えたが減点。スピンがレベル2と1で、技術点は27.99だが、演技構成点は最高の28.12を出して3位から。1位は、右足首を疲労骨折していたという長洲(米)。九月まで痛くて歩けなかったといい、だいぶ太め。それでもノーミスの演技で、技術点31.73、演技構成点27.03、合計58.76。一番滑走の中国の16歳の若手ゲンが、ノーミスで4位と健闘。コーチは何とチェンジャン・リー。

 フリーで最下位の中国の選手が棄権。SP5位のレオノワ(露)は、「イーストウィックの魔女」の曲で衣装や化粧に工夫してあったが、ジャンプに精細を欠き、転倒もしたが、技術点は2番目の49.49でフリー3位、総合3位。中国の16歳のゲンは、ノーミスのSPとはうって変わってジャンプの転倒、ダウングレード、はぜて1回転などミスが続いたが、フリー4位。安藤は、今度は冒頭の連続ジャンプを3回転ルッツ2回転ループに変え、基礎点に加点をもらった。前半のスピンは二つともレベル4。後半五つ連続ジャンプの最初のダブルアクセル3回転トーループはタイミングを図りすぎて第二ジャンプが2回転に。しかしその後のルッツ、サルコウ、トーループ、三連続ジャンプは全て決めて、技術点ダントツの60.5、演技構成点は2番目の55.6、合計116.1で逆転優勝。次の鈴木は珍しくジャンプのミスをひきずってダウングレード二つ、1回転フリップ、レベル1のスピンなどあったが、最後のスピン二つはレベル4。高橋と同じカメレンゴ振り付けの「屋根の上のバイオリン弾き」の曲想表現は評価され、技術点3番目の48.76、演技構成点は1番の56.13、合計104.89でフリー2位、総合で2位。最終滑走の長洲は、最初の三連続ジャンプは流れがあったが70%、次はアクセルの踏切でバンク、他にダウングレードも三つ、無得点の連続ジャンブも跳んでしまい、練習不足を露呈。技術点は下から2番目の34.82、演技構成点は3番目の53.65、合計87.47のフリー5位で総合4位。

 <男子シングル>SPは12人参加。GPシリーズデビューの町田が7位から。高橋に憧れているというステップはまだまだ。ムロズ(米。19歳)が2番目の技術点38.51を出して4位から。ヴォロノフ(露)は、4回転を跳んだが第二ジャンプが1回転になってしまったので、BS朝日解説の田村が「連続ジャンプは3回転2回転以上なので、跳ばない方がよかった。」と言った通り、得点は伸びず技術点34.77、演技構成点33.93の5位。小塚は、ジャズの曲で冒頭の3回転3回転、トリプルアクセル、単独ジャンプどれもミスなく滑り、技術点はダントツの41.3をたたき出し、演技構成点36.1、合計77.4で1位。コンテスティ(伊)は、トリプルアクセルがオーバーターンになり、単独ジャンプは2回転とミスが多く9位から。ジュベール(仏)は、フラメンコの曲で、小塚の得点を意識したのか、冒頭の4回転3回転は決めたがトリプルアクセルの着氷が乱れ、技術点37.79、演技構成点は最高の37.01、合計74.8で2位から。最終のヴェルネル(チェコ)は、やはりトリプルアクセルが乱れたが他のジャンプは決め、技術点33.76、演技構成点36.55、合計70.31で3位。

 フリーは、コンテスティが昨季のアンデス民謡の曲で、トリプルアクセルから入り、3回転フリップ、レベル4のスピン、三連続ジャンプなど立ち直りを見せ、フリー4位と躍進。前半最後の町田は、冒頭に4回転に挑戦。転倒したが、次のトリプルアクセル3回転トーループは決め、最初のフライングスピンはレベル4。三連続ジャンプも決めたが二度目のトリプルアクセルで転倒。技術点69.73、演技構成点66.44、合計134.17でフリー5位、総合も5位。後半二人目に出てきたヴォロノフが最初のジャンプで足首をひねったらしく、棄権。急に滑走時間が早まったムロズは、いきなり4回転、トリプルアクセル3回転トーループを決め、三連続ジャンプなどジャンプはよかった。最後のスピンなどレベル1で尻すぼみだったが、技術点78.98の高得点、演技構成点67.98、合計146.96でフリー2位。SP3位のヴェルネルは、3回転3回転、トリプルアクセル2回転トーループと続けて連続ジャンプを成功させ、入りはよかったが、ループは2回転になり、レベル1のスピンもあり、技術点68.94と伸びず、演技構成点は一番の75.56、合 計144.5を出したが、あと二人いる時点で2位。それでもフリー3位で、総合3位。ジュベールが冒頭の4回転が70%の評価になったのを初め、3回転3回転や三連続ジャンプで減点。スピンは三つともレベル1で技術点が伸びず62.99、演技構成点は3番目の72.5、合計135.49のフリー5位と沈んだ。最後の小塚は、すばらしいスピードの滑りで、冒頭の4回転は片手をついたが、3回転ルッツ2回転トーループの連続ジャンプを二つ、トリプルアクセルからの三連続ジャンプなど決め、後半のスピンは二つともレベル4で、技術点は別世界の81.41、演技構成点は2番目の74.7、合計156.11とフリーだけでも2位と10点近い差をつけた。そのまま小塚が優勝。



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フィギュアスケート (2010.12/)

全日本ジュニア選手権 (11/26〜28 笠松)

 <男子シングル>30人参加。今年でジュニア卒業となる中村健人(立大)が優勝。2位は日野。龍樹という名前は、ロシア人の父が仏教の逸話からつけたらしい。3位は木原。日野も木原も中京高校。4位は、中1になった宇野。相変わらず小さくて心配だ。
 中村は、SPでトリプルアクセルが1回転になるミスがあったが、後は連続3回転、レベル4のスピンなどまとめSP1位。フリーでは、トリプルアクセルは片手付きでこらえる。しかし後半のトリプルアクセルからの連続ジャンプではまた1回転に。転倒もして、技術点二番目の54.27、演技構成点最高の62.00、フリー2位ながら優勝。内容が悪かったので快心の笑顔はなかったが、やはり嬉しいらしい。日野は、連続3回転の後半でステップアウト、スピンふたつとステップもレベル1など出来はよくなかった。それでも冒頭でトリプルアクセルを決めたので技術点最高の32.28でSP2位。フリーは冒頭のトリプルアクセルで転倒。動揺して次のトリプルアクセルからの連続ジャンプも失敗。フリー3位、総合3位。宇野はまだダブルアクセル。連続ジャンプも3回転2回転。SP3位。フリーでは、四回もジャンプで転倒。フリー8位。トリプルアクセルが1回転になりSP4位だった木原がフリー1位。冒頭のルッツからの連続3回転は加点1〜2。アクセルはダブルだが3連続ジャンプも決め、技術点最高の64.95を出した。SPで9点近い差があった中村を0.26差まで追いつめて総合2位。

 <女子シングル>30人参加。女子の方が全体にレベルが高い感じ。庄司は、別格の風格。連続3回転もなんなく決め、ステップの表現力は本当に中学生か。技術点ダントツの33.28、演技構成点も最高の23.28でSP1位。三年前非常に期待された西野がSP5位。冒頭のルッツからの連続3回転で転倒。しかしスピンはレベル4など進歩を見せた。SP2位は友滝、3位は押川、4位は上野。フリーは24人。SP7位の大庭がフリー2位。冒頭で連続ジャンプをふたつ決め、後半にもダブルアクセルからの三連続ジャンプ。技術点二番目の56.79、合計99.03。総合3位。西野は、フリー6位。どうもジャンプの調子がわるくみんな回転不足。総合5位。庄司は、冒頭のルッツを失敗したが、全体の完成度が高い。ダブルアクセルからの連続ジャンプ、後半の三連続ジャンプなど決めて技術点は四番目だが演技構成点最高の46.96を出し、ただひとり合計100点台の101.86で優勝。総合2位は、フリー3位の友滝。


フィギュアスケート (2010.11/8,)

スケート・カナダ (2010.10/29〜31 キングストン) GP第2戦

 男子は織田と南里が参加。女子は村主と今井が参加。男子SPは織田が1位らしい。南里は8位から。しかし、優勝はチャン(加)。女子はSPはファヌフ(加)が1位、今井が6位、村主は8位。優勝はシズニー(米)。

 <女子シングル>11人参加。スイスのサラ・マイアーはエントリーしたが出なかったようだ。一番滑走のザワツキー(米。16歳)が3回転3回転連続ジャンプを初め、ほぼノーミスで技術点は一番の32.14を出し、演技構成点24.15でSP3位。村主は、スポンサーが決まるのが遅かったのか、滑り込めていない感じ。靴も氷をうまくとらえていないようだ。最初の連続ジャンプは第一ジャンプのルッツの着氷が不安定で第二ジャンプの前に一瞬止まってしまった。単独ジャンプの3回転フリップもダブルアクセルもみんなマイナスのGOE。スピンはよかったが、まだ「村主ワールド」を作り出せていない。8位から。シニアグランプリ・デビューの今井(16歳)は、ドンキホーテの「ジプシーダンス」という曲でなかなかよく滑った。スピンは三つともレベル4をとり、ほぼノーミスで技術点28.18、演技構成点24.34で6位から。今回驚いたのはマカロワ(露。17歳)。167cmの大柄な体を自在にコントロールし、冒頭の3回転3回転を余裕で決めると、3回転ループ、ダブルアクセルと立て続けに完璧なジャンプ。全て加点がつき、滑りも勢いがあって滑らかで、スピンも三つともレベル4。技術点は二番目の31.44、演技構成点26.46で堂々のSP2位。この選手も「ソチの星」候補だろう。シズニー(米)、ファヌフ(加)は、二人ともジャンプさえ決まれば表現力はあるので、それぞれ4位と1位につけた。ファヌフはロシェットが休養の今季のカナダ勢でトップの実力を見せた。技術点は29.98だったが、演技構成点は一番の28.26。

 フリーでは、四番目に村主が「シヘラザード」の曲、青いパンツルックで登場。最初の連続ジャンプで得意のはずの3回転ルッツが両足、単独のルッツは1回転に。しかも両方eマーク。フリップでは転倒と、ジャンプが不調。それでもSPよりキレのある滑りでスピンやステップでらしさが見えた。しかし技術点は最低の38.54、演技構成点47.13、合計84.67のフリー10位、総合9位。後半最初の今井は、「ダッタン人の踊り」の曲で軽快に滑り、最初のダブルアクセル3回転トーループ、三連続ジャンプも決めたが、3回転ループで着氷で手をつき、一瞬止まってしまい転倒扱い。しかし次の3回転ループを連続ジャンプにして取り返し、技術点は二番目の55.71、演技構成点47.31、合計102.02はフリー3位。総合5位というグランプリ・デビューとなった。SP5位のラコステ(加。22歳)は、村主とは違う「シヘラザード」の曲で、一回転倒した以外は無難にまとめて、合計101.96でフリー4位、総合で3位となった。シズニーは最後のジャンプで転倒したが、他のジャンプが決まり、美しいスパイラルと高速スピン、特に最後のビールマンスピンは12回もまわってほぼ全員から加点3をもらい、技術点55.95、演技構成点61.47、合計116.42の高得点で逆転優勝。マカロワは転倒こそしなかったが、最初の3回転3回転以外は、出来の悪いジャンプが多く、技術点55.33、演技構成点51.77、合計107.10のフリー2位、総合2位。最後のファヌフは6年ぶりのカナダ大会優勝を目指したが、ルッツで二回も転倒、サルコウは2回転に、ループは1回転になる出来で、演技構成点こそ二番目の57.04を出したが、技術点は下から二番目の42.96、合計98.0はフリー7位、総合は4位でメダルも逃した。

 <男子シングル>SP四番滑走の南里は、トリプルアクセルは決めたが、次の連続ジャンプで最初の3回転フリップがeマークの上、着氷がいまいちで第二ジャンプが2回転になった。今季が最後でGPシリーズはこの大会のみ。技術点31.6、演技構成点29.4、合計61点で8位から。フェルナンデス(西。19歳)はすばらしいトリプルアクセルから入り、次の連続ジャンプは3回転3回転の予定だっだが第一ジャンプの着氷が悪く第二ジャンプは2回転。派手なピンクの蝶ネクタイの衣装、表情豊かな見栄の切り方、モロゾフの振り付けで技術点34.32、演技構成点32.42、合計66.74で6位から。しかし、次のレイノルズ(加。20歳)は史上初めてSPで二回4回転を跳んだ。最初に4回転サルコウからの連続ジャンプ、トリプルアクセルはマイナス評価だったが、4回転トーループは加点ももらった。技術点ダントツの46.03、演技構成点34.06、合計80.09という別次元の点が出てその時点で1位に躍り出た。ガチンスキー(露。17歳)は冒頭で4回転からの連続ジャンプだったが、着氷で体勢を崩し第二ジャンプをつけられず。技術点34.14、演技構成点32.43、合計66.57でSP7位。リッポン(米。20歳)はトリプルアクセルから始まるジャンプ要素はどれも加点がつく美しい出来。連続ジャンプはなんなく3回転3回転を決め、技術点41.1、演技構成点36.43、合計77.53の高得点で3位から。プロベール(仏)はノーミスで技術点35.57、演技構成点34.14、合計69.71で5位。バンクーバー五輪5位のチャン(加。19歳)は、なんと三回も転倒。「テイクファイブ」の曲で、冒頭の4回転と不調のトリプルアクセルの転倒はともかく、最後のステップでもころんだのは痛かった。それでも技術点36.73、演技構成点は一番の39.47、合計73.2で4位につけた。バンクーバー7位の最終滑走の織田は、五輪後結婚し、子どもも生まれたとか。三つのジャンプ要素は全て流れがあり、加点が2〜3ついた。3回転3回転も余裕があった。スピンは三つともレベル4。技術点は基礎点36.9のところ43.37、演技構成点38.0、合計81.37で1位発進。

 フリーでは、南里はおととし世界選手権に出たときの「カルメン」の曲で滑った。トリプルアクセルからの3回転トーループは加点をもらった。あともほぼノーミスで技術点69.56を出したが演技構成点が最低の58.4、合計127.96でフリー9位、総合も9位。SP9位のジェレミー・テン(加。21歳)に逆転された。ガチンスキーはフリーでは4回転に成功し、技術点73.91、演技構成点63.60、合計137.51で7位をキープ。後半最初のフェルナンデスがすばらしかった。「パイレーツ・オブ・カリビアン」は昨季と同じだが、振り付けは全面的に変えたらしい。冒頭に鮮やかに4回転を決め、次のトリプルアクセルも加点。千鳥足のステップの後、1回転アクセルになったものの3回転トーループをつけ、技術点75.11、演技構成点69.0、合計144.11でフリー4位、総合5位。エッジワークがうまくて近いうちに世界の上位常連になりそう。プロベール(仏)は4回転を申告はしたが跳ばず、めずらしくクラシックの曲で滑り、合計139.34で5位。チャンは好調時の速い滑りで冒頭の4回転を決めると、トリプルアクセルはまた転倒したが、後はほとんど加点のつく演技で、技術点は最高の83.18、演技構成点は84.14、合計166.32と一人だけ別世界の得点で逆転優勝。リッポンは少し滑りがかたく、トリプルアクセルは不出来だったが、両手を上げるルッツや3回転3回転の連続ジャンプ、三連続ジャンプなどを決め、技術点80.35、演技構成点は二番目の75.16、合計155.51でフリー2位、総合3位。レイノルズは三種類の4回転を跳ぶと申告したらしいが、冒頭の4回転サルコウ(基礎点10.5)、次の4回転トーループ3回転トーループ(基礎点14.4)は加点つきの出来で決めたが、4回転ループは跳ばず、1回転アクセルを二つもとんでしまい、後半の連続ジャンプも出来が悪くスタミナに課題。技術点70.06、演技構成点69.5、合計138.56のフリー6位、総合4位。最終滑走の織田は、見るからに固くなっていて無表情。冒頭の4回転、トリプルアクセルからの3回転、と順調に決めたが、固いまま。二つ目のトリプルアクセルで転倒、技術点はそれでも二番目の81.87、演技構成点74.28、合計155.15でフリーは3位、総合で2位。テレ朝チャンネルの放送は、織田の得点が出る前に時間切れとなってしまい、いかがなものか。

フィギュアスケート (2010.10/22,23,25,26)

NHK杯 (2010.10/22〜24 名古屋) GP第1戦

 今年はいきなりNHK杯。ジャンプの見直しを始めた真央と、4回転の調子が出ない高橋。今年からシニア参戦の村上と羽生。どこまでやれるか。

 <アイスダンス>は今季から大きくルールが変わり、規定とオリジナルダンスが合併して、ショートダンスができた。規定に当たる部分はパターンダンスと言い、今年の課題はワルツ。ODに当たる部分はクリエイティブ・パートと言い、タンゴかクイックステップかワルツの内からひとつを選ぶ。必須要素は5つで、6秒以内のショートリフト、ツイズル、ストレートラインステップ、パターンダンスの2つのセクション(らしい)。9ヵ国から10組参加。
 日本のリード姉弟は、アダムスファミリーのワルツで、パターンダンスはまあまあながら、ツイズルでクリスがよろけて両手をつくというミスがあり、技術点21.86、演技構成点23.04の7位から。「プログラムが9月にできたばかり」というのは厳しい。世界ジュニア王者のイリニク・カツァラポフ組(露)は、シニア初参戦なのに技術点29.79、演技構成点27.1で3位は立派。ソチ五輪のメダル候補と言われるのもわかる。日系二世を父に持つシブタニ兄妹(米)は妹のマイアの背が少し伸びてバランスがよくなった。最後の方のステップでアレックスの靴に妹の衣装の裾がからんで転倒、技術点は4番目の28.57、演技構成点26.11で痛恨の5位から。ウィーバー・ポジェ組(加)は、さすがに深いエッジで技術点31.15、演技構成点27.54、2位から。カッペーリーニ・ラノッテ組(伊)は「ケ・セラ・セラ」の曲。この曲はワルツだったのか。やはりエッジが少し浅く、技術点は5番目の27.57、演技構成点は2番目の28.11で4位。バンクーバー銀メダルのデイヴィス・ホワイト組(米)は、すごく緊張した面持ちで登場したが、格の違う滑りを見せて技術点32.28、演技構成点34.69のダントツの1位。連覇に向けて順調にスタート。

 フリーでは、リード姉弟はリフトやステップ、スピンなど今の段階ではよく滑っていたと思うが、ツイズルの後半でキャシーがクリスの方へ寄ってしまい、減点。技術点34.38、演技構成点35.24で7位のまま。ひとつ前に滑ったイギリスの組がイキのいい滑りとオリジナリティーのあるリフトを連発したので少し心配したが、8位とは3点以上差をつけた。シブタニ兄妹はオーソドックスな感じのスケートが似合う。ノーミスで滑り、技術点42.67、演技構成点40.58、フリー2位で総合3位。シニア初の表彰台。カッペーリーニ・ラノッテ組は女性が後半よろけたのとリフトの時間オーバーで5位に後退。イリニク・カツァラポフ組は「ドンキホーテ」の曲で上手に滑ったがリフトの時間オーバーもあり、4位。ウィーバー・ポジェ組は男性がツイズルで一瞬よろけてフリーは3位、総合で2位。デイヴィス・ホワイト組は、かなり難しい技を隙間なくつめこんだプログラムをそつなく滑りきり、技術点46.22、演技構成点52.02という格の違いを見せた。優勝インタビューでデイヴィスが「バンクーバーは銀メダルで悔しかった。四年後に向けて第一歩」と語ったのがあの厳しい顔の理由らしい。

 <女子シングル>のSPは、要素からスパイラルがなくなった。また、ジャンプの回転不足の減点法が変わり、3/4に足りなければダウングレードだったのが、1/2以上あれば基礎点の70%からの増減となった。
 第1グループで村上(15歳)がシニア・デビュー。冒頭で3回転3回転に挑戦、ちゃんと飛べたかに見えたが、第一ジャンプが回転不足。それでも要素はきちんと入り、ステップで一回ぐらついたが、速いスピンでしめくくり(スピンは3つともレベル4をとった)、技術点は最高の29.81、演技構成点26.29、大健闘の2位から。ゲデバニシビリ(グルジア)とジャン(米)は、太って演技にキレがない。それぞれ9位と6位から。全米女王のフラットもだいぶ太り、どうかと思ったが3位から。コルピ(フィン)は、冒頭の3回転3回転が2回転3回転になり、回転不足も取られ、5位から。欧州女王のコストナー(伊)は、五輪後、元のコーチに戻った。3回転3回転は不調で3回転2回転に変更した以外ノーミスで技術点27.52、演技構成点は最高の29.75で貫禄の1位。NHK杯三連覇に向けて好発進。世界女王の真央は、ジャンプ見直し中で、最初のトリプルアクセルは両足の上、ダウングレード、連続ジャンプも3回転ループ二つの予定が3回転2回転になってしまい、単独ジャンプは1回転ルッツで点にならず、そのためステップもスケーティングも本来のキレがなく、技術点20.00、演技構成点28.95の8位という出来。フリーもあまり期待できないか。

 フリーでは、要素のうち基礎点は1に固定されたコリオスパイラルが新設された。第1組で滑ったSP9位のゲデバニシビリ(グル)が三連続ジャンプなど立ち直りを見せ、技術点46.97、演技構成点50.04のフリー3位。真央は、最初のトリプルアクセルが1回転になり、その後の3回転フリップでも転倒。他にも転倒し、ステップやスピンはそつなくこなしたがキレがない。技術点32.23はシニアになってからの最低。演技構成点は2番目の56.22で、フリー8位。フラットは、ダブルアクセルからの連続ジャンプをきれいに決めると、ルッツで手をついた以外はほぼノーミスでまとめ、技術点はダントツの54.87、演技構成点は4番目の52.48のフリー1位、総合で2位。村上は、緊張した顔で、冒頭の3回転3回転こそ決めたが、次のルッツはエッジがeマーク、フリップは二回とも転倒、ループも転倒して技術点は4番目の44.54、演技構成点は3番目の52.52でフリーは5位。総合で3位にとどまり、シニア初の表彰台。最終滑走のコストナーは、二つ目のダブルアクセルでよろめき、他にもいくつか着氷が不安定なジャンプがあったが、「牧神の午後」の曲の世界を見事に表現し、技術点47.80、演技構成点59.54で、フリーは0.01差で2位ながら三回目の優勝。

 <男子シングル>のSPには、高橋と無良(19歳)と羽生(15歳)が出場。要素からステップがひとつ減った。
 無良は2年ぶり2回目のNHK杯。連続ジャンプで4回転3回転が決まったのはよかったが、トリプルアクセルの予定が1回転に。ステップからのジャンプもステップアウト。9位から。アマディオ(仏)は美しいトリプルアクセルから入り、3回転3回転も決まり、どのジャンプも流れがあり、技術点37.18、演技構成点32.83の4位。羽生は「白鳥の湖」の曲で、最初の連続ジャンプは、第一ジャンプがかろうじてこらえた形だったが、第二ジャンプも3回転をつけた。スピンではビールマンを見せ、柔軟性をアピール。ステップはずいぶん難しいものをやっていた。技術点はなんと最高の37.85、演技構成点31.46で5位につけた。ソーヤー(加)はトリプルアクセルは失敗したが3位から。デニス・テン(カザフ)もトリプルアクセルでミス。他は大きなミスはなかったが、解説の本田武によれば「背が伸びてジャンプのタイミングが合わなくなっている」とのこと。6位から。シュルタイス(スウェ)とヴァンデルペレン(ベル)は、ステップからのジャンプが2回転になり、出遅れ。ペレンはバンクーバー後は引退するのかと思っていたが。高橋は、トリプルアクセルで手をついたが、スピンやステップは加点をもらい、技術点は3番目の36.83ながら、演技構成点はダントツの41.21を出し、1位から。ラテンの曲で「暑苦しく踊る」のがよく表現されていた。最終のアボットは、ジャンプは全て決めたが、足替えスピンが基本姿勢の不足とかで無得点、技術点36.27、演技構成点38.35の2位から。

 フリーは、要素のうちコリオステップという基礎点は2に固定された、出来ばえのみ評価するものが新設された。SP11位のヴァンデルペレンが4回転、三連続3回転など決め、相変わらずキレはないものの、技術点は最高の74.26を出し、フリー5位、総合8位。無良も4回転だけでなくトリプルアクセルからの連続ジャンプなども入りフリー6位、総合6位。逆にデニス・テンは、ジャンプ全てにミスがあり、転倒も三回でフリー最下位に沈んだ。羽生は緊張しているようだったが、最初の4回転がきれいに決まるとトリプルアクセルや3回転ルッツからの連続ジャンプ、後半にはトリプルアクセルからの3回転トーループも決め、技術点72.57、演技構成点65.84の得点でその時点で1位。抜けた三連続ジャンプなど入ればもっと点が出たが、フリー4位、総合4位という立派な成績。試合後のインタビューでも「世界のトップと滑れて集中のもっていき方とか勉強になった」と話す冷静さ。アマディオは、モロゾフの振り付けで、エキシビションのような軽快な踊りを見せた。4回転はないが、トリプルアクセル、トリプルアクセルからの連続ジャンプなどジャンプほぼ全てで加点。1回転アクセルもあったが技術点73.74、演技構成点も70.02と合計で143.76のフリー2位、総合3位で初のメダル。アボットはやはり4回転は回避し、安定した美しい滑り。1回転アクセルも跳んだが三連続ジャンプも入り、全米王者の貫禄を見せた。技術点は67.15だったが、演技構成点は2番目の76.42でフリー3位、総合2位。高橋の冒頭の4回転は、「練習では一度も決まっていなかった」と解説の本田も森中アナも驚いていた。後半に1回転サルコウや連続ジャンプでの転倒もあったが、ステップやつなぎの滑りなど実に表情豊かによく滑っていて、技術点74.17、演技構成点は一番の83.58、合計156.75の高得点。2位と16点以上差をつけての優勝。表彰台で1位の高橋と2位のアボットの高さがほぼ同じで、高橋が台上で背伸びすると3位のアマディオも跳んだりして会場の笑いを誘っていた。

 <ペア>は、6ヵ国8組の参加。SPで3位につけた高橋・トラン組(18歳と20歳)がそのまま逃げ切り、初の表彰台。SPは、今季から要素がひとつ減ってスピンがひとつになった。
 一番滑走のバザロワ・ラリョノフ組(露。17歳と24歳)がすばらしい滑り、質の高い演技構成点で技術点は最高の34.36、演技構成点25.8、合計で60.16を出して、SP2位。イタリアのペアが辞退して急遽、きのう来日したというブロデュール・マタトール組(加)は、技術点は31点にのせたが、演技構成点23点台で、5位から。解説の若松さんも一緒に練習したことのある組で「粘りのある滑りが特徴」らしい。デニー・バレット組(米。17歳と26歳)は、スピンの最後が完全にずれてしまったが、4位から。高橋・トラン組はツイストリフトは2回転ながらレベル4。足替えスピン、ストレートステップ、アクセルリフト、バックインのデススパイラルもレベル4をもらい、技術点31.7、演技構成点25.53、合計57.23で自己ペスト更新した。冒頭のソロジャンブとストレートステップで高橋がちょっとよろめいたのが減点されていた。最後は現世界王者のパン・トン組(中。30歳と31歳)。相変わらずツイストリフトは真横になるし、全ての要素が流れの中で滑らかにつながっていて美しい滑りで、技術点34.23で2番目ながら、演技構成点は別格の32.87で、合計67.1の余裕の1位発進。

 フリーでは、高橋が試合後のインタビューで「守りに入ってしまった」と語ったように、ジャンプにミスを連発。ソロジャンプは2つとも転倒、スロージャンプも手つきと両足着氷。それでもスピンとリフトでレベル4をとり、技術点49.5、演技構成点50.93の合計98.43。その時点で1位となり、メダルが確定したとわかった高橋の顔が驚きで明るくなった。フリー4位で総合3位にとどまった。フリーの3位にはSPで6位だったヤンカウスカス・コーフリン組(米。20歳と25歳)が「アヴェ・マリア」の曲で滑り、転倒があったものの技術点52.66、演技構成点49.03、合計100.63にのせて入った。バザロワ・ラリョノフ組は「仮面の男」の曲で全てにそつなく滑ったと思う。ジャンプ要素は皆軽々と決め、リフトは入り方、下り方とも工夫がこらされ、技術点58.81は最高得点、演技構成点54.86の合計113.67で堂々の2位。パン・トン組は特に女性が固くなっているようで、冒頭の連続ジャンプで回転不足の両足着氷、ソロジャンブも3回転の予定が2回転に。しかしスピンとリフトはレベル4、演技構成点は3項目で8点台を出すなど、かえって差は開いた。技術点57.58、演技構成点64.69、合計122.27でNHK杯三連覇。



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フィギュアスケート (2010.8/13,14,20,9/12,13)

世界ジュニア選手権 (2010.3/8〜14 ハーグ・オランダ)

 男子は羽生、女子は村上が逆転優勝。なんかジュニアGPファイナルと似ている。

 ペアは、20組出場。日本から出場の高橋・トラン組は、SP2位の好発進。Jスポーツ解説の杉田さんは「ジャンプが心配」と言っていたが、ダブルアクセルのソロジャンプはピタリと決まり、スロージャンプも着氷でぐらついたがこらえて技術点36.46、演技構成点23.08を出した。ロシアのストルボワ・クリモフ組が3位。ジュニアGPファイナル優勝のスイ・ハン組(中国)がトップ。技術点36.46は高橋たちと同じだが、演技構成点が1.4上回った。女性がまだ13歳のシンプソン・ミラー組(米、男性21歳)が、SP4位。ジュニアGPファイナル3位のジャン・ワン組(中国)は最後のスピンがなぜか無得点となりSP11位から。全米ジュニア王者ジャン・トス組、カナダジュニア王者パーディ・マリナロ組もふるわず。
 フリーには16組。出遅れた中国のジャン・ワン組は、第2組で登場し、ノーミスの演技でその時点で1位、最終的にフリー4位で総合6位まで盛り返した。高橋・トラン組は大きなミスなく、技術点は50点台を出し2位をキープ。しかし、今季出場した試合全てSP、フリーとも1位で完全優勝しているスイ・ハン組が、スロージャンプで4回転に挑戦、ツーフットになりながら着氷し、その他も加点が付く演技で、技術点60点台と驚異的な得点で優勝。高橋たちとフリーだけで12点差、総合では13点以上差をつけた。3位には、最終滑走のストルボワ・クリモフ組が一回転倒しながらも残った。実は、中国から三組参加していたが、本当は二枠しかなく、8位に入ったユウ・ジン組の成績は取り消しとなるアクシデントがあった。

 アイスダンスはなんと34組も参加。コンパルソリーはウエストミンスターワルツ。カナダのポール・イスラム組の清楚な踊りが気に入ったがCD5位。1位はジュニアGPファイナルで2位だったロシアのきらびやかなイリニク・カツァラポフ組。2位に全米ジュニア王者のシブタニ兄妹。3位がプスカシュ・ゲレーロ組(露)。男性のお父さんがポルトガル人でこの名前。ロシアジュニア王者でGPファイナルも優勝したモンコ・ハリアビン組は4位から。
 オリジナルダンスには、30組進む。シブタニ兄妹は半被のような衣装で、祭り太鼓のリズムに合わせてOD4位。ただ、妹のマイアがツイズルの前半で一瞬止まってしまい、技術点が伸びなかった。初出場のティベッツ・ブルベイカー組(米)の男性は、ペアのブルベイカーの弟。ODはテネシーワルツで7位。ポール・イスラム組はフラメンコ。ヴァーチュー・モイヤー組も得意だったので、カナダにいい振り付け師がいるのかもしれない。なかなか様になっていて技術点を30点台にのせ、OD2位。モンコ・ハリアビン組はロシアではなくウクライナの踊り。OD3位。ドイツのフローバーグ・ギーゼン組は、アイルランドの踊り。CD9位だったのに、途中で二人ともころび、OD15位と後退。最終滑走のイリニク・カツァラポフ組は、アンデスの踊り。女性は、まだ15歳だが、GPファイナルからの3ヵ月で猛練習したとかで、Jスポーツ解説の藤森さんは、「足の筋肉が見違えるようになって姿勢もずっとよくなった」とほめる。演技構成点は全て7点台を並べ、27点台、技術点も最高の32点台で堂々のOD1位。
 フリーには20組が進出。ロシアの3番手プスカシュ・ゲレーロ組は、ロミオとジュリエットの曲で踊り、藤森さんに「年齢的にも合っている」とほめられていた。フリー6位と挽回。アランフェスの曲で滑ったティベッツ・ブルベイカー組もなかなかよかった。フリー7位。ジュニアは短期間ですごく伸びる、と藤森さんは言う。シブタニ兄妹はODよりずっと生き生きした滑りで、タンゴを踊り、技術点、演技構成点とも40点台を出し、そこまでのトップに。フリー4位、総合でわずか0.5差で4位。ポール・イスラム組は、女性の体が柔らかく、姿勢もとてもいい。ペルシャの踊りで技術点、演技構成点とも41点台を出し、フリー2位、総合も2位。ファイナル優勝のモンコ・ハリアビン組は、ブルースで踊ったが他の組の伸びる勢いに押され、フリー5位、総合ではかろうじて3位。イタリアのアレッサンドリーニ・ヴァトゥーリ組は、いきなり回転リフトから入り、いかにもラテンの国らしく、タンゴを情熱たっぷりに踊り、技術点、演技構成点とも41点台を出し、フリー4位、総合で5位に浮上。リフトの時間オーバーの減点がなければ3位の得点だった。イリニク・カツァラポフ組は、「シンドラーのリスト」の曲。女性の衣装がファイナルの縞模様から灰色一色に変更。表現力が一段とみがかれ、技術点44点台、演技構成点46点台とひと組だけ別世界。フリーだけで90点台に乗せ、2位のカナダの組に16点近い差をつけて初優勝。ロシア国内2位ながら、ソチ五輪に向けて希望のカップル。

 男子では、羽生はまたSP3位から。連続ジャンプの前半の着氷で少し傾いたため、3回転2回転となり、要素の「3回転フリップ」のエッジもeマークだった。2位と1位はアメリカの選手。2位のメッシングは、スピードとパワー系で、シットスピンなどスピンは高速でうまいが、滑りは滑らかではない。1位のホクスタインは、滑りはうまいがジャンプはそこそこ。ただ「眠れる森の美女」の曲を表現する力がある。ジュニアGPファイナルで羽生と1位を争った中国のソンは、得意のトリプルアクセルを片手を付く感じでかろうじて着氷、SP5位から。4位はカザフスタンのデニス・テン。テンはオリンピックも出場した疲れがあるようで、スピードもキレもなく本来とは程遠い出来。
 フリーでは、ソンは、SPよりよかったが、着氷が怪しいジャンプがふたつあった。力で跳んでいるので、後半ジャンプが低くなる。しかし技術点73点台、合計で200点を突破し、その時点でダントツの1位。メッシングは、滑りは速かったが、一回転倒し、フリー4位。羽生は、フリップこそ跳び方、着氷とも怪しかったが、あとは完璧といってもいい出来で、解説の杉田さんもほめていた。技術点はなんと77.95、演技構成点も一番の69.4.合計で216.10は堂々の優勝。2位のソンとは11点以上差をつけた。テンは、やはり不調で、転倒もし、フリー15位、総合9位。ホクスタインは見るからにSP1位の重圧に負けた感じ。滑りはいいが、一回転倒、フリー7位でメダルを逃した。最終滑走のガチンスキー(露。16歳)は、15歳の羽生が「ライバル」と意識している一人だそうで、手足も長く、顔も王子様タイプ、プルシェンコを育てたミーシンコーチの門下で、国内ではシニア上位の成績も収めたという。SP6位ながら、冒頭の4回転が2回転になったもののそつなく滑り切り、フリー3位で表彰台も勝ち取った。羽生の優勝で、来年は三人出場できる。

 女子は、47ヵ国から55人参加とか。14番滑走のザワツキー(米)は、国際大会初出場だったが、全米ジュニア優勝者。50点台を出してSP8位。カナダのシャルボノーは「マラゲーニャ」の曲でSP4位。村上は初めの連続ジャンプで3回転3回転を跳んだが第二ジャンプが回転不足。荒いところもあるがフラメンコのリズムをよく表現して技術点34.6、演技構成点は一番の24.4、合計59.0でその時点でダントツの1位。GPファイナルに出たガオ(米)は、まだ身が軽いが連続ジャンプの後半がなんと1回転に。全体に荒削りでSP9位。ロシアのアガフォノワ(13歳)は145p。しかし、ロシア民謡をとてもなめらかに滑り、技術点も34点台を出してSP3位。4年後のソチ五輪でもまだ17歳。順調に育てば脅威かも。もうひとりのロシアの13歳、オヴチャロワは身長も160pあり、もっと年上に見える。ジャズメドレーに乗せて3回転3回転も決め、技術点は一番の36.2、演技構成点23.6で村上を抜いてSP1位。世界ジュニアは3回目のヘルゲソン(スウェ)はまた大きくなったようで、とても16歳に見えない。背中が堅そうでレイバックスピンは苦しい。SP6位。ロシアの3人目シェルペン(14歳)はGPファイナルで村上と優勝争いをしたが、ステップからのフリップジャンプが1回転になってしまい、SP7位。最終滑走のバガ(米)は、美しいスパイラルを見せたがジャンプでミスが出てSP5位。
 フリーには24人のみ。半分以上の選手が進めない。ザワツキーは、168pの背丈を生かした演技で技術点は最高の58点台を出し、合計105点台、第3グループながらフリー2位、総合でも銀メダルの快挙。シェルペンは、ジャンプの調子が今ひとつで、フリー3位で合計100点台に乗せたが総合4位、メダルは逃す。最終組に入ったアガフォノワは、ほぼノーミスのすばらしい出来。特に、高速スピンが安定して、片足を持っての姿勢変化をなんなく行い、ビールマンポジションも楽々4回回転。しかし思ったほど得点が出ず、この時点で2位。フリー4位で総合3位、初の表彰台。SP1位のオヴチャロワは、やはり重圧からか二回も転倒。フリー8位に沈む。総合で5位。村上は、解説の藤森さんが言うように「普通に滑れば優勝」。軽快な三連続ジャンプ、速いスピン、音楽を表現したステップなど大きなミスもなく、ルッツのエッジと、三回転サルコウが二回転になっただけで、技術点は三番目の56.71ながら、演技構成点は最高の49.76を出し、フリー合計106.47とシーズンベストも更新、堂々の優勝。2位とは9点近い差をつけた。これで女子も来年は三枠確保した。



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フィギュアスケート (2010.2/24,26)

女子シングル (2010.2/24,26 バンクーバー・カナダ) バンクーバーオリンピック

 SPの滑走順は、22番目に浅田真央、23番目にキム・ヨナ(韓国)、24番目に鈴木明子、最終滑走30番目に安藤となった。まず真央が、トリプルアクセルを決めて、73.78の高得点。それまでトップの長洲未来(米)を10点以上上回った。しかし、キムも世界最高を更新して78.5もの得点を出した。基礎点はキムが34.9、真央が34.4だが、加点で真央と4.72の差。鈴木は、最初の連続ジャンプで片手をついて、次のステップからの3回転ループにダブルトーループを付けて連続とした。スピンも少し移動したが、自己ベストの61.02を出して11位。安藤は、冒頭の連続ジャンプで3回転ルッツ3回転ルーブに挑戦、2番目は回転不足で、64.76、4位。3位には、2日前に母親が亡くなった地元ロシェット(カナダ)が入った。
 フリーの最終組の一つ前の組で鈴木明子がいい滑り。フリップが2回転になったくらいで大きなミスはなく、ステップも思い切りよく踏めた。最初の三連続ジャンプが決まり、技術点60.98、演技構成点59.44のフリー7位で、三つ順位を上げ、8位入賞。最終組の滑走順は、フラット(米)、安藤、キム、真央、ロシェット、長洲。全米女王のフラットは、ずいぶん太ったように見えたが、ジャンプ、スピンにとそつなくこなし、7位。安藤は、クレオパトラをほぼノーミスで演じたが、冒頭は3回転2回転とし、堅実路線。ただSPと同じく加点があまりなく、技術点62.5、演技構成点61.6のフリー6位で5位に後退。キムはやや固いながらも落ち着いてほぼ完璧な滑り。冒頭の3回転3回転もきれいに入り、懸案の3回転フリップも決めると、全ての要素に加点がつく演技で、基礎点は60.9だが技術点78.3を出し、演技構成点も71.76の合計150.06という別世界の世界最高更新で、1位キープ。次の真央は、ざわついている中でもよく集中していたが、冒頭のトリプルアクセルはきれいに決まり、次のトリプルアクセルからの連続ジャンプも決め、オリンピックで三回のトリプルアクセルを決めた世界で最初の女子選手となった。しかし、後半、三連続ジャンプの最初の3回転フリップが回転不足でオーバーターン、何とか2回転2回転はつけたものの、続く3回転トーループの前で氷にエッジがひっかかり、1回転になってしまい、万事休す。その後のスピンとステップは、決死の表情で滑りきったが、基礎点も55.86に落ち、技術点64.68まで、演技構成点67.04、合計131.72で、フリーだけで28点以上の差がつき、悔しい銀メダルとなった。ロシェットはよく集中を保って、ひとつジャンプでふらついたが、冒頭の三連続ジャンプを含めほぼ予定通り滑りきって3位キープ。カルガリー五輪(銀メダル)以来のメダルをカナダにもたらした。最終の長洲は、緊張せず、会心の滑り。冒頭の三連続ジャンプを始め、ほぼ全てに加点をもらい、技術点65.83、演技構成点60.56、フリー5位で総合4位に躍進。四年後のソチ五輪では強敵に育っているだろうことを予感させた。

 男子は、4回転を跳んだプルシェンコが2位、女子ではトリプルアクセルにこだわった真央も2位。これからは技の難易度ではなく、加点の取れる選手が勝つ時代らしい。なんかちょっとセコイ感じ。アイスダンスはこれまで、規定の基礎技術で差をつけ、演技も技だけでなく円熟の表現力が出てくるベテランが有利だったが、ここへ来て、20代前半が躍進。ODとフリーでスピードにのったまま難度の高い技を決め、なおかつ年齢的には若いが、10歳そこそこから組んでチームとしての成熟度は高い組が逆転できるようになってきた。


フィギュアスケート (2010.2/20,21,24)

アイスダンス (2010.2/20,22,23 バンクーバー・カナダ) バンクーバーオリンピック

 なんとテレビ放送が規定とフリーのみ。オリジナルダンスは、ライブ・ストリーミングというPC視聴のみで再放送もなし。何で?! 規定はタンゴ・ロマンチカ。23組出場で、首位は欧州王者のドムニナ・シャバリン組(露)。たいへんタンゴらしく、スピードがあるのに、楽々とステップを踏んでいた。2位は最終滑走で地元カナダ期待のヴァーチュー・モイヤー組が入り、観客は大興奮。3位に全米王者のデイヴィス・ホワイト組。ベルビン・アゴスト組(米)4位、復帰初戦の世界王者のデロベル・ショーンフェルダー組(仏)は6位から。女性のデロベルは、怪我の後、出産したそうだ。5位はファイエラ・スカリ組(伊)。NHKの刈屋アナによると欧州選手権では規定で出遅れたとか。7位はホフロワ・ノビツキー組(露)、8位にカー姉弟(英)。日本のリード姉弟は今季最高点の29.49を出して18位。なんと20位に彼らの妹アリソン・リード(15歳)がグルジアの代表として出ている。
 オリジナルダンスは、NHKがハイライト番組でリード姉弟と最後の二組を放送した。リード姉弟は「さくらさくら」と和太鼓のリズムにのせて、踊りきった。衣装も扇子の使い方も、初めて滑ったときよりずっと日本舞踊の雰囲気が出ていた。順位もOD14位で、総合16位に。デロベル・ショーンフェルダー組のフレンチカンカンは面白かったが、ちょっと滑り込みが足りない感じ。OD7位で総合6位のまま。カー姉弟はいつもより固かった。ファイエラ・スカリ組はイタリア民謡で自己最高の60.18を出し、合計100点台に乗せ5位キープ。アボリジニの衣装で抗議もあったドムニナ・シャバリン組は、要素は高度だったが、踊りの世界観がよくわからず。OD3位で総合3位に後退。インドの踊りのデイヴィス・ホワイト組は高速ツイズルなど、速いまま正確に滑りきり、67.08の高得点を出して2位浮上。しかし、最終組のヴァーチュー・モイヤー組がフラメンコで迫真の演技、高速ツイズル、高難度のリフトなどで、68.41の大幅な自己最高点更新で一躍首位に。技術点は32.9だが、演技構成点は全て9点台という驚異的な35.51。最終滑走のベルビン・アゴスト組は、モルドバの踊りだが、速さ、難度などで見劣りがした。4位キープ。
 フリーも圧巻だった。最終5組のトップにデイヴィス・ホワイト組。最後にドムニナ・シャバリン組。デイヴィス・ホワイト組は出てきたところを見たら、女性が少し表情が硬かった。男性の後ろに上げた片足の上に、背中合わせに女性が立つ驚異的なリフトも成功し、ほとんどミスはなかったが。技術点52.8、演技構成点は全て9点台で55.39、合計107.19で2位キープ。ファイエラ・スカリ組は、円熟の味でよかったが、技術点47.7、演技構成点は全て8点台で51.41、合計99.11と100点にのらなかった。5位のまま。三番目にヴァーチュー・モイヤー組。ノーミスで完璧。マーラーの「交響曲五番」にのせ、こんなに速く滑ってこんなに正確にどうして踊れるのだろう。男性がイーグルしているももの上に女性が片足でアラベスクのポーズをとるリフトも下ろし方を変えてきていた。技術点53.1、演技構成点は全て9点台で57.32、合計110.42で首位キープ。ベルビン・アゴスト組は、ODよりはよかったが、世界観が迫ってこず、とても逆転できず。技術点48.0、演技構成点は全て8点台で51.74、合計99.74で4位のまま。ドムニナ・シャバリン組も全盛時のスピードがなく、3位のまま。技術点48.0、演技構成点は全て8点台で53.04、合計101.04と100点台にのせ、かろうじてメダル確保という案配。

 新聞によれば、来年の世界選手権は、規定、オリジナル・ダンスを廃止し、ショートプログラムを新設するらしい。ショック! (2010.6/21記)


フィギュアスケート (2010.2/17,18,19)

男子シングル (2010.2/17,19 バンクーバー・カナダ) バンクーバーオリンピック

 カーリングがのびて放送開始は第2組の途中から。男子SPは30人参加。24位までがフリーに進める。第1組で4番滑走のアモディオ(仏)がよかったらしい。第2組の10番滑走でプルシェンコ(露)が出てきていきなり4回転3回転の連続ジャンプを決める。技術点最高の51.10、演技構成点は39.75、合計90.85で1位に。第4組に高橋と織田、ランビエール(スイス)など有力選手が集中。カザフスタンのテンがきれいなトリプルアクセルなどいいできで10位。高橋もはつらつと滑って技術点48.90、演技構成点41.35、合計90.25と90点台にのせ、SP3位。シュルタイス(スウェ)は、4回転からの連続ジャンプに挑んだが、第2ジャンプが1回転になり要素が満たせず22位。ランビエールも、4回転からの連続ジャンプで、4回転が危ない着氷で、かろうじて2回転をつけた。しかし、「ウィリアム・テル序曲」にのせてスピン、ステップなど加点をもらい、技術点41.48、演技構成点は8点台を並べ、曲想表現は9.15の最高点43.15、合計84.63で5位。織田は美しいトリプルアクセルの着氷などノーミスで技術点46、演技構成点38.85、合計84.85の4位。最終組でライサチェク(米)が世界王者の迫力の演技で、技術点48.30、演技構成点42、合計90.30で2位に入る。途中、録画が切れてしまい、ジュベール(仏)、チャン(カナダ)、小塚、コンテスティ(伊)、ヴェルネル(チェコ)などを見逃した。再放送で見ると、ジュベールは4回転の着氷が乱れ、連続にできず、トリプルアクセルは成功したが、最後の3回転を連続にしようとして転倒、なんと18位と出遅れ。地元期待のチャンはトリプルアクセルの着氷でミスして、7位。小塚はトリプルアクセルの着氷が乱れた以外はノーミスで8位。
 フリーでは、第1組の第1滑走でなんとヴェルネルが登場。4回転はきれいに決めたものの、トリプルアクセルで少し乱れ、その後2回転や1回転のジャンプもあり、浮上できず。6番目に滑ったシュルタイスは冒頭の4回転も含め、トリプルアクセル以外のすべての3回転ジャンプを跳び、ノーミスで合計200点台を出した。第2組には、予想外のアボットとジュベールが登場。アボットは今季の全米王者だが、ジャンプが乱れ、浮上できず。ジュベールはやはり4回転の着氷で乱れ、その他のジャンプも止まりかけたり乱れたりしてとても本調子ではない。小塚は、今季初めて4回転を着氷したが、二つ目のトリプルアクセルで転倒。その後のジャンプは着氷が不安定だったが、高速スピンで観客を魅了。8位をキープ。チャンは、出だしはよかったが、連続3回転の後半で乱れ 、トリプルアクセルで転倒したが、演技構成点で稼いでフリー4位、5位浮上。最終組は最初にライサチェクが迫真の演技。ほぼノーミスで167の高得点。すぐ次の織田はのまれた感じ。動きが固い。トリプルアクセルからの連続ジャンプの間にターンが入ってしまう。後半のトリプルアクセルをきれいに決めたあたりから少しよくなったと思ったら、靴ひもが切れて減点2。なんとか滑りきったが、7位に後退。ランビエールは冒頭の4回転、四つ目の連続ジャンプも4回転からで、ひざを曲げて何とか立った。しかしトリプルアクセルは跳ばず、その他のジャンプやステップなど絶好調とは言えず、スピンはさすがだったが、4位から浮上できず。高橋は冒頭の4回転は回転不足で立てず。3回転3回転の後半で乱れ、終盤の3連続ジャンプも三つ目はつけなかったものの、スピン、ステップでレベル4もとり、演技構成点はすべて8点台を並べて最高の84.5、フリー5位ながら総合3位をキープ。次のウィアもジャンプをすべて決め、ほぼノーミスですべりきったが、6位に後退。最終滑走のプルシェンコは、冒頭の4回転3回転を決めたが、4回転の着氷が少し乱れた。トリプルアクセルも、軸がだいぶ曲がったが、立った。その他のジャンプも加点がつきにくい感じで、二つ目の4回転は回避し、らしくない。結局、演技構成点はライサチェクと同じ82.8だったが、技術点の加点の差で2位に後退。世界王者はオリンピックで勝てないというジンクスを破ってライサチェクが初優勝。プルシェンコは二つ目の銀メダル。表彰台ではうれしくなさそうだった。高橋は、アメリカ国歌が流れているのに、涙ぐんでいた。


フィギュアスケート (2010.2/15,17)

ペア (2010.2/15〜16 バンクーバー・カナダ) バンクーバーオリンピッ

 SPは大混戦。第1組の第1滑走で申・趙組(中国)が出てきて、76.66の世界最高得点を出し、結局このまま首位で終わる。申・趙組は、4度目のオリンピック。過去2回は銅メダル。今回こそは金メダルをめざして33歳と36歳での復帰。ウクライナのボロソザル・モロゾフ組は、ソロジャンプでモロゾフが転倒して9位、ロシアのムホルトワ・トランコフ組もトランコフが転倒して8位。地元カナダからのラングロワ・ヘイ組とデュベ・デイヴィソン組が0.16差で7位と6位。トリノ五輪銀メダルの張・張組(中国)は、一時の不振は脱したようで71.28を出して5位。オリンピックのメダルがない、2007年の世界王者、パン・トン組(中国)が71.50で4位。ロシア国籍をとった川口・スミルノフ組の 欧州覇者は74.16で3位。現世界王者のサブチェンコ・ソルコビー組(独)が75.96で2位。
 オリンピックは、初めから20組しか出ていないので、全員がフリーへ。4組ずつ滑る。張・張組は、男性が連続ジャンプで転倒したが、5位キープ。最終組は激戦。前日のインタビューでは、スロー4回転ジャンプを跳ぶつもりと言っていた川口だが、直前にタマラ・モスクビナコーチが回避を指示。ところがなんとスロー3回転サルコウで転倒。スミルノフもソロジャンプで手をついたり、スピンの回転が合わなかったりしてフリーは120.61で8位。その時点では、前の組で滑った張・張組を合計で0.43上回って総合1位だったが、結局、総合4位。サブチェンコ・ソルコビー組は今季途中で変更したフリープログラムで、ソルコビーが連続ジャンプで転倒したが、それ以外はミスなく134.64のフリー3位、合計210.6の銅メダル。パン・トン組は他がミスを犯す中、唯一ノーミスで、「見果てぬ夢」の曲にのって141.81を出しフリー1位、観客のスタンディングオベーションを受けた。合計で213.31、念願の銀メダルを得た。最終滑走の申・趙組は、余裕で逃げ切るかと思ったが、連続ジャンプのところで趙にミスがあったらしい。その後リフトで、申が姿勢の変化でブレードをつかめずに重心が後ろへよりすぎて、早く降りてきてしまった。でもスロージャンプもツイストリフトも完璧で、「アダージオ」の曲の音楽表現もすばらしく、139.91のフリー2位で、合計216.57、ねらい通りの金メダル獲得。中国は初の金メダル。ロシアは、1964年以来初めて(!)オリンピックのペア金メダル連続記録が途絶える。


フィギュアスケート (2010.2/13,14,5/4,6/10,11)

四大陸選手権 (2010.1/27〜30 韓国)

 今回から、フリーに進めるのが、シングルが24→20人、ペアとダンスは12組と変更になった。
 女子SPで鈴木明子が首位、真央は3位と出遅れ。二人とも、ステップからの3回転ジャンプがはぜて1回転になり、要素がひとつなくなってしまった。真央は連続ジャンプにトリプルアクセルを入れたが、第2ジャンプが万全でない。それに曲にぴったり終わったのに、時間オーバーをとられて減点も1。なんとSP2位に四大陸初出場のドブス(米。16歳)が入った。大きなミスなく、きれいなジャンプを跳ぶ。ジャン(米)は全米選手権で11位とくずれたらしいが、慎重に滑ってSP4位。地元韓国はキム・ヨナが出ず、国内2位のキム・ナヨンはSP13位。ところが、ジュニアのカク(16歳)がいいできで、SP7位。出場を回避した中野に替わって出たのは、全日本ジュニア2位の今井。のびのびと滑れてSP5位は立派。女子シングルは38人参加。「今年から、フリーに進めるのは24人から20人となった」とJスポーツ解説の杉田さんが言っていた。SP23位に「オノ・タマミ」という日本人のような名前の香港の選手がいた。
 フリーでは、真央は2008年のGPファイナル以来という、トリプルアクセル二回成功で大逆転の優勝。杉田さんは一つ目は「大丈夫」、連続ジャンプの二つ目は「怪しい」と言ったが、リプレーを見ると、ぎりぎり3/4回っている。その代わり第2ジャンプが回転不足。技術点の68点台はダントツ。演技構成点は「つなぎ」だけ6点台であとは7点台。鈴木明子は、速く滑ってノーミスだったが、杉田さんによれば「ファイナルの時よりスピードがない。疲れかな。」とのこと。フリーは2位で総合2位。昨年は8位だったが、実は8年前にも出場して8位だったらしい。3位は復調してきたジャン。今井はフリー6位とがんばり、総合5位。韓国のカクはもっと驚きのフリー4位で総合6位。後半疲れているのにダブルアクセルなどたくさん跳んでいた。

 男子は、町田が2位だそうだ。男女、ペアとも、オリンピック出場選手が辞退した国も多く、ヨーロッパ選手権と対照的とか。Jスポーツの放送は、なぜか3月になってから。日本からは他に中村、南里と3人参加。
 町田は、滑りは荒削りながら、ジャンプは全て成功、技術点40.10を出してSP6位。中村は、ジュニアGPファイナルでの失敗をひきずっていて、トリプルアクセルがまた1回転になり、転倒もしてSP17位から。南里は、ステップからの3回転が1回転になり、11位。他はよかったので、残念。アメリカの選手はみんな全米の疲れからか、リッポンはトリプルアクセルで片手をつき(SP7位)、ブラッドリー(米)はオーバーターン、4回転も入らず(SP8位)、ムロズ(米)も完璧でなく、なんとか3位から。ジュニアGPファイナル2 位のソン(中国)は得意のトリプルアクセルを美しく決めてSP2位。デニス・テン(カザフスタン)はよい出だしだったが、連続3回転の最後で転倒。回転は足りていたが減点1でSP4位。SPトップは、4回転サルコウをいとも簡単に跳んで連続ジャンプも成功させたレイノルズ(カナダ)。一人だけ技術点47.30、演技構成点34.30、合計81点台に乗せ、2位のソンとは9点近く離した。
 フリーでは、中村はジャンプで立ち直りを見せた。一つ目のトリプルアクセルは立てなかったが、二つ目は成功。ステップや表現は日本の18歳にしては世界に通用すると思う。解説の樋口さんは、「もう少し深いエッジで滑れるとよい。」と言っていた。南里は音楽に乗れていない。全日本の方がよかった。それでも今季最高点を出した。ブラッドリーは、中一日で休めたのか4回転を二つ入れてきて、技術点75点台、演技構成点70点台でトップに。しかし、リッポンが美しい滑りと見事な3回転3回転の連続ジャンプ などノーミスの滑りで、技術点82点台、演技構成点も73点台を出し、これを全米でできていれば、オリンピックに出られた上、世界に通用したのに、と思わせた。ソーヤー(カナダ)もSPよりずっとよい出来で、ブラッドリーと同じ「アマデウス」の曲で、尻上がりに調子にのり、観客も引き込んだ。この時点で3位。逆にソンは、SP2位に固くなったのか、冒頭のトリプルアクセルはぐらついた。二つ目のトリプルアクセルはちゃんと第2ジャンプもつけた。見せ場は心得ているが、やはり「課題は滑り」。フリー6位に後退。テン(カザフスタン)も緊張したのか、二回も転倒。フリー14位。町田はトリプルアクセルからの連続ジャンプも決まり、次第に「カサブランカ」の曲に乗せた演技が滑らかに。技術点80点台、演技構成点67点台を出し2位浮上。最終滑走のレイノルズは普段とはうってかわって固い表情。SPの大量リードにも関わらず、二回も転倒し、フリー8位。結局リッポンがSP7位から大逆転で初優勝。表彰台ですごく嬉しそうだった。2位の町田も初のメダル。3位に残ったレイノルズは、浮かない顔。これからこういう重圧とつきあうコツを身につけないと。

 ペアは11組参加。SPを終わって、ジャン・ジャン組(中)がダントツのトップ。女性のダン・ジャンの調子が今季前半はあがらなかったが、今回、ようやく表情にも余裕が出てきて、オリンピックに向けて復調してきた。なんでもSPの曲を2007年シーズンに使った曲に変更したとのこと。Jスポーツ解説の杉田さんによれば「今季最高の出来」だが、完璧ではない。2位は、これも今季女性の調子が出なかったマクラフリン・ブルベイカー組(米)。ソロジャンプで女性が片手をついたが、それ以外は大きなミスなく、1位と1.3差につけた。3位は、カナダのデュハメル・ブンタン組だが、女性がスロージャンブで転倒、2位とは7点以上の差。日本から高橋・トラン組が初出場。ダブルアクセルのソロジャンプもきれいに決まり、スロージャンプもふみこたえ、リフトは姿勢正しく、ステップもフラメンコのリズムに乗って元気よく踏んでいたが、最後で高橋が少しよろめいたのが残念。3位と3.16差の7位から。杉田さんは、「滑るたびにうまくなっていく。」と言っていた。中国からの若手二組のうち、ジャン・ワン組は、女性(17歳)がちょっと浅田舞に似ているが、なかなか有望な感じ。ツイストリフト、スロージャンプなど中国が得意とする投げ技だけでなく、若いのに表情がついていて、楽しみ。高橋組を0.42上回って6位から。
 フリーでは、高橋・トラン組は「蝶々夫人」の曲で、大きなミスなく滑りきった。技術点54.33は、優勝したジャン・ジャン組に次いで2番目。フリー5位で総合5位は立派。デュハメル・ブンタン組は、珍しくベテランの男性がツイズルの始めで足をついてしまい、女性がスロージャンブで二回とも転倒、フリー4位に後退したが総合では3位。マクラフリン・ブルベイカー組は、ソロジャンプで女性が転倒したが、2位キープ。ジャン・ジャン組は完璧ではなかったが、余裕の優勝。技術点69.00、演技構成点57.36はダントツ。2位と22点以上差をつけた。

 アイスダンスは12組参加。規定は欧州選手権と同じタンゴ・ロマンチカ。中国の2番手だったファン・ツェン組はタンゴらしく、エッジもずいぶん深くなってきた。規定2位。現在は中国のトップでオリンピック代表。解説の藤森さんは「今年ずいぶん伸びた。」と警戒していた。トップは、カナダのウィーバー・ポジェ組。今回、オリンピック出場を逃したがこの大会では優勝候補筆頭。ODでフラメンコを踊るせいか長身の男性は口ひげを生やしていた。
 ODでは、一番滑走でオーストラリアのオブライエン・メリマン組がアボリジニのダンスを踊った。彼らは、ドムニナ・シャバリン組(露)とは違って、アボリジニにも挨拶に行き、アドバイスももらった、とのこと。なかなか雰囲気は出ていたが、いかんせん技術が振り付けに追いついていない。カナダのハンマッカーディ・コレーノ組がイタリアの踊りを雰囲気たっぷりに踊ってOD2位。技術点はトップの25.60。中国はユウ・ワン組(OD7位)が中国民謡を、ファン・ツェン組(OD3位)がギリシャ民謡を踊ったが、解説の藤森さんは、「どちらの組も曲が合っていない感じ」だと言っていた。ウィーバー・ポジェ組は、スペインまで行って振り付けを見てもらったというだけあり、姿勢からして決まっていた。しかし、演技構成点は一番の24.72だが、技術点は四番目の23.70。男性がまさかのツイズル一回目ですぐ足をついてしまったミスが響いた。
 フリーでは、一昨年の世界ジュニア王者のチョーク・ズーライン組(米)がまだジュニアらしさがあったが深いエッジで滑りフリー5位。だが、ODでレベルのとりこぼしがあったカナダの若手、ラルフ・ヒル組がすばらしい出来で、フリー3位、総合6位に浮上。男性のエッジが深く滑らかで実に素早く無理のない動きで、技術点は最高の44.40。ハベル兄妹(米)も今季最高でフリー4位、総合3位で初の表彰台。ウィーバー・ポジェ組はODの失敗のせいか少し慎重だったが、文句なく初優勝。中国のファン・ツェン組は、リフトのタイムオーバーなど精彩を欠き、減点2のフリー7位、総合4位で表彰台を逃した。藤森さんは「四大陸のダンスはずっとアメリカとカナダが独占してきて、今年はアジアが表彰台に乗れる滅多にないチャンスだったのに」と悔しがっていた。 

 四大陸と世界選手権代表を怪我のため辞退していた中野由香里が、3/4、引退の意向を表明。今後はフジテレビに入社という。(朝日新聞3/4夕刊より) ああ、やっぱり、全日本3位が痛かった。努力の人で、応援していたが残念。シニアでトリプルアクセルを認定してもらいたかった。あの美しい高速ドーナツスピンももう見られない。恩田もかつて全日本で代表をとれなかった後、引退したが、モチベーションを保つのが難しいのだろう。


フィギュアスケート (2010.1/22,23,2/3,9/24,9/26,10/7,9,11,14,15,21,22,11/14,)

ヨーロッパ選手権 (2010.1/18〜24 タリン・エストニア)

 <ペア>で、川口・スミルノフ組(露)が逆転で初優勝! 4回転スロージャンプは回避したが、その他はほぼノーミスで、サプチェンコ・ソルコビー組(独)を逆転した。
 当初21組参加予定が1組棄権。しかし今大会からフリーには16組しか進めない。川口・スミルノフ組は、余裕のある三回転スロージャンプ、ぴったりそろったソロスピン、見事なリフトなどほぼノーミスで技術点トップの41.44、演技構成点32.48、合計73.92を出したが、SP2位。サプチェンコ・ソルコビー組は、道化のクラウンの衣装で、隙間のない演技をやはりノーミスで演じた。トランジションで8点台を出したのはここだけ。技術点は40.92だが、演技構成点33.2は最高点。合計で0.2上回った。SP3位は、ロシアの2番手、ムホルトワ・トランコフ組。スピードもあり上手いのだが、前の二組と比べると、隙間が多い。それでもトランジションは川口たちと同じ7.9、スケーティングスキルは0.1高い8.2を出したが、技術点で0.42低かった。4位は、ウクライナのボロソシャー・モロゾフ組。高いツイストリフトは、中国並みに水平に近い。しかし技術点39点台、演技構成点28点台といずれも4番目で3位とは6点近い差がついた。それでも5位とは10点以上あけて世界レベルを示した。
 フリーは、最終組トップでムホルトワ・トランコフ組が登場。それまでの組とは桁違いのスピードで高い技術を披露。技術点64.65、演技構成点63.84でフリーも3位。川口・スミルノフ組はソロジャンプで川口が珍しくステップアウトし、4回転スロージャンプこそ回避したものの余裕の3回転で加点されたと思う。途中で、川口が一瞬無表情になったのは、なんと肩が脱臼したためらしい。しかし、それを感じさせない、その後の演技で、技術点69.31、演技構成点69.92、合計139.23の高得点を出した。ボロソシャー・モロゾフ組は、男性が背中と腰を痛めているというが、モロゾフがジャンプ全てステップアウト以外は、ほとんど片手であげるリフトなど特徴を出して技術点62.59、演技構成点58.64で4位キープ。最終滑走・世界王者2連覇のサプチェンコ・ソルコビー組は、出だしの連続ジャンプこそすばらしい出来だったが、次のスロージャンプが両足着氷になり、直後のソロジャンプも2回転サルコウになってしまい、ここで大きく得点を失った。技術点66.88、演技構成点は最高の70.72だった(音楽表現で9点台)が、合計137.6で、2位に後退。川口たちのうれしい初優勝。総合計で1.43の差だった。

 <アイスダンス>は、GPシリーズを欠場したドンニナ・シャバリン組(露)が「逃げ切った」とのこと。2位は、デロベル・ショーンフェルダー組(仏)だろうか? (やはり欠場したらしい。) 27組が参加。
 コンパルソリーはタンゴ・ロマンチカ。来季から規定がなくなるのは残念だ。昨年優勝のホフロワ・ノビツキー組(露。24歳と28歳)。深いエッジで「ロマンチカらしい」タンゴとは解説の藤森さん。技術点18.8、演技構成点19.07の高得点で規定2位。昨年銅メダルのカー姉弟(英。30歳と28歳)は、かっちりしたタンゴ。技術点、演技構成点とも18点台で4位から。若いカッペリーニ・ラノッテ組(伊。22歳と24歳)は、「全体に浅いエッジ」ながら今できる力は発揮し、技術点、演技構成点とも今期最高の17.9点台で6位。しかし、現世界王者のドンニナ・シャバリン組(25歳と27歳)は別世界。同じダンスなのに速くて滑らか。エッジも深く、「美しく正しいステップ」で、技術点21.56、演技構成点21.22と2位の組とは5点近く差をつけた1位。直後のペシャラ・ブルザ組(仏。26歳と29歳)は雑に見えた。足を上げる角度やタイミングが微妙にずれている。5位から。ファイエラ・スカリ組(伊。28歳と30歳)は、よい出来だったが、最後の方で小さなスタ ンブルがあり、技術点18.08、演技構成点19.39、0.4差で3位。

 オリジナルダンスには26組出場。フリーには16組しか進めない。リード姉弟の末っ子アリソンのグルジアの組は18位。イギリス人の男性と組み替えたキャロン・ジョーンズ組(仏)はアイルランドの踊りでOD12位。やはり2007年から組み替えたホフマン・ザボジン組(ハンガリー)は11位から。男性が地元タリンのマロリー・ランド組(エストニア)は15位でぎりぎり。カッペリーニ・ラノッテ組は「帰れソレントへ」の曲で9位から。次が世界王者のドンニナ・シャバリン組(露)。アボリジニの白いペインティングと緑の葉っぱが奇抜な衣装(バンクーバー五輪の時と違う気がする)。速くて完璧なツイズルはレベル4だったが、ステップなどはレベル2とかで技術点は三番目の28.9、演技構成点は最高の32.59でOD2位。二人とも同じ(コサック?)衣装のウクライナの組は、解説の藤森さんが「女性のスケートが力強い」という。前回覇者のホフロワ・ノビツキー組は、今季さえないと思ったら女性の病気と男性の足首の怪我があったらしい。ロシア民謡で技術点28.8、演技構成点29.79のOD4位。ファイエラ・スカリ組は下町っぽいイタリア民謡ですばらしい滑り。オリンピックよりよかったと思う。技術点は一番の31.2、演技構成点は二番目の30.48でOD1位。前回銀メダルのカー姉弟(英)はアメリカン・カントリーの曲だったが、女性がツイズルの前半でよろけて技術点27.2、演技構成点29.85でOD5位。ペシャラ・ブルザ組(仏)もウエスタンの曲で姿勢の美しいリフトなど見せて技術点30.0、演技構成点30.08のOD3位から。

 フリーでは、最終組のトップでドンニナ・シャバリン組登場。GPシリーズ全て休んできたが、まだ男性のひざが悪いのかステップにキレがない。それでもフリー2位で総合優勝。ペシャラ・ブルザ組は、男性が時計の針の衣装。しかし終わりの方で男性がよろけて最後の追加のリフトは重そうだった。フリー4位で総合4位。ファイエラ・スカリ組はODの勢いのまますばらしい滑り。滑り終わったとき、女性が感極まって泣いていた。フリーも1位だったが総合は2位。ホフロワ・ノビツキー組は、今季今までのフリーを急遽「火の鳥」に差し替え。3位につけてメダルを確保。ひとつ前のグループでは、カー姉弟は、また女性がツイズルで不安定なところを見せ、フリーも5位。カッペリーニ・ラノッテ組は、女性が黒っぽい衣装で登場。今季は「今までと違う演技」を身につけるためコーチも替えたそうだ。しかし滑りがまだ浅いところがあり最後の方で疲れが見える。フリー6位。

 <男子シングル>は、4年ぶりのプルシェンコ(露)が、SPで自身の持つ世界最高記録を更新し、フリーもノーミスで優勝。なんでも4回転は練習ですべて失敗していたが、本番で決めたらしい。2位はやはり2年ぶり復帰組のランビエール(スイス)、3位がジュベール(仏)。ランビエールも4回転を決めたらしい。オリンピックを3週間後に控えていよいよ加熱してきた。プルシェンコは「男子はジャンプが大事。自分が休んでいる間に4回転を跳ばない者が世界王者になったとは驚きだ。」と言ったとか。
 SPには38人参加。プルシェンコ(27歳)は21番目に登場、いきなり4回転3回転を軽々と決め、トリブルアクセル、ステップからの3回転と立て続けに成功。みな加点が付く出来で、技術点51.3、演技構成点40.2、合計91.3とと驚異的な得点。Jスポーツ解説の田村岳斗が「彼の全盛期は過ぎてなかった。」と言うほど。直後のフェルナンデス(18歳。西)はちょっと気の毒。でもまだ身軽くジャンプを決めて66点台、13位。ベルントソン(スウェ)は、映画コナンの曲を表現力を発揮して演じたが、演技構成点31点台とのびず10位。ボロノフ(露)はジャンプが不調で4回転も入らず17位と出遅れ。逆にブレジナ(19歳。チェ)は、ノーミスのすばらしい出来で、79.6で4位。ポンセロ(仏)も無難に滑り、3位。ヴァンデルペレン(ベルギー)はやはり腰が悪いらしく11位。シュルタイス(スウェ)は柔らかい滑りも披露したが12位。一年のブランク明けのランビエールは、ダブルアクセルから始め、4回転を跳んだが着氷でバランスを崩して連続ジャンプにならず。「ウィリアム・テル」を滑った演技構成点は最高の40.75、合計77.75を出したが5位 から。ヴェルネル(チェ)も4回転を跳んだが片手を付いてしまい、72点台で8位。最終滑走のジュベールは、4回転2回転から入り、技術点47.8、演技構成点はランビエールと同じ40.75で合計88.55で2位。
 フリーは20人、5人ずつ4組。第2組のヴァンデルペレンは見るからに痛々しい。フリー11位。フェルナンデスはいい出来で、4回転は抜けたが、トリプルアクセルなど切れ味よく決めてフリー6位。第3組のコンテスティは、アンデスの曲で、3連続ジャンプの最初が2回転なったくらいの滑りで、技術点76.33、そこまでのダントツの1位でフリー4位。解説の樋口さんが「もう少し足首が柔らかいと。エッジが甘い。」プロベールは、ローリングストーンズのメドレーで「普通の滑り」。SP6位だったが、今回から最終組に入れず、ジャンプに切れもなくフリー9位。怪我から復帰のリンデマン(29歳。独)は、冒頭の4回転のすっぽ抜け以外のジャンプはほぼノーミスでフリー8位。2年前の優勝者ヴェルネルは始めの4回転で転倒、そのほかもジャンプが不調で、ステップなどはいいのだが、技術点58.03の低得点でフリー10位。しかし、ベルントソンはもっとひどく、全てのジャンプを失敗した感じで技術点48.7でフリー17位と沈んだ。最終組では、 ポンセロがすばらしいスピードで4回転を決めたがトリプルアクセルがひとつしか入らず、SP3位だったがフリー7位。ジュベールは冒頭の4回転が単独になり、次のサルコウも4回転の予定だったが2回転になったものの、トリプルアクセルからの連続ジャンプは決め、まあまあの出来にまとめ、技術点68.1、演技構成点79.8でそこまでのトップにたち、フリー3位、総合も3位。すぐ次がプルシェンコで、4回転3回転、トリプルアクセル、トリプルアクセルからの連続ジャンプと立て続けに決め、ルッツが2回転になった以外はノーミスで、技術点80.99、演技構成点83.1の別世界の得点をたたき出して堂々の復活優勝。ブレジナは、滑りはエッジにのって気持ちいいが、トリプルアクセルが今ひとつでし1回転になったのもあり、技術点、演技構成点とも72点台でフリー5位。最終滑走のランビエールは、初披露の「椿姫」のプログラムで、最初の4回転が両手つきになったものの、3回転ルッツ、4回転2回転の連続ジャンプは決め、スピンはすばらしかった。相変わらずアシセルは2回転のみでなんとステップの途中で転倒した が、技術点76.79、演技構成点はダントツの85.0で、SP5位から大逆転のフリー2位、総合でも2位で3回目の銀メダル。表彰式では、満面の笑みのプルシェンコの隣で無表情のジュベールが対照的だった。

 <女子シングル>は、コストナー(伊)がSPもフリーも1位で「復活」。今季はどちらかが崩れてGPシリーズでは二戦とも6位だった。SP2位はコルピ、3位はレピストで、フィンランド勢が続いた。
 SPは42人参加。17歳のマカロワ(露)は、国内選手権優勝者として初出場。スルツカヤの後しばらく途絶えていた女子の有望選手の一人。美しい滑りで9位から。怪我から復帰のマイヤー(スイス)は8位。レオノワは3回転3回転連続ジャンプの最後に転倒したが、後はちゃんと滑って技術点32点台を出し合計58.26はそこまでの断然トップ。SP5位。28歳の大ベテランになったセベスチェン(ハン)は、ジャンプをそつなくこなし6位。コストナーは、久々にノーミスで、技術点36、演技構成点は最高の26.8で堂々のSP1位。これがいつもできれば世界女王もすぐなのに。ゲデバニシビリ(グル)もミスのない演技で4位につけた。コルピも久しぶりにノーミスで技術点は最高の36.5を出し、2位。地元エストニアの会場タリン出身のグレボアも持てる力は出し切って13位。ポイキオ(フィン)は、逆に、ステップからのジャンプが2回転になってしまい、アクセルも1回転で、要素をふたつも落として、実力を発揮できず、18位と出遅れ。最終滑走のレピストは昨 年優勝。しかし、最初の連続ジャンプが少し乱れたのをひきずってしまい、直線ステップの初めでスタンブルもあり、3位から。
 フリーは20人。しかし、ポイキオが背中の痛みで棄権。第三組に怪我から復帰戦のマイアー(スイス)。フリー4位。セベスチャンも最初のジャンプはよかったがミスが多く技術点46点台でフリー6位。最終組トップのゲデバニシビリ(グルジア)は、ジャンプミスもあったが、カルメンを演じて技術点50.2、演技構成点53.52とそろえて合計103.72を出しフリー2位、総合3位に入り、うれしい初の表彰台。レピストは冒頭の3回転3回転はすばらしかったものの、後のジャンプは回転不足が多かった。技術点44.21はひどかったが、演技構成点59.2でフリー3位、総合2位に踏みとどまった。コストナーは3回転3回転も久しぶりに決め、三回転サルコウからの連続ジャンプが崩れ、転倒もしたが、ひきずらずにがんばって3度目の優勝(2007,2008,2010)。技術点は49.22と低かったが演技構成点はトップの59.44、合計107.66は今季最高点。レオノワはミスが多く本領発揮できず、転倒もあり、フリー7位。最終滑走のコルピは、SPただひとり減点なしのノーミスだったが、フリーは転倒あり、回転不足ありでフリー5位、総合4位でメダルを逃した。


フィギュアスケート (2010.1/22,3/3,10,11,15,17,)

全米選手権 (2010.1/15〜23 スポーケン・ワシントン州)

 男子SPでは、ウィアが第1組でいきなり登場。3回転3回転を初めとしたジャンプ要素は三つともクリーンに決め83.51の高得点。ところが同じ組でアボットが登場、さらに高い87.85を出す。第2組のブラッドリーは、4回転3回転を決めたものの、アクセルはダブル、ステップからの3回転も失敗、6位。第3組にライサチェクが出てきて、黒い「火の鳥」。ところが最初のトリプルアクセルが回転不足でステップアウト、それでも83.69を出して2位。昨年全米2位の若手のムロズは、ジャンプをことごとく失敗、10位。最終組では、若い(16歳?)のマバーヌーザディー(インド系?)が高いジャンプと美しい滑りで、5位に入る快挙。世界ジュニアを連覇したリッポンは、ジャンプのミスの上、ステップの途中で転倒、それでも4位に。
 フリーでは、キャリエールがケガのため棄権。第1組から第3組までの選手でクリーンに滑った人がほとんどいない。唯一、4回転に挑戦したムロズがなんとかおり、他のジャンプも着氷があやしいながらもころばず、そこまでの首位。最終組のブラッドリーは4回転をふたつ跳んだが、トリプルアクセルが入らず。それでも4位にとどまった。リッポンは、3回転3回転は決めたが、トリプルアクセルがステップアウト。ライサチェクは冒頭の4回転で転倒、他にも片手をついたりジャンプは本調子でなく、演技構成点は80点台にのせたが、逆転はできず2位のまま。ウィアは、二つ目のトリプルアクセルが1回転に。他はそつなく決めて3位を確保。マバーヌーザディーはジャンプのミスが続き、二回も転倒、8位に後退。アボットは完璧なできで、4回転ジャンプは高く美しく、滑りは速くその中で流れるように要素が入り、ピークがここに来た感じ。ライサチェクに15点も差をつけて、2連覇。

 女子SPでは、フラットが第1組で登場し、3回転3回転は決め、いきなり高得点をマーク。昨年女王のシズニーは最初の3回転ジャンプで転倒、次のジャンプが2回転になり、大きく出遅れ。7位から。長洲は、完璧なでき。たいそう速く滑り、ジャンプ、ステップとも大きく、のびのびとできて、上手になった。技術点40点を出し、ダントツで1位に。ジャンは、ステップからのジャンプで転倒。SP11位。伸び悩んでいる。三年ぶりのコーエンが出場、まずまずのできで2位につける。スパイラルはさすが。エミリー・ヒューズが出てきたが、昨年怪我であまり試合に出場せず、得点も伸びず、8位から。昨年4位、一昨年3位のワグナーは、最終滑走でそつなく滑り、4位。
 フリーでは、シズニーとジャンは、やはりジャンプの調子が戻っておらず、一回ずつ転倒しそれぞれ9位と11位。2人とも、スピンもスパイラルも美しいのに。ヒューズは、ジャンプが力任せで後半息切れ。二回も転倒して10位に後退。リャンは、少し体重をしぼってきて、今季一番の演技。6位に。ワグナーは、ステップやつなぎがうまくなり、技術点、演技構成点とも60点台を出し、フリー2位、総合3位に。コーエンはジャンプの着氷がどれも不完全で一回転倒、4位に終わる。復帰のためにだいぶ体重を落としたそうだ。見かけは、前とおなじように見えた。フラットは、クリーン・プログラム。技術点69点台で演技構成点も61点台、フリー1位で初優勝。最終滑走の長洲も完璧にカルメンを演じたように見えたが、ジャンプの回転不足があり、技術点56点台、演技構成点は最高の61.78で、フリー3位で総合2位。フリーの解説、杉田さんは「完璧」と手放しだった。長洲は表彰台で、二年前に優勝したときよりも嬉しそうだった。アメリカの女子シングルのオリンピック枠は2枠なので、コーエンは行けず。

 ペアには16組が出場。オリンピック枠は2。SPで、女性が16歳のデニー・バレット組がノーミスで1位。全米は2回目で、昨年いきなり2位だった。ヤンコウスカス・コーフリン組は、ジャンプにミスが出たが、2位。今季で引退の井上・ボルドウィン組は、スロートリプルアクセルで転倒、ツイストリフトで斜めに肩によりかかるようになり、サイドバイサイドのスピンで男性が途中で足をおろしてしまったりで4位。エポラ・ラドウィク組が3位。今季不調の昨年覇者、マクラフリン・ブルベイカー組は、放送されなかったが、7位と出遅れ。フリーでは、マクラフリン・ブルベイカー組は、少し巻き返して5位。井上・ボルドウィン組は、スロートリプルアクセルを成功させ、フリー2位だったが、総合3位でオリンピック代表を逃した。デニー・バレット組は、はつらつと滑り、初優勝。エポラ・ラドウィク組は、サイドバイサイドのジャンプで男性がステップアウト、連続ジャンプでタイミングがずれたりしてフリーも3位だったが、総合で2位になり、オリンピックへ。

 アイスダンスは、オリンピック枠は3ある。上位4組の放送しかなし。Jスポーツにしては編集してある。解説は樋口さん。規定を終えた段階で、デイヴィス・ホワイト組がトップ。ベルビン・アゴスト組は2位。ナヴァーロ・ボメントレ組が3位。ODから放送で、いきなりベルビン・アゴスト組。モルダビアのダンスは、先に見てしまったオリンピックの演技よりずっと生き生きしてスピードもあったように見えた。GPファイナルを欠場したのは、ベルビンの親知らずのためとか。インドのダンスのデイヴィス・ホワイト組は、ツイズルの後半で男性がほんの少しずれたくらいで、すごいスピードで鮮やかなエッジワークを見せ、差を広げた。樋口さんは、「どうしてこんなにうまく滑れるのか」と感心していた。ふた組とも、演技構成点で9点台が出たらしい。ナヴァーロ・ボメントレ組は相変わらずブラジリアン・アフリカン・ダンス。悪くなかったが、それほどスピードもなくエッジも浅め。若いサミュエルソン・ベイツ組に抜かれた。アメリカン・カントリーを踊ったこの若い組もスピードがあり、エッジが深くてよく合っている。
 フリーも4組のみ。日系の若いシブタニ兄妹とか見たかった(全米ジュニアの方に出て、ダントツで優勝したらしい。)。ナヴァーロ・ボメントレ組は樋口さんに「いつも同じような感じのダンス」と言われてしまう。4位のまま。サミュエルソン・ベイツ組は、はつらつと滑り、ノーミスで3位に入り、オリンピック出場をつかむ。ベルビン・アゴスト組は、「先季からロシアのコーチに変わって、ダンスもロシア風になってきた。」と樋口さんは言うがよくわからない。2位のまま。デイヴィス・ホワイト組は、固かったオリンピックの演技より伸びやかさがあってよかった。演技構成点でとうとう10点を出したジャッジが二人もいたらしい。2連覇。昨年の優勝はベルビン・アゴスト組が欠場でつかんだものだったが、今回は堂々の撃破。希望通り「全米王者としてオリンピック出場」を果たした。



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