HOME MG Book Soccer Propile


2012フィギュアスケート・バックナンバー


12/24〜28 ロシア選手権 (ソチ)
12/20〜24 全日本選手権 (札幌)
11/16〜18 全日本ジュニア選手権 (西東京市)
12/6〜9 ジュニアグランプリ・ファイナル (ソチ・ロシア)
12/6〜9 グランプリ・ファイナル ペア・アイスダンス (ソチ・ロシア)
12/6〜9 グランプリ・ファイナル (ソチ・ロシア)
11/23〜25 NHK杯 (GPシリーズ第6戦・仙台)
11/16〜18 フランス杯 ペア・アイスダンス (GPシリーズ第6戦・パリ)
11/16〜18 フランス杯 (GPシリーズ第5戦・パリ)
11/9〜11 ロシア杯 ペア・アイスダンス (GPシリーズ第5戦・)
11/9〜11 ロシア杯 (GPシリーズ第4戦・モスクワ)
11/2〜4 中国杯 ペア・アイスダンス (GPシリーズ第3戦・上海)
11/2〜4 中国杯 (GPシリーズ第3戦・上海)
11/2〜4 スケート・カナダ ペア・アイスダンス (GPシリーズ第2戦・)
10/27〜29 スケート・カナダ (GPシリーズ第2戦・ウィンザー・オンタリオ州)
10/20〜22 スケート・アメリカ ペア・アイスダンス (GPシリーズ第1戦・ケント・ワシントン州)
10/20〜22 スケート・アメリカ (GPシリーズ第1戦・ケント・ワシントン州)
4/19〜22 国別対抗選手権 (代々木)
3/29〜4/1 世界フィギュアスケート選手権 (ニース・フランス)
2/29〜3/4 世界ジュニア・フィギュアスケート選手権 (ミンスク・ベラルーシ)
2/10〜13 四大陸選手権 ペア・アイスダンス (コロラドスプリングス・アメリカ)
2/10〜13 四大陸選手権 (コロラドスプリングス・アメリカ)
1/25〜29 ヨーロッパ選手権 (シェフィールド・イギリス)
1/22〜29 全米選手権 ペア・アイスダンス (サンノゼ・カリフォルニア州)
1/22〜29 全米選手権 (サンノゼ・カリフォルニア州)
1/16〜22 カナダ選手権 (モンクトン・ニューブランズウィック州)

ページトップへ

フィギュアスケート (2013.2/4,5,8,9,10,23,)

ロシア選手権 (2012.12/24〜28 ソチ)

 <ペア>昨年の覇者バザロワ・ラリョノフ組は、GPファイナルの後、男性の靴が壊れ、棄権。12組出場。SP第1滑走で、川口・スミルノフ組。ソロジャンプは男性がちょっと変だったが成功。苦手のツイストもまずまず。技術点35.06、演技構成点全て8点台後半で35.13、合計70.19。まあまあの出来でSP2位。
 2番滑走でストルボワ・クリモフ組(20.23)。「ヴァンパイア」の曲だが、相変わらず、そういう感じはしないものの、GPシリーズのときよりプログラムがこなれている感じ。Jスポーツ解説の岡部さんは「もっと滑り込むと味が出てくる」と言う。技術点34.24、演技構成点33.54、合計67.78でSP3位。

 4番滑走のアンティポフ・マイスラーゼ組(15,24)は組み替え1年目。男性は以前イリシェチキナと組んでいた。女性がソロジャンプで転倒。ほぼ回転していたのだが。デススパイラルで手を替えるときに女性の体もひねってしまい2周はできず。技術点27.71、演技構成点30.25、合計56.96でSP6位。
 ボロソジャー・トランコフ組は7番滑走。すぐ前に滑った組と同じ「ゴッドファーザー 愛のテーマ」。ツイストは高く、ソロジャンプは余裕で成功。各要素に入る前にレベルを上げる工夫、基本の滑りの速さ、どれをとっても一流。技術点最高の40.27、演技構成点も最高の38.42、合計78.69とダントツでSP1位。

 フリーでは、若いタラソワ・モロゾフ組は、スピードはなかったが、要素はこなして合計111.36、SP8位からフリー5位、総合5位。赤毛の男性はドイツ出身とか。昨年3位でSP5位のマルティシェワ・ロゴノフ組(17,25)は、細かいミスが続き、合計104.23でフリー8位、総合6位。
 アンティポフ・マイスラーゼ組は、スロージャンプの一つが両足になったくらいでほぼノーミス。キスアンドクライでもにこにこしていてコーチたちも笑顔だった。技術点3番目の60.78、演技構成点4番目の62.06、合計121.84でフリー4位、総合4位。
 SP4位のダワンコワ・デプット組は、ジュニアGPファイナル2位。冒頭の連続ジャンプとダブルアクセルのソロジャンプで女性が二回転倒。合計103.46でフリー9位に沈んだ。総合7位。

 川口・スミルノフ組は慎重にやっている感じ。連続ジャンプは男性がちょっと変だったが、転倒はせず。ソロジャンプも成功。ツイストはもたれぎみで解説の岡部さんは「高さが足りなかった」。ソロスピンはぴったり。リフトも問題なし。ただ全体にキレがない。技術点2番目の65.41、演技構成点2番目の71.77、合計137.18でフリーも2位、総合2位。
 ストルボワ・クリモフ組は「アダムスファミリー」の曲。女性がジャンプで転倒。技術点4番目の59.66、演技構成点3番目の69.02、合計127.68でフリーも3位、総合3位。
 ボロソジャー・トランコフ組は、ノーミスの出来。スロージャンプはすごくて高くて岡部さんもびっくり。GPファイナルでの失敗をふまえて、フリーは構成を変更。後半にジャンプやリフトなど1.1倍になる要素を6つ入れていたが、詰め込みすぎだったと反省。5つに減らし、全体は昨年のプログラムの順序に変え、通しの練習は一回で本番に臨んだ。技術点最高の72.52、演技構成点も最高の77.71、合計150.23でフリーも1位、総合優勝。

 <アイスダンス>9組参加。全国大会としては少ないような気がする。国内大会だが、テクニカルパネルは海外から招いているそうだ。解説は、藤森さんに代わって東野さん初登場。ツイズルは、逆回りのときは入りのエッジが最初と異なるものではなくならないというのは初めて知った。第3ツイズルを付ける場合も異ならなくてはならないとか。
 1番滑走でリアザノワ・トカチェンコ組(21,25)。昨年3位、一昨年は2位。「マイ・フェア・レディ」の曲。ようやくパターンダンスのキーポイントがどこだかわかるが、速くてなかなか目が付いていかない。ポルカは速いのでエッジが浅くなりやすい。技術点6番目の26.64、演技構成点3番目の33.24、合計59.88でSD5位。
 第2グループ最初にイリニク・カツァラポフ組(18,21)。昨年2位で、一昨年は3位。曲は「アンディジャン・ポルカ」。東野さんは、非常に個性的な組だと言う。コーチはニコライ・モロゾフ。キーポイントで男性のエッジが氷を削ったとか、ターンやステップが少し跳ねていたなど言われてもよくわからない。技術点3番目の31.5、演技構成点2番目の35.64、演技時間超過で減点1、合計66.14でSD2位。
 プスカス・ゲレーロ組(20,21)は、昨年4位。男性がオーストラリア生まれで、ルーツはポルトガル。ジュニア時代はリアザノワと組み、2009年世界ジュニア銅メダル。曲は「シルク・ド・ソレイユ」から「キダム」。ここもモロゾフコーチ。ポルカを含めてなかなか健闘したように見えたが、得点はそれほど伸びず、技術点5番目の28.63、演技構成点6番目の29.56、リズム違反で減点1、合計57.19でSD6位。

 モンコ・ハリアビン組(20.22)はまだシニアデビューしていない。昨年は5位。一昨年は国内ジュニアで連覇。曲は「パリの空の下で」。ちょっとプログラムが長く感じられた。しかし、ポルカの部分がよかったらしく、技術点最高の31.94、演技構成点5番目の29.96、合計61.9でSD3位。
 2連覇中のボブロワ・ソロビエフ組(22,23)。今季からズーリンコーチの所へ移る。東野さんは、しきりにロシア映画のようなカップルだと言う。リフトのとき男性の足のイーグルが完全に一直線でなかったとか。しかしリフトが独創的でよいと言っていた。技術点2番目の31.71、演技構成点最高の36.34、合計68.05でSD1位。
 最終滑走は、シニツィナ・ジガンシン組(17,20)。昨年は国内ジュニア、世界ジュニアで優勝。今季シニアデビュー。順調に伸びてきた。女性は手足が長くてドンニナを思い出させる。曲は「テネシーワルツ」他。若いのにスピードがあり正確なエッジ。技術点4番目の29.64、演技構成点も4番目の30.39、合計60.03でSD4位。

 フリー2番滑走でプスカス・ゲレーロ組。曲は「トリスタンとイゾルデ」。技術点41.26と伸びず、演技構成点は全て7点台で44.64、合計85.92でフリーも6位、総合6位。
 後半最初にボブロワ・ソロビエフ組。曲は「ハーモニカを吹く男」と「トスカ」。変なプログラムだと思っていたが物語があり、心を病んだ男性を恋人が元気づけに訪れ、男性は回復したが、今度は恋人の女性が心を病み、気づいたときは手遅れだった、というものだとか。技術点2番目の51.36、演技構成点2番目で全て9点台の55.31、合計106.67でフリーも1位、総合優勝。要素が全てレベル4だったらしく、キスアンドクライでコーチともども喜んでいた。
 シニツィナ・ジガンシン組は、まだ若いのでフリー後半のスタミナが課題。GPロシア杯では、回転リフトでミスが出たが、今回はクリア。技術点5番目の47.0、演技構成点は全て7点台後半で46.94、合計93.94でフリー4位、総合4位。

 イリニク・カツァラポフ組の曲はミュージカル「ゴースト」。最初の要素のツイズルに入るまでにいろいろつなぎの要素がある。技術点3番目の50.07、演技構成点は最高の55.46でフリー2位、総合も2位。
 リアザノワ・トカチェンコ組は、「ゴッドファーザー」の曲。SD5位は「ショックだった」と語ったらしい。相変わらずマフィアの感じはしないが、技術的にはレベルが高く、技術点最高の53.08、演技構成点3番目の50.91、合計103.99でフリー3位。最終組がSD3位だったが、逆転で総合3位。
 最終滑走はモンコ・ハリアビン組。衣装を変えたらしく、二人とも黒っぽい。フラメンコの雰囲気がよく出ていた。しかし後半に少しスピードが落ち、エッジがフラットになってきた。技術点4番目の47.21、演技構成点5番目の46.52、合計93.73でフリー5位、総合5位。

 <女子シングル>18人出場。平均年齢は14.9歳。リプニツカヤ(14)は欠場。GPファイナルの前から足を傷めていて、スピン練習中に転倒して頭をうち、予後がよくないためとかで、少し心配。
 第1グループ5番滑走でソトニコワ(16)。GPファイナルに出られなかったが、体調はかえってよさそう。冒頭の連続3回転成功。ステップからのフリップも決める。技術点3番目の34.42、演技構成点2番目の32.57、合計66.99でSP2位。
 第2グループ8番滑走のレオノワ(22)は、明らかに太っていた。冒頭の連続3回転はなんとか決めたが、ステップからのフリップはステップアウト、ダブルアクセルで転倒。それでも技術点13番目の28.1ながら、演技構成点3番目の32.54、合計59.64でSP6位。
 10番滑走でコロベイニコワ(16)。曲はニーノ・ロータの「ロミオとジュリエット」。Jスポーツ解説の杉田さんに「スピードがない」と言われてしまう。技術点7番目の30.93、演技構成点5番目の29.92、合計60.85のSP4位。

 12番滑走でトゥクタミシェワ(16)。GPファイナルに出た疲れはあまり見えなかった。冒頭の連続3回転を初めジャンプは全て成功。技術点最高の36.53、演技構成点も最高の32.97、合計69.5でSP1位。
 最終グループ14番滑走のラディオノワは13歳。滑るスピードがおそろしく速い。その上ルッツからの連続3回転を決める。技術点2番目の36.13、演技構成点6番目の28.45、合計64.58でSP3位。
 なお、GP中国杯とNHK杯に出たビリュコワ(18)は、放送がなく、1回転倒してSP17位。スケートカナダとNHK杯に出たマカロワ(21)も放送がなく、SP15位。

 フリーでは、第2グループ最初で7番滑走、SP9位のサハノビッチが、技術点最高の68.29、演技構成点52.58、合計120.87でフリー4位、総合4位。
 15番滑走のレオノワは二回転倒して、万事休す。技術点47.76、演技構成点3番目の64.24、合計110.0でフリー8位、総合7位。10番滑走のマカロワはやっぱり放送はなかったが、技術点48.94ユ、演技構成点4番目の61.53、合計110.47でフリー7位、総合8位。少し挽回した。14番滑走のコロベイニコワは一回転倒。技術点44.61、演技構成点58.58、合計102.19でフリー11位、総合10位。

 16番滑走のトゥクタミシェワが体調不良を押して出場、1回転ジャンプもあったが、何とかまとめて逃げ切り、技術点5番目の60.15、演技構成点2番目の66.92、合計127.07でフリーも1位、初優勝。
 17番滑走のラディオノワがノーミスで追い上げ、技術点2番目の67.25、演技構成点59.43、合計126.68でフリー2位、総合2位、初の表彰台。ぎりぎりソチに間に合うらしい。
 最終滑走のソトニコワは冒頭の連続3回転で第1ジャンプがずれたのに強引に第2ジャンプをつけ回転不足で転倒。後半のジャンプでステップアウトやシングルアクセルなどミスが続き、技術点56.76、演技構成点は最高の68.0、合計123.76でフリー3位、総合3位。

 <男子シングル>18人参加。やっぱりプルシェンコが強い。若手、中堅は出てこないのか。9番滑走でメンショフ(29)。一昨年初優勝。GPシリーズスケートアメリカとロシア杯に出て両方4位。4回転2回転、トリプルアクセルと決めながら、ステップからのルッツで転倒。技術点7番目の36.34、演技構成点5番目の38.54、合計73.88でSP6位。
 11番滑走でガチンスキー(19)。昨年、一昨年とも2位。今季はGPシリーズ不調。スケートカナダ9位、ロシア杯7位。冒頭4回転で転倒。トリプルアクセル、ルッツからの連続3回転は成功。技術点8番目の35.98、演技構成点3番目の39.6、合計74.58でSP4位。キスアンドクライで靴を脱いでいたので、靴が合っていないのかもしれない。
 第2グループ最後にヴォロノフ(25)。2007年と2008年に優勝。今季は好調らしい。GPシリーズ中国杯で3位、NHK杯で7位。4回転からの連続ジャンプ、トリプルアクセル、ステップからのループと全て成功。モロゾフコーチも喜んでいた。技術点最高の45.98、演技構成点2番目の41.71、合計87.69でSP3位。

 最終グループ14番滑走のコフトゥンは17歳。コーチはタラソワ。トリプルアクセルは成功したが、連続ジャンプの第1ジャンプで転倒。技術点5番目の37.49、演技構成点4番目の38.89、合計75.38でSP3位。
 続けてまた若手のコリャダ(17)。ジャンプはノーミス。エッジワークも滑らかで、技術点4番目の37.5、演技構成点6番目の36.96、合計74.46でSP5位。将来楽しみな感じ。
 17番滑走でプルシェンコ(30)。冒頭の4回転は3回転に。トリプルアクセルとルッツからの連続3回転は決める。スピン、ステップとも、きちんとレベルはとれているようだ。技術点2番目の44.83、演技構成点最高の46.85、合計91.68でSP1位。

 フリーは、最終グループ最初にメンショフ。4回転を二つ入れるプログラム。きれいではなかったが、一つ目は成功。二つ目は連続3回転に。トリプルアクセル二つ、3連続ジャンプも決めた。技術点3番目の76.64、演技構成点5番目の78.36、合計155.0でフリー3位、総合3位。欧州選手権当確か。
 プルシェンコは、背中と膝が痛みがあり痛み止めの注射をしていたらしい。しかし、冒頭で4回転を決める。続けてトリプルアクセル。着氷がきれいに流れなかったが、回転は十分。ステップを見るとエッジワークが美しい。解説の樋口さんによれば、「レベルのつくステップは少しゆっくりとエッジを見せ、コレオシークエンスの方は激しい音楽を十分に表現」していた。とにかく他の選手とレベルが違う。怪我で万全でなくても危なげない。技術点2番目の79.74、演技構成点驚異的な94.52、合計174.26でフリーも1位、総合優勝。インタビューでは、二日後に生まれる予定の長男のことを聞かれていた。
 若いコリャダは、トリプルアクセルを二つとも転倒。その他はかなりよく滑ったが、自分にがっかりしたようにキスアンドクライにすわっていた。合計134.5でフリー9位、総合7位。

 ヴォロノフはフリーもノーミス。4回転、トリプルアクセルとも着氷した後が美しい。後半には、ダブルアクセルからの3連続も成功。ステップは少々荒っぽいが、「ロミオとジュリエット」の曲を滑りきってガッツポーズ。技術点最高の82.31、演技構成点2番目の84.06、合計166.37でフリーも2位、総合2位。こちらも欧州選手権当確か。
 ガチンスキーはSPよりよかった。冒頭の4回転はやはりステップアウト。他のジャンプも不安定だが、何故かトリプルアクセルは二つともきちんとし跳べた。ステップもだいぶ表現できていたが、つなぎが物足りない。技術点5番目の72.94、演技構成点4番目の79.94、合計152.88でメンショフに届かず、フリー4位、総合4位。
 最終滑走はコフトゥン。4回転を二種類入れるプログラム。冒頭の4回転サルコウは3回転に。次の4回転トウループも3回転になったが、少し後で成功。滑らかなエッジワークで、大きなミスなく滑りきった。技術点68.36、演技構成点3番目の81.28、合計149.64でフリー5位、総合5位。


フィギュアスケート (2013.6/2,3,5,8,9,14,17)

ジュニアグランプリファイナル (2012.12/6〜9 ソチ・ロシア)

 <ペア>ロシア3組、カナダ2組、中国1組。結局、ロシアが表彰台独占。2番滑走のダヴァンコワ・デュプタット組(露。14,20)は、「ゴッドファーザー」の曲。ダブルアクセルのソロジャンプ、スローサルコウを成功。ツイストは2回転だが、全ジャッジが加点。リフトとスピンはレベル4。技術点3番目の27.52、演技構成点5番目の23.82、合計51.34は自己ベスト更新でSP3位。
 3番滑走のヴィガロワ・ザクロエフ組(露。13,18)は、冒頭のツイストが高く、ほぼ全ジャッジが加点2。ステップはレベル2で減点気味。リフトとスピンはレベル4。技術点4番目の26.83、演技構成点も4番目の23.93、合計50.76は自己ベスト更新でSP4位。
 カナダのジョーンズ・ベハリー組(16,21)は、今季組み替えたばかり。男性は昨年、前のパートナーと組んで2位だった。スロージャンプは加点の出来だったが、ソロジャンプで女性が転倒。技術点24.23、演技構成点3番目の24.88、合計48.11でSP最下位スタート。

 フェドロワ・ミロシュキン組(露。13,18)は、どの組よりも基本の滑りが安定していた。女性は14歳にしては小さいが、スピードもある。「雨に歌えば」の曲。冒頭のツイストは高く、全ジャッジが加点2〜3。スローサルコウも全ジャッジが加点。リフトとステップはレベル4。デススパイラルはレベル1だが、ほぼ全ジャッジが加点。最後のスピンはレベル3。なんと男性もビールマンスピンを上手にする。女性の手がブレードを早く離してしまい、足を下ろすタイミングが3回転くらいずれてしまった。技術点最高の28.86、演技構成点2番目の25.51、合計54.37でSP1位。
 最終滑走でパーディ・マリナロ組(加。17,20)。ダブルアクセルのソロジャンプで女性がステップアウト。デススパイラルはレベルB。リフト、ステップ、スピンはレベル4。技術点5番目の26.26、演技構成点最高の25.57、合計51.83でSP2位。

 フリーでは、2位のカナダのパーディ・マリナロ組の女性がジャンプで二回転倒してフリー5位に沈んだ。一方、4位のロシアのヴィガロワ・ザクロエフ組は、フリーも自己ベスト更新でフリー3位に浮上、逆転で総合3位。ジュニアのフリーは4分。
 第1グループ3番滑走のヴィガロワ・ザクロエフ組は、冒頭のツイストは全ジャッジが加点。ダブルアクセルのシースエンスも成功。スロージャンプも二つとも成功。スピン二つとリフト二つがレベル4。技術点最高の53.22、演技構成点4番目の49.58、合計102.8は自己ベスト更新、フリー3位で総合3位。
 第2グループ最初のダヴァンコワ・デュプタット組は、フラメンコ風の曲。冒頭で3回転2回転の連続ジャンプを決める。ツイストはレベル1だが全ジャッジが加点。スロージャンプを二つ続けて成功。スピン一つとリフト一つがレベル4。リフトで上がったものの姿勢の変化がないまま下りてきたのがあり、レベル1。技術点3番目の52.96、演技構成点2番目の51.66、合計104.62でフリー2位、総合2位。

 パーディ・マリナロ組は映画「アーティスト」の曲。冒頭のツイストはもたれ気味。トウループからの連続ジャンプで女性が転倒。続くダブルアクセルでも転倒。それでもスピン二つとリフト二つはレベル4、スロージャンプも二つとも成功させた。立ち直りは見せたものの技術点最低の47.77、演技構成点2番目の52.34、合計98.11でフリー5位、総合4位。
 最終滑走のフェドロワ・ミロシュキン組はタンゴの曲。冒頭のツイストは素晴らしく高く、全ジャッジが加点2〜3。スローループジャンプも全ジャッジが加点。ダブルアクセルのソロジャンプと、2回転フリップ2回転トウループの連続ジャンプもなんとか決めた。スピン二つとリフト二つがレベル4。二つ目のスロージャンプで片手を付いたが、コレオシークエンスとリフト一つで全ジャッジが加点。技術点4番目の演技構成点最高の54.46。合計106.74でフリーも1位、総合優勝。初出場で優勝。嬉しそうだった。
 SP5位の中国のユウ・ジン組は、フリーでは少し表情もついて挽回し、技術点2番目の53.09、演技構成点最低の45.77、合計98.86でフリー4位、総合5位。

 <アイスダンス>なんと4組がロシア。他はフランスとアメリカが1組ずつ。ジュニアのパターンダンスはブルース。ブルースは、コンパルソリーの時代も含めて初めて見た。
 第1グループは3組ともロシア。第1滑走のヤノフスカヤ・モズコフ組(16,17)は昨年2位。ユース・オリンピックでは優勝。二人とも背が高い(163と186)。まずブルースを続けて滑り、レベル4と3。回転リフトはレベル4、ツイズルはレベル3、ステップはレベル2。技術点2番目の27.78、演技構成点最低の25.25、合計53.03でSD3位。
 第2グループ最初のパパダキス・シゼロン組(仏。17,18)は、ツイズルが見事に合って全ジャッジが加点2〜3。ブルースは、レベル1と2。ステップはレベル2、直線のリフトはレベル3。技術点3番目の26.35、演技構成点3番目の28.44、合計54.79でSD2位。

 5番滑走のオルドリッジ・イートン組(米。18,20)は昨年4位。男性の滑りが今までの組のうち一番安定している。ステップはレベル2。ツイズルはレベル3。ブルースはレベル1と2。朝日ニュースター解説の河合さんは、「フォックストロットホールドで滑るキーポイントのところの足の向きが難しい」と言う。回転リフトはレベル4。女性は太めだが、男性が持ち上げるのではなく、飛び込んで受け止める形。技術点最低の24.15、演技構成点2番目の28.45、合計52.6でSD4位。
 最終滑走はロシア期待のステファノワ・ブキン組(17,19)。昨年、一昨年とも3位だった。まず素晴らしく速いツイズルを三つ続けて、レベル4に全ジャッジが加点1〜3。直線のリフトとフルースの第1パートはレベル4。ブルースの第2パートはレベル3。ステップはレベル2。技術点最高の31.5、演技構成点も最高の29.68で、合計61.18でSD1位。他の組が今季最高を出せない中、これが今季最高点。2位とは6点以上の差。解説の河合さんは、「ジュニアで、ブルースの粘りけのあるステップがよくできている。」

 3番滑走のオルドリッジ・イートン組は、「屋根の上のヴァイオリン弾き」の曲。直線のリフトはレベル4でほぼ全ジャッジが加点2。スピン、カーブのリフト、回転リフトもレベル4。ツイズルの初めで女性がバランスを崩しかけたが、なんとか立て直し、レベル2。技術点3番目の40.12、演技構成点も3番目の43.47、合計83.59は自己ベスト更新でフリー3位、総合3位。
 第2グループ最初のヤノフスカヤ・モズコフ組は、アラビアン・メドレーの曲。女性の水色の衣装にはカラフルな細かいビーズ。冒頭のツイズルは上手でレベル4に全ジャッジが加点。リフトは三つともレベル4。サーキュラーステップとスピンがレベル2。技術点5番目の36.33、演技構成点4番目の39.95、合計76.28でフリー4位、総合4位。

 パパダキス・シゼロン組は、ピンク・フロイドの2曲。ステップは二つともレベル2だが、全ジャッジが加点。ツイズル、リフト三つ、スピンはレベル4でほぼ全ジャッジが加点。技術点2番目の40.14、演技構成点も2番目の44.28、合計84.42は自己ベスト更新でフリーも2位、総合2位。
 地元の大声援を受けて登場した、最終滑走のステファノワ・ブキン組は「フラメンコ・ボレロ」の曲。初めから終わりまでスピードが落ちず、エッジも深い。冒頭のツイズルはレベル3だが、ほぼ全ジャッジが加点2。ステップ二つはレベル3で全ジャッジが加点。リフト三つとスピンはレベル4。スピン以外全ジャッジが加点。技術点最高の42.21、演技構成点も最高の46.18、合計88.39は今季最高点に少し及ばなかったが、フリーも1位、2位と10点以上の差で総合優勝。

 <女子シングル>アメリカ3人、ロシア2人、日本1人。2番滑走のミラー(米。16)は、冒頭でダブルアクセル成功。フリップ、レベル4のフライングスピンの後、3回転ループ2回転ループの連続ジャンプ。後のスピン二つとステップもレベル4。ステップはほぼ全ジャッジが加点2。技術点2番目の33.84、演技構成点も2番目の25.34、合計59.18は自己ベスト更新でSP2位。
 3番滑走で宮原(14)。曲はサンサーンスの「白鳥」。冒頭のルッツからの連続3回転を失敗。ルッツが傾き、第2ジャンプ入らず。ジュニアのソロジャンプはフリップと決まっているので、フリップに第2ジャンプをつけるわけはいかない。スピン三つとステップはレベル4。最後のレイパックスピンは全ジャッジが加点1〜3。技術点5番目の26.22、演技構成点も5番目の23.38、合計49.6でSP5位。

 4番滑走のポゴリラヤ(露。14)は、赤いパンツスーツの衣装。手足が長く、既に身長160p。冒頭でルッツからの連続3回転を決める。フリップはeマーク。スピン三つはレベル4。レイバックスピンは全ジャッジが加点。ステップはレベル3。技術点3番目の33.25、演技構成点4番目の24.69、合計33.25でSP3位。
 最終滑走のラディオノワ(露)は13歳。やはり冒頭でルッツからの連続3回転を決める。フリップはeマーク。ダブルクセルは着氷後、すぐ足を付いてしまい、減点評価。しかし、スピン三つとステップはレベル4。特にレイバックスピンはスピードも速く、ほぼ全ジャッジが加点2〜3。ステップとフライングスピンも全ジャッジが加点。技術点最高の34.68、演技構成点も最高の26.22、合計60.9でSP1位。

 フリーでは、2番滑走で宮原。「ロミオとジュリエット」の曲。冒頭で、SPで失敗したルッツからの連続3回転を決める。ただしルッツは回転不十分。後半にもルッツ(回転不十分)からの3連続やダブルアクセルからの3回転トウループ(回転不十分)も入り、スピン二つでレベル4。うちレイバックスピンは全ジャッジが加点2。スピン一つとステップはレベル3。ノーミスで終え、技術点4番目の58.32、演技構成点5番目の49.82、合計108.14は自己ベストを更新したが、フリーも5位、総合5位。
 3番滑走でSP4位のワン(米。16)。いきなり3回転ルッツ3回転トウループ2回転トウループの大技を決める。全ジャッジが加点。フリップ、レベル4のレイバックスピン、後半の二つ目のルッツは全ジャッジが加点。ステップもレベル2だが全ジャッジが加点。技術点3番目の58.9、演技構成点も3番目の51.99、合計110.89は自己ベスト更新でフリー2位、総合4位。
 4番滑走のポゴリラヤは、冒頭のダブルアクセルからの連続ジャンプの予定が、バランスを崩して両手つき。しかし次のダブルアクセルに3回転2回転をつけて3連続に。スピンの後にはルッツからの連続3回転も跳んだ。後半のフリップはeマークだったが、軸が少しくらい傾いても立て直して着氷するたくましさ。スピン二つでレベル4、そのうち最後のレイバックスピンは全ジャッジが加点。技術点2番目の59.36、演技構成点4番目の50.1、合計109.46は自己ベスト更新でフリー3位、総合3位。

 ミラーは、連続3回転は跳ばない。しかし確実に決めてくる。フリップからの3連続、後半にフリップからダブルアクセルのシークエンス。ルッツはeマーク。ステップはレベル2だが全ジャッジが加点1〜3。レベル4のレイバックスピンも全ジャッジが加点1〜3。あと二つのスピンもレベル4。技術点5番目の56.16、演技構成点2番目の53.07、合計109.23は自己ベスト更新でフリー4位だが、総合2位。
 最終滑走のラディオノワは全然緊張していないようだった。冒頭できれいにルッツからの連続3回転を成功。全ジャッジが加点。3回転フリップ(eマーク)から1回転ループ3回転サルコウの3連続。後半に二つのダブルアクセル、ループからの連続ジャンプと決める。スピン二つとステップでレベル4。終盤の四つの要素は全て全ジャッジが加点、特に最後のレイバックスピンは、昔C. ジャン(米)がやったパールスピンより折れ曲がった感じで余人に真似ができない。全ジャッジが加点2〜3。技術点最高の64.65、演技構成点も最高の53.85、合計118.5はダントツでフリー1位、しかし今季最高に届かず。総合優勝。

 <男子シングル>日本から田中刑事と日野龍樹。アメリカからも二人、ロシア、中国から一人ずつ。1番滑走で田中(18)。いきなり、トリプルアクセルのはずがダブルアクセル。ルッツからの連続3回転は、eマーク。フライングスピンはレベル2。あとのスピン二つはレベル4。ステップからのジャンプはフリップと決められている。ステップはレベル3。技術点最低の31.81、演技構成点4番目の29.93、合計61.74でSP5位。
 続けて日野(17)。和太鼓の曲。冒頭のトリプルアクセルは成功。ルッツからの連続3回転も決める。いつもながら少し軸が曲がりヒヤヒヤ。フライングスピンはレベル2。あとのスピン二つはレベル4。ステップはレベル3。技術点3番目の38.20、演技構成点5番目の29.35、合計67.55は自己ベスト更新で、SP4位だが、5位とは6点近く差がある。

 4番滑走のジェイソン・ブラウン(米。17)は、滑りが滑らか。昨年跳べなかったトリプルアクセルを冒頭でなんとか着氷。ルッツからの連続3回転は成功。レベル4のフライングスピンは全ジャッジが加点。あとのスピン二つとステップもレベル4。ステップからのフリップが回りきらず、2回転の判定。技術点4番目の36.28、演技構成点3番目の33.15、合計69.43でSP3位。
 ロシアのコフトゥン(17)は優勝候補。曲は「アラビアのロレンス」。冒頭でルッツからの連続3回転をきれいに決める。トリプルアクセルは全ジャッジが加点。足替えシットスピンもレベル3だが、全ジャッジが加点。ステップからのフリップはeマーク。フライングスピンとステップはレベル2。最後の足替えスピンはレベル4で全ジャッジが加点。技術点2番目の39.07、演技構成点も2番目の33.46、合計72.53でSP2位。
 最終滑走はファリス(米。17)。トリプルアクセルは手をついたが、ルッツからの連続3回転は成功、全ジャッジが加点。ステップからのフリップはほぼ全ジャッジが加点。後半のスピン二つとステップはレベル4で、これも全ジャッジが加点。技術点ただ一人40点台に乗せ、最高の40.32、演技構成点も最高の34.21、合計74.53でSP1位。

 フリーでは、2番滑走で田中。冒頭でトリプルアクセルを跳んだがステップアウト。こんなことで来年からシニアで戦えるのか。後半、二つ目のフリップで第2ジャンプ入らず。ルッツからの連続3回転は、eマーク。3連続ジャンプは、第1ジャンプが2回転サルコウに。ところがこの後に4つめの連続ジャンプを飛んでしまい、無得点。これが響いて得点は伸びず、技術点最低の53.23、演技構成点5番目の59.58、合計112.81でフリー最下位、総合6位。
 3番滑走の日野は「ロビン・フッド」の曲。冒頭でトリプルアクセルからの連続3回転を成功。フリップはeマーク。スピン二つでレベル4、ステップとフライングスピンはレベル3。後半に二つ目のトリプルアクセル、ループ、ルッツ、ダブルアクセルからの3連続と決めて得点を稼ぐ。どれも着氷が美しくないので加点が付かない。技術点3番目の71.07、演技構成点4番目の60.3、合計131.37はこれも自己ベスト更新で、フリー3位、総合3位。初のメダル。
 4番滑走でジェイソン・ブラウン。冒頭のフリップは大きな美しいジャンプで全ジャッジが加点。ところが次のトリプルアクセルのはずが、構えだけで踏み切れず、無得点。ルッツはeマーク。足替えスピンはビールマンも入り、全ジャッジが加点。後半、二つ目のルッツに第2ジャンプ入らず。ステップはレベル3だが、全ジャッジが加点。フリップからの連続3回転、ダブルアクセルからの3連続、サルコウと成功。最後のフライングスピンもほぼ全ジャッジが加点。技術点5番目の59.97、演技構成点2番目の68.92、合計128.89でフリー4位、総合4位。

 5番滑走のコフトゥンは、いきなり4回転3回転を成功。余裕があった。全ジャッジが加点。続けてトリプルアクセルからの連続3回転も決める。足替えスピンはレベル3だが、全ジャッジが加点。後半に二つ目のトリプルアクセル、フリップ(eマーク)、サルコウからの連続ジャンプと成功。最後の足替えシットスピンはレベル1だったが、技術点最高の79.8、演技構成点も最高の69.98、合計149.78でフリー1位、総合優勝。
 最終滑走のファリスは、冒頭でトリプルアクセルからの連続3回転を決めたが、4回転で転倒。続くルッツもステップアウト。スピン二つでレベル4、後半に二つ目のトリプルアクセル、ルッからの連続ジャンプと決めたが、なんとフリップでまた転倒。技術点4番目の70.74、演技構成点2番目の68.1、合計136.84でフリー2位、総合2位。


フィギュアスケート (2013.1/26,29,2/1,2/2)

GPファイナル ペア、アイスダンス (2012.12/6〜9 ソチ・ロシア)

 <ペア>ロシア3組、カナダ2組、中国1組。第1グループ3番滑走に川口・スミルノフ組(露。31,28)。ツイストはまあまあだったが、ソロジャンプで女性が片手つき、スロージャンプでは転倒。デススパイラルはなんとレベル1。スピン、リフト、ステップはレベル4だったが、技術点最低の28.8演技構成点全て7点台後半で4番目の30.22、合計58.02でSP6位。GPシリーズフランス杯本番が終わった後の男性の怪我でエキジビションを欠場した影響が残っているのか。
 第2グループ最初は、パン・トン組(中。32,33)。本来の速さがない。ソロジャンプは男性が回転不足で両足。ツイストは高いがレベル2、全ジャッジが加点。スロージャンプもきれいに成功、全ジャッジが加点1〜3。デススパイラルはレベル2。リフト、ステップ、スピンはレベル4。演技構成点はつなぎ以外8点台。技術点5番目の32.06、演技構成点3番目の32.68、合計64.74でSP3位。

 バザロワ・ラリョノフ組(露。19,26)は、冒頭のソロジャンプは、違う方向、タイミングだった。スロージャンプは美しく、全ジャッジが加点1〜3。ツイストも高く、レベル4に全ジャッジが加点。リフト、スピン、ステップとレベル4で全ジャッジが加点。デススパイラルだけどうしたわけかレベル1。演技構成点全て8点台前半。技術点2番目の37.16、演技構成点も2番目の32.98、合計70.14。
 ボロソジャー。トランコフ組(露。26,29)は、表情たっぷりに「ゴッドファーザー」の「愛のテーマ」を滑りきった。冒頭のツイストは高く速く、レベル4に全ジャッジが加点2〜3。スロージャンプも全ジャッジが加点1〜3。デススパイラルはレベル1だが全ジャッジが加点2。リフトはレベル3、ステップとスピンはレベル4、いずれも全ジャッジが加点。演技構成点は三つの要素で9点台。技術点最高の37.53、演技構成点も最高の35.93、合計73.46でSP1位。

 フリーは、川口・スミルノフ組から。このところ失敗が多い冒頭のジャンプシークエンスは、女性の第2ジャンプが2回転になったものの、続くダブルアクセルのソロジャンプも成功。ツイストもそれほどもたれずできた。デススパイラルはレベル2だが、全ジャッジが加点。続くレベル4のフライングソロスピン、コレオシークエンス、レベル4のリフト、一つ目のスローサルコウジャンプは、みなよい出来で、全ジャッジが加点。特にスロージャンプは加点1〜3。終盤のリフト二つはレベル3だったが、最後のペアスピンはレベル4。ほぼノーミスで、最後のポーズのとき、久々に川口が笑顔だった。それでも技術点は最低の59.5、演技構成点全て7点台後半で4番目の61.2、合計120.7でフリー5位、少し挽回したが総合6位。
 第2グループ最初のパン・トン組は、冒頭のダブルアクセルシークエンスをきれいに成功、全ジャッジが加点2。ツイストも高く、レベルは2だが全ジャッジが加点1〜3。しかしデススパイラルが一周したかどうかで、レベルB。リフトは三つともレベル4、二つ続くスロージャンプも成功。特に一つ目のスローサルコウジャンプは美しく、全ジャッジが加点2〜3。技術点4番目の61.62、演技構成点2番目の66.4、合計128.07でフリー3位、総合3位と底力を見せた。

 バザロワ・ラリョノフ組は、冒頭のソロジャンプがSPと同じく跳ぶタイミングが全くずれていたが、それぞれ転倒しないことが優先らしい。それほど減点されず。ダブルアクセルシークエンスも女性がなんとかこらえる。得意のツイストはレベル3だが全ジャッジが加点2〜3。一つ目のスロージャンプ、デススパイラル、フライングスピン、コレオシークエンス、後半最初のリフトは全て全ジャッジが加点。特にリフトは三つともレベル4で、最初のリフトは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点は全て8点台。女性が最後のポーズでガッツポーズするよい出来だった。技術点最高の65.59、演技構成点3番目の65.87、合計131.46でフリー1位、総合2位。
 最終滑走のボロソジャー・トランコフ組は、でだしはよかった。冒頭のツイストは高く速くレベル4で全ジャッジが加点3。3回転サルコウからの連続ジャンプも成功。コレオシークエンスは全ジャッジが加点2〜3。スピンもレベル4で全ジャッジが加点。一つ目のスローループジャンプもきれいに決め、全ジャッジが加点2〜3。ところがソロジャンプで男性が転倒。このとき右足首をひねったようだった。続くリフト二つはレベル4で全ジャッジが加点。しかし二つ目のスロージャンプに入るところでまた男性が転倒。珍しい失敗。終わったとき、男性は呆然とした顔だった。演技構成点は全て8点台後半。技術点2番目の63.21、演技構成点最高の69.88、合計131.09でフリー2位、しかし総合優勝。

 <アイスダンス>デイヴィス・ホワイト組(米)の四連覇なるか。テレビ朝日の解説、河井さんがポルカのキーポイントについて初めて触れる。「ヤンキーポルカは非常に速いので、正しいステップを踏むのが難しい。男女が手を放すところはキーポイントのひとつで難しい動き。」と言う。
 第2グループ最初に、欧州王者のペシャラ・ブルザ組(仏。28,31)。フレンチカンカンの衣装。冒頭のツイズルはピッタリで、レベル4に全ジャッジが加点2。サーキュラーステップもレベルは3だが、シーズン最初よりもずっと滑らかでよくなった。直線のリフトはレベル4に全ジャッジが加点。ポルカのパートはレベル4と2。演技構成点は全て8点台後半。終わったとき、カメレンゴコーチがにっこりしていた。技術点4番目の33.58、演技構成点3番目の35.12、合計68.7でSD3位。

 ヴァーチュー・モイヤー組(加。23,25)は、全ての要素に全ジャッジが加点。ポルカからでレベル3と4。ツイズルはレベル3。ぴったり合っていたが、逆回りになる前、少し傾いたようだった。ステップもレベル3だが、全ジャッジが加点1〜3。全体のスピードも速くエッジも深いが、終わりの方は女性のエッジが少し浅かった。最後の回転リフトはレベル4で全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は全て9点台前半。技術点2番目の34.01、演技構成点も2番目の37.26、合計71.27でSD2位。得点を見たとき、男性は少しがっかりしたようだった。
 昨年優勝のデイヴィス・ホワイト組(米。25,25)が最終滑走。こちらも全ての要素に全ジャッジが加点。冒頭のツイズルはレベル4で全ジャッジが加点2〜3。ステップはレベル3だが、加点2〜3。ポルカはレベル3と3。最後の回転リフトはレベル4で全ジャッジが加点2〜3。まだなんとなくプログラム全体が一体化していない感じ。演技構成点は三つの要素で9点台後半。技術点最高の35.15、演技構成点も最高の38.05、合計73.2でSD1位。

 フリーは、SD6位のイリニク・カツァラポフ組(露)から。曲はミュージカル「ゴースト」。女性が濃いグレー、男性が白いシャツのシンプルな衣装。スビンがレベル3、二つのステップがレベル2。後は全てレベル4。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。技術点裁定の43.5、演技構成点5番目の49.3、合計92.8でフリー5位。ファイナル初出場で総合6位。
 SD僅差で5位のカッペリー・ラノッテ組(伊)は、地力を発揮。曲は「カルメンバレエ組曲」。終盤の対角線のステップとコリオリフト以外の全ての要素に全ジャッジが加点。特に直線のリフトは加点1〜3。対角線のステップだけレベル3で後は全てレベル4。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。技術点3番目の50.21、演技構成点4番目の49.32、合計99.53で自己ベストを更新。フリー4位、逆転で総合4位。
 SD4位でメダルをねらう地元ボブロワ・ソロビエフ組(露)。曲は「ハーモニカをふく男」と「トスカ」。最初、男性が人形のようだったのが、最後、女性が人形のようになって終わる、変わった構成。振り付けはズーリン、ペトコフ。冒頭の回転リフトはレベル4に全ジャッジが加点2。ツイズルもレベル4で全ジャッジが加点。中盤の直線のリフトもレベル4で全ジャッジが加点2。ところがつなぎの部分で男性が転倒。起き上がるのに時間がかかり、転倒の減点に加え、演技再開まで過剰な中断があったという減点もついた。演技構成点は滑走技術以外8点台前半。技術点5番目の44.83、演技構成点最低の49.03、合計91.86でフリー6位、総合5位。男性は、演技終了後、しばらく挨拶もできず顔を覆っていた。

 ペシャラ・ブルザ組の冒頭の回転リフトは全ジャッジが加点2〜3。あと二つのカーブのリフトも全ジャッジが加点2〜3。リフトは女性が両足とも男性の靴の上でつま先立ちになるなどみんな工夫されていた。ローリングストーンズのメドレーによく合わせたステップ二つはレベル3、あとは全部レベル4。基礎点40.2は、上位3組とも同じ。全体で加点8.56。演技構成点は全て8点台後半。それでも技術点4番目の48.78、演技構成点3番目の52.7、合計101.48でフリー3位、総合3位。
 ヴァーチュー・モイヤー組の曲は「カルメン組曲」。スケート・カナダのときよりだいぶできあがってきた。スピードも速く、力強いカルメンを表現。最後のコリオリフト以外の要素は全ジャッジが加点。最後のコリオリフトは姿勢を決めるのに少し手間取り、-1が一人、0が二人の評価。基礎点40.2に全体で加点11.5。演技構成点は三つの要素で9点台後半。技術点2番目の51.7、演技構成点も2番目の56.86、合計108.56でフリーも2位、総合2位。
 デイヴィス・ホワイト組は、さらに速かった。「ノートルダム・ド・パリ」の曲。全ての要素に全ジャッジが加点2〜3。基礎点40.2に全体で加点12.36。演技構成点はつなぎ以外9点台後半。技術点最高の52.56、演技構成点も゜最高の57.63、合計110.19でフリー1位、総合優勝。


フィギュアスケート (2013.1/18,20,21,22)

フランス杯 ペア、アイスダンス (2012.11/16〜18 パリ) GP第5戦

 <ペア>7組参加。ペアはどうも少なめ。1番滑走で今年組み替えたばかりのペン・ジャン組(中。15,28)。冒頭のツイストが高くて全ジャッジが加点1〜3。スロージャンプもほぼ全ジャッジが加点1〜3。今季基準が厳しいデススパイラルもレベル4。スピンはレベル3だが、ステップとリフトもレベル4をとり、技術点3番目の33.83、演技構成点5番目の26.09、合計59.92でSP3位。明らかに中国杯より進歩している。
 第2グループ最初に地元のストルボワ・クリモフ組(20,22)。冒頭のツイストは空中できちんとキャッチできず、レベル1に全ジャッジが減点評価。デススパイラルはレベル2。ステップとリフトはレベル4だったが、ソロジャンプでミス。技術点7番目の26.43、演技構成点4番目の27.21、合計53.64でSP5位。フリーは第1グループ。
 カナダのデュハメル・ラドフォード組(26,27)は、ソロジャンプのルッツで女性が転倒。しかし直後のスロールッツジャンプでは、空中で曲がった軸をなんとか修正して着氷。リフト、デススパイラル、スピンはレベル4。技術点2番目の62.28、演技構成点も2番目の28.82、合計62.28でSP2位。

 ベルトン・ホタレック組(伊。22,28)は、冒頭のソロジャンプはなんとかこらえて成功。ツイズルがレベル2。リフトとステップはレベル4だったが、デススパイラルがなんとレベル1。技術点4番目の29.9、演技構成点3番目の27.4、合計57.3SP4位。
 最終滑走は、地元の川口・スミルノフ組(露。30,28)。久々に川口の笑顔を見た。冒頭の苦手ツイストは、かなりうまくいった。ソロジャンプ、スロージャンプは全ジャッジが加点。デススパイラルはなぜかレベル1。スピン、リフト、ステップはレベル4に全ジャッジが加点。技術点最高の35.09、演技構成点も最高の31.69、合計66.78でSP1位。

 フリーは、第1グループ3番滑走でストルボワ・クリモフ組。冒頭のツイストはやはり減点気味。しかし3連続ジャンプはきちんと成功し全ジャッジも加点。。曲は「アダムスファミリー」だが表現しているとは到底言えない。リフト二つとフライングスピンはレベル4だが、ペアスピンはレベル2、ソロジャンプは女性が1回転。スロージャンプは二つとも成功。最後のポーズはピタッと止まらず少し残念そう。技術点4番目の56.96、演技構成点3番目の56.13、合計113.09でフリー3位と挽回したが、総合5位。
 第2グループ1番滑走でベルトン・ホタレック組。冒頭で3連続ジャンプを決めた。続けてソロジャンプは2回転サルコウ。ツイストはレベル2。SPでレベル1だったデススパイラルはレベル4。リフト二つとペアスピンはレベル4。技術点3番目の58.14、演技構成点4番目の54.05、合計112.19でフリー5位、総合3位。
 ペン・ジャン組は、冒頭のツイストは、高くて横向きだったが、レベルは1、全ジャッジが加点。3連続ジャンプはなんとか成功。スローループジャンプは転倒。ソロジャンプのダブルアクセルも回転不足で転倒。二つ目のスローサルコウはこらえる。リフト三つとデススパイラルはレベル4。スピンは二つともレベル3。技術点6番目の56.35、演技構成点も6番目の52.49、合計107.84でフリー6位、総合4位。

 デュハメル・ラドフォード組は、冒頭のツイストはきれいに成功、全ジャッジが加点。ソロジャンプのルッツは練習で危なかったが、決めた。スピン二つとリフト二つがレベル4。後半の3連続も成功、女性が嬉しそうに笑った。スロージャンプは一つ目のループで転倒、続けて二つ目のルッツは成功。技術点最高の66.01、演技構成点全て7点台で2番目の59.42、合計124.43でフリー1位、総合2位。
 川口・スミルノフ組は、またもや川口が固い顔。冒頭の連続ジャンプは、第1ジャンプで女性がよろめき、何とかステップをはさんで第2ジャンプをつけ、男性は第2ジャンプが方向違いでなんだかよくわからないが失敗。スローサルコウジャンプは成功、ほぼ全ジャッジが加点。苦手のツイストと、デススパイラルはレベル3。フライングスピン、コレオシークエンス、一つ目のリフトはレベル4に全ジャッジが加点。ダブルアクセルは回転不十分。終盤二つのリフトとペアスピンは全ジャッジが加点。演技構成点は三つの要素で8点台。技術点5番目の56.81、演技構成点最高の64.4、合計121.21でフリー2位ながら7総合優勝。川口はキスアンドクライでもほとんど笑顔なし。2位と1.28の僅差だし、フリー2位だし技術点5番目などいろいろ不満なのだろう。

 <アイスダンス>8組参加。1番滑走にカナダのギルス・ポワリエ組(20,21)。女性がアメリカ出身。以前はドナヒューと組んでいた。曲は「メアリー・ポピンズ」。冒頭のツイズルはレベル3だが全ジャッジが加点。組み替えたばかりの去年の方がぴったり合っていたように思うが。ポルカはレベル3と1。ステップもレベル3、回転リフトはレベル4。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。思ったより得点が出なかった、という顔だった。技術点6番目の25.5、演技構成点最低の26.49、合計51.99でSD6位。
 ハベル・ドナヒュー組(米。21,21)は、ツイズルと直線のリフトはレベル4でほぼ全ジャッジが加点。ポルカはレベル3と1。ステップはレベル3。演技構成点全て7点台前半。技術点4番目の27.85、演技構成点も4番目の28.69ね合計56.54でSD4位。
 第2グループ最初のリアザノワ・トカチェンコ組(露。21,26)は、「マイ・フェア・レイディ」の曲。冒頭のステップはレベル2だが、全ジャッジが加点。ツイズルはレベル4。ボルカは二つともレベル2。回転リフトはレベル4で全ジャッジが加点。演技構成点は全て7点台。技術点3番目の28.03、演技構成点も3番目の30.15号58.23でSD3位。

 カッペリーニ・ラノッテ組(伊。25,27)は、「さらわれた七人の花嫁」の曲。ツイズルはレベル4。ポルカはさすがレベル4と3。ステップはレベル3だが全ジャッジが加点。回転リフトはレベル4で全ジャッジが加点1〜3。演技構成点全て8点台前半。技術点2番目の33.07、演技構成点も2番目の33.11、合計66.18でSD2位。
 最終滑走は、地元のペシャラ・ブルザ組(28,31)。曲はオッフェンバッハの「パリの喜び」「天国と地獄」ほか。ツイズルとステップはレベル3だが全ジャッジが加点。直線のリフトはレベル4でほぼ全ジャッジが加点。ポルカは、レベル3と4でやはり全ジャッジが加点。演技構成点は全て8点台後半。技術点最高の33.5、演技構成点も最高の34.98、合計68.48でSD1位。男性は、非常に疲れたふうで、どこか体調が悪いのかもしれない。少し得点が伸びないという感じか。

 フリーは、3番滑走でギルス・ポワリエ組。女性は豹のような衣装、男性はトルコ風の衣装。冒頭のサーキュラーステップはレベル3だが全ジャッジが加点。リフトは全てレベル4。ツイズルはレベル2で減点評価。演技構成点は三つの要素で7点台。技術点3番目の42.29、演技構成点6番目の41.58、合計83.87でフリー6位。
 第2グループ最初のハベル・ドナヒュー組はすごくよかった。男女とも黒っぽい衣装。曲は「マラゲーニャ」他。フラメンコの踊りがものすごく様になっていた。コーチ、振り付けともにカメレンゴとスカリ。ツイズル、リフト三つ、スピンがレベル4。特にカーブのリフトとスピンは全ジャッジが加点。演技構成点は全て7点台前半。技術点2番目の44.61、演技構成点4番目の44.08、合計88.69は今季最高を大幅更新してフリー2位、総合4位。
 リアザノワ・トカチェンコ組は「ゴッドファーザー」の曲。冒頭のカーブのリフトはレベル4で全ジャッジが加点。回転リフトもレベル4で全ジャッジが加点1〜3。ステップ二つはレベル2、スピンとツイズルはレベル3だが、直線のリフトと回転リフトもレベル4で全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点5番目の41.38、演技構成点3番目の46.42、合計87.8でフリー3位。ハベル・ドナヒュー組の猛追をかわして逃げ切り、総合3位。

 カッペリーニ・ラノッテ組は、「カルメン」の曲。女性は赤い衣装。冒頭のツイズルで男性がまさかの転倒、無得点。しかし続くロングリフトはレベル4で全ジャッジが加点1〜3。スピンとあと二つのリフトもレベル4に全ジャッジが加点。特に直線のリフトは全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は全て8点台。しかし、ツイズルで失った得点は痛く、リフトの時間超過の減点もあり、技術点5番目の38.85、演技構成点2番目の50.23、合計87.08でフリー4位、かろうじて総合2位。
 最終滑走はペシャラ・ブルザ組。曲はローリングストーンズ・メドレー。男性は赤いズボン、女性は頭にヒモ(?)。冒頭の回転リフトはレベル4で全ジャッジが加点2〜3。ステップ二つとツイズルはレベル3。あと三つのリフトとスピンもレベル4に全ジャッジが加点。特に終盤のスピンとカーブのリフトは全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は三つの要素で9点台。技術点最高の47.84、演技構成点も最高の53.58、合計100.42でフリー1位、総合優勝。


フィギュアスケート (2013.1/11,13,14,15)

ロシア杯 ペア、アイスダンス (2012.11/9〜11 モスクワ) GP第4戦

 <ペア>7組参加。第2グループ最初にデニー・コーフリン組(米。19,26)。冒頭のツイストは全ジャッジが加点。フライングスピンとデススパイラルはレベル3、リフトとステップはレベル4。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。技術点3番目の31.83、演技構成点も3番目の27.19、合計59.02でSP2位。
 カナダのローレンス・スウィガース組(22,25)は、冒頭のソロジャンプで女性が転倒。ツイストはもたれてしまった。レベルB。デススパイラルもレベル1と取りこぼしが続く。演技構成点は全て6点台後半。技術点6番目の25.85、演技構成点4番目の27.01、合計51.86でSP4位。

 地元のバザロワ・ラリョノフ組(19,26)は、冒頭のソロジャンプで男性が高く跳びすぎて片手つき。スロージャンプはほぼ全ジャッジが加点。得意なはずのツイストはレベル2だが、全ジャッジが加点1〜3。リフト、ぴったり合ったスピン、ステップは全てレベル4で全ジャッジが加点。デススパイラルはレベル2。演技構成点のうち振り付けだけ8点ちょうど。技術点2番目の34.72、演技構成点も2番目の31.3、合計66.02でSP堂々の2位。
 最終滑走はボロソジャー・トランコフ組(露。26,29)。曲は「ゴッドファーザー」の「愛のテーマ」。それで男性はひげを生やしているのか。冒頭のツイストはレベル4に全ジャッジが加点1〜3。ソロジャンプは全ジャッジが加点2。デススパイラルはレベル3だが全ジャッジが加点。リフト、ステップ、スピンはレベル4に全ジャッジが加点1〜3。演技構成点は三つの要素で9点台。技術点最高の38.86、演技構成点も最高の35.88、合計74.74で、SPダントツで1位。

 フリーでは、ローレンス・スウィガース組は、スロージャンプで二回転倒。連続ジャンプも女性がステップアウト。ツイストはレベルB、デススパイラルはレベル1。後半最初のリフトはレベル4で全ジャッジが加点。スピン二つもレベル4。技術点4番目の51.26、演技構成点は全て6点台で53.04、合計102.3でフリー4位、総合4位。
 デニー・コーフリン組は少し固かった。それでも冒頭のツイストはレベル2だが全ジャッジが加点。ダブルアクセルのシークエンスは男性がよろめいたがこらえた。スピン二つとリフト三つはレベル4。特に後半最初のリフトと続くスロージャンプは全ジャッジが加点。曲は「オペラ座の怪人」。技術点2番目の61.28、演技構成点全て7点台の58.91、合計120.19は今季最高を更新、フリーも3位で総合3位。

 バザロワ・ラリョノフ組は、女性のジャンプが不調。曲は「スパルタカス」で衣装もギリシャ風。冒頭のソロジャンプはなんとかこらえたが、ダブルアクセルのシークエンスでは大きくステップアウト。ツイストはレベル3で全ジャッジが加点2〜3。しかし一つ目のスロージャンプで両足というかフリーレッグがタッチ。コレオシークエンスと後半最初のリフトは全ジャッジが加点。二つ目のリフトは珍しい失敗。一応あがったが、姿勢の変化をせずに落ちるように下りてきてしまった。スピンは二つともレベル3。技術点3番目の61.12、演技構成点は三つの用で8点台を出して63.94、合計125.06でフリー2位をキーブ、総合2位。
 ボロソジャー・トランコフ組は男性のジャンプが不調。冒頭のツイストは高くて全ジャッジが加点2〜3。しかし連続ジャンプで男性の第1ジャンプが着氷でよろめき、第2ジャンプは1回転が精一杯。コレオシークエンス、レベル4のデススパイラルとフライングスピンは全ジャッジが加点。続くスロージャンプで女性が転倒、次のソロジャンプで男性が転倒。だがその後はリフト三つともレベル4、特に後半すぐのリフトは全ジャッジが加点1〜3。最後のペアスピンもレベル4。技術点最高の62.74、演技構成点は三つの要素で9点台で72.05、合計132.79でフリー1位、総合優勝。

 <アイスダンス>8組参加。地元ロシア3組、カナダ2組、アメリカ、ドイツ、イギリスが1組ずつ。3番滑走のロシア若手、シニシナ・ジガンシン組(17,20)が健闘。冒頭の直線のリフトはレベル4。ステップはレベル3だったが全ジャッジが加点。ツイズルもレベル4。最後にパターンダンスをもってきたが、これがレベル4と3。ほとんどの組がレベル2と3の判定なのに。技術点2番目の31.93、演技構成点は全て7点台前半で4番目の28.92、合計60.85でSD3位。
 第2グループ二番滑走でイリニク・カツァラポフ組(露。18,21)。冒頭のツイズルは、速くてぴったり合っていた。レベル4に全ジャッジが加点1〜3。ステップはレベル3だが全ジャッジから加点。しかしポルカはレベル2と3。回転リフトはレベル4で全ジャッジが加点。演技構成点は全て8点台。キスアンドクライでは、コーチたちとともにすごく充実した表情で喜んでいたが、得点を見てもそれほど喜んではいなかった。技術点3番目の31.72、演技構成点2番目の33.98、合計65.7でSD2位。

 次のシブタニ兄妹(米。18,21)は、冒頭のステップと得意だったツイズルがレベル2。ポルカはレベル2と3。最後の回転リフトだけレベル4。演技構成点は全て7点台後半だが、まだプログラムが熟成していない感じ。技術点4番目の58.26、演技構成点3番目の30.97、合計58.26でSD4位。
 トリはヴァーチュー・モイヤー組(加。23,25)。最初がポルカ。速くてスムーズに見えたがレベル2と3。ツイズルと回転リフトはレベル4。ステップはレベル3だが全ジャッジが加点1〜3。演技構成点は全て9点台前半。技術点最高の33.15、演技構成点も最高の37.5、合計70.65でSD1位。実は、録画が変で、ステップの途中で終わってしまい、回転リフトは見られなかった。

 フリー第三滑走でSD6位のジガンシナ・ガージ組(独。25,28)は、女性はロシア出身。弟は同じこの大会のロシアの選手として出場。破れたような衣装、吸血鬼めいたメイクでコミカルな演技。ツイズルとリフト三つとスピンはレベル4。ステップは二つともレベル3。直線のリフトだけレベル2。演技構成点は三つの要素で7点台後半。技術点3番目の42.0、演技構成点5番目の44.01、合計85.01でフリー3位、総合5位と挽回。
 第2グループはシブタニ兄妹から。曲は「サユリ」。衣装は和服風。冒頭のスピンはレベル2だが全ジャッジが加点1〜3。一つ目のリフトに入る所で男性が演技を中断。棄権するのかと思うほど顔色が悪かったが、続行。リフト二つとツイズルはレベル4。ステップ二つと最後の回転リフトははレベル2。演技は全て7点台。技術点6番目の37.79、演技3番目の44.86、合計82.65でフリー5位、総合4位。終わった後、あいさつすらつらそうだった。足を傷めたのか、体調不良だったのか不明。

 シニシナ・ジガンシン組は、パターンダンスのレベルが4と3でSD3位になったが、若いのに技術がしっかりしている。リフト三つとツイズル、スピンでレベル4。冒頭の回転リフトは全ジャッジが加点2。ステップ二つはレベル2と3。終盤の回転リフトはレベル1、途中で女性が氷上にすわりこんだようになった。終わりのポーズも男性が女性を支えきれず両手つき。どちらかが転倒扱いで減点1。演技は全て7点台前半。技術点4番目の41.1、演技も4番目の44.13、合計84.23でフリー4位、総合3位。
 イリニク・カツァラポフ組は、スピードのあるツイズルから始め、レベル4。スピンと後半のリフト三つがレベル4。カーブのリフトはレベル2、ステップ二つはレベル3。演技構成点は全て8点台前半。技術点2番目の44.45、演技構成点も2番目の49.31、合計92.76でフリーも2位、総合2位。

※二人が挨拶しているところで録画が終わり。またもや、ヴァーチュー・モイヤー組のフリーを見られなかった。信じられない。 


フィギュアスケート (2013.1/6,7,9)

中国杯 ペア、アイスダンス (2012.11/2〜4 上海) GP第3戦

 <ペア>6組出場。中国3組、ロシア2組、カナダ1組。中国2組目を見て驚いた。ここ2年表舞台に出てこなくて案じていたジャン・ジャン組が組み替えていた。2011/2012シーズンの国内王者になった後、女性のダン・ジャンは引退。男性のハオ・ジャン(28)は若い15歳のチェン・ペンと2012年から組んだ。1年目と思えないほど、ジャンプ(女性がステップアウトしたが)やスピンののタイミングなど、息が合っていて楽しみ。ツイストはレベル3で全ジャッジが加点。スローサルコウジャンプも全ジャッジが加点。デススパイラル、フライングスピン、リフトはレベル4。ステップだけレベル2。技術点3番目の31.66、演技構成点5番目の26.23、合計57.89でSP4位。
 カナダのムアタワーズ・モスコビッチ組(20,28)は、ツイストとデススパイラルがレベル2、ステップはレベル1ととりこぼし。スロージャンプも減点気味の評価。リフトとスピンはレベル4。技術点4番目の30.52、演技構成点も4番目の28.6、合計59.12でSP3位。
 後半最初のストルボワ・クリモフ組(20,22)は、ツイストとステップがレベル1。デススパイラルもレベル2。リフトとスピンはレベル4をとったが、スロージャンプも減点気味。映画「インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア」の曲で、最後女性が逆さづりで終わった。技術点5番目の27.85、演技構成点3番目の28.81、合計56.66でSP5位。

 川口・スミルノフ組(露。30,28)は、冒頭の苦手ツイストをなんとかクリア。ソロジャンプもまあ成功。スロージャンプは全ジャッジが加点。デススパイラルのレベルがBというのは何だろう。今年から見る表記。スピン、リフトはレベル4だが、ステップはレベル2。曲は「青木美しきドナウ」。川口は髪をお団子の髷にしていた。演技構成点は三つの要素で8点台。技術点2番目の31.93、演技構成点も2番目の31.77、合計63.7でSP2位。いろいろ出来に不服点があるらしく、川口はキスアンドクライで無理して笑っている感じ。
 トリはパン・トン組(中。32,33)。曲はスペイン舞踊のパソドブレ。昨季課題だった冒頭のソロジャンプは成功。ツイストはレベル2だったが、全ジャッジから加点。デススパイラルだけレベル3だが、リフト、ステップ、スピンはレベル4で後半の4要素は全ジャッジが加点。演技構成点もつなぎ以外8点台前半。技術点最高の68.57、演技構成点も最高の33.09、合計68.57でSP貫禄の1位。

 フリーでは、2番滑走でストルボワ・クリモフ組。冒頭の7ツイストは抱え気味でレベルも1。トウループからの3連続は成功。しかしデススパイラルはなんとレベル1。フライングスピンはぴったり合っていて、レベル4に全ジャッジが加点。一つ目のスロージャンプは転倒。後半のリフト二つはレベル4。最後の二つ目のスロージャンプは成功。「アダムスファミリー」の曲で、コミカルな振り付けもあったが、何となく表面的。技術点最高の58.14、演技構成点3番目の58.75、合計115.89でフリー3位。
 ペン・ジャン組は、冒頭のツイストは高くて全ジャッジが加点1〜3したが、連続ジャンプで女性が転倒。本当は3連続だったが。スロージャンプでも片手つき。ソロジャンプは女性が1回転。しかし二つ目のスローサルコウジャンプは、きれいに成功し、全ジャッジが加点。リフト三つとデススパイラル、スピンはレベル4。技術点3番目の55.71、演技構成点5番目の52.27、合計105.98でフリー5位、総合5位。スタンドに、引退した元のパートナー、ダン・ジャンがいた。
 ムアタワーズ・モスコビッチ組は連続ジャンプで女性がステップアウト。第27ジャンプがつかず。続くソロジャンプのサルコウは成功、ほぼ全ジャッジが加点。ここもデススパイラルがレベル1。基準が厳しく改訂されたのだろう。後半に二つ続くスロージャンプは、一つ目は全ジャッジが加点、二つ目は両足。リフトは一つだけレベル4。技術点4番目の55.24、演技構成点も4番目の58.0、合計113.24でフリー4位、総合4位。細かいミスの積み重ねで表彰台を逃す。

 川口・スミルノフ組は、冒頭の連続ジャンプで川口が第1ジャンプが2回転。スロージャンプはなんとか立った。ツイストは抱え気味で減点評価。デススパイラルはレベル2だが全ジャッジが加点1。フライングスピン、後半最初のリフト、二つ目のスローループジャンプ、二つ目と三つ目のリフトはほぼ全ジャッジが加点。演技構成点は全て7点台後半。キスアンドクライで川口は相変わらず、無理に笑っている感じ。技術点2番目の57.09、演技構成点も2番目の62.74、合計119.83でフリーも2位、総合2位。
 パン・トン組は、冒頭の連続ジャンプが第1、第2ジャンプともどちらかが回転が足りず、1回転アクセルに。得意のツイストはなんとレベル1だが、全ジャッジが加点。ソロジャンプは初めから2回転。デススパイラルもなぜかレベル1。ペアスピンが「余分な要素」で無得点なのは痛かった。しかし、後半のリフト三つ、一つ目ののスロージャンプ、コレオシークエンスは全ジャッジが加点。特にスローサルコウジャンプは、全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は全て8点台。技術点5番目の53.74ながら、演技構成点最高の66.51、合計120.25でフリーも1位、総合優勝。これでスケートアメリカ2位と合わせ、ファイナル進出決定。

 <アイスダンス>8組出場。1番滑走で中国のユウ・ワン組(26,26)。曲は「おおスザンナ」など。振り付けはカメレンゴ。ツイズルはレベル3だったが、パターンダンスのポルカでレベル2と1。直線のリフトはレベル4でほぼ全ジャッジが加点したが、ステップがレベル1。技術点最低の20.58、演技構成点も全て5点台で22.39、合計42.97でSD8位。得点を見て驚いた顔をしていたが、NHK杯も同じで、特にステップが今季の基準を満たしていないようだ。
 チョーク・ベイツ組(米。20,23)は、サーキュラーステップから始めレベル3、ツイズルはレベル4で全ジャッジが加点。ポルカはレベル4と2。回転リフトもレベル4に全ジャッジが加点。技術点4番目の30.9、演技構成点も4番目の28.36、合計59.26でSD4位。フリーは後半組に。
 第2グループ1番滑走は、中国王者ファン・ジェン組(25,25)。曲は「ドナウ川のさざなみ」など。振り付けはカメレンゴ、クリロワ他。ツイズルはレベル3、ポルカはレベル3と1。サーキュラーステップはレベル2、回転リフトはレベル3。技術点7番目の21.99、演技構成点も7番目の24.77。

 ボブロワ・ソロビエフ組(露。22,23)は、滑る基本のスピードもそれまでの組とは違って速い。ポルカも速かったが、レベル3と2。レベル4のツイズルと直線のリフトは全ジャッジが加点。ステップはレベル3だが、やはり全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外8点台。技術点3番目の31.5、演技構成点2番目の32.82、合計64.32でSD3位。
 ウィーバー・ポジェ組(加。23,25)の曲は「サウンドオブミュージック」メドレー。振り付けはカメレンゴ、クリロワ他。パターンダンスから入り、レベル4と3。第2パートはレベル3だが全ジャッジが加点。ツイズルと回転リフトがレベル4、ステップはレベル3。最後の回転リフトは全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外8点台。技術点2番目の32.83、演技構成点3番目の32.76、合計65.59でSD2位。
 最終滑走はペシャラ・ブルザ組(仏。28,29)。フレンチ・カンカンの衣装。曲はオッフェンバッハと「パリの空の下で」。冒頭のツイズルはレベル4に全ジャッジが加点。ステップはレベル3だが全ジャッジが加点1〜3。直線のリフトもレベル4に全ジャッジが加点。ポルカはレベル4と3でこれまた全ジャッジが加点。演技構成点は全て貫禄の8点台後半。技術点最高の34.0、演技構成点も最高の35.15、合計69.15でSD1位。

 フリーでも、中国のふた組のステップは評価が低かった。ユウ・ワン組は、サーキュラーステップレベル2、対角線のステップレベル1。リフト二つもレベル2でまだフリーの滑り込みが不足しているようだった。合計63.45でフリーも8位、総合8位。
 ファン・ジェン組のサーキュラーステップもレベル2、対角線のステップはレベル1。しかしリフト全てとツイズルはレベル4。演技構成点も全て6点台前半。合計74.25で下位との点差は開いたが、順位は変わらずフリー7位、総合7位。
 SD6位のロシアの若手シニシナ・ジガンシン組(17,20)は、やはり基本の滑りのスピードが速い。リフトとスピンがレベル4。ツイズルと直線のステップはレベル3。サーキュラーステップはレベル2。演技構成点は振り付けと音楽表現が7点台。技術点6番目の41.45、演技構成点5番目の40.92、合計41.45でフリー5位、しかし総合6位。

 逆にSD5位のイタリアのグイナール・ファブリ組(23,24)は、ビバルディの「四季」の曲を上手く表現し、ロシアよりよかったように素人目に見えたが、リフト三つとツイズルとスピンはレベル4、サーキュラーステップはレベル3、対角線のステップとリフト一つがレベル2とレベルはほぼ同じ(基礎点はロシア37.7、イタリア37.2)。しかし演技構成点が全て6点台。技術点5番目の42.42、演技構成点6番目の40.59、合計82.01でフリー6位ながらSDの貯金で総合5位。6位との差は0.12の僅差。
 チョーク・ベイツ組はいい出来だった。冒頭のカーブのリフトは全ジャッジが加点2。サーキュラーステップだけレベル2だったが、ツイズル、リフト、スピンはレベル4。特にS字のリフトは全ジャッジが加点1〜3。最後のコレオシークエンスもほぼ全ジャッジが加点1〜3。演技構成点も全て7点台。技術点2番目の45.92、演技構成点4番目の44.36、合計90.23でフリー4位。

 ボブロワ・ソロビエフ組は、ステップ二つこそレベル2だったが、後の要素は全てレベル4。特にカーブのリフトは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点も全て8点台。技術点3番目の44.5、演技構成点2番目の50.64、合計95.14でフリー2位、逆転で総合2位。
 ウィーバー・ポジェ組は、思ったより得点が伸びず。冒頭のスピンは全ジャッジが加点したが、レベル2。サーキュラーステップはレベル3、対角線のステップはレベル2。回転リフトはレベル4に全ジャッジが加点1〜3。最後のコレオシークエンスもほぼ全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。技術点4番目の44.25、演技構成点3番目の49.13、合計93.38、フリー3位で総合3位。2位との差は0.49。
 ペシャラ・ブルザ組は、全ての要素がレベル4と3。いつもスロースターターなのに、すごい。曲はローリングストーン・メドレー。冒頭の回転リフトはレベル4で全ジャッジが加点2。直線のリフトもレベル4で全ジャッジが加点2〜3。終盤のカーブのリフトもレベル4で全ジャッジが加点1〜3。演技構成点は音楽表現だけ9点台あとは8点台後半。技術点最高の48.83、演技構成点も最高の52.75、合計100.58の大台に乗せ、フリー1位、総合優勝。2位とは10点以上の差があいた。



ページトップへ

フィギュアスケート (2012.12/31)

全日本フィギュアスケートジュニア選手権 (2012.11/16〜18 西東京市)

 フジテレビの放送は、シングルフリーのみ。一応、全日本(シニア)に出場権を得た上位6人ずつを放映。
 <女子シングル>宮原(14)が連覇。冒頭のルッツからの連続3回転が決まり、他の要素も全日本で見たより、のびのびと軽やかに決まっていた。後半、ルッツでミスがあったが、その後に3連続ジャンプも成功させ、演技構成点も全て6点台。特に音楽表現は6.65で「ロミオとジュリエット」の曲を演じきった評価を得た。技術点2番目の60.73、演技構成点最高の50.64、合計11.37でフリー1位、総合優勝。
 2位は、SP5位からフリー合計107.57でフリー2位の加藤、3位は、全日本で総合5位に入った本郷(16)(SP3位、フリー合計103.87で3位)。本郷は、もう少し姿勢をよくしたら、もっといいと思うのだが。

 <男子シングル>日野龍樹(17)が連覇。冒頭でトリプルアクセルからの連続3回転をなんとか成功。続くフリップ(eマーク)、ルッツからの連続ジャンプ、サルコウと立て続けに決める。後半の二つめのトリプルアクセルでステップアウトしたが、終盤にダブルアクセルからの3連続も決め、演技構成点も全て6点台。技術点最高の75.4、演技構成点も最高の63.1、合計138.5で、フリーもSPに続き1位、総合優勝。まだまだ荒削りで、表現力など未熟もいいところ。顔の表情がついたら、もっとずっとよくなると思うのだが。羽生の同期生。
 2位は、中学3年になった宇野(14)(合計124.37)、3位は、SP8位と出遅れた田中刑事(17)。宇野は、まだトリプルアクセルがないプログラム。冒頭のダブルアクセルは全ジャッジが加点。ループからの連続ジャンプはよかったが、ルッツがeマーク、フリップはステップアウト。しかし後半にフリップからの3連続やダブルアクセルから3回転トウループの連続ジャンプも成功、スピンは三つともレベル4、演技構成点も全て6点台。技術点3番目の61.77、演技構成点も3番目の62.6、合計124.77でフリー2位。内容は、日野よりも見せ方がうまく、たいしたものだが、身長が143pと伸びないのが心配。
 田中刑事は、逆転優勝をねらって固くなった。昨季と同じ映画「アンタッチャプル」の曲だが、いきなりトリプルアクセルでステップアウト。続くトリプルアクセルからの連続ジャンプは成功。次のフリップは全ジャッジが加点。しかし、後半二つ目のフリップで転倒。連続ジャンプの第2ジャンプも付けられず。ルッツはeマーク、足替えスピンはレベル2。サルコウからの3連続は決めたが、最後のトウループが2回転となり、自滅気味。演技構成点は全て6点台。技術点2番目の62.35、演技構成点も2番目の62.9、しかし転倒の減点1が大きく合計124.25、0.12の僅差でフリー3位、総合3位。


フィギュアスケート (2012.12/21,22,23,31,2013.1/3,)

全日本フィギュアスケート選手権 (2012.12/20〜24 札幌)

 <男子シングル>28人参加。村上大介は肩の怪我で辞退。層の薄かった男子で、世界選手権3枠が少なすぎると思うほどの時代が来るとは。高橋、羽生、小塚に割って入るのは誰か。織田、町田、無良のうちでは、織田の奮起に期待したい。
 第3グループまでのSP1位は、ジュニアの日野(68.28)。2位が宇野(67.56)、3位が田中刑事(62.54)。第1グループ3番滑走で田中(17)。冒頭のトリプルアクセルで片手つき。ルッツがeマーク。後半にフリップからの連続ジャンプ成功。技術点10番目の31.64、演技構成点も10番目の30.9、合計62.54でSP11位。
 第2グループの4番滑走に日野(17)。ジュニアGPファイナル3位もとっての全日本。曲は、チェコのヴェルネルに憧れて和太鼓の「鼓童」。振り付けは宮本賢二。冒頭のトリプルアクセルはなんか変だったが着氷。ルッツからの連続3回転も曲がっていたが、なんとか成功。後半ステップからのフリップは明らかに少し軸が曲がっていたが着氷。ステップはもう少し派手に見栄をきり、メリハリをつけた方がいいと思うが、本人は終わったときガッツポーズ。技術点8番目の37.53、演技構成点11番目の30.75、合計68.28でSP9位。宇野(14)はCSフジでもSP放映せず。
 フジ地上波のテレビ放送は、第4グループから。1番滑走は無良(中京大。21)。冒頭で4回転3回転を決める。トリプルアクセルも成功。ジャンプは力強いが、「マラゲーニャ」の曲なのだからもう少しスパニッシュなポーズをきちんと見せてほしかった。合計84.48で、この時点で1位、SP4位。
 中村(立大。21)は、東日本選手権2位で出場。2年前の全日本ジュニア王者。SPの振り付けはD. ウィルソン。冒頭でフリップからの連続3回転と、トリプルアクセルを決める。ステップからのルッツも成功し、持ち前の表現力も生きる。スピンのスピードはもう少しほしい。柔らかい滑りを見せ、合計76.54でSP6位。
 佐々木(明大)は冒頭で、トリプルアクセルを決めた。ちゃんと跳んだのを見たのは初めてのような気がする。前半でジャンプ要素を全て済ませ、ステップでは実に楽しそうに踊って滑る。ただスピンが遅い。合計74.92でSP7位。

 織田(関西大。25)は、冒頭の4回転で転倒。トリプルアクセルは加点の出来。ステップからのルッツも決め、スピンもステップもよい出来だった。4回転が惜しまれる。きのうから緊張していた、というコメント。衣装を変えたが、今度の方がよい。合計80.75でSP5位と出遅れた。
 小塚(23)も冒頭の4回転でステップアウト。片手つき。トリプルアクセルは加点の出来。映画「栄光への脱出」の曲。後半にルッツからの連続3回転を成功。相変わらず、エッジの深いステップだが、観客より玄人受けしそう。合計84.58で、無良を0.1上回り、ここで1位が変わる。SP3位。
 最終グループは、2番滑走の堀之内が、名前をコールされてからジャンプの確認をしたとき、右足のブレードの真ん中が折れ、棄権。気の毒に泣いていた。

 急に出番となった町田(関西大。22)は、やはり少し影響があったのか、冒頭のトリプルアクセルはステップアウトで片手つき。フリップからの連続3回転は決めたが、ステップからのルッツがオーバーターンかステップアウトのような着氷。この二つのジャンプミスが響き、合計64.48でSP8位。
 高橋(関西大。26)は、登場から貫禄がある。冒頭の4回転をこらえて下りると、本当はここで連続ジャンプだったらしいが、余裕でルッツからの連続3回転を決める。後半にトリプルアクセルもきれいに成功。ステップはスピードもあり、まるでエキジビションのように観客を魅了した。終わった後の歓声、花束の数は尋常ではない。合計88.04を出し、この時点で1位、SP2位。
 最終滑走は羽生(東北高。18)。冒頭の4回転は軽々と着氷。後半にトリプルアクセルとルッツからの連続3回転を決め、またも高得点の予感。ステップの途中でのしゃがんだポーズを決め、最後のスピンもきちんとレベルをキープ。合計97.68を叩きだし、ダントツでSP1位。キスアンドクライでは、オーサーコーチも満面の笑み。

 フリーには、24人進出。第3グループ1番滑走でSP10位の宇野。冒頭のダブルアクセルは美しく成功、全ジャッジが加点。まだトリプルアクセルは練習で決まらないらしい。ループからの連続ジャンプは決まったが、ルッツはeマーク、フリップで転倒。ステップでは途中エッジがひっかかり危うく転びそうだったが、こらえる。後半にフリップからの3連続、ダブルアクセルから3回転トウループを決め、意地を見せる。コレオシークエンスはイーグルを含め、表情たっぷりに滑り、全ジャッジから加点。最後の足替えスピンはレベル4で全ジャッジが加点1〜3。演技構成点も三つの要素で7点台。技術点8番目の62.57、演技構成点10番目の69.9、合計131.47でフリー11位、総合11位。
 第3グループ3番目にSP8位の町田。ジャンプの不調はそのままだった。冒頭のトリプルアクセルはオーバーターン。予定では次に4回転だったが、やめてフリップに。ルッツからの連続3回転は成功。しかし後半、二つ目のトリプルアクセルで転倒、第2ジャンプ入らず。ループもオーバーターン、最後のダブルアクセルもよろけてしまった。ステップもがんばっていたが、得点は逆転できるほど伸びず、技術点60.39、演技構成点78.3、合計137.69、この時点でそれまで1位だったジュニア王者、宇野を抜いて1位にはなったが、フリー8位、総合9位に沈んだ。キスアンドクライには、SP振り付けのランビエールもいたのだが。

 第3グループ5番滑走でSP9位の日野。冒頭でトリプルアクセルから3回転トウループを成功。しかし次のフリップがeマーク、ルッツでは転倒。後半のトリプルアクセルで手をついたが、こらえ、ルッからの連続ジャンプ、ダブルアクセルからの3連続と成功。最後の足替えスピンはレベル4で全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は全て6点台後半。技術点7番目の67.42、演技構成点11番目の67.6、合計134.02でフリー9位、総合10位。キスアンドクライで、得点が直前の田中刑事を上回れず、「だめかと思った。」と言っていたが、宇野を上回ったので、世界ジュニアの2枠には滑り込んだ。
 SP7位の佐々木は、冒頭のトリプルアクセルをなんとか着氷。二つ目のトリプルアクセルは片手つき、しかし第2ジャンプを1回転つけた。得意のステップは全ジャッジが加点1〜3。後半にルッツからの3連続を決めたが、片手をあげたフリップで転倒。しかし、片手をあげたルッツは成功。最後の楽しそうに滑ったコレオシークエンスも全ジャッジが加点。技術点62.4、演技構成点72.2、合計133.6でフリー10位、総合8位。

 最終グループの1番滑走は高橋。冒頭の4回転をきれいに決めると大歓声。二つ目の4回転はなんとかこらえ、2回転も付けた。トリプルアクセルも決め、後半には二つ目のトリプルアクセルからの3連続やルッツからの連続3回転も成功。ステップはレベル3だったが、全ジャッジが加点3。コレオシークエンスもほぼ全ジャッジが加点3。基礎点80.38に全体で17点近い加点は驚異的。演技構成点はつなぎ以外9点台後半。最後のスピンを回ったとき、衣装の羽が落ちて減点1。技術点97.36、演技構成点96.0、合計192.36の高得点でフリー1位。これを抜く得点はあり得ないという感じで、逆転優勝なるかと思ったが、総合2位。世界選手権へ。本人は、「怪我以降、初めて2本4回転を下りられたことが大きい」と言っていた。
 高橋の直後にSP6位の中村。やりにくそうかと思ったが、集中していた。振り付けは宮本賢二。冒頭のトウループをきれいに決めたが、トリプルアクセルは転倒。しかし次のフリップ(eマーク)、ルッツは成功。ステップは全ジャッジが加点1〜3。後半にはトリプルアクセルからの連続ジャンプ、サルコウからの3連続、ルッツからの連続ジャンプも決めた。終盤のコレオシークエンスも全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。滑り終わったとき、やっとできた、という表情。技術点74.6、演技構成点76.5、合計150.1は、自己ベスト更新で、フリー5位、総合6位。得点を見た本人と樋口コーチは泣いていた。まだ伸びてほしい選手。

 SP5位の織田は、冒頭の4回転を美しく成功。ところがトリプルアクセルで手をついた。二つ目のトリプルアクセルは転倒、第2ジャンプ付けられず。これで逆転の望みはなくなった。いつもうまくこらえて着氷するのだが。レベル3のステップとレベル4のフライングスピンは全ジャッジが加点1〜3。後半、ルッツからの連続3回転、フリップからの連続ジャンプ、と決めたが、両手を上げたループでステップアウト。コレオシークエンスは全ジャッジが加点。最後の足替えスピンはレベル1だが、全ジャッジが加点1〜3。演技構成点は全て8点台。技術点77.31、演技構成点83.5、合計159.81でフリー3位まで追い上げたが、総合4位。トリプルアクセル二つを決めていれば、3位になれたので、残念。せめて四大陸選手権に派遣すればいいのに。
 無良は、好調だった4回転で片手つき。ルッツからの連続3回転は成功。トリプルアクセルは全ジャッジが加点。後半、二つ目のトリプルアクセルは1回転にパンク。レベル3のステップは全ジャッジが加点。後半に跳んだサルコウも全ジャッジが加点。なぜかフライングスピンはレベル1。演技構成点全て8点台前半。技術点74.72、演技構成点83.5、合計158.22でフリー4位、総合3位。初めて世界選手権へ。

 小塚は冒頭の4回転で転倒。二つ目に挑んだが、3回転に。トリプルアクセルは片手つき。足替えスピンはレベル4で全ジャッジが加点。レベル3のステップも全ジャッジが加点2〜3。後半、二つ目のトリプルアクセルの着氷が乱れ、第2ジャンプ付かず。ルッツからの連続3回転は回転不十分で転倒。サルコウは1回転。小塚らしくない演技に、フジテレビ解説の荒川は「全体にキレがなく、どこか悪いのでは。」本田も「公式練習で殆どジャンプを跳ばなかった」と言う。実は、一週間前に右足甲を傷めていたらしい。技術点61.58、演技構成点84.4、合計143.98でフリーなんと7位、総合5位。
 また最終滑走の羽生は、冒頭の4回転トウループはステップアウト。二つ目の4回転サルコウはしゃがんでこらえた。フリップ(eマーク)は成功。フライングスピンはレベル4に全ジャッジが加点2〜3。レベル3のステップは全ジャッジが加点1〜3。後半のトリプルアクセルからの連続3回転、二つ目のトリプルアクセルからの連続ジャンプも全ジャッジが加点1〜3。ルッツからの3連続も決め、スタミナが心配されたが、最後の二つのスピンもレベル3と4に全ジャッジが加点。基礎点87.21もすごいが、全体で加点10.74。演技構成点は三つの要素が9点台。技術点脅威の97.85、演技構成点89.7、合計187.55でフリー2位ながら逃げ切りに成功、初優勝。もちろん世界選手権へ。今回、世界選手権と四大陸選手権は同じ3人。もったいない。

 <女子シングル>30人参加。世界選手権3枠は、浅田真央、鈴木明子、村上佳菜子で固いだろう。GPシリーズで伸び悩んだ村上がどこまで食い込めるかが注目。続く選手が今井くらいで、西田や庄司などが成長しないと急に層が薄くなった感じ。
 第1滑走で全日本ジュニアを連覇した宮原(14)。冒頭でルッツからの連続3回転を成功。ステップからのフリップ、最後のダブルアクセルも決め、技術点35点台をマーク。合計60.19でこの時点で1位、SP3位。
 第2グループ第1滑走の本郷理華(16)は初めて見た。全日本ジュニア3位らしい。「サムソンとデリラ」の曲で、慎重にトウループの連続3回転を決めると、次第に流れにのり、ステップからのフリップ、ダブルアクセルも成功。ステップもなかなかいい出来で、合計56.61でSP6位、フリーは最終グループに。
 第4グループ第1滑走は西野(明大。19)。東日本選手権2位で出場。SPの振り付けはD. ウィルソン。冒頭でルッツからの連続3回転をなんとか成功。ステップからのサルコウはきれいに跳べた。ダブルアクセルも余裕で着氷、ジャンプが安定。技術点33点台、合計58.53でこの時点で2位、SP4位。

 第4グループ4番目に浅田真央(中京大。22)。冒頭のダブルアクセルはきれいに決めた。フリップからの連続ジャンプも成功したが、なんとステップからのループが1回転になり、要素を失う。ステップ、スピンはレベルを確実にとったが、得点は伸ばせず、合計62.81でこの時点でかろうじて1位、SP2位。
 第4グループ最終滑走に今井(大東文化大。19)。東日本選手権優勝で参加。冒頭のジャンプはいきなりではなく、少しステップなど構成を変えたようで、ダブルアクセルを決めた。しかし、次の連続3回転の予定が最初のトウループで転倒。やはり緊張か。ステップからのループに2回転を付けたが、得点は出ず、技術点21点台、合計47.3でSP18位。
 最終グループ2番目に村上(中京大中京高。18)。冒頭のダブルアクセルはきれいに成功。後半に持ってきた連続3回転は、第1ジャンプが2回転になり、バランスを崩し第2ジャンプ入らず。ステップからのフリップはきれいに決めたが、こちらにも第2ジャンプを付けなかったので、要素をひとつ失う。練習ではいつもトウループの連続3回転は決めていたらしいが。合計57.26でSP5位。

 庄司(駒場学園高。16)は、東日本選手権4位で出場。冒頭のサルコウからの連続3回転のところが、第1ジャンプでバランスを崩し、第2ジャンプが1回転に。要素を失う。第2ジャンプを付けずに、ステップからのループに付ける練習はしていなかったようだ。柔らかい動きのステップはよかった。合計50.45でSP5位。
 高山睦美(明大。21)は東日本選手権5位で出場。これが最後の全日本。冒頭のルッツからの連続ジャンプは、太めの見かけによらない高いジャンプで豪快に成功。ステップのスピードはないが、曲想はよく表現されている。ステップからのフリップも決め、、ダブルアクセルはなんとか着氷。ほぼノーミスのクリーンプログラムで、立ち上がった人も多かった。合計52.75でSP10位。
 29番滑走で鈴木明子(27)。冒頭の連続ジャンプはトウループの連続3回転の予定だったが、第2ジャンプを2回転に。ステップからのフリップ、ダブルアクセルは問題なく成功。この時点でSP1位はほぼ決定。スピン、ステップは貫禄で高レベルをキープ、技術点、演技構成点ともただ一人30点台、合計65.09でSP1位。

 フリーには、24人進出。SP18位の今井は、第2グループ3番滑走。冒頭のフリップはなんとかこらえたが、ダブルアクセルから3回転トウループで転倒。続くサルコウも転倒。しかし、レベル4の足替えスピン、レベル3のステップで少し立ち直り、後半のループからの3連続ジャンプは成功。これで大丈夫かと思ったが、単独のループもよろけ、サルコウからの連続ジャンプは両方とも1回転。終盤、レベル4のフライングスピンとコレオシークエンスでは全ジャッジから加点。きれいなレイバックスピンでしめくくった。演技構成点全て6点台前半。直前の6分間練習ではできていたことが本番でできないらしい。技術点42.46、演技構成点50.16、合計90.62でフリー13位、総合14位。
 このグループ最終滑走に庄司。冒頭でダブルアクセルからの3連続はなんとか成功。次のフリップで転倒。サルコウからの連続ジャンプは決める。後半にトウループからの連続ジャンプも決めるが、続くループはオーバーターンで手も付いた。スピンは三つともレベル4、最後のレイバックスピンは全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外6点台前半。技術点44.7、演技構成点49.04、合計92.74でフリー12位、総合12位。今年からシニアで、苦しんでいる感じ。この時点で1位は、ジュニアの大庭雅(17)(総合11位)。
 第3グループは4人がジュニア。うち3人が次々と1位となり、かろうじて村元小月(関西大。22)がラストシーズンの意地を見せ、この時点で3位、総合9位。石川翔子(SP26位でフリー進めず)、高山睦美(総合21位)など、浅田真央と同い年の大学4年生はこれでみな引退。

 最終グループは、いきなり村上から。しかし、他の選手の演技を見ないので、かえってよかったようだ。冒頭のルッツ(eマーク)を決め、つづけてループからの連続ジャンプ、フリップと成功させ、流れにのった。レベル3のステップは全ジャッジが加点。レイバックスピンはSPと同じく全ジャッジが加点1〜3。後半、フリップからダブルアクセルのシークエンスでアクセルが1回転になったが、ミスはこれくらい。タンゴのリズムにのったコレオシークエンスは全ジャッジが加点2〜3をつける迫力の出来。レベル4の足換えをスピンでしめくくると満面の笑み。山田コーチにも珍しくほめてもらえたそうだ。基礎点56.53に全体で加点8点以上。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点64.57、演技構成点61.84、合計126.41でフリー2位、総合2位と挽回。
 鈴木明子は、初優勝を意識してか固かった。冒頭の3連続の第1ジャンプが1回転に。ダブルアクセルから3回転トウループはなんとか決める。ルッツはeマークで回転不十分。さすがにスピン三つとステップはレベル4で全ジャッジが加点。しかし後半のフリップでくずれ両手つきで転倒扱い。ループからの連続ジャンプはなんとか成功。スピードにのったコレオシークエンスは、NHK杯の方がスピードがあったと思うが、全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は滑走技術と振り付けで8点台。技術点53.14、演技構成点62.8、合計114.94でフリー5位、総合4位。それでも3位の宮原が14歳のため、世界選手権代表に。
 続けて浅田真央。冒頭はSPで失敗したループ。今度はきれいに決めた。ダブルアクセルから3回転トウループはきれいに成功。次のフリップは両足。ルッツはeマーク。フライングスピンはレベル4で全ジャッジが加点2。苦手のサルコウも決め、ループの3連続も後半に決まったが、二つ目のフリップはバランスが崩れ2回転に。タラソワが振り付けた「白鳥の湖」のプログラムは後半が黒鳥。ステップとコレオシークエンスで黒鳥の踊りを表現。特にステップはレベル4でほぼ全ジャッジが加点3。演技構成点もつなぎ以外8点台後半。技術点62.51、演技構成点68.24、合計130.75でフリー1位、逆転で総合優勝。本人はジャンプミスがあり、満足していない表情。

 SP3位の宮原。冒頭で難易度の高いルッツからの連続3回転をSPに続けて成功。続くフリップ、足替えスピンとも全ジャッジが加点。ループが回転不足で転倒。ジャンプは全体に低く、回転は速いが、もっと体重が増えたら、跳び方を変えないといけないかも。レイバックスピンはレベル4で全ジャッジが加点2。ステップはレベル3だが全ジャッジが加点。後半にダブルアクセルから3回転トウループ、ルッツからの3連続を成功。ルッツ、フリップともにeマークが付かないのは、得点源になる。最後のフライングスピンもレベル4でほぼ全ジャッジが加点。演技構成点はパフォーマンスと振り付けが7点台。技術点64.6、演技構成点55.76、合計120.36でフリー3位、総合3位。初の全日本表彰台。
 SP4位の西野。冒頭でルッツ、フリップと難易度の高いジャンプをステップアウト。続くサルコウは成功し全ジャッジが加点。トウループからの3連続も決めたが、第1ジャンプが回転不十分。後半にサルコウからの連続ジャンプ、ダブルアクセルからの連続ジャンプを決めたが、冒頭で失ったポイントを補えず。スピン二つがレベル4、フライングスピンは全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。技術点50.66、演技構成点53.44、合計104.1でフリー9位、総合7位。もっと難しいジャンプを決めないと、ジュニア勢にも勝てないし、世界でも戦えない。
 最終滑走は、全日本初出場の本郷。最終グループで緊張しているかと思ったが、のぴのびと演技。曲は「白鳥の湖」。衣装が黒いので、主に黒鳥か。冒頭のルッツはeマークだったが、続けてフリップからの3連続を決める。レベル4のフライングスピンの後、ダブルアクセルから3回転トウループを成功、全ジャッジが加点1〜3。二つ目のフライングスピンもレベル4。後半には、サルコウからダブルアクセルのシークエンスも成功。これも全ジャッジが加点。ステップこそレベル2だったが、堂々とノーミスで滑りきり、最終グループにふさわしい内容でしめくくった。昨季は東日本ジュニア41位とかで全日本ジュニアにも出場できなかった。技術点64.54、演技構成点51.28、合計115.82でフリー4位、総合5位。身長が既に164pで、これから急に体型が変わることもなさそうなので、来季は期待できるかも。

 <ペア>高橋成美(20)とトランがペア解消。12月18日の朝刊に掲載された記事でびっくり。トランの日本国籍問題かと思ったが、「競技に対する考えの違いからすれ違うようになり、大好きなスケートを続けていくために決心した。」と談話が発表された。2014年のソチ五輪に出るためには、今季の世界選手権で枠の獲得が必要だったのだが。今年は高橋の肩の手術もあったが、これからパートナー探しで間に合うとは思えない。高橋は右膝も手術したらしい。(後日GPファイナル実況より。2013.1/26)
 2007年から組み、昨季は世界選手権で銅メダルまでとったのだが…。これで、4月の国別対抗には、正式には出場資格がなくなった。高橋の相棒がすぐ見つかれば、出られるかもしれないが、開催国枠で非公式参加とか?
 1月30日に、高橋の新パートナー発表。男子シングルの木原龍一(中京大。20)。ただし実績がないので、今季の世界選手権には出場できない。ソチ五輪に出るためには、他の道を探ることになるが、果してペアとしてそこまでのレベルになるかどうか。コーチは佐藤有香。さっそく渡米したとのこと。

 <アイスダンス>4組出場。放送はないが、SDではリード姉弟が1位。そのままフリーでも差を広げて優勝。2位は、平井・デラアソンション組、3位は昨年優勝のオイ・水谷組。4位には今年からシニアの小松原・辻組。四大陸選手権と世界選手権への派遣は、当初、両方ともリード姉弟だけだったが、後日、四大陸には、平井・デラアソンション組、オイ・水谷組の二組を追加派遣すると報道があった。どこか辞退して出場者が足りなくなったのだろう。



ページトップへ

フィギュアスケート (2012.12/17,19,27,2013.1/27)

スケートカナダ ペア、アイスダンス (2012.10/27-29 ウィンザー・オンタリオ州) GP第2戦

 <ペア>7組参加。第2グループ2番滑走のカナダ王者、デュハメル・ラドフォード組(加。27,27)が、地元の声援も受け、いい演技。「ラ・ボエーム」の曲で、ソロジャンプは少しよくなかったが、冒頭のツイストやリフトはほぼ全ジャッジが加点。デススパイラルは全ジャッジが加点。演技構成点は全て7点台前半。技術点2番目の35.35、演技構成点も2番目の29.14、合計64.49でSP2位。
 イタリアのベルトン・ホタレック組(22,28)は、昨年より演技が安定した。音楽はストーンズの「黒く塗れ」。2人とも黒い衣装。冒頭のソロジャンプはよく合っていた。ほぼ全ジャッジが加点。リフトとステップもほぼ全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点3番目の31.13、演技構成点も3番目の28.66、合計59.79でSP3位。
 最終滑走の、サブチェンコ・ソルコビー組(独。28,33)はカラフルな衣装で登場。冒頭のスロージャンプは高さがあって完璧。全ジャッジが加点2〜3。ソロジャンプもきれいに成功。全ジャッジが加点。デススパイラル、フライングスピン、最後のリフトも全ジャッジが加点。演技構成点全て8点台。技術点最高の38.63、演技構成点も最高の33.63、合計72.26でSP1位。

 フリーでは、ベルトン・ホタレック組は、冒頭でトウループからの3連続ジャンプに成功。続くソロジャンプでは女性が転倒。しかし後はほぼミスなく滑りきり、デススパイラルは全ジャッジが加点。演技構成点は滑走技術だけ7点台。今後ののびが楽しみな内容。技術点3番目の58.44、演技構成点も3番目の21.8、合計112.24は自己ベスト更新で、すごく嬉しそうだった。フリー3位、総合3位。
 デュハメル・ラドフォード組が出て来ると、客席の応援がすごい。冒頭のツイスト、一つ目のリフトは、全ジャッジが加点。フライングスピンはレベル3だったが、よく合っていて、全ジャッジが加点1〜3。しかも後半に入ってから、サルコウからの3連続ジャンプに成功。スロージャンプは二つともステップアウトや両手つきになったが、演技構成点は全て7点台後半。技術点最高の64.0、演技構成点2番目の62.0、合計126.0の自己ベストの得点を見ると、キスアンドクライの女性は、両手を突き上げて喜んだ。フリー2位、総合2位。
 サブチェンコ・ソルコビー組は、冒頭のスロージャンプが高すぎたようで、珍しく着氷に乱れ。続く連続ジャンプでも第1ジャンプが2回転に。三つとも後半に入れたリフトは全てレベル4で全ジャッジが加点。終盤のペアスピンもレベル4に全ジャッジが加点。最後のスロージャンプも成功。演技構成点は全て8点台。しかし、好調という感じには見えなかった。貫禄勝ちというところか。技術点2番目の61.59、演技構成点最高の67.51、合計129.1でフリー1位、総合優勝。

 <アイスダンス>8組参加。1番滑走に地元のギレス・ポワリエ組(20,20)。組みかえて2年目。女性はアメリカ出身。衣装が浅田真央のエキジビションと同じで、曲も「メアリー・ポピンズ」。ツイズルはレベル3、ポルカはレベル3と2。回転リフトはレベル4。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。技術点3番目の27.07、演技構成点7番目の26.64、合計53.71でSD5位。
 3番目にも地元のラルフ・ヒル組(20,21)。ポルカはレベル3と1。ツイズルはレベル4。最後までスピードにのった演技だったが、得点は伸びず。技術点6番目の24.14、演技構成点最低の25.86、合計50.0でSD8位。低い得点に本人たちもがっかりのようだったが、観客もブーイング。
 ハベル・ドナヒュー組(米。21,21)も組みかえて2年目。昨年全米3位。男性は以前、カナダに移ったギレスと組んでいた。ポルカはレベル3と1。ツイズルはレベル4。演技構成点は全て6点台。技術点4番目タイの26.5、演技構成点も4番目の28.34、合計54.84でSD4位。

 第2グループ最初にリアザノワ・トカチェンコ組(露。21,26)。「マイ・フェア・レイディ」の曲。ステップはレベル3だが全ジャッジが加点。ポルカはレベル1と2。回転リフトもレベル4。演技構成点が全て7点台前半。技術点4番目タイの26.5、演技構成点3番目の29.3、合計55.8でSD3位。
 カッペリーニ・ラノッテ組(伊。25.27)は、いい出来だった。ツイズルはスロー再生でもピッタリでレベル4。ほぼ全ジャッジが加点2。ポルカは二つともレベル3。回転リフトもレベル4で全ジャッジが加点2。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。技術点最高の32.44、演技構成点2番目の32.64、合計65.08で僅差のSD2位。
 最終滑走は地元のヴァーチュー・モイヤー組(23,25)。現世界王者。ポルカはレベル3と2。ツイズルはレベル3。最後の回転リフトはレベル1。しかし、リフト以外の要素は全て全ジャッジが加点。演技構成点は9点台前半。技術点2番目の27.72、演技構成点最高の37.37、合計65.09でかろうじてSD1位。あまりの僅差にどよめきも。

 フリーは、録画失敗。ヴァーチュー・モイヤー組が優勝。2位がカッペリーニ。ラノッテ組、3位がリアザノワ・トカチェンコ組。SD5位のジャイルズ・ポワリエ組はフリー4位、総合4位。SD4位のハベル・ドナヒュー組は、フリー6位で総合5位。
 <後日記>フリーのラルフ・ヒル組は、あまりよくなかった。スピードがなく、滑り込みが足りない感じ。それでもツイズルリフト三つ、スピンはレベル4。ステップ二つはレベル2。女性のエッジが少し甘いような感じがした。技術点6番目の38.56、演技構成点最低の38.04、合計76.6でフリーも8位。キスアンドクライでは、コーチたちも浮かない顔。
 第1グループ最後のギレス・ポワリエ組は、冒頭のサーキュラーステップとツイストはレベル3。直線のリフトはレベル4で全ジャッジが加点。他に二つのリフトとスピンがレベル4。カーブのリフトと直線のステップがレベル2。技術点4番目の40.93、演技構成点5番目の42.1、合計83.03でフリー4位、総合4位。ラルフ・ヒル組と同じコーチたちだが、こちらでは満面の笑顔。
 ハベル・ドナヒュー組は、先にフランス杯のよかった演技を見てしまったので、物足りなく写った。フラメンコの踊りで、衣装は黒、女性の頭にまっ赤なパラ。ツイズルはレベル3、カーブのリフトはレベル4で全ジャッジが加点。サーキュラーステップもレベル3。得点がとれなかったのは、レベル1のスピンと、レベル2の直線のリフトと対角線のステップ。技術点裁定の36.38、演技4番目の43.94、合計80.32でフリー6位、総合5位。

 リアザノワ・トカチェンコ組は「ゴッドファーザー」の曲。しかし男性はあまりマフィアらしく見えない。リフトは四つとのもレベル4、スピンとツイズルがレベル3、ステップ二つはレベル2。しかし全て加点の出来。特に最初の回転リフトは全ジャッジが加点2、最後のコリオリフトはほぼ全ジャッジが加点1〜3。技術点3番目の41.64、演技構成点も3番目の45.95、合計87.59でフリーも3位、総合3位。
 カッペリーニ・ラノッテ組もフランス杯の方を先に見ているので、見劣りがした。もっとも冒頭のツイズルは速くて成功し、レベル4に全ジャッジが加点。続くロングリフトもレベル4で全ジャッジが加点2〜3。ステップは二つともレベル2でスピンはレベル3。曲は「カルメン」。女性は赤い衣装。フラメンコにしてはスカートが短い。演技構成点は全て8点台。技術点2番目の44.63、演技構成点も2番目の50.35、合計94.98でフリーも2位、総合2位。
 最終滑走のヴァーチュー・モイヤー組も「カルメン」。しかし女性は黒っぽい衣装。サーキュラーステップがレベル3、対角線のステップがレベル2だった以外は全てレベル4に加点。ツイズルは全ジャッジが加点2〜3。終盤の回転リフトも全ジャッジが加点1〜3。演技構成点は全て9点台。技術点最高の48.42、演技構成点も最高の55.9、合計104.32でフリーも1位、総合優勝。SPは僅差だったが、フリーで9点以上差がついた。


フィギュアスケート (2012.12/8,9,10,)

グランプリ・ファイナル (2012.12/6〜9 ソチ・ロシア)

 <女子シングル>浅田真央と鈴木明子が出場。リプニツカヤ(露。14)は、直前の怪我で辞退。代わりにガオ(米。18)が繰り上げ。そのガオが一番滑走。やはり急に出場が決まったせいか、体のキレが悪い感じ。冒頭の連続3回転の予定が単独に。ステップからのループの後に第2ジャンプを付けようとしてかえって回転不足になる失敗。スピン二つでレベル4をとったが、合計48.56と自己ベストより10点ほど低い得点でSP6位。
 トゥクタミシェワ(15)はプログラムを昨年のものに戻した。しかし冒頭の連続3回転は決まらず、第2ジャンプは2回転。スピンは二つがレベル3で最後の足替えスピンだけレベル4。ステップとダブルアクセルは全ジャッジが加点。合計56.61でSP5位。
 鈴木(27)は、冒頭で連続3回転をきれいに決めると、ステップからのジャンプをフリップに変更して成功。レイバックスピンはレベル4に全ジャッジが加点。フライングスピンは軸が傾き、速度も落ち、減点評価。直線のステップは、レベル4に全ジャッジが加点2。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点3番目の34.63、演技構成点4番目の合計65.0で、今季最高を更新、SP3位。

 コルピ(フィン。24)は、冒頭の連続3回転をなんとか下り(第2ジャンプは回転不十分)、ステップとスピン二つはレベル4に全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点4番目の32.67、演技構成点3番目の30.75、合計63.42でSP4位。
 真央(22)は、緊張していた。全体に固かったが、冒頭のダブルアクセルは、全ジャッジが加点。フリップからの連続ジャンプもステップからのループも回転不足を取られず、ループは全ジャッジが加点。三つのスピンとステップは全てレベル4。特に最後のステップは、ようやく本当に楽しそうに滑り、全ジャッジも加点2〜3。演技構成点は、パフォーマンス、振り付け、音楽表現で8点台。技術点最高の35.02、演技構成点も最高の31.94、合計66.96でSP1位。
 最終滑走のワグナー(米。21)は、完璧だった。冒頭のフリップからの連続ジャンプは全ジャッジが加点1〜3。スピン三つとステップはレベル4に、ほぼ全ジャッジが加点。特にレイバックスピンは加点2〜3。後半に跳んだダブルアクセルとステップからのループも全ジャッジが加点。演技構成点は振り付けと音楽表現で8点台。技術点2番目の34.95、演技構成点も2番目の31.49、合計66.44でSP僅差の2位。

 フリーでは、ガオは冒頭でフリップからの連続3回転に挑戦するが回転不十分で-1〜-3。ルッツからの連続ジャンプもeマークで減点評価。後半最初のフリップで転倒。しかし、トウループからの3連続ジャンプは決め、スピン二つもレベル4。技術点4番目の55.9、演技構成点最低の51.08、合計105.98でフリーも6位、総合6位。
 トゥクタミシェワは、冒頭のルッツからの連続3回転をオーバーターンしながらも決めた。次のルッツはステップアウト。しかし後半にダブルアクセルからの連続ジャンプ(全ジャッジが加点)とサルコウからの3連続を決め、スピン二つでレベル4もとった。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。技術点最高の63.65、演技構成点5番目の53.49、合計117.14でフリー2位だが、総合5位。
   コルピは、ジャンプが不調。背中を痛めているらしい。冒頭でトウループの連続3回転の予定だったが、第1ジャンプが2回転。ただし、きれいなジャンプだったので全ジャッジが加点。続くルッツは1回転。後半サルコウからの3連続も跳んだが、第3ジャンプが1回転。続くループも2回転に。スピン二つとステップはレベル4。コレオシークエンスは美しく、全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点裁定の51.34、演技構成点4番目の60.18、合計111.52でフリー5位、総合4位。

 鈴木は、カワセミをイメージした衣装。冒頭でフリップからの3連続を成功。続けてダブルアクセルから3回転トウループ。両方ともほぼ全ジャッジが加点。ところが次のルッツがパンクして1回転。スピン三つとステップはレベル4。後半、フリップとループで二つ転倒したのが痛かった。しかし、終盤のコレオシークエンスは素晴らしいスピードで、前半のステップとも全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外全て7.68。技術点3番目の56.79、演技構成点3番目の60.98、合計115.77でフリー3位、総合3位。
 ワグナーも冒頭でフリップからの3連続を成功。続けてダブルアクセルからの連続ジャンプも決め、両方とも全ジャッジが加点。しかしなぜかサルコウで転倒。後半、ループとダブルアクセルのシークエンスのダブルアクセルでも転倒。とても痛そうだった。それでもフリップを決め、コレオシークエンスでは、ほぼ全ジャッジが加点。演技構成点は音楽表現だけ8.0ちょうど。技術点5番目の54.93、演技構成点2番目の62.56、合計115.49でフリー4位ながら総合2位。
   最終滑走は、真央。NHK杯の二の舞にならないよう、慎重にやっている感じ。冒頭のループは全ジャッジが加点。ダブルアクセルからの3回転トウループは第2ジャンプが回転不十分。フリップも回転不十分。ルッツはeマーク。フライングスピンはレベル4で全ジャッジが加点1〜3。サルコウが2回転になったが、ループからの3連続はきれいに決めた。足替えスピン、二つ目のフライングスピンとステップもレベル4で全ジャッジが加点。特にステップは加点2〜3。演技構成点は全て8点台。技術点2番目の63.45、演技構成点最高の66.39、合計129.84でフリーも1位、総合優勝。翌日の朝日新聞を読んだら、NHK杯後、腰を痛めて、スピンも種類を変えたりしたそうだ。

 <男子シングル>高橋、羽生、小塚、町田が出場。まずフェルナンテス(西。21)が登場。冒頭の4回転で片ひざ付いて片手つきで転倒扱い。トリプルアクセルはほぼ全ジャッジが加点2〜3。スピン二つがレベル4。後半にルッツからの連続3回転を成功。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。最初の4回転は得意のはずが、失敗して勢いにのれず。技術点5番目の42.94、演技構成点も5番目の38.25、合計80.1でSP5位。
 2番目に早くも高橋(26)登場。冒頭の4回転をきちんと決める。スピンは三つともレベル4。ルッツからの連続3回転も成功。後半のトリプルアクセルはちゃんと下りたが、着氷後直ちにステップになり、そこでほんの少しよろめいた。そのステップは珍しくレベル3だが、全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外8点台後半。技術点最高の49.15、演技構成点2番目の43.14、合計92.29でSP1位。
 町田(22)は冒頭のトリプルアクセルで転倒。GPシリーズではきれいに跳べていたが、ソチの公式練習では、不調になっていたらしい。フリップからの連続ジャンプも第1ジャンプの着氷でつまり間がとまった感じになり、減点評価。後半のステップからのルッツは成功。ステップとスピンは全てレベル4。技術点最低の34.3、演技構成点も最低の37.28、合計70.58と厳しい点数。SP6位。

 小塚(23)は、冒頭で美しい4回転を決める。足替えスピンはレベル3だったが、フライングスピンはレベル4に全ジャッジが加点。ところが後半のトリプルアクセルで片ひざと両手付きで転倒扱い。ルッツからの連続3回転は成功させ、全ジャッジが加点。ステップはレベル4でこれも全ジャッジが加点1〜3。演技構成点もつなぎ以外8点台前半。技術点3番目の46.64、演技構成点4番目の40.75、合計86.39は今季最高でSP4位。
 羽生(18)は、冒頭の4回転の着氷を、なんとかこらえた。スピンは全てレベル4。滑りも全体にスピード感があったが、本人は足りないと言っていた。後半にトリプルアクセルを決めたのはよかったが、続くルッツからの連続3回転で両ひざ付きで転倒扱い。レベル4を維持したステップは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点全て8点台前半。技術点2番目の46.76、演技構成点3番目の41.41、合計87.17でSP3位。
   最終滑走はチャン(加。21)。冒頭の4回転は第2ジャンプを付けず単独に。トリプルアクセルは全ジャッジが加点2〜3。しかし、後半に予定を変えた連続ジャンプが2回転ルッツに無理矢理3回転トウループを付け、ステップアウト。スピンは二つレベル3、ステップと最後の足替えスピンはレベル4に全ジャッジが加点。演技構成点は音楽表現だけ9点台。技術点4番目の44.74、演技構成点最高の44.53、合計89.27でSP2位。なんともハイレベルな争いになった。

 フリーでは、町田は挽回できず。最初のトリプルアクセルはよかったが、次の4回転で転倒。ルッツからの連続3回転は成功したが、トリプルアクセルからの連続ジャンプはアクセルが1回転。後半にも、ループが2回転、フリップが1回転になるなど集中を欠いた。演技構成点は全て7点台前半。合計128.05でフリーも6位、総合6位。
 フェルナンテスは見違えるようによかった。脅威の4回転3回成功。まず冒頭で4回転トウループ。少しヒザでこらえた。続けて4回転サルコウから3回転トウループ。トリプルアクセルも全ジャッジが加点の出来。足替えスピンとステップはレベル4。そして後半最初に4回転サルコウ。ルッツからの連続ジャンプ、フリップからの3連続も決めた。途中ループが2回転になったのはご愛敬。あとのスピン二つもレベル4。演技構成点は全て8点台前半。チャップリンの仕草もなかなかいいと思うが、パフォーマンスは8.39。技術点最高の95.93、演技構成点4番目の82.5、合計178.43でフリー1位、それでも僅差で総合4位。
 小塚は、冒頭の4回転成功。しかし、二つ目で転倒。第2ジャンプ付かず。トリプルアクセルも片手つき。スピンは三つともレベル4。ステップはレベル3だが全ジャッジが加点。後半、二つ目のトリプルアクセルからの3連続も全ジャッジが加点。ルッツからの連続3回転も決める。演技構成点は全て8点台前半。技術点4番目の85.58、演技構成点5番目の82.3、合計166.88でフリー5位、総合5位。

 羽生は、冒頭であっさり4回転を成功させ、全ジャッジが加点2〜3。続く4回転サルコウはパンクして2回転。フリップはeマーク。後半に連続ジャンプを三つ。トリプルアクセルからの連続3回転。もう一つトリプルアクセルからの連続ジャンプ。両方とも全ジャッジが加点。ループをはさんでルッツからの3連続。最後のジャンプの単独のルッツは全ジャッジが加点1〜3。スピンは三つともレベル4。なんとか最後まで体力はもった。演技構成点はつなぎと音楽表現以外は8点台後半。技術点2番目の91.96、演技構成点3番目の85.16、合計177.12でフリー僅差で2位、総合2位。
 チャンは、冒頭の4回転で転倒。二つ目の4回転は成功したが連続ジャンプにしなければならなかったので得点は80%。ステップはレベル3だが全ジャッジが加点1〜3。後半にルッツからの連続ジャンプ、フリップかららの3連続、そして最後にダブルアクセルから2回転トウループを跳んだが、最後のは4つめの連続ジャンプで無得点。たぶんこの計算間違いで相当点を損したようだ。スピンは二つレベル4。演技構成点はつなぎとパフォーマンス以外9点台前半。技術点5番目の79.75、演技構成点最高の90.64、合計169.39でフリー4位、総合3位。この時点でまだ羽生が1位。
   最終滑走の高橋の滑る前に、BS朝日のアナウンサーは、「これで日本人の初優勝は確定しました。果たしてそれは羽生か、高橋か?」と大騒ぎ。高橋は冒頭の4回転で転倒。しかし次の4回転は下り、3回転トウループを回転不十分ながら付ける。トリプルアクセルもなんとか成功。後半にもトリプルアクセルからの連続ジャンプ、ルッツからの3連続と決めた。スピンも二つがレベル4。得意のステップはレベル3だがほぼ全ジャッジが加点2。終盤のコレオシークエンスもほぼ全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外9点台前半。技術点3番目の87.89、演技構成点2番目の90.22、合計177.11で、フリー僅差の3位、総合優勝。


フィギュアスケート (2012.11/23,24,25,26,)

NHK杯 (2012.11/23〜25 仙台) GP第6戦

 <アイスダンス>リード姉弟(25,23)初戦。昨年後半クリスの怪我で、出られなかったので、一番滑走。冒頭のツイズルはセカンドが少しずれてレベル3。サーキュラーステップはレベル2。ヤンキーポルカは、二つともレベル2。最後の回転リフトはレベル4。演技構成点は全て6点台前半。技術点5番目の23.65、演技構成点も5番目の24.68、合計48.33でSD5位。
 第1グループ最後は中国王者のファン・シェン組(25,25)。冒頭のツイズルはレベル3。ヤンキーポルカは、第1パートはレベル3だったが、第2パートはキーポイント全てNoでレベル1。サーキュラーステップもレベル1。最後のリフトはレベル4。技術点6番目の21.58、演技構成点も6番目の24.41、合計45.99でSD7位。

 第2グループ2番目にイリニク・カツァラポフ組(露。18,21)。冒頭のツイズルでは第1ツイズル最後で男性がバランスを崩しレベル3。「アンディジャン・ポルカ」という曲はウズベキスタンの音楽とか。ヤンキーポルカは、第1パートはレベル3だったが、第2パートでキーポイント三つとも無得点。回転リフトはレベル4。演技構成点は全て8点台。技術点3番目の28.43、演技構成点2番目の33.53だったが、リフトの時間オーバーとプログラムのタイムオーバーで減点2。合計59.96でSD3位。
 シブタニ兄妹(米。18,21)は、昨年のNHK杯で優勝。ミッドラインステップから始める珍しい構成。レベル2だが、見事に合っていて全ジャッジが加点。得意のツイズルは、セカンドのスピードがなかったが、レベル4に全ジャッジが加点。ヤンキーポルカは、アンデス風の曲にのせ、レベル3と2。回転リフトはレベル4。演技構成点は振り付けだけ8点台。技術点2番目の29.36、演技構成点3番目の31.48、合計60.84でSD2位。
 デイヴィス・ホワイト組(米。27,27)は、冒頭のツイズルはレベル4で全ジャッジが加点1〜3。サーキュラーステップはレベル3。ヤンキーポルカは、レベル3と2。回転リフトはレベル4。全ての要素に全ジャッジが加点し、基礎点27.5に全体で加点6。演技構成点は全て9点台。リフトの時間オーバーがあり減点1。技術点最高の33.5、演技構成点も最高の37.36、合計69.86でSD1位。

 フリーでは、第一グループ最後にリード姉弟登場。ビートルズメドレーで明るい色彩の衣装。最初のカーブのリフトはレベル4でほぼ全ジャッジが加点。回転リフトとツイズルはレベル3。ツイズルは二人のタイミングが少し合わなかったが、解説の樋口さんによれば、「朝の公式練習のときよりずっといい」。直線のリフト、スピン、二つ目の回転リフトはレベル4だが、サーキュラーステップと対角線のステップがレベル2と1だった。中国の二つの組もステップのエッジが浅くレベル2だった。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。技術点7番目の36.73、演技構成点4番目の39.65、合計76.13でフリーも5位、総合5位。今までのNHK杯最高7位の記録を更新。
 第二グループ上位3組は、たいへんレベルの高い内容だった。六番滑走のイリニク・カツァラポフ組は、ミュージカル「ゴースト」の曲。表情豊かに深いエッジ、速いスピードで最後まで滑りきった。冒頭のツイズルは速くて特に前半はピッタリ。全ジャッジが加点1〜3。リフト四つとスピンがレベル4。どの要素も全ジャッジが加点。特にスピンは加点1〜3。サーキュラーステップと対角線のステップはレベル3と2。演技構成点はつなぎ以外8点台後半。女性は、フリー欠場も考えるほどの体調不良だったそうで、演技終了後、涙を浮かべていた。技術点2番目の46.73、演技構成点も2番目の50.93、合計96.66でフリー2位、逆転で総合2位となり、ファイナル進出も決めた。

 シブタニ兄妹は、ロシア大会で4位だったため、ここで優勝しないとファイナルには進出できない。いつもレトロなアメリカンナンバーが得意だが、今回は映画「サユリ」の曲に和服をイメージした衣装。冒頭のスピンと回転リフトはスピードがあり、レベル4に全ジャッジが加点。得意のツイズルは、やはり逆回りのスピードが遅かったが、一人を除き加点1〜3。カーブのリフト、回転リフトはレベル4だったが、サーキュラーステップがレベル2、対角線のステップと二つ目の回転リフトがレベル3。それでもリフトは四つとも全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。見た目には、ほぼクリーンプログラムだったが、技術点3番目の45.44、演技構成点も3番目の48.28、合計93.72で、この時点で2位、フリー3位で総合3位。ファイナルには行けず。
 最終滑走は、デイヴィス・ホワイト組。「ノートルダムドパリ」の曲。スケートアメリカの時に比べ、プログラム全体がひとつの作品になっていた。冒頭のスピンは女性がちょっとジャンプしてスピンに入る珍しい構成。これと次の回転リフトはレベル4に全ジャッジが加点2〜3。対角線のステップはレベル3だったが、スケートアメリカで少し方向がずれたツイズルはピッタリ合って、レベル4に全ジャッジが加点1〜3。残り三つのリフトもレベル4に全ジャッジが加点。サーキュラーステップだけレベル2。演技構成点は全て9点台。技術点最高の51.07、7演技構成点も最高の57.55、合計108.62でフリーも1位、総合優勝。2位とは20点以上も差を付けた。もちろんファイナル進出。

 <男子シングル>高橋、羽生、村上大介が参加。SPでまた羽生が世界最高を出した。村上大介(21)は三番滑走で登場したが、夏に傷めたという肩を、前日の公式練習の際、トリプルアクセルで転倒して再び傷めてしまい、演技の冒頭の4回転で転倒。トリプルアクセルでも転倒、いったん中断して再開し、連続ジャンプは決めたもののスピンで痛みが増したらしく、滑りきれずに途中棄権。GPシリーズはこれひとつだけだったので、残念。
 レイノルズ(加。22)は身長がまた伸びたのか。178pもある。冒頭の4回転サルコウ3回転トウループをなんとか決める。次のトリプルアクセルは回転不十分。スピンは三つともレベル4。しかしステップからのルッツが傾きすぎて転倒。演技構成点は全て6点台後半。技術点5番目の37.06、演技構成点5番目の34.14、合計70.20でSP5位。
 第2グループ最初のリッポン(米。23)はどうしたのか。後半にジャンプを固めたプログラムを変更したが、冒頭のトリプルアクセルがパンクして1回転。フリップからの連続3回転はなんとか決める。ステップからのルッツは両手上げで全ジャッジから加点をもらう。スピンは二つがレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点裁定の31.96、演技構成点4番目の35.93、合計67.89でSP8位と大きく出遅れ。

 フェルナンデス(西。21)は「自分にとって4回転は簡単だ。」とインタビューで答えていた。「マスクオブゾロ」の曲にのせて冒頭の4回転は美しく成功、ほぼ全ジャッジが加点1〜3。トリプルアクセル、ルッツからの連続3回転も決める。スピンは二つがレベル4。ステップはレベル3。演技構成点は振り付けと音楽表現で8点台。技術点2番目の46.8、演技構成点3番目の39.43、合計86.23で、優勝した今年のスケートカナダでの自己ベストを更新、それでもSP3位。キスアンドクライではオーサーコーチが次の羽生につきそっており、一人きりですわっていたが、ユーモラスに両手をひろげたりして客席の笑いをとっていた。
 羽生(17)は、固い表情で登場したが、冒頭の4回転をきれいに決め、全ジャッジから加点2〜3。フライングスピンと足替えシットスピンはレベル4で全ジャッジが加点。後半にトリプルアクセル、ルッツからの連続3回転と成功、これも全ジャッジが加点。ステップだけレベル3だったが、最後のスピンもレベル4。全ての要素に全ジャッジが加点し、基礎点43.76に全体で加点9点以上。演技構成点も全て8点台。技術点最高の53.03、演技構成点2番目の42.29、合計95.32で、スケートカナダの自己ベストを更新、SP1位。これでスケートカナダの点がフロックでないことが証明された。リンクサイドでフェルナンデスも拍手していた。
 最終滑走の高橋(26)は、冒頭の4回転でステップアウトし片手つき。スピンは三つともレベル4。ルッツからの連続3回転はきれいに成功。後半のトリプルアクセルは着氷が少しきしんだ。ステップは圧巻のレベル4、全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は三つの要素が8点台後半。技術点3番目の45.07、演技構成点最高の42.4、合計87.47でSP2位。

 フリーは、羽生が逃げ切り。フェルナンデスはどうしたのか、得意の4回転でステップアウト。二つ目の4回転サルコウは成功、全ジャッジが加点2〜3。ところが終盤、二つ目の4回転トウループで転倒、続くルッツも転倒。フリーは5位、総合4位。しかしファイナル進出は決める。
 高橋は、冒頭の4回転を決め、続けて二つ目も挑んだが、回転不十分で両足。しかし2回転を付けて連続ジャンプに。トリプルアクセルも成功。スピンは三つともレベル4。後半最初の二つ目のトリプルアクセルはステップアウト。しかしルッツからの連続3回転を決める。最後のコレオシークエンスと足替えスピンは全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外8点台。フリー2位で総合2位、ファイナルを決める。
 最終滑走の羽生は、スケートアメリカで転倒した4回転トウループを軽々と決める。続けて4回転サルコウはなんとかこらえる。これで足に疲れが来たらしい。フリップは全ジャッジが加点。ジャンプ構成を変えて、後半にトリプルアクセルからの連続3回転、続けてトリプルアクセルから1回転。ここから少し疲れが見え、ループ、ルッツからの連続ジャンプと決めた後、二つ目のルッツが傾きすぎて転倒。その後のスピンでも転倒。開き直って最後のスピンはレベル4、全ジャッジが加点1〜3。演技構成点は滑走技術だけ8点台。フリーも1位でGPシリーズ初優勝。もちろんファイナルも決定。これで日本人が4人も出ることに。羽生は、地元の応援も力になったようだ。

<女子シングル>浅田真央、鈴木明子、今井が参加。二人欠場があり長洲未来が代替出場で9人参加。久々に真央の会心のスマイルを見られた。
 二番滑走の李子君(中。15)が自己ベスト更新の演技。冒頭でトウループの連続3回転を軽々と成功。足替えスピンと最後のレイバックスピンはレベル4。ステップはレベルこそ2だが、全ジャッジが加点。レイバックも全ジャッジが加点1〜3。技術点2番目の32.92、演技構成点7番目の26.7、合計59.62でSP3位。伸び盛りはこわい。
 三番滑走で今井(19)。前回大会でスパイラルからすぐ連続3回転だったのがうまく跳べなかったので、構成を変更。最初のジャンプをダブルアクセルにしたが、なんと転倒。次の連続3回転も第1ジャンプはなんとか立つが第2ジャンプは付けられず。フライングスピンはレベル2。しかしループの後に2回転トウループを付け、ジャンプ要素は満たす。あとの二つのスピンはレベル4に加点評価。演技構成点はつなぎ以外6点台前半。技術点最低の24.86、演技構成点8番目の24.24、合計48.1でSP9位。
 ロシア杯3位のザワツキー(米。18)は、連続ジャンプが入らず。要素を失う。スピンは三つともレベル4で全ジャッジが加点。ダフルアクセルは成功し、ステップもレベル3。技術点27.73、演技構成点27.29、合計55.02でSP7位と出遅れ。

 第2グループ最初のマカロワ(露。19)は、冒頭のトウループの連続3回転を成功。ステップからのループは回転不十分。スピン二つとステップはレベル3。最後のレイバックスピンはレベル4。技術点29.85、演技構成点29.08、合計58.93で今季最高点を更新、SP4位。クリーンプログラムで、立って拍手していた観客もいた。
 長洲(米。19)はシズニーの代打だろうか。冒頭のトウループの連続3回転はかろうじてバランスをとる。ステップからのループは加点の出来。フライングスピンはレベル3だが全ジャッジが加点。最後二つのスピンはレベル4で、レイバックは全ジャッジが加点2〜3。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点3番目の32.36、演技構成点5番目の28.82、合計61.18で、SP2位。こちらも今季最高点を更新。
 ゲデバニシビリ(グル。22)は、冒頭の連続3回転の予定が、第1ジャンプのルッツで片手つき、無理矢理2回転をつけた。ステップからのサルコウは成功。ダブルアクセルは全ジャッジが加点。スピン二つがレベル4。しかしレイバックスピンはレベル2。演技構成点は全て7点台前半。技術点5番目の28.39、演技構成点3番目の29.11、合計57.5でSP6位。

 第2グループ4番目に浅田真央(22)。にっこり笑った表情そのままに、まず余裕のダブルアクセル。全ジャッジが加点。続いてフリップからの連続ジャンプ。レイバックスピンはなぜか-1〜2の評価だがレベル4。フライングスピンもレベル4。ステップからのループは全ジャッジが加点。足替えスピン、直線のステップともレベル4。ステップは、解説の八木沼が感心していたが、細かい音までよく表現されていて、全ジャッジが加点2〜3。演技構成点はつなぎ以外8点台。技術点最高の35.7、演技構成点も最高の32.75、合計67.95でSP1位。事前のインタビューで「以前はジャンプを見てほしかったが、今はプログラム全体を見てほしい。」
 最終滑走は鈴木明子(27)。冒頭のトウループの連続3回転をきれいに決めたのに、次のルッツが1回転。要素を失う。レイバックスピンはレベル3で0〜2の評価。フライングスピンはレベル4だが-1〜1の評価。ダブルアクセルは成功。ステップはレベル3だが全ジャッジが加点。最後の足替えスピンはレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点6番目の28.26、演技構成点2番目の30.34、合計58.6でSP5位。リンクから上がるとき、長沼コーチが投げ込まれた花を受け取り、それで鈴木選手の頭をポンとやったので、会場に笑いが起きた。

 フリーは、鈴木明子が猛追。今井はひとつ順位をあげた。モーツァルトの曲で、柔らかい滑りを披露。フリップ、ダブルアクセルは成功。ルッツがeマークでステップアウト。サルコウからの連続ジャンプ、足替えスピンはレベル4。後半にループからの3連続も決めるが、サルコウで転倒。最後のレイバックスピンはほぼ全ジャッジが加点。技術点6番目の50.03、演技構成点8番目の48.29、合計97.32でフリー8位。
 ザワツキーは冒頭のルッツで全ジャッジが加点1〜3。トウループの連続3回転も決め、今日はジャンプがいいかと思うと、フリップが2回転。レイバックスピンはレベル4で全ジャッジが加点。後半にはルッツで転倒。しかしダブルアクセルからの3連続は決める。170pの長身をもう少し生かしたステップにならないか。最後の足替えスピンは全ジャッジが加点したがレベル1。技術点5番目の51.61、演技構成点6番目の54.74、合計105.35でフリー5位。
 ゲデバニシビリは体が重そうに見えた。冒頭でルッツからの連続ジャンプ、ダブルアクセルからの連続ジャンプを決める。しかし、二つ目のルッツが1回転になりステップアウトで手も付いた。後半にはダブルアクセルで転倒。最後のスピンも倒れそうになり、技術点43.54、演技構成点4番目の56.92、合計99.46でフリー6位。

 第2グループ最初の鈴木明子は、いきなりルッツ(eマークだが)からの3連続を成功。ダブルアクセルから3回転トウループは全ジャッジが加点。スピンは三つともレベル4。特に足替えスピンはほぼ全ジャッジが加点2。後半のジャンプも二つ目のループが回転不十分になったが、成功。終盤のコレオシークエンスはたいへん速いスピードにのったまま大きなステップを踏み、観客の拍手だけでなく、全ジャッジも加点2〜3。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。ほぼクリーンプログラムでガッツポーズ。技術点最高の64.51、演技構成点2番目の62.11、合計126.62は自己ベスト更新でフリー1位、僅差の総合2位。鈴木は、東北福祉大学の4年間、この宮城で練習していた。大会前に被災地への訪問も参加(他に村上大介、長洲未来も)し、「逆に元気をもらった」と話していた。
 マカロワは、冒頭のループはよかったが、フリップの着氷でよろける。トウループからの連続ジャンプは成功。レイバックスピンはレベル4で全ジャッジが加点2〜3。後半にサルコウからの連続ジャンプをふたつ跳ぶが、一つ目はサルコウが2回転になり、二つ目は第2ジャンプが1回転。続くトウループも1回転。技術点最低の43.37、演技構成点7番目の54.22、合計97.59でフリー7位と沈む。
 李子君は、失うものがない者の強みか。冒頭のフリップからの連続3回転は全ジャッジが加点。ダブルアクセルは片手つき。フライングスピンはレベル4でほぼ全ジャッジが加点。後半にサルコウからの3連続。コレオシークエンスと最後のレイバックスピンは全ジャッジが加点。技術点2番目の59.35、演技構成点5番目の55.14、合計114.49で自己ベスト更新、フリー4位。

 SP2位の長洲は、ほぼクリーンプログラム。冒頭でルッツ、ダブルアクセルから3回転トウループを成功。フライングスピンはレベル3だが全ジャッジが加点。後半にフリップからの3連続、ループからの連続ジャンプをとんだが、回転不十分で減点評価。終盤のスピン二つはレベル4、特にレイバックは全ジャッジが加点2〜3。演技構成点全て7点台。技術点3番目の56.36、演技構成点も3番目の59.14、合計115.5は今季最高点で、フリー3位、総合3位。
 対する最終滑走の浅田真央は、ジャンプのタイミングが狂った。冒頭の得意のループが2回転。続くダブルアクセルから3回転トウループは全ジャッジが加点のできだったが、いいジャンプはこれひとつ。フリップは無難に決め、続くルッツも2回転。レベル4のフライングスピンで立ち直るかと思ったが、苦手のサルコウはなんと1回転。直後のループからの3連続はなんとか決める。レベル4の足替えスピンの後の二つ目のフリップも2回転。「黒鳥」部分のステップは、さすがのレベル4で全ジャッジが加点2〜3。でも中国大会のときの方がよかったと思う。最後のコレオシークエンスも全ジャッジが加点2〜3。演技構成点はつなぎとパフォーマンスが7点台、残りの三つは8点台。技術点4番目の52.78、演技構成点最高の64.54、合計117.32で、0.05差でフリー1位、総合優勝。順位を見たときびっくりしていたが、喜んでいなかった。優勝インタビューでも反省の弁一色だった。

 <ペア>日本の高橋・トラン組が怪我で欠場のため、7組の出場。アメリカもひと組代替出場だった。一番滑走のシメカ・クニエリム組(米。21,25)。組みかえて一年目。昨年の全米で女性が10位、男性が7位だった。昨年11月に組んだばかりとは思えない息の合い方で、ツイストも3回転、スロージャンプも3回転の上、全ジャッジが加点。フライングスピンもレベル4。合計54.41でSP5位。
 カステリ・シュネイピア組(米。22,25)は、ソロジャンプをサルコウで成功。フライングスピンもレベル4。スロージャンプは全ジャッジが加点1〜3。ステップ、リフトもレベル4。コミカルな曲想もよく表現していた。技術点3番目の33.64、演技構成点も3番目の28.21、合計61.85でSP3位。

 カナダのムアタワーズ・モスコヴィッチ組(20,26)は、会心の演技だった。アイスダンスの動きも取り入れたプログラムだと、解説の若松さんが紹介。ツイストはレベル2だが全ジャッジが加点。デススパイラルはレベル3だが高速だった。全ジャッジが加点。スロージャンプもほぼ全ジャッジが加点2。リフト、ステップともレベル4。演技構成点は全て7点台。技術点最高の35.12、演技構成点2番目の30.02、合計65.14で今季最高点を更新、SP2位。
 ロシア王者、バザロワ・ラリョノフ組(19,26)は、冒頭のソロジャンプで、女性がなんとかころばずにパランスをとった。ツイストはほぼ真横になり、見事。全ジャッジが加点。リフト、スピン、ステップと全てレベル4に加点。デススパイラルはレベル2だが、全ジャッジが加点。演技構成点は全て7点台後半。技術点2番目の34.67、演技構成点最高の30.94、合計65.61で、僅差でこちらがSP1位。

 フリーでは、シメカ・クニエリム組がいい演技で逆転4位に。冒頭のツイストは全ジャッジが加点1〜3。リフトは三つともレベル4。技術点2番目の58.87、演技構成点5番目の49.82、合計108.69は、自己ベスト更新。
 カステリ・シュネイピア組は、男性がダブルアクセルのシークエンスで転倒。スロージャンプでミスもあり、技術点4番目の55.33、演技構成点3番目の58.33、合計112.66でフリー3位。

 ムアタワーズ・モスコヴィッチ組は、一つ目のスロージャンプで転倒。ソロジャンプで男性にミスも。技術点3番目の56.56、演技構成点2番目の59.93、合計115.49でフリー2位。逆転優勝を意識しすぎたか。
 バザロワ・ラリョノフ組は、ミスを最小限に抑えた。不調のジャンプは、タイミングがまったく合っていなかったし、2人の距離もたいそう広かった。しかし、ツイスト、一つ目のスロージャンプ、デススパイラル、フライングスピン、コレオシークエンス、一つ目のリフトは全ジャッジが加点。演技構成点もパフォーマンスと振り付けで8点台。転倒など大きなミスなく、技術点最高の63.04、演技構成点も最高の63.37、合計126.41で、逃げ切ってGPシリーズ初優勝。


フィギュアスケート (2012.11/17,18,19,21,)

フランス杯 (2012.11/16〜18 パリ) GP第5戦

 <男子シングル>無良が参加。9人出場。一番滑走で中国の関金林(23)が、冒頭で4回転をステップアウトしつつも転倒せずに下りる。アクセルは2回転だが、スピンは二つがレベル4。後半にはルッツからの連続ジャンプも決め、演技構成点はつなぎ以外6点台。技術点6番目の34.44、演技構成点8番目の31.33ながら、合計65.77でSP5位。フリーは第2グループに。
 もう一人の中国人、宋楠(22)は、冒頭の4回転で転倒。トリプルアクセルはきれいに決め、全ジャッジから加点され、スピンも一つがレベル4。後半にルッツからの連続ジャンプも成功。演技構成点は全て6点台。技術点5番目の34.65、演技構成点6番目の32.1ながら転倒の減点が響き、合計65.75、僅差でSP6位、フリーは第1グループに。
 第2グループ最初の無良(21)は、冒頭の4回転で片手をついたが、3回転もつけた。この第2ジャンプは回転不十分の判定。トリプルアクセルは高く美しく、ほぼ全ジャッジが加点2。スピンは一つレベル4。ステップからのルッツは着氷が少しつまったが成功。演技構成点はつなぎ以外7点台初め。技術点最高の41.15、演技構成点4番目の35.5、合計76.65でSP2位の上々の滑り出し。

 ジュベール(仏。28)は、冒頭の4回転を決めると2回転をつけた。トリプルアクセルはオーバーターン。ステップからのルッツは成功。スピンが一つレベル1。しかし、もう一つのスピンはレベル4、ステップもレベル3だが全ジャッジが加点。えんぎはつなぎ以外7点台半ば。技術点3番目の38.73、演技構成点2番目の36.73、合計75.46でSP3位。
 チェコのヴェルネル(26)は悲惨な出来。4回転転倒、アクセルはパンクして1回転。ルッツからの連続3回転は第2ジャンプを無理につけたので回転不十分。スピンはレベル1と2と3。技術点最低の23.01、演技構成点5番目の35.36、合計57.4でSP9位。

 地元のアマディオ(22)も絶不調。4回転サルコウ回ったが転倒、ルッツからの連続ジャンプのはずがルッツが2回転で第2ジャンプがつかずに要素を失う。その上トリプルアクセルまで転倒。ブラジルのリズムにのせたステップは細かくふんで、ほぼ全ジャッジが加点1〜3をつけたが、レベル2。スピンは二つレベル3だが、一つは無得点に。技術点8番目の25.87、演技構成点3番目の36.26、合計60.13でSP7位。
 最終滑走のアボット(米。27)はSPに4回転を入れない予定だが、他の選手の有様では、それでも楽勝できそう。冒頭でフリップからの連続3回転をきれいに成功。ステップからのルッツも決めるとスピンを挟んで、後半にトリプルアクセルも成功。フライングスピンはレベル4、ステップはレベル2だが全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。技術点2番目の40.35、演技構成点最高の40.83、合計81.18で余裕のSP1位。

 フリーでは、SP4位だったベルギーのヘンドリクスが怪我のため棄権。そして、なんと無良が初優勝。第1グループでは、アマディオとナン・ソンが盛り返した。
 アマディオは、4回転を一つに減らし、冒頭で4回転サルコウを成功。続けてルッツからの連続ジャンプも決め、全ジャッジから加点。トリプルアクセルもなんとかおりる。スピンはレベル2と1だったが、ステップはレベル3。後半に二つ目のトリプルアクセル(第2ジャンプつかず)、フリップ(eマーク)、二つ目のルッツ、サルコウからの連続3回転とジャンプを成功。演技構成点もパフォーマンスと音楽表現で8点台。技術点2番目の76.6、演技構成点2番目の77.52、合計154.12でフリー1位、総合3位と地元の面目を保つ。
 宋楠も冒頭で4回転を成功。続けてトリプルアクセルからの連続ジャンプもなんとか決める。さらに単独のトリプルアクセル。これは加点の出来。スピン一つがレベル4。後半にルッツからの連続3回転、フリップ(eマーク)、ループとがんばる。さらにダブルアクセルからの連続ジャンプ、最後にサルコウも決めて、技術点3番目の76.23、演技構成点7番目の63.5、合計139.73でフリー4位、総合5位。

 ジュベールは、前回はフリーを棄権したので初披露。冒頭の4回転は、少しスピードと高さが足りず、回転不十分で転倒。二つ目は3回転に変更。トリプルアクセルからの連続ジャンプはなんとか決める。後半に、フリップ(eマーク)、ルッツ、ループ、サルコウからダブルアクセルのシークエンスと決める。フリップ(eマーク)からの連続ジャンプは減点評価。スピンはレベル1と2だが、ステップはレベル3で全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外7点台半ば。技術点6番目の62.32、演技構成点73.38、合計134.7でフリー5位、総合4位。
 無良は、緊張して、最初の構えをSPのポーズで始めたらしい。道理で最初手がもつれたように見えたわけだ。冒頭の4回転を美しく決める。全ジャッジが加点。続けてルッツからの連続3回転も決め、これも全ジャッジから加点をもらう。得意のトリプルアクセルはちょっとつまり、単独に変更。後半にトリプルアクセルからの連続ジャンプで全ジャッジから加点。サルコウ、ルッツと決める。しかし、最後のジャンプのフリップが絞まらず1回転に。BS朝日解説の佐野さんが「このフリップが後でどう響くか」と言う。スピンはレベル3と2と1。基礎点68.95に加点9点以上。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点最高の78.11、演技構成点3番目の76.92、合計154.03は自己ベスト大幅更新だが、0.09の僅差でフリーも2位、逆転で総合優勝。フリップを3回転跳ぶか3連続ジャンプがあれば、フリー1位になれたはず。
 最終滑走はアボット。まずルッツを成功。次の4回転は回転不足で両足。スローで見たらよく転ばないというくらい前向きだった。直後のスピンはレベル2。フリップからの連続ジャンプは無難に決める。後半最初のトリプルアクセルの連続は、一つ目はきれいで全ジャッジが加点。しかし二つは1回転になり、第2ジャンプは2回転。直後のスピンはレベル1。それでもルッツからの連続3回転、ループとがんばり、最後のサルコウで2回転。演技構成点は全て8点台前半。スケートアメリカほど大崩れしなかった。技術点4番目の63.75、演技構成点最高の82.7、合計146.45でフリー3位、総合2位。

 <女子シングル>10人参加。日本人は不出場(当初は安藤が参加予定)。四番滑走のガオ(米)は、冒頭の連続3回転の予定がステップアウトし第2ジャンプ入らず。ダブルアクセル、レベル4のフライングスピンの後、後半にループから連続ジャンプを付けた。演技構成点全て6点台。合計52.55でSP7位。
 ロシアのコロベニコワ(16)は冒頭できれいにトウループの連続3回転を成功。ステップからのループは回転不十分になったが、ダブルセアクセルは決めた。スピンは一つがレベル1だが、あとの二つはレベル3で全ジャッジが加点。「ロミオとジュリエット」の曲で、パフォーマンスだけ7点ちょうど。技術点6番目の27.33、演技構成点3番目の27.17、合計54.5でSP5位でフリーは第ニグループに。
 第2グループ最初はリプニツカヤ(露。14)。冒頭でルッツからの連続3回転をeマークながら決める。ステップからのフリップ、ダブルアクセルは加点の出来。スピンは二つがレベル4で全ジャッジが加点、最後のレイバックはレベル3だが全ジャッジが加点2〜3。演技構成点パフォーマンスだけ7点台前半。技術点最高の35.7、演技構成点2番目の27.85、合計63.55でSP1位。

 トゥクタミシェワ(露。16)は体が重そう。すっかりふっくらして、冒頭のトウループの連続3回転も決めたが減点評価。ステップからのルッツとダブルアクセルは無難に成功。得意だったレイバックスピンはレベル2。最後の足替えスピンはレベル4。演技構成点は音楽表現だけ7点台。技術点3番目の31.29、演技構成点4番目の26.97、合計58.26でSP3位。
 地元のメイテ(18)は、調子がよさそう。冒頭のトウループの連続3回転は全ジャッジが加点。ステップからのフリップはこらえたが、ダブルアクセルは後半に決めた。レイバックスピンはレベル2だが、最後の足替えスピンはレベル4。演技構成点つなぎ以外6点台前半。技術点4番目の29.8、演技構成点6番目の25.03、合計54.83でSP4位。
 最終滑走のワグナー(米。21)は、無難に滑れば間違いない感じ。「レッド・バイオリン」という曲。赤い衣装で自分をパイオリンに見立てたような振り付け。冒頭でフリップからの連続ジャンプをきれいに決め、全ジャッジが加点。レベル4のレイバックスピン、レベル3の足替えスピンも全ジャッジが加点。後半にダブルアクセル、ステップからのループと成功。ステップと最後のフライングスピンはレベル3だが、ほぼ全ジャッジが加点。全体に自信に満ちた演技で、演技構成点もつなぎ以外7点台後半。それでも技術点2番目の32.52、演技構成点最高の30.57、合計63.09で僅差のSP2位。

 フリーでは、ガオが少し挽回した。スケートアメリカ2位で優勝すればファイナル、ということがSPではプレッシャーになったのかもしれない。冒頭のフリップからの連続ジャンプを決めるとダブルアクセル、ルッツからの連続ジャンプもなんとか成功。ルッツはeマーク。足替えスピンはレベル1だったがレイバックスピンはレベル3で、ほぼ全ジャッジが加点。後半にトウループからの3連続も決め、技術点4番目の57.25、演技構成点も4番目の54.91、合計112.16で自己ベストには5点ほど及ばないが、第1グループではダントツの点数を出しその時点で1位、フリー4位、総合4位。
 地元のメイテは、冒頭3連続の予定だったがいきなり転倒。フリップの軸が曲がり、回転不足。しかし続くルッツ、ループと成功。レベル3のステップ、レベル4の足替えスピン、後半にダブルアクセルから3回転トウループ、フリップからの連続ジャンプ、トウループからの連続ジャンプと決め、技術点5番目の53.76、演技構成点6番目の49.99、合計102.75でフリー5位、総合5位。
 トゥクタミシェワも気迫を見せた。冒頭でルッツからの連続3回転を成功、全ジャッジが加点。続くソロのルッツは高くてきれいだった。これも全ジャッジが加点。レイバックスピンはレベル2だが全ジャッジが加点。後半にダブルアクセルから3回転トウループ、サルコウからの3連続と決め、フライングスピンはレベル4。ループは手をついたが、最後の足替えスピンもレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点最高の63.88、演技構成点2番目の57.48、合計121.36は自己ベスト更新でフリー2位、総合2位。

 ワグナーはオレンジの衣装で「サムソンとデリラ」の曲。メリハリのある演技で音楽をよく表現していた。冒頭できれいなフリップからの3連続は全ジャッジが加点。続けてダブルアクセルからの連続ジャンプ。フライングスピンとレイバックスピンはレベル3だが、レイバックは全ジャッジが加点1〜3。後半にループ、ルッツ(eマーク)、ループからダブルアクセルのシークエンス、フリップと成功。直線のステップとコレオシークエンス、最後の足替えスピンは全ジャッジが加点。プログラム全体が流れるように構成されていた。基礎点54.93に全体で8点近い加点。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。技術点2番目の62.91、演技構成点ダントツの64.63、合計127.54でフリー1位、逆転で総合優勝、ファイナル進出決定。
 最終滑走のリプニツカヤは、GPシリーズ初優勝をねらう。冒頭ルッツ(eマーク)からの連続3回転をなんとか決める。続くダブルアクセルからの連続ジャンプは第2ジャンプが1回転に。しかしダブルアクセルからの3連続は、第2ジャンプに3回転が入る。フライングスピンはレベル4。後半のルッツ(eマーク)は手を付き、サルコウは2回転に。少し力んで疲れたか。最後に足替えスピンとレイバックスピンは得意の柔軟性を生かした垂直足あげも入りレベル4、ほぼ全ジャッジが加点3。演技構成点は全て7点台初め。技術点3番目の58.72、演技構成点3番目の57.04、合計115.76でフリー3位、総合3位。またしてもフリーで逆転された。


フィギュアスケート (2012.11/6,8,)

スケートアメリカ ペア、アイスダンス (2012.10/20-22 ケント・ワシントン州) GP第1戦

 <ペア>7組参加。※高橋・トラン組は、高橋の肩の怪我で今季GPシリーズ欠場。
 第1グループ最後のカステッリ・シュネイピア組(米。22,25)は、前のふた組と違い、ペアらしい滑り。フライングスビンはレベル4。スローサルコウは全ジャッジが加点。技術点30.59、演技構成点25.08、合計55.67でSP5位。
 第2グループ最初のジェイムズ・シプレ組(仏。25,21)。あまり加点がつく内容ではなかったが、全ての要素を確実にこなそうという姿勢。ステップ、リフト、フライングスピンでレベル4。技術点30.28、演技構成点25.48、合計55.76は自己ベスト更新で、僅差の4位。

 全米王者のデニー・コーフリン組(19,26)。「アランフエス」の曲。高速ツイストは全ジャッジが加点。レベル4のリフトも全ジャッジが加点。ステップもレベル4。演技構成点はつなぎと音楽表現以外は7点台前半。技術点、最高の33.14、演技構成点3番目の27.61、合計60.75でSP3位。
 パン・トン組(中。32,33)は、パソドブレの曲。ソロジャンプで男性が転倒。ツイストは全ジャッジが加点。スロージャンプはタッチがあり減点評価。しかしレベル4のリフトとステップ、レベルは3だが最後のフライングスピンは全ジャッジが加点。演技構成点も滑走技術と振り付けで8点台。技術点3番目の31.5、演技構成点2番目の31.46、合計61.96でSP2位。
 最終滑走のヴォロソジャル・トランコフ組(露。26,29)。映画「ゴッドファーザー」の「愛のテーマ」の曲。冒頭のツイストは男性が女性をキャッチができず。見えなかったジャッジもいたらしく-1から2の評価。ソロジャンプは男性がオーバーターン。スロージャンプもなんとか立った。リフト、ステップ、フライングスピンはレベル4。演技構成点はつなぎ以外8点台。技術点2番目の32.87、演技構成点最高の32.91、合計65.78でSP1位。

 フリーでは、カステッリ・シュネイピア組は、トウループのソロジャンプ、ダブルアクセルのスロージャンプを成功。しかし、連続ジャンプになるはずのダブルアクセルのシークエンスでは、女性がステップアウトして第2ジャンプがつかず。その後のサルコウのスロージャンプは全ジャッジが加点1〜3。フライングソロスピンとペアスピン、終盤のリフトの二つがレベル4。技術点56.1、演技構成点52.42、合計108.52は自己ベスト更新したが、フリーも5位、総合5位。
 僅差でSP4位のジェイムズ・シプレ組は、サルコウのソロジャンプ、トウループの連続ジャンプを成功。レベル4のデススパイラルは全ジャッジが加点。ペアスピンとリフト二つもレベル4。二つ目のスロージャンプで手をついたが、技術点3番目の58.87、演技構成点53.03、合計11.9はこれも自己ベスト更新を出し、ものすごくキスアンドクライで喜んでいた。フリー4位、総合4位。
 デニー・コーフリン組は、「オペラ座の怪人」の曲。冒頭のツイストは相変わらず見事。全ジャッジが加点。ループのスロージャンプ、トウループのソロジャンプは成功したが、ダブルアクセルのシークエンスは、男性が回転不十分。リフト二つとペアスビンがレベル4。最後のリフトは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点もつなぎ以外7点台前半。技術点2番目の59.97、演技構成点3番目の57.5、合計117.47でフリー3位、総合3位。

 パン・トン組は冒頭、ダブルアクセルのシークエンスを成功。得意のツイストは全ジャッジが加点。ソロジャンプは、男性の調子が悪いらしく2回転。フライングソロスピンとリフトは三つともレベル4。なぜかデススパイラルが無得点。終盤のループのスロージャンプと最後のリフトも全ジャッジが加点。技術点4番目の57.59、演技構成点2番目の65.61、合計123.2でフリー2位、総合2位。
 最終滑走はヴォロソジャル・トランコフ組。冒頭のツイストは、SPと違って見事な出来。全ジャッジが加点2〜3。サルコウからの連続ジャンプも成功。デススパイラル、スピン二つとリフト二つがレベル4。二つ目のリフトのランディングがヘンだったと思ったら、二つ目のスロージャンプは転倒。しかし演技構成点さすがに全て8点台。技術点ただひと組60点を超え62.47、演技構成点最高の67.87、合計129.29でフリーも1位、総合優勝。

 <アイスダンス>それにしても、テレビ朝日のペアとアイスダンスの放送は手抜きだ。今季のパターンダンスがヤンキーポルカなのは、先のシーズンの終わりに藤森さんがJスポーツの解説で言っていたから知っているが、キーポイントまではわからない。7組参加。
 初めにふた組アメリカのカップルが登場。カヌーシオ・マクマナス組(20,22)と、クリンクライラット・ギレティ-シュミット組(24,27)。前者は昨季全米シニア6位、後者は全米4位。ふた組ともパターンダンスはレベル2。前者はツイズルだけレベル4、合計47.98でSD7位。後者は、ツイズルと直線のリフトがレベル4で全ジャッジが加点。演技構成点もつなぎ以外6点台後半。合計53.89で自己ベスト更新し、SD4位。フリーは第2グループに。
 イタリアの若手アレッサンドリーニ・ヴァトゥーリ組(22,24)は、「メアリー・ポピンズ」からの曲。女性の赤い衣装が素敵だった。パターンダンスはレベル2。ツイズルはレベル3。直線のリフトとステップは、ほぼ全ジャッジが加点したが、レベル2。合計50.36と得点がのびずSD6位。

 ドイツのジガンシナ・ガージ組(25,28)は、持ち味の芝居っけを生かして楽しいダンスになっていたが、ポルカはレベル2と1。冒頭のツイズルと最後のカーブのリフトはレベル4。演技構成点も三つの要素で7点台。しかしパターンダンスの低得点がひびき、技術点5番目の24.34、演技構成点4番目の27.96、合計52.3でSS5位。
 ボブロワ・ソロビエフ組(22,23)は、冒頭のポルカの第1パートでレベル4。レベル4のリフトとレベル3のステップは全ジャッジが加点。演技構成点は三つの要素で8点台。技術点3番目の31.16、演技構成点3番目の31.75、合計62.91でSD3位。

 カナダの2番手ウィーバー・ポジェ組(23,25)は、「サウンド・オブ・ミュージック」の曲。冒頭のヤンキーポルカは、レベル4と3で全ジャッジが加点。ツイズルとステップはレベル3だったが、回転リフトはレベル4で全ジャッジが加点。演技構成点は全て8点台。技術点2番目の32.66、演技構成点2番目の33.13、合計65.79でSD2位。
 最終滑走のデイヴィス・ホワイト組(米。25,24)は、パレエ「ジゼル」の曲。コーチをシュピルバンドからマリナ・ズエワに変えた。冒頭のツイズルは速くてレベル4、全ジャッジが加点2〜3。ステップはレベル3だがやはり全ジャッジが加点2〜3。ヤンキーポルカは、レベル2と4。最後の回転リフトはレベル4で全ジャッジが加点2〜3ついたが時間オーバーで減点1。演技構成点は全て9点台前半。技術点最高の35.25、演技構成点最高の37.14、合計71.39でダントツのSD1位。

 フリーでは、ジガンシナ・ガージ組は、吸血鬼(?)のようなメイク。レベル4のツイズル、リフトから入ったが、ステップが2つともレベル2、スピンはレベル1ととりこぼし。しかし、終始表情と演技で観客をひきつけた。演技構成点は、音楽表現など三つの要素で7点台前半。技術点6番目の38.2、演技構成点5番目の42.07、合計80.27でフリー5位。
 後半最初はクリンクライラット・ギレティ-シュミット組。冒頭のカーブのリフトはレベル4で全ジャッジが加点。直線のリフトは、女性が片足宙づりの変わった形。これも全ジャッジから加点。ステップはレベル2ト3だが、ツイズルとスピンはレベル4。全体にそつがない。演技構成点は全て7点台前半。技術点3番目の44.17、演技構成点4番目の43.35、合計87.52で自己ベスト更新、フリー4位。
 ボブロワ・ソロビエフ組は、シンプルな衣装。冒頭の回転リフトとツイズルはレベル4。ステップは二つともレベル3だが、スピンとリフト三つはレベル4に全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。技術点2番目の47.74、演技構成点3番目の49.33、合計97.04でフリー2位、逆転で総合2位。

 ウィーバー・ポジェ組は、いつもプログラムに物語を感じさせる。今回は女性が初め彫刻のように立っていて、男性が生命を吹き込んでいくように見えた。ただ、SDの方が滑り込んであるようで、後半は少し滑らかさが落ちた。冒頭のスピンはレベル2。リフトは四つともレベル4に全ジャッジから加点がついたが、ステップは二つともレベル2、ツイズルはレベル3。終わったとき、男性は自分の額をたたいていた。演技構成点は全て8点台。技術点4番目の41.59、演技構成点2番目の49.94、合計92.53でフリー3位、総合3位。
 最終滑走のデイヴィス・ホワイト組は、「ノートルダム・ド・パリ」の曲。冒頭のスピンと回転はレベル4で全ジャッジが加点2〜3。ツイズルでは男性が途中大きく方向がそれたが、タイミングは合わせた。演技構成点は全て9点台半ば。技術点最高の48.16、演技構成点も最高の56.73、合計104.89でフリーも1位、総合優勝。



ページトップへ

フィギュアスケート (2012.11/10,11,12,)

ロシア杯 (2012.11/9〜11 モスクワ) GP第4戦

 <女子シングル>村上が参加。SPは10人出場。1番滑走のゴールド(米。17)が1位。冒頭でフリップからの連続3回転を決める。続けてステップからのルッツも成功。これでのって、ダブルアクセルは全ジャッジが加点。スピンは三つともレベル4。演技構成点はパフォーマンスだけだが7点台。技術点最高の34.92、演技構成点6番目の27.24、合計62.16。
 ジャン(米。19)は、GP2戦目だがまだ太め。冒頭のループからの連続ジャンプは決めたが、ステップからのフリップがパンクして要素を失う。得意のスピンもフライングスピンはレベル2、レベル4は最後のレイバックだけ。技術点9番目の21.84、演技構成点最低の24.31、合計46.15でSP10位。
 スケートアメリカ4位のマルケイ(伊。26)もGP2戦目。冒頭の連続ジャンプの間にターンが入り、要素を失う。ダブルアクセルは回転不十分で手をついた。ステップがレベル2、終盤のスピンは二つともレベル1。技術点裁定の20.48、演技構成点8番目の25.77、合計46.25でSP9位。思いがけない点数に、ジャンセンコーチともどもビックリしていた。

 第2グループ最初は、スケートアメリカ3位のソトニコワ(露。16)。冒頭のトウループの連続3回転は全ジャッジが加点。しかしステップからのフリップが1回転、要素を失う。前回と同じらしい。スピンは三つともレベル4。ステップもレベル3だが全ジャッジが加点。「スペイン奇想曲」を表現し、演技構成点はつなぎ以外7点台初め。技術点4番目の29.11、演技構成点4番目の28.0、合計57.11でSP5位。
 スケートカナダ3位の村上(18)は、冒頭のステップはレベル4。ダブルアクセルは全ジャッジが加点1〜3。スピンは二つがレベル4。後半のトウループの連続3回転は第2ジャンプが回転不十分。ステップからのフリップも回転不十分の上、転倒。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点5番目の29.01、演技構成点3番目の28.77、合計56.78でSP6位。

 コルピ(フィン。24)は、ドビュッシー作曲「亜麻色の髪の乙女」の曲。冒頭のトウループからの連続ジャンプは成功。ステップからのループ、フライングスピン、後半のダブルアクセル、最後の足替えスピンは全ジャッジが加点。特に直線のステップは美しく、レベル4に加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点3番目の31.51、演技構成点最高の30.04、合計61.55でSP2位。
 最終滑走のレオノワ(露。22)もGP2戦目。冒頭のトウループの連続3回転は全ジャッジが加点1〜3。ステップからのフリップはなんとか決めた。しかしアクセルが半回転。要素を失う。終盤のステップはレベル3で全ジャッジが加点、足替えスピンはレベル4とがんばった。技術点6番目の28.91、演技構成点2番目の29.94、合計58.85でSP4位。

 フリーでは、マルケイは慎重に滑った。冒頭でものすごくていねいにルッツを決めると第2ジャンプはつけず。ダブルアクセルからの連続ジャンプも成功。SPでレベル1だったフライングスピンと足替えスビンは確実にレベル4。後半にルッツからの連続ジャンプを決める。サルコウからの連続ジャンプは回転不十分で第2ジャンプは1回転。技術点6番目の50.88、演技構成点8番目の51.54、合計102.42でフリーは挽回し5位、総合9位。
 村上は、冒頭のルッツがeマーク。ループ、フリップとなんとか成功し、全ジャッジが加点。解説の荒川が「すごく集中している。」と言う。ステップはレベル3だが全ジャッジが加点1〜3。しかし後半のループからの連続ジャンプは第1ジャンプが回転不十分。二つ目のフリップはぐらついて第2ジャンプつけられず。しかも最後のジャンプに3回転トウループを跳んで必須のアクセルを入れ忘れたため、無得点。サルコウからの3連続は決め、終盤のスピンは二つともレベル4。全体としてはまとめたが、技術点3番目の53.22、演技構成点4番目の56.34、合計109.56でフリー3位、0.27の僅差で総合4位。

 後半グループ最初はソトニコワ。冒頭のルッツはeマークでほぼ転倒。フリップからの3連続は第3ジャンプが1回転。サルコウからの連続ジャンプも成功。しかし後半のフリップ、ループで続けて転倒。スピンもレベル4は一つだけであとは2と3。技術点8番目の48.28、演技構成点5番目の55.59、合計100.87でフリー7位、総合5位。
 レオノワは、冒頭でトウループの連続3回転を跳んだが第2ジャンプが回転不十分。ループも回転不十分で手を付いた。続くルッツは2回転でeマーク。スピン二つはレベル4だが、ステップとスピン一つがレベル2。解説の荒川も「元気がない」。後半のサルコウは1回転、フリップからの連続ジャンプは第2ジャンプが回転不足で両足。技術点最低の41.17、演技構成点3番目の57.25、合計98.42で、三回転んだソトニコワも上回れず、フリー8位、総合6位。
 SP3位のザワツキー(18)は、冒頭のルッツは成功。トウループの連続3回転は第2ジャンプが回転不十分。フリップはeマーク。スピンは三つともレベル4。ダブルアクセルは全ジャッジが加点。後半最初のルッツからの連続ジャンプはルッツが2回転に。しかしダブルアクセルからの3連続は決める。技術点51.10、演技構成点55.33、合計106.43でフリー4位、総合3位。

 コルピも慎重に滑っていた。冒頭のトウループの連続3回転をきれいに決める。続けてルッツ、フリップと成功(フリップはeマーク)。スピン三つとステップもレベル4。ループからの連続ジャンプはループが2回転に。後半最初のサルコウからの3連続を決めて、少し気が緩んだのか得意のループで転倒。コレオシークエンスは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はただ一人全て7点台。技術点最高の56.12、演技構成点も最高の60.52、合計115.64で自己ベスト更新、フリー1位、逆転で総合優勝。
 最終滑走のゴールドは、冒頭でルッツからの連続3回転を決め、全ジャッジが加点1〜3。フリップはeマーク。ダブルアクセルとレベル4のレイバックスピン全ジャッジが加点。最終滑走の緊張からかループと二つ目のルッツが2回転。ダブルアクセルからの3連続は第3ジャンプが1回転。しかし最後の足替えスピンもレベル4で、技術点2番目の54.77、演技構成点も2番目の58.10、合計112.87でフリー2位、総合2位。

 <男子シングル>織田と小塚が参加。第1滑走に3年ぶりのウィア(米。28)。冒頭の4回転は回転不足で両足、転倒。トリプルアクセルも片手つき。連続ジャンプは2回転ルッツと2回転トウループで要素を失う。スピンとステップもレベル2と3。演技構成点は三つの要素で7点台。技術点23.79、演技構成点34.68、合計57.47でSP10位と甘くない再出発。
 メンショフ(露。29)はGP2戦目。まずトリプルアクセルをやや強引に決め、次に4回転3回転の連続ジャンプを成功、ほぼ全ジャッジが加点。ステップからのルッツも決めた。スピンは足替えだけレベル4、あとの二つはレベル3。全体に加点は少ないが、手堅く要素を積み上げ、技術点最高の42.51、演技構成点9番目の34.22、合計76.73でSP2位。
 カザフスタンのデニス・テン(19)は、スケートカナダのときよりジャンプが不調。4回転で転倒、トリプルアクセルも転倒。スピンはレベル3と4だが、フリップからの連続ジャンプはフリップが2回転でeマーク、なんとか3回転トウループをつけたが、全ジャッジが減点-3。技術点9番目の26.56点、演技構成点8番目の34.86、合計59.42でSP9位と大ブレーキ。

 第2グループ最初に織田(25)。スケートカナダのときと同じように固い顔。冒頭の4回転は回らずトウループの連続3回転に。続くアクセルがなんと1回転に。要素を失う。ステップからのフリップは決める。スピン一つとステップはレベル2。演技構成点は全て7点台。「古の月に抱かれた新月」という曲でローリ・ニコルの振り付けだが、まだ曲想が充分表現できているとは言えない。技術点8番目の27.24、演技構成点5番目の35.94、合計63.18でSP8位と出遅れ。インタビューで「GPファイナルへの意識が出て緊張した」と言っていた。
 ガチンスキー(露。19)はまだ不調。冒頭の4回転で転倒。トリプルアクセルは成功、全ジャッジが加点。ルッツからの連続ジャンプはルッツが少し詰まったので3回転はつけられず。スピン一つがレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台。技術点38.21、演技構成点36.86、合計74.07でSP5位。
 小塚(23)は、冒頭の4回転はなんとか立つが、両足で回転も不充分。スピンもレベル4は一つだけ。二つはレベル3に落ちる。トリプルアクセルは片手つき。後半のルッツからの連続3回転は美しく、ほぼ全ジャッジが加点。ステップはレベル3だが、全ジャッジが加点。演技構成点は滑走技術が8点ちょうど。技術点5番目の37.99、演技構成点2番目の38.35、合計76.34でSP2位。

 ブレジナ(チェコ。22)は、冒頭の4回転がパンクして2回転に。フリップからの連続3回転とトリプルアクセルはきれいに成功、全ジャッジが加点。スピン二つはレベル4、ステップはレベル3だがほぼ全ジャッジが加点2〜3。しかし最後のスピンがレベル1。演技構成点つなぎ以外7点台後半。技術点6番目の35.69、演技構成点3番目の38.14、合計73.83でSP6位。フリーは前半組に。
 最終滑走のチャン(加。22)は、冒頭の4回転の後ろに1回転をつけてしまい、要素を失う。トリプルアクセルとステップからのルッツは全ジャッジが加点1〜3。スピンもレベル4が一つ、二つはレベル3だが全ジャッジが加点。ステップはレベル3だが、全ジャッジが加点2〜3。演技構成点全て8点台後半。技術点2番目の41.62、演技構成点ダントツの43.82、合計85.44で、要素がひとつなくても2位メンショフに8点以上の差をつけ、余裕のSP1位。

 フリーは、SP10位のウィアが棄権。どこか傷めたらしい。デニス・テンは、立て直せなかった。冒頭の4回転の予定は1回転。二つ目も2回転。トリプルアクセルはきれいに決め、ステップと足替えスピンで全ジャッジが加点をもらったものの、ルッツで両手つき。フリップ、ループをきれいに跳んだのに、二つ目のフリップで転倒。最後のトウループは2回転。技術点最低の49.33、演技構成点8番目の70.02、合計118.35でフリー9位。
 織田は、冒頭の4回転は転倒したが、あとはよい出来。トリプルアクセルは全ジャッジが加点2〜3。続くトリプルアクセルからの連続ジャンプも全ジャッジが加点。後半には、ルッツからの連続3回転とフリップからの3連続も決めた。ステップとスピン二つはレベル3だったが、最後の足替えスピンはレベル1ととりこぼし。演技構成点は全て7点台。SPよりのびのびと滑れていた。技術点2番目の81.76、演技構成点5番目の73.98、合計154.74でフリー2位、総合5位。
 ブレジナも冒頭の4回転サルコウは転倒。続くトリプルアクセルはきれいに成功したのに、次のサルコウがパンクして2回転に。後半にトリプルアクセルからの連続3回転も決めた。最後にサルコウからの3連続も成功。スピンはフライングだけレベル4。演技構成点全て7点台。うち三つの要素で7点台後半。技術点3番目の76.81、演技構成点3番目の74.92、合計150.73でフリー4位、総合3位。

 ガチンスキーもSPよりはよかった。冒頭の4回転二つは両方ともよく転ばないですんだ、というもの。二つ目に第2ジャンプ付かず。トリプルアクセル、トリプルアクセルからの連続ジャンプはきれいに成功。しかし後半に疲れが出て、ルッツが1回転、サルコウが2回転。スピンもレベル3が二つとレベル2が一つ。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点7番目の62.79、演技構成点6番目の72.98、合計135.77でフリー7位、総合7位。
 小塚も冒頭の4回転は両足でこらえたが、回転不十分。二つ目は転倒で第2ジャンプ付けられず。トリプルアクセルは決めた。レベル4の足替えスピンとレベル3のステップは全ジャッジが加点。後半にトリプルアクセルからの3連続を跳んだが、トリプルアクセルで片手つき。レベル4のフライングスピン、フリップ、ループと成功。コレオシークエンスは全ジャッジが加点1〜3。最後にルッツからの連続3回転を決めるも第2ジャンプが回転不十分。演技構成点は滑走技術と振り付けで8点台。技術点4番目の74.71、演技構成点2番目の79.94、合計153.65でフリー3位、総合2位、ファイナル進出決定。

 メンショフは、冒頭で安定した4回転を決め、全ジャッジが加点1〜3。トウループからの連続ジャンプ、トリプルアクセルと立て続けに成功したが、ルッツでステップアウト。トリプルアクセルかの連続ジャンプも決め、スピン二つがレベル4。後半にはループからの3連続も決めたが、演技構成点はつなぎ以外7点台半ば。技術点6番目の72.83、演技構成点4番目の74.16、合計146.99でフリー5位、総合4位。
 最終滑走のチャンは、冒頭で美しい4回転3回転、続けてもう一つ4回転を決め、ここで既に勝負がついた。しかも全ジャッジが加点2〜3。ステップも全ジャッジが加点2〜3。後半のアクセルとループが2回転になっても問題なし。解説の本田は、「無理にトリプルアクセルを跳ばないで、とっさにほどいてきれいな2回転に変えて成功した。」と言う。スピンは三つともレベル4。コレオシークエンスも全ジャッジが加点。演技構成点は全て9点台。技術点最高の84.21点、演技構成点ダントツの92.7、合計176.91でフリーも1位、総合優勝。


フィギュアスケート (2012.11/3,4,5)

中国杯 (2012.11/2〜4 上海) GP第3戦

 <女子シングル>浅田真央が参加。石原都知事が尖閣諸島を購入する、と言ったせいで日中間で摩擦が続く中、警護の人数を増やして参加。SPでは、ロシアの新星リプニツカヤが1位。真央は2位。
 第1グループの4番目にリプニツカヤ(14)登場。去年見たときよりだいぶ背が伸びた。冒頭でルッツからの連続3回転を成功。去年ほど軽々とは見えなかったが、GP初参戦で慎重に跳んだのかも。ステップからのフリップはeマーク。アクセルはきれいに決め、得意のスピンは三つともレベル4。特に最後の独特のレイバックスピンは、全ジャッジが加点2〜3。BS朝日解説の荒川は、「ステップのエッジがもう少し深いとシニアの滑りに近づく。」と言う。演技構成点はパフォーマンスのみ7点台。技術点最高の35.35、演技構成点4番目の27.71、合計63.06でその時点ではダントツの1位、SP1位。
 地元中国の三人目、李子君(15)は、冒頭の連続3回転をきれいに成功。全ジャッジが加点。中国の他の選手と違い、滑りがきれいにエッジにのっている。アクセルは後半に跳び、1.1倍の得点。やはりスピンが得意で、三つともレベル4。BS朝日の解説、荒川は「ジャンプがまっすぐなので、成長しても跳び方を変えなくていい」と言う。技術点2番目の33.79、演技構成点全て6点台で6番目の25.42、合計59.21でSP5位。
 カナダ女王、ラコステ(23)は第2グループ二人目で登場。冒頭はきれいなダブルアクセルから。全ジャッジが加点。続いてスケートカナダで失敗したフリップからの連続も決める。スピン二つでレベル4。後半にステップからのループも成功。ステップはレベル3だが全ジャッジが加点。演技構成点は全て6点台後半。技術点5番目の30.25、演技構成点も5番目の27.18、合計57.43は自己ベスト更新でSP6位。

 長洲未来(米。19)は、今季GPシリーズはこの一戦のみ。少し太った。コーチもフランク・キャロルではなくなったようだ。冒頭の連続3回転は第2ジャンプが回転不十分。しかし、あとは概ね加点の出来。ダブルアクセルと最後の足替えスピン、レイバックスピンは全ジャッジが加点。技術点4番目の31.04、演技構成点はつなぎ以外7点台前半にまとめ、3番目の28.72、合計59.76でSP3位。
 浅田真央(22)は、冒頭できれいなダブルアクセル。全ジャッジが加点。フリップからの連続ジャンプは、荒川が心配したとおり、フリップが回転不十分。しかし、スピン三つとステップはレベル4。スピンは全て全ジャッジが加点、特に最後のレイバックは加点1〜3。演技構成点つなぎ以外7点台後半。技術点3番目の31.83、演技構成点最高の31.06、合計62.89の僅差でSP2位。
 最終滑走はコルピ(フィン。24)。最年長の参加となった。冒頭の連続ジャンプでステップアウト。ステップからのループは成功。スピンは二つとステップがレベル4。特にステップは、-1〜3と評価が割れた。最後のレイバックは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点6番目の29.26、演技構成点2番目の30.43、合計59.69でSP4位。59点台に三人並び、3位争いは熾烈。

 フリーでは、中国の最下位の選手が棄権、9人。第2グループ最初に地元の李子君。冒頭でフリップからの連続3回転を回転不十分ながら決める。続けてダブルアクセルからの3回転トウループも成功。しかしルッツで転倒。スピンは二つがレベル4。後半にループからの3連続も決めるが、フリップでまた転倒。演技構成点も6点台にまとめ、技術点3番目の51.58、演技構成点51.27、合計100.85でフリー5位は、立派。すくすく伸びたらソチ五輪では、こわい存在かも。
 コルピは、冒頭で連続3回転を成功。続くルッツも決めたが、フリップが1回転に。後半にサルコウからの3連続を決めたが、ループがまたもや1回転に。スピン三つとステップはレベル4。技術点4番目の51.03、演技構成点2番目の59.14、合計110.17でフリー3位、総合3位。
 長洲は、ジャンプが不調。冒頭のルッツがダブルアクセルからの連続ジャンプは第2ジャンプが回転不足。フリップからの3連続もeマークだがなんとか決めた。ループは回転不足。スピンは三つともレベル4。技術点6番目の45.89、演技構成点57.81、合計103.70でフリー4位、総合4位。

 浅田真央は、得意のループから入り、ほぼ全ジャッジから加点。ダブルアクセルからの3回転トウループは、トウループが回転不足。フリップは回転不十分。ルッツはeマーク。しかしスピンは三つともレベル4、ほぼ全ジャッジが加点。最後のコレオシークエンスは、全ジャッジが加点2〜3。タラソワが振り付けた「白鳥の湖」をうまく表現した。演技構成点はつなぎとパフォーマンス以外は8点台。技術点2番目の54.53、演技構成点最高の64.34、合計118.87でフリー1位、逆転で優勝。
 最終滑走のリプニツカヤは、冒頭でルッツからの連続3回転を跳んだが、ルッツが回転不十分。ダブルアクセルからの3回転トウループで両手つき。明らかに昨年とは違いジャンプが軽々と跳べていない。スピンは二つがレベル4。最後のレイバックは後ろ足がほぼまっすぐに上がり、BS朝日の森下アナは「キャンドルスピン」と叫んでいた。全ジャッジが加点2〜3。なぜかその前の足替えスピンがレベル1。演技構成点は全て7点台前半。技術点は最高の57.43、演技構成点4番目の57.43、合計114.86でフリー2位、総合2位。

 <男子シングル>9人出場。高橋、町田が参加。第1グループは4人。2番目にロシアのヴォロノフ(25)。GPシリーズ参戦7年目。いきなり冒頭で4回転2回転を決めてきた。トリプルアクセル、ステップからのループも決め、最後のスピンはレベル4。技術点4番目の39.44、演技構成点34.14、合計73.58でSP3位。
 地元中国の三人目、ソン(22)は、冒頭の4回転で転倒。トリプルアクセルは成功し、後半ルッツからの連続3回転を決めてきた。スピン二つとステップがレベル3。技術点3番目の39.53、演技構成点32.33、合計70.86でSP5位。
 後半最初のレイノルズ(加。22)は、冒頭で4回転サルコウに挑んだが転倒。トリプルアクセルはステップアウト。後半にルッツからの連続3回転を成功。スピン二つとステップはレベル4。演技構成点は音楽表現だけ7点台。技術点5番目の36.48、演技構成点34.39、合計69.87でSP6位と出遅れ、フリーは第1グループに。

 ジュベール(仏。28)は、GPシリーズ12年目。冒頭で4回転をやめ、トウループの連続3回転に。トリプルアクセルでステップアウト。ステップからのルッツはなんと2回転に。スピンもレベル3と2。演技構成点はつなぎ以外7点台だが、技術点27.2、演技構成点4番目の36.07、合計63.27でSP7位は大きく出遅れ。
 リッポン(米。22)は、コーチをアルトゥニアンに変更、髪もばっさり切ってきた。冒頭はスピンから入る珍しい構成。しかし、トリプルアクセルで転倒。フリップからの連続3回転は決めたが、ステップからのルッツは回転不十分。スピン二つでレベル4。演技構成点は全て7点台。技術点35.77、演技構成点37.04、合計71.81でSP4位。

 町田(22)は、スケートアメリカの時よりメリハリがきいているようだ。冒頭の美しいトリプルアクセルで全ジャッジから加点2〜3。続くフリップからの連続3回転も高く、全ジャッジが加点。スピン二つとステップはレベル4。ステップからのルッツも後半に成功。基礎点37.7に6点以上の加点。演技構成点ではパフォーマンスで8点台。技術点最高の44.16、演技構成点2番目の39.32、合計83.48でSP2位。スケートアメリカでの表彰台が自信になっている感じ。BS朝日の解説、田村は、「羽生は一気に世界のトップに出てきたが、町田は反対に少しずつレベルアップしてきた。」と言う。
 最終滑走は高橋(26)。冒頭の4回転は回転不十分で両足。フライングスピンは加点0〜3。ルッツからの連続3回転も成功。後半に美しいトリプルアクセルを決め、全ジャッジが加点1〜3。ステップもレベル3だが、全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は全て8点台。今まで使ったことのないロックンロールの曲で、羽生を教えていた阿部奈々美さんの振り付け。技術点2番目の41.90、演技構成点最高の42.89、合計84.79でSP1位。

 フリーでは、何とジュベールとソンが棄権。ジュベールは、腹痛と発熱。ソンは直前の6分間練習でリッポンと激突。第1グループは3人、第2グループは4人に。
 SP8位の地元の若手、王一(20)は、GPシリーズ初参戦。冒頭で4回転に挑み、きれいに下りた。続く二つ目の4回転はステップアウトで第2ジャンプつかず。後半に入りルッツで派手に転倒。しかし、フリップからの連続ジャンプを二回決め、スピンも二つがレベル4。なかなか滑りがエッジにのっていて好印象。演技構成点も全て6点台とまとめ、技術点3番目の68.52、演技構成点63.50、合計131.02でフリー6位、総合6位。
 レイノルズは、また冒頭で4回転サルコウに挑戦したがステップアウト。続く4回転トウループはパンクして2回転に。トリプルアクセルからの連続3回転はなんとか決めた。直線のステップと足替えスピンはレベル4。次も4回転の予定だったが、フリップからの連続3回転に変更。その後なぜか二つ目のフリップが2回転になり、転倒。ルッツはeマーク、サルコウからの連続ジャンプとがんばった。演技構成点は全て6点台後半。技術点4番目の62.17、演技構成点5番目の67.20、合計128.37でフリー5位、総合5位。

 後半最初はリッポン。ショックのせいか最初のアクセルが1回転。ループは片手つき。レベル4のステップあたりから調子を戻し、フライングスビンは全ジャッジが加点。後半に入り、トリプルアクセルも決めた。ルッツからの3連続も成功。ただ、二つ目のルッツは回転不足で転倒に近い減点評価。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点61.81、演技構成点3番目の71.86、合計133.67でフリー4位、総合4位。
 ヴォロノフは、フリーでも4回転を決めてきた。続けてソロのトリプルアクセル、トリプルアクセルからの連続ジャンプと得点を稼ぐ。スピンは三つともレベル3だが、後半には、eマークながらフリップ、ダブルアクセルからの3連続、ループ、サルコウと決める。あまり加点はないものの確実に滑り、演技構成点もつなぎ以外7点台前半。技術点2番目の73.59、演技構成点4番目の70.44、合計146.96でフリー3位、総合3位。表彰台へ。

 町田は、冒頭でトリプルアクセルをきれいに決める。ほぼ全ジャッジが加点。しかし続く4回転で転倒。その後のルッツからの連続3回転は成功。惜しかったのは、後半のトリプルアクセルがステップアウトし、第2ジャンプがつかなかったこと。しかし、ループ、ルッツ、フリップからの連続ジャンプ、サルコウと決めて6種類全て成功。スピン二つがレベル4。技術点最高の76.66、演技構成点2番目の77.78、合計153.44で自己ベスト更新、フリー1位でなんと逆転で初優勝。初のGPファイナル進出も決定。
 高橋は、冒頭の4回転は、転倒を避けるため途中で開いて両足着氷、回転不足。二つ目の4回転も回転不十分でなんとか1回転をつける。トリプルアクセルはきれいに成功。スピンは三つともレベル4。ステップは二つとも全ジャッジが加点1〜3。ルッツからの連続ジャンプもなんとか下りた。二つ目のトリプルアクセルは両足で第2ジャンプつかず。ループでとうとう転倒。技術点5番目の65.30、演技構成点は貫禄で最高の82.66、合計フリー2位、総合2位。



ページトップへ

フィギュアスケート (2012.10/25,28,29,11/2)

スケートカナダ (2012.10/27-29 ウィンザー・オンタリオ州) GP第2戦

 <女子シングル>村上と鈴木が出場。一番滑走のカナダの若手オズモンド(16)がノーミスの演技。冒頭で連続3回転を軽々と跳び、全ジャッジから加点。スピン二つがレベル4、演技構成点は音楽表現が7点台。技術点最高の33.21、演技構成点5番目の27.35、合計60.56で、シニアデビュー戦でSP2位の好発進。
 ゴールド(米。16)は、冒頭のフリップからの連続3回転の第二ジャンプが回転不十分。後半のダブルアクセルでも転倒。スピン二つでレベル4を捕ったが、本来の滑りは出せず。合計52.19でSP9位。
 続くジャン(米)は、ちょっと太め。冒頭は連続3回転の予定が第二ジャンプは2回転。ステップからのフリップがマイナス評価。後半のスピン二つはレベル4。しかし、合計52.97でSP8位。

 シェルペン(露。19)とトゥクタミシェワ(露。16)は、ジャンプで転倒。シェルペンは二度も転び、合計46.18で最下位。トゥクタミシェワは合計55.1でSP6位。BS朝日の解説、荒川は、シェルペンについて「ジュニアのときはジャンプがとても安定していたが、急に背が伸びたりして決まらなくなった。」と言う。トゥクタミシェワは、そんなに背は伸びていないが、少しふくよかになった。女子選手は成長につれて難しい時期がやってくる。成長期のダイエットは危険だし、筋力も落ちてしまう。
 SP首位は、ゲデバニシビリ(22)。ずいぶん体を絞っていた。冒頭のルッツからの連続3回転は回転不十分となったが、あとはほぼノーミスで、スピン一つとステップがレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台、終わった後、すごく嬉しそうだった。技術点2番目の31.48、演技構成点最高の29.32、合計60.8。

 村上(17)は、ステップから始まる構成。ダブルアクセルはとてもよかったが、連続3回転で回転不十分があり、ステップからのフリップでは完全に両足で回転不足。2回転の認定で要素を失う。演技構成点はつなぎ以外7点台。技術点5番目の27.7、演技構成点3番目の28.51、合計58.56でSP4位。
 最終滑走は鈴木(26)。冒頭で連続3回転に挑戦したが、回転不足。ステップからのルッツはeマーク。ダブルアクセルは美しく全ジャッジが加点。「キルビル」の曲にのせて演技構成点は全て7点台。技術点9番目の26.17、演技構成点2番目の28.95、合計55.12でSP5位。

 フリーは、第1グループ最終滑走のトゥクタミシェワが少し挽回。冒頭でルッツからの3連続に挑戦。第3ジャンプが1回転になった。続くルッツで転倒。スピンは二つレベル3だったがきれいで速かった。後半、ダブルアクセルから3回転トウループはきれいに決まり、サルコウからの連続ジャンプも成功。演技構成点はパフォーマンスと音楽表現で7点台。技術点2番目の58.14、演技構成点5番目の55.76、フリー3位、総合4位。
 第2グループ最初はSP5位の鈴木。「オ」という曲で鳥をイメージした振り付けはカメレンゴ。冒頭のルッツからの3連続ジャンプはeマークはついたが美しく決まった。ダブルアクセルから3回転トウループもきれいに成功。ところが次のフリップでソロの予定が傾いて小さなジャンプがついてしまい、これで連続ジャンプ三つのカウント。ここから後半の連続ジャンプをやめて、ソロでフリップ、ループ、サルコウ、ダブルアクセルと変更。スピンふたつはレベル4。ステップは二つと全ジャッジが加点。演技構成点は7点台半ば。技術点最高の60.22とただ一人60点台。演技構成点も最高の59.82、合計120.04でフリー1位、総合2位。
 SP4位の村上は、冒頭のルッツがeマーク。次の苦手ループは無難に跳び、フリップも成功。レイバックスピンは速くて正確。全ジャッジが加点1〜3。後半の連続ジャンプを三つ固めたが、ループからの連続は第1ジャンプが回転不十分。フリップからのダブルアクセルはアクセルが1回転に。サルコウからの3連続はやはり第1ジャンプが回転不十分。ソロのトウループも回転不十分。スピン二つがレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。全体に大きく滑れていて印象はよかった。ピアソラのタンゴの曲で振り付けはこちらもカメレンゴ。技術点4番目の53.49、演技構成点6番目の55.76、合計111.83でフリー4位、総合3位に僅差で滑り込んだ。3位のトゥクタミシェワとは0.04の差。

 SP2位のオズモンドは、フリーもはつらつとした滑りを披露。冒頭のフリップからの連続ジャンプはeマークだが軽々と決めた。続くルッツは転倒。しかし、ダブルアクセルから3回転トウループはきれいに成功。なぜか後半のソロのトウループで両足になったが、ダブルアクセルからの3連続は成功。スピン二つでレベル4、終盤のステップ二つは全ジャッジが加点。演技構成点全て7点台。技術点3番目の57.28、演技構成点2番目の59.61、合計115.89の自己ベスト更新でフリーも2位、総合優勝。GPシリーズデビュー戦で優勝とは、将来が楽しみ。
 ゲデバニシビリは、SP1位がプレッシャーになったか。いきなり冒頭のルッツで転倒。続くダブルアクセルから3回転トウループはきれいに成功。しかし、サルコウで転倒に近いミス。二つ目のルッツは1回転に。それでも後半にサルコウからの3連続ジャンプを決め、最後のスピンはレベル4。技術点は8番目の42.83、演技構成点4番目の57.89、合計99.72でフリー5位、総合5位。GPシリーズ初優勝を逃す。

 <男子シングル>無良と織田が出場。第一滑走に地元のバルデ(21)。昨季のカナダ選手権では、踊れるが、ジャンプが今ひとつという印象。エキゾチックな風貌だが、お父さんがギニア、お母さんがロシアの人とのこと。今回冒頭のルッツからの連続3回転を力強く決め、全ジャッジから加点。トリプルアクセルも成功したが、解説の田村岳斗は、「決めたのは初めてじゃないか」と口走った。最後のスピンはレベル4。カメレンゴ振り付けの「マラゲーニャ」の曲をフラメンコらしく滑りきった。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。技術点39.72、演技構成点32.74、合計72.46で自己ベストを更新、SP6位。
 3番目の無良(21)も「マラゲーニャ」の曲。冒頭の4回転でステップアウトして両手つき。次のトリプルアクセルはパンクして1回転になり、要素を失う。スピン二つでレベル4、ルッツからの連続ジャンプは決めた。演技構成点は全て6点台。技術点29.92、演技構成点32.18、合計62.1でSP9位。
 カザフスタンのテン(19)は、冒頭の4回転軽々と成功。トリプルアクセルも決めたが、連続3回転で第二ジャンプに無理に3回転をつけ、回転不十分で転倒扱い。しかし、スピンは三つともレベル4で、ステップはレベル3だが、全ジャッジが加点1〜3。演技構成点もつなぎ以外7点台前半。振り付けはローリ・ニコルとランビエール。技術点3番目の40.22と40点台に乗せ、演技構成点6番目の36.04、合計75.26でこの時点で1位、SP4位。

 後半グループ最初に織田(25)。冒頭できれいに4回転3回転の連続ジャンプを決め、びっくり。全ジャッジが加点。しかし続くトリプルアクセルは両足。ステップからのフリップは成功。ステップとスピンは三つともレベル4。演技構成点は全て7点台。振り付けはローリ・ニコル。昨季後半を棒に振った左ヒザは「手術してもよくならない」そうで、徹底的に筋肉を強化して治したとか。技術点2番目の44.61、演技構成点3番目の37.53、合計82.14でSP3位。
 アマディオ(22)は、軽やかさが戻ってきた。冒頭の4回転サルコウは転倒。ステップは細かく音楽に合わせて踏んでいて、レベル3だが全ジャッジが加点1〜3。前半にステップを持ってきて、後半に連続ジャンプとトリプルアクセルを持ってくる作戦。しかし、ルッツからの連続3回転はオーバーターン、トリプルアクセルは両手つき。演技構成点つなぎ以外7点台。技術点6番目の38.66、演技構成点4番目の36.95、合計74.61でSP5位。
 フェルナンデス(西。21)は、最初に4回転、トリプルアクセルと続けて成功。ルッツからの連続3回転はeマークでオーバーターン。しかし終盤のステップと足替えスピンでレベル4に、全ジャッジが加点。演技構成点では振り付けと音楽表現で8点台。「マスク・オブ・ゾロ」の曲に振り付けたのはD. ウィルソン。オーサーコーチに移って滑りも改善してきた。技術点最高の46.41、演技構成点2番目の39.46、合計85.87の高得点で自己ベスト更新、SP1位。

 ガチンスキー(露。19)は昨季とあまり変わらない。冒頭の4回転は立てそうだったが転倒。トリプルアクセルはなんとか立ったが、ルッツからの連続ジャンプはステップアウトして第二ジャンプが入らず。スピン三つとステップはレベル4。ステップは全ジャッジが加点。演技構成点つなぎ以外7点台。技術点34.14、演技構成点5番目の36.6、合計69.74でSP7位と出遅れ。
 最終滑走は世界王者で地元のチャン(21)。冒頭はたぶん4回転からの連続ジャンプの予定だったが、連続3回転に変えた。トリプルアクセルはステップアウト。スピン二つとステップはレベル4。特にステップは全ジャッジが加点2〜3。演技構成点全て8点台。エレジーの曲で振り付けはバトル。技術点4番目の39.81、演技構成点最高の42.71、合計82.52でSP2位。

 フリーでは、SP9位の無良は、「SPは攻める気持ちが足りなかった。」と反省。「将軍」という三味線の曲。冒頭で4回転を決める。続くルッツからの連続3回転も成功、加点もつく。トリプルアクセルと足替えスビンは全ジャッジが加点。しかし、ループが1回転に。トリプルアクセルからの連続ジャンプは決めた。ステップとスビン一つがレベル4。サルコウは回転不足で転倒。BS朝日解説の田村は、「連続ジャンプをもう一つ決めてほしかった。」と言う。演技構成点は滑走技術だけ7点台。技術点5番目の72.0、演技構成点8番目の66.64、合計137.64は自己ベスト更新でフリー6位、総合8位。
 SP7位のガチンスキーは、冒頭二つの4回転を決める。二つ目は3回転との連続ジャンプで全ジャッジが加点の出来。しかしトリプルアクセルで転倒。二つ目のトリプルアクセルも転倒に近い形になり第2ジャンプがつかず。その後疲れが見え、ステップは無得点、ルッツがパンクして1回転に。終盤、ダブルアクセルのシークエンスを跳んだがよろけ気味。演技構成点は滑走技術だけ7点台。技術点63.4、演技構成点67.44、合計129.84でフリー7位、総合9位と沈んだ。。
 ベートーベンの「月光」現代版の曲で滑ったバルデは、冒頭の4回転をやめ、3回転に。続くフリップはeマーク。トリプルアクセルからの連続ジャンプは着氷がわるく第2ジャンプが1回転。ループは前向きに着氷して両手つき。しかし、踊れるので、ステップでは見せる力がある。後半最初のアクセルはダブルに。しかしルッツからの3連続は成功。演技構成点つなぎ以外6点台後半。技術点61.56、演技構成点65.92、合計127.48でフリー9位、総合7位。

 後半最初にアマディオ。冒頭の4回転サルコウは回ったが両手つき。アクセルはダブルに。しかし、後半最初にトリプルアクセル成功。サルコウからの連続3回転とコレオシークエンスは全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点6番目の69.41、演技構成点4番目の74.7、合計144.11でフリー5位、総合4位と少し挽回。
 テンは、ジャンプが不調。冒頭で4回転二つ転倒。後半にルッツは決めたが、フリップはeマークでステップアウト。ループからの連続ジャンプは成功したが、フリップからの3連続は、フリップが2回転に。しかも終盤、トウループでまた転倒。スピン二つはレベル4をとったが、技術点58.74、演技構成点5番目の72.7、合計128.44でフリー8位、総合6位。

 織田は、冒頭の4回転をヒザでこらえて着氷。続くトリプルアクセルはほぼ全ジャッジが加点2〜3。しかし、二つ目はステップアウトし第2ジャンプがつかず。スビンは三つともレベル4。後半にルッツからの連続3回転、フリップからの連続ジャンプを決める。最後のコレオシークエンスと足替えスピンは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はつぎ以外7点台後半。技術点2番目の78.48、演技構成点3番目の77.72、合計156.2でフも3位、総合3位。実力のあるところを示し、久々の表彰台で嬉しそうだった。
 チャンはやはりジャンプの調子が今ひとつ。冒頭の4回転2回転はなんとか決めたか、トリプルアクセルは回転不十分で転倒。二つ目のルッツもよろけて第2ジャンプがつかず。しかし、のびのある滑りはさすがで、スピンは三つともレベル4。同じくレベル4のステップとコレオシークエンスは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はパフォーマンス以外8点台後半。技術点3番目の75.13、演技構成点最高の86.78、合計160.91でフリー2位、総合2位。
 最終滑走のフェルナンデスはすごい。4回転を三つ跳び、最初のサルコウは3回転になり転倒したが、二つ成功。しかも三つ目は後半で連続ジャンプ。ルッツからの連続ジャンプ、フリップからの3連続も決め、演技構成点は全て8点台。チャップリンの曲のメドレーで、振り付けもチャップリンとわかる仕草が随所にあり、演技力がある。技術点最高の85.15という高得点、演技構成点2番目の83.92、合計168.07はSPに続き自己ベスト更新で、フリーも1位、総合優勝。オーサーコーチもすごく嬉しそうだった。


フィギュアスケート (2012.10/20,22,29,31)

スケートアメリカ (2012.10/20-22 ケント・ワシントン州) GP第1戦

 <男子シングル>羽生、小塚、町田が出場。驚いた。いきなり羽生がSP世界歴代最高点を出してダントツの1位に立った。
 前半5人の4番目に町田(22)が登場。それまでの1位は、ただひとり4回転3回転の連続ジャンプを決めたロシアのメンショフ(29)。町田のプログラムに4回転は入っていないが、素晴らしいトリプルアクセルに全ジャッジが加点2〜3。フリップからの連続3回転はeマークが付いたが、ステップからのルッツは、今季から1.1倍の得点がつく後半に決めた。スピンは三つともレベル3。ほぼノーミスで会心の演技。振り付けはランビエール。演技構成点は全て7点台。技術点4番目の38.65、演技構成点5番目の37.13、合計75.78でここまでの首位に。
 後半5人の最初はヴェルネル(チェコ。26)。冒頭の4回転は回転不十分。ほぼ転倒扱いで全ジャッジが-3。痛かったのは、後半最初の連続ジャンプが入らなかったこと。第一ジャンプが1回転になり、後ろに付けられず。要素を失い、これも-3。最後のスピンもバランスを崩し、技術点最低の23.94、演技構成点6番目の34.85、合計58.79でSPなんと9位と大きく出遅れ。

 次の小塚(23)も会心の演技。冒頭の4回転はなんとか立った。スピンは三つともレベル3。後半にジャンプ要素を二つ入れ、1.1倍の得点を生かす。トリプルアクセルはきれいで全ジャッジが加点。ルッツからの連続3回転も成功。直線のステップは全ジャッジが加点1〜3。映画「栄光への脱出」の曲で振り付けはD. ウィルソン。演技構成点は滑走技術とパフォーマンスで8点台。終わったとき、珍しく両手でガッツポーズ。技術点2番目の45.57、演技構成点3番目の39.75、合計85.32の高得点で自己ベスト更新、ここで町田を抜いて首位に。
 アボット(米。27)は、「スパイ」の曲。冒頭の4回転で転倒したが、ルッツからの連続3回転は全ジャッジが加点。ステップはレベルは2だったが、全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外8点台。技術点5番目の37.81、演技構成点2番目の40.9、合計77.71でSP3位。
 ブレジナ(チェコ。22)も冒頭の4回転サルコウで転倒。しかも、ヴェルネルと同じく連続ジャンプで失敗。第一ジャンプが1回転になり無理に後ろに3回転を付けたため、2回目の転倒。これで技術点7番目の33.93、演技構成点4番目の37.33、合計69.26でSP6位。

 最終滑走で羽生。「パリの散歩道」という曲で振り付けはジェフリー・バトル。冒頭でいとも軽々と4回転を決める。全ジャッジが加点1〜3。後半最初のトリプルアクセルも美しく、全ジャッジが加点2〜3。ルッツからの連続3回転も全ジャッジが加点。ステップはレベル3で全ジャッジが加点1〜3。スピン二つがレベル4。基礎点43.36も高いが、全体の加点が8点以上。演技構成点は全て8点台。技術点なんと51.71、演技構成点最高の43.36、合計95.07で、4月に高橋が出したSP歴代最高点を1.07更新、2位の小塚に9点以上の差をつけ、SP堂々の1位。

 フリーは、後半の組に日本人が三人とも入った。町田が後半二人目で登場。「火の鳥」の曲。冒頭の美しいトリプルアクセルはほぼ全ジャッジが加点2。しかし、4回転は転倒。続くルッツからの連続3回転は成功し、全ジャッジから加点1〜2。二つ目のトリプルアクセルでステップアウトし第二ジャンプが付かず。しかしあとはまとめて、演技構成点も三つの要素で8点台を出した。今季は関西大学を休学して取り組んでいる成果が出たと言っていいだろう。技術点2番目の75.03、演技構成点も2番目の80.14、合計154.17でフリー2位、総合3位の快挙。
 次のアボットは、冒頭のルッツはよかった。続く4回転で転倒したが、スピンやフリップも成功し、後半最初のトリプルアクセルを決めたところまでは順当。ところが続けてトリプルアクセルがあり、こちらは連続ジャンプにしなければならないのに回転がほどけてしまい、その後の3連続もループもサルコウも全て2回転になってしまった。「レ・ミゼラブル」からの曲で、音楽表現など演技構成点の三つの要素で8点台を出したものの、技術点最低の55.5、演技構成点2番目の81.14、合計133.64でフリー8位、総合5位と沈んだ。

 小塚は、冒頭の4回転はなんとか決めた。続けた4回転2回転は、4回転が両足で回転不十分。しかしトリプルアクセルは美しく、全ジャッジが加点1〜3。全体にとてもよく滑りこんである感じがした。「ロンド・カプリチオーソ」の曲にのせて、音符ひとつひとつにステップがついているよう。後半最初にトリプルアクセルからの3連続を決め、基礎点12.76に加点で13.33の高得点。スピンも二つがレベル4。今季から新設のコレオシークエンスでは、全ジャッジから加点。終盤のサルコウで両手つきになったのが少し印象を落としたが、演技構成点全て8点台はただ一人。技術点最高の81.28、演技構成点も最高の84.28、合計166.12でフリー1位、総合優勝。
 最終滑走の羽生は、冒頭の2種類の4回転を両方転倒。トリプルアクセル、フライングスピン、ステップ、二つ目のトリプルアクセルからの連続3回転は全ジャッジから加点をもらったが、次のルッツが2回転で両足に。この後疲れが見え始め、フライング足替えスピンはレベル2、フリップはeマークの上、派手に転倒、コレオシークエンスは無得点というていたらく。最後のスピンはレベル1。演技構成点の滑走技術と振り付けで8点台をもらったが、技術点3番目の72.11、演技構成点4番目の79.56、合計148.67で、フリー3位、総合2位。
 日本人で表彰台独占は、いつだかのNHK杯の高橋、織田、小塚以来とか。4位には、4回転を二つ決め、フリーも5位のメンショフが入った。

 <女子シングル>今井遙が出場。第一グループ最初にフラット(米。20)。冒頭のステップからのフリップが2回転に。スピンはレベル3と2と1。ステップもレベル2。体も絞り切れていず、練習不足な感じ。大学との両立はかなり困難か。技術点9番目の20.93、演技構成点も9番目の22.79、合計43.72でSP10位。
 二人目もアメリカのガオ(18)。背がだいぶ伸びた。冒頭で連続3回転をきれいに決めた。スピンは一つだけレベル4。演技構成点は6点台前半。技術点最高の31.01、演技構成点6番目の25.62、合計56.63でSP3位。
 マルケイ(伊。26)は、「エスペランサ」の曲でフラメンコの踊り。佐藤有香コーチについて二年目。ルッツからの連続ジャンプは乱れたが、ステップかせのサルコウ、ダブルアクセルは決めた。最後のスピンがレベル4。技術点5番目の28.37、演技構成点5番目の25.64、合計54.01でSP4位。

 後半グループ最初に今井。出てきたときから緊張した顔つき。冒頭にサルコウからの連続3回転を予定していたが、両足になってしまい、次のループに2回転を付けた。スピン二つはレベル4で、全ジャッジが加点。ダブルアクセルは回転不十分になり、ステップはレベル2。演技構成点は5点台末から6点台前半。技術点25.6、演技構成点24.3、合計49.9でSP7位。
 ワグナー(米。21)は「レッド・バイオリン」という曲。冒頭のフリップからの連続ジャンプは全ジャッジが加点。いずれ連続3回転にする予定らしい。続くレイバックスピンは全ジャッジが加点2〜3。今年から1.1倍の後半にダブルアクセルとステップからのループを入れたが、ループは両足。演技構成点は全て7点台。技術点3番目の30.58、演技構成点最高の30.03、合計60.61でSP1位。

 ソトニコワ(露。16)は、冒頭の連続3回転は力強く決めたが、ステップからのフリップは1回転で要素を失う。しかしスピンは三つともレベル4で、全ジャッジが加点。レベルは2だが、ステップとダブルアクセルも全ジャッジが加点。演技構成点は全て7点台前半。技術点4番目の29.31、演技構成点2番目の29.62、合計58.93でSP2位。
 最終滑走のレオノワ(露。21)は、冒頭の連続ジャンプの第2ジャンプが1回転になり、要素を失う。続くステップからのフリップも2回転で要素を失う。それでもスピンは二つレベル3、一つがレベル4をとったが、演技構成点は6点台後半。技術点裁定の19.65、演技構成点は3番目の27.07、合計46.72でSP9位と大きく出遅れ。キスアンドクライでは本当に泣いていた。かなり体も絞ってきていたのだが。

 フリーでは、2番目にレオノワ。冒頭で連続3回転に挑戦。第2ジャンプが回転不十分だがなんとか立った。ルッツがeマーク。フリップは片手つき。後半にサルコウからの連続ジャンプとフリップからの連続ジャンプを決めたが、ステップや最後のスピンはレベル2。全体に低調で演技構成点もつなぎ以外6点台後半。技術点53.23、演技構成点53.54、合計106.77でフリー5位、総合7位。
 今井は、冒頭のフリップでよろめいたが、持ちこたえた。続くダブルアクセルもこらえた。ルッツはeマークだったが、サルコウからの連続ジャンプは加点。足替えスピンはレベル4で全ジャッジが加点。スピンはSPでもとても速くて安定していた。後半にループからの3連続も成功。サルコウからの連続ジャンプ、フライングスビンとレイバックスピンは全ジャッジが加点。技術点3番目の56.82、演技構成点7番目の52.0、合計107.82でフリー4位、総合5位。
 マルケイは、冒頭のルッツとダブルアクセルからの連続ジャンプは成功したが、続くサルコウが2回転に。スピン二つとステップはレベル2。後半に連続ジャンプを二つ決めたが、演技構成点は振り付けと音楽表現だけがかろうじて7点台。技術点50.46、演技構成点54.32、合計104.78でフリー6位、総合4位。

 SP3位のガオは、冒頭でフリップからの連続ジャンプを軽々と成功。ルッツからの連続もeマークながら全ジャッジが加点。レイバックスピンと後半最初のフリップとループ、終盤の直線のステップも全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点2番目の60.64、演技構成点3番目の56.98、合計117.62でフリー2位、総合2位。
 SP2位のソトニコワは、体が少し重そう。冒頭のルッツからの連続3回転、ソロのフリップは成功したが、ダブルアクセルはミス。レベル4のフライングスピンとダブルアクセルからの連続ジャンプはよかった。もったいなかったのは、後半最初の二つ目のフリップで転倒し、これがシークエンス扱いになったのに、次に3連続を跳び、これが四つ目の連続ジャンプのカウントで無得点になったこと。最後のループから終盤のスピン、ステップなど術の要素に全ジャッジが加点したが、技術点6番目の51.36と伸びず、演技構成点は全て7点台で2番目の59.67、合計110.03でフリーは3位、総合3位。
 最終滑走のワグナーは、「サムソンとデリラ」の曲。冒頭でフリップからの3連続を成功。全ジャッジが加点。続くダブルアクセルからの連続ジャンプもほぼ全ジャッジが加点。レイバックスピンは速く、全ジャッジが加点2〜3。後半のルッツはeマークがついたが、ループからダブルアクセルのシークエンスは決め、コレオシークエンスも全ジャッジが加点2〜3。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。技術点最高の63.83、演技構成点も最高の63.93、合計127.76の高得点でフリーも1位、総合優勝。



ページトップへ

フィギュアスケート (2012.3/30,31,4/15,7/8,10/3,5)

世界選手権 (2012.3/29〜4/1 ニース・フランス)

 <男子シングル>波乱のSP。30人参加。第3グループ16番滑走のジュベール(仏)は、久々にいい内容。冒頭に4回転こらえながら3回転をつけ、トリプルアクセル、ステップからのルッツも決め、スピン二つでレベル4。最後は地元の大歓声を味方に、レベル3のステップを滑りきった。技術点3番目の44.35、演技構成点4番目の39.12、合計83.47で、この時点でそれまで1位だったデニス・テンを大きく引き離した1位に。SP4位の好位置につけた。
 リッポン(米)は冒頭のフリップからの連続3回転は決めた。しかしトリプルアクセルでステップアウト、得意の両手上げルッツもステップアウト。スピン二つと直線のステップはレベル4で全ジャッジから加点1〜2をもらったが、技術点37.77、演技構成点35.78、合計73.55でSP10位と大きく出遅れ。

 第3グループの最初はチャン(加)。少し緊張している。冒頭の4回転は足首でこらえた。トリプルアクセルは見事に決め、ルッツからの連続し3回転も入った。ただ、珍しく最後の直線のステップで真ん中過ぎ頃、ほんの少しスタンブルした。それでも技術点2番目の46.24、演技構成点最高の43.17、合計89.41でSP1位。
 コンテスティ(伊)は、ルッツからの連続3回転を冒頭で決めると、トリプルアクセルをなんとか着氷。ステップからのフリップはきれいに下りて、あとは楽しいステップで観客を魅了。スピン二つでレベル4。技術点37.58、演技構成点35.97、合計73.55でSP11位。
 ブレジナ(チェコ)は、なんと三つ目のジャンプに4回転を予定。フジテレビ解説の本田は、「こんな構成は見たことがない。」と言っていた。最初のトリプルアクセルをきれいに成功させ、フリップからの連続3回転も全ジャッジが加点1〜3の出来。しかも4回転サルコウを成功。スピン三つ全てと直線のステップもレベル4。演技構成点は全て7点台後半。技術点最高の48.7、演技構成点5番目の38.97、合計87.67でSP2位。
 高橋は、冒頭で4回転を決めながら、少しつまったのに無理して3回転を付けて回転不足に転倒扱いの両手つき。スピン二つと直線のステップはレベル4。演技構成点はつなぎだけ8点台前半、残りは8点台後半。技術点5番目の43.43、演技構成点2番目の42.29、合計85.72でSP3位。

 全米王者のアボット(米)は、冒頭の連続3回転でまさかの転倒。トリプルアクセルは成功したが、ステップからのルッツが2回転で万事窮した。演技構成点は全て8点台前半。技術点34.64、演技構成点41.21、合計74.85でまさかの9位から。
 最終グループ最初のガチンスキー(露)は、昨年の銅メダリスト。冒頭の4回転が2回転に。しかも第2ジャンプに2回転しか付けられず、要素を失う。トリプルアクセルとステップからのループは決めた。サーキュラーステップはレベル4で全ジャッジから加点1〜2ついたが、全体にあまり加点されず、演技構成点も全て7点台。技術点31.39、演技構成点37.11、合計68.5でSP16位。

 アマディオ(仏)は、冒頭の4回転サルコウで転倒。ルッツからの連続3回転は上手に成功。ひとつだけレベル4のスピンは全ジャッジから加点1〜3。サーキュラーステップはレベルこそ3だが全ジャッジから加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点42.82、演技構成点38.14、合計79.96でSP6位。
 羽生はもったいなかった。冒頭で4回転2回転を決めたのに、ステップからのルッツが1回転。要素を失い-3。スピンは三つともレベル4。特に足替えシットスピンは全ジャッジが加点2〜3。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点38.68、演技構成点38.39、合計77.07でSP7位。

 小塚は信じられない二回の転倒。冒頭の4回転が回転不十分で転倒。続いてトリプルアクセルでも転倒。スピン三つともレベル4、ルッツからの連続3回転は決めたが、技術点35.96、演技構成点37.82、合計71.78でSP13位。
 フェルナンデス(西)は、4回転成功。ルッツからの連続3回転、とりぷも決めた。スピン三つともレベル4。ほぼノーミスで技術点43.72、演技構成点38.15、合計81.87でSP5位。
 最終滑走はヴェルネル(チェコ)。boat腕4回転が2回転に。第2ジャンプを付けなかったので、要素を失う。ルッツからの連続3回転もマイナス評価。スピンもレベル4はひとつだけ。演技構成点も音楽表現のみ7点台後半。技術点33.1、演技構成点37.28、合計70.38でSP14位。

 羽生が銅メダルを獲得! フリー第3グループ5番目に羽生。冒頭の4回転は美しく成功。全ジャッジから加点1〜3をもらう。トリプルアクセル、フリップ、レベル4のフライングスピンと渾身のスピードで滑って全て全ジャッジから加点。サーキュラーステップが終わったところで転倒し、ビックリしたがすぐトリプルアクセルからの連続3回転を決めて満場の拍手。これも全ジャッジから加点1〜3。ルッツからの3連続も決め、いよいよ最後までのスタミナが心配に。直線のステップに入る前の表情がすごかった。これまた全ジャッジから加点。全体で基礎点79.25に加点12.74。演技構成点は全て8点台。技術点最高の91.99、演技構成点3番目の83.0、合計173.99でフリー2位。今季急成長を見せた。
 第2グループ最初に小塚。冒頭の4回転はパンクして2回転。二つ目の4回転からの連続ジャンプはなんとか下りたがマイナス評価。トリプルアクセルもミス。ただ、後半トリプルアクセルからの3連続は決めた。全体に小塚らしいキレのある滑りではなかった。「調子はいい」というコメントとは裏腹の出来に靴の調子でも悪いのかと心配になる。技術点73.55、演技構成点73.30、合計146.85でフリー11位、総合11位。
 13番滑走のリッポンは、冒頭の4回転サルコウが回転不足で転倒。トリプルアクセルもミス。レベル4のスピン二つで落ち着いたかと思ったが後半のトリプルアクセルもミス。ルッツからの3連続も第2、第3ジャンプが回転不十分。得意の両手上げルッツは決めたが、技術点70.24、演技構成点73.84、合計143.08でフリー16位、総合13位。

 SPを放映しなかったSP12位のレイノルズは3つの4回転を入れる予定だったが、冒頭の4回転サルコウは決めたが、次の4回転トウループは2回転に。トリプルアクセルが回転不十分になった後、4回転の予定のループを3回転に変更。しかし、後半最初のジャンプで4回転トウルーブからの連続ジャンプに変更。サルコウからの三連続ジャンプも回転不十分ながら決めた。技術点73.45、演技70.8、合計144.25で今季最高点更新、フリー13位、総合12位。
 SP12位のデニス・テンもSPが放映されなかった。冒頭で4回転をきれいに成功。次のトリプルアクセルはステップアウトしたが、すぐ続けてトリプルアクセルからの連続ジャンプを成功させる。ステップとスピン三つはレベル4。回転不十分だったがルッツからの3連続も決めた。フリップだけ2回転になったが、今できることはかなり出せた。技術点78.78、演技構成点74.92合計153.88でフリー6位、総合7位。今季最高点更新。

 16番滑走のアボットは、冒頭の4回転をなんとかおり、トリプルアクセルからの連続ジャンプも成功。足変えシットスピンとサーキュラーステップは全ジャッジから加点。ところが二つ目のトリプルアクセルで転倒に近いミス。ルッツからの連続3回転を決めて立ち直ったかと思ったが、ループが1回転にパンク。演技構成点はつなぎ以外が8点台と高得点を出したが、これだけでは上位に食い込めない。やはり全米選手権にピークが来てしまったのだろう。技術点69.78、演技構成点六番目の81.56、合計151.34でフリー8位、総合8位。
 コンテスティは、冒頭にトリプルアクセルを決める。しかも後半にもトリプルアクセルからの3連続ジャンプを決め、どうやら今日はジャンプが好調なコンテスティらしい。連続ジャンプは後半に集め、1.1倍の得点をねらい、ステップでは演技力で観客をつかむ。滑りはなめらかでないが、見ていて楽しい選手。ほぼノーミスで終えた。技術点75.84、合計151.34でアボットと同点ながら演技構成点が低く、フリー9位、総合10位。

 最終グループはアマディオから。冒頭に4回転サルコウをおりた。トリプルアクセルからの連続ジャンプ、後半にはルッツからの3連続、サルコウからの連続3回転も入った。技術点4番目の81.41、演技構成点5番目の81.66、合計163.07でフリー4位、総合5位。
 ジュベールはほぼノーミスの内容。「マトリクス」の曲で、冒頭に4回転成功。トリプルアクセルからの連続3回転も決まったが、3連続はなし。スピンはレベル2と1があったが、全体にまとめて大きなミスは出なかった。しかし全盛期の力強さはなく、いいときのジュベールの影のようだ。逆転優勝をねらっていたときのように、終わったとき久々に充実した表情で氷にキスしたが、地元のエースの貫禄は示せた。技術点七番目の79.17、演技構成点四番目の81.94、合計161.11でフリー5位、総合4位。

 フェルナンデスはどうしたのか。冒頭の4回転トウループは加点の出来だったが、続く4回転サルコウで両足気味の着氷。しかしトリプルアクセルの転倒は痛すぎた。後半最初にトリプルアクセルからの連続3回転を跳んだが第二ジャンプが回転不十分。ルッツもループも2回転になり、3連続ジャンプも全て2回転。技術点69.34、演技構成点75.66、合計144.0でフリー14位、総合9位。
 最終グループ4番目の高橋はノーミスの演技だった。少し、丁寧に滑っている感じだったが、冒頭の4回転を決めるとトリプルアクセルで全ジャッジから加点1〜3。スピン三つともレベル4。最後の直線のコリオステップの前に笑っていた。演技構成点はつなぎ以外8点台後半。技術三五番目の88.16、演技構成点二番目の85.78、合計173.94でフリー3位、総合2位。日本男子が表彰台二つを占めたのは、史上初。

 ブレジナは自滅。ヨーロッパ選手権、世界選手権とも4位まで来ているが、表彰台はなし。逆転をねらったが力んだのか。冒頭のトリプルアクセルは成功し、全ジャッジが加点したが、4回転トウループは転倒、4回転サルコウは両手つき。後半のトリプルアクセルからの連続3回転は、第2ジャンプが回転不十分でオーバーターン。ルッツではよろけた。レベル4のフライングスピンは全ジャッジが加点、レベル3のサーキュラーステップはほぼ全ジャッジが加点2。コリオステップも全ジャッジが加点の出来だったが、技術点75.86、演技構成点7番目の77.02、合計151.88でフリー7位、総合6位。
 チャンは冒頭で4回転を単独、連続ジャンプとも成功。続くトリプルアクセルとサーキュラーステップも含めて全ジャッジから加点。3連続なども決めた後、最後のジャンプであるダブルアクセルでパンクし、転倒。こんなのは初めて見た。しかし、直線のコリオステップは全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は三つの要素で9点台。技術点二番目の88.56、演技構成点最高の90.14、合計176.7でフリーも1位、総合優勝でランビエール以来の連覇達成。

 <女子シングル>SPは、村上が2位、真央はトリプルアクセルで転倒、4位。1位はレオノワ、3位はコストナー、5位に鈴木明子。30人出場。

 予選だけで33人参加。上位12人だけが本大会に進める。予選11位で1番滑走のアイルランドのピータース(20)は、参加4回目にして初めてSPに進めた。連続ジャンプが2回転2回転。ステップからのフリップも2回転。ミスではなく、初めから2回転しか跳べないようで、予選も全て2回転。レイバックスピンはレベル1。ジャンプ要素を満たしていないので各々-3がついたが、それでも合計34.03は自己ベスト更新で嬉しそうだった。う〜ん。SP29位。
   第1グループ2番滑走のフィンランドの若手トゥルッキラ(17)は、二回目の出場。今回、コルピが怪我、レピストが引退(!)して若手のみの参加。冒頭の連続3回転が不安定ながらも成功。スピン二つでレベル4。合計47.75でSP17位、これからが楽しみ。

   ロシアの若手コロベイニコワ(15)は、冒頭の連続ジャンプがステップアウトで第二ジャンプがつかず。スピンは三つともレベル4。合計46.71でSP19位。「ヨーロッパ選手権でもSPのミスをフリーで挽回した」とJスポーツ解説の岡部さん。身長166pだがまた゜まだ伸びそう。
 ラフエンテ(西、20)は、五回目の出場だが、昨年はループを失敗してフリーに進めず。今回は全ての要素を無難にこなして合計47.36、SP18位。岡部さんは、「出てくるたびに上手になっている」と言う。
 カク(韓、18)は、全ての要素を満たしたように見えたが、全てのジャンプが回転不十分。フライングスピンもレベル1で、技術点18.26、合計36.91。自己ベストより12点以上低い得点でSP28位、フリーに進めず。

 ベルギーのピーマン(28)は今大会最年長。背も大きくて172p。世界選手権3回目。エッジが甘くてジャンプの着氷が不安定。フライングスピンはレベル4だが、加点される要素がない。しかも音楽と同時に演技を終えたのに、演技時間超過で減点1。「これはもったいない。プログラムを作る時に気をつけないと。選手には変えることができない。」と岡部さん。合計38.45でSP26位、フリーに進めず。
 第3グループ最初は中国のジャン(16)。冒頭で連続3回転を成功。レイバックスピンで全ジャッジから加点2〜3。自己ベスト更新で合計55.0、SP9位。
 マッコーケル(英、25)は予選1位で通過。世界選手権も7回以上出ている。連続ジャンプは少し不安定だったが、スピン二つでレベル4、合計50.42でSP12位。

 地元のシレーテ(17)は初出場。冒頭で連続3回転を成功。ステップからのループは-2〜-3だが転倒せず。最後のスピンはレベル4。合計48.42、SP15位で開催国の面目は保った。
 ラコステ(加、23)は、カナダ1枠をファヌフと争い、僅差で2年連続出場。3〜10位になれば、来年の2枠が取れる。ところが、連続3回転をねらったループがステップアウトし、第2ジャンプが入らず、要素を失う。スピン二つはレベル4、合計49.37でSP13位。
 第4グループ最初に浅田真央(21)。冒頭のトリプルアクセルが回転不足の上、転倒。ステップからのループも減点評価。ただ、スピン三つとステップはレベル4で加点。特にステップは全ジャッジが加点2〜3。演技構成点もつなぎ以外は7点台半ば。技術点五番目の30.89、演技構成点三番目の29.6、合計59.49でSP4位。

 レオノワ(露、21)は体も絞れていて、今季一番よかった。冒頭の連続3回転を決めると、続けてジャンプを全て成功。スピン三つ、ステップ全てレベル4に加点。ステップは全ジャッジが加点1〜3。終わったとたん、跳んで喜んでいた。演技構成点は三つの要素で7点台後半。技術点最高の34.64、演技構成点二番目の29.97、合計64.61は自己ベスト更新でSP1位。
 ゲデバニシビリ(グルジア、22)もシーズン当初に比べ、ずいぶん体を絞ってきた。冒頭のルッツからの連続3回転は豪快に決まったが、アクセルが1回転で要素を失う。他がよかったので残念。スピン二つでレベル4。技術点六番目の30.86、演技構成点27.63、合計58.49でSP7位。
 全米女王かつ四大陸優勝ののワグナー(20)は、アメリカに3枠を取り戻したいと発言。それには優勝か2位になる必要がある。冒頭で連続3回転のはずのフリップがステップアウトで、次のループに2回転をつけた。スピン二つでレベル4をとったが、あまり得点が伸びず、技術点28.8、演技構成点27.62、合計56.42でSP8位。

 最終グループの シズニー(米、24)は、ジャンプがすっかり狂ってしまった。冒頭のルッツで転倒、次のループも回転不十分で転倒、ダブルアクセルは両足。軸が傾いている。怪我のせいだろうか。スピンだけは三つともレベル4。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。技術点23.26、演技構成点27.05、合計48.31でSP16位と大きく出遅れ。
 村上(17)は、緊張しているようだったが、冒頭の連続3回転をきれいに決めた。スピン三つとステップはレベル4。最後の足替えスピンは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外7点台にのせた。技術点二番目の34.61、演技構成点五番目の28.06、合計62.67でSP堂々の2位。

 欧州女王のコストナー(伊、25)は、なんと世界選手権連続10年出場。最高位は2008年の2位。昨年は3位。地元新聞は「安藤とキム・ヨナが休養、ロシアの若手は年齢が足りず不参加。コストナー初優勝なるか」と報じているらしい。冒頭の連続3回転は見事に成功。ところが続くステップからのループが2回転で要素を失う。その他は全ての要素にほぼ全ジャッジが加点。サーキュラーステップは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点八番目の30.26、演技構成点最高の30.74、合計61.0でSP3位。
 鈴木明子(27)は、冒頭の連続3回転を成功したが、力んでステップからのルッツが2回転の上eマークになり、要素を失う。それでもスピン三つとステップでレベル4をとり、ルッツ以外の全要素で加点。特にステップは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点つなぎ以外7点台前半。技術点七番目の30.67、演技構成点四番目の28.71、合計59.38でSP5位。これでフリーは三人とも最終組。
 
 フリーでは、第2グループ最初にラフエンテ。後半のアクセルが一つ回転不十分になったがほぼノーミスで滑り、合計92.88でフリー13位、総合15位。
 ラコステは、冒頭のループはよかったが、次の連続ジャンプで2回転ルッツに。フリップも2回転、二回転倒とさんざんな出来。解説の岡部さんは「来年の世界選手権がカナダなので2枠とりたいという余分なものも背負ってしまったのか。」と言う。合計89.23でフリー17位、総合16位。
 しかし、シズニーのジャンプの方が重症。5回転倒。なんとか立てたフリップもeマーク。スピンだけは美しかったが、技術点33.13、演技構成点47.67、合計75.8でフリー22位、総合22位。リンクから上がるとき泣いていた。

 地元のシレーテは、両親がトーゴ出身。冒頭でダブルアクセルからの3連続。フリップで転倒したが、あとはほぼノーミスでスビン二つでレベル4。合計99.76は自己ベスト大幅更新で嬉しそうだった。フリー8位。
 第3グループ三番目のマッコーケルは、冒頭のルッツを決めると前半はノーミス。後半にサルコウとループが1回転。スピンは二つがレベル4で、合計93.42。今季最高を更新してフリー12位、総合14位。
 ゲデバニシビリは、白っぽい衣装で、よけい太って見えた。ジャンプを跳び急いでいる感じで、冒頭のルッツと後半最初のループで転倒。二つ目のルッツは1回転で第2ジャンプ入らず。スピンとステップはなんとかまとめたが、技術点41.51、演技構成点51.2、合計90.71でフリー15位、総合10位。

 SP10位のヘルゲソンは、10位以内に残れば来季ふた枠になり、シニアに上がる妹と出場できる。しかし、ルッツが2回転になり、後半二つ目のループで転倒し第2ジャンプがつかず。しかも時間超過で減点。スピン二つとサーキュラーステップでレベル4をとったが、合計94.35でフリー11位、総合も11位で来季もひと枠に。
 第3グループ最後のワグナーは、今できることをほぼ出せた。冒頭でフリップからの3連続を成功。続くダブルアクセルからの3回転トウループの連続ジャンプはトウループが回転不十分で両足になり、-1〜-3。次のルッツはeマーク。しかし、後はノーミスで、終わった後、ガッツポーズ。技術点二番目の62.91、演技構成点五番目の57.44、合計120.35でフリー3位、総合4位まで挽回。
 最終グループ最初はSP1位のレオノワ。冒頭の連続3回転は、SPと同様きれいに成功。しかしルッツはeマークでステップアウト。スピン二つでレベル4。演技構成点もつなぎ以外は7点台半ば。技術点四番目の60.57、演技構成点四番目の59.1、合計119.67でフリー4位、総合2位に踏みとどまり、ロシアはスルツカヤ以来の表彰台。

 SP4位の浅田真央は、冒頭のトリプルアクセルが1回転にパンクしたのが最後まで響いた。ルッツがeマーク、ダブルアクセルからの連続ジャンプは2回転に。続くフリップも2回転。苦手のサルコウは回転不十分。得意のループまで1回転。スピン三つとステップはレベル4をとったが、技術点はなんと45.01しかとれず、演技構成点は全て7点台で二番目の60.02、合計105.03でフリー6位、総合6位。
 SP2位の村上は冒頭のルッツがeマーク、苦手のループはきれいに成功したが、続くフリップが回転不十分で両足。連続3回転を後半にやるのは村上だけだが、第2ジャンプが回転不十分。続くフリップからアクセルの連続ジャンプではアクセルが1回転。次のアクセルも1回転。スピンミッツとステップはレベル4、最後に3連続も成功させ、演技構成点はつなぎ以外で7点台。技術点55.53、演技構成点六番目の57.21、合計112.74でフリー5位、総合5位。

 SP3位のコストナーは、ほぼノーミス。ヨハン・シュトラウスの曲にモダンダンスのような振り付け、銀色のラメのパンツスタイルの衣装。冒頭のループ、フリップ、コリオスパイラルは、全ジャッジが加点1〜3。後半最初の連続ジャンプだけ第1ジャンプが2回転。スピン三つとステップはレベル4。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。基礎点53.04に10点以上の加点。技術点最高の63.22、演技構成点も最高の65.72、合計128.94は自己ベスト更新、フリー1位で逆転で初優勝。優勝インタビューでは、「とても幸せ。トリノの後、ここまでの道のりは楽じゃなかった。」と言っていた。「明日になったら実感がわくと思う。」とも。表彰台では、国歌を聴きながら涙ぐんでいた。
 この直後に鈴木明子。会場がコストナーの演技の余韻でざわついていたが、「コウモリ」の曲にのって冒頭のルッツを鮮やかに決めると、観客をつかんだ。続くダブルアクセル3回転トウループもともに、全ジャッジが加点。3連続の第3ジャンプが回転不十分。ルッツからの連続ジャンプはルッツが1回転。しかし、スピン三つとステップはレベル4。演技構成点は全て7点台。技術点三番目の62.06、演技構成点三番目の59.24、合計121.3でフリー2位、逆転で総合3位、初の表彰台。
 最終滑走、SP4位のマカロワは、さんざんの出来。冒頭のルッツが回転不足でeマーク。続くトウループで派手に転倒。後半のサルコウでも転倒、続くアクセルが1回転。スピンだけは三つともレベル4。演技構成点は6点台で、技術点39.78、演技構成点53.19、合計90.97でフリー14位、総合9位。

 <ペア>なんと、SP3位の高橋・トラン組が、銅メダル獲得! 優勝はサブチェンコ・ゾルコビー組、2位はボロソジャル・トランコフ組。SPは20組参加。予選を今回初めて実施。ダイレクトエントリーが12組、予選は11組参加で8組SPに進出。4組ずつ5グループ。
 第1グループでは、北朝鮮の組を初めて見た。リ・タイ組。女性16歳、男性24歳。Jスポーツ解説の杉田さんによれば、冬季アジア大会には参加(3位)していたが、ISUの国際大会に出るのは初めてらしい。残念ながら、ソロジャンプで女性が回転不足で転倒、ペアスビンでは規定の回数を回らないうちにバランスをくずして足をついてしまい、無得点。合計36.23で最下位。フリーには進めず。
 第1滑走のファルトマン・ファンクリーヴ組(独。23,24)は、女性のお母さんが日本人で、本人もシングル時代、日本の佐藤コーチについていたこともあるとのこと。組んで2年目。ソロジャンプでミスがあり、技術点25.66、演技構成点22.25、合計47.91でSP16位、ぎりぎりでフリー進出。
 第2グループの最初にマーリー・ブルベイカー組(米。16,25)。組んで二年目だが、全米2位、四大陸3位の実績。冒頭のソロジャンプは女性がひざでこらえて立った。「雨に歌えば」の曲で楽しげにステップを踏み、レベル4に全ジャッジから加点。技術点33.08、演技構成点はつなぎ以外6点台後半で26.54、合計59.62でSP10位。

 地元フランスのジェイムズ・シプレ組(24,20)と、カナダのデュベ・ウォルフェ組(24,22)は、いずれも女性の方が年上でペアの実績を積んでいる。ジェイムズ・シプレ組はヨーロッパ選手権で6位になったが、その得点に及ばず、合計50.51でSP13位。デュベ・ウォルフェ組は冒頭のツイストが落とし気味になり減点評価。スロージャンプも両足。合計55.83でSP12位。
 第3グループに日本の高橋・トラン組(20,21)登場。四大陸のとき転倒したジャンプを練習し、試合後のインタビューによると、「ウォーミングアップのやり方を変えて」臨んだところ成功できたらしい。スロージャンプはわずかにフリーレッグのタッチがあり、減点評価のジャッジもいたが、リフトはレベル4で全ジャッジが加点2〜3。デススパイラルもレベル4で全ジャッジが加点2。観客からも拍手がわいていた。終わった後、高橋が広げたポーズの両手を突き上げガッツボーズ。技術点四番目の34.94、演技構成点も四番目の30.43、合計65.37で自己ベスト更新、SP3位。
 その直前に滑ったのが組み替えて一年目の全米王者デニー・コーフリン組(18,27)。冒頭の高いツイストは全ジャッジが加点。リフト、ペアスピンも全ジャッジが加点。しかし全米のときのような勢いはなく、技術点六番目の34.36、演技構成点九番目の28.12、合計62.48でSP7位。

 第4グループ最初の川口・スミルノフ組(露。30,27)は、ソロジャンプを決めていい出だし。ツイストは少しもたれたが、スロージャンプも成功。これと次の直線のステップは全ジャッジが加点。ところがリフトを下ろすときスミルノフが転倒、二人分の減点2。デススパイラルも二周目でタッチがあり、技術点31.2、演技構成点四波線目の30.39、合計59.59と伸びずSPまさかの11位。
 バザロワ・ラリョノフ組(露。19,25)は、冒頭のソロジャンプで男性がステップアウト。しかしツイストはたいへん回転が速く高く全ジャッジが加点1〜3。デススパイラルも全ジャッジが加点1〜3。後半のペアスピン、リフト、ステップは全てレベル4。演技構成点も全て7点台、技術点二番目の35.33、演技構成点六番目タイの29.69、合計65.02でSP4位。
 ベルトン・ホタレック組(伊。21,28)はツイストで落とし気味だったが、他はよい出来で、リフト、ペアスピン、ステップ、デススパイラルは全てレベル4。技術点32.39、演技構成点28.0、合計で60.39と60点台にのせ、自己ベスト更新、SP9位。すごく嬉しそうだった。

 優勝候補ヴォロソジャル・トランコフ組(露。25,28)は、スロージャンプで両足着氷があったが、その他ソロジャンプ、リフト、ステップは水準以上の出来でほぼ全ジャッジが加点。ところがデススパイラルの二周目でトランコフがしりもち、転倒二人分の減点2。そのショックからか最後のペアスピンもレベルは4をとったが加点は0〜1。演技構成点もつなぎ以外7点台の後半にそろえたが8点台はなし。技術点10番目の31.62、演技構成点三番目の30.86、合計60.48はベストを12点以上下回り、SPこれもまさかの8位。この時点で高橋・トラン組がまだ1位。
 カナダ王者のデュハメル・ラドフォード組は、ソロジャンプで女性が転倒。他はよい出来で、演技構成点も全て7点台。技術点三番目の35.0、演技構成点六番目タイの29.69、合計63.69でSP5位。
 中国の若手、スイ・ハン組は、世界ジュニアで優勝してからここに出場。冒頭のツイストは、いつも通り目にもとまらぬ早業。しかし、ソロジャンプで女性が転倒。続くスロージャンプはほぼ全ジャッジが加点2。ステップ、スピン、リフト、デススパイラルは全てレベル4に加点。演技構成点も全て7点台。技術点五番目の34.9、演技構成点八番目の39.37、合計63.27でSP6位。この時点でもまだ高橋・トラン組が1位。Jスポーツ解説の杉田さんが「SP3位以上ということはすごいことだが、相手がミスしたから運があったという人もいるだろうが、実力がなければこの位置にはいない。」と言う。

 昨年優勝のサブチェンコ・ゾルコビー組(独。28,33)は、冒頭でスロートリプルアクセルに挑戦したが両足。ソロジャンプでは男性がステップアウト。しかし、リフト、スピン、デススパイラル、ステップは全てレベル4に加点。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。技術点最高の35.74、演技構成点二番目の32.89、合計68.63、これで高橋たちの上になり、SP1位。
 最終滑走は、一昨年優勝の中国のベテラン、パン・トン組(32,32)。今季は休み、3ヵ月前から練習を再開したとのこと。冒頭のソロジャンプで男性が回転不十分でステップアウトしたが、ショパンの「ノクターン」の曲にのせて、あとは流れるような動きの中で美しい演技。ツイストこそレベル2だが、他は全てレベル4の上、全ジャッジが加点。演技構成点もつなぎ以外8点台前半。技術点七番目の33.94、演技構成点最高の33.16、合計67.1でSP2位。インタビューでは「優勝はもう二回しているので、フリーはよい演技をしたい」と言っていた。

 フリーには16組が進出。第二グループに川口・スミルノフ組。冒頭のソロジャンプはピタリと合った。スロージャンプ、デススパイラル、コリオスバイラルは全ジャッジが加点。ダブルアクセルのシークエンスで男性がミス。心配していた最初のリフトが方から上がらず。あと二つのリフトはレベル4に加点がついた。演技構成点もつなぎ以外8点台。技術点七番目の58.27、演技構成点四番目の64.56、合計122.83でフリー4位、総合6位。
 第二グループ最初のベルトン・ホタレック組は冒頭の3連続ジャンプが成功。ツイストは両足になり、ソロジャンプと最初のスロージャンプが2回転になったが、あとは今持てる力を出し、技術点53.76、演技構成点54.01、合計107.77、フリー11位、総合11位ながら総合で自己ベスト更新。
 マーリー・ブルベイカー組は、冒頭の連続ジャンプは成功したが、ソロジャンプで女性が転倒。二つ目のスロージャンプでタッチがあったが、ラフマニノフのテンポのよい曲でリズムよく滑り、技術点57.36、演技構成点54.92、合計111.28でフリー10位、総合10位。

 デュハメル・ラドフォード組は、3連続ジャンプの第1ジャンプで女性がよろけて減点評価。しかしソロスピンはピタッと合っていたし、スロージャンプ、リフトも加点の出来。演技構成点も全て7点台前半にまとめ、技術点三番目の63.73、演技構成点八番目の57.99、合計121.72でフリー5位、総合5位。
 スイ・ハン組は、冒頭の4回転スロージャンプはタッチがあり、3連続ジャンプも二人のタイミングがすれ減点評価。4回転ツイストも空中でキャッチしていたが0〜-2がついた。しかしあとはよい出来で、コリオスパイラルには全ジャッジが加点1〜3。しかし二つ目のリフトが上がらず、無得点。難しい技に挑戦した割に得点がのびず技術点五番目の59.19、演技構成点56.98、合計116.17でフリー9位、総合9位。
 デニー・コーフリン組は、冒頭のツイストは高速ですばらしかった。スロージャンプ、ソロジャンプが加点の出来だったが、連続ダブルアクセルの第1ジャンプで男性が1回転。しかし他はミスなく、最後はほぼ全ジャッジが加点2のリフトでしめくくり、演技構成点もつなぎ以外7点台。技術点六番目の59.04、演技構成点58.85、合計117.89でフリー8位、総合8位。

 第3グループ最後に優勝候補ヴォロソジャル・トランコフ組。最初から気合い十分で「ブラックスワン」の曲で滑りきった。SPでは少し危なげだった冒頭のツイストは高く早く完璧で、全ジャッジが加点2〜3。ソロジャンプ、スロージャンプも全ジャッジが加点。次のデススパイラルもなんなくクリア。二つのスロージャンプと二つのリフトも全ジャッジが加点。最後のリフトだけ上がりきる前に一瞬の間があったがレベル4、演技構成点はつなぎだけ8点台前半、後は8点台後半。技術点最高の71.42、演技構成点も最高の69.4ユ、合計140.9で総合201.38。フリー1位で総合僅差の2位。すごい追い上げだった。
 最終組最初のパン・トン組は、冒頭のソロジャンプでいきなり男性が派手に転倒。ダブルアクセルのシークエンスも回転不足。これで逆転優勝はなくなったが、「シエラザード」の曲にのせた演技は美しい。冒頭の転倒が響いたのか、ツイストで珍しく落とし気味になり、二つ目のスロージャンプは両足に。演技構成点もつなぎとパフォーマンスが7点台、他は8点台。技術点55.35、演技構成点三番目の64.59、合計118.95でフリー6位、総合4位。
 バザロワ・ラリョノフ組は、高くて早いツイストは全ジャッジから加点2〜3の出来だったが、次のスロージャンプで転倒。コリオスパイラルは6秒に足らず、無得点。リフト三つと二つ目のスロージャンプ、ソロスピン、デススパイラルは全ジャッジが加点。演技構成点も滑走技術と振り付けで8点台。技術点八番目の57.64、演技構成点五番目の63.02、合計118.66でフリー7位、差烏合6位。

 サブチェンコ・ソルコビー組は、冒頭のスロージャンプは見事な出来。全ジャッジが加点2〜3。ソロスピンで少し減点評価。試合後の会見でソルコビーは「どうなったのかわからない」と言っていた。ソロジャンプでも男性が1回転。リフト二つと最後のスロージャンプは全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外8点台後半。技術点二番目の64.24、演技構成点も二番目の68.62、合計132.86で総合201.49、フリー2位で薄氷の総合優勝。
 最終滑走で高橋・トラン組。冒頭のツイストは全ジャッジが加点1〜2。次のソロジャンプは二人ともステップアウト。続く連続ジャンプはクリア。デススパイラル、ソロスピン、一つ目のリフトは全ジャッジが加点。二つ続くスロージャンプは一つ目のサルコウがステップアウト気味だったが二つ目は成功。ペアスピン、リフト二つも全ジャッジが加点。一つ目と最後のリフトは加点2〜3がついた。演技構成点は何とつなぎと振り付けで8点台を出した。技術点四番目の61.34、演技構成点六番目の62.98、合計124.32は自己ベスト更新、フリーも3位になり、シニア二年目にして表彰台。高橋は順位を見るなり、キスアンドクライで飛び上がって、その後しばらく仁王立ちしていた。コーチたちもものすごく喜んでいた。

 <アイスダンス>ヴァーチュー・モイヤー組が2年ぶりに優勝。昨年15位までに入った国はダイレクトエントリー。それ以外の23組は予選から出場、上位10組がSDに進出。日本のリード姉弟は昨年13位でダイレクトエントリー。しかし、シーズン途中のクリスの怪我で、1月までギプスが取れなかったため、通しの練習は2週間前からしかできていないとのこと。
 第2グループ最初にカナダの四番手ラルフ・ヒル組(19,21)。国内選手権3位の組が出場資格がなく繰り上がりで出場。リフトとツイズルはレベル4、ルンバのバートは二つともレベル3でやや減点評価。あまりルンバというかラテンダンスぽくなかった。技術点27.21、演技構成点24.54、合計50.75でSD15位。
 ハベル・ドナヒュー組(米。21,21)は、国内3位で出場。四大陸選手権では5位。コーチがカメレンゴさんになり、特に男性がめきめきと上手になっている。サーキュラーステップとルンバの二つのパートがレベル4。演技構成点全て6点台後半。技術点32.64、演技構成点26.92、合計59.56で、自己ベストを10点以上更新して、SD8位、第4グループ途中までトップだった。
 イタリアのアレッサンドリーニ・ヴァトゥーリ組とスペインのフルタード・ディアス組は、さすがにラテンの雰囲気が自然。前者は合計51.18でSD14位、後者は合計48.68でSD18位。

 第3グループの二番目にリード姉弟(24,22)。なんと冒頭の要素ツイズルでクリスが転倒、無得点。ルンバの第1パートはレベル4はとったものの減点評価。サーキュラーステップはレベル2。ルンバの第2パートはレベル3でまた減点評価。解説の藤森さんによれば、シーズン終わりでジャッジがだんだんタイミングなどを厳しく採点するようになっているらしい。直線のリフトと追加のリフトはよかったが、演技構成点は5点台後半から6点台前半。技術点24番目の21.21、演技構成点19番目の23.98、合計44.19でSD24位。フリーに進めず。
 中国のファン・ゼン組(25,24)は、四大陸選手権は男性が胃腸炎で二週間も入院して欠場。ルンバはレベル3と2。ツイズルとリフトはレベル4。演技構成点は音楽表現以外6点台前半。技術点26.86、演技構成点24.49、合計51.35でSD13位。
 第4グループ最初にボブロワ・ソロビエフ組(露。22,23)。ルンバのパートはレベル3と2。ツイズルはレベル3。つなぎのところで女性が転倒。その直後のリフトはスムーズにいかなかった。サーキュラーステップは全ジャッジが加点したもののレベル2。演技構成点は全て8点台。技術点26.43、演技構成点八番目の32.86、合計58.29でこの時点で2位、SDまさかの9位と出遅れ。

 地元フランスのキャロン・ジョーンズ組(25,23)は、冒頭のツイズルで男性が早々とバランスを崩しレベル1の上、減点評価。ルンバのパートはレベル3と1。リフトもレベル3、サーキュラーステップはレベル2。演技構成点も滑走技術だけ7点台。技術点20.25、演技構成点27.5、合計47.75でSD21位、フリーに進めず。この低い得点には、客席のペーゼラも口がオー。欧州選手権では7位だったのだが。
 カナダの二番手ウィーバー・ポジェ組(22,25)は、好調。ルンバのパートはレベル3と4。リフト、ツイズルともレベル4で全ジャッジが加点。演技構成点も全て8点台。技術点四番目の33.21、演技構成点五番目の33.26、合計66.47は自己ベスト更新、SD4位。
 カッペリーニ・ラノッテ組(伊。25,26)もほぼノーミス。欧州選手権では4位。さすがにラテンの雰囲気がする。でもルンバのパートは二つともレベル3。ツイズルとリフトはレベル4に全ジャッジが加点2〜3。演技構成点もつなぎ以外8点台。技術点六番目の32.14、演技構成点七番目の32.97、合計65.11は自己ベスト更新でSD6位。

 最終グループ最初はイリニク・カツァラポフ組(露。17,20)。ミラーのサーキュラーステップはレベル3だが加点評価。ルンバのパートはレベル4と3だが減点気味。ツイズルとリフトはレベル4。演技構成点は全て8点台。技術点七番目の31.86、演技構成点四番目の33.48、合計65.34でSD5位。
 昨年優勝のデイヴィス・ホワイト組(米。25,24)。冒頭のツイズルは速くてぴったり。レベル4に全ジャッジが加点2〜3。ルンバのパートは二つともレベル3であまり加点がつかず。サーキュラーステップはレベル3だが全ジャッジが加点2〜3。リフトはレベル4に全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は全て9点台。基礎点28.5に全体で5点の加点。技術点三番目の33.5、演技構成点二番目の37.48、合計70.98でSD2位。
 四大陸選手権優勝のヴァーチュー・モイヤー組(加。22,24)。こちらもルンバのパートは二つともレベル3だが加点0〜2。二人の足の位置がものすごく近くてエッジの角度もぴったり。ツイズルとリフトはレベル4で全ジャッジが加点2〜3。サーキュラーステップはレベル3だが全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は全て9点台。基礎点28.5に全体で5.79の加点。技術点最高の34.29、演技構成点も最高の38.02、合計72.31でSD1位。

 この後が昨年銅メダルのシブタニ兄妹(米)。ルンバのパートは二つともレベル3で減点気味。得意の高速ツイズルとリフトはレベル4で全ジャッジが加点。演技構成点は全て8点台。技術点八番目の29.44、演技構成点七番目の32.91、合計62.35でSD7位。解説の藤森さんは「まだ上半身の動きなどラテンの表現ができていない。」
 最終滑走に地元のペシャラ・ブルザ組(28,31)。冒頭のリフトはレベル4で全ジャッジが加点2〜3。ルンバのパートは二つともレベル4。ここーの組のコーチはカメレンゴさんで、ルンバが二つともレベル4だったハベル・ドナヒュー組も同じ。サーキュラーステップとリフトはレベル3だが全ジャッジが加点。演技構成点は全て8点台後半。技術点二番目の33.64、演技構成点三番目の35.49、合計69.13でSD3位。インタビューで「今までになく2位と僅差なので、フリーはベストを尽くしたい」とのこと。女性は一週間前に鼻を折ったが、「考えない。」と言っていた。

 フリーには20組が進出。第2グループの最初に中国のファン・ゼン組。冒頭のツイズル、ロングリフトはレベル4に全ジャッジが加点。しかし曲がタンゴなのに、特に女性にタンゴらしい動きが少ない。演技構成点は全て6点台前半。技術点41.5、演技構成点37.42、合計78.92でフリー13位、総合12位。
 続いてカナダの若手ラルフ・ヒル組。こちらもタンゴの曲で、スピードにのり、タンゴらしい見得。ミラーのツイズルから始まり、リフト三つとスピンは全てレベル4だったが、二つのステップがレベル2。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。キレのあるまま滑りきったが、技術点39.44、演技構成点39.36と得点が伸びず、合計78.8でフリー14位、総合13位。観客からはブーイングが起きた。解説の藤森さんは「地元フランスの『レキップ』紙は、11人のジャッジより1万人の観客の方が正しいこともある、書いた。」と紹介。
 SD12位のイギリスのクームズ・バックランド組(22,22)は、地元で開催された欧州選手権で6位と健闘。しかし、女性に腰痛が出て、滑りに勢いがない。ツイズルと三つのリフトでレベル4、二つのリフトで全ジャッジから加点。しかしリフトの時間オーバーもあり、減点。技術点36.28、演技構成点39.68、合計74.96でフリー17位、総合14位。なんとか来年のダイレクトエントリーは確保。

 第3グループは、ハベル・ドナヒュー組から。スピンとリフトは全てレベル4。うち二つは全ジャッジが加点。哀調を帯びた曲を表情豊かに滑りきった。演技構成点は滑走技術と音楽表現で7点台。技術点43.28、演技構成点41.11、合計84.39でフリーも自己ベスト更新、フリー10位、総合10位。初出場で目標の「世界でベスト10に入る」を達成。
 カッペリーニ・ラノッテ組は映画「道」の曲。日本では高橋大輔が使ったので有名。二つのステップとスピンはレベル3、ツイズルとリフトは全てレベル4。ここもクリーンプログラム。基礎点39.0に全体で加点6.86。演技構成点はつなぎ以外8点台。技術点六番目の45.86、演技構成点五番目の49.65、合計95.51でフリー6位、総合6位。
 ボブロワ・ソロビエフ組は、「ワルプルギスの夜」の曲。女性の真っ赤な衣装は炎のよう。解説の藤森さんは、「実力はあるが、選曲や振り付け、衣装など現在のアイスダンスのめざす方向を理解しているのかどうか疑問。」と言う。冒頭の直線のリフトも、しゃがんだ男性の上で倒立した女性のスカートが男性の頭にすっぽりかぶさるのは、いくら姿勢が美しくてもいかがなものか。ステップ二つとカーブのリフト以外はレベル4。演技構成点は全て8点台。基礎点37.0に全体で加点5.86。技術点八番目の42.86、演技構成点六番目の49.6、合計92.46でフリー7位、総合7位。

 シブタニ兄妹はどうしたのか。冒頭の、得意なはずのツイズルで男性が転倒、無得点。その後も動揺をひきずったまま、リフトのレベルは4をとったが、キレがない。演技構成点は全て7点台後半。技術点まさかの35.71、演技構成点46.66、合計82.37でフリー11位、総合8位に後退。
 最終グループ最初にデイヴィス・ホワイト組。「こうもり」の曲にのせてスピーディーにワルツを踊りきった。二つのステップだけレベル3だが、他は全てレベル4。しかも全要素全ジャッジが加点ほぼ2〜3。基礎点40.0に全体で加点10.93。演技構成点は全て9点台。技術点二番目の50.93、演技構成点も二番目の56.71、合計107.64でフリーも2位、総合2位。
 ウィーバー・ポジェ組は、シャンソンの曲でフランスの観衆の心をつかんだ。対角線のステップ以外は全てレベル4の上、ほぼ全ジャッジが加点加点1〜2。基礎点41.5に全体で加点8.54。演技構成点は全て8点台。終わったとき、コーチのクリロワさんが涙ぐんでいた。技術点三番目の49.64、演技構成点四番目の50.54、合計100.18は自己ベスト更新でフリー4位、総合4位。

 ペシャラ・ブルザ組は地元の大声援を受けて「ファラオとミイラ」のプログラムをノーミスでやりきった。ここも二つのステップだけレベル3だが、他は全てレベル4。カーブのリフトと直線のリフトは全ジャッジが加点2〜3。基礎点40.0に全体で加点9.5。演技構成点は8.9〜9点台前半。技術点四番目の49.5、演技構成点三番目の54.55、合計104.05は自己ベスト更新でフリーも3位、総合3位。
 イリニク・カツァラポフ組は、「アヴェ・マリア」の曲。ここも二つのステップだけレベル3で、他は全てレベル4。ただ、藤森さんが「リフトに入る前、ただ走っていくところなどもっとつなぎのステップがほしい」と言うように、演技構成点でつなぎだけ7点台、あとは8点台前半。基礎点40.0に全体で加点6.87。年齢を考えれば健闘だが、まだまだ伸びる逸材。技術点五番目の46.87、演技構成点七番目の48.79、合計95.66は自己ベスト更新だが、あまり嬉しそうではない。フリー5位、総合5位。
 最終滑走にヴァーチュー・モイヤー組。映画「パリの恋人」の曲。F. アステアとA. ヘプバーンの役になりきって踊った。サーキュラーステップだけレベル3だがあとは全てレベル4。全要素全ジャッジが加点ほぼ2〜3。基礎点41.5もすごいが、全体で加点が驚異的な11.28。演技構成点はつなぎ以外9点台後半。とにかく速いのになめらかで、滑っていて雪が出ない。技術点最高の52.78、演技構成点も最高の57.56、合計110.34でフリー1位、総合優勝。



ページトップへ

フィギュアスケート (2012.7/23,24,9/2,3)

四大陸選手権 ペア・アイスダンス (2012.2/10〜13 コロラドスプリングス)

 <ペア>10組参加。アメリカ、カナダ、中国が3組ずつ、日本が1組。
 第一滑走は、全米王者デニー・コーフリン組(18,27)。今年組み替えたばかりとは思えない息の合い方。冒頭のツイストはほぼ全ジャッジが加点2。ステップ、リフト、デススパイラル、ペアスピン、全てレベル4。技術点二番目の35.55、演技構成点三番目タイの27.8、合計63.35でSP2位。
 デュベ・ウォルフェ組(加。24,22)も今季組み替えたばかり。ツイストが少し前傾し、ペアスピンはレベル1、ステップもレベルル2。技術点七番目タイの31.28、演技構成点26.4、合計57.68でSP7位。

 マーリー・ブルベイカー組(米。16,25)は、昨年から組んだ。今年はずいぶんペアらしくなった。昨年は女性が男性についていくのがせいいっぱいだったが、今季はツイストも3回転で全ジャッジから加点の出来。スロージャンプは両足になったが、ペアスピン、ステップ、リフト、デススパイラルとレベル4。全体にスピードがあり、技術点三番目の34.96、演技構成点五番目の27.46、合計62.42でSP3位。
 カナダ王者のデュハメル・ラドフォード組(26,27)は、あまり調子がよくなかった。デススパイラル、ペアスピン、ステップ、リフトでレベル4をとったが、スピンでわずかに減点評価。最後のスロージャンプで手をついたのも-1〜-2。技術点六番目の31.44、演技構成点26.09、合計57.53でSP8位。
 高橋・トラン組(20,21)は、「イマジン」の曲に合わせ、リズム、曲調を見事に表現。ただ、冒頭のソロジャンプ3回転サルコウで高橋が転倒。しかし、その他の要素は全て全ジャッジが加点。3回転ツイストはレベル3だったが、ペアスピン、リフト、ステップ、デススパイラルはレベル4。演技構成点のうち振り付けと音楽表現が7点台。技術点四番目の34.74、演技構成点三番目のタイの27.8、合計61.54でSP4位。

 スイ・ハン組(中。16,19)は、先季と同じプログラム。しかしJスポーツ解説の若松さんによると、「去年まではジャンプがうまいだけだったが、今季は滑りも磨いてきた」とのこと。冒頭のツイストは、いつもただ投げ飛ばしているだけのように見えるが、すごい速さ。全ジャッジが加点2〜3。スロージャンプもほぼ全ジャッジが加点3。レベル4はリフトとペアスピンだけだが、そのリフトも全ジャッジが加点2。全体で基礎点29.7に加点が7.6以上。演技構成点もパフォーマンスと音楽表現で7点台後半。技術点最高の37.31、演技構成点も最高の29.44、合計66.75でSP1位。
 エボラ・ラドウィク組(米。27,31)は、ベテランの味。全米3位で出てきたが、ソロジャンプでミス。しかし他の要素は全て全ジャッジが加点。演技構成点もつなぎ以外7点台。技術点六番目タイのの31.28、演技構成点二番目の28.28、合計60.75でSP5位。

 フリーでは、高地のコロラドスプリングスの影響が出た。第1グループ3番滑走のデュハメル・ラドフォード組は、冒頭のツイストがいい出来。続く3連続ジャンプは、女性が第1ジャンプのルッツで片手付き、第3ジャンプが1回転になったが、転倒はせず。ソロジャンプでは転倒し、二つ目のスロージャンプもステップアウトになったが、あとは加点の出来で、かなり盛り返した。特にソロスピンはぴったり合っていた。技術点三番目の62.27、演技構成点六番目の52.96、合計114.23でフリー4位、総合4位。
 デュベ・ウォルフェ組は、スロージャンプで二回とも転倒。ダブルアクセルのシークエンスも女性がステップアウトして第2ジャンプがつかず。リフトもレベル2と3で、最後は疲れた感じ。合計97.11でフリー8位。
 コミカルなSPで6位だったローレンス・スウィガース組は、ソロジャンプで2回転、ダブルアクセルのシークエンスも回転不十分でステップアウト、デススパイラルで手を替えた後、男性のピボットがくずれてレベル1。最後のリフトも減点評価。合計100.69でフリー7位。

 第2グループ最後のエボラ・ラドウィク組は、SPが60点台にのり喜んでいた。しかしフリーでは、ソロジャンプでステップアウト、スロージャンプで転倒、連続ジャンプも女性のアクセルが1回転。それでもつなぎの動きやダンスリフトなどなめらかで美しいポーズがあり、ベテランの持ち味を出していた。デススパイラル、リフト、ペアスピンはレベル4、しかし最後のリフトはおろすとき崩れ気味で減点評価。技術点六番目の54.3、演技構成点五番目の53.94、合計107.24でフリー6位。
  最終グループ最初はスイ・ハン組。スパニッシュの曲で、いきなり4回転のスローサルコウ。両足だったが、回転は足りていた。3連続ジャンプは、二人のジャンプの方向が離れてしまったが、なんとか成功。続くツイストも4回転。こちらはほぼ全ジャッジが加点。デススパイラル、フライングスピン、リフト三つ、ペアスピンとレベル4。二つ目のスローフリップは、全ジャッジが加点2〜3。全体で基礎点64.68に10点以上もの加点。演技構成点構成点も全て7点台前半。技術点驚異的な75.54、演技構成点最高の59.54、合計135.08でフリー1位、初出場で初優勝。
 高橋・トラン組は、冒頭の3回転ツイストはほぼ全ジャッジから加点2〜3。しかし、ソロジャンプで高橋がほぼ転倒、連続ジャンプでも回転不足で転倒、スロージャンプも二つとも前向きで両足着氷。デススパイラル、フライングスピン、ペアスピンはレベル4。後半最初のリフトで全ジャッジから加点2〜3、他二つのリフトも全ジャッジから加点。演技構成点は振り付けだけ7点台。技術点五番目の55.32、演技構成点四番目の55.25、合計109.57でフリー5位。4位と僅差だった。

 デニー・コーフリン組は、冒頭のツイストとスロージャンプがすばらしく、全ジャッジが加点2〜3。ソロジャンプも成功したが、アクセルのシークエンスは女性の第1ジャンプが1回転。しかしあとはノーミスで、最後のリフトの下ろし方が少しリスキーだったが、うまくまとめた。演技構成点はつなぎ以外7点台半ば。技術点二番目の62.82、演技構成点二番目の59.25、合計122.07でフリーも2位、総合2位。
 最終滑走はマーリー・ブルベイカー組。SPは息もきれなかったというが、フリーも速い滑り。冒頭の連続ジャンプで女性が転倒、ソロジャンプでもステップアウトしたが、あとはがんばり、ツイスト、デススパイラル、リフト三つで全ジャッジから加点。二つ目のスロージャンプは両足になったが、技術点四番目の60.91、演技構成点三番目の56.56、合計116.47でフリー3位、総合3位。表彰台は全て初出場のペアで埋まった。

 <アイスダンス>11組参加。日本のリード姉弟はクリスの足が治らず不参加。アジアからは中国、ウズベキスタン、カザフスタンが参加。初出場のウズベキスタンの組は女性がロシア出身。中国のユウ・ワン組(25,25)は長年出場している。SDは、派手な黄緑と黄色の衣装。冒頭のツイズルは減点評価だったが、ルンバの第1バートはレベル4。Jスポーツ解説の藤森さんは、「衣装は音楽とマッチしている。」技術点24.0、演技構成点21.42、合計45.42でSD7位。
 カナダの若手ポール・イスラム組(20,22)は、2年前の世界ジュニア銀メダリスト。滑りは中国の組よりずっと滑らかだが、ルンバの第1パートはレベル1。直線のリフトはレベル4をとり、技術点23.71、演技構成点24.81、合計48.52でSD6位。

 ハベル・ドナヒュー組(米。20,21)は組みかえて一年目。一昨年兄妹で四大陸3位。全米3位で出場。男性がサーキュラーステップの途中で転倒。しかし、ルンバの第1パート、直線のリフト、ツイズルでレベル4をとり、技術点25.5、演技構成点25.43、合計49.93でSD5位。全米と日程が近く、練習が数日しかとれなかったらしい。
 デイヴィス・ホワイト組(米。25,24)は、ツイズルとカーブのリフトでレベル4。ルンバのパートは二つともレベル3。全要素ほぼ全ジャッジが加点2〜3。演技構成点はは全て8点台。技術点最高の34.71、演技構成点2番目の37.44、合計72.15でSD1位。

 ヴァーチュー・モイヤー組(加。22,24)は、全ての要素でほぼ全ジャッジから加点2〜3をもらっているが、ルンバのパートは二つともレベル3。今大会のテクニカル・コントローラーはたいへん厳しく判定。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。技術点2番目の33.92、演技構成点最高の37.68、合計71.6でSD2位。
 シプタニ兄妹(米。17,20)は、昨年の世界選手権3位。今年のSDは途中でプログラムを変更。ルンバのパートはレベル3と2だったが、ツイズルと回転リフトはレベル4。演技構成点もパフォーマンスが8点台。今までで最高の出来らしい。技術点3番目の31.86、演技構成点4番目の31.52、合計63.38でSD4位。

 最終滑走はカナダの2番手、ウィーバー・ポジェ組(22,24)。女性がヒョウ柄の衣装。ルンバのパートは二つともレベル2。しかし直線のリフトとツイズルでレベル4、演技構成点もつなぎ以外8点台前半。技術点4番目の31.43、演技構成点3番目の32.8、合計64.23でSD3位。

 フリーでは、高地の会場の影響が出た。ポール・イスラム組は、ツイズルで男性が転倒。せっかく冒頭の回転リフトでレベル4をとり、勢いにのっていたのだが要素を失う。しかし、二つのステップはレベル2だったが、リフト三つとスピンはレベル4、「トゥナイト」の曲で情感たっぷりに滑った。技術点33.07、演技構成点6番目の37.38、合計69.45でフリー7位、総合6位。
 ハベル・ドナヒュー組はフリーでも男性がつなぎで転倒。リフトとスピンでレベル4、ツイズルはレベル4だが減点評価。演技構成点は6点台半ば。技術点5番目の40.72、演技構成点も5番目の39.55、合計79.27でフリー5位。

 ユウ・ワン組は、SDより全体が滑り込んである感じ。ステップとスピンはレベル2だが、ツイズルとリフトはレベル4。解説の藤森さんは「GOEが0ではなく1が付くようになってきた。」演技構成点は5点台半ば。技術点36.5、演技構成点33.13、合計69.63でフリー6位、総合7位。男性は終わった途端、ひざに手をついた。そうとう高地がこたえたようだ。
 ウィーバー・ポジェ組は、二つのステップこそレベル2と3だったが、他の要素は全てレベル4。最後まで高速で滑りきった。全要素で全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外8点台後半。技術点3番目の47.42、演技構成点も3番目の51.61、合計99.03でフリー3位、総合3位でおととしの優勝に次ぐ表彰台。

 シプタニ兄妹は、男性が風邪をひいているらしい。冒頭の高速ツイズルはすばらしかったが、次第に顔が無表情になっていき、最後は挨拶する前にしゃがみこんだ。それでも要素はやりとげ、スピンとステップはレベル3、ツイズルとリフトはレベル4、全要素全ジャッジが加点。演技構成点も全て8点台前半。技術点4番目の47.06、演技構成点も4番目の48.85、リフトの時間オーバーがあり減点1、合計94.91でフリーも4位、総合4位。
 ヴァーチュー・モイヤー組は完璧な出来。サーキュラーステップだけレベル3、他の全要素がレベル4に、全ジャッジが加点2〜3。演技構成点もつなぎを含めて9点台。技術点最高の54.07、演技構成点2番目の57.17、合計111.24でフリー1位、総合逆転優勝。

 最終滑走のデイヴィス・ホワイト組は、「コウモリ」の曲を軽やかに滑りきった。リフトは全てレベル4だが、二つのステップ、スピン、ツイズルはレベル3。全要素に全ジャッジが加点2〜3。演技構成点つなぎ以外9点台後半。技術点2番目の50.01、演技構成点最高の57.24、合計107.25でフリー2位、総合2位。ここも男性が終わった後、ひざに手をついた。



ページトップへ

フィギュアスケート (2012.5/13,14,15,6/2,15)

世界ジュニア選手権 (2012.2/29〜3/4 ミンスク・ベラルーシ)

 <男子シングル>30人参加。昨年銀メダルの田中刑事の7位が最高。
 16番滑走の宇野(14)は身長がまだ142p。ステップからのジャンプはルッツと指定されているが、eマーク。フリップからの連続ジャンプは成功。スピンは三つともレベル4。小さい体でよく音楽を表現していたと思うが、演技構成点は全て5点台半ば。技術点29.82、演技構成点27.89、合計57.71で、この時点で1位、SP10位。
 ドレンスキー(米、19)は、初出場だが、冒頭でループからの連続3回転を成功。エッジの深いきれいな滑りで、アメリカは層が厚いと思った。スピン二つがレベル4。演技構成点は全て5点台半ばだが、ゆったりとした曲想をよく表現していた。作曲者の名前が本人と同じなので自作かも。技術点30.27、演技構成点27.46、合計57.73でSP9位。
 フィルス(加、19)は2年前国内ジュニア優勝、今年シニア6位。世界ジュニア2回目。冒頭の連続3回転は加点の出来。スピン二つがレベル4。カナダの選手らしく滑りがなめらか。仕草がチャンに似ている。技術点32.74、演技構成点29.36、合計62.1でSP7位。

 デニス・テン(カザフ、18)は、冒頭のトリプルアクセルをきれいに成功。ジャンプは一時の不調から戻ってきた。しかし3年前の輝くような勢いはまだない。フリップからの連続3回転、ステップからのルッツは決めたが、スピンは一つだけレベル4。足換えスピンはレベル1と失敗。フライングスピンも空中姿勢が十分でなく、減点評価。演技構成点は全て6点台後半。技術点三番目の39.99、演技構成点四番目の33.79、合計73.78には、本人もキャロルコーチも渋い顔。SP3位。
 ブラウン(米、17)は、今年ジュニアGPファイナルで優勝し、ずいぶん飛躍した。まだトリプルアクセルはないが、ダブルアクセル、フリップからの連続3回転を含めて全要素に、ほぼ全ジャッジが加点の出来。スピンも二つレベル4。演技構成点は全て6点台後半。技術点四番目の36.34、演技構成点三番目の33.86、合計70.2でSP4位。
 最終グループ一番滑走のファリス(米、17)は、ジュニアGPファイナル3位。美しいトリプルアクセルから。全ジャッジが加点1〜2。スピンは三つともレベル4。演技構成点は全て6点台後半。技術点最高の41.47、演技構成点二番目の33.96、合計7.43でSP1位。

 ヤン(中、15)は、ジュニアGPファイナル2位。冒頭、豪快なトリプルアクセルを決める。全ジャッジが加点1〜3。フリップからの連続3回転、ステップからのルッツも全ジャッジが加点。スピンは一つだけレベル4。演技構成点は滑走技術が7点台。最後まで速かった。技術点二番目の40.51、演技構成点最高の34.37、合計74.88でSP2位。
 ロシア期待のドミトリエフ(19)は、急ぎすぎの印象。フリップからの連続3回転は決めたが、トリプルアクセルは回転不十分で転倒。技術点30.27、演技構成点29.83、合計57.73でSP8位。

 昨年2位の田中(17)は、冒頭のトリプルアクセルはよかったが、連続ジャンプが2回転2回転になり、要素を失ったのは痛かった。ルッツもeマーク。スピンも一つレベル1。解説の杉田さんは「タンゴの曲を表現できていない。」技術点28.05、演技構成点29.65、合計57.7でSP11位と出遅れ。
 最終滑走の日野は、全日本ジュニアチャンピオン。お父さんがロシア人なのにちなんでか「ロシアの水夫の踊り」の曲。振り付けは宮本。相変わらず、仏頂面で登場。冒頭のトリプルアクセルは決めたが、連続ジャンプは第二ジャンプが両足。ルッツもステップアウト。スピンは最後のフライングだけレベル4。演技構成点は5点台。技術点29.69、演技構成点26.9、合計56.59でSP14位。

 フリーは、24人。12番滑走で日野。冒頭でトリプルアクセルからの連続ジャンプ。トリプルアクセルの着氷が不安定で、無理に第二ジャンプをつけたので、-1〜-2。二つ目のトリプルアクセルが美しかったので、もったいなかった。ルッツからの連続3回転、後半にはループからの3連続も決め、尻上がりによくなったかと思えば、最後のフライングスピンがばらけてレベル1。杉田さんは、「いいときのキレがない。」技術点五番目の70.83、演技構成点53.92、合計124.75でフリー9位。
 13番滑走の宇野は、冒頭のルッツがSPと同じくeマークの上、ステップアウト。しかしひきずらず、ダブルアクセルからの3回転トウループ、フリップ、ループと決める。SPでは三つともレベル4だったスピンが、一つだけレベル4。それでも後半にフリップからの3連続も成功させ、最後のステップとスピンはレベル2と3だったが、キレもあって速く、全ジャッジが加点。演技構成点も全て5点台後半。技術点60.25、演技構成点57.96、合計118.21でフリー10位。
 16番滑走で田中。冒頭のトリプルアクセルからの連続ジャンプは加点の出来。続けてもうひとつトリプルアクセル。後半にフリップからの連続ジャンプ、ルッツ、サルコウからの3連続と決めたが、連続3回転が入らなかった。全体に慎重に滑った印象で、上位を食う勢いはなし。演技構成点はつなぎ以外6点台前半。技術点四番目の71.02、演技構成点七番目の61.14、合計132.16でフリー5位、総合7位。これで来年は、2枠に減った。
 ちょっとチャンに似ているフィルスは、「アラビアのロレンス」の曲。冒頭ルッツからの連続3回転を軽やかに決めたのに、トリプルアクセルで転倒。後半にダブルアクセルからの3連続を跳んだが、減点評価。足換えスピンも軸がしまらずレベル1で-1〜-3。技術点66.98、演技構成点60.98、合計126.96でフリー8位。

  最終グループ最初にデニス・テン。冒頭の4回転が決まれば、逆転優勝も見えたが、回転不十分で転倒。トリプルアクセルからの連続3回転、二つ目のトリプルアクセルは決める。後半のルッツからの3連続は、ルッツが回転不十分で第二ジャンプはただのターンのよう。第三ジャンプに3回転サルコウをつけたが1〜-2。しかも次のフリップがパンクして1回転。スピンは三つともレベル4だが、メダルも逃す。演技構成点は全て6点台後半。技術点六番目の67.84、演技構成点四番目の67.58、合計134.42でフリー4位、総合4位には本人もコーチも渋い顔。
 続けてSP2位のヤン。またも冒頭に豪快なトリプルアクセル。続けて4回転。ちょっとつまったが、回って下りた。これで勝負あった。フリップからの連続3回転、加点がつくルッツとどんどん跳ぶ。後半になっても、全ジャッジが加点2〜3つけたフリップや、ルッツからの連続ジャンプも成功。ただ、ダブルアクセルからの3連続は、第二ジャンプが回転不足で第三ジャンプも1回転のお粗末はご愛敬か。演技構成点はつなぎ以外7点台前半にのせた。技術点最高の76.37、演技構成点二番目の71.2、合計147.57でフリー1位、総合優勝。表彰台の真ん中で、にこりともせずに立っていた。両側のアメリカ人たちがにこにこしていたのと対照的。

 SP1位のファリスは、冒頭でトリプルアクセルからの連続ジャンプを決めた。もうひとつ続けてトリプルアクセル。こちらの方がきれいに跳べた。スピンは三つともレベル4だったが、後半のルッツからの連続3回転はタッチがあり、減点評価。しかし今できることは殆どやったといえる内容。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点二番目の75.34、演技構成点二番目タイの71.2、合計146.54でフリー2位、総合2位。優勝できなかったが、すごく嬉しそうだった。
 SP6位のジャン(中、15)は、がっちり型のジャンパー、ヤンと対照的なスレンダーな体型。まだトリプルアクセルはない。加点のつくダブルアクセル、フリップからの連続3回転、ルッツと成功。後半にもルッツからの連続ジャンプ、ダブルアクセルからの3連続と決めたが、まだ体が軽い。最後のスピンはレベル4で全ジャッジが加点。全体に伸び代を感じる。演技構成点は6点台。技術点64.12、演技構成点65.22、合計129.34でフリー7位。

 最終滑走でSP4位のブラウン。冒頭のルッツは、全ジャッジが加点2〜3。まだトリプルアクセルがないのが惜しまれる。後半のルッツからの連続3回転も全ジャッジが加点。直線のステップは、レベルこそ3だが、これも全ジャッジが加点1〜2。終盤のフリップからの連続ジャンプが少し動きがつまったが、最後のフライングスピンはレベル3だが、全ジャッジが加点1〜3をつけた。全体で基礎点63.24に9点以上の加点。演技構成点は全て7点台前半。技術点三番目の72.7、演技構成点最高の72.0、合計144.7で自己ベスト更新、フリー3位、逆転で表彰台に。コーチと抱き合って喜んでいた。杉田さんは、「トリプルアクセルのない選手がメダルをとれるということはいいことだ。」と言う。

 <女子シングル>31人参加。宮原4位。SPでは、リプニツカヤ(露、13)が完璧な滑りで1位。SP2位には、全米ジュニア女王のゴールド(米、15)。SP3位はソトニコワ(露、15)。
 7番滑走のゴールドは、冒頭フリップからの連続3回転を成功。スピンは三つともレベル4、レイバックスピンは全ジャッジから加点1〜2。演技構成点は滑走技術とパフォーマンスが6点台前半。しかし、完璧ではなく、技術点二番目の34.43、演技構成点五番目の23.57、合計58.0でSP2位。

 15番滑走の佐藤(15)は、冒頭の連続3回転の最初で転倒、要素を失う。スピンは三つともレベル4、演技構成点は滑走技術だけ5.9点台、あとは5点台前半。技術点25.99、演技構成点21.51、合計46.5でSP13位。
 18番滑走の全日本ジュニア女王の宮原(13)は、初出場。ほぼノーミスの演技。冒頭の連続3回転の第1ジャンプのフリップが回転不十分だったくらい。スピンは三つともレベル4、特にレイバックスピンは全ジャッジから加点1〜3。この年齢にしては表現力というか見せようと言う意思がはっきり出ている。演技構成点は滑走技術とパフォーマンスが5点台後半、あとは5点台前半。技術点三番目の31.07、演技構成点21.9、合計52.97でSP4位と健闘。
 24番滑走で世界ジュニア2回目の庄司(15)は、大会2週間前に両足の甲を傷めたとかで冒頭の連続3回転は第2ジャンプが回転不足、ステップからのルッツも回転不十分で、SP18位と大きく出遅れ。

 庄司のすぐ次に、ロシア女王で昨年優勝のソトニコワ。冒頭にトウループの連続3回転。フライングスピンは、減点評価。最後のスピンは回転数不足らしく、レベル1。演技構成点はつなぎ以外6点台半ば。技術点四番目の30.92、演技構成点二番目の25.65、合計56.57でSP3位。
 そのすぐ次のリプニツカヤはロシアジュニア女王。連続3回転はトウループだが、全ジャッジが加点1〜3。スピンが上手で、三つともレベル4の上、足換えスピンは全ジャッジが加点2〜3。レイバックスピンも全ジャッジが加点1〜3。全体で基礎点30.0に加点6.43。技術点36.43、演技構成点26.66とも最高の、合計63.29とダントツでSP1位。ロシアは若い方が強い。この世界ジュニア出場選手まで、ソチ五輪に間に合うということで注目が高い。
 SP4位はガオ(米、17)。コーチはキム・ヨナを育てたオーサー。SP5位は李(中、15)。コーチにはコーエンを指導していた女性の李さんと男子シングルで活躍したチェンジャン・リー。SP6位はキム(韓、14)。振り付けは宮本さん。

 フリーでは、24人が滑る。第2グループ8番滑走で佐藤。冒頭のルッツをきれいに決める。続けてダブルアクセルから3回転トウの連続ジャンプ。フリップはeマークだが、後半にルッツからの連続ジャンプもダブルアクセルからの3連続も入り、スピンは三つともレベル4、ほぼノーミスで技術点七番目の54.81、演技構成点39.89、合計94.7は自己ベスト更新で、フリー12位、総合12位。
 9番滑走で庄司。足の甲を傷めたせいで歩くのもつらいらしい。冒頭の3連続は、第2、第3ジャンプが1回転。続くトウループからの連続ジャンプも第2ジャンプが1回転。後半のサルコウでは構えだけで転倒も。スピンは二つレベル4だが、最後の足替えスピンはレベル1と取りこぼし。技術点31.52、演技構成点39.43、合計69.95でフリー22位、総合20位。昨年は5位だったが、実力を出せず。
 第3グループでは、シェルベン(露、16)は、追い上げが厳しいロシアで伸び悩んでいる。冒頭、ルッからの連続3回転、サルコウからの連続3回転を決める。後半にはeマークはついたがフリップからの3連続も入れた。しかし滑りに勢いがない。慎重に滑っている感じでほぼノーミスで終えてホッとしているようだった。技術点三番目の60.65、演技構成点六番目の47.38、合計108.03でフリー4位、総合6位と少し挽回。一昨年の4位には及ばなかった。

 韓国のキムは、初出場だがSP6位と健闘。メンデルスゾーンの曲で、冒頭でトウループの連続3回転、続けてeマークだがルッツからの連続ジャンプを決める。後半に入ってループが回転不十分で転倒したが、直後のフリップからの3連続は成功。演技構成点は滑走技術のみ6点台。技術点52.71、演技構成点46.44、合計98.15でフリー8位、総合8位。
 オズモンド(16)も初出場。カナダ選手権でシニア3位。SPのインドの踊りが魅力的。フリーはサンサーンスの曲で、冒頭のフリップからの連続ジャンプは成功。しかしルッツ、トウループの連続3回転、後半のアクセルからの3連続とジャンプの減点評価が続く。スピンは二つがレベル4。技術点49.06、演技構成点47.04、合計96.1でフリー10位、総合10位。
 最終グループは、アメリカのガオから。冒頭のフリップからの連続3回転は成功。しかしルッツがeマーク、後半のループはステップアウト、サルコウは1回転に。トウループからの3連続はなんとか決める。演技構成点はミッツの要素で6点台。技術点50.1、演技構成点48.33、合計98.43でフリー7位、総合7位。順位を下げる。

 世界ジュニア二回目の中国のは、SP5位。連続3回転は跳べるらしいが入れない構成。冒頭でフリップからの連続ジャンプを決めると、続けてダブルアクセルから3回転2回転の3連続。ルッツはeマークだが、後半にサルコウからの連続ジャンプも成功。体が柔らかく、スピン二つでレベル4、最後のレイバックスピンは全ジャッジが+2〜+3。演技構成点は滑走技術とパフォーマンスで6点台。技術点六番目の57.79、演技構成点47.78、合計105.57でフリーも5位、総合5位。解説の岡部さんは、「ソチでの強力なライバルになる。」
 SP2位のゴールドは、冒頭でルッツからの連続3回転を決め、全ジャッジから+1〜+3。続けてダブルアクセルから3回転トウの連続ジャンプも成功。ループは2回転になったが、後半ダブルアクセルからの3連続も入れ、二つ目のルッツも成功。スピンも二つがレベル4。演技構成点はつなぎと振り付け以外6点台後半。技術点二番目の61.67、演技構成点三番目の52.18、合計113.85で自己ベスト更新、フリーも2位、総合2位。
 すぐ次にSP4位の宮原。冒頭でルッツからの連続3回転を決める。続くレイバックスピンは一人を除いた全ジャッジから加点1〜2。フリップでステップアウトしたが、後半にはルッツからの3連続も成功。スピンはミッツともレベル4。演技構成点は全て5点台後半。技術点五番目の58.57、演技構成点46.24、合計104.81と100点台に乗せ、フリー6位、総合4位。健闘したが、来季の日本は2枠に。

 ソトニコワは、滑りに余裕がない。SP3位から連覇への逆転をねらって力んだのか、調子がどこか狂っているのか。冒頭のルッツからの連続3回転は、eマークながら成功。続くフリップは全ジャッジが加点2。ダブルアクセルから3回転トウの連続ジャンプも全ジャッジが加点2〜3。しかし、フリップからの連続ジャンプ、後半のサルコウと減点評価。ループでは転倒。スピンは二つレベル4。演技構成点は滑走技術が7点台。技術点四番目の59.29、演技構成点二番目の53.59、合計111.88でフリーも3位、総合3位。
 最終滑走は、SP1位のリプニツカヤ。「ロミオとジュリエット」の曲で、いきなりダブルアクセルからの3連続を決める。ちょっと壁に近くてヒヤッとしたが、全ジャッジが加点1〜2。続くダブルアクセルから3回転トウの連続ジャンプも全ジャッジが加点1〜2。スピンが上手で三つともレベル4の上、全ジャッジが加点。足替えスピンと最後のレイバックは加点2〜3の高い評価。真横に足をまっすぐ上げる形は誰もやったことのない形。基礎点57.61に全体で10点近い驚異的な加点。演技構成点も三つの要素で7点台。技術点最高の67.34、演技構成点も最高の56.62、合計123.96はもちろん自己ベスト更新でフリーも1位、初出場で総合優勝。目標はもちろんソチ五輪だが、「その次でもまだ10代」と解説の岡部さん。

 <ペア>中国がSP、フリーとも1位、2位。SPは20組。予選から11組、ダイレクトエントリーが9組。中国、ロシア、カナダ、アメリカは3組ずつエントリー。優勝候補筆頭は、2連覇しているスイ・ハン組。SPでは、ソロジャンプは2回転ルッツ、スロージャンプはループと決められている。またツイストも2回転、デススパイラルはフォアインサイドらしい。
 3番滑走のダヴァンコワ・デピュタット組(露、13,19)は、スロージャンプは3回転を決め、ツイストは全ジャッジから加点。男性は180pもあって、ウクライナ出身。コーチともどもウクライナから移住したとのこと。技術点27.94、演技構成点22.56、合計50.5でSP5位。
 第三グループ10番滑走に全米ジュニアチャンピオンのデニー・フレイジャー組(16,19)。女性の姉はやはりペアの全米チャンピオン。ソロジャンプがeマーク、リフトとペアスピンはレベル4。技術点27.93、演技構成点22.88でSP4位。
 第四グループ13番滑走に中国の予選からの組、ユウ・ジン組(16,18)。スロージャンプは3回転を跳び、全ジャッジから加点2〜3。ステップ以外の要素は全てレベル4に加点。技術点31.25、演技構成点23.47、合計54.72で、この時点で1位、SP2位。さすが中国のペアの層は厚い。

 ボヴァク・ベハリー組(加、17,20)は、国内ジュニアチャンピオン。しかし、スロージャンプ、ソロジャンプでミスが出て、技術点26.97、演技構成点22.80、合計49.77でSP6位。
 最終組18番滑走でスイ・ハン組(中、16,19)。ひと組だけレベルが違う。曲は昨年と同じアメリカン・カントリー。4回転もできるツイストを2回転で。ソロジャンプも2回転は余裕で。スロージャンプは全ジャッジが加点2〜3。ペアスピン、リフト、デススパイラルはレベル4。基礎点25.9に全体で加点6.7。技術点32.6、演技構成点6.57、合計59.29でSP1位。
 最終滑走は、カナダのパーディ・マリナロ組(17,20)。女性が166センチ、男性が182pと長身。スロージャンプは軽くミスしたが、リフト、ステップ、デススパイラル、ペアスピンでレベル4。技術点27.88、演技構成点21.63、合計49.51でSP7位。

 フリーには、16組が進む。地元ベラルーシのペアは進めなかった。第三グループ、SP5位のダヴァンコワ・デピュタット組は、ほぼノーミスの演技。「ロミオとジュリエット」の曲、紫色の衣装もよかった。二つ続けたスロージャンプはきれいに着氷。ツイストとソロスピンは全ジャッジから加点1〜2。後半のダブルアクセルでミスしたが、全体に会心の出来でコーチたちもリンクサイドでガッツポーズ。技術点55.39、演技構成点47.77、合計103.16フリー3位。
 最終組の最初にスイ・ハン組。滑り出しから、他の組とスピードが違う。冒頭で4回転サルコウスロージャンプ。両足着氷というか、前を回したフリーレッグがタッチということで、減点0〜-2。続く3連続で珍しく男性がミス。第二ジャンプが回転不足で前向きに両足着氷、シークエンス扱いに。しかしその後は、ツイストも4回転、レベルもデススパイラルが3だが、あとはレベル4。二つ目のスロージャンプは全ジャッジが加点2〜3。スパニッシュの曲と滑りがようやく様になってきた。技術点二番目の60.28、演技構成点最高の56.12、合計116.4でフリー1位、3連覇。
 続けて同じ中国のユウ・ジン組も会心の演技。冒頭のツイストと後半のスロージャンプはほぼ全ジャッジが加点2〜3。技術点最高の61.1、演技構成点二番目の51.66、合計112.76でフリーも2位、初出場で銀メダル、表彰式のプレゼンターは、日本の平松さんだった。

 <アイスダンス>25組参加。昨年のメダリスト(モンコ・ハリアビン組(露)、プスカシュ・ゲレーロ組(露)、リヒトマン・コプリー組(米))は全てシニアへ上がったので、新しいメダリストが生まれる大会。ジュニアのパターンダンスは、シニアと異なり、チャチャ・コンゲラータ。また、二つのセクションを続けて滑らなくてはならない。その他、ノンタッチステップは、サーキュラーではなく、直線。
 13番滑走のヤノウスカヤ・モズコフ組(露、15,16)は、優勝候補のひとつでジュニアGPファイナルで3位だった。二人とも長身(163cm,186cm)。冒頭のツイズルはレベル4で全ジャッジが加点。チャチャはどちらもレベル3。演技構成点は6点台後半。技術点31.93、演技構成点26.96、合計58.89でSD3位。
 次のヤン・ウー組(中、18,20)は、世界ジュニア三回目。チャチャはレベル3と2。ツイズルと回転リフトはレベル4。演技構成点は音楽表現だけ4点台後半で後は5点台前半。全体にほとんど加点はなかったが、リフトの時間オーバーで減点1。技術点26.99、演技構成点20.96、合計46.35は自己ベスト更新で喜んでいた。SD13位。
 第四グループのオルドリッチ・イートン組(米、17,19)は、全米ジュニアチャンピオン。冒頭のツイズルはレベル4で全ジャッジが加点。チャチャは、レベル4と3。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。技術点五番目の31.21、演技構成点四番目の26.55、合計57.76で自己ベスト更新、SD4位。コーチは筆頭にクリロワ、イタリアのスカリの名もあり、解説の藤森さんも「ラテンの雰囲気を出している」と言っていた。

 シニシナ・ジガンシン組(露、16,19)は、ジュニアGPファイナル優勝。冒頭のツイズルと回転リフトはレベル4。チャチャは、レベル4と3。全ての要素に全ジャッジが加点1〜2。演技構成点は全て7点台前半。技術点最高の34.29、演技構成点も最高の29.49、合計63.78でSD1位。
 第四グループの最後にステファノワ・ブキン組(露、16,18)。ジュニアGPファイナルは2位。パターンダンスのチャチャから入り、二つともレベル4。ツイズルと回転リフトもレベル4。全ての要素にほぼ全ジャッジが加点1〜2。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点1位と0.01差の34.28、演技構成点二番目の28.4、合計62.68でSD2位。第四グループに優勝候補が集まった。
 最終滑走のパパダキス・シゼロン組(仏、16,17)は、世界ジュニア三回目。女性のお母さんがコーチ。ここも長身カップルで、女性が167p、男性も185p。冒頭の直線のステップはレベル3だが、全ジャッジが加点。その他の要素は、チャチャも含めてレベル4。藤森さんは、特に「男性がチャチャの特徴をよく表現している。こんなチャチャが見たかった」と絶賛。演技構成点は全て6点台前半。技術点三番目の33.14、演技構成点六番目の24.95、合計58.09でSD4位。

 フリーには、20組が進む。第三グループ最初のスフォルツァ・フィオレッティ組(伊、16,18)は、女性が165p、男性も185pの長身。「カメルン」の曲で持ち味を出した。スピンと三つのリフトでレベル4。SDのルンバはあまりラテンの国らしさがなかったが、フリーではスペインぽく、情熱的な感じが表現できていた。技術点32.5、演技構成点32.69、合計65.19は自己ベスト更新でフリー12位。解説の藤森さんはファイエラ・スカリ組の若い頃と似ていると言う。
 次のオーフォード・ウィリアムズ組(加、19,20)は、「風とともに去りぬ」の曲を見事に演じきった。三つのリフトとスピン、ツイズルでレベル4。リフトはどれも独創的でダイナミック。ツイズルと回転リフト、直線のリフトで全ジャッジから加点1〜2。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。技術点39.58、演技構成点39.17、合計78.75で自己ベスト更新、フリー6位。

 最終組最初のシニシナ・ジガンシン組は、他の組とスピードが違う。「オペラ座の怪人」の曲をほぼ完璧に滑りきった。二つのステップはレベル3だが、後の要素は全てレベル4。最後の回転リフト以外の全要素で全ジャッジが加点。基礎点36.0に全体で7点以上の加点。演技構成点も全て7点台後半。もうシニアでも勝負できると思う。技術点43.15、演技構成点46.88とも最高で自己ベスト更新、合計90.03の高得点でフリーも1位、総合優勝。今季は出た大会全て優勝だとか。
 ステファノワ・ブキン組も二つのステップ以外の要素はレベル4。ただ直線のステップがレベル2だった。ツイズルは全ジャッジが加点1〜3。演技構成点は全て7点台。全体で基礎点34.5に加点6.15。技術点三番目の40.65、演技構成点二番目の44.41、合計85.06でフリーも2位、総合2位。

 SD4位のオルドリッチ・イートン組は、「ロード・オブ・ザ・ダンス」というアイルランドのリバーダンスの曲をよく表現していた。ここも二つのステップ以外の要素はレベル4。二つのステップのレベルは3。ツイズルは両回りとも高速で、全ジャッジが加点1〜3。藤森さんは「アメリカの得意技」。全体で基礎点36.0に加点6.57。演技構成点は、つなぎ以外7点台前半。技術点二番目の41.57、演技構成点四番目の41.81、合計83.38でフリー3位、逆転で総合3位。
 パパダキス・シゼロン組は、エルビス・プレスリー・メドレー。ツイズルと二つのリフト、スピンでレベル4。1960年代のロックの雰囲気は出ていた。演技構成点はパフォーマンスと音楽表現で7点台。技術点五番目の39.72、演技構成点も五番目の40.89、合計80.61でフリー5位。

 最終滑走はSD3位のヤノウスカヤ・モズコフ組。カーブのリフト、ツイズル、サーキュラーステップまで来たところで音楽がとぎれた。進行係が男性のズボンの裾のベルトがはずれているので止めたとか。こういうのは初めて見た。藤森さんは「レフェリーの笛は鳴らなかった」と言っていたので、危険がありそうなときは笛も鳴るらしい。かなり集中し直すのは難しかったと思うが、その後もよく滑ったと思う。直線のリフト、スピン、回転リフトでレベル4。全体で基礎点34.5に加点5.36。演技構成点はつなぎと音楽表現以外は7点台前半。技術点四番目の39.86、演技構成点三番目の41.88、合計81.74でフリー4位、総合4位。
 表彰台の一角をアメリカが勝ち取ったが、ロシアの層の暑さが目立った。1位と2位の組が来年シニアへ上がるかどうかはこれからロシア連盟とコーチが決めるのだそうだ。


フィギュアスケート (2012.4/19,20,21,26,29,)

国別対抗選手権 (2012.4/19〜22 代々木)

 ISU世界ランク上位6ヵ国が参加。なんとランク1位は日本。他にアメリカ、カナダ、フランス、ロシア、イタリア。シングル二人ずつ、ダンス、ペアひと組ずつ参加。

 <アイスダンス>日本からはもちろんリード姉弟。ルンバのSDを大きなミスなく滑りきった。今季最高点を出したが、技術点24.64、演技構成点24.83、合計49.47でSD6位。
 SD1位はアメリカのデイヴィス・ホワイト組。ツイズルとカーブのリフト、ルンバの第一パートがレベル4。ツイズルとリフトは全ジャッジが加点2〜3。技術点最高の34.64、演技構成点二番目の37.54、合計72.18。
 SD2位はカナダのヴァーチュー・モイヤー組。ルンバの二つのパート、ツイズル、ステップ、全てレベル3。最後の回転リフトだけレベル4で加点が2〜3。技術点二番目の32.35、演技構成点最高の37.58、合計69.93。
 その他の組は放映なし。ちなみに5位がロシアのイリニク・カツァラポフ組。4位がイタリアのカッペリーニ・ラノッテ組。3位がフランスのペシャラ・ブルザ組。

 フリーの放送はひどかった。優勝したデイヴィス・ホワイト組も2位のヴァーチュー・モイヤー組もハイライトだけ。全部映したのは、リード姉弟のみ。今季初めてフリーを見た。ツイズルでは、第二ツイズルの三つ目でキャシーが足をついてしまい、レベル2。SDでもキャシーが不安定だった。リフトは全てレベル4だが、ステップはレベル2、スピンはレベル1ととりこぼしが多い。技術点33.01、演技構成点37.07、合計70.08の6位だが、今季クリスが途中で怪我したことを思えば、開催国の選手として恥ずかしくない演技はできた。
 3位はペシャラ・ブルザ組。

 BS朝日では、その他の組も放映。イリニク・カツァラポフ組は、ちょっと女性が太ったのか成長したのかキレが少し悪い。リフト二つとツイズルはレベル4だが、最後の対角線のステップと直線のリフトはレベル2。演技構成点は、つなぎ以外8点台。技術点38.85、演技構成点47.55、合計86.4でフリー5位。
 カッペリーニ・ラノッテ組は、冒頭のツイズルで見事な同調を見せ、ほぼ全ジャッジから加点2。対角線のステップだけレベル3であとは全てレベル4の上、全ジャッジから加点。全体で基礎点14.5に7.57の加点。演技構成点も全て8点台。技術点49.07、演技構成点49.23、合計98.3でフリー4位、総合4位。

 ペシャラ・ブルザ組は、スロースターターで、今季最後で調子を上げてきた。二つのステップだけレベル3で、他の要素は全てレベル4。ツイズル以外の全要素で全ジャッジから加点。全体で基礎点40.0に8.5も加点。演技構成点は振り付けと音楽表現で9点台。技術点四番目の48.5、演技構成点三番目の53.76、合計101.26でフリーも3位、総合3位。これで、このミイラのプログラムも見納めか。

 ヴァーチュー・モイヤー組は、冒頭の対角線のステップだけレベル3であとは全てレベル4、全要素に全ジャッジから加点。特にカーブのリフトと最後の連続リフトは全ジャッジが加点2〜3。全体で基礎点41.5に加点が驚異的な10.42。それでも技術点二番目の51.92、演技構成点も二番目の55.91、合計107.83でフリー2位、総合2位。
 デイヴィス・ホワイト組は、圧巻の出来。今季初めに見たのと同じプログラムではないよう。華麗なワルツの世界を表現。二つのステップだけレベル3で、他の要素は全てレベル4。加点がすごい。全要素に全ジャッジが加点2〜3。全体で基礎点40.0にさらに驚異的な12.87もの加点。演技構成点では、パフォーマンスと音楽表現でそれぞれ7人が10.0をつけた。技術点最高の52.87、演技構成点も最高の58.31をたたきだし、今季四大陸、世界選手権と2位だった雪辱を果たした。

 <男子シングル>日本は高橋と小塚。高橋は初出場。アメリカはアボットとリッポン、カナダはチャンとレイノルズ、フランスはジュベールとアマディオ、イタリアはコンテスティとバッキーニと主力が来たのに、ロシアだけコフトゥンとブッシュの若手二人。
 第一グループ6番滑走のジュベールは、スピードがないように見えたが、冒頭で4回転3回転を成功。技術点三番目の45.01、演技構成点四番目の39.68、合計84.64の今季最高を出してSP4位。
 第二グループ2番滑走のアマディオは、冒頭の4回転サルコウが両足気味。ルッツからの連続3回転は決め、全ジャッジから加点。技術点六番目の42.8、演技構成点五番目の39.04、合計81.84でSP5位。

 アボットはいいときのアボットだった。冒頭のフリップからの連続3回転が成功して波に乗った。スピンは三つともレベル4でほぼ全ジャッジが加点。演技構成点も全て8点台、三つの要素で8点台後半。技術点44.09、演技構成点42.89、合計86.98でSP3位。
 小塚は、前回2009年では転倒したので今回は挽回をねらっていたが、冒頭の4回転で転倒。トリプルアクセルはよかったが、ルッツからの連続ジャンプは傾いて転倒して要素を失う。振り付けの表現はよくなってきたと思う。スピンは三つともレベル4。技術点37.83、演技構成点37.78、合計73.61でSP8位と出遅れ。

 高橋は、ほぼノーミスの演技。冒頭の4回転をつまりながらも決めると、トリプルアクセルは全ジャッジが加点の出来。スピン二つと直線のステップでレベル4。演技構成点は全て8点台後半、つなぎ以外は8.9点台。技術点最高の49.71、演技構成点二番目の44.29、合計94.0の今季最高でSP1位。本人はキスアンドクライで本田コーチにスピンが足りてなかったと言っていたが。
 最終滑走のチャンは、冒頭の4回転は美しく成功。ところがトリプルアクセルで転倒。ルッツからの連続3回転は決め、スピン二つと直線のステップでレベル4に全ジャッジから加点をもらったが、技術点二番目の45.88、演技構成点最高の44.93、合計89.81でSP2位。

 地上波のテレビ朝日では、以上しか放送されなかったが、BS朝日では、コンテスティとレイノルズも放送があった。レイノルズ(加)は、冒頭で4回転3回転を決めたが、演技構成点が全て6点台後半と伸びず、技術点四番目の44.3、演技構成点九番目の34.52、合計78.82でSP6位。コンテスティは、冒頭にルッツからの連続3回転だが着氷はよくない。スピンは遅かったが、二つがレベル4。音楽表現は7点台後半、つなぎ以外の三つの要素は7点台前半。技術点九番目の36.92、演技構成点七番目の36.46、合計73.38でSP9位。

 フリーは、第1グループ5番滑走の小塚から。相変わらずジャンプが不調だが、それ以外にも原因がありそう。滑り全体がなめらかさがなく小塚らしくない。冒頭の4回転で転倒。ルッツからの連続3回転は決めたが、後半、アクセルからの3連続が1回転アクセルに。最後のステップとフライングスピンは全ジャッジが加点をもらった。演技構成点は全て7点台後半。技術点五番目の75.25、演技構成点六番目の77.44、合計154.95でフリー5位、総合6位。なんとか順位を少し上げた。
 SP6位のレイノルズは、4回転3種類跳んできた。冒頭の4回転サルコウは成功。次の4回転トウループは回転不十分で-2〜-3。続くトリプルアクセルも-1〜-3。三つ目の4回転ループは、回ってから転倒。回転も不十分。これでスタミナが切れたかと思ったが、フライングスピンはレベル4、連続ジャンプを後半に三つ決めた。しかもルッツ・トウループ、サルコウ・ループの連続3回転を二つ成功。その分演技構成点は伸びず、二つが7点台、三つが6点台。技術点六番目の74.13、演技構成点九番目の69.36、合計142.49でフリー8位と後退。

 アマディオは冒頭の4回転サルコウをきれいに成功。トリプルアクセルからの連続ジャンプ、後半にはサルコウからの連続3回転も決めた。技術点三番目の76.41、演技構成点四番目の80.08、合計156.49でフリー3位、総合4位。
 ジュベールは、4回転を二回予定していたが、冒頭の4回転からの連続ジャンプが第二ジャンプがつまり2回転に。二つ目の4回転はやめて3回転で下りてきた。トリプルアクセルからの連続3回転は力で決めた。ループやフリップは減点評価だが、全体にプログラムをよく滑れるようになってきている感じで、演技構成点は三つの要素で8点台。技術点四番目の75.73、演技構成点五番目の79.22、合計154.95でフリー4位、総合3位。

 アボットは、冒頭の4回転で転倒。トリプルアクセルからの連続ジャンプはすばらしく、全ジャッジが加点。しかし、フリップが1回転、後半にもルッ、サルコウが2回転に。スピンもレベル4は一つだけ。演技構成点は全て8点台を出したものの、技術点九番目の64.45、演技構成点三番目の83.94、合計147.39でフリー7位。SPとフリーがなかなかそろわないのが残念。
 チャンは、少しキレがない。冒頭の4回転3回転は少しつまりながらも成功。しかし二つ目の4回転で転倒。しかもトリプルアクセルが2回転に。スピンは三つともレベル4で、後半に3回転ルッ1回転ループ3回転サルコウの連続ジャンプを決め、演技構成点もパフォーマンス以外は9点台を出したが、技術点二番目の80.43、演技構成点も二番目の91.22、合計170.65でフリーも2位、総合2位。

 高橋は、すばらしかった。ブルースの曲で、冒頭の4回転を決めると、トリプルアクセルは全ジャッジが加点1〜2の出来。サーキュラーステップは余裕の笑みを浮かべながらレベル4をもらい、ほぼ全ジャッジが加点3。後半最初のトリプルアクセルからの連続3回転は第二ジャンプが回転不十分だったが、ミスはこれだけ。最後の直線のコリオステップは全ジャッジが加点2〜3。基礎点77.97に全体で11点以上の加点。演技構成点は全て9点台。技術点最高の89.14、演技構成点も最高の93.58、合計182.72でフリー1位、総合優勝。高橋は今季初めてチャンを上回った。テレビ朝日の進藤アナのインタビューでは、今季最後でいいフリーを滑れたこと、主将の役割も果たせてホッとしているようなコメント。隣で小塚が「ショーを見ているようだった」。

 <女子シングル>日本は村上と世界選手権銅メダルの鈴木明子。アメリカは全米女王のワグナーと全米ジュニア女王の16歳、ゴールド、ロシアはロシア女王のソトニコワと世界選手権銀メダルのレオノワ、イタリアはヨーロピアン女王のコストナーとマルケイ、カナダはファヌフとラコステ、フランスはシリーテとメイテ。
 ゴールドはシニア初参加。冒頭で軽々とフリップからの連続3回転成功。スピンも三つともレベル4で、技術点三番目の34.52、演技構成点七番目の25.71、合計63.78で堂々のSP3位。

 第2グループ最初にワグナー。冒頭のフリップからの連続3回転は第二ジャンプが両足。しかもダブルアクセルで転倒。技術点六番目の30.46、演技構成点五番目の28.06、合計57.52でSP5位。
 ソトニコワは少し堅い顔で登場。冒頭の連続3回転は回転不十分ながら決めたが、フリップでeマークの上ステップアウト。スピン二つでレベル4をもらったが、演技構成点が全て6点台後半。技術点28.75、演技構成点27.37と点が伸びず、合計56.12でSP6位。

 村上はいい出来だった。冒頭の連続3回転をきれいに成功。スピンも三つともレベル4で加点の出来。演技構成点は全て7点台前半。技術点三番目の34.52、演技構成点も29.26、合計63.78は自己ベスト更新でSP3位。
 レオノワは、体が少し重そう。冒頭の連続3回転は第二ジャンプが回転不十分で両足着氷。ステップからのフリップがパンクして1回転となり、要素を失う。スピン二つでレベル4をとったが、技術点11番目の22.72、演技構成点四番目の28.2、合計50.92と大きく出遅れ。

 鈴木は、冒頭の連続3回転を成功、ほぼ全ジャッジから加点1〜2。ステップからのルッツ、ダブルアクセルも決め、スピン二つと直線のステップはレベル4。全体で基礎点30.5に6点近い加点。演技構成点は全て7点台後半。技術点最高の36.48、演技構成点二番目の31.03、合計67.51でSP2位。
 コストナーは、冒頭の連続3回転は今季失敗がないという安定で、全ジャッジが加点2〜3。スピン二つとサーキュラーステップはレベル4。全体で基礎点29.6に6点以上の加点。演技構成点もつなぎ以外8点台。技術点二番目の36.34、演技構成点最高の33.14、合計69.48でSP1位。

 フリーは、第1グループ4番滑走でレオノワ。冒頭の連続3回転は第二ジャンプが回転不十分で転倒。次のループも転倒。ルッツは2回転の上eマークも。これですっかり勢いがなくなり、スピンもレベル2。後半のジャンプは立て直してきたが、技術点48.43、演技構成点55.36、合計102.79でフリー6位、総合7位。キスアンドクライはお通夜のよう。
 第2グループ1番滑走のソトニコワは、冒頭のルッツがいきなり1回転に。しかしその後は次第によくなり、フリップからの3連続も決まり、得意のスピンは三つともレベル4。技術点三番目の56.04、演技構成点五番目の57.53、合計113.57でフリー4位、総合4位。

 ワグナーは、いきなりループからの3連続を成功。ルッツで少しバランスをくずしたが、あとはスピン三つと直線のステップがレベル4。演技構成点もつなぎ以外7点台後半。技術点最高の61.49、演技構成点三番目の60.8、合計122.29でフリー1位、総合3位。
 村上は、SPとは別人になってしまった。冒頭のルッツが回転不十分でステップアウト。次の苦手のループは回転不十分ながら片足でおりた。しかし後半最初のトウループが2回転、フリップからの連続の第一ジャンプも1回転。サルコウからの3連続ジャンプは、第一ジャンプが回転不十分、第2ジャンプは回転不足、第三ジャンプは1回転。スピンだけは三つともレベル4。演技構成点はつなぎ以外は7点台。技術点11番目の37.73、演技構成点四番目の58.11、合計95.84でフリー8位、総合6位。リンクでの挨拶のときもキスアンドクライでも両手を合わせていたが、団体戦なので、他の選手が励ましてくれた。

 鈴木は、さすがに場数を踏んでいる。冒頭のルッツはeマークでなんとかおりた感じだが、次のダブルアクセルから3回転トウループを鮮やかに決めると、波に乗った。後半でループからの3連続の第三ジャンプが回転不十分、ルッツからの連続ジャンプはルッツが2回転になり、次のループは1回転になったが、スピン三つと直線のステップはレベル4で、ほぼ全ジャッジが加点の出来。演技構成点も二つの要素で8点台。技術点二番目の57.04、演技構成点も二番目の63.24、合計120.28でフリーも2位、総合で1位。
 コストナーは、冒頭のループをきれいに決めたが、後半最初のトウループで転倒。アクセルは1回転に。それでもサルコウからの3連続は成功させ、直線のステップと最後のスピンはレベル4。演技構成点はつなぎ以外貫禄の8点台前半。技術点五番目の51.18、演技構成点最高の66.06、合計116.24でフリー3位、総合2位。

 <ペア>日本は世界選手権銅メダルの高橋・トラン組。冒頭のソロジャンプで高橋が片手をついた。しかし、3回転ツイストはきれいに決まり、スロージャンプも成功。後半のリフト、直線のステップ、デススパイラルは全てレベル4でほぼ全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点最高の34.64、演技構成点も最高の30.28、合計64.92でなんとSP1位。
 ロシアはバザロワ・ラリョノフ組。川口・スミルノフ組、ポロソジャー・トランコフ組とも来ないのは怪我のためか。冒頭のソロジャンプのタイミングがバラバラだった。得意のツイストは全ジャッジが加点1〜2。スロージャンプも成功。後半のペアスピンとリフトはレベル4でほぼ全ジャッジが加点。直線のステップが全ジャッジから加点がついたもののなぜかレベル1。技術点4番目の32.01、演技構成点二番目の30.01、合計62.02。

 放送がなかったが、3位はイタリアのベルトン・ホタレック組、4位はカナダのデュハメル・ラドフォード組、5位がアメリカのデニー・コフリン組、6位がフランスのポポワ・マソ組。デュハメル・ラドフォード組は、技術点二番目の33.73、演技構成点三番目の27.54を出しながら、二回転倒したのが響いたらしく、合計59.27で、3位と0.01差の4位から。

 フリーは、SP5位のデニー・コーフリン組、4位のデュハメル・ラドフォード組が、ともに自力を発揮。前者はデススパイラルでレベル1と取りこぼしがあったが、それ以外はノーミスで、技術点最高の62.33、演技構成点四番目の54.72、合計117.05でフリー3位、総合2位。後者は3連続ジャンプの最初で女性がステップアウトしたが、他はほぼ完璧で、技術点二番目の61.91、演技構成点三番目の56.44、合計118.35でフリー2位、総合4位。

 BS朝日では、ポポワ・マソ組(仏。18,24)、ベルトン・ホタレック組(伊。21,28)も放映。前者は女性がロシア出身。今季組んだばかりで、GPシリーズには出られず、ヨーロッパ選手権でシニアデビュー。ジャンプの失敗と、リフトがひとつ上がらず。デススパイラルも無得点。合計77.03でフリーモ6位。
 SP3位の後者は、冒頭の3連続ジャンプが、第3ジャンプで女性がつまったが、こらえた。ソロジャンプでは転倒。他は全体にいい出来に見えたが、デススパイラルが無得点。技術点47.45、演技構成点53.01、合計99.46と伸びず、フリー5位、総合5位。

 バザロワ・ラリョノフ組は、冒頭のソロジャンプで男性が少し乱れ、一つ目のスロージャンプで転倒したが、あとはとてもよかった。特にツイストは全ジャッジが加点2〜3。解説の若松さんが「女性の姿勢がとても美しい」。演技構成点も全て7点台後半。技術点三番目の58.52、演技構成点最高の61.16、合計118.68でフリー1位、総合1位。
 最終滑走の高橋・トラン組は、ソロジャンプでなんと二人とも転倒。連続ジャンプでも女性が第一ジャンプが1回転に。一つ目のスロージャンプも転倒に近い両手つき。演技構成点はパフォーマンス以外7.5点台。技術点四番目の54.82、演技構成点二番目の59.82、合計112.64でフリー4位で総合3位。

 結局、アイスダンス6位、男子1位、ペア3位、女子1位でポイント55の日本が初優勝。ペアが前回最下位だったのが今回3位になったのが勝因か。前回優勝のアメリカが2位(アイスダンス1位、男子4位、ペア4位、女子2位でポイント53)。3位はカナダ(アイスダンス2位、男子4位、ペア2位、女子6位でポイント42)。フランスはアイスダンス3位、男子2位になったが、ペア6位、女子5位で、ポイントはカナダと同じ42だが4位。ロシアはペアが1位だったが、男子が6位、アイスダンス5位、女子4位で5位。最下位のイタリアは、コストナーのいる女子が3位で、他はアイスダンス4位、男子5位、ペアも5位。


フィギュアスケート (2012.3/19,20,4/2,3,5/1,5,)

全米選手権 ペア、アイスダンス (2012.1/22〜29 サンノゼ・カリフォルニア州)

 <ペア>13組参加。世界選手権の枠は二つ。ここで2位以内にならないと出場できない。
 三番滑走のドンラン・スペロフ組は、全米二回目。ソロジャンプで回転不十分があったが、ほぼノーミスの出来で、技術点32.17、演技構成点25.6、合計57.77でSP5位。
 今季組み替えたデニー・コーフリン組は、女性が「アドレナリンが出過ぎて」スロージャンプで転倒。他は組み替えたばかりとは思えない息の合った滑りで、技術点33.9、演技構成点27.98、合計60.88でSP3位。
 マーリー・ブルベイカー組は昨年組み替えて今季は二年目。ずいぶんペアらしくなってきた。ペアスピン、直線のステップ、リフトがレベル4。最後のデススパイラルで手を替えるときに男性が後ろ手をついてしまい、減点。それでも技術点最高の36.26、演技構成点も最高の29.54、合計65.8でSP1位。

 カステリ・シュナピァ組は、ツイストで少し落とし気味になり、減点評価。スピン、ステップ、リフトでレベル4。技術点33.83、演技構成点26.73、合計60.56でSP4位。
 全米10回目というベテラン、エボラ・ラドウィク組は、ソロジャンプで女性が回転不足。しかし他の要素はまとめて、ツイスト以外全てレベル4。技術点33.67、演技構成点28.6、合計61.27でSP2位。
 最終滑走は、今季からシニアのケイン・リーガン組。女性が16歳だが、身長がかなり高い。リフトとスピンはレベル4をとったが、ステップはレベル2、2回転ツイストとデススパイラルはレベル1。スロージャンプで少しミスはあったが、大きなミスがないのに得点が伸びず、技術点28.07、演技構成点24.97、合計53.04でSP7位。しかし、伸び代が感じられる内容。

 フリーでは第三グループ一番滑走のケイン・リーガン組が、ソロジャンプに続けて、3連続ジャンプを成功、ツイストは2回転だが、リフト一つとスピン二つでレベル4、後半のリフト一つとデススパイラルでレベル3、はつらつと滑って技術点59.5、演技構成点54.11、合計113.61でフリー5位、総合6位。
 ドンラン・スペロフ組は、ソロジャンプは2回転。連続ジャンプでは第1ジャンプの回転が異なり、第2ジャンプが入らず減点。スロージャンプは二つとも決まり、二つ目のスローコウは、高さも高く、着氷も実に美しく、全ジャッジが加点2〜3。技術点56.98、演技構成点56.86、合計113.84で、フリー4位、総合も4位。表彰台に。今後が楽しみ。
 カステリ・シュナピァ組は、連続ジャンプでは男性が転倒し第2ジャンプが入らず。スロートリプルアクセルに挑戦したが、前向きに着氷し減点評価。後半のソロジャンプでも男性が転倒。技術点54.83、演技構成点55.42、合計108.25でフリー7位、総合5位。

 デニー・コーフリン組は、女性の妹が全米ジュニアのペアで優勝したとかで「負けられない」と臨んだ。冒頭のツイストは、すばらしく、全ジャッジが加点2〜3。スロージャンプも二つとも成功。ほぼ全ての要素で加点評価だったが、コリオスパイラルで、男性が足を6秒間上げておらず、無得点。演技構成点は、滑走技術とパフォーマンスが8点台。技術点65.33、演技構成点63.49、合計128.82でフリー1位、総合優勝。男性はパートナーを替えての連覇。
 エボラ・ラドウィク組は、女性のジャンプが不調。ソロジャンプでは回転不足、3連続ジャンプでは第1ジャンプが回転不十分で転倒、第2以降が入らず。しかし、後半デススパイラル、スピン、リフトなど全てレベル4と立て直し、演技構成点も7点台にそろえ、技術点59.1、演技構成点59.61、合計117.71でフリー3位、総合3位と昨年の2位に続き連続表彰台。
 最終滑走は、マーリー・ブルベイカー組。スピード感あふれる滑りで、冒頭の連続ジャンプでは女性はきれいに下りたが、男性が転倒。しかし、スピン二つとリフト三つでレベル4。スロージャンプも一つ目は全ジャッジが加点2〜3。演技構成点もつなぎ以外7点台後半。技術点60.27、演技構成点61.0、合計120.27でフリー2位、総合2位。とても将来が楽しみ。

 <アイスダンス>14組参加。全米3位までが世界選手権に出場できる。
 オルソン・コーワン組は全米シニア初参加。ツイズルと直線のリフトがレベル4。ルンバは片方のパートでレベル3。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。コーチがカメレンゴと元イタリアチャンピオンのスカリ。Jスポーツ解説の藤森さんは、「男性の滑りにスカリの特徴が見える」と言う。技術点28.78、演技構成点24.66、合計53.44でSD7位。
 世界選手権銅メダルのシブタニ兄妹は、GPファイナル後にSDのプログラムを変更。コーチのズエワが「前の曲はゆっくり過ぎる」と感じたためらしい。ルンバ、ツイズル、サーキュラーステップ、回転リフトと全ての要素でレベル4。演技構成点も全て8点台後半。技術点37.5、演技構成点35.11、合計72.61でSD2位。

 サミュエルソン・ギレス組は、今季組み替えた。女性は、以前ベイツと組んで世界ジュニアで優勝。冒頭の直線のリフトはレベル4だが、ルンバのパートは二つともレベル2。女性が少し太めになったようだ。演技構成点は全て6点台後半。技術点26.29、演技構成点26.95、合計53.24でSD8位。
 チョーク・ベイツ組も組み替えた。昨年は男性がアキレス腱の怪我で休んでいた。サミュエルソンのブレードで怪我したとのこと。チョークの以前組んでいたズーラインは引退。レベル4は直線のリフトだけ。ルンバのパートは二つともレベル2。演技構成点は全て7点台前半。技術点26.36、演技構成点29.13、合計55.49でSD5位。藤森さんは、「パートナーの女性が変わるとこうも変わるものか」と驚いていた。

 カヌーシオ・マクマナス組もシニア初出場。女性がかなり太めでリフトが重そう。それでもツイズルと回転リフトでレベル4。ルンバはレベル3と4をとった。演技構成点がパフォーマンスだけ6点ちょうどであとは5点台。技術点30.35だが、演技構成点23.47、合計53.82でSD6位。
 ハベル・ドナヒュー組も組み替えた。藤森さんによれば「女性は兄と組んでいたときよりずっといい」。ただ、直線のリフトはレベル4だったが、ルンバのパートはレベル1と3。それでも演技構成点の三つの要素で7点台後半を出し、技術点27.51、演技構成点30.05、合計57.56でSD3位と好発進。

 デイヴィス・ホワイト組は、現世界チャンピオン。ルンバの片方のパートのみレベル3。全ての要素に加点2〜3。演技構成点も全て9点台後半。技術点38.22、演技構成点38.67、合計76.89という高得点でダントツの1位。
 最終滑走のクリンクライラット・ギレッティシュミット組(23,26)は、全米四回目。世界チャンピオンの直後の滑走順で、スピードで見劣りがするのは気の毒。パワフルなスケーターで、レベル4は直線のリフトだけだが、長く組んできただけあり、全体によく合っている。演技構成点は全て6点台後半。技術点29.5、演技構成点26.87、合計56.37SD4位。フリーも4位でピューターメダル。

 フリーでは、オルソン・コーワン組は、リフト三つとツイズル、スピンでレベル4をとったがステップは二つともレベル2。演技構成点は全て6点台後半。技術点43.22、演技構成点40.42、合計83.64でフリー6位、総合7位。これからが楽しみ。
 カヌーシオ・マクマナス組は、リフト四つととスピンでレベル4。対角線のステップは、レベル3だが全ジャッジが加点。演技構成点はつなぎ以外6点台後半。技術点43.93、演技構成点39.62、合計83.55でフリー7位、総合6位。女性の妹もアイスダンスに出場しており、SD10位、フリー9位で総合9位。

 チョーク・ベイツ組は、ステップが二つともレベル2だったが、その他は全てレベル4。いずれも全ジャッジが加点。基礎点37.0に全体で7.79も加点がついた。演技構成点も三つの要素で7点台後半。技術点44.79、演技構成点44.8、合計89.59でフリー5位、総合5位。今後まだよくなりそう。
 デイヴィス・ホワイト組は、サーキュラーステップだけレベル3で後の要素はすべてレベル4に加点。二つの回転リフトは全ジャッジが加点3、二つ目の女性が男性の肩の上でくるくると回るリフトは、本当に美しい。基礎点41.5に全体でなんと14点近い加点。演技構成点も音楽表現は10.0、他の要素も9点台後半。技術点55.43、演技構成点59.22、合計114.65でフリーも1位、総合優勝。得点は国内大会だから高いのは当たり前だが、今季最高の出来ではないか。

 ハベル・ドナヒュー組は、二つのステップ以外はレベル4。冒頭のカーブのリフトは全ジャッジが加点2〜3。基礎点38.5に全体で9.28もの加点。演技構成点もつなぎ以外7点台後半。技術点47.78、演技構成点46.26、合計94.04でフリー3位、総合も3位。世界選手権の出場を勝ち取った。
 最終滑走はシブタニ兄妹。得意のツイズルが少し乱れてレベル3。対角線のステップもレベル3だが、他の要素は滑り込んでいる感じでレベル4。全ての要素に全ジャッジが加点。滑りの基礎が安定しているので、安心して見られる。基礎点40.5に全体で加点が12.28とこれまたすごい。演技構成点もつなぎ以外9点台前半。リフトの一つで時間超過があり減点1。技術点52.78、演技構成点54.45、合計106.23でフリー2位、総合2位。
 表彰式には、ベルビンが登場。アゴストの怪我もあったと思うけど、もう少しやれると思っていた。アメリカもアイスダンスの選手層が厚い。


フィギュアスケート (2012.3/19,20,4/2,3,)

全米選手権 (2012.1/22〜29 サンノゼ・カリフォルニア州)

 <男子シングル>アボットが優勝。SPは20人参加。第1グループ一番滑走で、昨年2位のドーンブッシュ(20)。なんと三つのジャンプ全て失敗。 技術点19.73、演技構成点32.86、合計51.59でSP17位。
 続くリッポン(22)はいい出来だった。冒頭に4回転ルッツを予定していたがフリップからの連続3回転に変更。トリプルアクセル、両手あげルッツと決め、スピンは三つともレベル4。演技構成点のうちパフォーマンスが8点台。技術点44.08の高得点。演技構成点も38.86、合計82.94でSP2位。

 第2グループ七番滑走のマイナー(21)もいい出来だった。GPシリーズではスケートカナダ6位、NHK杯3位。きれいなトリプルアクセル、ルッツからの連続3回転、ステップからのフリップと成功。技術点41.48、演技構成点37.42、合計78.9でSP4位。
 第3グループのホクスタインもルッツからの連続3回転を決めてきた。しかしトリプルアクセルは回転不足で転倒扱い。ステップからのループは成功。スピン、ステップは全てレベル4。「月光」の曲想もよく表現して、演技構成点のうち音楽表現は7点。技術点35.03、演技構成点33.86、合計67.89でSP10位。

 ムロズ(21)は、今季4回転ルッツを跳んだが、ここでは4回転トウループで転倒。ルッツからの連続3回転を予定していたが、第2ジャンプは2回転に。スピンも二つがレベル2。技術点34.43、演技構成点34.03、合計67.47でSP12位と出遅れ。
 メッシングは、「ロビン・フッド」の曲。冒頭のトリプルアクセルは高くきれいに決めた。ルッツからの連続3回転、ステップからのフリップもおりた。スピンはシットスピンだけレベル4。演技構成点は三つの要素で7点台。技術点41.44、演技構成点35.22、合計76.66でSP5位。

 最終グループは今季すごく成長しているジェイソン・ブラウン(17)から。冒頭はダブルアクセルだが、予定通り。ルッツからの連続3回転とステップからのフリップとも加点。スピン、ステップは全てレベル4。演技構成点は全て7点台。技術点39.29、演技構成点36.39、合計75.68でSP7位。もう少し得点が出るかと思ったが、ダブルアクセルは基礎点3.3に加点0.71でも4.01。トリプルアクセルだと基礎点が8.5もあるからその差だろう。自己ベスト更新で嬉しそうだった。
 アボット(26)は、Jスポーツ解説の杉田さんが絶賛する出来。冒頭のフリップからの連続3回転は高く美しく、加点1.8。トリプルアクセル、ステップからのルッツも加点。シットスピンと直線のステップはレベル4。全ての演技が速く滑らかで、基礎点36.2に全体で9点以上の加点。演技構成点もパフォーマンスと振り付けで9点台。全ての要素が流れるようにブログラムに組み込まれ、「ただ滑っているところがない。」と杉田さん。技術点45.78、演技構成点44.45、合計90.23でダントツのSP1位。これが世界選手権でできれば、チャンのライバルになれる。

 マーバヌーザデー(20)は、GPシリーズではスケートアメリカ9位、NHK杯8位とふるわず。しかし、冒頭のトリプルアクセルを決めると、フリップからの連続3回転、ステップからのルッツとも加点の出来。スピン、ステップは全てレベル4。全体で基礎点37.5に7点以上の加点。演技構成点は全て7点台。技術点44.54、演技構成点36.12、合計80.66でSP3位。
 最終滑走はキャリエール。今季はGPシリーズに出ていないが怪我のためらしい。全米も2009年以来という。トリプルアクセルは減点評価だったが、ループからの連続3回転は成功。ステップからのルッツも決まり、スピン二つでレベル4。技術点36.88、演技構成点34.94、合計71.82でSP9位。

 フリーでは、三番滑走でドーンブッシュ。最初の4回転は回転不十分で転倒。ルッツ、トリプルアクセルと加点の出来。直線のステップもよかった。後半、ふたつめのトリプルアクセルの着氷が傾き、第2ジャンプがつかなかったあたりからキレがなくなり、最後のループジャンプは2回転になってしまった。それでも第1グループの選手たちとは滑りの速さが全く違った。演技構成点のうち振り付けが8点台。技術点71.42、演技構成点78.58、合計149.0でフリー5位、総合13位。
 ムロズも冒頭の4回転で転倒。トリプルアクセルからの連続ジャンプはよかった。後半の二つ目のトリプルアクセルと3連続ジャンプの最初のルッツで失敗。最後のスピンだけレベル4。技術点67.11、演技構成点66.56、合計132.67でフリー15位、総合14位。

 ジェイソン・ブラウンは、前半はとてもよかったが、後半、ステップで転倒すると、その後二つのジャンプで転倒し、技術点61.18、演技構成点75.3、合計133.48でフリー14位、総合9位。まだトリプルアクセルが入っていないが連続3回転、3連続ジャンプなどジャンプだけでなく、滑らかな滑り、柔らかい身のこなしなど、解説の杉田さんも「もったいない。すきまがないプログラム」とほめていた。
 キャリエールは、4回転を入れる予定だったが、ダブルアクセルに変更。後半、二つ目のトリプルアクセルで転倒。連続3回転の第1ジャンプが1回転になったが、第2ジャンプは3回転にした。3連続も決めた。技術点69.67、演技構成点72.92、合計141.59でフリー7位、総合6位。
 最終グループの最初は、マイナー。2009年の全米ジュニア王者。冒頭のトリプルアクセルは美しく決めたのに、二つ目は転倒。しかし連続3回転、3連続ジャンプは決めた。あとはほぼミスなく滑りきり、技術点75.62、演技構成点76.8、合計151.42でフリー3位、総合も昨年に続いて3位。

 メッシングは、「パイレーツオブカリビアン」の曲。SPと同様、少し荒い滑りを振り付けでカバーしている。4回転トウループは3回転に回避。3連続の第3ジャンプは1回転。二つ目のトリプルアクセルは着氷が悪くて第2ジャンプが入らず。ルッツからアクセルのシークエンスもアクセルが1回転など細かいミスが散見。しかし音楽表現など演技構成点はつなぎ以外7点台。技術点63.45、演技構成点72.36、合計135.81でフリー12位、総合7位。
 マーバヌーザデーは初めて最終組で滑るので緊張しているのか、固かった。冒頭の4回転は回転不十分で転倒。二つ目のトリプルアクセルは3連続になるはずだったが、手をついて第2ジャンプ以降が付けられず。しかし連続3回転の後に1回転をつけた。あとはまあまあでまとめ、技術点72.39、演技構成点72.58、合計143.97でフリー6位、総合4位で、表彰式ではピューターメダルをもらった。

 リッポンも固かった。冒頭の4回転ルッツの予定は、2回転サルコウに。続くトリプルアクセルからの連続ジャンプも第2ジャンプが回転不十分。しかしその後はまあまあ立ち直り、3連続ジャンプ以外は少しずつ加点。技術点76.65、演技構成点81.28、合計157.93でフリー2位、総合2位。
 最終滑走はアボット。うまく集中して入れたようで、冒頭に見事な4回転を成功。ルッツからの3連続の予定が第2ジャンプが2回転になったり最後のジャンプのサルコウが2回転になったりしたが、全体にすばらしい出来で、基礎点72.08に加点16.21。技術点88.29の高得点、演技構成点95.06、合計183.35でフリー1位、もちろん総合優勝。これで3回目の優勝で、かつて3連覇したウィアに回数で並んだ。

 <女子シングル>ワグナーが初優勝。シズニーが2位、ザワツキーが3位、ジャンが4位。長洲はどうしたのだろう。
 19人出場。SP第1グループ二番滑走に長洲(18)。なんだかすっかりパワースケーターになってしまった。冒頭のステップからのループはかかとの方に重心がいって着氷に乱れ。連続ジャンプも3回転2回転で減点評価。スピンは三つともレベル4をとったが、演技構成点は7点台前半が多い。技術点30.17、演技構成点28.85、合計59.02でSP5位。
 次に出てきた初出場のダン(18)は、冒頭で連続3回転を決める。第二ジャンプは回転不足判定。しかし滑りに速さとなめらかさがあり、スピンも三つともレベル4。技術点26.79、演技構成点24.62、合計51.41でSP12位だが、もっと点が出ていいと思った。
 第2グループ最初にシズニー(24)。冒頭のルッツからの連続ジャンプを決めて波に乗った。ただ、アクセルが1回転になり要素を失う。ただ、スピンは三つともレベル4で加点。技術点31.94、演技構成点31.2、合計63.14でSP2位。

 第3グループのザワツキー(17)がノーミスの演技。冒頭にきれいな連続3回転。次のステップからのルッツも鮮やかに決めて、どちらも加点。スピンは二つがレベル4。全体で基礎点29.7に6点近い加点。演技構成点もつなぎ以外7点台後半。技術点35.65、演技構成点30.59、合計66.24でSP1位。この二年で身長が10pも伸びたというが、ジャンプのバランス、体を大きく使う方法などうまくなった。
 13番滑走のC. ジャン(18)が完全復活。全米に向けてずいぶん体を絞ってきた。冒頭で連続3回転。第2ジャンプは回転不十分になった。ステップからのフリップ、ダブルアクセルとも少し減点評価。スピンは最後のパールスピンを含むレイバックスピンのみレベル4。あとの二つはレベル3と2だが、もっとよく見えた。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点31.53、演技構成点28.65、合計60.18で、SP44位。
 次のワグナー(20)もノーミスの演技。冒頭のフリップからの連続ジャンプ、ステップからのループ、ダブルアクセルときれいに決めていずれも加点。スピンも三つともレベル4で加点。なによりスベリがなめらかで速くなった。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点32.63、演技構成点30.43、合計63.06でSP3位。

 最終グループ最初にフラット(19)。スタンフォード大学に進学して学生の応援団が来ていた。冒頭の連続ジャンプは決めたが、ステップからのルッツがフリップになった。アクセルが高さが足りずに1回転。スピンは最後のだけがレベル4。ステップとスピン一つがレベル2で、演技構成点もパフォーマンスと音楽表現が7点台前半とふるわず。技術点24.96、演技構成点27.76、合計52.71でSP9位。
 ガオ(17)は、冒頭の連続3回転の予定が3回転2回転に。フライングスピンがレベル1ととりこぼしたが、あとはまとめて、技術点28.98、演技構成点25.85、合計54.83でSP7位。

 フリーは、3番滑走の15歳、SP16位のワンがなかなかいい滑り。二つ目のジャンプで3連続の予定だったが、第2ジャンプを3回転にしたため、着氷でよろめいてマイナス評価。後半にも3連続の予定があり、アメリカでは、ローカルルールで3連続を二回跳んでもいいのだろうか? こちらは第3ジャンプが1回転に。しかし他にはミスなく、スピンも三つともレベル4。少しずつ加点もされ、技術点62.61、演技47.07、合計109.68で第2グループが終わるまで1位。フリー6位で総合8位。将来が楽しみな感じ。
 6番滑走のキリ・バガ(16)は、ちょっと変わった姿勢のスピンが得意。スピンは二つがレベル4。ルッツがパンクして1回転になったが、後半3連続も成功。技術点51.08、演技構成点48.15、合計99.23でフリー10位、総合10位。
 SP12位だが、滑りのよかった初出場の18歳、ヘイリーは、二つ目のルッツと後半のトウループで二回転倒。予定ではやはり二回3連続が入っている。実際には、一つ目は第3ジャンプが入らず。二つ目は第1ジャンプが2回転に。スピンも三つともレベル4。技術点43.46、演技構成点43.41、合計84.87、フリー16、総合16位。Jスポーツ解説の太田さんは、「滑りが上手だからジャンプをみがいてまた出場してほしい」と言っていた。

 第3グループには若手とフラット。九番滑走のカイザー(14)は西地区の1位、十番滑走のシラージ(15)は東地区1位、11番滑走のニナ・ジャン(17)は中部地区1位。SP10位のカイザーは二回転倒。スピンはSP同様三つともレベル4。技術点49.1、演技構成点46.01で合計93.11でフリー11位、総合12位。
 SP11位のシラージは冒頭のフリップで転倒。スピン三つとステップはレベル4だが、最後3連続の予定がアクセルが1回転になって得点を稼げず。演技構成点の振り付けは6点台。技術点41.92、演技構成点45.95、合計86.87でフリー15位、総合15位。
 SP8位のニナ・ジャンも冒頭のルッツで転倒。予定では初め二つの要素が連続ジャンプだったが、一つは後半に挽回。3-2-2回転の予定の3連続は3-1-1になった。スピン二つがレベル4。演技構成点はつなぎ以外6点台前半。技術点44.39、演技構成点49.37、合計92.76でフリー12位、総合11位。(もうちょっと美人だと見栄えがするのだが。)

 フラットは、二つ目の要素が連続3回転の予定だったが、2回転フリップに。しかし後半最初に3連続を決め、連続ジャンプも第2ジャンプが2回転ではあるが成功、最後のスピンと直線のステップはレベル4としりあがりにまとめた。演技構成点も三つの要素が7点台前半。復調してきた。得点は少し甘いと思うが、技術点56.49、演技構成点55.78、合計112.27で、この時点で1位、フリー4位、総合6位。

 最終グループ最初にガオ。冒頭に鮮やかなフリップからの連続3回転。後半、3連続の第一次ジャンプが2回転になり、単発に。あとはミスなく滑りきった。演技構成点もつなぎ以外7点台前半。ただ、解説の太田さんに「タンゴの曲で滑るなら、もっと大人っぽい動きがないと。」と言われてしまった。技術点55.4、演技構成点56.13、合計111.53でフリー5位、総合5位。
 長洲は、やっぱりよくない。冒頭の連続ジャンプ二つは決めたが、3連続の第3ジャンプで無理をして転倒。スピンは三つともレベル4だが、後半のルッツでも転倒。フリップは1回転。ジャンプが重そう。体重に見合った跳び方になっていないのでは。滑りもあまりなめらかでない。演技構成点も三つの要素で7点台前半。技術点50.74、演技構成点56.23、合計104.97でフリー8位、総合7位。

 同い年のC. ジャンは、SPの好調が持続。冒頭のフリップはステップアウトしたが、後半には3連続も決め、最後はパールスピンで締めた。ただ、得意のスピンでレベル1と3があり、直線のステップもレベル2。まだ改善の余地がある。解説の太田さんは「アクセルの前でスピードダウンするところを改良すればもっとよくなる」と言う。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点56.46、演技構成点56.55、合計113.01でフリー3位、総合4位でピューターメダル。長洲が優勝したときの4位では悔しそうな顔だったが、今回は復活で嬉しそうだった。
 ワグナーは、冒頭に3連続を決めてのった。「ブラックスワン」の曲にあわせた振り付けも完璧にこなし、スピンは三つともレベル4。後半、サルコウがパンクして1回転になったが、あとはノーミスで、演技構成点もパフォーマンスと音楽表現で8点台。技術点60.64、演技構成点63.32、合計123.96でフリー1位、逆転で初優勝。解説の太田さんは「いつも表彰台の付近にいるが、2位と3位が多かった。」

 シズニーは、まだ要素の一つもしないうちに会場の雰囲気を自分のものにできる。冒頭のルッツで片手付き。二つ目のルッツで転倒し第2ジャンプが入らず。しかし後半に3連続ジャンプを成功、スピンは三つともレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点56.03、演技構成点61.83、合計116.86でフリー2位、総合2位。
 最終滑走のザワツキーは、すばらしい速さの滑りで、冒頭のダブルアクセルからの連続ジャンプ、フリップと決め、このまま行けば2位も見えるか、と思った矢先のルッツで転倒。二つ目のルッツは連続ジャンプにしたが、壁に接触して減点。後半、サルコウでも転倒し、3連続の予定の第1ジャンプが2回転になり、入らず。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点50.26、演技構成点59.6、合計107.86でフリー7位だが、総合3位。これからが楽しみ。



ページトップへ

フィギュアスケート (2012.2/18,25,3/5,6,8,9,15,16)

ヨーロッパ選手権 (2012.1/25〜29 シェフィールド・イギリス)

 <男子シングル>なんとまたプルシェンコが優勝。出場10回目、初出場の銀メダルからメダルをとり続けているとのこと。SPは、29人参加。0.09差でガチンスキーが1位。プルシェンコは2位。3位には、ヴェルネル。
 第一グループ四番滑走にプルシェンコ(29)。医者に忠告される形で4回転を回避。冒頭はルッツからの連続3回転。トリプルアクセルはきれいに下りて全ジャッジが加点1〜3。三つのスピン、直線のステップ全てレベルは3だが、直線のステップは全ジャッジが加点2〜3。演技構成点もつなぎ以外は8点台。技術点三番目の42.21、演技構成点最高の42.5、合計84.71。
 第三グループ17番滑走でロシア三番手のボロノフ(24)。冒頭で4回転2回転を跳ぶ。しかし、アクセルがなんと1回転になり、要素を失う。最後のフライングスピンもレベル1。合計60.88でSP14位。
 第四グループ最初のブレジナ(チェコ、21)は、美しいトリプルアクセルから。連続3回転も決めたのに、ステップからのジャンプを予定変更して4回転サルコウを跳び、回転不十分で転倒。Jスポーツ解説の田村さんは、「4回転は無理して跳ぶべきじゃなかった」と言う。演技構成点は振り付けの要素だけ8点台。技術点六番目の37.91、演技構成点三番目の39.22、合計76.13でSP6位。

 フェルナンデス(西、20)は完璧な4回転から入ったが、ルッツからの連続3回転は回りすぎでマイナス評価、トリプルアクセルも回りすぎてステップアウト。解説の田村岳斗は「4回転の体になっているので、ジャンプの回転を止めないと」と言う。ステップなどなんだか勢いがなかったが、演技構成点は振り付けの要素が8点台。残りの要素は7点台後半。技術点四番目の40.83、演技構成点二番目の39.28、合計80.11でSP4位。
 ヴェルネル(チェコ、25)は、冒頭の4回転は両足着氷。トリプルアクセル、ルッツからの連続3回転は成功。この連続ジャンプとレベル3のサーキュラーステップは全ジャッジが加点。演技構成点は滑走技術が8点台。技術点二番目の42.39、演技構成点六番目の38.75、合計42.39でSP3位。

 今季GPシリーズには出ていないジュベール(仏、27)は、冒頭の4回転が回転不十分で転倒。もう復活できないのか。トリプルアクセルもステップアウト。ステップからのルッツはきれいに下りたが、第二ジャンプはつけなかったので、要素を失う。演技構成点は全て7点台。技術点31.07、演技構成点五番目の38.85、合計67.92でSP10位。
 昨年の覇者、今季はジャンプが不調のアマディオ(仏、21)は、SPを変更した。冒頭にやらない予定だった4回転サルコウは両足で-2〜-3。ルッツからの連続ジャンプは第二ジャンプが2回転。トリプルアクセルは決め、スピンは一つがレベル4、ひとつがレベル2。演技構成点は全て7点台。技術点五番目の39.87、演技構成点七番目の38.61、合計78.48でSP5位。

 最終グループ二番滑走でガチンスキー(露、18)。冒頭で鮮やかに4回転3回転を決める。トリプルアクセルもステップからのループも決まり、スピン二つとサーキュラーステップはレベル4。特にステップは、全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は全て7点台後半。技術点最高の45.91、演技構成点四番目の38.89、合計84.8。
 コンテスティ(伊、28)は、冒頭のルッツからの連続3回転はきれいに跳べたのに、トリプルアクセルで派手に転倒。ステップからのフリップも回転不足の上、両膝をついた。それでもスピン二つでレベル4、レベル3の直線のステップでは全シャッジから加点1〜3。演技構成点は全て7点台。合計31.36でSP11位。

 マヨロフ(スウェ、20)は、シュルタイスの替わりに出場。トリプルアクセル、ルッツからの連続3回転は決めたが、減点評価。なんだかせかせか滑っているように見える。スピン二つでレベル4、演技構成点は全て6点台。合計68.33でSP9位。
 ヴァンデルペレン(ベル)は4回転回避。フリップからの連続3回転、トリプルアクセルは決めたが、ルッツで転倒。スピン二つでレベル4、演技構成点は三つの要素で7点台。技術点七番目の37.5、演技構成点34.55、合計71.05でSP7位。

 フリーでは、第三グループ一番滑走のヴァンデルペレン(ベル)が棄権。SPで転倒した際、手をうって、骨折したかもしれない痛みがあるとのこと。
 いきなり二番滑走のジュベール。冒頭の4回転はきれいにおりた。トリプルアクセル、フリップ(eマークだが)も成功。二つ目の4回転がステップアウトして第二ジャンプ入らず。スピン、ステップはレベル3だが、全ジャッジが加点1〜2。ルッツとループがステップアウト。「マトリクス」の曲で、何年か前のプログラムにも使った。演技構成点は三つの要素で8点台。技術点61.07、演技構成点五番目の78.84、合計139.91でその時点の1位、フリー8位。

 マヨロフは、やはり滑りがせかせかして見える。冒頭トリプルアクセルからの連続ジャンプは決めたが、ルッツで転倒。後半の3連続は第二ジャンプが1回転。合計124.85でフリー11位。
 ベルギーの若手で初出場のヘンドリクス(19)は、基本の滑りがなめらか。冒頭のトリプルアクセルがステップアウト、最後のジャンプである連続ダブルアクセルも第二ジャンプの着氷がバランスをくずしたが、あとの要素は丁寧に成功させ、スピン二つでレベル4。技術点六番目の71.43、演技構成点64.22、合計135.65でフリー9位。

 コンテスティは、今季最高のフリーだった。冒頭でトリプルアクセル、フリップときれいに決める。ルッツで両手をついて転倒扱い。スピンは二つがレベル4。後半には、トリプルアクセルからの3連続も入った。ステップでは、衣装のサスペンダーも使って表情たっぷりに滑った。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点七番目の70.04、演技構成点八番目の76.42、合計145.46でフリー5位。
 最終グループ一番目にヴェルネル。冒頭の4回転は回転不十分で腹這いの転倒。アクセルも1回転に。後半には、トリプルアクセル、ルッツからの連続3回転、サルコウからの3連続など決めたが、第二ジャンプの着氷が悪く減点評価。スピンは一つレベル4。演技構成点は滑走技術と音楽表現で8点台。技術点67.06、演技構成点六番目の78.16、合計144.22でフリー6位。

 プルシェンコは、冒頭で4回転をきちんと決めた。続けてトリプルアクセル、ループ、トリプルアクセルからの連続3回転と決め、全て加点評価。スピンは二つレベル4、ルッツからの3連続も成功。サーキュラーステップは「ロクサーヌのタンゴ」に乗せて圧巻。全ジャッジが加点2〜3。直線のコリオステップは力強く、これも滑りきって全ジャッジが加点2〜3。最後のスピンを回り終わるときに既にガッツポーズ。全体で基礎点76.33に加点11点以上。演技構成点はパフォーマンスと音楽表現で9点台。技術点最高の87.61、演技構成点も最高の88.84、合計176.52でフリー1位、総合で七回目の優勝。ロシア選手権の時より体も絞れていて、公式練習で4回転を決めてみせて他の選手にプレッシャーをかけていたとか。セーブして滑って誰も太刀打ちできないのだから脱帽。優勝インタビューでは、マイクを自分で持って観客にメッセージ。表彰式では、真ん中の台に仁王立ちして、すごくうれしそうだった。

 ブレジナは、二種類の4回転を跳ぶ予定。冒頭のトリプルアクセルは加点の出来。しかし、4回転トウループは転倒、サルコウの方はパンクして2回転。後半にトリプルアクセルからの連続3回転、フリップからの連続3回転を決めたが、最後の3連続ジャンプは2回転1回転2回転の回転不十分。演技構成点はつなぎ以外は8点台。技術点三番目の74.15、演技構成点も三番目の80.02、合計153.17でフリー4位、総合4位。
 SP1位のガチンスキーは、冒頭で4回転からの3連続と単独の4回転、単独のトリプルアクセルとトリプルアクセルからの連続ジャンプと決めた。後半でループの着氷でバランスを崩した以外目立ったミスはなかったが、加点は全体で5.27。演技構成点も滑走技術とパフォーマンスが8点台前半であとは7点台後半。技術点二番目の82.61は立派だが、演技構成点四番目の78.86、合計161.47で大差をつけられたフリー2位、総合2位。

 フェルナンデスはジャンプが狂ってしまった。冒頭の4回転トウループは着氷が悪かったが、次の4回転サルコウはきれいにおりた。ところがアクセルが構えだけですっぽ抜けると、スピンでレベル4を出しても狂いは直らず。後半のアクセルも1回転、ルッツからの連続ジャンプも第二ジャンプが1回転。フリップからの3連続もバランスが悪く、ループはステップアウト。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点65.37、演技構成点七番目の76.78、合計142.15でフリー7位。大会前に首とヒップを傷めて四日間練習できなかったらしい。
 最終滑走はSP5位のアマディオ。フリーもプログラムを変更。冒頭の4回転サルコウはパンクして2回転。トリプルアクセルからの連続ジャンプはきれいに決めた。後半にも単独のトリプルアクセル、ルッツからの3連続サルコウからの連続ジャンプも決める。最後のダブルアクセルが1回転になったが、直線のコリオステップは全ジャッジが加点1〜3の出来。全体で基礎点63.3に加点10点以上。演技構成点もつなぎ以外は8点台。技術点五番目の74.14、演技構成点二番目の81.56、合計155.7でフリー3位、総合で逆転3位。キスアンドクライで飛び上がって喜んでいた。

 <女子シングル>28人参加。うち18人がダイレクトエントリー、10人が予選から。第三グルーブ14番滑走のコロベイニコワ(露、15)はコーチがボルチコワ。冒頭でフリップからの連続3回転を回った後転倒。ステップからのループも立てずに転倒。スピンは三つともレベル4。解説の岡部さんは「体が柔らかい」。技術点28.41、演技構成点23.0、合計49.41でこの時点で1位、SP12位。
 初出場のシルート(仏、17)は、かなり伸びのある滑り。「ブラック・スワン」の曲で、トウループの連続3回転、ステップからのループ、ダブルアクセルとジャンプもバネをきかせて成功。技術点三番目の31.03、演技構成点21.72、合計52.75でフリー8位。

 第四グループ最初のヨシ・ヘルゲソン(スウェ、18)も初出場。昨年、姉が6位になり、スウェーデン2枠を勝ち取って出てきた。レイバックスピンでは、岡部さんに「もう少し反ってほしい」と言われてしまう。170pの長身を生かしたステップ(レベル3)は見栄えがした。演技構成点は音楽表現のみ6点台。技術点28.87、演技構成点23.45でSP9位。
 姉のヴィクトリア(23)は、連続ジャンプは3回転2回転だが、スピンは三つともレベル4。ただやはりレイバックスピンで「もう少し反ってほしい」。演技構成点もつなぎ以外は6点台後半。技術点四番目の29.42、演技構成点六番目の26.26、合計55.68でSP5位。

 メイテ(仏、17)は、冒頭の連続3回転の第二ジャンプが回転不十分。ステップからのルッツも回転はしていたが着氷がシェーキーで、減点評価。フライングスピンとレイバックスピンはレベル4。技術点28.12、演技構成点21.74、合計49.86でSP11位。
 おととし3位になったゲデバニシビリ(グル、22)は、今季からコーチをオーサーに変更。だいぶ滑りがなめらかになってジャンプも安定してきた。ただつなぎの滑りはまだ荒っぽい。彼女も連続ジャンプは3回転2回転。フライングスピンは、フライングで入ってから2回転のうちに姿勢にならなければならないそうだが、トラベリングして、姿勢が決まらずレベル1。演技構成点は三つの要素で7点台。技術点三番目の29.47、演技構成点四番目の28.08、合計57.14だSP4位。

 最終グループは、コルピ(フィン、23)から。今季は少し不調だったが、ノーミスに近かった。冒頭で連続3回転に成功。ステップからのループは回転不十分だったが、他の要素は全ジャッジが加点評価。演技構成点もつなぎ以外は7点台後半。技術点二番目の31.38、演技構成点30.42、合計61.8でSP2位。コーチが泣いて喜んでいた。
 マカロワ(露、19)も冒頭の連続3回転をなんとかおりた。フライングスピンはレベル1だったが、他のスピンとステップはレベル3。技術点四番目の29.47、演技構成点も四番目の8.08、合計57.55でSP3位。

 マルケイ(伊、25)は冒頭ルッツからの連続ジャンプ。ジャンプ要素はなんとかこなしたが、ほとんど加点なし。荒っぽい滑りは、コーチを佐藤由香に替えてだいぶよくなってきた。最後のフライングスピンがレベル1。合計53.52でSP7位。
 マッコーケル(英、25)は今季GPシリーズに出ていないので、怪我でもしているのかと思ったがそうでもないようだ。最初のダブルアクセルはよかったが、次のルッツからの連続ジャンプでは、ルッツが傾いて第二ジャンプが1回転になり、要素を失う。スピンは一つレベル4だが、フライングはレベル1、レイバックはレベル2。合計45.65でSP16位に沈んだ。

 コストナー(伊、24)は、なんだか変わった現代音楽で滑るが、解説の岡部さんは「音ひとつひとつを表現している」と言う。冒頭の連続3回転はきれいに成功。全ジャッジが加点1〜3。今日は久々のクリーンプロク゜ラムかなと思っていると、サーキュラーステップの途中でかすかにつまづき、最後の足替えシットスピンのときフリーレッグが氷についてしまい、減点評価。演技構成点は音楽表現が8点台。技術点最高の32.27、演技構成点も最高の30.95、合計63.22でSP1位。
 最終滑走はレオノワ(露、21)。冒頭の連続3回転はなんとかおりたように見えたが、第二ジャンプは回転不足。ロシア選手権のときよりはよかったが、GPファイナルのときほど勢いはなかった。直線のステップは全ジャッジが加点2。演技構成点もつなぎ以外は7点台。技術点13番目の25.66、演技構成点三番目の28.84、合計54.5でSP6位。なんとかフリー最終組に残った。

 フリーは24人。第二グループのマッコーケルは、ジャンプが不調で転倒一つ、1回転二つなど合計80.09でフリー19位。ラフエンテ(西)は、「アランフェス」の曲。プログラムを変えたらしい。一見ノーミスだったが、回転不十分のジャンプが三つあり、スピンも二つレベル2。合計86.3でフリー16位。

 第三グループ最初のコロベイニコワ(露)は最年少。冒頭のフリップからの連続3回転をきれいに成功。後半にはサルコウからの3連続も。スピン二つでレベル4、演技構成点は6点台。SPとうってかわってノーミスで滑りきり、技術点最高の63.57、演技構成点51.15、合計114.72でフリー2位、総合4位。
 フランスの一つしかない世界選手権枠をかけて、まずシルート。冒頭のダブルアクセルからの連続ジャンプは決めたが、フリップで転倒。合計92.75でフリー11位、総合9位。岡部さんは「滑りをもっと改善してほしい」。
 メイテは冒頭のダブルアクセルからの連続ジャンプが転倒扱い。ループも両手つき。後半のルッツでも転倒。合計87.47でフリー15位、総合13位。

 ヨシ・ヘルゲソンは、冒頭のルッツからの連続ジャンプは豪快に決めたが、ループでしゃがんだみたいに。後半、サーキュラーステップに入ったところで転倒。合計92.79でフリー10位、総合10位。
 マルケイは冒頭のルッツでいきなり転倒。フリップ、サルコウも着氷が不安定。後半トウループでも転倒。滑る速さは最後まで安定しており、表現力はさすがに豊かで、演技構成点は6点台。合計93.32でフリー9位、総合8位。

 最終グループはコルピから。冒頭のトウループの連続3回転はなんとかおりた。フリップは2回転でeマーク。後半にはループからの3連続も回転不十分ながら決めた。ところが、二つ跳べる3回転ジャンプは2種類までなのに、トウループとサルコウにくわえてループも2回跳んでしまい無得点。スピンは二つがレベル4。演技構成点は7点台。技術点46.28、演技構成点二番目の58.86、合計105.14でフリー4位、総合2位。昨年の3位に続き表彰台。
 レオノワは冒頭の連続3回転はタッチがあったが下りた。しかしルッツで転倒。他に回転不十分のジャンプが三つ。アクセルが1回転とだいぶとりこぼした。技術点七番目の49.57、演技構成点五番目の55.71、合計104.28でフリー6位、総合7位。
 ゲデバニシビリは、「オペラ座の怪人」の曲。二つ目のルッツで両手をついたが、転倒にはならず。他はルッツからの連続ジャンプ、ダブルアクセルからの3連続などを決め、演技構成点はつなぎ以外7点台。技術点四番目の52.93、演技構成点三番目の57.61、合計108.79でフリー3位、総合も3位で二度目の表彰台。

 コストナーはヨハン・シュトラウスの曲。衣装は銀色のグラデーションのパンツスタイル。フリップが両足気味だった以外は、大きなミスなく、ジャンプはどれも力みなく跳んだ。後半の3連続の第三ジャンプが1回転になったがご愛敬。スパイラルと直線のステップは全ジャッジが加点1〜2。演技構成点は音楽表現を含む三つの要素で8点台。技術点二番目の56.29、演技構成点最高の64.04、合計120.33でフリーも1位、四度目の総合優勝。
 マカロワは、冒頭のフリップが回転不足でよくころばなかった。トウループの連続3回転は決めた。レベル4のレイバックスピンは全ジャッジが加点1〜3。ループからの3連続は第三ジャンプが1回転。演技構成点はつなぎ以外7点台。岡部さんは、ピンクのリボンがついた衣装が「曲が変わったときにふさわしくない」と言う。技術点45.92、演技構成点四番目の56.12でフリー7位、総合6位。ロシアの世界選手権枠は二つなので、どのように決めるのだろう。
 最終滑走は、ヴィクトリア・ヘルゲソン。冒頭にトウループからの3連続。後半のフリップは回転不足。スピンは二つレベル4。演技構成点は音楽表現とパフォーマンスで7点台。技術点五番目の49.72、演技構成点六番目の55.42、合計105.14でフリー5位、総合5位。去年よりひとつ順位を上げた。

 <ペア>川口・スミルノフ組とサブチェンコ・ゾルコビー組が欠場、18組が参加。それでもSPの1、2、3位はロシアが独占。1位と2位は約6点差、2位と3位はなんと8点差以上。
 四番滑走の初出場、ポポワ・マソ組(仏、18,22)は女性がロシア出身。2011年6月に組んだばかりとは思えない。ツイストも3回転でほぼ全ジャッジから加点1〜2。スロージャンプも全ジャッジから加点1〜2。技術点四番目の31.62、演技構成点22.29、合計53.91でSP6位。
 地元のケンプ・キング組(英、23,27)は12番滑走。冒頭のツイストは女性を空中でキャッチできずマイナス評価。ダブルアクセルのソロジャンプも女性がステップアウトして減点評価。しかしスローループはきれいに成功し、全ジャッジから加点1〜2。解説の杉田さんは「元々女性がジャンプが下手」と言う。今季はGPシリーズに出ていないので、怪我でもしたかと思っていたが、コーチを変えた。チェコのシュデクについていたが、昨年引退したアメリカのバレットがコーチになっていた。技術点九番目の25.8、演技構成点19.95、合計45.75でSP9位。

 ハウシュ・ウエンデ組(独、23,27)は、スロージャンプで片手付き、ソロジャンプでも失敗して、技術点六番目の28.69、演技構成点25.34、合計54.03でSP5位。
 ボロソジャー・トランコフ組(露、25,28)は、冒頭のツイストがすばらしく、全ジャッジが加点2〜3。スロージャンプでめずらしく片手付き。しかしリフトと直線のステップとデススパイラルはレベル4で、全ジャッジから加点。演技構成点はつなぎ以外は8点台後半。技術点最高の37.94、演技構成点も最高の34.86、合計72.8でSP1位。
 ストルボワ・クリモフ組(露、19,21)はボレロの曲。ロシア選手権から比べるとずっと上手になっており、スロージャンプ、ソロジャンプ、直線のステップは全ジャッジが加点1〜2。演技構成点は全て6点台後半。技術点三番目の31.8、演技構成点四番目の26.86、合計58.66でSP3位。

 ベルトン・ホタレック組(伊、21,28)は冒頭の3回転トウループがぴたりと決まった。スロージャンプは全ジャッジが加点1〜2。しかし、直線のステップで男性が初めの方で転倒。演技構成点は振り付けのみ7点台。技術点七番目の28.36、演技構成点三番目の27.02、合計54.38でSP4位。
 初出場のファルトマン・クリーブ組(独、23,24)は、女性のお母さんが日本人。冒頭のソロジャンプは全ジャッジから加点1〜3の出来だったが、スロージャンプが両足着氷。技術点八番目の27.4、演技構成点六番目の24.6、合計52.0でSP7位。
 最終滑走のバザロワ・ラリョノフ組(露、18,25)は「トスカ」の曲。冒頭の3回転トウループもよかったが、ツイストが高く見事。全ジャッジが加点2〜3。デススパイラル、リフト、直線のステップも全ジャッジが加点。特にリフトは複雑な入り方で、一人を除いてが加点2。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点二番目の36.27、演技構成点も二番目の30.62、合計66.89で堂々のSP2位。

 フリーは、16組。ケンプ・キング組は、課題のジャンプで女性が転倒。ツイストもSPと同じくもたれてしまった。しかしスロージャンプは二つとも全ジャッジが加点1〜2。解説の杉田さんは「スロージャンプでは立てるのに」と言っていた。スピン二つとリフト三つがレベル4。技術点七番目の51.22、演技構成点42.42、合計92.64でフリー8位。
 ファルトマン・クリーブ組は、公式練習のとき、同じドイツのハウシュ・ウエンデ組とぶつかり、女性が首を傷め、棄権も考えたという。しかし冒頭の連続ジャンプも成功、少しつらそうだったデススパイラルもレベル4、リフトも二つがレベル4。演技構成点もつなぎ以外は6点台。大きな加点はとれなかったが、全ての要素をやりきり、女性は演技終了後、泣いていた。技術点四番目の54.15、演技構成点六番目の48.84、合計102.99でフリー5位。

 フランスは世界選手権の枠が一つしかない。ジェイムズ・シプレ組(24,20)は国内選手権では2位。女性はカナダ出身の黒人で、フランスでの当初は別の選手と組んでいた。2010年7月に組みかえた。冒頭のリフトで全ジャッジから加点1〜2。連続ジャンプは女性がステップアウト。ソロジャンプも女性が両足。しかしそれ以外はいい出来で、スピンは息がぴったり合っていた。技術点五番目の51.94、演技構成点七番目の48.18、合計100.12でフリー6位。
 もうひと組のポポワ・マソ組は、国内王者。しかし連続ジャンプで女性がステップアウト、フライングスピンでなんと男性が跳んでスピンをしようとしたところで足をついてしまい、転倒扱い。二つ目のスロージャンプでは男性が強く投げすぎて女性が転倒。合計86.07でフリー9位と沈む。

 ハウシュ・ウエンデ組は、ファルトマン・クリーブ組とぶつかったとき、男性の靴のブレードがずれてしまったという。その影響か、連続ジャンプで男性が転倒し第2ジャンプをつけられず。一つ目のスロージャンプ、フライングスピン、コリオスパイラル、続くリフトは全ジャッジが加点の出来。しかし最後のペアスピンで二人とも転倒し、無得点。演技構成点は全て6点台。技術点8番目の47.24、演技構成点五銀目の50.55、合計94.79でフリー7位。メダルを狙っていたのに、全く思わぬ結果に男性は、キスアンドクライでずっと頭を抱えていた。
 最終グループのベルトン・ホタレック組は、男性はチェコ出身。女性は以前シングルやアイスダンスの経験もあるという。冒頭の3連続ジャンプで、女性が第1ジャンプで少しバランスを崩してユニゾンに欠けた。ソロジャンプでも女性が2回転で男性が3回転。リフト二つと足変えスピンはレベル4。しかし細かいミスがいくつかあり、最後にほんの少し時間オーバーしてしまい、減点1。演技構成点は全て6点台後半。技術点六番目の51.5、演技構成点四番目の5.11、合計104.61でフリーも4位。

 ストルボワ・クリモフ組も3連続ジャンプをしたが、第2ジャンプで女性が1回転に。ダブルアクセルも両足。リフト二つとスピンは二つともレベル4。後半のルッツのスロージャンプは全ジャッジが加点1〜2。演技構成点も三つの要素で7点台。技術点三番目の57.28、演技構成点も三番目の55.87、合計113.15でフリーも3位、総合3位。初出場で表彰台。
 ボロソジャー・トランコフ組は「ブラックスワン」の曲。冒頭のツイストがほとんど真横になり、全ジャッジが加点2〜3。デススパイラルも全ジャッジから加点。後半のリフト二つとペアスピンはともにレベル4で全ジャッジから加点。演技構成点音楽表現が9点台であとは8点台。技術点最高の67.07、7演技構成点も最高の70.58、合計137.65でフリーも1位、堂々の初優勝。

 最終滑走のバザロワ・ラリョノフ組もツイストは速くで高く、素晴らしい出来で全ジャッジが加点1〜2。しかしダブルアクセルのシークエンスで女性が第2ジャンプで両足。その後の要素は全て加点の出来。特に後半最初のリフトは入り方と下り方に難しい工夫があり、ほぼ全ジャッジが加点2〜3。ただ、最後のデススパイラルはレベル1と取りこぼした。演技構成点はパフォーマンスだけ8点台、残りの要素は7点台後半。技術点2番目の63.81、演技構成点も二番目の63.09、合計126.9でフリー2位、総合2位。

 <アイスダンス>予選から勝ち上がった8組とダイレクトエントリー12組の計20組。地元のカー姉弟が選手としてではなく、競技会前のオープニングに登場。エキジビションでは二人の演技を披露。
 第三グループ最初にボブロワ・ソロビエフ組(露。21,24)。ルンバのパートは二つともレベル3、サーキュラーステップもレベル3。ツイズルと直線のリフトはレベル4。リフトは難しい入り方。ロシア選手権よりだいぶ復調している、と解説の藤森さん。演技構成点は全て8点台前半。技術点最高の31.93、演技構成点二番目の33.13、合計65.0でSD1位。
 トビアス・スタグニナス組(リトアニア、20,26)は、ツイズル、回転リフト、ルンバの2パートともレベル4。滑りも「パワフル」と藤森さん。演技構成点もつなぎ以外は7点台。技術点四番目の31.14、演技構成点七番目の28.52、合計59.66でSD5位。
 昨年優勝のペシャラ・ブルザ組(仏、28,31)は、冒頭のカーブのリフトはレベル4で全ジャッジから加点が1〜2付いたが、ルンバがレベル2と3。サーキュラーステップは、シーズン前半に比べて速くなったがレベル2ととりこぼし。ツイズルもレベル4で全ジャッジが加点1〜2、演技構成点も全て8点台をとったが、技術点五番目の30.36、演技構成点最高の34.53、合計64.89で僅差の2位から。
 ロシアの二番手リアザノワ・トカチェンコ組(20,25)は、冒頭のルンバとカーブのリフト、ツイズルでレベル4、サーキュラーステップとルンバのもうひとつのパートもレベル3と今持てる力は発揮。演技構成点も全て7点台。技術点二番目の31.85、演技構成点5番目の29.49、合計61.34のSD3位と好発進。
 地元イギリスのクームズ・バックランド組(22,22)は、声援を力に変えていい出来だった。男性が182pもあり、女性は152pなのでまるでペアのよう。コーチを今季プラトフに変えたらしい。ルンバのパートは二つともレベル4、回転リフトとツイズルもレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台前半で、技術点三番目の31.22、演技構成点六番目の28.56、合計59.78でSD4位。

 最終組は、昨年4位のイリニク・カツァラポフ組(露、17,20)から。冒頭のサーキュラーステップは全ジャッジから加点が1〜2付いたが、レベルは1。ルンバのひとつと回転リフトはレベル4。ルンバはラテンというより上品。演技構成点はつなぎ以外8点台前半をとったが、技術点九番目の27.01、演技構成点三番目の32.48、合計59.49でSD7位と出遅れ。
 スペインから二回目のフルタード・ディアス組(19,21)。女性は太めだが柔軟なところを魅せる。さすがにルンバがラテンぽい。2パートともレベル3をとったが、減点気味の評価。直線のリフトとツイズルはレベル4。若手らしいパワーあふれた滑り。演技構成点は三つの要素で6点台前半。技術点25.78、演技構成点23.57、合計49.35でSD12位。
 ジガンシナ・ガジー組(独、24,27)は、品のよいルンバ。レベルは3と2。回転リフトはレベル4だが、後の要素はレベル3。演技構成点は三つの要素で7点台前半。技術点八番目の28.57、演技構成点28.22、合計56.79でSD9位。ちょっとがっかりしたようだった。
 キャロン・ジョーンズ組(仏、25,23)は、冒頭のツイズルと回転リフトはレベル4で全ジャッジから加点。解説の藤森さんは、「男性が力強くなった。」と言う。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点七番目の28.92、演技構成点28.48、合計57.4でSD8位。
 最終滑走はカッペリーニ・ラノッテ組(伊、24,26)。昨年は男性の怪我で不出場。ここもルンバはラテンらしい。レベルは二つとも3。ところがツイズルでユニゾンが乱れ、レベル2ととりこぼし。サーキュラーステップもレベル2。回転リフトこそレベル4で全ジャッジが加点1〜2を付け、演技構成点も三つの要素で8点台を出したが、技術点27.51、演技構成点四番目の32.11、合計59.62でまさかの6位から。

 フリーは、20組。第二グループのズロビナ・シトニコフ組(アゼルバイジャン、22,25)は、二人とも元ロシアの選手でズーリンコーチが独奏的な振り付け。女性が人形のような動き。片足の男性の上に女性も片足で立つ直線のリフトはレベル4で全ジャッジが加点。カーブのリフトも男性の足の間に肩でバランスをとって逆立ちになる独創性のあるもの。技術点42.86、演技構成点41.52、合計83.38で大幅に自己ベスト更新。SD11位からフリー9位、総合10位。
 第三グループのキャロン・ジョーンズ組は今季コーチをナタリア・リニチュクに変更。解説の藤森さんは「ホールドの変更が雑なので基本をしっかり教わるといい」と言う。フリーの曲をガーシュイン・メドレーに変更。冒頭のツイズルと回転リフトは全ジャッジが加点1〜3。技術点42.28、演技構成点42.59、合計84.87でフリー7位、総合7位。
 ジガンシナ・ガジー組は、現代風「ロミオとジュリエット」の曲。なんと男性が冒頭で転倒。ツイズル、スピン、四つのリフトはレベル4をとったが、技術点43.0、演技構成点42.05、合計84.05でフリー8位、総合8位。

 イリニク・カツァラポフ組は「アヴェ・マリア」の曲。今季からコーチをモロゾフに変更。藤森さんは、「全部がモロゾフ流にならないでほしい。男性が急成長したので、単純なつなぎのステップをもっとレベルアップしてほしい」とのこと。四つのリフトは全てレベル4で全ジャッジが加点1〜2。ツイズルはミラーでレベル4で加点も付いたが、藤森さんは「ミラーだと少しずれても平気だが、もう少し練習してほしい」と言う。演技構成点はつなぎ以外8点台前半。ノーミスで滑り終え、男性はおわった途端、ガッツポーズ。技術点四番目の45.15、演技構成点三番目の48.48、合計93.63でフリー3位、逆転で総合3位で初の表彰台。
 カッペリーニ・ラノッテ組は、「道」の曲。こちらもノーミスの演技。ツイズルと四つのリフトはレベル4。演技構成点の三つの要素が8点台。技術点二番目の45.36、演技構成点四番目の48.11、合計93.47のフリー4位、総合も4位。0.03で表彰台を逃した。
 最終グループのボブロワ・ソロビエフ組は、ツイズルと四つのリフト、スピンとレベル4。ただ、藤森さんは「倒立のリフトでスカートが完全に裏返るのは、ダンスの品格に欠ける」という見解を紹介。また、一貫してスピードのある滑りなのだが、「ペアのような演技になってはならない」に抵触しそうだと言う。演技構成点は三つの要素で8点台。全体で基礎点36.5に加点7.07。技術点六番目の43.57、演技構成点二番目の51.6、合計95.17でフリー2位、総合2位。

 ペシャラ・ブルザ組の「ファラオとミイラ」のプログラムは、やはりエキジビションだったものをフリーに改造したらしい。動きや手足の角度などたいへん工夫されている。冒頭の肩の上で倒立するリフトはレベル4で全ジャッジが加点2〜3。直線のリフトもレベル4に全ジャッジが加点が1〜3。ツイズルはレベル3だったが、直線のリフトと回転リフトの連続技もレベル4で全ジャッジが加点が1〜3。全体で基礎点37.5に8点以上の加点。演技構成点もパフォーマンスと音楽表現が9点台。技術点最高の46.07、演技構成点も最高の53.22、合計99.29でフリー1位、逆転優勝。ペシャラは泣いていた。フランスの連覇は初。アニシナ・ペーゼラ組も二回優勝したが、2000年と2002年。
 トビアス・スタグニナス組は、冒頭のツイズルで、女性がバランスをくずして第二ツイズルで足をついてレベル1の上、マイナス評価。スピンとリフト四つはレベル4をとったが二つのステップはレベル2と3。技術点37.74、演技構成点42.13、合計79.87でフリー10位、総合9位。
 最終滑走は地元のクームズ・バックランド組。「エルヴィス・メドレー」の曲にのって、勢いよく滑りきった。対角線のステップだけレベル3で後の要素は全てレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台。ただ、二つのリフトが時間オーバーで減点2は惜しかった。技術点五番目の44.22、演技構成点六番目の43.31、合計85.53でフリー6位、総合6位。昨年の14位から大躍進。


フィギュアスケート (2012.2/10,11,12,13)

四大陸選手権 (2012.2/10〜13 コロラドスプリングス)

 <男子シングル>28人参加。SPはチャン(加)が1位、2位が無良、3位が高橋。なんと4位に町田がつけた。
 リッポン(米)は、冒頭のフリップからの連続3回転を決め、少し苦手のトリプルアクセルも決めたのに、得意の両手上げルッツでまさかの転倒。直線のステップとスピンは三つともレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点七番目の39.79、演技構成点五番目の36.13、合計74.92でSP7位。最終組に残れなかった。
 現・世界王者のチャンは、冒頭の4回転の着氷でバランスを崩し両手をついた。転倒かと思ったが、-3のみ。トリプルアクセル、ルッツからの連続3回転を慎重に決め、スビン二つと直線のステップはレベル4。全体で基礎点42.0に3.73の加点。演技構成点もつなぎ以外8点台後半。技術点二番目の45.72、演技構成点最高の42.22、合計87.92。
 チャンの直後に滑った、2009年に2位をとった町田(21)は、今季最高の滑りだった。ロシア民謡「黒い瞳」の曲で、きれいなトリプルアクセルから入り、全ジャッジから加点1〜3。フリップからの連続3回転、ステップからのルッツも決めた。スピンも二つレベル4をとり、最後のサーキュラーステップは、レベルは3だが、全身でロシア民謡のステップを表現し、これも全ジャッジから加点1〜3。全体で基礎点36.5に加点7.38。演技構成点はつなぎ以外7点台後半。技術点三番目の43.88、演技構成点も三番目の38.49、合計82.37で4位は立派。

 高橋は冒頭の4回転で転倒。回転も不十分。しかしトリプルアクセルは美しく、全ジャッジが加点1〜2。ルッツからの連続3回転も成功。スピン二つと直線のステップはレベル4に全ジャッジが加点。足替えスピンだけレベル2。演技構成点は全て8点台。技術点六番目の41.64、演技二番目の41.95、合計82.59でSP2位。
 デニス・テン(カザフ、18)は、やはり冒頭の4回転転倒。しかし、先季苦しんだトリプルアクセルは復調。スピンは三つとも、直線のステップもレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台前半。技術点四番目の43.44、演技構成点六番目の35.29、合計77.73でSP5位。4位の町田とは8.5点以上の差。
 今季はジャンプを磨いたという無良(20)は、冒頭で、4回転3回転の連続ジャンプを決める。全ジャッジが加点1〜2。得意のトリプルアクセルも豪快に決め、ステップからのルッツも全ジャッジが加点1〜2の出来。スピンは二つレベル4。演技構成点はつなぎ以外7点台。技術点最高の47.22、演技構成点四番目の36.22、合計83.44で、高橋を抜いてSP2位。

 フリーは24人が進む。14番目にリッポン登場。冒頭の4回転サルコウは回転不足で転倒。トリプルアクセルからの連続ジャンプは成功。スピンとステップはレベル3だが全ジャッジから加点。二つ目のアクセルは1回転に。3連続ジャンプも第二ジャンプが1回転。しかし、SPで転倒した両手上げルッツは斜めになったが着氷。レベル4の足替えスピンとコリオステップは、全ジャッジが加点1〜3の出来。演技構成点は全て7点台。技術点三番目の73.41、演技構成点四番目の74.22、合計146.63でフリー3位、総合4位と巻き返し。
 最終組の1番目に町田。ランビエールが振り付けた「ドンキホーテ」の曲。冒頭の4回転は回転不十分で転倒。続くアクセルからの連続ジャンプもアクセルが1回転。フライングスピンはレベル4で全ジャッジが加点1〜3、後半には3連続ジャンプも成功。しかし、高地の影響か、フリップがeマークで2回転、ルッツが1回転、サルコウからの連続ジャンプの第二ジャンプも1回転。演技構成点は三つの要素で7点台。技術点56.91、演技構成点七番目の69.76、合計125.67でフリー10位、総合7位。
 高橋は、冒頭の4回転は、両足だが回って下りた。しかし、次のトリプルアクセルが1回転に。サーキュラーステップはレベル4に全ジャッジが加点2〜3。フライングスピンもレベル4。後半のトリプルアクセルからの連続3回転はアクセルが回転不十分。それでもフリップからの連続ジャンプ、ルッツからの3連続ジャンプなど決めて、最後の直線のコリオステップもいつものキレがないながら全ジャッジから加点1〜3をもらった。基礎点71.12に全体で5.76の加点。演技構成点はつなぎの要素が8点台前半、あとは8点台後半。技術点二番目の76.88、演技構成点も二番目の84.86、合計161.74でフリー2位、総合も2位。チャンとは29点以上の差だった。

 チャンは、冒頭で4回転3回転を決め、続けてもうひとつ4回転を成功。この二つで基礎点が24.7の上、それぞれに全ジャッジが加点1〜3。これで勝負あった。後半の3連続ジャンプは3回転ルッツ+1回転ループ+3回転サルコウという変則だが、基礎点は11.77。レベル4のサーキュラーステップと足替えシットスピン、コリオステップは全ジャッジが加点2〜3。演技構成点は三つの要素で9点台。技術点ダントツの95.83、演技構成点も最高の90.16、合計185.99でフリーも1位、総合優勝。これで、プルシェンコのいない世界選手権の連覇はかなり現実的に。
 デニス・テンは、冒頭の4回転がパンクし、2回転。続けてもう一つ4回転に挑戦し、転倒。トリプルアクセルからの連続3回転は決めたが、後半のルッツからの3連続ジャンプは、ルッツが2回転に。スピンは二つレベル4をとったが、最後のジャンプは1回転に。技術点六番目の63.22、演技構成点も六番目の70.08、合計132.3でフリー7位、総合6位。
 無良も、冒頭の4回転が2回転に。二つ目の4回転をやめてルッツからの連続3回転に変更。一つ目のトリプルアクセルはステップアウト気味だったが二つ目の連続ジャンプのはちゃんと決めた。しかし、サルコウとフリップが2回転、一つ目の足替えスピンとサーキュラーステップはレベル2など取りこぼしも。演技構成点はつなぎ以外7点台。技術点九番目の62.16、演技構成点五番目の71.56、合計133.72でフリー6位、総合5位。
 最終滑走は、SP6位のロス・マイナー(米)。4回転は跳ばない。初めにトリプルアクセル単独と連続ジャンプで二つ決める。ルッツからの連続3回転も成功。後半にはサルコウからの3連続ジャンプも決めたが、ルッツで転倒。ループは2回転に。演技構成点は全て7点台。技術点四番目の73.04、演技構成点三番目の74.03、合計146.34でフリー4位、総合3位。初の表彰台。

 <女子シングル>30人参加。SP1位は、浅田真央。2位は全米女王ワグナー。3位は村上。4位にジャン(米)。第三グループに優勝候補が集まった。
 19番滑走で真央。冒頭で挑戦を宣言していたトリプルアクセル。両足着氷になり、回転不十分。直前の6分間練習ではきれいに下りていたのだが。フリップからの連続ジャンプ、ステップからのループともきれいに決まり、スピン、ステップは全てレベル4。演技構成点はつなぎ以外は7点台後半。技術点三番目の34.11、演技構成点最高の30.14、合計64.25。
 カナダ国内女王になったラコステ(23)は、世界選手権の1枠をめぐってファヌフと争う。冒頭のダブルアクセルはよかったが、ルッツが1回転になり要素を失う。ループからの連続ジャンプは決め、スピン二つでレベル4。技術点25.84、演技構成点25.88、合計51.72でSP7位。
 ワグナー(米、20)は、全米で優勝したのが自信になっている。冒頭のフリップからの連続3回転は、第二ジャンプで少しバランスを崩したが、決める。スピンは三つともレベル4。演技構成点は全て7点台。技術点二番目の34.64演技構成点二番目の29.43、合計64.07は、1位と0.18の僅差。
 村上(17)は、冒頭にすばらしい連続3回転を決め、全ジャッジから加点1〜3。スピン、ステップは全てレベル4。直線のステップと最後の足替えスピンでは、全ジャッジから加点1〜2。全体で基礎点29.9に5点以上の加点。演技構成点はつなぎ以外は7点台。技術点最高の35.16、演技構成点三番目の28.29、合計63.45で、1位とは0.8点差。
 今井(18)は、ここが今季の集大成。しかし、いきなり冒頭の連続ジャンプで第二ジャンプがつけられず。次のループも回転不足で連続ジャンプにできず、要素を失う。スピンは三つともレベル4をとったが、演技構成点は三つの要素で6点台前半。技術点21.18、演技構成点24.01、合計45.19でSP11位。

 最終グループの三番目に全米4位のC. ジャン(米、18)。冒頭でループループの連続3回転はステップアウト。ステップからのフリップ、アクセルは決まり、スピンは三つともレベル4。演技構成点はつなぎ以外で6点台半ば。技術点四番目の32.79、演技構成点八番目の23.48、合計54.07でSP4位。体を少し絞ってきたようで、やっと復活してきたようだ。
 ザワツキー(米、17)は、全米で3位になって四大陸初出場。冒頭のステップからのトウループで転倒。次のルッツに2回転をつけた。スピンは一つだけレベル4。演技構成点は全て6点台後半。技術点六番目の27.07、演技構成点四番目の26.8、合計52.87でSP6位。
 ファヌフ(加、23)は、冒頭のダブルアクセル、続くルッツで二回転倒。ループからの連続ジャンプは決めた。スピン二つがレベル4。演技構成点は全て6点台。技術点七番目の26.56、演技構成点五番目の26.2、合計50.76でSP8位。ラコステとの勝敗はフリーに持ち越し。

 フリーは24人。最終グループ一番滑走はジャン。フリップからの連続ジャンプ、ルッツ、ダブルアクセルと決めると、スピンは三つともレベル4、コリオスパイラルは全ジャッジが加点2〜3、最後のレイバックスピンはパールスピンが完全復活し全ジャッジが加点3というほぼ完璧な演技。全体で基礎点55.41に8点近い加点。演技構成点はパフォーマンスだけが7点台だが、技術点四番目の58.32、演技構成点五番目の54.19、合計108.52で今季最高を30点以上更新し、フリー3位、総合3位。
 ワグナーは、「ブラック・スワン」の曲。冒頭でフリップからの3連続ジャンプ、アクセルからの連続ジャンプ、ルッツと決めると勢いに乗った。スピンは三つともレベル4、コリオスパイラルは全ジャッジが加点2〜3。レイバックスピン、後半のループとサルコウ、最後の直線のステップと足替えスピンも全ジャッジが加点。全体で基礎点56.1に驚異の加点10.51。演技構成点はつなぎの要素以外は7点台後半。技術点最高の66.61、演技構成点も最高の61.73、合計128.34でフリー1位、逆転で初優勝。
 ザワツキーは、ワグナーのスタンディングオベーションの後で気の毒だったが、善戦。冒頭のダブルアクセルで両手つき。しかし、次のフリップは決めて落ち着く。レベル4のレイバックスピンとルッツは全ジャッジが加点1〜3。後半、連続ジャンプの一つ目が2回転になったり1回転アクセルになったりしたが、トウループからの3連続は決めた。技術点六番目の49.27、演技構成点三番目の55.09、合計104.36でフリー6位、総合6位。

 村上は、冒頭のルッツがeマークで原点評価。苦手のループはきれいに跳んだが、フリップで手をついて-1〜-2。スピンは二つレベル4をとったが、最後の足替えスピンはレベル1。コリオスパイラルは全ジャッジが加点1〜2。次の連続3回転は、第二ジャンプが1回転に。フリップからアクセルのシークエンスもアクセルが1回転、サルコウからの連続ジャンプも第二ジャンプが1回転。高地の影響がすごく堪えているようだった。演技構成点は滑走技術だけ7点台。技術点五番目の51.58、演技構成点四番目の54.29、合計105.87でフリー5位、総合4位。
 真央は、冒頭のトリプルアクセルはきれいに下りたが、回転不十分の判定。フリップからの連続ジャンプは軽やかに決めたが、ルッツで片手付き。足替えスピンは全ジャッジが加点2。ダブルアクセルからの連続ジャンプ、フリップからの3連続も決めたが、あまり加点が付かない。苦手のサルコウは2回転。直線のステップレベル3だったが、全ジャッジが加点1〜3。最後のコリオスパイラルも全ジャッジが加点1〜3。スピンは三つともレベル4。三つ目のフライングスピンは全ジャッジが加点1〜2。ただ、高地での息切れに注意しているのか、全体に勢いが感じられず、そこが残念。演技構成点は全て7点台。技術点三番目の62.95、演技構成点二番目の61.42、合計124.37でフリー2位、総合2位。

 第三グループ最初に滑った今井は、ジャンプが復調せず。冒頭で連続3回転に挑んだが、片手付き。ルッツで転倒。次のフリップも両手つき。ループからの連続ジャンプ、サルコウからの3連続はなんとか跳んだが、サルコウが回転不十分で転倒。スピンは二つがレベル4をとり、レイバックは全ジャッジから加点1〜2。演技構成点は全て6点台。技術点七番目の49.05、演技構成点42.25、合計89.3でフリー9位、総合9位。
 ファヌフもジャンプが復調せず。冒頭のルッツと三つ目のループが1回転。ループ、サルコウ、トウループは3回転を決め、跳べたジャンプには加点。後半、アクセルも1回転に鳴った後、トウループからの3連続を決める。スピンは三つともレベル4に加点。直線のステップもレベル3に全ジャッジが加点1〜2。演技構成点つなぎ以外は6点台後半。技術点44.83、演技構成点51.88、合計96.71、フリー7位、総合8位。
 すぐ次のラコステは、冒頭でなめらかな滑りからループ、ルッツと決めていい印象。ところがサルコウで両手つき、フリップが1回転、後半のダブルアクセルで転倒。連続ジャンプはループの3回転2回転のみ。スピンもレベル4は一つだけ。演技構成点は全て6点台後半。技術点43.84、演技構成点53.09、合計95.93でフリー8位ながら0.18差で総合7位。カナダスケート連盟はどうするのかな。


フィギュアスケート (2012.2/10,14,15,)

カナダ選手権 (2012.1/16〜22 モンクトン・ニューブランズウィック州)

 <女子シングル>Jスポーツ解説の岡部さんは、「若手とシニアの対決が見所」と言う。確かに、16歳とか15歳の選手が出てきているが、ロシア選手権みたいに平均年齢が15歳ということはない。ロシェットが今季も休んでいるので、シニアで知っているのは、ラコステとファヌフくらい。ラコステは、演技の前、場内で非常サイレンが鳴り、集中を続けるのがたいへんだったと思うが、ルッツが回転不足になったものの、他には大きなミスなく、合計52.43でSP2位。ファヌフは、ルッツの着氷も乱れたが、ループからの連続ジャンプの一つ目で転倒して要素を失い、合計49.66でSP4位から。SP3位は、合計52.34で若いナハロ。
 SP1位になったのは、シニアのカナダ選手権初出場の、16歳のオズモンド。インド音楽の曲で、滑りも速く、連続3回転も決まり、将来が楽しみな感じ。合計56.94。

 フリーでは、ファヌフが1位。冒頭のルッツ、ループと決め、サルコウが2回転、ダブルアクセルで転倒したが、連続ジャンプ二つを決め、合計108.28でフリー1位、総合2位。スピン二つがレベル2と1で、ステップもレベル2だが、つなぎの要素とか音楽表現が抜き出ていた。SP3位のナハロはフリーも3位、総合4位。
 ラコステは、冒頭のループは決めたが、次のルッツがパンクして1回転。サルコウからの連続ジャンプ、ループからの3連続も決めたが、フリップもパンクして1回転。しかし他の要素はきっちりできたし、表現力もよくなったので、合計107.08でフリーは2位ながら、総合優勝。2006年からシニアの大会に出続けて、やっと初優勝で、すごくうれしそうだった。
 オズモンドは、フリーはちょっとジュニアっぽかった。冒頭でフリップからの連続ジャンプは決めたが、サルコウでステップアウト。後半の3連続も0〜-1の評価。ダブルアクセルでは両手をついた。スピンやステップはレベル3を並べ、つなぎが物足りないが、合計98.53でフリー4位、総合3位で初の表彰台。将来が楽しみ。解説の岡部さんは「昨年のジュニアGPで軽井沢に来たときは太っていて、今年はだいぶ絞って上手になった」。

 <ペア>GPシリーズに出ている三組が熾烈なトップ争い。デュベ・ヴォルフェ組(テレ朝ではウルフと言っていた)は、今季組み替えたばかりだが、だいぶなめらかな動きになってきた。合計60.65でSP2位。デュハメル・ラドフォード組は、優勝候補筆頭だったが、最後のリフトが一回であがれず、やり直した。合計60.92でSP1位。ムアタワーズ・モスコビッチ組は、珍しくスロージャンプで転倒。合計60.26でSP3位から。
 ただし、三組とも60点台で、僅差の勝負。4位にGPシリーズのスケート・カナダに出たローレンス・スウィガーズ組が58点台で続いていて、さすがにペアの層が厚いことを見せた。

 フリーでは、ローレンス・スウィガーズ組は、ダブルアクセルのシークエンスで男性が両足着氷になり、リフトも一つ下りるときバランスをくずしたのがあったが、全体としてはよい出来で、合計110.29でフリー3位、逆転で総合3位。
 ムアタワーズ・モスコビッチ組は、どうしたのか。女性がジャンプの後、第二ジャンプに入る前に、転倒。動揺したのか、デススパイラルもペアスピンもレベル1。二つ目のリフトで下りてくるとき男性が傾いて二人とも転倒。こんなのは国際大会では見たことがない。スロージャンプは二つとも決めたが、フライングスピンもレベル1。合計104.16でフリー4位、総合4位。
 デュハメル・ラドフォード組は冒頭のツイストはレベル3だがほぼ全ジャッジが加点2。3連続ジャンプは第一ジャンプが回転不十分だったがタイミングは合っていた。スロージャンプで着氷をこらえたのがあったが、後の要素は全てレベル4。フライングスピンは難しい姿勢変化でもぴったり合っていて、コリオスパイラルとともに全ジャッジが加点1〜2。ほぼノーミスで滑り終わったとき、勝利を確信。合計129.19でフリー1位、総合優勝。

 <アイスダンス>14組参加。Jスポーツ解説の藤森さんは「ノービス、ジュニアも含めて たくさん参加があってうらやましい」。
 昨年国内優勝したクローン・ポワリエ組が6月にコンビを解消したとのこと。道理で今季国際大会で見かけないと思った。7月にギルス・ポワリエ組(20,20)として組み替えて第一グループで登場。女性はアメリカ出身。5月までアメリカで登録していたので国際大会にまだ出られないらしい。藤森さんは「好きな組で、まだ伸びていくと思っていた。今度は長く組んでほしい。」とのこと。ルンバのキーポイントであるチョクトーで女性のエッジが浅いという。それでもツイズルなどぴったり合っていて、合計62.78でSD3位。
 ヴァーチュー・モイア組(22,24)は、男性の衣装をグレーの模様が入ったシャツに変更。珍しく女性が第一ツイズルの最後でよろめき、レベル2。GPファイナルの後、プログラムを少し変更したとのことで、そこが練習不足なのかもしれない。それでも合計68.41でSD1位。
 ラルフ・ヒル組(19,20)は、ラテンの雰囲気がよく出ていた。合計58.92でSD4位。ポール・イスラム組(20,19)は、合計57.3でSD5位。NHK杯の練習での怪我で女性は20針も縫ったという。
 最終滑走にウィーバー・ポジェ組(22,24)。たいそう表情の付いた演技だった。ただ、女性が第一ツイズルで少しぐらついたがレベル4はとった。合計68.27、1位と0.14の僅差でSD2位。

 フリーでは、ポール・イスラム組が最終グループの第一滑走。藤森さんは「女性のフリーレッグがきれい」だと言う。リフトは四つともレベル4、全ジャッジから加点1〜2。合計89.18でフリー4位、総合5位。
 ラルフ・ヒル組は、ミラーのツイズルから。サーキュラーステップやつなぎのステップでタンゴらしさを表現。リフトは四つともレベル4。特に三つ目の直線のリフトは、男性が片足、女性も片足で難しい姿勢、全ジャッジが加点1〜3。合計88.59でフリー6位、総合4位。
 ギルス・ポワリエ組は、全ての要素で全ジャッジが加点、しかも2と3が多い。二つのステップだけレベル3で後は全てレベル4。特にツイズルはどちらの回転も速くて、難しい手の動きをしながらぴったりと合っていて、全ジャッジが加点3。とてもこの7月に組み替えたばかりとは思えない。合計100.76を出し、フリー3位、総合3位。
 ウィーバー・ポジェ組は、二つのステップだけレベル3で後は全てレベル4。全ての要素で全ジャッジが加点2〜3。哀愁あふれる音楽を全身で表情豊かに表現。技術点51.83、演技構成点54.43と50点台にのせ、合計106.26でフリー2位、総合2位。
 ヴァーチュー・モイア組は二つのステップと回転リフトがレベル3、後の要素はレベル4だが、加点がすごい。ツイズルと、最後の二つのリフトは全ジャッジが加点3。しかし、どれかのリフトがタイムオーバーで減点1。演技構成点は全ての要素で10.0を出すジャッジが一人はいて、技術点53.66、演技構成点58.95、合計111.61でフリーも1位、総合で四度目の優勝。

 <男子シングル>18人出場。最年長の25歳のフォーティンという黒人選手が、すごくダンスっぽい滑りでよかったが、冒頭のアクセルが1回転になってしまい、要素を一つ失って合計52.17でSP10位。続けて初参加の最年少の13歳、アジア系のナム・エングウェンが、アクセルは2回転だが、ルッツからの連続3回転を決めてみせて、合計57.32でSP8位。
 最終組一番滑走のフィルス(19)は、それまでの選手よりも格段になめらかで速い滑り。連続3回転、ダブルアクセル、ステップからのルッツとジャンプもいいが、一足の伸びがすばらしい。合計66.34でSP5位。
 ジェレミー・テン(22)は、2007年カナダのジュニア王者。昨年と今季は怪我でGPシリーズには出ていない。トリプルアクセルは失敗したが、他の要素は決めて、合計70.81でSP3位の好位置。ロゴジン(18)は、冒頭で4回転からの連続ジャンプの予定だったが、フリップからの連続3回転に変更。トリプルアクセルの着氷が乱れ、ステップからのジャンプが2回転になり、要素を失う。合計60.82でSP6位と出遅れ。

 バルデ(21)は、冒頭のトリプルアクセルは減点評価、スピンも一つはレベル1だったが、ルッツからの連続3回転、レベル4のフライングスピンなど加点をもらい、合計68.32でSP4位。レイノルズ(21)は、冒頭で4回転サルコウ3回転トウループを成功。トリプルアクセルもステップからのルッツもきれいに決まる。フライングスピンはレベル4で、全ジャッジから加点。直線のステップはレベル3だが、全ジャッジから加点2〜3。演技構成点もつなぎ以外は7点台。合計80.81でこの時点でダントツの1位。SP2位。
 しかし、最終滑走のチャン(21)は、すごかった。今季最高の出来ではないか。「テイク・ファイブ」の曲にのせて冒頭で4回転3回転トウループを決め、トリプルアクセル、足替えスピン、ステップからのルッツとなめらかで伸びのある滑りで全ての要素に全ジャッジが加点2〜3。最後の直線のステップなどあまりにもすばらしく、全ジャッジが加点3。演技構成点は全て9点台という驚異的な点。技術点53.4、演技構成点47.93、合計101.33という無敵の得点でSP1位。

 フリーでは、最年少のエングウェンが冒頭にサルコウからの連続3回転、後半にダブルアクセルからの3連続などループ以外のジャンプは全て成功。技術点、演技構成点とも60点台に乗せ、121.96でフリー6位、総合7位。
 ロゴジンは、冒頭にフリップからの連続3回転を決めたが、トリプルアクセルが二つとも軸が傾き、回転不足で片方を連続ジャンプにできず。スピンは二つレベル4を出したが、基本の滑りが荒っぽく、ステップもフラメンコを表現できているとは言いがたい。技術点は68点台だが、演技構成点59点台と60点に届かず、合計127.82。フリー5位、総合5位。
 フィルスはフリーでも伸びのある滑りを見せたが、冒頭のルッツからの連続3回転は高く美しかったのに、トリプルアクセルで転倒。後半ループとルッツが2回転に。ルッツからの3連続も第三ジャンプが1回転。最後のジャンプも転倒し、演技構成点は65点台を出しながら、技術点58点台、合計121.44でフリー7位、総合6位。
 バルデはマイケル・ジャクソンメドレーの曲。4回転は、2枠しかない世界選手権出場をねらって回避。しかしトリプルアクセルからの連続ジャンプはステップアウト気味でマイナス評価。ルッツからの連続3回転は成功。フリップはeマークだが、全てのジャンプを成功させ、コリオステップではマイケル・ジャクソンの世界を表現、全ジャッジから加点1〜3。技術点68点台、演技構成点は70点台に乗せ、合計138.21でフリー3位、総合4位。3位のテンとは0.97差。

 テンは、冒頭のトリプルアクセルで派手に転倒。ルッツからの連続3回転など他のジャンプは成功。二つのステップは全ジャッジから加点。しかし最後のフリップで二度目の転倒。SP3位につけていたが、技術点63点台、演技構成点75点台、合計136.69でフリー4位ながら、総合3位、表彰台を確保し、キスアンドクライでは信じられないという顔をしていた。
 レイノルズは、すごいプログラム構成。3種類の4回転を予定。まず冒頭に4回転サルコウ。なんとか成功。続けて4回転トウループはきれいに着氷。トリプルアクセルをはさんで挑戦した、まだ見たことのない4回転ループは回転不足で両足。後半には、3連続3回転というヴァンデルペレン以外成功したのを見たことがないジャンプを成功。しかし、疲れたのかダブルアクセルからの連続ジャンプなどマイナス評価のジャンプが続き、スピン二つはレベル4。技術点85点台を出したが、演技構成点73点台、合計158.63でこの時点で1位、2位は確保し、ほぼ世界選手権出場枠を手中にした。  チャンは、ダントツトップなのに少し緊張していて冒頭の4回転は着氷をひざでこらえ、第二ジャンプは2回転に。続く単独4回転はきれいに成功、全ジャッジから加点2〜3。サーキュラーステップはレベル3だが、ほぼ全ジャッジが加点3。後半のルッツからの3連続、フリップからの連続3回転など全てのジャンプを成功させ、ほぼ全ジャッジから加点。その結果、技術点103.21という驚異的な得点に。演技構成点97.6もダントツ。合計200.81でフリーも1位、2位と60点以上に差を広げて総合優勝。



ページトップへ