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マザーグース学会第15回全国大会


2018年12月2日(日)
場 所:立命館大学大阪いばらきキャンパス AN328教室



  マザーグース学会の全国大会が開かれました。当日のようすを簡単にご紹介します。
    ※なお、ここに掲載した研究発表や講演の概要は、あくまでも筆者個人のメモに基づき、 その一部をまとめたもので、学会の公式の記録ではありません。(2019.1)
目次

研究発表  講演  
<研究発表>

1. ハンプティ・トランプティは塀から落ちるのか?  ― トランプ大統領とマザーグース ―
  鳥山 淳子
   2017年1月に就任した、ドナルド・トランプ第45代アメリカ合衆国大統領は、よくマザーグースの「ハンプティ・ダンプティ」にたとえられます。 というのも、名前がハンプティ・ダンプティ・トランプティと、完璧に韻を踏むためと、「メキシコとの国境に壁を建設する」発言も、「壁=wall」にすわっているハンプティを連想させるため。 初めは「ハンプティ・トランプティ」の形が多かったけれど、「トランプティ・ダンプティ」の形も増えてきたらしいです。(以下、レジュメより引用。「/」は改行)
「Humpty Trumpty / wanted a wall / Humpty Trumpty / Get ready to fall」(プラカードの文)
「Trumpty Dumpty built a great wall / "No Muslims or Mexicans in the US at all!"」
「Trumpty Dumpty built a great wall / Trumpty Dumpty had a great fall / All the Americans and all the Mexicans / Didn't want to put Trumpty back together again.」
「Trumpty Dumpty wanted a wall / Lining the border, 20 feet tall. / The Mexican people agreed with the lout, / "We'll pay for the thing if it keeps Trumpty out!"」
   みんな見事に脚韻を踏んでいます。当日はスクリーンで画像とともに、他にもたくさん見せていただきました。

2. 保育者養成課程におけるマザーグースを活用する授業実践例 ― 学生たちが学ぶものとは ―
  赤松 直子
     
   保育者をめざす大学生に英語を教えるとき、どのようにマザーグースを取り入れているかという実践報告です。 マザーグースの唄から学べることは、「英語には音節がある」「強音節と弱音節がある」「拍が日本語とは違う」などいろいろあります。 これらを体感してもらうために学生たちに二人一組になって、歌いながら手遊びをしてもらったり、強音節だけ歌ってもらったりするそうです。 レジュメには「Where is thumbkin」や「Twinkle twinkle little star」などが例としてあげられていました。また、ライムを楽しく学べる絵本として Rhyming: Dust Bunniesを見せてもらいました。テキスト『保育英語 Chldren's Garden』『保育の英会話』には、たくさんの手遊び唄の事例が出ているそうです。

3. 谷川俊太郎訳『マザー・グースのうた』(草思社)5冊本の典拠絵本について(仮)
  鈴木 直子
     
   草思社から刊行された全5冊の『マザー・グースのうた』の原詩の出典は、巻末を見ると6点あり、うち4点の絵本が紹介されました。 Richard Scarry's Best Mother Goose Everからは"Rub-a-dub-dub","Three little kittens"等9篇が採られています。 D. アデアの絵本『Mother Goose Tunes まざあ・ぐうすのうた』からは"Roses are red","Bow-wow, says the dog"等6篇。 アメリカの彫刻家A. カルダーのThree Young Rats and Other Rhymesからは"There was a man, a very untidy man","Lizzie Borden"等、残酷な唄と言われるものを含めて9篇。 R. ブリッグスのThe Mother Goose Treasuryからは"He that would thrive","Rats in the garden, catch 'em Towser","Old Mother Goose"等16篇。うち8篇は"Little Nancy Etticoat"等の謎々唄。 書画カメラで、各絵本と草思社の堀内誠一のイラストを、構図など似ているものを並べて見ました。

4. 最古のマザーグース集Tommy Thumbの最新の研究成果と課題 ― A・インメル、B・オルダーソン共著Nurse Lovechild's Legacyを読む ―
  高屋 一成
   現在のところ世界で最も古いマザーグース集Tommy Thumb's Pretty Song Book (TTPSB)が復刻出版されました。 Nurse Lovechild's Legacy (NLL)は、その解説書です。関西支部では、現在この解説書を勉強会で読んでいます(会報によれば、2016年4月〜)。    共著者のお二人は、

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<講演>  「ウォルター・クレインとマザーグース絵本  ―ヴィクトリア時代のカラー印刷とデザインに触れつつ―」

The Absurd ABC   An Alphabet of Old Friend   The Baby's Opera   The Baby's Bouquet  
※絵本画像は、左からThe Absurd ABC; An Alphabet of Old FriendThe Baby's Opera; The Baby's Bouquet


講師:正置 友子先生(絵本学研究所主宰、元聖和大学教授)
    1994年〜2000年イギリスの国立ローハンプトン大学大学院に留学し、絵本の歴史を研究。 ヴィクトリア時代の絵本研究論文により博士号を取得。2008年著書A History of Victorian Popular Picture Books (風間書房 2006年)に対して、 イギリスのChildren’s Books History Societyより「ハーベイ・ダートン賞」授与。 (略歴は、Amazon.co.jpより。著作画像は、Amazonアフィリエイトおよび楽天アフィリエイトのリンク)

博士論文:A History of Victorian Popular Picture Books (風間書房、2006)

著書:『イギリス絵本留学滞在記 −現代絵本の源流ウォルター・クレインに魅せられて−』(風間書房、2017)


  



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