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猿の本


2016年は、サル年。干支にちなんで、おすすめのサルの本を紹介します。


目次

1 絵本   ひとまねこざる   かにむかし   おさるとぼうしうり   さるとわに   ちびゴリラのちびちび   あくまのおよめさん  
2 児童文学   アーサーのてがみともだち   グリーン・ノウのお客様   西遊記  



ねずみの本 牛の本 トラの本 ウサギの本 りゅうの本 ヘビの本 馬の本 羊の本




1 絵本

 ひとまねこざる ハンス・アウグスト・レイ さく・え 光吉夏弥 訳 岩波書店

   動物園から逃げだした、しりたがりやのこざるのじょーじ。なべから、じかに「すぱげってぃー」を食べたり、 へやじゅうに絵をかいて、じゃんぐるにしたり、病院の大きな青いびんのふたをあけて、中身をすいこんだり、 子どもがしたくてもできないことを存分にやってくれる痛快さ。
   シリーズに『ひとまねこざるときいろいぼうし』『じてんしゃにのるひとまねこざる』『たこをあげるひとまねこざる』 『ひとまねこざるびょういんへいく』などがあります。
かにむかし  木下 順二 再話 清水 崑 え 岩波書店

   なんといっても、子がにたちと助っ人たちのやりとりがいい。「かにどんかにどん どこへいく」「さるのばんばへ  あだうちに」「こしにつけとるのは そらなんだ」「にっぽんいちのきびだんご」「いっちょくだはり、なかまになろう」 「なかまになるなら やろうたい」。
   うーん、「にっぽんいちのきびだんご」ってどんなのだろう。さるは、ここでは悪者ですが、親がにをだますところや、 さるがやっつけられるところも、昔話らしくさらっと書いてあり、爽快です。
おさるとぼうしうり  エズフィール・スロボドキーナ さく・え、松岡 享子 やく 福音館書店

   帽子売りが、頭の上に、売りものの帽子を12個も重ねて、売りあるく姿だけでも絵になります。ちょっと疲れて昼寝した すきに、だいじな帽子が消えてしまいました なんと根元で昼寝した木の上のさるたちが帽子をとってしまったのです。帽子売りが さるに指をつきつけると、さるも帽子売りを指さし、帽子売りが両手を振りあげるとさるもまねをして…帽子売りがおこればおこるほど、 こっけいなありさまに。
   スウェーデンでは、さるはキーキーではなく、「ツー、ツー、ツー」と言うらしい、というようなことは大人の 後知恵。

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さるとわに ジャータカ物語より ポール・ガルドン 絵、北村 順治 訳 ほるぷ出版

   わかいわにが、マンゴーの木の上のサルをだまして食べようとする。あっちの島には、もっとおいしそうなマンゴーの木が あるから背中に乗ればつれていってやる、と言って、まんまと成功。だまされたと気づいたサルは、これまたどこかで聞いたような言い訳 「元の岸の木に心臓を干してきてしまったが、心臓が一番おいしいのに」とか言って、わにをだまし返す。ふつうはこれでおしまいだが、 このわには執念深く、ひっこしたサルをみつけて、またねらう…。さあ二度目の勝負はいかに。
 ちびゴリラのちびちび ルース・ボーンスタイン さく、岩田 みみ 訳 ほるぷ出版

   ゴリラのこども、ちびちびは、ジャングルのみんなから、とってもかわいがられています。大人のゴリラだけでなく、 こわそうな大ヘビや、ライオンのおじさんまで、よろこんであそんでくれました。ところがある日…そう、子どもはいつまでも小さいままでは いない。大きくそだつのです。もうとても「ちびちび」とは言えないくらい大きくなって、ジャングルのみんなはどうしたでしょう。
あくまのおよめさん ネパールの民話  稲村 哲也・結城 史隆 再話、イシュワリ・カルマチャリャ 絵 福音館書店

   ネパールのある村に住む貧しい家の少年ラージャンは、ある日金貨をひろいます。これで食べ物を買えば暮らしの助けに なるはずですが、両親は息子の自由にまかせます。ラージャンはとても珍しい物を買いたいと思って、猿を買います。猿はラージャンの ために、村人から盗みを働いている悪魔から、宝をとってきて暮らしを助けていましたが、ある日悪魔につかまってしまいます。そこで猿が 案じた一計が、「悪魔にお嫁さんを見つけてやる」ことでした。悪魔がただの間抜けな泥棒みたいなのが、お国柄でしょうか。

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2 児童文学

アーサーのてがみともだち リリアン・ホーバン作・絵 文化出版局

   おさる(チンパンジー?)のアーサーと妹のバイオレットのおはなしシリーズの一冊。アーサーのてがみともだち サンディは、からてをしたり、たいこをたたいたりします。アーサーはサンディが男の子だと思っていますが、バイオレットは、 自分のクラスに同じ名前の女の子がいると言います。アーサーはうでずもうできつくねじって、妹がなきだすと、うんざりします。 そしてサンディに「ぼくはきみのにいさんだったら、家でうでずもうや からてだってできるのに。」と書くのですが…。
   表紙画像は、原書ペーパーバック。翻訳は現在品切れ中ですが、各地の図書館にあり、ロングセラーとして 今でも愛読されています。シリーズには『アーサーのくまちゃん』『アーサーといもうと』『アーサーのクリスマス・プレゼント』が あります。絵本から読み物への橋渡しになる、幼年向けの絵物語。
 グリーン・ノウのお客さま ルーシー・M・ボストン 作、亀井 俊介 訳 評論社

   グリーン・ノウという古いマナー・ハウスでは、ときどき不思議なことが起こります。身よりのない少年ピンは、 ロンドンの動物園で出会ったゴリラのハンノーと、グリーン・ノウで再会します。動物園に行ったとき、ほかの動物たちはもうあきらめて いるのに、ハンノーにだけ、野生の誇りが生きていて、ピンは魅了されます。
   冒頭でゴリラの家族の話がくわしく語られ、今までの〈グリーン・ノウ物語〉の読者からすれば、早くイギリスの 場面にならないかと、ジリジリするかもしれません。けれどこの描写があるからこそ、最後の場面がより深くせまってくるのです。 この作品は、シリーズの他の巻と違い、超自然的なことは書かれません。すでにゴリラという存在そのものが自然の驚異だからでしょう。 作者のボストンさんは、どこでこんなにゴリラへの理解を深めたのでしょうか。
   〈グリーン・ノウ物語4〉。1962年カーネギー賞受賞作。
 西遊記(上)(中)(下) 〈新版〉  呉 承恩 作 伊藤 貴麿 編訳 岩波書店

   孫悟空は、もともと花果山(かかざん)の石から生まれた石ザル。仙人に弟子入りして「孫悟空」という法名をもらい、 秘術を習う。仙桃や金丹を食い尽くすなど天界からも手を焼かれ、好き放題。天帝に攻め込まれても果敢に対戦。苦戦した天帝が 釈迦如来に助けを求め、最後は悟空もお釈迦様のてのひらからは逃れられず、封印されてしまう。500年後、与えられた贖罪の機会が、 西方の天竺へ経典を採りに行く三蔵法師の弟子になることだった。
   「孫悟空のぼうけん」などのお手軽なダイジェストが多数出版されているが、この岩波少年文庫版は、元の呉承恩作品を うまく抄訳している。なぜ、猪八戒(観音菩薩からいただいた法名は猪悟能)や、沙悟浄(呼び名は沙和尚)が弟子になったかも きちんと書かれている。

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