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牛の本


2009年は、うし年。干支にちなんで、おすすめのうしの本を紹介します。
(★一部の表紙画像を差し替えました。2021.11/3)


目次

1 絵本  はなのすきなうし   おりこうなアニカ   くいしんぼうのはなこさん   わらのうし   うんがにおちたうし   めうしのジャスミン  
2 児童文学   踊る牝牛 (『風にのってきたメアリー・ポピンズ』より)   ノロウェイの黒ウシ (『イギリスとアイルランドの昔話』より)   
番外・新刊


ねずみの本 虎の本 ウサギの本 りゅうの本 ヘビの本 馬の本 羊の本 サルの本




1 絵本

  はなのすきなうし  マンロー・リーフ さく、ロバート・ローソン え 岩波書店

   ふぇるじなんどは、闘牛が盛んなスペインに生まれた雄の子牛。他の子牛たちは とんだりはねたり、角つきあったりしていましたが、ふぇるじなんどはコルクの木の下で花のにおいを かいでいるのが大好きでした。ふぇるじなんどのおかあさんは、たいそうもののわかった「人物」で、 息子が寂しくないということを確認すると、放っておいてくれるのです! そこで、ふぇるじなんどは、 大きく立派な雄牛になっても、花が大好きでした…。

   子ども時代、読んだときは、「コルクの木」にコルク栓がいっぱいなっている木のイラストを見ても、「こういう木があるんだなあ」と全然不思議に思いませんでした。
おりこうなアニカ  エルサ・ベスコフ さく・え いしい としこ やく 福音館書店

   アニカは、いなかに住むちいさな女の子。牧場のさくがこわれているので、牝牛のマイロンが おとなりのクローバー畑に入らないように、番をします。でも、マイロンは、あっという間にさくのやぶれめ から、クローバー畑に入ってしまい、アニカが必死に止めながら助けをよぶと、途中で会った犬が、マイロン を牧場にもどしてくれます。アニカが、さくを直そうと、丸太を見つけてひっぱると、なんとそれは小人の家の天井でした。

   スウェーデンの絵本作家、ベスコフの作品には、よく小人が出てきます。この絵本では、 柵を直してくれ、牝牛の乳ちょっぴりとひきかえに野イチゴをくれます。「おりこうな」というのは、 よくお手伝いするいい子ということのようです。小人のおかあさんが作ったおいしそうなパイ、食べてみたいなあ。
くいしんぼうのはなこさん  いしい ももこ ぶん、なかたに ちよこ え 福音館書店

   顔のまんなかに、まあるい鼻がついているから、「はなこ」と名づけられた、かわいい子牛がいました。 はなこさんは、たいへんわがままでした。いつも、おいしいものをねだり、大きくそだちました。 春になって、山の牧場へ行ってみると、どの子牛よりも大きくて、けんかで一番になり、牧場の「じょおう」になりました。 ところが、さしいれのおいもや、かぼちゃを一番のりで食べたいだけ食べた次の日、風船のようにまんまるにふくらんでしまいました。

   「たいへんわがまま」なのに、にくめない。なかたにちよこの、ほのぼのしたイラストで 長く親しまれています。まんまるな、はなこさん、見ものですから、ぜひ読んでみてください。

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わらのうし ウクライナの昔話 内田 梨莎子 文、ワレンチン・ゴルディチューク 絵 福音館書店

   とても貧乏な老夫婦がいました。ある日、おばあさんが、おじいさんに「わらのうし」を作って、 横腹にタールをぬってくれと頼みます。次の日、おばあさんは、わらのうしをつれて丘で糸紡ぎをしているうちにいねむりします。 すると、「よこっぱらタール」のわらのうしが熊や狼や狐をつかまえて…。

   おばあさんの思いつきは、大成功! つかまえた熊や狼や狐が、自由になる代わりに持ってくる、蜜蜂の巣箱や家畜は、 本当は誰かのものだと思うけど、これは、弱いものが智恵で財産を手に入れるという昔話の典型で、たいへん人気のある話だそうです。
  うんがにおちたうし  フィリス・クラシロフスキー 作、ピーター・スパイアー 絵、 みなみ もとちか 訳 ポプラ社

   牛のヘンドリカは、運河に落ちてしまいますが、運よく木箱に乗って、川下り。 いつもいつも牧場だけでくらす毎日にうんざりしていたので、川岸のいろいろな風景を楽しみます。 ひとめ見てみたかった、にぎやかな町にも、とうとう来ることができました。
   オランダの運河を舞台にした、楽しい絵本。
めうしのジャスミン  ロジャー・デュボワザン 作・絵、乾 侑美子 訳 童話館

   牝牛のジャスミンは、農場の裏庭ですてきな帽子をみつけます。それをかぶっていると、 他の動物たちは笑いますが、ジャスミンは、あくまでもすてきだと思って、かぶりつづけます。すると…。

   自分の感性を信じること、みんなと同じであることに満足しないこと…こんな深読みもできますが、 ジャスミンの潔さが爽快 1979年に佑学社から出版された絵本の再刊。

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2 児童文学

 踊る牝牛 (『 風にのってきたメアリー・ポピンズ 』新版 より) P. L. トラヴァース作、林 容吉 訳 岩波書店 (岩波少年文庫)

   ジェーンが耳痛で寝ているので、マイケルは窓から見えるものを話してきかせていました。 すると、通りの向こうから、牛がやってきて、一軒一軒門からのぞいて何かを探しているようでした。 メアリー・ポピンズの語るところによると、その牝牛の通り名は、赤牛といって、いつも貴婦人のように わきまえをもって、くらしていました。物事は黒いか白いかで、子牛はきちんとしつけなければなりません。 ところが、ある晩、突然に、赤牛は、こともあろうにホーンパイプ踊りを始めて、やめられなくなってしまい ました。きみょうに楽しい気分でしたが、一週間、踊り続けて疲れ果て、とうとう王様の宮廷に助言を求めに 行きます…。

   王様が書記官に調べさせた百科事典には「月をとびこえた牝牛の話」が出ていたので、 王様も考えあぐねて、月を跳び越すことを助言します。牝牛が月を飛び越すといったら、イギリスの 子どもたちは誰でもすぐに、「Hey, diddle, diddle」のマザー・グースの唄を思い起こすに決まっています。 マザー・グースが「牛」の項目に出ている百科事典があるのでしょうか
 ノロウェイの黒ウシ (『 イギリスとアイルランドの昔話』より) 石井 桃子 編・訳 福音館書店 (福音館文庫)

   3人姉妹の長姉が、伯爵より身分低い人とは結婚しないと言い、次姉は男爵でなくては 結婚しないと言うのを、おかしがった末の娘が「ノロウェイの黒ウシでもいいわ」と三度繰り返し言った次の朝、 一番上の娘に伯爵からの求婚があり、まもなく二番目の娘も男爵と結婚しました。その後ノロウェイの黒ウシが やってきたので、末の娘は観念して、牛の背に乗って家に別れを告げました。黒ウシは、左の耳の食べ物と 右の耳の飲み物で娘を養い、ふたりは旅を続けました…。

   「三」という数が繰り返し現われます。「3人姉妹」「三度言う」三回のお城訪問、三つの 木の実…。いったい、耳の中につまっている食べ物や飲み物って、どんなふうなのでしょう。

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番外・新刊

白い牛をおいかけて トレイス・シーモア作、ウェンディ・アンダスン・ハルパリン絵 ゴブリン書房

   わたしの家からにげだした白い牝牛。すぐつかまると、とうさんもおじさんも言ったけど、 ちっともつかまらない。にげられるたびに「頭がいい」「かわいい子牛を生んだ」「よくミルクを出した」とか、 とうさんたちはぼやいたけど、かあさんは、あの牝牛の乳しぼりなんかしなかったと言う。牛を呼ぶ口笛の 名人、おじいちゃんが呼んでもだめだった。ある日、わたしは森で白い牛にあった。牝牛はわたしにひかれて、 森と野原のさかいめまではついてきたが、そこまでだった。わたしは、今、口笛の練習をしている…。

   とうさんたちではつかまえられないけれど、「わたし」がつかまえてみせるという逆転の オチなのかと思ったけど、そうじゃなかった。ケンタッキー出身の作者が、ケンタッキーを舞台に描いた絵本。アメリカ図書館協会優秀図書受賞作品。

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