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ヘビの本


2013年は、ヘビ年。干支にちなんで、おすすめのヘビの本を紹介します。


目次

1 絵本   へびのクリクター   どいてよへびくん   へびくんおさんぽ   へびくんはらぺこ   やまたのおろち  
2 読みもの   からすのカーさんへびたいじ   聞き耳ずきん  
NF・へびのひみつ


ねずみの本 牛の本 虎の本 ウサギの本 りゅうの本 馬の本 羊の本






1 絵本

 へびのクリクター トミー・ウンゲラー さく・え、中野 完二 訳 文化出版局

   ヘビの絵本イチオシのロングセラー。フランスの小さな町に住んでいるボド夫人に、ブラジルで虫類 の研究をしている息子から、ヘビの誕生日プレゼント。あやうく気を失いかけたけど、ボドさんは動物園で勉強し、毒のないボア・ コンストリクターというへびだとわかると、クリクターと名前をつける。(クリクターの名前の由来は、これだったのか!) ミルクをのませ、ヤシの木を買い、冬のためにセーターを編み、 いっしょに散歩。
   ボドさんが先生をしている学校につれていくと、クリクターはすぐアルファベットを体で覚える。男の子の遊び(すべり台)にも女の子の遊び(なわとび)にもつきあい、ボーイスカウトの 綱結びの練習台にも。町の連続強盗がボドさんの家におし入ると、しめあげて検挙に貢献。くんしょうをもらい、どうぞうも立つ。町は、 クリクターに公園をプレゼント。
 “ヘビ”というと、悪者やこわいイメージが先行するが、クリクターは徹頭徹尾「よいヘビ」。
どいてよへびくん 五味 太郎 さく・え 偕成社

   こぶたくん(もしかするとネコちゃん?)があそぼうとすると、いつもへびくんが先にいてじゃま。お絵かき、砂場、 すべり台、プール…。そのたびに「どいてよへびくん」と言うはめに。ところが…雨がふってくると、へびくんがかさになってくれて、 このにときばかりは「どかないでね」。
   ちょっと身勝手なこぶたくんのセリフにきこえるけれど、そういう子どものご都合主義とは関係 なし。ひたすらへびくんがじゃまくさいのがオカシイ。

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へびくんのおさんぽ いとう ひろし ぶん・え 鈴木出版

   雨あがり、へびくんがおさんぽにでかけると、みちのまんなかに大きな水たまり。「なーにこんなのへっちゃらさ」と、 ひとまたぎしたところで「ちょっとまってください」と声がして、背中を渡らせてほしいアリやカタツムリやネズミたちがゾロゾロと。 お礼を言われてすっかりいい気分になったへびくん、つい、「もうわたってみるひといませんか」なんて言ったものだから……やって きたのは、イヌ、ライオン、ゾウ。へびくん、だいじょうぶかな?
へびくんはらぺこ ブライアン・ワイルドスミス 作・絵、すぎやま じゅんこ 訳 らくだ出版

   はらぺこへびくんのおもいついたけいりゃくは、「かくしげいのパーティ」。しまうま、おうむ、やぎときつね。 ウシカモシカとホロホロチョウ、カメレオン。ハイエナは20メートル玉乗り。チータの背中で猿たちが逆立ち。ライオンが泥でまだらを つけて「はしかのライオン」はうけなかった。きつねとじゃこうねこのさかさまこんにちは。しまうまはココナッツのお手玉。ペリカンの つめこみきょうそう。ペリカンがいっとうだ、の声にへびが「ぼくならもっとつめこめる」と言うので、みんなすすんでへびの口の中へ。 ところがへびは口をとじてしまう。動物たちの叫びを聞いて、とおりかかったぞうがへびのしっぽをドスン。さいごにへびはしっぽを むすばれてしまう。これは、わるいへびのおはなし。
 やまたのおろち 〈日本の神話 3〉 舟崎 克彦 文、赤羽 末吉 絵 あかね書房

   へびは、どうも悪者に描かれている作品が多いが、これは最も古くから悪役として名をはせてきた邪神の神話。ご存じ スサノオノミコトのオロチ退治。「八股」のオロチなのだから、頭も八つで、尾も八本。さぞかし太い胴体なのだろう。まあ背中に杉や ヒノキ、カズラが生い茂っているというのだから、山津波のようなものの化身かもしれない。
   画家の赤羽末吉は、この絵本を作るにあたり、 古代日本の服装、化粧、酒造りなど文献を研究し、出雲へ里神楽を見に行ったり、稲田神社を見学したりして、その知見が生かされた作品 になっている。土地の神、足名槌、手名槌、櫛稲田姫だけが白っぽい衣装を着て、村人たちは麻風で褐色の着物。酒造りは清らかな少女が 蒸した米をかんで発酵させるようすが描かれている。そして、オロチが押し寄せる場面では、文字のない見開きいっぱいに、雷鳴の中、 オトリとして立つ姫と、木の影でオロチを待ち受けるスサノオが描かれる。「古事記」では、櫛稲田姫は櫛になってスサノオの髪に隠されて いるが、赤羽末吉は稲田神社で見た、オトリの乙女の絵の方を採った。
   1983年にトモ企画から発行されたシリーズの復刊。
 

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2 読みもの

 からすのカーさんへびたいじ オールダス・ハクスリー 文、バーバラ・クーニー 絵、神宮輝夫 訳 冨山房

   からすのカーおくさんは、まいにちたまごをうむのに、ちょっとすをはなれたすきに、いつもなくなってしまいます。 というのも、巣があるハコヤナギの木の根元に、がらがらへびのガラガラどんが住んでいて、まいにちごご3じはんに朝ごはんとして、 のみこんでいたからです。ある日、少し早く帰ってきたカーおくさんは、ガラガラどんがたまごをのんでいるのを見てしまい、夫のカー さんに「へびたいじ」してくれ、とせまります。しかし、カーさんは「もっといいほうほうがある」と、フクロウのホーおじさんに そうだんにいきます…。
   カーおくさんは肩にストール、頭に孔雀の羽がついた帽子、鼻(?)には眼鏡。カーさんは、スーパーマーケットの 店長で、翼の下に新聞をかかえ、中折れ帽をかぶっている。ホーおじさんを訪ねたときには、パイプもすっている。クーニーの描く ガラガラどんは表情がユーモラスで、憎めない。実においしそうに卵をのみこんでいる。自分で自分を、なわもやいむすびにしてしまう ところまでおかしい。「へびたいじ」がざんこくな感じがしない。作者が姪のために書いたお話で、さしえをつけようとしている間に 火事で原稿が焼けてしまったが、幸い、コピーが残っており、死後に出版されたという作品。
 聞き耳ずきん 〈子どもに語る日本の昔話2〉 稲田 和子、筒井 悦子 再話 こぐま社

   あるところに貧乏なじいさまがあったと。お宮におまいりしたとき、夢に神様が出てきて、「じさ、じさ、 おまえはよく働き、正直もんだから宝物をさずけてやる。」とまっ赤な聞き耳ずきんをもらう。帰り道、松の木の下でカラスどうしの話を 聞くと、西の村の庄屋の旦那さまが病気になったが、それは土蔵を作ったとき、はめ板の間にへびがはさまってしまって出ることが ならず、そのへびがせつながって、その思いで旦那さまは病気になっている、ということがわかる。そこでじいさまはあくる日、西の村へ 行って、「はっけ見、はっけ見」とふれて庄屋の家に呼ばれ、からすに聞いた話をもっともらしく言って聞かせる。はめ板をはずして みると、なるほどへびが一匹、白っこいようになってやせこけていたのを、放してやると、旦那さまの病気はめきめきとよくなった。 そこでじいさまはほうびの金をどっさりもらったそうな。これは新潟の昔話。
 ほかにも、オキナワの人がタイを助けたお礼に竜宮に招待され、お使いのクラゲに教わったとおり、竜王から「きき耳ずきん」を もらう話もある。こちらでは、殿様の娘の病気が、屋根のカヤにふきこまれてしまったヘビのせいだと聞き、ヘビを屋根からほどき、 エサをやり、ヘビが元気になるにつれて娘の病もいえ、ついに婿に迎えられる、という話。(坪田譲治著『日本のむかし話1』偕成社文庫、 1975。
番外・ノンフィクション

ヘビのひみつ 内山 りゅう 写真・文、ポプラ社

   まず巻頭にヘビの抜け殻が木の枝にかかっている写真。脱皮のようす、ひなたぼっこ、はう、とぐろを巻く、泳ぐ、 木登り…。うろこの拡大写真で木登りできる理由がわかる。ネズミをつかまえたアオダイショウ、魚をつかまえたヤマカガシ (瞳が赤い)、アマガエルをつかまえたシマヘビ(虹彩が赤い)、ミミズをのみこむヒバカリ、卵を丸呑みにしたようすなど。アオダイショウ の卵が縦長に立っているのも写真なのでよくわかる。巻末に「ヘビのひみつ」をまとめてある。目、耳、舌、あご、とうみん、ほね、 たいおん、ひふ、おなか、だっぴ、たまご、足、おしっこ、大きさ、しっぽなど本文で触れていないことも簡潔に解説。
   日本の自然の中に住むヘビを写真でわかりやすく紹介した、低学年から読める入門科学読みもの。

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