虎の本
2010年は、寅年。干支にちなんで、おすすめのトラの本を紹介します。
(★一部の表紙画像を差し替えました。2021.11/3)
1 絵本
10にんのきこり A.ラマチャンドラン さく、え 田島 伸二 訳 講談社
10にんのきこりが森へ木を切りに行きます。森には10本の木がありました。
1人目のきこりが1本目の木を切ると、のこりは9本。2人目のきこりが木を切ると、のこりは8本。
というぐあいに、カウントダウンしていく珍しい「数の絵本」。全部の木を切ってしまうと現われた
のは…。
最後は、「0」を発見したインドの作者らしい結末に。環境問題の本として
読むのは深読みかも。
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おちゃのじかんにきたとら ジュディス・カー さく・え 晴海 耕平 訳 童話館出版
ソフィーとおかあさんがお茶にしようとしていると、突然、とらが訪ねてきて、
「礼儀正しく」お茶に呼ばれます。サンドイッチもビスケットもみんなたいらげてしまい、
お茶も全部のみ(猫舌ではないようですね)、冷蔵庫の食べ物も、水道の水も(!)みんな飲んでしまい、「ごちそうさま」と帰っていく…。
この驚くべき展開に、ソフィーもおかあさんも動じないで、たんたんと対応するのが、かえっておかしい。
いやあ、このとら、いい味出してます。1993年に童話館から出版された本の改訂新版。
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むかしむかしとらとねこは… 中国のむかし話より 大島英太郎 文・絵 福音館書店
むかし、とらは狩りが下手で、ねこに上手な狩りのしかたを教えてもらった。
ねこは、忍び足で歩く方法や獲物の捕らえ方をいろいろ教えてやるが、ひとつだけ教えていないことがあった…。
おなじみの昔話で、最後の虎の裏切りを見こしているところが、猫らしい。
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おどりトラ 韓国・朝鮮の昔話 金森 襄作 再話、鄭 [スク]香 絵 福音館書店
こちらは韓国の昔話。昔、おどりの好きなトラがいて、音楽をきくとひとりでにおどりはじめてしまう。
でも、トラなかまにいやがられるので、なるべくがまんしていた。あるときみんなで人間の男を木の上に追いつめた。
トラたちは自分たちの体ではしごを作って、木に上ってきた。木の上の男は、ここで死ぬなら、
最後に思い残すことのないようにと懐から取り出した笛を吹き始める。すると、トラはしごの一番下にいたトラがおどりはじめて…。
虎は猛獣だが、どこか憎めない雰囲気を持っていて、この話ではおどってしまう。
おどっている虎は、なかなかひょうきんだ。韓国の画家の絵も味わい深い。
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だるまちゃんととらのこちゃん かこ さとし 作、絵 福音館書店
だるまちゃんは、とらのこちゃんとペンキで町中らくがきほうだい。とらがペンキやというのは、なかなか意外な取り合わせ。
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とらのゆめ タイガー立石 作・絵 ビリケン出版
この夢を見ているトラのとらきちは、ダリの描くシュールな世界に生きているトラの縁者かもしれない。
なにしろ、体の色は緑色で、丸まって眠っていると、夢の中とはいえ、スイカ(瓜?)になってしまう。
1999年に福音館書店から出版された絵本の再刊。
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2 児童文学
目をさませトラゴロウ 小沢 正 作、井上 洋介 絵 理論社
きつねの作った分身機械に自分が入って、2匹になってしまったトラゴロウ。なかなか哲学的なモンダイを抱えてしまうハメになる。
むかしなつかしい作品。なぜか、お芝居で見た記憶があり、歌が耳に残っている。初版は、1965年のロングセラー。
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虎の弟子 ローレンス・イェップ 作 金原 瑞人 訳 あすなろ書房
トムのおばあちゃんは、150年前に中国からひそかにアメリカに運ばれたフェニックスの卵を、代々守ってきた「守り手」だった。
トムは、そのことをおばあちゃんが襲われてはじめて知る。トムはおばあちゃんの一番弟子のミスター・フーと逃避行の旅へ。
彼は、何と虎紳士だった。
作者は、中国系アメリカ人。「フェニックス」はせめて不死鳥と訳してほしかった。
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偉大なる王(ワン) 斉藤 洋 文、ニコライ・バイコフ 原作、田中 豊美 絵 講談社
額に「王」の字、後頭部に「大」の文字がある巨大な虎。中国人の猟師たちが「王大(ワンター)」と呼ぶ密林の王は、山の精霊の化身と信じられている。虎の子育ての様子や若い虎の狩りの失敗などはノンフィクションのようだ。一方、老練な猟師トン・リとの出会いのエピソードは、シートン動物記のオオツノヒツジを追いかける猟師の話とも通じるものがある。
ロシアの作家バイコフ (1872〜1958) の原作 (1936) を斉藤洋がリライト。「あとがき」で、斉藤洋は、動物文学は、主人公の動物を現実の姿に近づけるほど物語性を失い、ドキュメントに近づく、と指摘している。バイコフの『偉大なる王』完訳版 (今村龍夫訳、中公文庫) は限りなくドキュメントに近いともいう。斉藤洋は、原作より物語性を重視して、原作にない部分も書き加えた、それで完訳版より面白くなった、と感じられることをリライトの免罪符としたい、と書いている。「痛快 世界の冒険文学 8」。
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