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りゅうの本


2011年は、たつ年。干支にちなんで、おすすめのりゅう・たつ・ドラゴンの本を紹介します。


目次

1 絵本   竜の子ラッキーと音楽師   ほしになったりゅうのきば  
2 児童文学   エルマーのぼうけん   しろいりゅうくろいりゅう   ジェレミーとドラゴンの卵   朝びらき丸 東の海へ   孤島のドラゴン  


ねずみの本 牛の本 トラの本 うさぎの本 へびの本 馬の本 羊の本




1 絵本

竜の子ラッキーと音楽師 ローズマリ・サトクリフ 文、エマ・チチェスター・クラーク 絵 岩波書店

   旅の音楽師は、なにかが卵から出てこようとしていることに気がつきました。助けになるかもしれないと、竪琴をとって 音楽を聞かせてみると…、卵から出てきたのは、竜の子でした! 竜は、うまれたばかりのころは子ネコくらいで、成長してもたかだか シェトランドポニーくらいの大きさなんだそうです。音楽師は竜の子にラッキーと名づけ、ふたりはいっしょに旅をしました。ラッキーの 気立てはリンゴようにやさしく、一番好きなことは、帽子の羽根でおなかをくすぐってもらうこと。ところが、あるとき村の宿屋にいた 見せ物師が、ラツキーをぬすみ、ふたりは、はなればなれになってしまいます…。
ほしになったりゅうのきば 君島 久子 再話  赤羽 末吉 画 福音館書店

   子どもがいないじいさまとばあさまのところに、山から大きな石がおちてきて、男の子が生まれた。こんな生まれなら、 なにかりっぱなことをすると、サン(英雄)と名づける。サンが大きくなったころ、南山の竜と北海の竜が桃の実をとりあいけんかして、 天がやぶれた。そこから大雨やひょうがふり、サンの村は不毛の地になる。サンは、天のさけめをつくろうには、どうすればいいか、 ライロン山のみどりのひげの老人にたずねに出かける。老人は、 ウリュー山のクマ王の三人娘がつくろいものが上手だから、娘をよめにほしいと頼めと言って、みどりのわらじをくれる。クマ王の上の娘、 みどりひめは鹿の背にすわり、みどりの花に乗って山から下りてくる。「天をつくろってほしい」と頼むと「あそぶことがすき」と言う。 この姫を追い返して、牛に乗った中の娘、青ひめにもたずねる。これもあそぶのがすき。最後に羊に乗った末の娘、白ひめが「そうしま しょう」と答える。天をつくろうには、竜の牙のくぎと、竜の角のつちがいると、白ひめは言う。サンは、南山と北海の竜から牙と角を とりにいく…。
   なんとも壮大な展開。いかにも中国大陸の民話という感じがする。表紙のイラストは、サンにきばをぬかれている南山の 竜。兄弟げんかでつのも折れている。

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2 児童文学

エルマーのぼうけん ルース・ガネット 作 福音館書店

   ごぞんじ、エルマー・エレベーター少年が、年よりの猫に「空をとびたいなら」と言われて、とらわれの竜の子を 救い出しに行く冒険のはなし。動物島に出かけるにあたって、持って行くように言われた荷物が楽しい。「チューインガム、ももいろの ぼうつきキャンデー2ダース、むしめがね6つ、ちがった色のリボン7本、『クランベリいき』とかいた大きな空の袋」…。 これだけでも、いったいどんなふうに助けるのだろう? と ワクワクするが、それをまた全部ちゃんと使って、島のもうじゅうたちをあしらっていくところも痛快。
白いりゅう黒いりゅう 賈芝/孫剣冰 編、君島 久子 訳 岩波書店

   竜が淵に住む黒い竜は、三年に一度、六月二十四日になると大暴れする。また、金ものが嫌いで、淵に銅の小鍋で水くみ に来た、大工のヤン名人の息子を淵に引きずり込む。ヤン名人は、息子のあだをとるまで故郷に帰らないと決心して、木彫りの竜を 作り始める。この最初の白い竜はよく戦ったが、敗れた。次の年は、友人のかじやが、鉄の爪やウロコをつけたらどうだと協力を申し出て くれた。名人がるすのとき、故郷の村から来た姉だというおばあさんが、ほしいいと斧、お土産の梨を置いていく。名人は帰って くると、自分に姉はいないと言う。果たして、斧は毒蛇になり名人にかみつこうとし、梨は毒のある実で、ほしいいは白い竜の爪や ウロコだった。また、黒い犬をつれた旅の坊さんを泊めると、坊さんは夜中に、できたばかりの小さい竜を火にくべ、黒い犬が名人に おそいかかった。名人の弟子になった子どもたちが気がついて、斧で切りつけると逃げていった。この後は、村人みんなが見回りをして、 とうとう大きな白い竜と小さい八匹の竜ができあがる。
   中国の少数民族の民話集から選んで訳した6篇のひとつ、パイ族の民話。はじめて読んだとき、「ほしいい」って なんだろう、と思ったのを今でも覚えている。

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ジェレミーとドラゴンの卵 ブルース・コウヴィル作、金原 瑞人 訳 講談社

   マジック・ショップ・シリーズ第二作。絵が得意なジェレミーは、いじめっ子から逃げているうちに「イライヴズの マジック・ショップ」を見つける。店主の不機嫌そうなおじいさんは、「用もなくてこの店に来るものはいない」と意味ありげに言う。 きれいな色の玉がほしくなり、25セントで買う。「取扱説明書」には、なんと「ドラゴンの卵のかえし方」とある。半信半疑のまま書いて あるように満月の光に当てると…本当にドラゴンがかえる。ジェレミーは図書館でドラゴンのことを調べ、ティアーマートと呼び名を つける。ドラゴンは、なぜか他の人には見えないが、エサはどんどん必要になる…。ドラゴンが今ではなぜ見かけられなくなったのか、 ジェレミーとティアーマートはどう意思を伝え合うか、そしてティアーマートはなぜジェレミーを「選んだ」のか。
朝びらき丸 東の海へ C. S. ルイス 作、瀬田 貞二 訳 岩波書店

   「ナルニア国ものがたり」シリーズの三巻目。こちらの世界から、エドマンドとルーシーのペベンシーきょうだい、 従兄弟のユースチスがナルニアへ。ユースチスは 一人っ子で、自己中心的。カスピアン王子の船、朝びらき丸に乗り込むことになり、文句ばかり言い続ける。「本当の船はこんな 揺れるものではない、イギリス領事はいないのか、食事がまずい…」。おまけに、ものいうけものである、ネズミの騎士リーピチープを からかってみたりして、危うく決闘の相手をさせられそうに。文明の地を離れ、嵐の後、たどりついた島で、みなが船の修理などに忙しく している間に、ユースチスは島の散歩にでかけ、迷ったあげく竜の住む洞穴を見つけてしまう。ただ、目の前でその竜がこときれたので、 洞穴に入ってみると、そこには数々の宝石や王冠、装身具などが。そこで一眠りしたユースチスは、竜に変身してしまう…!
   この物語では、「竜」は、ヨーロッパの伝統的なイメージのひとつ「どん欲」を象徴している。「竜の宝ぐらで、 竜の欲ぶかい心をいだいて眠って、じぶんが竜になった」と表現されている。「ナルニア国ものがたり」の中で、もっとも光り輝いている 印象のある作品。前半はユースチスのトラブルメーカーぶりが、後半は魔法的な要素がたっぷり楽しめる。
 孤島のドラゴン レベッカ・ラップ作、かがみ てつお 訳 評論社

   ハナ、ザカリー、サラ・エミリーの三人きょうだいが、夏休みにマヒタベル大伯母さんの島に招待される。島の北の岩山 「ドレイクの丘」の洞くつで、三人は頭が三つある翼竜、「黄金のファフニエル」に出会う。頭は一度に一頭だけ目覚めていて、昔話を 語ってくれる。この話中話がなかなか面白い。最初に語るのは、緑の目をした「一番覚醒」(人間で言えば第一子)。語るのは大昔の中国の 女の子メイランの話。(本当は、中国の竜には翼はないけどね。『ドラゴンキーパー』(C. ウィルキンソン作、金の星社) でも、翼を傷めた竜を女の子が介抱するけど変だと思う。東洋の竜は「霊力」で飛ぶのだから。)二度目に訪ねていくと、今度は 青い目の「二番覚醒」が起きていて、孤児ジャミーの海の冒険を語る。三番目の、銀色の目をした「最終覚醒」の竜はメスだった。語る話 は最近のことらしく、飛行機で遭難した父と兄妹、ウィルとヒッティーの話。
   続編『危機のドラゴン』では、島に勝手に上陸した有名人が秘密を探り出そうとする。

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