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とり年のマザー・グース


Cock a doodle doo!
My dame has lost her shoe,
My master's lost his fiddlestick,
And knows not what to do.

Cock a doodle doo!
What is my dame to do?
Till master finds his fiddling stick
She'll dance without her shoe.



コケコッコ踊(をどり)

コケコツコ、コケコツコ、コケコツコ。
奧さんがお靴を失(なァ)くした。
旦那さんが提琴(ヴアヰオリン)の弓を失くし、
どうしていいのか大弱り。

コケコツコ、コケコツコ、コケコツコ。
おやおや、奧さんどうなさる。
旦那なさんが提琴(ヴアヰオリン)の弓を探す、
それまで、裸足でお踊りか。
訳・北原白秋

    文献初出は1760年頃。とてもふるい時代からよく歌われてきた唄。調子いいメロディー。
    白秋の訳は、角川文庫ではなく、『白秋全集』第25巻 (岩波書店、1987) より採りました。

    竹友藻風の訳は、「ねずみ年のマザー・グース」 と同じく『諸国童謡集』 (『世界童話大系 第17巻 世界童謡集 上』世界童話大系刊行会、1925) から 採っています。



ヒグルピ、ピグルビは
黒い(とり)
卵生みます、
方方へ、
時に九つ、
時に十、
ヒグルピ、ピグルビは
黒い(とり)

訳・竹友藻風

※「鶏」の文字は、つくりが「鳥」ではなく、「隹(ふるとり)」の方だが、表示できないため、 こちらの文字を記載
Higgledy Piggledy,
 my black hen,
She lays eggs
 for gentlemen;
Sometimes nine
 and sometimes ten,
Higgledy Piggledy,
 my black hen.




※和訳に合わせて改行しているので、行頭が小文字になっています。
  元は、酒をひさぐ女の所へ男達が通ったという唄を改作したもの。

I had a little hen,
The prettiest ever seen;
She washed up the dishes,
And kept the house clean.
She went to the mill
To fetch me some flour,
And always got home
In less than an hour.
She baked me my bread,
She brewed me my ale,
She sat by the fire
And told a fine tale.

ちいさなめんどり かっていた
  見たこともない かわいいこ
お皿をあらって そうじもして
  こなやへいって こなをかい
一時間たらずで 帰ってくる

ぼくにパンを やいてくれるし
  飲み物だって 作ってくれる
炉端に すわれば
  すてきなお話 してくれる

訳・フィドル猫

 めんどりにかこつけて、妻への注文をうたった唄。

My love sent me a chicken without a bone;
He sent me a cherry without e'er stone;
He sent me a Bible that no man could read;
He sent me a blanket without e'er thread.

How can there be a chicken without e'er a bone?
How can there be a cherry without e'er a stone?
How can there be a Bible that no man could read?
How can there be a blanket without e'er thread?

When the chicken's in the eggshell, there is no bone;
When the cherry's in the blossom, there is no stone;
When the Bible's in the press, no man can it read;
When the wool is on the sheep's back, there is no thread.
こいびとが 骨なしのニワトリを 贈ってくれた
こいびとが 種なしのチェリーを 贈ってくれた
こいびとが 読めないバイブルを 贈ってくれた
こいびとが 毛糸のない毛布を 贈ってくれた

骨なしのニワトリって ありえるの?
種なしのチェリーって ありえるの?
読めないバイブルって ありえるの?
毛糸のない毛布って ありえるの?

ニワトリが 卵の時には 骨がない
チェリーが 花の時には 種がない
バイブルが 印刷中には 読めない
毛が羊の背にある時は 糸でない

訳・フィドル猫
 答えが一緒になっているなぞなぞの唄。文献には1440年頃の古い写本に出てくるとか。

    以上、コメントは『マザー・グース』1〜4(平野敬一監修、講談社文庫 1981)によった。

    上記「とり年のマザーグース」初出は、「酉年のマザー・グース」『ぱろっと通信』22号(1993.2.25)。
訳詩は、初出掲載時とは、変更しています。"Higgledy Piggledy"フィドル猫→竹友藻風、 "I had a little hen"谷川俊太郎→フィドル猫、"My love sent me"木島始→フィドル猫


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