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Baa, baa, black sheep, Have you any wool ? Yes, sir, yes, sir, Three bags full; One for the master, And one for the dame, And one for the little boy Who lives down the lane.
べああ、べああ、黒羊(ブラックシイプ)、お前はいい毛をお持ちだろ。
はい、はい、嚢(ふくろ)に三嚢(みふくろ)ござります。 旦那様に一ふくろ、 奥様に一ふくろ、 だつけど、そこいらの細道で、 べそかく坊つちやんにや、いイやいや。 |
訳・北原白秋 |
Mother Goose's Melody, or Sonnets for Cradle (1816)より |
「羊のマザーグース」で、日本で有名なのは、アメリカ生まれの「メリーさんの羊」ですが、作者がいる唄なので、
この「Baa, baa, black sheep」を「羊のマザーグース」代表にしました。 この唄は、英米ともに人気のある、羊の唄です。以前に、イギリス22冊、アメリカ11冊、計33冊の絵本を調べた結果、ベスト2に入りました。 また、「イギリス人のナーサリーライム温度」(井田俊隆、『マザーグース研究』第8号)の アンケートでは、「イギリスで最も知られていると思う3篇」の 堂々1位になった唄(67人へのアンケートで51票)でもあります。 白秋の訳は、角川文庫ではなく、『白秋全集』第25巻 (岩波書店、1987) より採りました。 白秋の原詩は、上に掲げた現在よく引用されているODNR と同じ形ではなく、 三つ目の袋を男の子にあげない方の形"But none for the little boy / Who cries in the lane."。イラストの出典では、こちらの形です。 |
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メアリィは子羊 飼っていた その毛は雪みたく白かった メアリィの行く先どこへでもずっと 子羊 きっとついてく ずっと 訳・フィドル猫 |
Mary had a little lamb, Its fleece was white as snow; And everywhere that Mary went The lamb was sure to go. |
竹友藻風の訳は、「ねずみ年のマザー・グース」
と同じく『諸国童謡集』 (『世界童話大系 第17巻 世界童謡集 上』世界童話大系刊行会、1925) から採っています。
藻風は、ボー・ピープの唄を第4連まで訳し、附記に、「『ばあよ』と譯したのは BO-PEEP すなはち、『ばあよ』とか、 或地方では『隠れよ!ばあ!』と言つて、出たり引つ込んだりしながら、子供をあやすことを言ふのであるが、ここではそれを子供の羊飼の 名にしたのである。何故羊飼にしたかと言ふ理由は、 PEEP と SHEEP (羊)の押韻の上の聯想より來たと言ふ外にはない。この話全体も亦 その聯想より生れたものである。」と注記していて、まったくよくマザーグースの本質を捕らえています。 |
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Little Bo-peep has lost her sheep , And can't tell where to find them; Leave them alone, and they'll come home, And bring their tails behind them. |
小さな「ばあよ」が羊を失くした、 何処にあるのか分らない。 ほつてお置きよ、帰つて來るよ、 うしろへしつぽを下げて來る。 訳・竹友藻風 |
青い子供よ、笛を吹け、 羊は牧場に、牝牛は畑に、 番の子供は何処にゐる。 草積の下に寝入つてゐる。 目をさましてやりますか。私はいやだ。 さませば、きつと泣くでせう。 訳・竹友藻風 |
Little Boy Blue,
Come blow your horn, The sheep 's in the meadow, The cow's in the corn; But where is the boy Who looks after the sheep ? He's under a haycock, Fast asleep. Will you wake him? No, not I, For if I do, He's sure to cry. |
「羊のマザーグース」代表の3番手と4番手は、やはりこの2篇でしょう。多くの絵本や童謡集にも、
この2篇はセットのように見開きの左右に配されたりしていますが、「ボー・ピープ」の方は、本来はもっと長い唄で、ここには
第1連だけを掲載しています。「リトル・ボーイ・ブルー」の原詩は、訳の改行に合わせました。行の途中、大文字のところが
ODNR 掲載の改行部分です。 |
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Get ready your money and come to me, I sell a young lamb for one penny. Young lambs to sell! Young lambs to sell! If I'd as much money as I could tell, I never would cry, Young lambs to sell! |
こづかいもって やっといで ちっこい こひつじ いっこ1ペニーで ちっこい こひつじ かっとくれ! ちっこい こひつじ かっとくれ! いうほど かねありゃ いわないって ちっこい こひつじ かっとくれ! って 訳・フィドル猫 |
二本足が坐つた、三本足の上に。 一本足をしやぶつた。 四本足がやつて来て、 一本足浚つて逃げてつた。 二本足が飛び上がり、 三本足をひつつかみ、 四本足めがけて投げつけた。 そこで一本足をとり返(かァへ)した。 訳・北原白秋 |
Two legs sat upon three legs With one leg in his lap; In comes four legs And runs away with one leg; Up jumps two legs, Catches up three legs, Throws it after four legs, And makes him bring back one leg. |
どこにも'sheep'も'lamb'も見当たりませんが、「One leg is a leg of mutton」という註が付いています。
白秋はこの註を「一本足は牛の骨」と訳しましたが、大正時代の日本人が羊肉を食べなかったからか、骨付きマトンというものがわからなかった
からなのかは不明。
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